JP3998122B2 - 分子性スピン素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、分子性スピン素子に関し、より詳細には、単分子としてスピン整流作用するように構造化された分子性スピン素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に関連する研究として、半導体量子構造に磁性金属を混入させた半導体スピン素子がある(大野英男, 松倉文礼, 大野裕三, 応用物理, 70, 265-274 (2001); 新田淳作, 応用物理, 70, 296-299 (2001); P. R. Hammar, B. R. Bennet, M. J. Yang, M. Johnson, Phys. Rev. Lett., 83, 203-206 (1999); I. Malajovich, J. J. Berry, N. Samarth, D. D. Awschalom, Nature, 411, 770-772 (2001))。しかし、微細加工技術により作成されたこれらの素子は、分子に比較して2桁ほど大きなサイズであり、数K以下の低温でしか作動しない。また、単一分子を用いる素子として、メモリー素子の他、分子ワイヤーが開発されている(J. M. Tour, Chem. Rev., 96, 537-553 (1996); J. S. Moore, Acc. Chem. Res., 30, 402-413 (1997); J. Roncali, J. Mater. Chem., 7, 2307-2321 (1997); J. M. Tour, M. Kozaki, J. M. Seminario, J. Am. Chem. Soc., 120, 8486-8493 (1998); H. Nakanishi, N. Sumi, Y. Aso, T. Otsubo, J. Org. Chem., 63, 8632-8633 (1998); 田中彰治, 山下敬郎, 第27回構造有機化学討論会予稿集, p15-18 (1997))が、電子スピンを利用した分子性電子輸送材料は例がない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電子スピンを利用する単一分子サイズの素子であって、スピン偏重した輸送現象を実現することのできる単一分子素子(分子性スピン素子)の基本構造を提供することを目的とする。この分子性スピン素子を2つの電極と接合させ、ソースとドレインの間に所定電圧を印加することにより、ソース・ドレイン間にスピン整流された電流を流すことができる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この分子性スピン素子を開発するために、スピン分極ドナー部、分子ワイヤー部、接合部からなる分子性スピン素子の各部を構成する化合物の選択、分子性スピン素子の構築、分子性スピン素子の各部の作動性の確認、分子性スピン素子の効能予測についての研究を行った。本発明はこのような研究の結果完成された。
即ち、本発明は、下式(1)
Z−(Y)m−X−(Y)n−Z (1)
(式中、Xは、スピン分極ドナー部と称し、電子供与部及びラジカル部並びにこれらの連結部から成り、一電子酸化された場合に安定な三重項種を形成する部分であり、(Y)m及び(Y)n(m及びnはそれぞれ整数を表す。)は、分子ワイヤー部と称し、不対電子がスピン偏重電流を散乱させることなく伝搬することができる分子鎖部分であり、Zは、接合部と称し、チオール基(SH基)又はその前駆体を有する部分であり、これらは一体となって共役π電子系を形成する。)で表される分子性スピン素子である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の分子性スピン素子は、電子の授受に際して大きなスピン分極を引き起こすスピン分極ドナー部と、そこで生じたスピン分極を伝達しうる分子ワイヤー部、さらに分子ワイヤー部を金属電極に化学吸着させるための接合部から構成されている。
スピン分極ドナー部は、電子供与部及びラジカル部並びにこれらの連結部から構成されており、電子供与部の電子がラジカル部の不対電子で大きくスピン分極されている結果、一電子酸化して得られるカチオンジラジカルが、基底状態三重項(酸化した後に生ずるスピンが、もとからあるラジカル部の電子と強磁性的に結合した状態)になるものをいう。
電子供与部は、アミノ基、複素環化合物、縮合多環芳香族化合物ら、酸化電位が低く、電子を放出しやすい骨格を有するものであればよく、特にピロール環を含むものが好ましい。
【0006】
ラジカル部は、不対電子がπ軌道に占有されているラジカルで、π共役系と共鳴できるものをいう。速度論的安定性を高めるために、立体的に又は電子的に安定化されているものが望ましく、このようなものとして、下式
で表されるニトロキシド又はニトロニルニトロキシドを含むものが好ましい。
電子供与部及びラジカル部の連結部は、スピン分極が強磁性的に伝わることのできるπ電子系から成るものであれば如何なる分子でもよいが、特にパラフェニレン基が好ましい。
【0007】
好ましいスピン分極ドナー部としては、下式
で表されるものが挙げられる。
【0008】
以下、スピン分極ドナー部について説明する。開殻分子の電子構造において、通常、有機ラジカルはSOMO(半占分子軌道)が被占有軌道の中で最もエネルギー準位の高い軌道であり、一電子酸化によりSOMOの電子が抜かれ、閉殻のカチオンを与える。もしNHOMO(次最高被占分子軌道)に当たるπ軌道が、軌道間相互作用で押し上げられる一方、SOMOのクーロン反発(SOMOにもう一電子を押し込むのに要するエネルギー)がSOMOとHOMO(最高被占分子軌道)のエネルギー差より大きいとすると、HOMOがSOMOの上に来るような軌道エネルギー図を書くことができる(下図)。
【0009】
このような状態で一電子酸化が起こると、Hund則により基底状態三重項のカチオンジラジカルが生成することが理解される。
電子供与部に、例えばニトロキシド、ニトロニルニトロキシドのようなπ型の安定ラジカルを交差共役的に連結すると、HOMO(最高被占分子軌道)のイオン化ポテンシャルに、スピン分極の寄与が現れるようになる。すなわちラジカル部に局在する不対電子のスピン(α)とは反対向きのスピン(β)が、酸化されやすくなる。従って、所定の電位を印加すると、βスピン電子が抜かれ、残ったπ型の不対電子スピン(α)は、不対電子スピン(α)と強磁性的に結合し、安定な三重項状態をもたらす。
【0010】
これを実証するために、電子供与部としてジメチルアミノ基、ラジカル部としてアリルラジカルをヘテロ原子で安定化したニトロニルニトロキシドを選択し、両者を交差共役系で連結したジメチルアミノニトロニルニトロキシド(DMANN)
を設計・合成し、このドナーラジカルの酸化電位をサイクリックボルタンメトリーで測定したところ、0.53 V (vs. Ag/AgCl)と、構成要素であるジメチルアミンとニトロニルニトロキシドのいずれの酸化電位よりも低く、2つの部位間に有意の電子的相互作用が存在することが明らかとなった。
次いで、DMANNをテトラヒドロフラン中、過剰のヨウ素を添加した後、急冷してESRスペクトルを測定すると、三重項に特有のスペクトルが得られた(D = 0.0276 cm-1, E = 0.0016 cm-1)。この混合系では、DMANNはヨウ素と電荷移動錯体を形成し、さらに分極構造を持つイオンラジカル塩とも平衡にあると考えられる。ESRスペクトルから基底三重項種が観測されたことは、電子供与部から一電子酸化が起こり、πラジカルが、ラジカル部の局在スピンと強磁性的相互作用しうること、即ち、上記の電子構造が成立していることを意味している。
【0011】
分子ワイヤー部は、一電子酸化した時にワイヤー上に生じた不対電子が、スピン偏重電流を散乱させることなく伝搬できる分子鎖であり、例えば、ポリピロール(又はオリゴピロール)、ポリチオフェン(オリゴチオフェン)、ポリアセチレン(オリゴアセチレン)、ポリフェニレン(オリゴフェニレン)などが挙げられる。
分子ワイヤー部としては、下式
(式中、R1、R2,R3はそれぞれ水素又はアルキル基、好ましくは水素又は炭素数が1〜6のアルキル基を表す。)のいずれかで表されるものが好ましい。
これらの導電性高分子にスピン偏重電流を流したときに、スピン偏重が消滅することなく伝えられるかは、例えば両端にニトロニルニトロキシドを置換したポリ(オリゴ)チオフェンを一電子酸化し、不対電子を発生させた時に、この不対電子が両端のラジカルの不対電子と強磁性的な相互作用を持つか否かで確認することができる。
上記のスピン分極ドナー部の両端に、オリゴチオフェンのような導電性オリゴマーを連結すると、スピン分極ドナー部の作用で生じたスピン偏重電流を、散乱することなく伝搬することができる。
【0012】
この分子ワイヤーは、接合部を介して電極と接合することができる。
この接合部としては、チオール又はその前駆体であるが、−SH、−SCOR4、又は−SCH2CH2COOR5(式中、R4、R5はそれぞれアルキル基、好ましくは炭素数が1〜6のアルキル基を表す。)で表されるものが好ましい。
この電極としては、いかなる導電性物質を用いてもよいが、金属、特に金が好ましく、走査型トンネル顕微鏡(STM)探針も用いることができる。
接合部(例えば、チオール)は、電極(例えば、金電極)に化学吸着することができるため、上記の分子性スピン素子を電極(ソース、ドレイン)に接合することができる。
この時、チオールを直接用いる場合と、チオールに保護基(ジスルフィド、アセチルチオ基、エトキシカルボニルエチルチオ基など)を用い、吸着するときに脱保護する方法がある。このこと自体は、すでに確立した方法(後者の保護基は、本発明者らの研究室で開発したもの)であり、オリゴチオフェンにチオール基を導入すると金に化学吸着できることは既に確認されている。ただし、ラジカル部位がπ電子系を通じて影響する場合の効果は、今回、同時に検討された。
【0013】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を制限することを意図するものではない。
実施例1
図1に示すスキームに従って分子性スピン素子を合成した。
1,4- ビス (2- チエニル )-1,4- ブタンジオン(下式)の合成
塩化アルミニウム80g(0.60mol)を塩化メチレン250mLに懸濁させ、これにチオフェン48mL(0.60mol)と、こはく酸塩化物28mL(0.25mol)の塩化メチレン100mL溶液を、15〜20℃で滴下した。4時間撹拌した後、反応液を、濃塩酸25mLを加えた氷1kgにあけ、さらに30分間撹拌した。有機層を分離し、水相から塩化メチレンで抽出した溶液と合わせ、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル)で分離し、クロロホルム-ヘキサンで再結晶して、25g(0.10mol, 40%)の結晶を得た。1H-NMRスペクトルは、この生成物が1,4-ビス(2-チエニル)-1,4-ブタンジオンであることを支持している。(1H-NMR (CDCl3): δ = 7.82 (dd, J = 3.7, 1.1 Hz, 2H), 7.65 (dd, J = 5.1, 1.1 Hz, 2H), 7.15 (dd, J = 5.1, 3.7 Hz, 2H), 3.40 (s, 4H) )
【0014】
1-(4- シアノフェニル )-2,5- ビス (2- チエニル ) ピロール(下式)の合成
1,4-ビス(2-チエニル)-1,4-ブタンジオン23g(92mmol)、p-アミノベンゾニトリル13g(110mmol)をキシレン1Lに懸濁させ、これにp-トルエンスルホン酸・一水和物18g(95mmol)を加え、Dean-Stark管を用いて12時間加熱還流した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び2規定塩酸で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル)で精製し、乳白色固体を25g(75mmol, 82%)得た。1H-NMRスペクトルは、この生成物が1-(4-シアノフェニル)-2,5-ビス(2-チエニル)ピロールであることを支持している。(1H-NMR (CDCl3): δ = 7.66 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.13 (dd, J = 5.1, 1.1 Hz, 2H), 6.85 (dd, J = 5.1, 3.7 Hz, 2H), 6.53 (s, 2H), 6.52 (dd, J = 3.7, 1.1 Hz, 2H) )
【0015】
1-(4- ホルミルフェニル )-2,5- ビス (2- チエニル ) ピロール(下式)の合成
1-(4-シアノフェニル)-2,5-ビス(2-チエニル)ピロール12.3g(37mmol)をトルエン1Lに溶かし、約-60℃で、1.0M水素化ジイソブチルアルミニウム・トルエン溶液45mL(45mmol)を滴下した。1時間撹拌後、冷浴を外し、30分後、飽和塩化アンモニウム水溶液25mLを滴下した。室温で3規定塩酸200mLを加え、3時間撹拌した。トルエン−水で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、乳白色固体11.7g(35mmol, 95%)を得た。1H-NMRスペクトルは、この生成物が1-(4-ホルミルフェニル)-2,5-ビス(2-チエニル)ピロールであることを支持している。(1H-NMR (CDCl3): δ= 10.06 (s, 1H), 7.90 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.42 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.10 (dd, J = 5.1, 1.1 Hz, 2H), 6.82 (dd, J = 5.1, 3.7 Hz, 2H), 6.54 (s, 2H), 6.52 (dd, J = 3.7, 1.1 Hz, 2H) )
【0016】
1-[4-(1,3- ジオキソラン -2- イル ) フェニル ]-2,5- ビス (2- チエニル ) ピロール(下式)の合成
1-(4-ホルミルフェニル)-2,5-ビス(2-チエニル)ピロール12.5g (37mmol)をベンゼン800mLに溶かし、エチレングリコール10mL(180mmol)及び触媒量のp-トルエンスルホン酸・一水和物を加え、Dean-Stark管を用いて12時間加熱還流した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去して、14.2g(37mmol, quant.)の白色固体を得た。1H-NMRスペクトルは、この生成物が1-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-2,5-ビス(2-チエニル)ピロールであることを支持している。(1H-NMR (CDCl3): δ = 7.52 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.31 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.04 (dd, J = 5.1, 1.1 Hz, 2H), 6.80 (dd, J = 5.1, 3.7 Hz, 2H), 6.52 (s, 2H), 6.49 (dd, J = 3.7, 1.1 Hz, 2H), 5.85 (s, 1H), 4.18-4.05 (m, 4H) )
【0017】
1-[4-(1,3- ジオキソラン -2- イル ) フェニル ]-2,5- ビス [2-(5-( トリブチルスタニル ) チエニル )] ピロール(下式)の合成
1-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-2,5-ビス(2-チエニル)ピロール3.8g (10mmol)をテトラヒドロフラン100mLに溶かし、約-80℃で、2.0Mリチウムジイソプロピルアミド(ヘプタン/テトラヒドロフラン/エチルベンゼン溶液)15mL (30mmol)を滴下した。-50から-15℃まで徐々に昇温しながら3時間撹拌した後、約-80℃で、塩化トリブチルすず9.0mL (33mmol)のテトラヒドロフラン50mL溶液を滴下し、室温で12時間撹拌した。反応液をヘキサンと水で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィ(アルミナ)で精製し、8.9g (9.3mmol, 93%)の淡褐色固体を得た。1H-NMRスペクトルは、この生成物が1-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-2,5-ビス[2-(5-(トリブチルスタニル)チエニル)]ピロールであることを支持している。
【0018】
5- ブロモ -5 ’’ -(2-( エトキシカルボニル ) エチルチオ )-2,2 ’ :5 ’ ,2 ’’ - ターチオフェン(下式)の合成
ターチオフェン4.98g(20mmol)をテトラヒドロフラン150mLに溶かし、約-80℃で、2.0Mリチウムジイソプロピルアミド(ヘプタン/テトラヒドロフラン/エチルベンゼン溶液)12.5mL(25mmol)を滴下した。2時間撹拌し、約-50℃になったところで、硫黄粉末1.62g(51mmol)を一気に加え、さらに4時間撹拌した。約-15℃まで上昇していた反応溶液を約-60℃まで冷却し、3-ブロモプロピオン酸エチル5.70mL(45mmol)を滴下した。12時間撹拌し、室温まで戻ったところで、ベンゼンと塩化アンモニウム水溶液で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル)で分離し、4.35g(11.4mmol)の緑黄色固体を得た。この固体をジメチルホルムアミド200mLに溶かし、遮光下でN-ブロモこはく酸イミド2.70gのジメチルホルムアミド100mL溶液を加えて15時間撹拌した。ベンゼンと塩化アンモニウム水溶液で抽出し、溶媒を留去後、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル)及びゲル濾過型液体クロマトグラフィで精製し、黄土色固体2.99g(6.5mmol, 33%)を得た。1H-NMRスペクトルは、この生成物が5-ブロモ-5’’-(2-(エトキシカルボニル)エチルチオ)-2,2’:5’,2’’-ターチオフェンであることを支持している。
【0019】
1-[4-(1,3- ジオキソラン -2- イル ) フェニル ]-2,5- ビス [5-(5 ’’’ -(2-( エトキシカルボニル ) エチルチオ )-2,2 ’ :5 ’ ,2 ’’ :5 ’’ ,2 ’’’ - クォーターチエニル )] ピロール(下式)の合成
1-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-2,5-ビス[2-(5-(トリブチルスタニル)チエニル)]ピロール2.8g (2.9mmol)及び5-ブロモ-5’’-(2-(エトキシカルボニル)エチルチオ)-2,2’:5’,2’’-ターチオフェン3.0g (6.5mmol)をトルエン60mLに溶かし、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 2.0g (1.7mmol)を加え、約100℃で18時間撹拌した。加熱停止後、反応液をそのまま遮光したカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ベンゼン)、続いてゲル濾過型液体クロマトグラフィで分離し、再びカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ジクロロメタン)で精製して、赤色固体1.1g (1.0mmol, 34%)を得た。1H-NMRスペクトルは、この生成物が1-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-2,5-ビス[5-(5’’’-(2-(エトキシカルボニル)エチルチオ)-2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’-クォーターチエニル)]ピロールであることを支持している。
【0020】
2-[2 ’ ,5 ’ - ビス [5 ’’ -(5 ’’’’’ -(2-( エトキシカルボニル ) エチルチオ )-2 ’’ ,2 ’’’ :5 ’’’ ,2 ’’’’ :5 ’’’’ ,2 ’’’’’ - クォーターチエニル )] ピロール -1 ’ - イル ] フェニル -4,4,5,5- テトラメチルイミダゾリン -1- オキシル -3- オキシド(下式)の合成
1-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-2,5-ビス[5-(5’’’-(2-(エトキシカルボニル)エチルチオ)-2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’-クォーターチエニル)]ピロール0.57g(0.52mmol)をアセトン10mLおよびクロロホルム20mLに溶かし、p-トルエンスルホン酸一水和物49mg(0.26mmol)を加えて一晩撹拌した後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、得られたものをクロロホルム-ヘキサンで再結晶し、赤色固体0.50g(0.52mmol, quant.)を得た。1H-NMRスペクトルは、この生成物が1-[4-ホルミルフェニル]-2,5-ビス[5-(5’’’-(2-(エトキシカルボニル)エチルチオ)-2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’-クォーターチエニル)]ピロールであることを支持している。
【0021】
1-[4-ホルミルフェニル]-2,5-ビス[5-(5’’’-(2-(エトキシカルボニル)エチルチオ)-2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’-クォーターチエニル)]ピロール96mg(0.1mmol)および2,3-ビス(ヒドロキシルアミノ)-2,3-ジメチルブタン197mg(0.1mmol)を、メタノール5mLおよびベンゼン5mLに溶かし、2,3-ビス(ヒドロキシルアミノ)-2,3-ジメチルブタン硫酸塩10mgを加えて一晩加熱還流した。反応液にメタノール10mLを加えて得られた沈殿を濾別し、これをメタノール及び水で洗って、赤橙色粉末46mg(0.04mmol, 40%)を得た。1H-NMRスペクトルは、この生成物が2-[2’,5’-ビス[5’’-(5’’’’’-(2-(エトキシカルボニル)エチルチオ)-ヘキシル-2’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’-クォーターチエニル)]ピロール-1’-イル]フェニル-1,3-ビス(ヒドロキシル)-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリジンであることを支持している。
2-[2’,5’-ビス[5’’-(5’’’’’-(2-(エトキシカルボニル)エチルチオ)-ヘキシル-2’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’-クォーターチエニル)]ピロール-1’-イル]フェニル-1,3-ビス(ヒドロキシル)-4,4,5,5-テトラメチルイミダゾリジン96mg(0.1mmol)をベンゼン5mLに懸濁させ、これに二酸化鉛0.21mg(0.9mmol)と炭酸カリウム1.3mg(10mmol)の混合物を加え、室温で30分撹拌した。反応液を濾過し、濾液から溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィ(中性アルミナ)で精製し、赤色固体35mg(0.03mmol, 30%)を得た。ESRスペクトル及びIRスペクトルは、この生成物がニトロニルニトロキシド誘導体であることを支持している。(
ESR(benzene): g = 2.040, aN = 0.75 mT (2N); IR(KBr): 1261 cm-1 (s), 1100 cm-1 (m), 1098 cm-1 (m), 802 cm-1 (s))
【0022】
実施例2
分子性スピン素子の作動性を以下の方法で確認した。
スピン分極ドナー部の作動性の確認は、下記スピン分極ドナー部単体1、及びそれに分子ワイヤー部を連結した下記分子2及び3について、サイクリックボルタンメトリーによる酸化電位の測定、紫外・可視分光による有効共役長の分析、電子スピン共鳴測定による酸化種の基底状態多重度の解析により行った。
サイクリックボルタンメトリー法により測定した分子2及び3の第一酸化電位は、それぞれE1/2 = +0.68 V, +0.66 V (vs. Ag/AgCl, in 0.1M Bu4N・ClO4/PhCN) であり、母骨格1 (E1/2 = +0.80 V) よりも低くなっている。また、分子3の吸収極大波長は438 nm (in CH2Cl2) であった。ビス(チエニル)誘導体2の2-メチル-THF溶液にヨウ素を加え、低温剛性溶媒中で測定したESRスペクトルは、酸化種に由来する三重項シグナル (D = 0.0259 cm-1、E = 0.0020 cm-1) を示した。シグナル強度の温度依存性から、この三重項が基底状態であることが確認された。また、ビス(クォーターチエニル)誘導体3も、同様のシグナルを与えた。
【0023】
実施例3
分子ワイヤー部の作動性は、チオフェン環がそれぞれ2個、4個、6個からなるオリゴチオフェンの両端にニトロニルニトロキシドを連結した下記分子4a〜cを合成した上で、それらについて、サイクリックボルタンメトリーによる酸化電位の測定、電子スピン共鳴測定による酸化種の基底状態多重度の解析を行うことにより確認した。
両端にニトロニルニトロキシドを有するオリゴチオフェン4a〜cは、それぞれ0.90、0.87、0.84 Vに第一酸化電位を示した。また、分子4bは、1.38、1.57 Vに非可逆な酸化波を、分子4cは1.08 Vに可逆な第二酸化電位を、1.26 Vに非可逆な酸化波を、それぞれ示した。分子4a〜cのヨウ素酸化種について、2-MTHFの低温(4.2K)剛性溶媒中でESRスペクトルの測定を行ったところ、それぞれ、gav.= 2.0083 、2.0091、2.0025のところに多重項種に由来するシグナルを与えた。さらに、4.2K〜75K、92K、101Kの領域での測定でシグナル強度が温度の逆数に比例する依存性を示したことから、この多重項が基底状態であると判断した。
【0024】
実施例4
接合部の作動性の確認は、チオール前駆体としてジスルフィド又はエトキシカルボニルエチルチオ基を有する下記フェニルニトロニルニトロキシド誘導体5及び6を用いて行った。
接合部を有するラジカル5のエタノール溶液(飽和溶液;0.23mM;過剰に溶解させた後濾過)に、雲母(mica)上に真空蒸着した金基板(金薄膜の厚みは500〜1500オングストローム程度)を一定時間浸した後、エタノールで基板上を洗浄することにより、自己集合化単分子膜を調製した。この吸着過程を表面プラズモンの共鳴ピークの時間変化で追跡したところ、エタノールで洗い流した時点以後、反射率が一定になっていることから、物理吸着種が洗われ、一定の厚みをもつ単分子膜が残ったと考えられる。吸着前後での表面プラズモン共鳴吸収の角度依存性から、化学吸着による膜厚は、膜分子の屈折率を1.5と仮定した場合、およそ14オングストロームと見積もられることより、チオール型ラジカルが長軸を基板に垂直にして化学吸着していると考えられる。また単分子膜の赤外反射吸収スペクトルより、ジスルフィドが還元的に開裂し、チオール型ラジカルとして金基板に吸着していることが確認された。
【0025】
【発明の効果】
本発明により単一分子サイズの素子で、スピン偏重した輸送現象を実現する上での分子設計指針が明らかとなった。この指針に沿って、実際に分子性スピン素子が合成され、分子性スピン素子各部の作動性が、以下のように確認された。
分子ワイヤー部を連結した分子2,3(実施例2)の第一酸化電位が、スピン分極ドナー部単体1のものよりも低くなっていたこと、及び、分子3の吸収極大波長がチオフェン-ピロール部の共役系の長さを反映する値であったことから、スピン分極ドナー部と分子ワイヤー部のπ共役系は、十分に機能していることが分かる。分子2,3の一電子酸化種の基底状態が三重項であることを示すESR測定の結果と併せ、スピン分極ドナーに分子ワイヤーを取り付けた場合、スピン分極ドナー単独の場合と同様のスピン整列機構が働くことが示された。
両端にニトロニルニトロキシドを有するオリゴチオフェン4a〜c(実施例3)の第一酸化電位は、対応するオリゴチオフェンより低い値である。またESR測定から、分子4a〜cの一電子酸化種は、多重項の基底状態を持つことが分かった。これらの結果を併せ、一電子酸化により、基底状態四重項のカチオントリラジカルが生成していると結論される。このトリラジカルにおいては、ドナー部の酸化により生じたπ型の不対電子が、両端のラジカル部の不対電子と強磁性的に相互作用することが分かる。即ち、オリゴチオフェンは、スピン分極を伝達する分子ワイヤー部として機能することが示された。
【0026】
一方、金基板上に作成したラジカル分子の自己集合化単分子膜は、表面プラズモン共鳴吸収の角度依存性から見積もった膜厚が、ラジカル分子の長軸方向の長さにほぼ対応しており、分子の長軸が基板面に垂直に立っている構造だと推定される。この結果から、チオール前駆体が用いられ、また、そこにラジカル部位がπ共役系を通じて影響を与える場合でも、接合部が有効に働き、金基板上チオール型ラジカルが接合されることが明らかになった。
このように、スピン分極ドナー部、分子ワイヤー部、接合部は、分子内で他の部位と組み合わせられた場合にも、それぞれの機能を有効に発揮していることが確認された。
【0027】
本発明の分子性スピン素子を、図2に示すように2つの電極と接合させ、ソースとドレインの間に所定電圧を印加すると、電子供与部の第一酸化電位を閾値として、βスピン分極電流が通電するようになる。このスピン分極電流は、特定のスピン分極を持つ強磁性ドレインを用いることにより確認することができる。
スピン分極ワイヤーを介して、電子供与部の第一酸化電位に当たる電位をソース・ゲート間に印加し、電子供与部を一電子酸化すると、電子供与部に交差共役的に組み込まれた複数のπ型不対電子が強磁性的に整列するため、大きなスピン分極(例えばα分極)が引き起こされる。その結果、コア部はβスピンのみが低抵抗で通過しうる状態となり、ソース・ドレイン間にスピン整流された電流が流れる。分子の分散的な軌道間のエネルギーギャップは0.5〜1eV位と非常に大きいため、極低温でなくても十分単電子トランジスター的輸送現象を観測できる。
【0028】
本発明の分子性スピン素子を用いて、スピン分極電流をスピン分極したEL(エレクトロルミネッセンス)素子に流し、発光を観測することで、スピン状態に依存した発光を受光できる。即ち、分子性EL素子の最高被占軌道を1個のαスピンが占有している場合、αスピンが飛び込めばりん光、βスピンが飛び込めば蛍光、α、β同時に飛び込んだ場合は、やや短波長シフトした蛍光が観測できるため、区別が可能である。これらを組み合わせることで、量子的な演算を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分子性スピン素子の合成経路の一例を示す図である。
【図2】本発明の分子性スピン素子をスピン分極電流が流れる様子を示す図である。
Claims (3)
- 下式(1)
Z−(Y)m−X−(Y)n−Z (1)
(式中、Xは、スピン分極ドナー部と称し、電子供与部及びラジカル部並びにこれらの連結部から成り、一電子酸化された場合に安定な三重項種を形成する部分であり、(Y)m及び(Y)n(m及びnはそれぞれ整数を表す。)は、分子ワイヤー部と称し、不対電子がスピン偏重電流を散乱させることなく伝搬することができる分子鎖部分であり、Zは、接合部と称し、チオール基(SH基)又はその前駆体を有する部分であり、これらは一体となって共役π電子系を形成する。)で表される分子性スピン素子。 - 前記電子供与部がピロール環を含み、前記ラジカル部がニトロニルニトロキシド基又はニトロキシド基を含む請求項1に記載の分子性スピン素子。
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