JP2008100980A - 有機半導体化合物、有機半導体薄膜、有機半導体塗布液、有機薄膜トランジスタ、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインの製造方法、およびビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの製造方法 - Google Patents

有機半導体化合物、有機半導体薄膜、有機半導体塗布液、有機薄膜トランジスタ、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインの製造方法、およびビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】移動度および溶媒溶解性の高い新規な低分子系の有機半導体化合物、当該有機半導体化合物を含む有機半導体薄膜並びに有機半導体塗布液を提供する。また、新規な有機半導体化合物を活性層として利用した有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】有機半導体化合物は、一般式
Figure 2008100980

により表される有機半導体化合物である。 (式中、A、Bは電子共役系芳香環であり、X、Yは、それぞれDR2、ER、Gである。DはC、Si、Ge、Snのいずれかであり、EはN、P、As、Biのいずれかであり、GはO、S、Se、Teのいずれかである。Rは、H、アルキル基、アリール基のいずれかである。)
【選択図】なし

Description

本発明は、特に、溶媒溶解性および半導体特性の良好な有機半導体化合物、有機半導体薄膜、有機半導体塗布液および有機薄膜トランジスタに関する。また、本発明は、上記有機半導体化合物として用いられるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインおよびビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの新規な製造方法に関する。
近年、TFT(薄膜トランジスタ)用の半導体材料として、有機半導体材料が注目を集めている。有機半導体は、スピンコーティング法や真空蒸着法といった簡便な技術を用いることによって容易に薄膜形成が可能であることに加え、アモルファスまたは多結晶シリコンを用いた従来のTFTに比べて、製造プロセス温度を低温化できるという利点がある。プロセス温度の低温化により、耐熱性の低いプラスチック基板上への形成が可能となり、ディスプレイの軽量化や低コスト化、さらにはプラスチック基板のフレキシビリティを活かしたことによる用途の多様化等が期待される。
有機半導体材料において重要な物理パラメータの一つとしてキャリア移動度があげられる。本来、有機半導体材料は、分子間相互作用が小さく、分子自身の個性を強く発揮するため、その移動度は無機の半導体材料に比べて小さいものであり、実用化の大きな妨げの原因となっていた。
有機半導体材料は、低分子系と高分子系の2通りに大別される。低分子系として、アセン化合物等の炭化水素系(特許文献1参照)、チオフェン化合物等の硫黄含有化合物、フタロシアニン化合物等の窒素含有化合物が開発されている。高分子系として、F8T2(ポリフルオレン―チオフェン共重合体)、P3HT(ポリ−3−ヘキシルチオフェン)が開発されている。
国際公開第03/016599号 Tetrahedron Lett., Vol. 45, 7943-7946 (2994)
一般に、低分子系材料の方が、高分子系材料に比べて移動度は高いが、溶媒溶解性が低いため、生産性が悪いという欠点がある。溶媒溶解性を向上できれば、インクジェット法などの方法を採用することが可能となり、低コスト化を図ることができる。以上のように、移動度および溶媒溶解性の双方を向上させた新規な低分子系の有機半導体材料が望まれている。
本発明に係る具体的態様は、移動度および溶媒溶解性の高い新規な低分子系の有機半導体化合物、当該有機半導体化合物を含む有機半導体薄膜並びに有機半導体塗布液を提供することを目的とする。
本発明に係る具体的態様は、新規な有機半導体化合物を活性層として利用した有機薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
本発明に係る具体的態様は、上記有機半導体化合物として用いられるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインおよびビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの新規な製造方法に関する。
本発明に係る有機半導体化合物は、一般式
Figure 2008100980
により表される。
(式中、A、Bは電子共役系芳香環であり、X、Yは、それぞれDR2、ER、Gである。DはC、Si、Ge、Snのいずれかであり、EはN、P、As、Biのいずれかであり、GはO、S、Se、Teのいずれかである。Rは、H、アルキル基、アリール基のいずれかである。)
本発明に係る有機半導体化合物は、低分子系のものであり、芳香環A、Bを中心の連結環で連結した構造をもつ。芳香環A、Bは、電子共役系であるため、平面構造をもつ。これに対して、連結環は、電子共役系ではないため、屈曲構造をもつ。電子共役系の芳香環A、Bを屈曲構造をもつ連結環で連結することにより、溶媒分子が入り込む空間を意図的に形成している。これにより、溶媒への溶解性を向上させることができる。
また、芳香環A、Bは、電子共役系である、すなわち、動き回れる電子をもっていることから、芳香環A、Bを連結環で連結した有機化合物は、全体として半導体特性をもつといえる。さらに、本実施形態に係る有機半導体化合物は、芳香環A、Bと連結環とを辺(2つの原子間の結合をいう)を共有させる形で、連結している。この結果、連結環自体は電子共役系でなくとも、芳香環A、Bに対して相互作用して、双方の芳香環A、Bの共役系の効果を増幅することが期待できる。
さらに、X、Yとして15族、16族を採用した場合には、膜形成後に、一電子酸化または二電子酸化(電子放出)により連結環が共役系に変化することが期待される。この変化を起こさせるために、必要に応じて膜形成後に外場(電場、磁場等)やエネルギー(熱など)を与えることも有効である。これにより、溶媒への高い溶解性を示すとともに、膜形成後にはπ共役系が拡張して高いキャリア移動度を示す有機半導体化合物を提供することができる。
好適には、構造式
Figure 2008100980
により表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインである。
または、好適には、構造式
Figure 2008100980
により表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインである。
本発明に係る有機半導体薄膜は、上記有機半導体化合物を含む。これにより、キャリア移動度を高めた有機半導体薄膜を実現できる。
本発明に係る有機半導体塗布液は、上記有機半導体化合物と、当該有機半導体化合物を溶解可能な溶媒と、を含有する。本発明に係る有機半導体化合物は、溶媒への溶解性が高いため、有機半導体塗布液を作製することができる。この有機半導体塗布液を塗布することにより、低コストで有機半導体薄膜を作製することができる。
前記溶媒は、炭化水素系、アルコール系、エーテル系、エステル系、ハロゲン系、ケトン系、ニトリル系、BTX系、非プロトン性極性溶媒のうちの少なくとも1種を含む。これにより、有機半導体化合物を溶解させることができる。
本発明に係る有機薄膜トランジスタは、活性層として有機半導体薄膜を備える有機薄膜トランジスタであって、前記有機半導体薄膜は、上記有機半導体化合物を含む。これにより、キャリア移動度と生産性を高めた有機薄膜トランジスタを実現することができる。
さらに、本発明は、構造式
Figure 2008100980
で表される3,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドのジブロモ体を生成し、当該ジブロモ体をジアニオン体化し、二塩化硫黄を加えることを特徴とする、構造式
Figure 2008100980
で表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインの製造方法である。
本発明によれば、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインの収率を向上させることができる。
また、本発明は、構造式
Figure 2008100980
で表されるベンゾ[b]チオフェンから、構造式
Figure 2008100980
で表される2,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドを経て、構造式
Figure 2008100980
で表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインを製造する方法であって、
ベンゾ[b]チオフェンから、構造式
Figure 2008100980
で表される2−アセチルチオベンゾ[b]チオフェンを経て2,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドを生成することを特徴とする、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの製造方法である。
本発明によれば、2,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドの収率を向上さえることができることから、最終生成物である、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの収率を向上させることができる。
さらに、本発明は、構造式
Figure 2008100980
で表される2,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドをジブロモ体とした後、当該ジブロモ体をジリチオ化し、硫黄化環化反応させることを特徴とする、構造式
Figure 2008100980
で表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの製造方法である。
本発明によれば、安価にビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインを製造することができる。
<有機半導体化合物>
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る有機半導体化合物は、一般式
Figure 2008100980
により表される。
(式中、A、Bは電子共役系芳香環であり、X、Yは、それぞれDR2、ER、Gである。DはC、Si、Ge、Snのいずれかであり、EはN、P、As、Biのいずれかであり、GはO、S、Se、Teのいずれかである。Rは、H、アルキル基、アリール基のいずれかである。)
上記の有機化合物は、2つの電子共役系芳香環A、Bを、一般式
Figure 2008100980
で表される連結環で連結させた縮合環化合物である。本実施形態に係る有機半導体化合物は、連結環と電子共役系芳香環で辺(2つの原子間の結合をいう)を共有した縮合環化合物である。
芳香環A、Bは、π電子共役系であればよく、炭化水素のみで構成されていても、炭素以外の元素を含んでいてもよい。また、芳香環A、Bは、1つの環のみをもっていても、2以上の環をもっていてもよい。芳香環A、Bは同じものでも、異なったものであってもよい。芳香環A、Bの一例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2008100980
連結環のX、Yは、それぞれDR2、ER、Gである。Dは14族のC、Si、Ge、Snのいずれかであり、Eは15族のN、P、As、Biのいずれかであり、Gは16族のO、S、Se、Teのいずれかである。Rは、H(水素)、アルキル基、アリール基のいずれかである。X、Yが、上記ERまたはGからなる場合には、連結環の例として以下に示すものが挙げられる。
Figure 2008100980
連結環のX、Yが、上記DR2の場合には、連結環の構造として以下に示すものが挙げられる。RはH(水素)、アルキル基、アリール基のいずれかである。
Figure 2008100980
上記の本実施形態に有機半導体化合物の効果について説明する。本実施形態に係る有機半導体化合物は、低分子系のものである。本実施形態に係る有機半導体化合物は、芳香環
A、Bは、π電子共役系であるため、平面構造をもつ。これに対して、連結環は、π電子共役系ではなく、屈曲構造をもつ。電子共役系の芳香環A、Bを屈曲構造をもつ連結環で連結することにより、溶媒分子が入り込む空間を意図的に形成している。これにより、本実施形態に係る有機化合物の溶媒への溶解性を向上させることができる。
また、芳香環A、Bは、π電子共役系である、すなわち、動き回れる電子をもっていることから、芳香環A、Bを連結環で連結した有機化合物は、全体として半導体特性をもつといえる。さらに、本実施形態に係る有機半導体化合物は、芳香環A、Bと連結環とを辺(2つの原子間の結合をいう)を共有させる形で、連結している。この結果、連結環自体はπ電子共役系でなくとも、芳香環A、Bに対して相互作用して、双方の芳香環A、Bの共役系の効果を増幅することが期待できる。
さらに、X、Yとして15族、16族を採用した場合には、膜形成後に、一電子酸化または二電子酸化(電子放出)により連結環が共役系に変化することが期待される。この変化を起こさせるために、必要に応じて膜形成後に外場(電場、磁場等)やエネルギー(熱など)を与えることも有効である。これにより、溶媒への高い溶解性を示すとともに、膜形成後にはπ共役系が拡張して高いキャリア移動度を示す有機半導体化合物を提供することができる。
<有機半導体薄膜>
本実施形態に係る有機半導体薄膜は、上述した有機半導体化合物を主として含む。本実施形態に係る有機半導体薄膜は、上記の有機半導体化合物を用いて薄膜を形成した後に、必要に応じてパターニングすることにより形成できる。
有機半導体薄膜は、例えば、化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、塗布法により形成することができ、好ましくは簡易な塗布法により形成することが好ましい。塗布法では、上述した有機半導体化合物を溶媒に溶かして得られた溶液を塗布した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより、有機半導体薄膜を形成することができる。ここで、塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、インクジェット法を用いて、有機半導体薄膜を形成するのが好ましい。インクジェット法によれば、レジストマスクを形成することなく、所望の領域にのみ有機半導体薄膜を形成することができる。これにより、材料の使用量を削減することができ、製造コストの削減を図ることができる。また、インクジェット法を用いることにより、フォトレジストや現像液、剥離液などの化学薬品や、酸素プラズマ、CF4プラズマなどのプラズマ処理を使わなくて済む。そのため、有機半導体材料の特性が変化(例えば、ドープされる)したり、劣化するおそれがない。
<有機半導体塗布液>
本実施形態に係る有機半導体塗布液は、上述した有機半導体化合物と、当該有機半導体化合物を溶解する溶媒とを含む。塗布液中の有機半導体化合物の含有量は、塗布方法や、目的とする有機半導体薄膜の膜厚により調整される。インクジェット法を用いる場合、液滴吐出装置から吐出するのに適する粘度、接触角となるよう、溶媒量や種類が調整される。
本実施形態に係る有機半導体化合物材料を溶解する溶媒として、炭化水素系、アルコール系、エーテル系、エステル系、ハロゲン系、ケトン系、ニトリル系、BTX系、非プロトン性極性溶媒、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。炭化水素系としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンが挙げられる。アルコール系としては、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール、ブタノールが挙げられる。エーテル系としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンが挙げられる。エステル系としては、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。ハロゲン系としては、ジクロロメタン、クロロホルムが挙げられる。ケトン系としては、アセトン、メチルエチルケトンが挙げられる。ニトリル系としては、アセトニトリル、メチルエチルケトンが挙げられる。BTX系とは、ヘキサン、トルエン、キシレンである。非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホラスアミド(HMPA)が挙げられる。
<有機薄膜トランジスタ>
図1は、本実施形態に係る有機薄膜トランジスタの断面図である。
図1に示す有機薄膜トランジスタ10は、基板11に設けられたゲート電極12と、ゲート電極12上に設けられたゲート絶縁膜13と、ゲート絶縁膜13上に設けられたソース電極14およびドレイン電極15と、ソース電極14およびドレイン電極15の間のゲート絶縁膜13上において、修飾膜16を介して設けられた有機半導体薄膜17とを有する。
上記の有機薄膜トランジスタ10は、ゲート電極12が、活性層となる有機半導体薄膜17よりも基板11側に設けられた構成の薄膜トランジスタ、すなわち、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタである。ただし、有機半導体薄膜17がゲート電極12よりも基板11側に設けられた構成の薄膜トランジスタ、すなわち、トップゲート構造の薄膜トランジスタ等他の構造を備えていてもよい。
以下、有機薄膜トランジスタ10を構成する各部について、順次説明する。
基板11は、有機薄膜トランジスタ10を構成する各層(各部)を支持するものである。基板11には、例えば、ガラス基板、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)、石英基板、シリコン基板、ガリウム砒素基板等を用いることができる。有機薄膜トランジスタ10に可撓性を付与する場合には、基板11には、樹脂基板が選択される。
ゲート電極12は、金属材料もしくは金属酸化物材料等の導電性材料、または基板11に不純物を導入することにより形成した導電領域であってもよい。例えば、Ag、Pd、Pt、Au、W、Ta、Mo、Al、Cr、Ti、CuおよびNiまたはこれらを含む合金、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、アンチモンティンオキサイド(ATO)および酸化スズ(SnO2)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゲート絶縁膜13は、ソース電極14およびドレイン電極15に対してゲート電極12を絶縁するものであり、無機材料または有機材料(特に有機高分子材料)のいずれかで構成されていてもよい。ゲート絶縁膜13となる無機材料として、酸化シリコンが挙げられる。ゲート絶縁膜13となる有機高分子材料として、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルフェニレン、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂、ポリビニルフェノールあるいはノボラック樹脂のようなフェノール系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテンなどのオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ゲート絶縁膜13は、単層構成のものに限定されず、複数層の積層構成のものであってもよい。
ソース電極14およびドレイン電極15の構成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、Pd、Pt、Au、W、Ta、Mo、Al、Cr、Ti、Cuまたはこれらを含む合金等の導電性材料、ITO、FTO、ATO、SnO2等の導電性酸化物、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリピロール、PEDOT(poly−ethylenedioxythiophene)のようなポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等の導電性高分子材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、前記導電性高分子材料は、通常、酸化鉄、ヨウ素、無機酸、有機酸、ポリスチレンサルフォニック酸などの高分子でドープされ導電性を付与された状態で用いられる。これらの中でも、ソース電極14およびドレイン電極15の構成材料としては、それぞれ、Ni、Cu、Co、Au、Pdまたはこれらを含む合金を主とするものが好適に用いられる。
修飾膜16は、ゲート絶縁膜13への有機半導体薄膜17の付着を促進させるものであり、必要に応じて設けられる。修飾膜16として、例えば、ヘキサメチルシラザンを用いる。
有機半導体薄膜17は、本実施形態に係る有機半導体化合物を含む。有機半導体薄膜17の厚さ(平均)は、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、1〜500nm程度であるのがより好ましく、10〜100nm程度であるのがさらに好ましい。
上記の有機薄膜トランジスタ10は、ゲート電極12に印加する電圧を変化させることにより、ソース電極14とドレイン電極15との間に流れる電流量が制御される。すなわち、ゲート電極12に電圧が印加されていないOFF状態では、ソース電極14とドレイン電極15との間に電圧を印加しても、有機半導体薄膜17中にほとんどキャリアが存在しないため、微少な電流しか流れない。一方、ゲート電極12に電圧が印加されているON状態では、有機半導体薄膜17のゲート絶縁膜13に面した部分にキャリアが誘起され、チャネルが形成される。この状態でソース電極14とドレイン電極15との間に電圧を印加すると、チャネルを通って電子が流れる。
トランジスタの駆動電流は、キャリア(電子)移動度に比例する。本実施形態では、有機半導体薄膜17として、上述した有機半導体化合物を含む膜を用いることにより、キャリア移動度を高めることができ、有機薄膜トランジスタの駆動電流を増大することができる。
<薄膜トランジスタの製造方法>
図2は、薄膜トランジスタ1の製造方法を説明するための工程断面図である。
図2(a)に示すように、基板11に所望のパターンのゲート電極12を形成する。ゲート電極12の形成方法としては、導電性粒子を含む液状材料を吐出するインクジェット法や、リフトオフ法を用いることができる。また、導電膜を形成した後に、リソグラフィ技術によりレジストマスクを形成し、当該レジストマスクを用いて導電膜をエッチングしてゲート電極を形成してもよい。基板11として、シリコン基板を用いる場合には、シリコン基板に不純物を導入することにより、ゲート電極12を形成してもよい。
続いて、ゲート電極12上にゲート絶縁膜13を形成する。ゲート絶縁膜13は、例えば、絶縁材料またはその前駆体を含む溶液を、塗布法を用いて、ゲート絶縁膜13上に塗布(供給)した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することができる。あるいは、インクジェット法を用いてゲート絶縁膜13を形成してもよい。また、シリコン基板の表面を熱酸化することにより、酸化シリコンからなるゲート絶縁膜13を形成してもよい。
次に、図2(b)に示すように、ゲート絶縁膜13上に、導電膜を形成した後、導電膜をパターニングすることにより、ソース電極14およびドレイン電極15を形成する。
導電膜は、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法およびMOD法により形成することができる。
パターニングは、導電膜上にリソグラフィ技術によりレジストマスクを形成した後、当該レジストマスクを用いて導電膜をエッチングすることにより行なう。このエッチングには、プラズマエッチング、リアクティブエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうち1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。このうち、ウェットエッチングを用いるのが好ましい。その後、レジストマスクを除去する。
なお、ソース電極14およびドレイン電極15をリフトオフ法により形成してもよい。すなわち、基板11上に、ソース電極14およびドレイン電極15の形状に対応した開口部を有するレジストマスクを形成し、このレジストマスクが形成された基板11上に導電膜を堆積させる。その後、レジストマスクを剥離することにより、レジストマスクの開口部にのみ導電膜が残るため、ソース電極14およびドレイン電極15を得ることができる。
次に、図2(c)に示すように、ソース電極14およびドレイン電極15から露出したゲート絶縁膜13の表面に、修飾膜16を形成する。例えば、修飾膜16としてヘキサメチルジシラザンをCVD法により形成する。
次に、図2(d)に示すように、修飾膜16上に、本実施形態に係る有機半導体化合物を用いて有機半導体薄膜17を形成する。
有機半導体薄膜17は、例えば、化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、塗布法により形成することができ、好ましくは簡易な塗布法により形成することが好ましい。塗布法では、上述した有機半導体化合物を溶媒に溶かして得られた溶液を塗布した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより、有機半導体薄膜を形成することができる。
塗布法の中でも、インクジェット法を用いて、有機半導体薄膜を形成するのが好ましい。インクジェット法によれば、レジストマスクを形成することなく、所望の領域にのみ有機半導体薄膜を形成することができる。これにより、材料の使用量を削減することができ、製造コストの削減を図ることができる。また、インクジェット法を用いることにより、フォトレジストや現像液、剥離液などの化学薬品や、酸素プラズマ、CF4プラズマなどのプラズマ処理を使わなくて済む。そのため、有機半導体材料の特性が変化(例えば、ドープされる)したり、劣化したりするおそれがない。
以上により、本実施形態に係る有機薄膜トランジスタ10が得られる。
本実施形態に係る有機薄膜トランジスタ10の製造方法によれば、溶媒溶解性の高い有機半導体化合物を用いることにより、インクジェット法などの塗布法を用いて有機半導体薄膜17を形成することができるため、有機薄膜トランジスタ10の低コスト化を図ることができる。
上記の有機薄膜トランジスタ10は、例えば、各種表示装置のアクティブマトリクス基板に利用される。表示装置としては、電気泳動表示装置、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置等が挙げられる。
これらの表示装置は、各種電子機器の表示部として利用される。このような電子機器として、例えば、テレビ、電子ペーパ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができる。
以下に本発明の詳細な実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<有機半導体化合物>
本実施例では、芳香環A、Bとしてベンゾ[b]チオフェン環を用い、連結環として1,4−ジチインを用いた。すなわち、本実施例の有機半導体化合物は、2つのベンゾ[b]チオフェン環と1,4−ジチインの縮合環化合物である。
この縮合化合物としては、構造式
Figure 2008100980
により表されるsyn型のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインと、構造式
Figure 2008100980
により表されるanti型のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの2種類の構造異性体が存在する。
以下では、syn型のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインを用いて有機薄膜トランジスタを製造し、当該薄膜トランジスタの特性評価を行なった。以下に、図2、図3を参照して実施例の薄膜トランジスタの作製方法について説明する。
<有機薄膜トランジスタの作製方法>
図2(a)に示す基板11として、不純物がドープされた単結晶シリコン基板(シリコウエハ)を用い、不純物が導入された導電性領域をゲート電極12として利用した。
次に、図2(b)に示すように、基板11の表面に厚さ300nmの熱酸化膜からなるゲート絶縁膜13を形成した。続いて、真空成膜法およびリソグラフィ法により、金(Au)からなるソース電極14及びドレイン電極15のパターンを形成した。ソース電極14とドレイン電極15の距離(チャネル長)は、50μmとした。
次に、図2(c)に示すように、シラン化合物であるヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いて、化学的気相成長法(CVD法)により、ゲート絶縁膜13表面に修飾膜22を形成した。
次に、図2(d)に示すように、真空蒸着法により、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインを用いて有機半導体薄膜17を形成した。有機半導体薄膜17の膜厚を100nmとした。
以上の方法により得られたボトムゲート型の有機薄膜トランジスタ(ゲート電極:n型Si,チャネル長:L=50μm、チャネル幅W=2mm)の特性を真空中で測定した。測定条件は、pチャネル、nチャネルの両方で行なった。
<実験結果>
図3は、VD(ドレイン電圧)=−5(V)に固定した場合のID(ドレイン電流)−VG(ゲート電圧)特性で、縦軸を線形およびlogの二通りでプロットしたものである。図3において、左側の縦軸が線形軸であり、右側の縦軸が対数軸である。
図3に示す結果から、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインは、閾値電圧が負となるp型の半導体特性を有していることがわかる。logプロットから、このデバイスのON/OFF比は約105となり、線形プロットから移動度μ=5.0×10-3cm2/Vs、閾値電圧Vth=−60.5Vが得られた。一方、nチャネルの測定条件では、半導体特性は得られなかった。なお、本実施例のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインは、上述した溶媒に可溶であることが確認されており、また、従来の低分子系の有機半導体化合物に比べて高い溶解性を示すことが確認された。
実施例2では、anti型のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインを用いて有機薄膜トランジスタを製造し、当該薄膜トランジスタの特性評価を行った。以下に、図面を参照して実施例2の薄膜トランジスタの作製方法について説明する。
<有機半導体単結晶の作製>
実施例2では、まず、有機半導体薄膜17の単結晶を作製する。例えば、フィジカルベーパートランスポートと呼ばれる手法により、anti型のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインからなる単結晶を作製する。
図4は、フィジカルベーパートランスポート法を説明するための図である。この方法は、まず、図4に示すように、温度勾配がつけられる管状電気炉9にアルゴンなどの不活性ガスを流し、管状電気炉9の上流側がより高温となるようにする。次に、この高温部に粉末状の有機半導体原料7、例えばanti型のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインを載置し、高温部においてanti型のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインが徐々に昇華するように温度設定し、下流の低温部で結晶化させる。さらに、得られた結晶8を再度上流部に載置し、結晶化を数回(例えば3回)繰り返すことで、純度の高い有機半導体結晶を得ることができる。このようにして、表面が平坦で正常なanti型のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの単結晶が得られた。
<基板の作製>
図5(a)に示すように、不純物がドープされた単結晶シリコン基板(シリコンウエハ)を用い、不純物が導入された導電性領域をゲート電極12として利用した。なお、図5では、基板11の図解を省略している。続いて、当該導電性シリコンウェハの表面を酸化処理することにより酸化シリコンからなる500nm程度のゲート絶縁膜13を形成した。続いて、ゲート絶縁膜13上に、金を10nm程度の厚さで真空蒸着し、リソグラフィおよびエッチングによりパターニングして、ソース電極14およびドレイン電極15を形成した。ソース電極14およびドレイン電極15間の距離は、例えば5μm程度とした。
図5(b)に示すように、ゲート絶縁膜13上に、シラン化合物からなる修飾膜16を形成した。修飾膜16の形成により、有機薄膜トランジスタの閾値電圧(Vth)を所望の値に制御できる。シラン化合物としてCF3(CF27(CH22Si(OC253を用いた。修飾膜16の形成方法としては、スピンコーティング法を用いたが、ディッピング法等の他の液相法や、CVD法等の気相法を用いてもよい。
図5(c)に示すように、図4に示す工程で得られた単結晶からなる有機半導体薄膜17を、修飾膜16上に自然な静電引力によって貼り合わせることによって、有機薄膜トランジスタ10が作製される。この方法によると、結晶の粒界がなく、ゲート絶縁膜13との接触面が分子スケールで平坦なトランジスタが構成される。
<実験結果>
次に、上記の本実施形態に係る有機電界効果トランジスタ1について、伝達特性を測定した。図6は、VD(ドレイン電圧)=−50(V)に固定した場合の有機電界効果トランジスタ1の伝達特性(ゲート電圧VGに対する伝導度σの変化)を示す図である。
図6に示す結果から、anti型のビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインは、閾値電圧が負となるp型の半導体特性を有していることがわかる。図6に示すグラフから計算すると、このデバイスの移動度μは3.0×10-3cm2/Vsであり、閾値電圧Vthは約−20Vであった。
なお、実施例2では、先に有機半導体単結晶を作製し、基板に貼り付ける例について説明したが、実施例1と同様の製法を採用してもよい。また、実施例1の有機半導体材料についても、実施例2と同様の製造を採用してもよい。
以下に、各種化合物の合成方法について説明する。なお、以下では、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインを目的化合物1とし、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインを目的化合物5という。これらの目的化合物の合成法の従来例は、上記非特許文献1に開示されている。
<目的化合物1の合成方法の概略>
以下に示すように、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチイン(目的化合物1)は、ベンゾ[b]チオフェン(化合物2)から、3−ブロモベンゾ[b]チオフェン(化合物3)、3,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィド(化合物4)を経て合成される。
Figure 2008100980
上記合成法では化合物4を原料として目的化合物1を29%の収率で合成できた。上記合成法では化合物4にtBuLi、TMEDAを用いてジリチオ化し、その後二塩化硫黄を加えることで目的化合物1を合成する方法であった。しかしながらその方法では有機塩基による脱プロトン化によって分子内にジアニオンを生成させる段階に問題があり低収率であったものと考えられる。これは中性分子からモノアニオン体、次いでジアニオン体へと変換する過程におけるプロトンの酸性度の変化に由来するものと推察される。以下に改良法による目的化合物1の合成方法を示す。改良法ではその収率を44%まで向上させることができた。
Figure 2008100980
改良法では化合物4に二当量の臭素を用いてジブロモ体を生成させた後、未精製のままtBuLiを用いてジアニオン体化、その後二塩化硫黄を加え目的化合物1へと導いた。この方法では化合物4の直接的な脱プロトン化を経由せず、金属−ハロゲン交換反応によってジアニオン体を生成できるため、酸性度の変化に依存せず反応が進行したものと考えられる。本改良法は収率が一般法の29%から44%へと向上する極めて有用な方法である。
以下に一般法による目的化合物1の合成方法(工程A)と、改良法による目的化合物1の合成方法(工程B)について詳細に説明する。
<工程A>
100mlの三つ口フラスコに化合物4(298mg:1.0mmol)と攪拌子を入れ、反応容器内を窒素置換した。Et2O(50ml)とTMEDA(0.30ml:2.0mmol)を加え、反応容器を−30℃に冷却した後、1.43MのtBuLiのペンタン溶液(1.40ml:2.0mmol)を加え、−30℃で1時間攪拌した。次にEt2O(30ml)で希釈した二塩化硫黄(0.063ml:1.0mmol)をゆっくりと滴下し、滴下終了後、室温で18時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み、塩酸を加えてpH=1とした。塩化メチレンで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフにより目的化合物1(95mg:0.289mmol:29%)を分離精製した。得られた目的化合物1は無色結晶であり、融点195.0−196.0°Cであった。化合物の構造データは、以下の通りであった。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ7.34(t,2H,J=7.8Hz,ArH),7.41(t,2H,J=7.8Hz,ArH),7.71(d,2H,J=7.8Hz,ArH),7.76(d,2H,J=7.8Hz,ArH);13CNMR(101MHz,CDCl3)δ120.9,122.5,125.0,125.1,126.4,129.9,136.5,141.0;IR(KBr)ν1423,1314,1250,744,720cm-1;MS(70eV)m/z328(M+);Anal.CalcdforC1684:C,58.50;H,2.45%.Found:C,58.18;H,2.78%.
<工程B>
200mlの三つ口フラスコに化合物4(3.219g:10.786mmol)と攪拌子を入れ、CH2Cl2100mlに溶解した後反応器を0℃に冷却した。これに20mlのCH2Cl2で希釈した臭素(1.13ml:22.0mmol)を80分間かけてゆっくりと滴下し、滴下終了後反応器を室温で14時間攪拌した。反応容器内に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ込み、有機相を洗浄した。反応溶液を分液漏斗で分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフにより2,2’−ジブロモ−3,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドと思われる淡黄色固体(4.025g:8.822mmol:82%)を分離精製した。この淡黄色固体(456mg:1.0mmol)と攪拌子を200mlの三つ口フラスコに入れ反応容器内を窒素置換した。脱水Et2O(80ml)を加え、反応容器を−30℃に冷却した後、1.60MのtBuLiのペンタン溶液(1.25ml:2.0mmol)を加え、−30℃で40分間攪拌した。次に二塩化硫黄(0.063ml:1.0mmol)をゆっくりと滴下し、滴下終了後、室温で11時間攪拌した。ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、得られた反応混合物に水を注ぎ込み、塩酸を加えてpH=1とした。クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフにより目的化合物1(145mg:0.441mmol:44%)を淡黄色固体として分離精製した。化合物の構造データは、以下の通りであった。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ7.26−7.33(m,4H,ArH),7.66−7.70(m,2H,ArH),7.76−7.80(m,2H,ArH);13CNMR(101MHz,CDCl3)δ121.4,121.9,122.8,124.6,125.2,125.3,138.9,139.1.
<目的化合物5の合成方法の概略>
以下に示すように、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチイン(目的化合物5)は、ベンゾ[b]チオフェン(化合物2)から、2−メルカプトベンゾ[b]チオフェン(化合物6)、2,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィド(化合物7)を経て合成される。
Figure 2008100980
従来法では上記化合物6、7を経由して目的化合物5を13%の収率で合成できた。従来法では初期原料となる化合物2から化合物6への合成収率は55%、その後の化合物6から化合物7の合成収率は84%であり、化合物7までの総収率は46%であった。これは化合物6が空気に対して不安定であり、化合物6の精製操作中および化合物7の反応前処理段階に問題があり中程度の収率であったと考えられる。改良法では中間化合物の変更による化合物7の収率の向上と、目的化合物5の大量合成法が確立できた。
<化合物7の合成の改良法>
以下に示すように、改良法では、化合物2から、2−アセチルチオベンゾ[b]チオフェン(化合物8)を経て化合物7が合成される。
Figure 2008100980
改良法では化合物6の不安定性の中心となるチオール基を比較的安定なアセチルチオ基に置き換えた化合物8を化合物6の合成等価体として用いた。ベンゾ[b]チオフェンをBuLiでリチオ化した後単体硫黄を加え、その後プロトン化、無機還元剤によるヒドリド還元、無水酢酸によるアセチル化と経由することで化合物8を77%の収率で安定な無色結晶として単離した。次に化合物8に3−ブロモベンゾ[b]チオフェン(化合物3)、ヨウ化銅、水酸化カリウムを反応させることで化合物7を95%の収率で合成した。本改良法は不安定な化合物6を経由せず安定な合成等価体となる化合物8を経由することによって、化合物7までの総収率が従来法の46%から73%まで向上する極めて有用な方法である。さらに化合物6は不快臭を発する化合物であり、一方化合物8は無臭であることから収率のみならず、取り扱いに関しても化合物8を経由する方法は極めて有効な方法である。
<目的化合物5の合成の改良法>
従来法では原料となる化合物7から化合物5の合成収率は13%と低収率であり、またその際の硫黄化環化反応の試薬は高価なビス(フェニルスルホニル)スルフィドである。この反応系では硫黄化環化反応における試薬が高価で、またそのうち90wt%は廃棄されることから大量合成には向いていないと考えられる。以下に目的化合物5の合成の改良法を示す。
Figure 2008100980
改良法では次の二点を考慮して大量合成可能な反応を設計した。第一の改良点は化合物7を臭素化し、その後金属−ハロゲン交換を行いジアニオン体の生成率を上げる点である。
これによって位置の異なるプロトンの酸性度の違いによる脱プロトン化を経由せずジリチ
オ化が可能となる。第二の改良点は安価な二塩化硫黄を試薬として用いることである。実
験手順は以下のとおりである。化合物7に二当量の臭素を加えジブロモ体とした後、tBuLiでジリチオ化、二塩化硫黄を用いた硫黄化環化反応を行うことで目的化合物5を8%の収率で合成した。本改良法は従来法に比べ収率の点では劣るが、安価な試薬を用いるため大量合成が可能な極めて有用な方法である。
以下に、目的化合物5を合成するまでの従来法および改良法による各工程C〜Hの詳細について説明する。
<工程C:化合物6の合成>
300mlの三つ口フラスコに化合物2(13.420g:100.0mmol)と攪拌子を入れ、反応容器内を窒素置換した。脱水Et2O(200ml)を加え、反応容器を−15℃に冷却した後、2.44MのnBuLiのヘキサン溶液(40.98ml:110.0mmol)を加え、−15℃で30分攪拌した。次に単体硫黄(7.697g:240.0mmol)をゆっくりと加え、室温で11時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み、塩酸を加えてpH=1とした。CH2Cl2で抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた反応混合物にTHF(100ml)に溶解し、室温で水素化ホウ素ナトリウム(3.782g:100.0mmol)をゆっくり加え、そのまま1時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み、塩酸を加えてpH=1とし、Et2Oで抽出後、有機相に5M水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性にし、水相を分離、この水相に塩酸を加えてpH=1とした。CH2Cl2で抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフにより化合物6(9.156g:55.07mmol:55%)を白色固体として分離精製した。化合物の構造データは、以下の通りであった。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ3.67(d,1H,J=1.0Hz,SH),7.26(brs,1H,ArH)7.29(dd,1H,J=7.5,1.7Hz,ArH),7.30(dd,1H,J=7.2,1.4Hz,ArH),7.65(dd,1H,J=6.9,2.0Hz,ArH),7.70(dd,1H,J=7.0,1.8Hz,ArH).
<工程D:化合物7の合成>
100mlの三つ口フラスコに化合物6(6.291g:37.84mmol)と化合物3(8.064g:37.84mmol)、ヨウ化銅(7.207g:37.84mmol)、水酸化カリウム(2.123g:37.84mmol)と攪拌子を入れ、反応容器内を窒素置換した。脱水DMF(37.84ml)を加え、130−140℃で30時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み、塩酸を加えてpH=1とした。不溶物を吸引濾過後、反応溶液をCH2Cl2で抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーター、および吸引ポンプにて溶媒を完全に除去した。得られた反応混合物からヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフにより化合物7(9.507g:31.85mmol:84%)を無色燐片状晶として分離精製した。得られた化合物7の融点は、83.0−84.0℃であり、その構造データは、以下の通りであった。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ7.23(td,1H,J=7.5,1.4Hz,ArH),7.28(td,1H,J=7.5,1.4Hz,ArH),7.31(s,1H,ArH),7.37(td,1H,J=6.2,1.9Hz,ArH),7.40(td,1H,J=6.2,1.8Hz,ArH),7.62(td,2H,J=7.5,1.4Hz,ArH),7.69(s,1H,ArH),7.85(dd,1H,J=6.2,1.9Hz,ArH),7.97(dd,1H,J=6.2,1.8Hz,ArH);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ121.8,122.7,122.9,123.0,124.3,124.4,124.8,124.95,125.02,126.6,130.8,136.6,138.4,139.7,139.8,141.3;IR(KBr)ν1422,833,760,751,733cm-1;MS(70eV)m/z298(M+);Anal.CalcdforC16103:C,64.39;H,3.38%.Found:C,64.54;H,3.44%.
<工程E:目的化合物5の合成>
100mlの三つ口フラスコに化合物7(298mg:1.0mmol)と攪拌子を入れ、反応容器内を窒素置換した。Et2O(30ml)とTMEDA(0.30ml:2.0mmol)を加え、反応容器を−30℃に冷却した後、1.43MのtBuLiのペンタン溶液(1.40ml:2.0mmol)を加え、−30℃で1時間攪拌した。次にEt2O(30ml)とTHF(15ml)に溶解したビス(フェニルスルホニル)スルフィドをゆっくりと滴下し、滴下終了後、室温で18時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み、塩酸を加えてpH=1とした。塩化メチレンとクロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフにより無色結晶の目的化合物5(43mg:0.131mmol:13%)を分離精製した。得られた化合物5の融点は、207.0−208.3°Cであり、その構造データは、以下の通りであった。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ7.34(t,2H,J=7.4Hz,ArH),7.41(t,2H,J=7.4Hz,ArH),7.69(d,2H,J=7.9Hz,ArH),7.73(d,2H,J=8.0Hz,ArH);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ120.6,122.5,124.9,125.0,125.7,131.3,136.3,140.9;IR(KBr)ν1478,1454,1419,1251,1018,910,741,718cm-1;MS(70eV)m/z328(M+);Anal.Calcd for C1684:C,58.50;H,2.45%.Found:C,58.48;H,2.57%.
<工程F:化合物8の合成>
300mlの三つ口フラスコに化合物2(13.420g:100.0mmol)と攪拌子を入れ、反応容器内を窒素置換した。脱水Et2O(200ml)を加え、反応容器を−15℃に冷却した後、2.55MのnBuLiのヘキサン溶液(43.14ml:110.0mmol)を加え、−15℃で1時間攪拌した。次に単体硫黄(3.848g:1/8S8110.0mmol)をゆっくりと加え、室温で4時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み、塩酸を加えてpH=1とした。CH2Cl2で抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた反応混合物をTHF(100ml)に溶解し、室温で水素化ホウ素ナトリウム(1.891g:50.0mmol)をゆっくり加え、そのまま30分間攪拌した。これに無水酢酸(18.8ml:200mmol)をゆっくり加え室温で30分間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み、塩化メチレンで抽出後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた反応混合物に塩化メチレンを加え、溶解しない固体を濾別した後、塩化メチレンにて再結晶を2回繰り返すことによって無色結晶の化合物8(11.885g+4.157g:77.014mmol:77%)を分離精製した。得られた化合物8の融点は91.5−92.0℃であり、その構造データは、以下の通りであった。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ2.45(s,3H,Acetyl),7.357(t,1H,J=6.6Hz,ArH),7.365(t,1H,J=6.5Hz,ArH),7.43(s,1H,thiophene−H),7.78(dd,1H,J=6.4,3.1Hz,ArH),7.81(dd,1H,J=6.8,3.6Hz,ArH);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ29.8,122.1,124.0,124.5,125.3,127.1,132.4,139.3,143.2,193.2;IR(KBr)ν1703,1107,955,750,612cm-1;MS(70eV)m/z208(M+);Anal.Calcd for C108OS2:C,57.66;H,3.87%.Found:C,57.85;H,3.83%.
<工程G:化合物7の合成>
300mlの二つ口フラスコに化合物8(10.415g:50.00mmol)と化合物3(10.655g:50.00mmol)、ヨウ化銅(9.525g:50.00mmol)、水酸化カリウム(5.611g:100.00mmol)と攪拌子を入れ、反応容器内を窒素置換した。脱水DMF(50.00ml)を加え、130−140℃で34時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み、塩酸を加えてpH=1とした。不溶物を吸引濾過後、反応溶液をCH2Cl2で抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた反応混合物をCH2Cl2を用いてシリカゲルに吸着させ、これを乾固した後、ヘキサンで溶出させることで白色固体を得た。この白色固体をヘキサンを用いた再結晶、及び濾液のヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフにより化合物7(8.582g+5.521g:47.25mmol:95%)を無色燐片状晶として分離精製した。
<工程H:目的化合物5の合成>
300mlの三つ口フラスコに化合物7(5.969g:20.0mmol)と攪拌子を入れ、CH2Cl2100mlに溶解した。これに50mlのCH2Cl2で希釈した臭素(2.06ml:40.0mmol)をゆっくりと滴下し、滴下終了後反応器を室温で30時間攪拌した。反応容器内に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ込み、有機相を洗浄した。反応溶液を分液漏斗で分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた固体5.926gのうち5.750gと攪拌子を300mlの三つ口フラスコに入れ反応容器内を窒素置換した。脱水THF(100ml)を加え、反応容器を−78℃に冷却した後、1.59MのtBuLiのペンタン溶液(31.706ml:50.412mmol)を加え、−78℃で10分間攪拌した。次に乾燥THF(50ml)で希釈した二塩化硫黄(0.791ml:12.603mmol)をゆっくりと滴下し、滴下終了後、室温で18.5時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み、塩酸を加えてpH=1とした。CH2Cl2で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。次にCH2Cl2をもちいた再結晶を2回行うことで目的化合物5の淡黄色結晶(38mg+464mg:8%)を得た。目的化合物5の融点は、207.0−208.3°Cであり、その構造データは以下の通りであった。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ7.34(t,2H,J=7.4Hz,ArH),7.41(t,2H,J=7.4Hz,ArH),7.69(d,2H,J=7.9Hz,ArH),7.73(d,2H,J=8.0Hz,ArH);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ120.6,122.5,124.9,125.0,125.7,131.3,136.3,140.9;IR(KBr)ν1478,1454,1419,1251,1018,910,741,718cm-1;MS(70eV)m/z328(M+);Anal.Calcd for C1684:C,58.50;H,2.45%.Found:C,58.48;H,2.57%.
本実施形態に係る有機薄膜トランジスタの断面図である。 本実施形態に係る有機薄膜トランジスタの製造を示す工程断面図である。 実施例の有機薄膜トランジスタのID−VG特性を示す図である。 実施例2の有機薄膜トランジスタの製造を示す工程図である。 実施例2の有機薄膜トランジスタの製造を示す工程図である。 実施例2の有機薄膜トランジスタのσ−VG特性を示す図である。
符号の説明
10…有機薄膜トランジスタ、11…基板、12…ゲート電極、13…ゲート絶縁膜、14…ソース電極、15…ドレイン電極、16…修飾膜、17…有機半導体薄膜

Claims (10)

  1. 一般式
    Figure 2008100980
    により表される有機半導体化合物。
    (式中、A、Bは電子共役系芳香環であり、X、Yは、それぞれDR2、ER、Gである。DはC、Si、Ge、Snのいずれかであり、EはN、P、As、Biのいずれかであり、GはO、S、Se、Teのいずれかである。Rは、H、アルキル基、アリール基のいずれかである。)
  2. 構造式
    Figure 2008100980
    により表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインである、
    請求項1記載の有機半導体化合物。
  3. 構造式
    Figure 2008100980
    により表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインである、
    請求項1記載の有機半導体化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の有機半導体化合物を含む、有機半導体薄膜。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の有機半導体化合物と、当該有機半導体化合物を溶解可能な溶媒と、を含有する有機半導体塗布液。
  6. 前記溶媒は、炭化水素系、アルコール系、エーテル系、エステル系、ハロゲン系、ケトン系、ニトリル系、BTX系、非プロトン性極性溶媒のうちの少なくとも1種を含む、
    請求項5記載の有機半導体塗布液。
  7. 活性層として有機半導体薄膜を備える有機薄膜トランジスタであって、前記有機半導体薄膜は、請求項1〜3のいずれかに記載の有機半導体化合物を含むことを特徴とする、
    有機薄膜トランジスタ。
  8. 構造式
    Figure 2008100980
    で表される3,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドのジブロモ体を生成し、当該ジブロモ体をジアニオン体化し、二塩化硫黄を加えることを特徴とする、構造式
    Figure 2008100980
    で表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:3’2’−e][1,4]ジチインの製造方法。
  9. 構造式
    Figure 2008100980
    で表されるベンゾ[b]チオフェンから、構造式
    Figure 2008100980
    で表される2,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドを経て、構造式
    Figure 2008100980
    で表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインを製造する方法であって、
    ベンゾ[b]チオフェンから、構造式
    Figure 2008100980
    で表される2−アセチルチオベンゾ[b]チオフェンを経て2,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドを生成することを特徴とする、ビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの製造方法。
  10. 構造式
    Figure 2008100980
    で表される2,3’−ビス(ベンゾ[b]チエニル)スルフィドをジブロモ体とした後、当該ジブロモ体をジリチオ化し、硫黄化環化反応させることを特徴とする、構造式
    Figure 2008100980
    で表されるビス(ベンゾ[4,5]チエノ)[2,3−b:2’3’−e][1,4]ジチインの製造方法。
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