JP4110884B2 - 高ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子フィルム上に無機酸化物層を有する無機酸化物蒸着フィルムの製造方法に関し、特に、高分子フィルム上にアルミニウム酸化物の層を有する高ガスバリア性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プラスチック基材の表面に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、等の無機酸化物(無機酸化物を含む)を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機酸化物の蒸着膜を形成してなるガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品、医薬品および工業用品等の種々の物品を包装するために用いられている。
【0003】
ガスバリア性フィルムの酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性を更に向上させるためには、プラスチック基材の表面を処理する方法、あるいはアンカーコート剤をコーティングする方法などが提案されている。プラスチック表面を処理する方法としては、例えば、プラスチック基材の表面に、蒸着機内にプラスチック基材を入れる前に予め、コロナ放電処理、グロー放電処理等の前処理を施すことにより表面を粗面化する方法がある。また、アンカーコート剤をコーティングする方法としては、例えば、予め、ウレタン系、エステル系等の蒸着用アンカーコート剤をコーティングしてアンカーコート剤層を形成して、プラスチック基材と蒸着膜との密着性を改善する方法がある。また、酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着した蒸着膜は、通常、電子ビーム加熱、抵抗加熱あるいはるつぼ方式を用いて、金属アルミニウムを加熱蒸発させ、その金属アルミニウム蒸気中に酸素ガスを導入して製造されている。
【0004】
例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着した蒸着膜については、特開平5−305971号公報、特開平5−305972号公報、特開平6−1370号公報に記載され、これらにおいて酸化アルミニウム系の薄膜層の密度は、2.7〜3.3g/cm3であることが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような密度を有する薄膜層作製しても、また、プラスチック基材の表面を処理する方法、あるいはアンカーコート剤をコーティングする処理を行っても、高バリア性を有するガスバリア性フィルムを安定して製造することは困難であるというのが実状であった。また、その製造工程が増えることから、その製造コストが高くなるという問題点もある。また、上記の酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着した蒸着膜は、蒸着後の膜は完全に酸化されているわけではなく、空気中の酸素あるいは水分などにより蒸着膜の緻密性が向上して初めて、ガスバリア性が向上するのである。
【0006】
これらの状況に鑑み、本発明の目的は、簡便かつ安定して高ガスバリア性フィルムを製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、本発明の高ガスバリア性フィルムの製造方法は、高分子フィルム上に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物が形成され、無機酸化物の界面における密度が2.6g/cm 3 以上2.7g/cm 3 未満、かつ、無機酸化物の内部の密度が無機酸化物の界面における密度よりも大きい高ガスバリア性フィルムを製造する方法であって、高分子フィルムを巻き出してからフィルム表面に無機酸化物を形成するまでの間に水蒸気プラズマ処理を行い、その後、無機酸化物を形成することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0012】
本発明に使用する無機酸化物は、酸化アルミニウムを主成分とする必要がある。その他の成分としては特に限定されないが、例えば、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、それらの酸化物が用いられる。また、無機酸化物は、酸化アルミニウムのみからなりその他の成分を含まなくてもよい。特に好ましくは、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素からなる無機酸化物が用いられる。酸化アルミニウムは、ガスバリア性の観点から、好ましくは20wt%以上、より好ましくは50wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上含有することが望ましい。
【0013】
高分子フィルム上に無機酸化物を形成する方法は特に限定されず、例えば、アルミニウム等の金属等を使用し、蒸着時の酸素量をコントロールしながら、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって、形成することができる。好ましくは真空蒸着法である。上記において、蒸着原料の加熱方式としては、例えば、エレクトロンビーム(EB)方式、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式等が用いられる。
【0014】
本発明において、蒸着膜の密度は、「フィジカル レビュー第95巻第2号359頁(PYSICAL REVIEW Vol.95、p.359、Number2(JULY 15、1954))」、あるいは、「アプリケーションズ オブ ラジエーション ツゥ マテリアルズ アナライシス 第142頁(1996)(Applications of radiation to Materials analysis p.142(1996))、出版元:エルゼヴィア社(elsevier社)」に記載されているX線反射率測定法で測定することができる。具体的には、入射X線波長:0.1540nm(CuKα1線)、測定範囲(0.05〜2゜)、0.01゜ステップでX線反射率を測定する。反射率は屈折率と入射角の関数である。入射角を決めてX線を入射させ反射率を求めることにより、屈折率を求めることができる。屈折率は組成や密度の関数であり、フィッティングにより密度を求めることができる。また、物質が薄膜を持っている場合には各界面からの反射X線が干渉することになり、反射率に各層の厚さを反映した干渉効果が現れる。さらに、表面や界面にミクロなラフネス(ミクロな凹凸)がある場合には、反射率に影響することとなる。「レビュー フィジカル アプリケーション第15巻第761頁(REVIEW PYSICAL APPLICATION Vol.15、p.761(1980))」に記載されている方法で、ラフネスを反射率の中に取り込むことができ、ラフネスを含めた条件で、フィッティングを行うことによりラフネスの影響を含めた蒸着膜の密度を求めることができる。
【0015】
本発明の製造方法で得られる高ガスバリア性フィルムにおいて、無機酸化物の界面における密度とは、透過型電子顕微鏡で酸化物の膜厚を観察し、高分子フィルムとの界面から測定した酸化物側の膜厚の10%に相当する部分の密度をいう。例えば、透過型電子顕微鏡で観察した膜厚が10nmのとき、高分子フィルムと無機酸化物との界面から1nmの厚さの酸化物の部分の密度を界面の密度という。また、無機酸化物の内部の密度とは、酸化物の表面から膜厚の10〜90%部分の最大の密度のことをいう。
【0016】
本発明の製造方法で得られる高ガスバリア性フィルムにおいては、無機酸化物の界面における密度は2.6g/cm3以上2.7g/cm3未満、かつ、無機酸化物の内部の密度が無機酸化物の界面における密度よりも大きいことが必要である。無機酸化物の界面の密度が、内部の密度に比べて小さいことで、内部の緻密性が増しガスバリア性の向上に貢献することができるため、この範囲を外れると、ガスバリア性に劣ったものとなる。好ましくは、内部の密度は2.7g/cm 3 以上4.0g/cm 3 未満であり、より好ましくは、界面における密度が2.6g/cm3以上2.65g/cm3未満かつ内部の密度が2.8g/cm3以上3.5g/cm3未満である。高分子フィルム上に形成する無機酸化物層の厚みは素材により一概に言えないが、例えば、酸化アルミニウム等の蒸着膜の場合は、2〜300nmが好ましく、より好ましくは、3〜200nm、さらに好ましくは5〜100nmが良い。酸化アルミニウム蒸着膜の膜厚がかかる好ましい範囲であると、その膜の柔軟性を保てるので、膜にクラック等が発生しにくくなる。また、ピンホール等の影響が小さく、酸素分子の透過を酸化アルミ蒸着膜によって十分に阻止でき高バリア性を維持できる。
【0017】
本発明に使用する高分子フィルムとしては、有機高分子化合物からなるフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール等の各種ポリマからなるフィルムを使用することができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムである。高分子フィルムを構成するポリマは、ホモポリマー、コポリマーのいずれでもよいし、また、単独またはブレンドして用いることができる。
【0018】
また、高分子フィルムとして、単層フィルム、あるいは、2層以上の共押し出し法で製膜したフィルムや、一軸方向あるいは二軸方向に延伸されたフィルム等を使用することができる。
【0019】
本発明に使用する高分子フィルムの厚さは特に限定されないが、無機酸化物を形成する時の安定性等から、5〜100μmが好ましく、より好ましくは、7〜60μmである。
【0020】
本発明に使用する高分子フィルムには、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加したフィルム等も用いることができる。
【0021】
次に、無機酸化物層としてアルミニウム蒸着膜を形成する場合を例にとって、本発明の製造方法を具体的に説明する。
【0022】
図1は本発明の高ガスバリア性フィルム製造方法を実施するための巻き取り式真空蒸着装置の一例の概略を模式的に示す装置構成図である。まず、巻き取り式真空蒸着装置1の巻き取り室2の中で、巻き出しロール6に高分子フィルム15をセットし、巻出し、ガイドロール8、9、10を介して、クーリングドラム16に通す。ボート5上にはアルミニウム等のワイヤーが導入されていて、ボート5上からアルミニウムが蒸発され、酸素導入ノズル14から酸素を導入するので、このクーリングドラム16上の位置において高分子フィルム15の表面上に酸化アルミニウム蒸着膜が形成される。その際、巻き出しからクーリングドラムまでに、水蒸気ガスによるプラズマガス発生装置17を設置して、プラズマガスを発生させ高分子フィルム15に接触させる。プラズマガスの接触により高分子フィルム上にカルボキシル基、水酸基、カルボニル基などの官能基が形成され密度の高い蒸着膜が形成される。水蒸気によるプラズマガスを発生させる位置は、高分子フィルムを巻きだしてから無機酸化物を形成するまでの間であれば特に限定されない。ガスの組成は水蒸気単独でも良いが、好ましくは酸素、炭酸ガス、窒素など水蒸気の併用である。併用することで、より多くの種類の官能基が高分子フィルム上に形成され、より緻密な蒸着膜が形成される。これらの処理により、蒸着膜の内部密度が、界面密度より高くなり、緻密な蒸着膜が形成されることになる。
【0023】
その後、このアルミニウム蒸着膜が形成された高分子フィルム15を、ガイドロール13、12、11を介して、巻き取りロール7に巻き取る。
【0024】
上述において、水蒸気プラズマガスの発生方式としては、特に限定されないが、例えば、発生させた水蒸気をガス導入管によりプラズマ発生装置に供給する方式があげられる。また、プラズマ発生装置としては、プレーナー型、ワイヤー型などが挙げられるが特に限定されるものではない。また、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガスなどと併用することががあげられるが、水蒸気ガス単独でもよく特に限定されるものではない。水蒸気ガス以外の供給量としては、1〜50cc/(分・cmフィルム幅)が好ましい。さらに好ましくは、5〜45cc/(分・cmフィルム幅)である。水蒸気ガスの供給流量としては、0.1〜50cc/(分・cmフィルム幅)が好ましい。さらに好ましくは、0.3〜45cc/(分・cmフィルム幅)である。
【0025】
酸素ガス、窒素ガスあるいは炭酸ガスの供給量が1cc/(分・cmフィルム幅)以上または、水蒸気ガスの供給量が0.1cc/(分・cmフィルム幅)以上であれば、高分子フィルム上に形成される官能基量が十分となり、密度の高い良好な蒸着膜が形成され、高いバリア性を有する酸化アルミニウム蒸着フィルムを得ることができるので好ましい。また、酸素ガス、窒素ガスあるいは、炭酸ガスの供給量が50cc/(分・cmフィルム幅)以下、または、水蒸気ガス供給量が50cc/(分・cmフィルム幅)以下であると蒸着室の真空度が良好となり、良質な酸化アルミニウムが形成できるので好ましい。
【0026】
プラズマ投入電力としては、100〜1500W/cmが好ましい。さらに好ましくは100〜1000W/cmである。投入電力が100W/cm以上であれば、高分子フィルム上の官能基の生成が十分となるので好ましく、また、投入電力が1500W/cm以下であれば、高分子フィルムそのものの劣化を防ぎ、高いバリア性が得られるので好ましい。
【0027】
本発明の方法で製造されたフィルムは、例えば、他の樹脂フィルム、紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせ、ラミネートして種々の積層体を製造することもできる。これらの積層体は、例えば、種々の物品を包装するのに適した包装材料として用いることができる。
【0028】
上記の他の樹脂フィルムとしては、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等、いずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、数μmから数100μmの範囲から選択して使用することができる。また、そのフィルム性状は、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状でもよい。使用する樹脂素材は特に限定されず、具体的な素材としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体、エチレンアクリル酸またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリルブタジェンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、等から任意に選択して使用することができる。
【0029】
また、上記した紙基材としては、坪量80〜600g/m2のものが好ましく、より好ましくは、坪量10〜450g/m2 のものを使用することが望ましい。具体的には、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
【0030】
また、上述の金属素材としては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、アルミニウム蒸着膜を有する樹脂フィルム等を使用することができる。
【0031】
本発明の製造方法で得られる高ガスバリア性フィルムを用いて積層体を得る方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法で好ましく製造される。
【0032】
本発明の製造方法で得られたフィルムの表面に、必要に応じて、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を施した上で、ポリエステル系、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他のラミネート用接着剤等を使用して、公知の包装材料をラミネートする方法等により製造することができる。ここで、ラミネート方法は特に限定されず、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、共押し出しインフレーション法、その他の方法等を使用することができる。
【0033】
次に、積層体を使用して、製袋ないし製函する方法について説明する。例えば、包装用容器として高分子フィルム等からなる軟包装袋を形成する場合、上記のような方法で製造した積層体を使用し、その内層のヒートシール性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒートシールしてシール部を設けて袋体を構成することができる。また、その製袋方法としては、積層体を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装用容器を製造することもできる。その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、上記の積層体を使用してチューブ容器等を製造することもできる。ここで、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。なお、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピースタイプ、ツウーピースタイプ、その他の注出口、あるいは開閉用ジッパー等を任意に取り付けることができる。
【0034】
また、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器を製造する場合、例えば、積層体として、本発明の製造方法で得られた高ガスバリア性フィルムに紙基材を積層した積層体を製造し、該積層体から所望の紙容器を製造するブランク板を製造後、このブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲーベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。また、その容器の形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0035】
本発明の製造方法で得られた高ガスバリア性フィルムを使用した容器は、酸素ガス等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネート加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性に優れ、また、バリア性膜としての無機酸化物の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、食品、医薬品、洗剤、シャンプー、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の包装適性、保存適性等に優れているものである。
【0036】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明を説明する。なお、製造した酸化アルミニウム蒸着フィルムの特性は下記の条件下で測定した。
(密度の測定条件)
測定装置:理学電気株式会社製 X線反射率測定装置、入射X線波長:0.1540nm(CuKα1線)測定範囲(0.05〜2゜)、0.01゜ステップ。(酸素透過率測定)
温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名、“オキシトラン”(OXTRAN 2/20))を使用して測定した。
(水蒸気透過率測定)
温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(機種名、“パ−マトラン”W3/31)を使用して測定した。
(プラズマガス発生装置への導入ガスの調整方法)
蒸留水タンクを加熱し、マスフローメーター(日立金属株式会社製 SFC570)を用いて水蒸気流量を決め、マスフローメーター(STEC社製 SEC−400MK3)により酸素ガス流量を決定し、混合して所定の混合比率の混合ガスを調整した。
(プラズマガス発生装置)
プレーナ型電極のプラズマガス発生装置および処理電源にLF−30(RF Power Products INC.製)を用いた。
(実施例1)
図1に示す装置構造の巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”12T705)を基材とし、その片面に、アルミニウムを蒸着源に用いて抵抗加熱方式による真空蒸着法により、酸化アルミニウムの蒸着膜を製造した。酸素ガスを巻出し、巻き取り側からそれぞれ0.5L/分ずつ供給した。また、プラズマガス発生装置に酸素ガス9cc/(分・cmフィルム幅)および水蒸気ガス6cc/(分・cmフィルム幅)を供給し、投入電力1000W/cmで処理を行った。
【0037】
得られた蒸着フィルムの界面の密度、内部、酸素透過率、水蒸気透過率を測定したところ、それぞれ2.62、3.1、2.2cc/m2・atm・24h、
2.0g/m2・24hであった。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
(実施例2)
プラズマガス発生装置に酸素ガス40cc/(分・cmフィルム幅)、水蒸気0.5cc/(分・cmフィルム幅)の混合ガスを供給し、投入電力750W/cmで処理した以外は、実施例1と同様にして酸化アルミニウム蒸着フィルムを作製した。
【0039】
得られた蒸着フィルムの界面、内部の密度、酸素透過率、水蒸気透過率を測定したところ、それぞれ2.68、2.8、2.6cc/m2・atm・24h、2.5g/m2・24hであった。結果を表1に併せて示す。
(実施例3)
プラズマガス発生装置に酸素ガス5cc/(分・cmフィルム幅)、水蒸気30cc/(分・cmフィルム幅)の混合ガスを供給し、投入電力1200W/cmで処理した以外は、実施例1と同様にして酸化アルミニウム蒸着フィルムを作製した。
【0040】
得られた蒸着フィルムの界面、内部の密度、酸素透過率、水蒸気透過率を測定したところ、それぞれ2.66、2.9、2.4cc/m2・atm・24h、2.3g/m2・24hであった。結果を表1に併せて示す。
(実施例4)
プラズマガス発生装置に酸素ガス16cc/(分・cmフィルム幅)、水蒸気3cc/(分・cmフィルム幅)の混合ガスを供給し、投入電力500W/cmで処理した以外は、実施例1と同様にして酸化アルミニウム蒸着フィルムを作製した。
【0041】
得られた蒸着フィルムの界面、内部の密度、酸素透過率、水蒸気透過率を測定したところ、それぞれ2.60、3.2、2.0cc/m2・atm・24h、1.9g/m2・24hであった。結果を表1に併せて示す。
(比較例1)
プラズマガス発生装置17を設置せず、ガスの導入、処理電力の投入も行わなかった以外は、実施例1と同様にして酸化アルミニウム蒸着フィルムを作製した。
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの界面の密度、内部の密度、酸素透過率、水蒸気透過率は、それぞれ2.5、2.6、7.2cc/m2・atm・24h、7.6g/m2・24hであり、ガス透過量が多かった。結果を表1に併せて示す。
(比較例2)
プラズマガス発生装置に酸素ガス10cc/(分・cmフィルム幅)、水蒸気0.05cc/(分・cmフィルム幅)の混合ガスを供給し、投入電力1500W/cmで処理した以外は、実施例1と同様にして酸化アルミニウム蒸着フィルムを作製した。
【0042】
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの界面の密度、内部の密度、酸素透過率、水蒸気透過率は、それぞれ2.4、2.5、8.9cc/m2・atm・24h、10.2g/m2・24hであり、ガス透過量が多かった。結果を表1に併せて示す。
(比較例3)
プラズマガス発生装置に酸素ガス0.5cc/(分・cmフィルム幅)、水蒸気53cc/(分・cmフィルム幅)の混合ガスを供給し、投入電力2000W/cmで処理した以外は、実施例1と同様にして酸化アルミニウム蒸着フィルムを作製した。
【0043】
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの界面の密度、内部の密度、酸素透過率、水蒸気透過率は、それぞれ2.1、2.3、17.3cc/m2・atm・24h、20.2g/m2・24hであり、ガス透過量が多かった。結果を表1に併せて示す。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、酸素ガス、水蒸気等に対する高ガスバリア性を有し、例えば、食品、医薬品および工業用品等の種々の物品を包装するために有用な高ガスバリア性フィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高ガスバリア性フィルム製造方法を実施するための巻き取り式真空蒸着装置の一例の概略を模式的に示す装置構成図。
【符号の説明】
1:巻き取り式真空蒸着装置
2:巻き取り室
3:蒸着室
4:隔壁
5:ボート
6:巻き出しロール
7:巻き取りロール
8、9、10:巻き出し側のガイドロール
11、12、13:巻き取り側のガイドロール
14:酸素ガス導入管
15:高分子フィルム(基材フィルム)
16:クーリングドラム
17:プラズマガス発生装置
Claims (4)
- 高分子フィルム上に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物が形成され、無機酸化物の界面における密度が2.6g/cm3以上2.7g/cm3未満、かつ、無機酸化物の内部の密度が無機酸化物の界面における密度よりも大きい高ガスバリア性フィルムを製造する方法であって、
高分子フィルムを巻き出してからフィルム表面に無機酸化物を形成するまでの間に水蒸気プラズマ処理を行い、その後、無機酸化物を形成することを特徴とする高ガスバリア性フィルムの製造方法。 - 前記無機酸化物の内部の密度が2.7g/cm3以上4.0g/cm3未満であることを特徴とする請求項1に記載の高ガスバリア性フィルムの製造方法。
- 前記高分子フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の高ガスバリア性フィルムの製造方法。
- 前記無機酸化物が、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素からなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の高ガスバリア性フィルムの製造方法。
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