JP4531381B2 - ガスバリア性シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、合成樹脂シートを基材とし、ガスバリア性層である無機化合物薄膜との密着性が改良されたガスバリア性シートに関する。
従来から食品や医薬品を長期に渡って安定的に保存する目的で、酸素ガスおよび水蒸気等に対するバリア性を備えたガスバリア性シートが包装用として使用されてきたが、最近では、包装用以外にも、種々の電子デバイスを対象としたガスバリア性シートの需要が増している。一例として、フレキシブルディスプレイのような画像表示装置において、ガラス基板に替えて、プラスチックシートベースのガスバリア性シートが使用され始めている。
従来の包装用のガスバリア性シートのガスバリア性は、酸素透過率が0.1cc/m2/day以上、水蒸気透過率が0.1g/m2/day以上であるが、電子デバイスを対象とする場合には、包装用以上に高いガスバリア性が要求される。また、これらガスバリア性シートを用いて電子デバイスを製造する際には、高温に曝されたり、種々の薬品処理を受ける際の耐熱性や耐薬品性が必要とされ、得られた電子デバイスも、高温度下や高湿度下において高いガスバリア性を維持することが要求される。
そこで、電子デバイス用途向けとしては、基材として耐熱性のものを選択し、耐熱性の基材の上に酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の薄膜を積層した構成のものが好ましいと考えられたが、このような構成のガスバリア性シートにおいてもなお、基材と無機酸化物の薄膜との密着性が不十分であったり、薄膜が一定の密度で成長しているためにガスバリア性も十分でないという問題があった。
例えば、PETシートにアルミニウム等の薄膜を積層してガスバリア性シートにおいて、屈曲によりガスバリア性の低下が起こる欠点を改善するために、酸化アルミニウムの薄膜の比重を2.70〜3.30とすることにより、耐屈曲性の高いガスバリアフィルムとしたことが開示されている。(特許文献1)。
特開平5−214135号公報。
しかしながら、特許文献1には、単に薄膜全体の比重の数値範囲を一律に規定して耐屈曲性を向上させることが記載されているのみで、十分な耐屈曲性を有するガスバリア性シートを得ることは困難である。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、高いガスバリア性を有し、良好な密着性を有するガスバリア性シートを提供することを課題とする。
発明者の検討により、基材としてガラス転移点が150℃以上の合成樹脂シートを用いることとし、酸化窒化ケイ素薄膜を積層してガスバリア性シートとする際に、薄膜の密度を一様にするのではなく、基板界面付近の密度Aと、界面付近を除いた部分の密度Bとを、A/Bが0.905以上で、かつ1.000未満とする膜厚方向で連続した一層の蒸着層とすることにより、課題を解決することができた。
課題を解決する第1の発明は、合成樹脂シートおよびガスバリア性の酸化窒化ケイ素薄膜が積層された積層構造を有しており、前記酸化窒化ケイ素薄膜は、前記合成樹脂シート側の界面付近の密度をA、前記酸化窒化ケイ素薄膜の界面付近を除いた部分の密度をBとするとき、0.905≦A/B<1.000の関係を有する膜厚方向で連続した一層の蒸着層であることを特徴とするガスバリア性シートに関するものである。
の発明は、第1の発明において、Bが2.1g/cm 3 3.9g/cm 3 であることを特徴とする透明ガスバリア性シートに関するものである。
の発明は、第1〜第いずれかの発明において、前記合成樹脂シートは、ガラス転移点が150℃以上の樹脂で構成されたものであることを特徴とするガスバリア性シートに関するものである。
の発明は、第の発明において、前記合成樹脂シートがポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリアクリレート、ポリアリレート、環状オレフィンポリマーのいずれかであることを特徴とするガスバリア性シートに関するものである。
の発明は、請求項1〜請求項に記載のガスバリア性シートの製造方法において、合成樹脂シートの少なくとも表面を前記合成樹脂シートを構成する合成樹脂のガラス転移点以上になるよう加熱を行なった後、徐冷を行ない、前記合成樹脂シートの収縮が進行する状態で、前記合成樹脂シートの表面に物理的気相成長法によりガスバリア性の無機化合物薄膜を形成することを特徴とするガスバリア性シートの製造方法。
の発明は、第の発明において、前記加熱を行なった後、10秒〜2000秒の時間をおいてから前記酸化窒化ケイ素薄膜を形成することを特徴とするガスバリア性シートの製造方法に関するものである
第1の発明によれば、酸化窒化ケイ素薄膜の界面付近の密度と界面付近を除いた部分の酸化窒化ケイ素薄膜の密度との関係を規定したので、基材の透明合成樹脂シートとの密着性の優れたガスバリア性シートを提供することができる。
の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、ガスバリア性の高い薄膜を有するガスバリア性シートを提供することができる。
の発明によれば、第1〜第いずれかの発明の効果に加えて、透明合成樹脂シートのガラス転移点を規定したので、耐熱性の優れたガスバリア性シートを提供することができる。
の発明によれば、第の発明の効果に加えて、基材である透明合成樹脂シートとして特定の素材からなるものを選択したので、基材の入手および取り扱いが容易なガスバリア性シートを提供することができる。
の発明によれば、ガラス転移点以上に加熱した後に、徐冷を行ない、収縮が進行するうちに酸化窒化ケイ素薄膜を形成するので、基材である透明合成樹脂シートと酸化窒化ケイ素薄膜との密着性を向上させることが可能なガスバリア性シートの製造方法を提供することができる。
第6の発明によれば、加熱を行なった後、特定の時間をおいてから酸化窒化ケイ素薄膜を形成するので、収縮の進行中に酸化窒化ケイ素薄膜の形成を行なえ、透明合成樹脂シートと酸化窒化ケイ素薄膜との密着性をより確実に向上させることが可能なガスバリア性シートの製造方法を提供することができる。
図1は本発明のガスバリア性シートの積層構造を示す図である。図1に示すように、本発明のガスバリア性シート1は、基本的に合成樹脂シート2の図中の上面側である片面にガスバリア性の無機化合物薄膜3が積層された積層構造を有するものである。このように合成樹脂シート2の片面にガスバリア性薄膜3が積層された積層構造において、合成樹脂シート2とガスバリア性薄膜3との間には必要に応じて別の層、例えば、接着性を向上させるための層や表面の硬度を向上させるための硬化樹脂層等が積層されていてもよい。
ガスバリア性層である無機化合物薄膜3は、基本的には合成樹脂シート2の片面に積層されていれば足りるが、無機化合物薄膜3は、基材である合成樹脂シート2の両面に積層されていてもよい。合成樹脂シートの片面もしくは両面に無機化合物薄膜が積層されたガスバリア性シートを2枚以上、積層してもよい。
上記における透明合成樹脂シート2としては、汎用性のプラスチックシートから選択して使用することができるが、特に、素材の合成樹脂としては、耐熱性の高いものが好ましく、ガラス転移点があるものについては、ガラス転移点が150℃以上のものを用いることが好ましい。ガラス転移点が150℃未満のものでは、本発明におけるような、比重を厚み方向に変化させて透明導電性薄膜を形成するために必要な熱負荷に耐える耐熱性が十分でない場合があり、必ずしも十分な性能を持ったものが得られないことがあるからである。素材の合成樹脂のガラス転移点が150℃以上の透明合成樹脂シートとしては、具体的には、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアリレート、環状オレフィンポリマー等からなるシートが好ましく、これらは、入手および取り扱いが容易である利点を有する。なお、合成樹脂シートのガラス転移点は高いほどより好ましく、制限するものではないが、現状、入手し得る範囲では400℃未満である。これら以外にも透明合成樹脂シート2としては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シンジオタクティック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるシートを挙げることができる。透明合成樹脂シート2の厚みは用途に合せて適宜に選択するので一律には決まらないが、5μm〜500μm程度である。
無機化合物薄膜3は、金属酸化物、金属窒化物、もしくはこれらの混合物で構成されたものであることが好ましい。具体的に無機化合物薄膜3を構成する素材としては、一般的に真空成膜される材料であれば原則的に使用可能であり、中でもセラミック材料を用いると、透明性を活かした透明性ガスバリア膜としての薄膜を形成することができる。セラミック材料としては、SiOx、AlOx、SiOxNy、SiNx、SiOxNyCz、SiNxCy、AlOxNy、AlNx、AlOxNyCz、およびAlNxCy等を例示することができる。
このような無機化合物薄膜3は、抵抗加熱蒸着法、誘導加熱蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、もしくはプラズマCVD法等の真空成膜法により形成することができ、10nm〜1000nm、好ましくは20〜500nmの範囲で適宜設定することができる。ガスバリア性シート1の用途にもよるが、この厚みの範囲であれば、合成樹脂シート2と無機化合物薄膜3との間の密着性の向上、および得られるガスバリア性シート1のガスバリア性の向上等の効果が生じる。
ガスバリア性シート1が電子デバイス、一例として、フレキシブルディスプレイのような画像表示装置の基材として利用される場合、高いガスバリア性を持たせる必要からも上記の範囲内であることが好ましく、無機化合物薄膜3の厚みが上記した範囲の下限未満であると、高いガスバリア性(酸素透過率が0.1cc/m2/day未満、および水蒸気透過率が0.1g/m2/day未満程度のガスバリア性)を発現できないし、また、無機化合物薄膜3の厚みが上記の範囲を超えると、無機化合物薄膜3の形成に起因する応力により合成樹脂シート2の変形の問題が生じ、また成膜に要する時間が長くなるので好ましくない。
ところで、非常に高いガスバリア性を発現させるためには、無機化合物薄膜3の厚みを増加させても限界があるのと同様に、単に無機化合物薄膜3の密度を増加させれば良いというわけではない。発明者の検討によれば、非常に高いガスバリア性を発現させるためには、無機化合物薄膜3の内部に密度が異なる部分が存在することが重要であり、これはとりも直さず、無機化合物薄膜3の内部の構造が単純なものではなく複雑化したものであることを意味し、内部の構造の複雑化がガスの透過を妨げる機能をもたらすものと考えられる。
上記の密度が異なる部分は、無機化合物薄膜3の合成樹脂シート2側の界面、無機化合物薄膜3の厚み方向の中央、もしくは無機化合物薄膜3の露出表面のいずれであってもよいが、これらのうちでも、無機化合物薄膜3の合成樹脂シート2側の界面付近の薄い部分が密度の低い部分であり、その密度の低い薄い部分の密度をAとし、無機化合物薄膜3の界面付近を除いた部分の密度をBとするとき、A/Bが0.800以上であり、かつ、1.000未満であることが好ましく、より好ましくは0.900以上である。ここで、A/Bが0.800未満では、密度の低い部分の上に形成される部分の形成が不安定になり過ぎて良質な膜が得られないか、もしくは密度の低い部分とそれ以外の部分との界面の複雑性が無くなり、単に2層が形成されているのと同様な膜となり、ガスバリア性の向上が見られず、またA/Bが1.000以上であると、無機化合物薄膜3の合成樹脂シート2側の界面付近とその他の部分との間で界面の複雑さが生じることが無く、やはり、ガスバリア性の向上が見られないからである
以上に説明したようなA/Bが0.900以上であり、かつ、1.000未満である無機化合物薄膜3を得るには、次に述べるように、基材となる合成樹脂シート2を加熱した後に徐冷し、徐冷中に無機化合物薄膜3を形成する方法を採ることが好ましい。
まず、合成樹脂シート2を、合成樹脂シートを構成する樹脂のガラス転移点以上になるよう加熱する。本発明においては、合成樹脂シート2は、ガラス転移温度が150℃以上の樹脂で構成されたものであることが好ましいので、この場合、少なくとも表面の温度が150℃以上になるよう、1分間〜20分間加熱する。加熱後に無機化合物薄膜の形成を真空系を利用した物理的気相法によって行なうことが多いので、この加熱も無機化合物の薄膜を行なうのと同じ真空系内で行なうことが好ましい。加熱を行なう際の真空系内の真空度は、例えば、5×10-2Pa程度である。この加熱により、合成樹脂シート2は、熱膨張を起こす。
次いで、加熱により熱膨張を起こした合成樹脂シート2を徐冷し、収縮を起こさせる。無機化合物薄膜3の形成は、上記の加熱を終了させた後、10秒〜2000秒の時間(待機時間)をおいた後に行なうことが好ましく、より好ましくは1000秒以内である。この待機時間をおくことにより、無機化合物薄膜3の形成を合成樹脂シート2が収縮が進行する状態で確実に行なうことができる。この時間をおくのは、一旦熱膨張した合成樹脂シート2が応力の緩和により収縮を始めるのに、時間的な遅れがあるからである。
合成樹脂シート2の加熱時間および、加熱後に無機化合物薄膜の形成を行なうまでの時間に範囲があるのは、基材として用いる合成樹脂シート2の線膨張係数に依存するところが大きく、合成樹脂シート2の線膨張係数としては5ppm/K〜150ppm/Kの範囲のものを用いるのが好ましい。線膨張係数がこの範囲の下限未満であると合成樹脂シート2の十分な熱膨張及び緩和がないため、形成される無機化合物薄膜における密度の差が生じにくくなる。またこの範囲の上限を超えると合成樹脂シート2の変形が大きくなり過ぎるため、良質の薄膜が形成されないか、もしくは合成樹脂シート2の変形にともなう無機化合物薄膜3のクラックが生じ、却ってガスバリア性が低下する。
無機化合物薄膜3の合成樹脂シート2側の界面付近とは、X線反射率測定のフィッテイングにより算出されるものであり、その部分の膜厚は適宜変化するが、無機化合物薄膜3の全体の厚みの1〜49%である。X線反射率法は、反射X線強度プロファイルの多層薄膜試料へのX線入射角依存性を、シミュレーション結果と合せることによって、物性を評価する手法で、薄膜/薄膜界面の平坦な試料については、反射X線強度は理論的には試料へのX線入射角θの4乗に逆比例して減衰し、薄膜/薄膜界面が平坦でない場合には、さらに急激に減衰する。そこで、この入射角依存性の効果を相殺するために、最小二乗法を用いてベースラインを決定し、測定データに含まれる振動成分のみを抽出する。次いで、解析モデルにおけるパラメータとなる各膜の膜厚、密度、および界面ラフネスの値を適当に変えながらシミュレートした結果と、測定データに含まれる振動成分とを対比させ、所定の誤差に収まるように最小二乗法フィッティングすることによって、各層の膜厚み、および密度等を決定するものである。本明細書で言う無機化合物薄膜3の全体の密度とは、全膜厚から界面付近の膜厚を差し引いた残りの部分の密度である。ただし、界面付近とそれ以外とで、必ずしも目に見える境界があるわけではない。
無機化合物層の形成
基材シートとして環状オレフィンポリマーシート(日本ゼオン(株)製、「ゼオノア」(登録商標)、厚み;100μm、大きさ;15cm×15cm)を準備し、スパッタ装置のチャンバー内の上部電極にこの基材シートを装着した。次いで、チャンバー内を油回転ポンプおよびターボ分子ポンプにより、到達真空度5×10-5Paまで減圧した。上記のスパッタ装置は、チャンバーとともに、電源、排気弁、排気装置、ガス導入口、ガス供給源を備えている。また、タ−ゲットとしてITO(99.99%以上)を用い、酸素ガス(太陽東洋酸素(株)製(純度99.9999%以上))、アルゴンガス(太陽東洋酸素(株)製(純度99.999%以上))を準備した。
次に、アルゴンガスをチャンバー内に導入し、真空度を5×10-2Paとした後、装着した基材シートの表面温度が150℃になるよう赤外線ランプにより10分間の加熱を行なった(加熱温度;150℃、加熱時間;10分)。加熱終了後、室温で5分間放置して徐冷し(待機時間;5分)、徐冷後、放電電圧(投入電力;4kW)を印加した。印加後、電極近傍に設けられたガス導入口からチャンバー内に、アルゴン(毎分の導入量;100sccm)および酸素(毎分の導入量;2sccmを導入し、排気装置とチャンバーとの間にある排気弁の開閉度を制御することにより、チャンバー内圧力を0.25Paに保ちつつ、シート上に厚みが100nmの酸化窒化ケイ素(SiON)からなるガスバリア性薄膜を積層形成し、ガスバリア性シートを得た。
このガスバリア性薄膜の基材シート側の界面付近の密度Aは2.829g/cm3であり、ガスバリア性薄膜の界面付近を除いた部分の密度Bは2.856g/cm3であり、密度比A/Bは0.905であった。さらに、このガスバリア性シートの酸素透過率は0.05cc/m2/day、水蒸気透過率は0.05g/m2/dayであり、優れたガスバリア性を備えていることが確認された。
以降の実施例および比較例も含め、ガスバリア性薄膜の密度・膜厚、および酸素透過率・水蒸気透過率の測定は、以下の条件で行なった。
密度・膜厚の測定
X線回折装置(リガク電機工業(株)製、ATX−E)を用いて測定を行い、得られたデータを解析ソフト(リガク電機工業(株)製、RGXR)を用い、反射率を非線形最小二乗法によりフィッティングし、膜厚および膜密度を求めた。解析の際のR値が1%未満であることを正確性の判断基準とした。X線としては、18kWのX線発生装置を用い、Cuターゲットによる波長(λ);1.5405ÅのCuKα線を発生させ、モノクロメーターとしては放物面人口多層膜ミラーおよびGe(220)モノクロ結晶を用いた。試料の透明導電性シートを基板ホルダーにマグネットで装着し、自動アライメント機能を利用して0°位置調整を行なった後、スキャン速度;0.1000°/min、サンプリング幅;0.002°、およびスキャン範囲;0〜4.0000°の設定条件にてスキャンしながら反射率を測定した。測定で得られた反射率データは、上記の解析ソフトを用い、初期値として薄膜の元素比を入力し、フィッティングエリア;0.420°〜4.000°の条件で最小二乗法によるフィッティングを行なって、膜厚および膜密度を求めた。
酸素透過率・水蒸気透過率の測定
酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製OX−TRAN 2/20)を用い、温度;23℃、湿度;50%RHの条件で測定した。また、水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製PERMATRAN−W 3/31)を用いて、温度;37.8℃、湿度;100%RHの条件で測定した。
実施例1と同様にして、ただし、加熱温度、加熱時間、および待機時間の加工条件を変更してガスバリア性シートを作成し、密度A、密度B、密度比A/B、および水蒸気透過度(単位;g/m2/day)を求めた。加工条件を表1に、また、求めたデータを表2に、いずれも、実施例1、実施例3、および比較例1〜3に関するものと共に示す。なお、実施例3のガスバリア性シートは、基材シートの片面にガスバリア性薄膜を形成した後、基材シートを裏返した後、反対面にもガスバリア性薄膜を形成したもので、2度目の薄膜の形成の際には、薄膜を形成する対象面からの脱ガスが無いため、良好な薄膜の形成が可能である。
Figure 0004531381
Figure 0004531381
本発明のガスバリア性シートを示す図である。
符号の説明
1……ガスバリア性シート
2……合成樹脂シート
3……無機化合物薄膜

Claims (6)

  1. 合成樹脂シートおよびガスバリア性の酸化窒化ケイ素薄膜が積層された積層構造を有しており、前記酸化窒化ケイ素薄膜は、前記合成樹脂シート側の界面付近の密度をA、前記酸化窒化ケイ素薄膜の界面付近を除いた部分の密度をBとするとき、0.905≦A/B<1.000の関係を有する膜厚方向で連続した一層の蒸着層であることを特徴とするガスバリア性シート。
  2. 前記Bが2.1g/cm 3 〜3.9g/cm 3 であることを特徴とする請求項1記載の透明ガスバリア性シート。
  3. 前記合成樹脂シートは、ガラス転移点が150℃以上の樹脂で構成されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項2いずれか記載のガスバリア性シート。
  4. 前記合成樹脂シートがポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリアクリレート、ポリアリレート、環状オレフィンポリマーのいずれかであることを特徴とする請求項3記載のガスバリア性シート。
  5. 請求項1〜請求項4に記載のガスバリア性シートの製造方法において、合成樹脂シートの少なくとも表面を前記合成樹脂シートを構成する合成樹脂のガラス転移点以上になるよう加熱を行なった後、徐冷を行ない、前記合成樹脂シートの収縮が進行する状態で、前記合成樹脂シートの表面に物理的気相成長法によりガスバリア性の酸化窒化ケイ素薄膜を形成することを特徴とするガスバリア性シートの製造方法。
  6. 前記加熱を行なった後、10秒〜2000秒の時間をおいてから前記酸化窒化ケイ素薄膜を形成することを特徴とする請求項5記載のガスバリア性シートの製造方法。
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