JP2006147235A - Ito透明導電膜付きフィルム - Google Patents

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【課題】ITO透明導電膜の成膜後、基板がそることのない、ガラス基板上に成膜されるITO透明導電膜と同程度の低抵抗のITO透明導電膜付きフィルムを得ることを課題とする。
【解決手段】ポリエチレンナフタレートを主とするフィルム基板を用い、プラズマガンを用いるイオンプレーティング法で、成膜時のフィルム基板の温度を90℃〜145℃の温度範囲に保ってITO透明導電膜を成膜される、比抵抗が1.1×10―4〜3.0×10―4Ω・cmの範囲にあるITO透明導電膜付きフィルムである。また、膜面の算術平均粗さRa(i)が、フィルム基板表面の算術平均粗さRa(f)に対し、Ra(i)−Ra(f)≦2nmであることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイ、電子デバイス、太陽電池、タッチパネルおよび光学素子などに用いられるITO透明導電膜が形成された透明フィルムに関する。
透明導電膜は光を通しかつ電気を流す特徴から、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、太陽電池において欠かすことができない重要な部材となっている。
特に、酸化スズを数wt%含む酸化インジウム(ITO)は、透明導電膜で最も有名なものである。
フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等の分野で用いられるITO透明導電膜の多くは、真空成膜法で形成される。
ITO透明導電膜を真空成膜法で成膜する方法としては、イオンプレーティング法、スパッタリング法、蒸着法等の方法があり、なかでもイオンプレーティング法が最も一般的な手法である。
スパッタリング法で成膜されるITO透明導電膜に関して、基板を300℃以上に加熱して成膜することにより、抵抗値が2×10−4Ω・cm以下のITO透明導電膜の得られることが特許文献1に記載されている。
また、プラズマガンを使用するイオンプレーティング法でITO透明導電膜を成膜した場合は、成膜粒子のエネルギーが高いことから、基板の加熱温度が200℃程度の比較的低い温度で、抵抗値が低いITO透明導電膜が得られることが開示されている(特許文献2)。
ディスプレイや電子デバイスの分野では、素子の軽量化、薄膜化、フレキシブル化のために、基板を従来のガラスなどの無機物の基板から、基板の全体もしくは一部を高分子などの有機物に置き換える試みがある。
基板の全体もしくは一部に有機高分子を用いる場合では、ガラスなどの無機材料を用いる基板に比べて、基板の熱膨張係数が大きいために加熱すると基板がのび、また、冷却時には熱収縮によって加熱前よりもさらにサイズが小さくなり、いずれも基板が所望のサイズにならないといった問題がある。
また、有機高分子では加熱により構造変化して、弾性率、屈折率、拡散係数、誘電率などの機械的特性や電気的特性が変わるという問題が生じる。また、有機高分子基板の形状が変化すると、その上に成膜するITO透明導電膜にクラックが生じたり基板から剥離したりといった不具合が生まれる。
また、成膜時に有機高分子のフィルム基板を加熱しすぎると、有機高分子の表面や内部から、フィルム作製時に残留したガス、過熱による有機高分子の分解生成ガス、フィルム基板表面の吸着水分などが成膜雰囲気中にガス放出され、ガラス基板などの無機材料でなる基板を用いる場合に比較し、特性の良いITO透明導電膜が安定して得られにくい。
このため、有機高分子のフィルム基板を加熱して、ITO透明導電膜を成膜する場合、低抵抗のITO透明導電膜を得ることは非常に困難であった。
近年、ポリエチレンナフタレート(以後PENと記載する)フィルムが、高耐熱性フィルムとして、フラットパネルディスプレイ用の基板やデバイス用の基板として用いられているが、このPENフィルムあるいはPETフィルムなどの高分子上に成膜する場合は、ITO透明導電膜の比抵抗は5×10−4〜7×10−4Ω・cm程度であった(非特許文献1)。
また、プラズマガンを使用するイオンプレーティング法も、比較的低い基板温度でも低い抵抗の膜が得られることが知られているが、形成された膜に圧縮応力が入りやすく、剛性が乏しい有機高分子基板を用いた場合には基板が大きく反るという問題があった。
特開平9−171188号公報 特開2000−17430号公報 城尚志、花田亨、谷田部俊明、月刊ディスプレイ、Vol.9、No.3、p.77 (2003)
本発明は、ITO透明導電膜の成膜後、基板がそることのない、ガラス基板上に成膜されるITO透明導電膜と同程度の低抵抗のITO透明導電膜付きフィルムを得ることを課題とする。
本発明のITO透明導電膜付きフィルムは、フィルム基板にITO透明導電膜が成膜されてなるITO透明導電膜付きフィルムにおいて、フィルム基板はポリエチレンナフタレートを主とするフィルム基板であり、ITO透明導電膜は、プラズマガンを用いるイオンプレーティング法で、成膜時のフィルム基板の温度を90℃〜145℃の温度範囲に保って成膜されたものであり、該ITO透明導電膜の比抵抗が1.1×10―4〜3.0×10―4Ω・cmの範囲にあることを特徴とするITO透明導電膜付きフィルムである。
また、本発明のITO透明導電膜付きフィルムは、前記ITO透明導電膜付きフィルムにおいて、ITO透明導電膜の膜面の算術平均粗さRa(i)が、フィルム基板表面の算術平均粗さRa(f)に対し、Ra(i)−Ra(f)≦2nmであることを特徴とするITO透明導電膜付きフィルムである。
また、本発明のITO透明導電膜付きフィルムの作製方法は、ITO透明導電膜を成膜するときの酸素ガスの導入量を、プラズマを発生させるためにプラズマガンに導入するアルゴンガスの導入量に対して、容積比で0.8倍以上4倍以下とすることを特徴とする前記ITO透明導電膜付きフィルムの作製方法である。
本発明のITO透明導電膜付きフィルムは、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等に用いることができ、軽量化に寄与することができる。
図1に示すように、本発明のITO透明導電膜付きフィルム3は、PENを主とするフィルム基板2の表面にITO透明導電膜1が成膜されてなるものである。
PENを主とするフィルム基板は、PENのみでなるPENフィルムの他に、PENフィルムの片面あるいは両面に無機材料もしくは有機材料を単層膜もしくは多層膜で成膜したもの、あるいは、粒状の、無機材料や有機材料を、PENフィルムの中に分散させたものである。
無機材料としては、特に制限されるものではないが、SiO(X=1〜2)、SiN(X=1〜4/3)、SiON系、SiOC系、SiOCN系、Al系、SiAlON系の無機材料から1種以上選んで用いることができる。
さらに、SiO(X=1〜2)、SiN(X=1〜4/3)、SiON系、SiOC系、SiOCN系、Al系、SiAlON系の無機材料に、膜の化学的耐久性を増すために、Zr、Sn、Tiを微量添加した膜を形成したものでもよい。
無機材料の単層膜あるいは多層膜は、PENフィルムから発生するガスや水分、あるいはPENフィルムを通過するガスや水分が、ITO透明導電膜に拡散するのを防ぐためや、PENフィルムとITO透明導電膜との密着性を改善することを目的として成膜するものである。
また、有機材料には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン、ナイロン、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマーなどを用いることができ、PENフィルムとITO透明導電膜との接着性を改善したり、PENフィルの表面を平滑化するなどの目的で成膜するものである。
さらに、PENフィルムに分散させる無機材料としては、粒径が数10〜数100nmのSiO微粒子、Al微粒子などを用いることができる。無機の微粒子を分散させることで、PENフィルムの易滑処理とすることができる。また、無機材料をPENフィルム中に分散させることにより、PENフィルムの剛性や引っ張り強度、熱膨張係数等の力学的あるいは熱的特性を変えることができる。
また、ITO透明導電膜とPENを主とするフィルム基板の密着性を増すために、PENを主とするフィルムの表面をコロナ放電処理したものを用いてもよい。
PENフィルムを主とするフィルム基板に成膜されるITO透明導電膜は、酸化インジウムにスズを酸化物換算で5〜10wt%添加したものである。スズの添加量が酸化物換算で5wt%未満の場合は、ITO透明導電膜中のキャリヤ濃度が低くなり、10wt%を越える場合は、キャリヤの移動度が小さくなるため、どちらの場合も導電性が低下するので、スズの添加量は酸化物換算で、5〜10wt%とすることが好ましい。
ITO透明導電膜は、プラズマガンを使用するイオンプレーティング法を用いて、より好ましくは、圧力勾配型ホロカソードプラズマガンを用いたアークプラズマ蒸着法を用いて成膜する。
該アークプラズマ蒸着法は、真空チャンバー内に向けてプラズマビームを生成する圧力勾配型プラズマガンと、プラズマビームの横断面を収縮させる磁石及び環状収束コイルを備え、プラズマビームにより真空チャンバー内に配置した基板上に薄膜を形成する成膜法であり、例えば、図2に概略を示す成膜装置を用いる。
図2に示す成膜装置は、真空チャンバー4と、真空チャンバー4の側壁に取り付けられた圧力勾配型プラズマガン5と、真空チャンバー4の底部に配置したルツボ6と、真空チャンバー4の上部に配置した基板支持ホルダー7等によって構成されている。
ルツボ6は、カーボン製のものを使用することが望ましい。圧力勾配型プラズマガン5には、圧力勾配型ホロカソードプラズマガンを用いることが望ましい。圧力勾配型プラズマガン5は、Ta製のパイプ8とLaB製の円盤9とで構成された複合陰極であり、Ta製のパイプ8の内部に放電用アルゴンガス10を導入した際に、加熱されたTa、LaBから熱電子が放出され、プラズマビーム11を形成する。
圧力勾配型プラズマガン5の内部は、真空チャンバー4より常に圧力が高く保たれており、高温に曝されたTaやLaBが酸素ガスや蒸発ガスによる酸化などの劣化を防ぐ構造になっている。
また、基板支持ホルダー7の上部には、基板加熱用ヒーター12と温度計13が配置されている。基板加熱用ヒーター12は、成膜するフィルム基板2を所定温度に保持するために設けられるもので、温度計13の測定値をもとに基板加熱ヒーター12の出力を制御している。
フィルム基板2を所定の温度に加熱するには、成膜する前に、フィルム基板2に熱電対などの温度計を取り付けて温度を実測できるようにし、温度計13の指示値とフィルム基板の実測される温度との関係を示す検量線を作成することが望ましい。
フィルム基板にITO透明導電膜を成膜する時に、フィルム基板が所定の温度になる温度計13の指示値を前記検量線よって求め、該温度計13の指示値となるように、基板加熱用ヒーター12の出力を制御することが望ましい。
真空チャンバー4の側壁には酸素ガス導入ノズル14が配置されており、この酸素ガス導入ノズル14から、図示しないマスフローコントローラを介して酸素ガス15が供給される。また、真空チャンバー4は真空排気装置16に接続されており、真空計17の値をもとに真空チャンバー4の内部が所定の圧力(真空度)に維持されるようになっている。
図2に示す成膜装置を用いて、次の手順で本発明に関わるITO透明導電膜1を成膜する。
カーボン製のルツボ6に、粒状のITO原料18を充填し、このルツボ6を真空チャンバー4の底部にセットする。ITO蒸発原料18は、ルツボに入れるため粒状であることが好ましいが、その形状を特に限定するものではない。
ITO透明導電膜1を成膜する基板フィルム2を基板支持ホルダー7に取り付けた後、真空チャンバー4の内部の圧が約2×10−4Paになるまで排気することが望ましい。また、同時に、フィルム基板2を所定の温度に加熱して、表面に吸着したガスや内部から放出されるガスを除去することが好ましい。
排気後、図示しないマスフローコントローラーを用いて流量を10〜40sccmに制御した放電用アルゴンガス10を、圧力勾配型プラズマガン5を通して真空チャンバー4に供給する。
次に、酸素ガス15を酸素ガス導入ノズル14から真空チャンバー4に所定量供給するとともに、真空排気装置16で真空チャンバー4の内部の圧力を約0.1Paの圧力に調整することが望ましい。
次に、圧力勾配型プラズマガン5を作動させ、プラズマビーム11をルツボ6内のITO蒸発原料18に収束させ、ITOが昇華する温度にITO蒸発原料18を加熱する。プラズマビーム11をルツボ6中のITO蒸発原料18に集束させるために、集束コイル19や磁石20などを使用する。
プラズマビーム11によって加熱・蒸発したITO蒸発原料18と導入された酸素ガス15は、プラズマ雰囲気21によってイオン化される。イオン化したこれらの物質は、プラズマ雰囲気21のもつプラズマポテンシャルと、フィルム基板2のもつフローティングポテンシャルとの電位差によってフィルム基板2に向かって加速され、粒子は約20eVという大きなエネルギーをもってフィルム基板2の下表面に到達・堆積し、低抵抗で緻密な本発明のITO透明導電膜1が成膜される。
ITO透明導電膜1を成膜するPENフィルムを主とするフィルム基板2の温度が70℃以下の場合には、ITO透明導電膜が結晶化せずITO透明導電膜の抵抗値が大きく、デバイスとして用いることが困難である。フィルム基板2の温度を80℃以上に加熱するとITO透明導電膜の抵抗値は下がって導電性がよくなるので、フィルム基板2の成膜時の温度は80℃以上とすることが好ましい。
さらに、フィルム基板2の温度が145℃を超える温度で成膜すると、膜にクラックが生じて導電性がなくなり、さらに外観にヘーズが生じて透明性が損なわれるために透明導電膜としての機能を果たさず、やはりデバイスとして用いることが困難である。
さらに、酸素ガス15の導入量は、成膜速度、圧力勾配型プラズマガン5の出力、真空度、フィルム基板の温度、および放電圧力によって最適値を選ぶが、成膜時に導入する酸素ガス15を放電用アルゴンガス10に対して容積比で0.7倍以下の量とした場合には、膜に吸収が生じて褐色を帯びるとともに、さらには膜に圧縮応力が生じやすく膜にクラックが入りやすい。したがって外観、透明性、導電性が良好なITO透明導電膜付きフィルム3を得るためには、酸素ガス15の導入量を放電用アルゴンガス10の導入量に対して容積比で0.8倍以上、より好ましくは等倍以上とすることが必要である。また、雰囲気中に酸素ガスを多く導入すると、ITO透明導電膜中に酸素が入りすぎ、キャリヤ密度が小さくなって導電性が低下するので、酸素ガス15の導入量は放電用アルゴンガス10の導入量に対して容積比で4倍以下とすることが望ましい。
また、真空チャンバー4の中の、プラズマビーム11が形成される位置より上方に、ITO蒸発原料18の蒸発が安定するまで、PENを主とする基板2にITO透明導電膜が成膜されないように、図示しないシャッターが設けられ、ITO蒸発原料18の蒸発が安定した後、PENを主とする基板2にITO透明導電膜を成膜する。
このようにして成膜されるITO透明導電膜の表面平滑性を示す算術平均粗さRa(i)は、PENフィルムの算術平均粗さRa(f)に対してRa(i)−Ra(f)≦2nmとなるものが得られる。
表面の算術平均粗さは、JIS B0601 に定義されている値で、表面の凹凸を測定して得られる粗さ曲線から算出される。
スパッタリング法で得られるITO透明導電膜では、導電性を増すために成膜時の基板の温度を300℃程度として成膜するとRa(i)−Ra(f)は5nm程度と凹凸の著しいものになるので、平滑な膜を得るためには、基板の温度を100℃程度に下げて成膜する必要があるが、基板の温度を100℃とした場合、膜の導電性は著しく低下する。
本発明のITO透明導電膜付きフィルムは、ガラスほど耐熱性のないPENフィルム上に優れた平滑性と導電性とをあわせ持つITO透明導電膜が形成されたものであり、有機ELディスプレイなどの平滑性を要求されるデバイスに好適に用いることができる。また、波長550nmの光の透過率は80%以上となる、透明性の良いITO透明導電膜付きフィルムである。
なお、図2の成膜装置は、フィルム基板を1枚ずつ成膜処理するバッチ式の成膜装置であるが、フィルム基板を1枚ずつ連続的に成膜室に搬送して連続生産を可能としたインライン式の成膜装置や、ロール状に巻き取られたフィルム基板を別のロールに巻き取りつつ連続して成膜するroll to roll式でも作製することが可能である。
以下に本発明の実施例を述べる。実施例および比較例とも図2に示す成膜装置を用いてITO透明導電膜を成膜した、各実施例と比較例で得られたITO透明導電膜の特性を表1にまとめて示す。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例ともに、表面の粗さ曲線を原子間力顕微鏡によって測定し、算術平均粗さを算出した。
実施例1
ITO蒸発原料18には、(株)高純度化学研究所製のITO粉粒体(Snの含有量は酸化物換算で5wt%)を使用した。これを、カーボン製のルツボ6に充填し、真空チャンバー4の底部に設置した。
20cm角に切り出したPENフィルム(厚さ125μm;帝人デュポンフィルム(株)製Q65)をフィルム基板2に用いた。切り出したPENフィルムと同じ大きさのガラス板(厚さ2mm厚)に、前記のPENフィルムを、真空用テープで貼り付け、これを基板支持ホルダー7に設置した。この後、真空チャンバー内の圧力が2.0×10−4Paに達するまで、約2時間、真空排気装置16で排気した。
フィルム基板2を140℃に加熱したのち、圧力勾配型プラズマガン5に放電用アルゴンガスを25sccm流し、さらに、反応ガス導入口より酸素ガスを25sccm流した。次に圧力勾配型プラズマガン5の出力が3.5kWになるまで徐々に電力を印加し、圧力勾配型プラズマガン5からプラズマビーム11を発生させてITO蒸発原料18に照射し、ITO蒸発原料18を加熱して蒸発させた。なお、圧力勾配型プラズマガン5には、圧力勾配型ホロカソードプラズマガンを用いた。このとき、真空チャンバー4の内部の圧力が0.1Paとなるように真空排気装置16の排気を制御した。放電、圧力、ITO蒸発原料18の蒸発が安定した後、図示しないシャッターを40秒間開け、フィルム基板2にITO透明導電膜を成膜した。
得られたITO透明導電膜付きフィルムの外観は良好で、目視検査ではクラックなどの外観不良はなかった。
ITO透明導電膜1の厚さは117nmであり、ITO透明導電膜1のシート抵抗値は10.2Ω/□で、比抵抗は1.2×10−4Ω・cmと、著しく抵抗の低い膜であった。
JIS R 3220の碁盤目試験でこのITO透明導電膜付きフィルムのITO透明導電膜とPENフィルムとの密着性を調べたところ、ITO透明導電膜の剥離はまったくなく、密着性は良好であった。
また、本実施例のITO透明導電膜付きフィルムは湾曲することが無く、ITO透明導電膜に内部応力はほとんどなかった。
また、波長550nmでの光の透過率は81%と高く、透明性は良好であった。このITO透明導電膜1の表面の算術平均粗さRa(i)は5.0nmであり、成膜前のPENフィルムのRa(f)(=3.4nm)に対し、1.6nmの増加であった。なお、表面粗さ曲線は、原子間力顕微鏡を用いて測定した。
実施例2
基板温度を120℃、放電用アルゴンガス流量を20sccm、酸素ガスを30sccmとし、その他は実施例1と同じ条件でITO蒸発原料18を蒸発させ、同じ時間成膜した。
得られたITO透明導電膜の厚さは114nmであり、シート抵抗値は12.1Ω/□で、比抵抗は1.4×10−4Ω・cmと、実施例1に比べて若干劣るものの、高い導電性を示した。波長550nmでの光の透過率は81%で透明であった。
この膜の表面の算術平均粗さRaは3.9nmであり、成膜前のPENフィルムの算術平均粗さRa(f)(=3.4nm)に比べて、0.5nmの増加であった。
実施例3
実施例1で使用した装置、PENフィルムを使用し、基板温度を90℃として、実施例1と同じ条件でITO蒸発原料を蒸発させ、同じ時間成膜した。得られた膜の厚さは119nm、シート抵抗値は19.9Ω/□で、比抵抗は2.4×10−4Ω・cmであった。波長550nmでの光の透過率は80%で透明であった。この膜の表面の算術平均粗さRaは3.7nmであり、成膜前のPENフィルムのRa値(3.4nm)に比べて、0.3nmの増加で、非常に平滑であった。
比較例1
実施例1で使用した装置、PENフィルムで、基板温度を150℃として、実施例1と同じ条件でITO蒸発原料を蒸発させ、同じ時間成膜した。得られた膜は、目視で確認できるクラックが多数生じており、膜厚や抵抗特性の測定ができず、透明導電膜としては使用できない特性のものであった。
比較例2
実施例1で使用した装置、PENフィルムで、基板温度を70℃として、実施例1と同じ条件でITO蒸発原料を蒸発させ、同じ時間成膜した。得られた膜のRa値は3.7nmであり、成膜前のPENフィルムのRa値(3.4nm)に比べて0.3nmのみの増加で非常に平滑であったが、膜の比抵抗は3.6×10−4Ω・cmと導電性に乏しく、また、波長550nmでの光の透過率は75%と低く、わずかに褐色を帯びていた。
比較例3
実施例1で使用した装置、PENフィルムで、放電用アルゴンガス流量を25sccm、酸素ガスを12.5sccmと、アルゴンガスに対する酸素ガスの流量比を0.5として、他の条件は実施例1と同じ条件でITOを成膜した。得られた膜を顕微鏡で観察したところ微細なクラックがわずかに生じており、また、波長550nmでの光の透過率は79%と低く、わずかに褐色を帯びていた。
Figure 2006147235
PENを主とするフィルム基板に成膜したITO透明導電膜の構成を示す断面の概略図である。 プラズマガンを用いたイオンプレーティング法(圧力勾配型プラズマガンを使用する活性化反応蒸着法)の装置概略図である。
符号の説明
1 ITO透明導電膜
2 PENを主とするフィルム基板
3 ITO透明導電膜付きフィルム
4 真空チャンバー
5 圧力勾配型プラズマガン
6 ルツボ
7 基板支持ホルダー
8 Ta製のパイプ
9 LaB製の円盤
10 放電用アルゴンガス
11 プラズマビーム
12 基板加熱用ヒーター
13 温度計
14 酸素ガス導入ノズル
15 酸素ガス
16 真空排気装置
17 真空計
18 ITO蒸発原料
19 集束コイル
20 磁石
21 プラズマ雰囲気

Claims (3)

  1. フィルム基板にITO透明導電膜が成膜されてなるITO透明導電膜付きフィルムにおいて、フィルム基板はポリエチレンナフタレートを主とするフィルム基板であり、ITO透明導電膜は、プラズマガンを用いるイオンプレーティング法で、成膜時のフィルム基板の温度を90℃〜145℃の温度範囲に保って成膜されたものであり、該ITO透明導電膜の比抵抗が1.1×10―4〜3.0×10―4Ω・cmの範囲にあることを特徴とするITO透明導電膜付きフィルム。
  2. ITO透明導電膜の算術平均粗さRa(i)が、フィルム基板の算術平均粗さRa(f)に対し、Ra(i)−Ra(f)≦2nmであることを特徴とする請求項1に記載のITO透明導電膜付きフィルム
  3. ITO透明導電膜を成膜するときの酸素ガスの導入量を、プラズマを発生させるためにプラズマガンに導入するアルゴンガスの導入量に対して、容積比で0.8倍以上4倍以下とすることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のITO透明導電膜付きフィルムの作製方法。
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