JP2006272589A - ガスバリア性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、低コストで高度なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムおよびかかるガスバリア性フィルムを簡便かつ安定して製造することができる方法を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明のガスバリア性フィルムは、高分子フィルム上に無機化合物層を2層以上有するフィルムであって、該無機化合物層間に酸化金属珪素化合物層を有することを特徴とするものである。
また、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、高分子フィルムを巻き出したのち、次いで、金属を蒸気化し、該フィルム表面上に該金属蒸気を用いて無機化合物層を形成し、その後、該高分子フィルムからの2層目以降の無機化合物層を有機Si含有ガスプラズマ雰囲気中で形成することを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、高分子フィルム上に無機化合物層を有するフィルムおよびその製造方法に関し、特に、高分子フィルム上に無機化合物の層を有する無機化合物蒸着フィルムに関する。
従来から、プラスチック基材の表面に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等の無機物(無機酸化物を含む)を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機物の蒸着膜を形成してなるガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品、医薬品および工業用品等の種々の物品を包装するために用いられている。
包装用蒸着フィルムのガスバリア性向上のため、蒸着膜形成後の蒸着膜表面を処理する種々の方法が用いられている。例えば、フィルム基材上にPVD法あるいはCVD法により金属酸化物層を形成し、その上に無機・有機ハイブリッドポリマー層を積層する方法がある(例えば、特許文献1)、また、フィルム基材上に酸化アルミニウムと酸化ケイ素の混合物を蒸着する方法(例えば、特許文献2)、無機の蒸発源が無機の蒸発種を発生してる間にオルガノシリコンガスを流入する方法(例えば、特許文献3)、基材に無機酸化物を蒸着した後、有機物をコーティングし、さらに無機酸化物を蒸着する方法(例えば、特許文献4)、基材上に酸化ケイ素を蒸着する方法(例えば、特許文献5)が提案されている。
特開2002−46209号公報([0015]〜[0091]段落)
特開平10−95067号公報([0028]〜[0034]段落)
特開平4−251736号公報([0008]〜[0009]段落)
特開2003−181973号公報([0010]〜[0020]段落)
特開2003−299339号公報([0008]〜[0010]段落)
しかしながら、上述のような無機蒸着膜の表面にハイブリッドポリマーを形成、フィルム基材上に酸化アルミニウムと酸化ケイ素の混合物を蒸着、無機の蒸発源が無機の蒸発種を発生してる間にオルガノシリコンガスを流入しても、高バリア性を有するガスバリア性フィルムを安定して製造することは困難であるというのが実状であった。また、基材に無機酸化物を蒸着した後、有機物をコーティングし、さらに無機酸化物を蒸着、基材上に酸化ケイ素を蒸着してもコストが高くなると言うのが実状であった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、低コストで高度なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムおよびかかるガスバリア性フィルムを簡便かつ安定して製造することができる方法を提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のガスバリア性フィルムは、高分子フィルム上に無機化合物層を2層以上有するフィルムであって、該無機化合物層間に酸化金属珪素化合物層を有することを特徴とするものである。
また、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、高分子フィルムを巻き出したのち、次いで、金属を蒸気化し、該フィルム表面上に該金属蒸気を用いて無機化合物層を形成し、その後、該高分子フィルムからの2層目以降の無機化合物層を有機Si含有ガスプラズマ雰囲気中で形成することを特徴とするものである。
本発明によれば、例えば、食品、医薬品および工業用品等の種々の物品を包装するために有用なガスバリア性フィルムを安価に提供することができる。
本発明は、前記課題、つまり低コストで高度なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムおよびかかるガスバリア性フィルムを簡便かつ安定して製造することができる方法について、鋭意検討し、1層目の無機化合物層を有する高分子フィルムの2層目以降の無機化合物層を、該1層目の無機化合物層の上に、有機Si含有ガスプラズマ雰囲気中で形成してみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。すなわち、1層目の無機化合物層として例えばアルミニウムの蒸着膜を形成しておいて、これに有機Si含有ガスプラズマ雰囲気中で2層目以降の無機化合物層を形成してみたところ、層間に酸化アルミ珪素化合物層が形成されていることを究明したものである。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明のガスバリア性フィルムは、高分子フィルム上に無機化合物層を2層以上有するフィルムであって、該無機化合物層間に酸化金属珪素化合物層を有するものである。
具体的には、1層目の無機化合物層として例えばアルミニウムの蒸着膜を形成しておいて、これに有機Si含有ガスプラズマ雰囲気中で2層目以降の無機化合物層を形成すると、該無機化合物層間にAl原子濃度が15〜40atm%、O原子濃度が40〜70atm%、Si原子濃度が5〜40atm%である酸化アルミ珪素化合物層が形成される。
本発明において、原子濃度の値は、「電子顕微鏡利用の基礎(共立出版株式会社)p.113〜118」「医学・生物学 電子顕微鏡観察法(丸善株式会社)p.300〜319」記載の方法にしたがって測定することができる。
すなわち、高分子フィルムを含む層全体をミクロトームを用いた超薄切片法により切り取り分析電子顕微鏡により分析する。Si濃度は膜内部のSiの量を定量的に表し、その値が高いほど、膜内部にSi原子が導入され、緻密化するので、酸素などガスが透過しにくくなり、全体として、高ガスバリア性が達成できる。また、本発明の目的とするガスバリア性、透明性などの特性を備えているのであれば、他の原子を含有していてもかまわない。
本発明の2層目の酸化金属珪素化合物層とは、1層目の無機化合物層の無機物として金属のアルミニウムを用いた場合、高分子フィルム側から分析したSi濃度が1atm%以上となったところから、Al濃度が1atm%以下になったところまでの範囲の層のことをいう。Al、O、Siの原子濃度とは、2層目の酸化金属珪素化合物中でAl濃度が最大値の半分になるところのAl、O、Siの原子濃度のことをいい、Al、O、Siの原子濃度の合計を100atm%としたときの値のことをいう。
本発明にかかる酸化金属珪素化合物層は、1層目の無機化合物層の無機物として金属のアルミニウムを用いた場合、ガスバリア性向上の観点から、分析電子顕微鏡で測定した該酸化金属珪素化合物層中のAlの値が15atm%以上、Oの値が40atm%以上,Siの値が5atm以上であることが必要である。Alの値は、酸化アルミニウム中の欠陥に有機Si含有化合物およびその分解物を導入してガス透過を抑える観点から、40atm%以下であることが必要であり、好ましくは38atm%以下である。また、分析電子顕微鏡で測定したAlの値が15atm%より少ない、Oの値が70atm%以上,Siの値が40atm以上となると酸化アルミニウム内の欠陥量が増え有機Si含有化合物による欠陥の封止ができないので、ガスの透過を抑えることが出来ず高ガスバリア性が達成できない。
本発明にかかる無機化合物層の無機物は蒸気化できる無機物であれば特に限定されない。蒸気化して用いる無機物としては、本発明の目的の範囲内であれば、特に限定されないが、例えば、珪素、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、それらの酸化物およびこれらの混合物が用いられる。好ましくはアルミニウムが用いられる。
高分子フィルム上に無機化合物層を形成する方法は特に限定されず、例えば、アルミニウム等の金属等を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって、形成することができる。好ましくは真空蒸着法である。上記において、蒸着原料の加熱方式としては、例えば、エレクトロンビーム(EB)方式、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式等が用いられる。さらに、蒸着原料として無機物単体を蒸着する場合には、酸素ガスを導入しながら蒸着することで無機化合物層を形成することが出来る。蒸着原料として酸化物を蒸着する場合には、酸素ガスの導入は不要である。
有機Si含有化合物とは分子内部にSiを含有する化合物のことをいい、例えば、シラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシラン、ジエチルシラン、トリエチルシラン、テトラエチルシラン、プロポキシシラン、ジプロポキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ウンデカメチルシクロヘキサシロキサン、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、デカメチルシクロペンタシラザン、ウンデカメチルシクロヘキサシラザンなどがあげられるが、Si含有化合物であれば特に限定されるものではない。安全性、取り扱いなどから、好ましくは、ヘキサメチルジシロキサン、テトラエトキシシランが用いられる。また、有機Si含有化合物はそれぞれ予め公知の方法により、分解して導入しても良い。
未反応基を減少させる上で有効な加熱処理(例えば、60℃で2日間程度)やコロナ処理、あるいは酸素ガスや水蒸気を用いたプラズマ処理を行う方法などが好ましい。これらの処理は蒸着機内で行っても良い。
高分子フィルム上に形成する無機化合物層の厚みは素材により一概に言えないが、例えば、0.002〜0.3μmが好ましく、より好ましくは、0.003〜0.2μm、さらに好ましくは0.005〜0.01μmがよい。無機化合物の膜厚がかかる好ましい範囲であると、その膜の柔軟性を保てるので、膜にクラック等が発生しにくくなり、酸素ガス、水蒸気ガスによる膜の修復が容易となる。また、ピンホール等の影響が小さく、酸素分子の透過を無機化合物によって十分に阻止でき高バリア性を維持できるので好ましい。
本発明に使用する高分子フィルムとしては、有機高分子化合物からなるフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール等の各種ポリマからなるフィルムを使用することができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムである。高分子フィルムを構成するポリマは、ホモポリマー、コポリマーのいずれでもよいし、また、単独またはブレンドして用いることができる。
また、高分子フィルムとして、単層フィルム、あるいは、2層以上の共押し出し法で製膜したフィルムや、一軸方向あるいは二軸方向に延伸されたフィルム等を使用することができる。
本発明に使用する高分子フィルムの厚さは特に限定されないが、無機化合物を形成する時の安定性等から、5〜100μmが好ましく、より好ましくは、7〜60μmである。
本発明に使用する高分子フィルムには、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加したフィルム等も用いることができる。
本発明のガスバリア性フィルムは、包装材料、包装体、電子材料の一部として用いる観点からは、酸素透過率は1.0cc/m2・atm・24h以下であることが好ましい。より好ましくは0.8cc/m2・atm・24h以下、かつ、水蒸気透過率は、1.0g/m2・24h以下であることが好ましく、より好ましくは0.8g/m2・24h以下、更に好ましくは0.5g/m2・24h以下である。
次に、本発明のガスバリア性フィルムを製造する方法の一例を具体的に説明する。
巻き取り式真空蒸着装置を使用し、高分子フィルムを基材とし、真空蒸着装置の巻き取り室から、高分子フィルムを巻き出し、巻き出し側のガイドロールを介して、クーリングドラムに導入する。アルミニウムワイヤーをボートに導入して、抵抗加熱方式によりアルミニウムを蒸気化し、酸素を導入することで、導入された高分子フィルムの片面に無機化合物の蒸着膜を形成する。その後、巻き取り側のガイドロールを介して、巻き取りロールに巻き取る。 その後、巻き取ったロールを取り出し、有機Si含有ガスプラズマ中で処理を行う。このとき、枚葉式で処理を行っても良いし、ロール状態で処理を行っても良い。また、有機Si含有ガスプラズマでの処理は、真空蒸着装置内で巻き取るまでの間に行っても良いし、酸素、有機Si含有ガスをアルミ蒸気中に導入しても良い。その際、事前に混合し、プラズマ状態にして導入しても良い。酸化アルミニウム加熱して酸素、アルミニウム蒸気を形成しても良い。
高分子フィルム上に無機化合物層を形成する方法は特に限定されず、例えば、アルミニウム等の金属等を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって、形成される。このようにして形成された膜中には欠陥が存在するためガス透過が完全には阻止できず、ガスバリア性には限界がある。そのため、本発明では、有機Si含有化合物ガスプラズマで欠陥を塞ぎ、有機Si化合物あるいはその分解物が酸化アルミニウム中に入り込むことで高ガスバリア性が達成できる。
高分子フィルムを巻き出した後、金属を蒸気化し、フィルム表面上に1層目の無機化合物層を形成し、その後、2層目の無機化合物層を有機Si含有ガスプラズマ雰囲気中で形成する。
本発明の方法で製造されたフィルムは、例えば、他の樹脂フィルム、紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせ、ラミネートして種々の積層体を製造することもできる。これらの積層体は、例えば、種々の物品を包装するのに適した包装材料あるいは電子材料用の基板として用いることができる。
上記した他の樹脂フィルムとしては、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等、いずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、数μmから数100μmの範囲から選択して使用することができる。また、そのフィルム性状は、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状でもよい。使用する樹脂素材は特に限定されず、具体的な素材としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体、エチレンアクリル酸またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリルブタジェンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、等から任意に選択して使用することができる。
また、上記した紙基材としては、坪量80〜600g/m2 のものが好ましく、より好ましくは、坪量10〜450g/m2 のものを使用することが望ましい。具体的には、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
また、上述の金属素材としては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、アルミニウム蒸着膜を有する樹脂フィルム等を使用することができる。
本発明の製造方法で得られるガスバリア性フィルムを用いて積層体を得る方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法で好ましく製造される。
本発明の製造方法で得られたフィルムの表面に、必要に応じて、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を施した上で、ポリエステル系、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他のラミネート用接着剤等を使用して、公知の包装材料をラミネートする方法等により製造することができる。ここで、ラミネート方法は特に限定されず、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、共押し出しインフレーション法、その他の方法等を使用することができる。
次に、積層体を使用して、製袋ないし製函する方法について説明する。例えば、包装用容器として高分子フィルム等からなる軟包装袋を形成する場合、上記のような方法で製造した積層体を使用し、その内層のヒートシール性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒートシールしてシール部を設けて袋体を構成することができる。また、その製袋方法としては、積層体を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装用容器を製造することもできる。その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、上記の積層体を使用してチューブ容器等を製造することもできる。ここで、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。なお、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピースタイプ、ツウーピースタイプ、その他の注出口、あるいは開閉用ジッパー等を任意に取り付けることができる。
また、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器を製造する場合、例えば、積層体として、本発明の製造方法で得られたガスバリア性フィルムに紙基材を積層した積層体を製造し、該積層体から所望の紙容器を製造するブランク板を製造後、このブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲーベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。また、その容器の形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
本発明の製造方法で得られたガスバリア性フィルムを使用した容器は、酸素ガス等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネート加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性に優れ、また、バリア性膜としての無機物の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、食品、医薬品、洗剤、シャンプー、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の包装適性、保存適性等に優れているものである。
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明を説明する。なお、製造したフィルムの特性は下記の条件下で測定した。
A.高分子フィルム上の無機化合物層のAl濃度、O濃度およびSi濃度の測定方法)
表面分析技術選書 透過型電子顕微鏡(日本表面科学会偏、丸善株式会社)記載の方法にしたがって測定した。すなわち、高分子フィルムを含む層全体をミクロトームを用いた超薄切片法により切り取り分析電子顕微鏡により分析した。透過型電子顕微鏡を用いて膜厚を測定後、膜内部のAl、O、Siの特性X線の発生量を測定し、各元素の濃度に換算した。各層の原子濃度の値は、「電子顕微鏡利用の基礎(共立出版株式会社)p.113〜118」「医学・生物学 電子顕微鏡観察法(丸善株式会社)p.300〜319」記載の方法にしたがって測定することができる。測定条件は以下の通りとした。
・装置:走査透過型電子顕微鏡(HRSTEM)(VG社製HB501)EDX:KEVEX DELTAplus定量トータルシステム エネルギー分散型X線分析計(Si<Li>半導体検出器、UTW型)
・測定条件 加速電圧:100kV 試料吸収電流:10−9A 計測時間:100sec 。
表面分析技術選書 透過型電子顕微鏡(日本表面科学会偏、丸善株式会社)記載の方法にしたがって測定した。すなわち、高分子フィルムを含む層全体をミクロトームを用いた超薄切片法により切り取り分析電子顕微鏡により分析した。透過型電子顕微鏡を用いて膜厚を測定後、膜内部のAl、O、Siの特性X線の発生量を測定し、各元素の濃度に換算した。各層の原子濃度の値は、「電子顕微鏡利用の基礎(共立出版株式会社)p.113〜118」「医学・生物学 電子顕微鏡観察法(丸善株式会社)p.300〜319」記載の方法にしたがって測定することができる。測定条件は以下の通りとした。
・装置:走査透過型電子顕微鏡(HRSTEM)(VG社製HB501)EDX:KEVEX DELTAplus定量トータルシステム エネルギー分散型X線分析計(Si<Li>半導体検出器、UTW型)
・測定条件 加速電圧:100kV 試料吸収電流:10−9A 計測時間:100sec 。
B.(酸素透過率の測定方法)
温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名、“オキシトラン”(OXTRAN2/20))を使用して測定した。測定面積は50cm2とした。
温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名、“オキシトラン”(OXTRAN2/20))を使用して測定した。測定面積は50cm2とした。
C.(水蒸気透過率の測定方法)
温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(機種名、“パーマトラン”W3/31)を使用して測定した。測定面積は50cm2とした。
温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(機種名、“パーマトラン”W3/31)を使用して測定した。測定面積は50cm2とした。
(実施例1)
図1に示す装置構造の巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー(R)12T705)を基材とし、その片面に、アルミニウムを蒸着源に用いて抵抗加熱方式によりアルミニウムを蒸気化し、1層目の無機化合物層を形成した。その後、図2に示す枚葉式真空蒸着装置を使用し、有機Si含有ガスプラズマを導入して2層目以降の無機化合物を設けたガスバリア性フィルムを製造した。
図1に示す装置構造の巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー(R)12T705)を基材とし、その片面に、アルミニウムを蒸着源に用いて抵抗加熱方式によりアルミニウムを蒸気化し、1層目の無機化合物層を形成した。その後、図2に示す枚葉式真空蒸着装置を使用し、有機Si含有ガスプラズマを導入して2層目以降の無機化合物を設けたガスバリア性フィルムを製造した。
図1は1層目の無機化合物層を形成する製造方法を実施するための巻き取り式真空蒸着装置の一例の概略を模式的に示す装置構成図である。まず、巻き取り式真空蒸着装置1の巻き取り室2の中で、巻き出しロール6に高分子フィルム16をセットし、巻出し、ガイドロール8、9、10を介して、クーリングドラム16に通す。ボート5上にはアルミニウム等のワイヤーが導入されていて、ボート5上からアルミニウムが蒸発され、巻き出し側ガス導入装置14、巻き取り側ガス導入装置15から酸素ガスを導入するので、このクーリングドラム17上の位置において高分子フィルム16の表面上に1層目の無機化合物が形成される。その後、この無機化合物が形成された高分子フィルム16を、ガイドロール13、12、11を介して、巻き取りロール7に巻き取る。
図2は2層目以降の無機化合物層を形成する製造方法を実施するための枚葉式真空蒸着装置の一例の概略を模式的に示す装置構成図である。まず、1層目の無機化合物を形成した高分子フィルムをロールからシート状に切り出し、ホルダ6にセットし、有機Si含有ガスをプラズマ電極内に導入し、有機Si含有ガスプラズマを発生させ、1層目の無機化合物層上に2層目、3層目の無機化合物が形成される。
2層目以降の無機化合物を形成する際、窒素ガスを0.35L/min、ヘリウムガスを0.3L/min、有機Si含有化合物として、デカメチルシクロペンタシロキサンを50cc/min導入し、プラズマ投入電力を200Wとした。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
有機Si含有化合物にメトキシシランを用い、プラズマ投入電力を300Wにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの無機化合物の23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
有機Si含有化合物にメトキシシランを用い、プラズマ投入電力を300Wにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの無機化合物の23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
有機Si含有化合物にヘキサメチルジシロキサンを30cc/min、プラズマ投入電力を600W、ヘリウムガスを0.2L/minにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
有機Si含有化合物にヘキサメチルジシロキサンを30cc/min、プラズマ投入電力を600W、ヘリウムガスを0.2L/minにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
有機Si含有化合物にテトラエトキシシランを10cc/min、プラズマ投入電力を100W、窒素ガスを0.3L/minにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
有機Si含有化合物にテトラエトキシシランを10cc/min、プラズマ投入電力を100W、窒素ガスを0.3L/minにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
有機Si含有化合物にメトキシシランを30cc/min、窒素ガスのかわりに酸素ガスを0.65L/min、ヘリウムガスの導入をしない、プラズマ投入を1000Wにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
有機Si含有化合物にメトキシシランを30cc/min、窒素ガスのかわりに酸素ガスを0.65L/min、ヘリウムガスの導入をしない、プラズマ投入を1000Wにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
有機Si含有化合物にオクタメチルシクロテトラシロキサンを100cc/min、プラズマ投入電力を100W、窒素ガスを1L/minにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
有機Si含有化合物にオクタメチルシクロテトラシロキサンを100cc/min、プラズマ投入電力を100W、窒素ガスを1L/minにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
有機Si含有化合物にジエトキシシランを5cc/min、窒素ガスを0.5L/min、プラズマ投入電力を400Wにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの無機化合物の23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度、を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
有機Si含有化合物にウンデカメチルシクロヘキサシロキサンを60cc/min、窒素ガスを0.4L/min、ヘリウムガスを0.5L/min、プラズマ投入電力を1500Wにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
有機Si含有化合物にジエトキシシランを5cc/min、窒素ガスを0.5L/min、プラズマ投入電力を400Wにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの無機化合物の23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度、を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
有機Si含有化合物にウンデカメチルシクロヘキサシロキサンを60cc/min、窒素ガスを0.4L/min、ヘリウムガスを0.5L/min、プラズマ投入電力を1500Wにした以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
得られたガスバリア性フィルムの23℃ 0%RHでの酸素透過率および水蒸気透過率、2層目の酸化金属珪素化合物層中のAl、O、Si原子濃度を測定した。結果を表1に示す。
ガスバリア性フィルムは、酸素ガス、水蒸気等に対する高ガスバリア性を有し、例えば、食品、医薬品および工業用品等の種々の物品を包装するために有用である。
1:巻き取り式真空蒸着装置
2:巻き取り室
3:蒸着室
4:隔壁
5:ボート
6:巻き出しロール
7:巻き取りロール
8、9、10:巻き出し側のガイドロール
11、12、13:巻き取り側のガイドロール
14:巻き出し側酸素導入装置
15:巻き取り側酸素導入装置
16:高分子フィルム(基材フィルム)
17:クーリングドラム
18:枚葉式真空蒸着装置
19:プラズマ電極
20:試料ホルダ
21:ガスバリ性フィルム
22:有機Si含有ガス導入ノズル
23:有機Si含有ガス発生装置
2:巻き取り室
3:蒸着室
4:隔壁
5:ボート
6:巻き出しロール
7:巻き取りロール
8、9、10:巻き出し側のガイドロール
11、12、13:巻き取り側のガイドロール
14:巻き出し側酸素導入装置
15:巻き取り側酸素導入装置
16:高分子フィルム(基材フィルム)
17:クーリングドラム
18:枚葉式真空蒸着装置
19:プラズマ電極
20:試料ホルダ
21:ガスバリ性フィルム
22:有機Si含有ガス導入ノズル
23:有機Si含有ガス発生装置
Claims (6)
- 高分子フィルムの少なくとも片面に無機化合物層を2層以上有するフィルムであって、該無機化合物層間に酸化金属珪素化合物層を有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
- 前記無機化合物層が、一方が酸化アルミニウムからなる層であり、他方が酸化珪素からなる層である請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記酸化金属珪素化合物層が、酸化アルミ珪素化合物層であり、かつ、Al原子濃度が15〜40atm%、O原子濃度が40〜70atm%、Si原子濃度が5〜40atm%である請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記高分子フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
- 高分子フィルムを巻き出したのち、次いで、金属を蒸気化し、該フィルム表面上に該金属蒸気を用いて無機化合物層を形成し、その後、該高分子フィルムからの2層目以降の無機化合物層を有機Si含有ガスプラズマ雰囲気中で形成するガスバリア性フィルムの製造方法。
- 該金属が、アルミニウムである請求項5に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2005091126A JP2006272589A (ja) | 2005-03-28 | 2005-03-28 | ガスバリア性フィルムおよびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014515787A (ja) * | 2011-04-18 | 2014-07-03 | フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ | 透明なバリア層系を析出する方法 |
JP2014517144A (ja) * | 2011-04-18 | 2014-07-17 | フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ | 透明なバリア層系を析出する方法 |
JPWO2012133638A1 (ja) * | 2011-03-30 | 2014-07-28 | 三井金属鉱業株式会社 | 多層プリント配線板の製造方法及びその製造方法で得られる多層プリント配線板 |
JP2015175046A (ja) * | 2014-03-17 | 2015-10-05 | 凸版印刷株式会社 | セラミック層蒸着フィルムの製造方法、及びセラミック層蒸着フィルム |
-
2005
- 2005-03-28 JP JP2005091126A patent/JP2006272589A/ja active Pending
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