JP5292992B2 - ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、高ガスバリア性、高透明性が必要とされる包装分野に用いられ、例えば、食品、医薬品の包装用フィルムとして使用されるガスバリア性フィルムを製造する方法に関する。
従来から、高分子フィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等の無機物(無機酸化物を含む)を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機物の蒸着膜を形成してなるガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品、医薬品および工業用品等の種々の物品を包装するために用いられている。
包装用蒸着フィルムのガスバリア性向上のため、蒸着膜形成後の蒸着膜表面を処理する種々の方法が用いられている。例えば、高分子フィルム上にPVD法あるいはCVD法により金属酸化物層を形成し、その上に無機・有機ハイブリッドポリマー層を積層する方法がある(例えば、特許文献1)。また、高分子フィルム上に酸化アルミニウムまたは酸化珪素を形成し、その上にアクリル系重合物からなるガスバリア性被膜層を真空中において順次積層する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2002-46208号公報 特開2007-30184号公報
しかしながら、上述のような金属酸化物層の表面にハイブリッドポリマーを形成する方法は、金属酸化物層を蒸着機で形成する蒸着工程とハイブリッドポリマー層を塗工装置で形成するコート工程の2つの工程に分けて製造する必要があり、製造工程増加に伴うコスト増加が課題となっていた。また、真空中で蒸着薄膜層とアクリル系重合物からなるガスバリア性被膜層を順次積層する方法は、ガスバリア性被膜層の膜質、膜構造を安定的に制御することが困難であるため、高速成膜できない問題があった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、低コストで高度なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムを製造する方法を提供するものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、高分子フィルムの少なくとも一方の表面に1層以上の無機酸化物からなる蒸着薄膜層を形成する工程と、次いで、該無機酸化物からなる蒸着薄膜層の上に、ジメチルポリシロキサンを含むポリマーを加熱気化させてなる未硬化のポリマー薄膜層を厚み5nm〜30nmで形成する工程と、次いで、該ポリマー薄膜層にプラズマを照射してポリマーを硬化させる工程と、を同一真空容器内で行うものである。
本発明によれば、酸素ガス、水蒸気等に対する高ガスバリア性を有するガスバリア性フィルムであるから、例えば、食品、医薬品および工業用品等の種々の物品を包装するために有用なガスバリア性フィルムを安価に提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。図1は、本実施の形態にかかるガスバリア性フィルムの構造を示す断面図である。本発明におけるガスバリア性フィルムは、図1に示すように、高分子フィルム21の表面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層22とガスバリア性ポリマー薄膜層23とを、厚み方向に順次積層したものである。
本発明に使用する高分子フィルム21としては、有機高分子化合物からなるフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール等の各種ポリマーからなるフィルムを使用することができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムである。高分子フィルムを構成するポリマーは、ホモポリマー、コポリマーのいずれでもよいし、また、単独またはブレンドして用いることができる。
また、高分子フィルムとして、単層フィルム、あるいは、2層以上の共押し出し法で製膜したフィルムや、一軸方向あるいは二軸方向に延伸されたフィルム等を使用することができ、さらに、無機蒸着層を形成する側の表面には、密着性を良くするために、コロナ処理、イオンボンバード処理、溶剤処理などが施されていても構わない。
本発明に使用する高分子フィルムの厚さは特に限定されないが、無機酸化物を形成する時の安定性等から、5〜100μmが好ましく、より好ましくは、7〜60μmである。
本発明に使用する高分子フィルムには、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加したフィルム等も用いることができる。
また、本発明における蒸着薄膜層22としては、本発明の目的の範囲内であれば、特に限定されないが、例えば、珪素、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、それらの酸化物およびこれらの混合物が用いられる。好ましくはアルミニウムが用いられる。
高分子フィルム上に蒸着薄膜層を形成する方法は特に限定されず、例えば、アルミニウム等の金属等を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって、形成することができる。好ましくは真空蒸着法である。上記において、蒸着原料の加熱方式としては、例えば、エレクトロンビーム(EB)方式、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式等が用いられる。
本発明に使用する蒸着薄膜層の厚さは特に限定されないが、蒸着薄膜層のガスバリア性が発現する厚さとして5〜300nmが好ましく、より好ましくは、5〜30nmである。
また、本発明にかかるガスバリア性フィルムは、前記蒸着薄膜層の表面に少なくとも1層以上のジメチルポリシロキサンを含むポリマー薄膜層3を積層することが必要である。
発明者らの鋭意検討の結果、ジメチルポリシロキサンを含むポリマーを加熱気化させてなる未硬化のポリマー薄膜層に、プラズマを照射して硬化させることにより、ガスバリア性を改善することができることが分かった。
ここで、ジメチルポリシロキサンとは、以下の化学式(化1)で表され、シリコーンの主鎖が結合力の高い珪素と酸素の分子構造であり、側差にはメチル基が結合した分子構造であることから、熱に対して非常に安定であり、低毒性が特徴である。ここで、使用するジメチルポリシロキサンの粘度範囲は好ましくは5cs以上であるが、食品、医薬品の包装用途としてFDA(番号175.300)に遵守する粘度範囲として、さらに好ましくは100cs以上である。
Figure 0005292992
また、本発明におけるガスバリア性ポリマー薄膜層23の厚さは、好ましくは1〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。すなわち1nmより小さい場合は、ポリマー薄膜層が形成されない部分が発生するためガスバリアとして十分に機能しない。また、100nmより大きい場合は、酸素プラズマを照射してもポリマー薄膜層が十分に硬化せず、未硬化部分のポリマー薄膜層と高分子フィルムが接着し、後工程の巻き出し時にフィルム切れが発生する原因となる。
本発明において、蒸着薄膜層の表面にポリマー薄膜層を形成する方法は、真空中において加熱して蒸散するものであれば、点状もしくは細いスリット状のノズルから加熱した物質を蒸散・噴霧する方法などを使用することができる。従って、真空蒸着法でポリマー薄膜層を形成する場合、真空蒸着機内にポリマー薄膜形成工程を設けられるため生産性が良い利点があり、かつ均一性の高いポリマー薄膜形成ができて好ましい。
また、未硬化のポリマー薄膜層を硬化させる前記プラズマ処理は、プラズマガスとしてガスの種類は特に限定されないが、例えば、O、Ar、CO、COなどが挙げられる。特に好ましくはOやAr、あるいはこれらの1種以上を含む混合ガスである。
次に、本発明のガスバリア性フィルムを製造する方法の一例を具体的に説明する。巻き取り式真空蒸着装置を使用し、高分子フィルムを基材とし、真空蒸着装置の巻き取り室から、高分子フィルムを巻きだし、巻き出し側のガイドロールを介して、クーリングドラムに導入する。アルミニウムワイヤーをボートに導入して、抵抗加熱方式によりアルミニウムを蒸気化し、酸素を導入することで、酸化アルミニウム膜層を形成する。ここで、アルミニウム自身を蒸気化しアルミニウム蒸気を形成しても良いし、酸化アルミニウムを加熱して酸素、アルミニウム蒸気を形成しても良い。また、アルミニウム蒸気はプラズマ化されていても良い。
引き続き冷却ドラムの後に、細いスリット状のノズルを設けた容器を配置し、その中にあるジメチルポリシロキサンを含むポリマーを加熱し、蒸散、噴霧させる。このノズルを高分子フィルムに向けることで、表面に未硬化のポリマー薄膜層が形成される。
次に、未硬化のポリマー薄膜層を形成した面に真空中にてプラズマ処理を行い、ポリマー薄膜層を硬化させる。これを巻き取り側のガイドロールを介して、巻き取りロールに巻き取る。
高分子フィルム上に無機化合物層を形成する方法は特に限定されず、例えば、アルミニウム等の金属等を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって、形成される。このようにして形成された膜中には欠陥が存在するためガス透過が完全には阻止できず、ガスバリア性には限界がある。そのため、本発明では、蒸着薄膜層の表面にポリマー薄膜層を形成し、プラズマ処理によって硬化させることで、蒸着薄膜層の表面に存在する欠陥を塞ぎ、外部から浸入する酸素及び水蒸気を遮断することによって、高ガスバリア性が達成できる。
本発明の方法で製造されたフィルムは、例えば、他の樹脂フィルム、紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせ、ラミネートして種々の積層体を製造することもできる。これらの積層体は、例えば、種々の物品を包装するのに適した包装材料として用いることができる。
上記した他の樹脂フィルムとしては、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等、いずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、数μmから数100μmの範囲から選択して使用することができる。また、そのフィルム性状は、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状でもよい。使用する樹脂素材は特に限定されず、具体的な素材としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体、エチレンアクリル酸またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリルブタジェンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、等から任意に選択して使用することができる。
また、上記した紙基材としては、坪量80〜600g/mのものが好ましく、より好ましくは、坪量10〜450g/mのものを使用することが望ましい。具体的には、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
また、上述の金属素材としては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、アルミニウム蒸着膜を有する樹脂フィルム等を使用することができる。
本発明の製造方法で得られるガスバリア性フィルムを用いて積層体を得る方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法で好ましく製造される。
本発明の製造方法で得られたフィルムの表面に、必要に応じて、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を施した上で、ポリエステル系、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他のラミネート用接着剤等を使用して、公知の包装材料をラミネートする方法等により製造することができる。ここで、ラミネート方法は特に限定されず、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、共押し出しインフレーション法、その他の方法等を使用することができる。
次に、積層体を使用して、製袋ないし製函する方法について説明する。例えば、包装用容器として高分子フィルム等からなる軟包装袋を形成する場合、上記のような方法で製造した積層体を使用し、その内層のヒートシール性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒートシールしてシール部を設けて袋体を構成することができる。また、その製袋方法としては、積層体を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装用容器を製造することもできる。その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、上記の積層体を使用してチューブ容器等を製造することもできる。ここで、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。なお、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピースタイプ、ツウーピースタイプ、その他の注出口、あるいは開閉用ジッパー等を任意に取り付けることができる。
また、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器を製造する場合、例えば、積層体として、本発明の製造方法で得られたガスバリア性フィルムに紙基材を積層した積層体を製造し、該積層体から所望の紙容器を製造するブランク板を製造後、このブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲーベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。また、その容器の形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる
図2は無機化合物層を形成する製造方法を実施するための巻き取り式真空蒸着装置の一例の概略を模式的に示す装置構成図である。まず、巻き取り式真空蒸着装置1の巻き取り2の中で、巻き出しロール6に高分子フィルム16をセットし、巻出し、ガイドロール8、9、10を介して、クーリングドラム16に通す。ボート5上にはアルミニウム等のワイヤーが導入されていて、ボート5上からアルミニウムが蒸発され、巻き出し側酸素導入ノズル14、巻き取り側酸素導入ノズル15から酸素ガスを導入するので、このクーリングドラム17上の位置において高分子フィルム16の表面上に無機物からなる蒸着薄膜層が形成される。次に、ポリマーノズル18にはジメチルポリシロキサンを含むポリマーが導入されていて、ポリマーノズル18で加熱、蒸散、噴霧された未硬化のポリマーが蒸着薄膜層の表面に形成される。さらに、プラズマ電極19から酸素ガスプラズマが照射されているので、ポリマー薄膜層は硬化するとともに、ガスバリア性が付与される。その後、蒸着薄膜層とポリマー薄膜層が形成された高分子フィルム16、つまり本発明のガスバリア性フィルムを、ガイドロール13、12、11を介して、巻き取りロール7に巻き取る。
参考例1)
図2に示す装置構造の巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー(登録商標) 12T705)を基材とし、その片面に、アルミニウムを蒸着材料に用いて抵抗加熱方式によりアルミニウムを蒸気化し、酸素ガスを導入して膜厚が10nmとなるように酸化アルミニウム層を設けた。次いで、酸化アルミニウム層の表面にジメチルポリシロキサンを含むポリマー(東レダウコーニングシリコーン社製SH200、粘度100cs)を加熱気化させて未硬化のポリマー薄膜層を膜厚4nmとなるように形成した。引き続き酸素ガスを供給しながら250kHz、5kWのパルスDC電源を用いて酸素プラズマを照射し、ポリマー薄膜層を硬化させ、これを巻き取りロールに巻き取りガスバリア性フィルムを得た。上述の酸素透過率と水蒸気透過率の評価を実施したところ、酸素透過率、水蒸気透過率共に良好であった。結果を表1に示す。
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明を説明する。なお、製造したフィルムの特性は下記の条件下で測定した。
A)酸素透過率の測定方法
温度23℃、湿度0%RH、測定面積50cmの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名:OXTRAN(登録商標) 2/20)を使用して測定した。
B)水蒸気透過率の測定方法
温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cmの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(機種名:PERMATRAN(登録商標) W3/31)を使用して測定した。
(実施例1)
図2に示す装置構造の巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー(登録商標) 12T705)を基材とし、その片面に、アルミニウムを蒸着材料に用いて抵抗加熱方式によりアルミニウムを蒸気化し、酸素ガスを導入して膜厚が10nmとなるように酸化アルミニウム層を設けた。次いで、酸化アルミニウム層の表面にジメチルポリシロキサンを含むポリマー(東レダウコーニングシリコーン社製SH200、粘度100cs)を加熱気化させて未硬化のポリマー薄膜層を膜厚4nmとなるように形成した。引き続き酸素ガスを供給しながら250kHz、5kWのパルスDC電源を用いて酸素プラズマを照射し、ポリマー薄膜層を硬化させ、これを巻き取りロールに巻き取りガスバリア性フィルムを得た。
上述の酸素透過率と水蒸気透過率の評価を実施したところ、酸素透過率、水蒸気透過率共に良好であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
参考例1において、ポリマー薄膜層の膜厚を30nmとする以外は参考例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
参考例1と同様の酸素透過率と水蒸気透過率の評価を実施したところ、酸素透過率、水蒸気透過率共に良好であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
参考例1において、膜厚が10nmとなるように酸化アルミニウム層を設けた後、ポリマー薄膜層を形成せず、さらに酸素プラズマを照射せず、そのまま巻き取りロールに巻き取りガスバリア性フィルムを得た。
参考例1と同様の酸素透過率と水蒸気透過率の評価を実施したところ、いずれも参考例1、実施例2に劣る結果となった。結果を表1に示す。
(比較例2)
参考例1において、膜厚が10nmとなるように酸化アルミニウム層を設けた後、膜厚10nmの未硬化のポリマー薄膜層を形成し、酸素プラズマを照射せず、そのまま巻き取りロールに巻き取りガスバリア性フィルムを得た。
参考例1と同様の酸素透過率と水蒸気透過率の評価を実施したところ、いずれも参考例1、実施例2に劣る結果となった。結果を表1に示す。
(比較例3)
参考例1において、ポリマー薄膜層の膜厚を120nmとする以外は参考例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
参考例1と同様の酸素透過率と水蒸気透過率の評価を実施したところ、いずれも参考例1、実施例2に劣る結果となった。結果を表1に示す。
(比較例4)
参考例1において、膜厚が10nmとなるように酸化アルミニウム層を設けた後、ポリマー薄膜層を形成せず、酸素プラズマを照射し、そのまま巻き取りロールに巻き取りガスバリア性フィルムを得た。
参考例1と同様の酸素透過率と水蒸気透過率の評価を実施したところ、いずれも参考例1、実施例2に劣る結果となった。結果を表1に示す。
Figure 0005292992
ここで、実施例と比較例および参考例の対比からわかるとおり、ポリマー薄膜層によりガスバリア性を付与するためには、プラズマ照射による硬化処理が非常に重要である。
本発明に関するガスバリア性フィルムの構造を示した断面図である。 本発明のガスバリア性フィルム製造方法を実施するための巻き取り式真空蒸着装置の一例の概略を模式的に示す概略図である。
符号の説明
1:巻き取り式真空蒸着装置
2:巻き取り室
3:蒸着室
4:隔壁
5:ボート
6:巻き出しロール
7:巻き取りロール
8、9、10:巻き出し側のガイドロール
11、12、13:巻き取り側のガイドロール
14:巻き出し側酸素導入ノズル
15:巻き取り側酸素導入ノズル
16:高分子フィルム
17:クーリングドラム
18:ポリマーノズル
19:プラズマ電極
21:高分子フィルム
22:蒸着薄膜層
23:ポリマー薄膜層

Claims (1)

  1. 高分子フィルムの少なくとも一方の表面に1層以上の無機酸化物からなる蒸着薄膜層を形成する工程と、次いで、該無機酸化物からなる蒸着薄膜層の上に、ジメチルポリシロキサンを含むポリマーを加熱気化させてなる未硬化のポリマー薄膜層を厚み5nm〜30nmで形成する工程と、次いで、該ポリマー薄膜層にプラズマを照射してポリマーを硬化させる工程と、を同一真空容器内で行うガスバリア性フィルムの製造方法。
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