JP4109883B2 - 帯電装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電対象を一様に帯電させるために放電を発生する放電部材と、その放電部材を清掃する清掃手段とを備えた帯電装置、及びこの帯電装置を備えた複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放電により帯電対象を一様に帯電させる帯電装置は、従来から、画像形成装置に多く利用されている。例えば、潜像担持体である感光体の表面を一様帯電したり、転写電界を形成するために転写材を一様帯電したり、転写材搬送部材から転写材を分離させるために転写材を一様帯電したりするのに利用されている。このような帯電装置では、一般にコロナ放電が利用される。この場合、高電圧が印加されるコロナ放電電極と、そのコロナ放電電極に対向したシールド電極との間に発生する強い電界によりコロナ放電を生じさせる。そして、そのコロナ放電で発生した電荷を利用して、潜像担持体や転写材等の帯電対象を一様に帯電させ、その帯電対象を帯電又は除電する。
【0003】
コロナ放電電極等の放電部材の表面には静電的な集塵作用が働くため、浮遊するトナー等の粉塵が放電部材の表面に付着しやすい。そのため、帯電装置を長期的に使用すると、その放電部材の表面に粉塵が堆積し、これにより放電分布が不均一となって局部的な放電等が生じ、放電ムラが発生する。このような放電ムラが、例えば感光体表面を一様帯電する帯電装置で生じると、感光体表面で帯電ムラが発生し、これが画像濃度ムラとなって画像上に現われ、画質を低下させることになる。また、画像形成装置で利用される種々の帯電装置で放電ムラが生じると、画像形成装置の動作の安定性を悪化させることにもなる。
【0004】
上記のような放電ムラを低減する目的で、従来、放電部材に付着した付着物を除去するために放電部材を清掃する清掃部材を備えた帯電装置が提案されている。この帯電装置は、定期的に放電部材を清掃して放電部材に付着した付着物を除去できるので、経時的に放電ムラを低減することができる。このような帯電装置の中には、特開平6−282152号公報に開示された帯電装置のように、帯電装置の使用環境や使用状況に応じて、その清掃部材による清掃間隔を適宜設定するものも知られている。この帯電装置によれば、放電ムラが発生しやすい環境下、例えば、放電ムラが発生しやすい低湿環境下又は放電部材に付着する粉塵等が多量に浮遊しやすい環境下に応じて、適切な清掃間隔を設定できる。よって、安定して放電ムラの低減を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、本発明者による研究の結果、感光体を一様帯電する帯電装置について清掃部材により放電部材を清掃した場合、その清掃直後に中間調の画像を出力すると、画像濃度ムラが生じることが判明した。これは、放電部材を清掃した直後に放電ムラが生じていることを意味する。このような放電ムラが生じる理由は、種々考えられるが、その主な原因は次のように考えられる。
第1に、清掃部材により放電部材を清掃したときに、部分的にトナー等の粉塵が残留したことが原因であると考えられる。このように部分的にトナー等が表面に残留すると、その残留部分がきちんと除去された部分に比べて突起した状態になり、その残留部分で局所的な放電が発生するからである。
第2に、表面が粗い清掃部材で削り取るようにして放電部材を清掃したとき、その清掃によって放電部材の表面が荒れて、その表面に微小な突起が生じたことが原因であると考えられる。通常、放電部材表面に付着する主な粉塵であるトナーは放電によって融解し、その表面に固着してしまう。そのため、これを除去するためには、表面が粗い清掃部材で削り取るように清掃を行う必要がある。このとき、その清掃によって放電部材の表面が荒れてしまい、その表面に微小な突起が生じてしまう。このような微小な突起が生じると、その突起部分で局所的な放電が発生するからである。
【0006】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、清掃部材による放電部材の清掃直後に生じる放電ムラを低減し、放電ムラによる不具合を少なくすることができる帯電装置及び画像形成装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、帯電対象を一様に帯電させるために放電を発生する放電部材と、該放電部材の表面に付着した付着物を除去して該放電部材を清掃する清掃手段と、該清掃手段により上記放電部材を清掃した後、上記帯電対象に対して帯電処理を施す前に上記放電部材を放電させる放電制御手段とを備えた帯電装置において、周辺の温湿度の検出手段、上記放電部材が過去に放電を発生させた帯電処理の回数の記憶手段、及び、上記放電部材が過去に上記清掃手段により清掃された清掃動作の回数の記憶手段を設け、周辺の湿度が所定値以下で、帯電の処理回数が所定値以上のときの上記放電の時間を、周辺の湿度が所定値以下で、帯電の処理回数が所定値未満のときよりも長く変更し、周辺湿度が所定値以下、帯電の処理回数が所定値以上、かつ、清掃動作の回数が所定値以上のときの上記放電の時間を、周辺の湿度が所定値以下、帯電の処理回数が所定値以上、かつ、清掃動作の回数が所定値未満のときよりも長く変更するように上記放電制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、放電により帯電対象を一様に帯電させる帯電装置を備えた画像形成装置において、上記帯電装置として、請求項1の帯電装置を用いたことを特徴とするものである。
上記請求項1又は2の発明においては、清掃手段により放電部材を清掃した後であって帯電対象に対して帯電処理を施す前に、その放電部材を所定時間放電させる。なお、この帯電処理とは、帯電装置が本来の目的で帯電対象を帯電させる処理を意味する。上述したように、感光体を一様帯電する帯電装置について放電部材を清掃した場合、その清掃直後の画像には画像濃度ムラが発生する。しかし、この画像濃度ムラは、その後数枚の画像形成を行うことで解消されることが本発明者の研究により明らかになった。そして、本発明者は、清掃後、しばらくの間放電部材が放電すれば放電ムラが解消することを解明した。請求項1又は2の発明では、清掃後、放電部材を所定時間放電させてから帯電処理を行うので、その帯電処理前に、清掃直後に一時的に発生する放電ムラを低減することができる。よって、清掃後の最初の帯電処理から放電ムラを発生させずに帯電対象を一様に帯電することが可能となる。
ここで、放電部材を所定時間放電させることで放電ムラが解消する理由は次のように考えられる。すなわち、上述したように、清掃直後に生じる一時的な放電ムラは、清掃時に局部的に残留した付着物が原因となっていると考えられる。しかし、放電部材に付着する付着物のほとんどはトナーであるため、残留したトナーは、その後の放電により融解し、放電部材表面に沿って広がって固着する。すなわち、清掃直後には突起状態にあったトナーがその後の放電により平らな状態になり、局部的な放電が解消されるものと考えられる。
また、上述したように、表面が粗い清掃手段で放電部材表面を削り取るように清掃を行うと、その清掃によって放電部材の表面が荒れてしまい、その表面に微小な突起が生じる。この微小な突起も清掃直後に一時的な放電ムラを生じさせる原因と考えられるが、このような微小な突起は、その後の放電により丸みを帯びる。すなわち、清掃直後には突起して突起部分がその後の放電により丸くなって、局部的な放電が解消されるものと考えられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像形成装置としての電子写真式カラープリンタ(以下、「カラープリンタ」という。)の一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係るカラープリンタを示す概略構成図である。このカラープリンタ1は、感光体ユニット10、光書込ユニット20、現像ユニット30、中間転写ユニット40、2次転写ローラ50、定着ユニット60、給紙ユニット80等で構成されている。なお、以下の説明では、黒をBkと、シアンをCと、マゼンタをMと、イエローをYと記す。
【0009】
潜像担持体としての感光体ベルト11は、図中矢印A方向(時計回り方向)に無端移動する。その周りには、感光体クリーニングユニット12、帯電チャージャ70、現像ユニット30、中間転写ユニット40の中間転写ベルト41などが配置されている。感光体ベルト11は、図示しない駆動モータによって回転駆動される駆動ローラ14、1次転写対向ローラ15、張架ローラ16などに張架されながら駆動ローラ14によって無端移動せしめられる。
【0010】
上記光書込ユニット20は、半導体レーザ21、レーザ発光駆動制御部(不図示)、ポリゴンミラー22、3つの反射ミラー23a,23b,23cなどを備えている。そして、色分解された画像データを光信号に変換して、色ごとに対応した光書き込みを感光体ベルト11に施して各色の静電潜像をそれぞれ個別に形成する。
【0011】
上記現像ユニット30は、Bk現像装置31K、C現像装置31C、M現像装置31M、Y現像装置31Yや、各現像装置を図中左右方向に移動させて感光体ベルト11に接離させる図示しない接離機構などで構成されている。各現像装置31K,31C,31M,31Yは、それぞれ対応する色の現像物質であるトナーを表面に担持して回転する現像スリーブ32K,32C,32M,32Yを備えている。また、回転しながらトナーを汲み上げて撹拌する現像剤パドル33K,33C,33M,33Y、トナーを収容するトナー収容ケース34K,34C,34M,34Yなども備えている。トナー収容ケース34K,34C,34M,34Yには、それぞれ対応する色のトナーを主成分とし、磁性キャリアを含まない一成分現像剤(以下、単に「トナー」という。)が収容されている。なお、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いることも可能である。図示の例では、装置本体下側から順にBk現像装置31K、C現像装置31C、M現像装置31M、Y現像装置31Yが並んで配置されている。各現像装置31K,31C,31M,31Y内では、トナーが攪拌等によって所定の極性に帯電される一方で、図示しない現像バイアス電源によって現像スリーブ32K,32C,32M,32Yに現像バイアスが印加される。これにより、現像スリーブ32K,32C,32M,32Yと、感光体ベルト11の静電潜像との間にはトナーをスリーブ側からベルト側に静電的に移動させる現像ポテンシャルが生ずる。また、現像スリーブ32K,32C,32M,32Yと、感光体ベルト11の地肌部(非潜像部)との間にはトナーをベルト側に移動させないでスリーブ側に拘束する非現像ポテンシャルが生ずる。
【0012】
上記中間転写ユニット40は、像担持体である中間転写ベルト41、ベルトクリーニング装置42、位置検出用センサ43などで構成されている。中間転写ベルト41は、駆動ローラ44、1次転写ローラ45、2次転写対向ローラ46、クリーニング対向ローラ47、テンションローラ48などに張架されている。そして、図示しない駆動モータにより回転駆動される駆動ローラ44によって、図中矢印B方向(反時計回り方向)に無端移動せしめられる。中間転写ベルト41の幅方向一端付近の非画像形成領域には、複数の位置検出用マーク(不図示)が設けられている。そして、これら位置検出用マークのうちの何れか1つ(画像形成動作開始時に位置検出用センサ43を最初に通過した位置検出用マーク)が位置出用センサ43に検出されたタイミングに基づいてプリント動作が開始される。
上記ベルトクリーニング装置42は、クリーニングブラシ42a及び図示しない接離機構等で構成されている。少なくとも各色のトナー像を中間転写している間には、接離機構によって中間転写ベルト41表面からクリーニングブラシ42aを離間させる。この離間により、2次転写前のトナー像をクリーニングしてしまうといった事態を回避している。中間転写ベルト41表面から除去されたトナーは、中間転写ユニット40内部に設けられた廃トナータンク49に蓄えられる。
【0013】
上記給紙ユニット80は、図示しない転写紙を収容する転写紙カセット81、給紙コロ82a,82b,82c等で構成されており、転写紙を所定のタイミングでカセット内からレジストローラ対83に向けて給紙する。
【0014】
上記2次転写ローラ50は、中間転写ユニット40の2次転写対向ローラ46にバックアップされる中間転写ベルト部分に当接して2次転写ニップを形成する。そして、この2次転写ローラ50に2次転写バイアスが印加されると、2次転写ローラ50と2次転写対向ローラ46との間に2次転写電界が形成される。2次転写ローラ50は、プリント動作開始から、4色重ね合わせトナー像の先端が2次転写ニップに到達する寸前までは、図示しない接離機構によって中間転写ベルト41表面から離間するように構成されている。この離間により、各色トナー像をそれぞれ単独で2次転写してしまうといった事態が回避される。一方、上記レジストローラ対83は、転写紙を2次転写ニップで4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで送り出す。2次転写ニップで転写紙と重ね合わされた4色重ね合わせトナー像は、ニップ圧や上記2次転写電界の影響を受けて中間転写ベルト41から転写紙に一括して2次転写される。この2次転写により、転写紙にフルカラー画像が形成される。
【0015】
プリント開始から終了までのプロセスの概要は次の通りである。すなわち、画像形成サイクルが開始されると、まず感光体ベルト11が図中矢印A方向に無端移動を開始する。また、これと同時に、中間転写ベルト41も図中矢印B方向に無端移動を開始する。その後、位置検出用センサ43が中間転写ベルト41上の位置検出用マークを初めに検知するタイミングに基づいて、感光体ベルト11上に対する光書込が開始される。これにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像が順次形成される。そして、これらは中間転写ベルト41上に重ね合わせて1次転写される。このとき1次転写ローラ45に印加するバイアスを順次電圧を高くすることが一般的であるが、その電圧値は中間転写ベルト41の抵抗特性等に応じて異なる。なお、1次転写ニップを通過した感光体ベルト11表面に残留する転写残トナーは、感光体ベルト11の再使用に備えて感光体クリーニングユニット12でクリーニングされる。ここで回収されたトナーは回収パイプを経由して図示しない廃トナータンクに蓄えられる。
【0016】
一方、転写紙は、プリント開始後の初期に転写紙カセット81又はマルチトレイ84の何れかから給送され、レジストローラ83対のニップで待機している。そして、2次転写ローラ51に中間転写ベルト41上の4色重ねのトナー像先端がさしかかるときにちょうど転写紙の先端が4色重ねのトナー像の先端に一致するようにレジストローラ対83が駆動される。これにより、転写紙とトナー像との位置合わせが行われる。そして、転写紙は、中間転写ベルト41上のトナー像と重ねられて2次転写位置を通過する。このとき2次転写ローラ51による転写バイアスで転写紙が荷電され、トナー画像のほとんどが転写紙上に転写される。なお、中間転写後の感光体ベルト11の表面は、感光体クリーニングユニット12によって転写残トナーがクリーニングされた後、除電ランプ(不図示)によって均一に除電される。また、2次転写後の中間転写ベルト41の表面は、ベルトクリーニング装置42のクリーニングブラシ42aが押圧せしめられることで、転写残トナーがクリーニングされる。中間転写ベルト41からクリーングされたトナーは廃トナータンク49に蓄えられる。
【0017】
中間転写ベルト41からの一括2次転写によって得られたフルカラー画像は、転写紙とともに定着ユニット60に搬送され、所定温度に制御される定着ベルト61と加圧ローラ62とのニップ部でトナー粒子が溶融定着せしめられる。そして、装置本体外に送り出され(矢印C方向)、排紙トレイ84に裏向きにスタックされる。
【0018】
次に、本発明の特徴部分である帯電チャージャ70の構成及び動作について説明する。
図1は、帯電チャージャ70の概略構成を示す一部破断した斜視図である。本実施形態の帯電チャージャ70は、スコロトロン帯電器を用いているが、コロトロン帯電器等の他の帯電装置を用いることもできる。帯電チャージャ70は、感光体ベルト11の幅方向における画像が形成され得る領域にわたって張り渡された放電部材としての放電ワイヤ71を備えている。また、その放電ワイヤ71を囲うようにして感光体ベルト11に対向する側が開口したケーシング72も備えている。このケーシング72の内面は、シールド電極として機能している。また、ケーシング72の開口部にはグリッド電極73が設けられている。
【0019】
更に、本実施形態の帯電チャージャ70には、放電ワイヤ71を清掃する清掃手段としてのワイヤ清掃部材74が設けられている。ワイヤ清掃部材74は、放電ワイヤ71を内部に挟持するように設けられている。ワイヤ清掃部材74は、スポンジ状の弾性部材等で構成されており、放電ワイヤ71と接触する部分には研磨剤等が塗布されている。また、ワイヤ清掃部材74は、清掃を行わないときには図1に示すように放電ワイヤ71の一端部に待機しているが、清掃時には、図示しない駆動装置によって、図中矢印Cで示すように放電ワイヤ71に沿って往復移動する。このようにワイヤ清掃部材74を往復移動させる駆動装置の駆動動作は、図示しない制御部によって制御されている。
【0020】
制御部は、後述の実施例1又は実施例2で説明する制御フローに従って、駆動装置を制御し、ワイヤ清掃部材74を放電ワイヤ71に沿って往復移動させて清掃動作を行わせる。これにより、放電ワイヤ71の表面に付着したトナー等の粉塵がワイヤ清掃部材74により削り取られ、放電ワイヤ表面から除去される。しかし、このようにして放電ワイヤ71を清掃しても、放電ワイヤ71の表面に部分的にトナーが残留したり、ワイヤ清掃部材74による摺擦で表面が荒れて微小な突起ができたりする。これにより、清掃直後には、一時的な放電ムラが生じる。この一時的な放電ムラを解消するため、本実施形態の制御部は、放電制御手段として機能する。すなわち、制御部は、後述の実施例1又は実施例2の制御フローに従い、清掃動作を行った後、次の画像形成動作の帯電処理を開始する前に、所定時間だけ帯電チャージャ70を放電させる。
【0021】
〔実験例〕
ここで、清掃直後に一時的な放電ムラが生じることを確認するために行った実験例について説明する。この実験例では、温度が10℃で湿度が20%である低温低湿環境下(絶対湿度は1.7g/m3)において、本実施形態のカラープリンタを使用して多数枚のプリントを行った。そして、帯電チャージャ70による帯電処理の回数が6万回と12万回に達するときに行った清掃動作の終了後、放電ムラがなくなるまでに必要な放電時間を観測した。具体的には、帯電処理の回数が6万回と12万回に達したときの清掃動作終了後、ハーフトーン画像をプリントしていき、画像濃度ムラがなくなるまでのプリント枚数を、放電時間として計測した。
また、この実験例では、帯電処理が6万回及び12万回行われる間について、それぞれワイヤ清掃部材74による清掃動作を100回した場合と200回した場合についてもあわせて観測した。
本実験例の実験結果を下記の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
上記表1において、画像濃度ムラが確認された場合を「×」とし、軽微な画像濃度ムラが確認された場合を「△」とし、画像濃度ムラが確認されなかった場合を「○」と評価した。なお、ハーフトーン画像の画像濃度ムラは、空気中の水分量(絶対湿度)が少ないほど発生しやすい傾向にあり、特に4g/m3以下で濃度濃度ムラが悪化した。したがって、絶対湿度が1.7g/m3である本実験例の環境下では、ハーフトーン画像の画像濃度ムラが生じやすい。
【0024】
本実験例による実験結果について考察すると、帯電処理の回数が増えるほど、清掃後に画像濃度ムラが発生してから画像濃度ムラがなくなるまでの放電時間が増加した。これは、長期の使用によって放電ワイヤ71が劣化したためと考えられる。また、ワイヤ清掃部材74による清掃動作の回数が増えるほど、清掃後に画像濃度ムラが発生してから画像濃度ムラがなくなるまでの放電時間も増加した。これは、ワイヤ清掃部材74による摺擦を受けて放電ワイヤ71が劣化したためと考えられる。なお、別の実験において、絶対湿度が4g/m3より高いときには、放電ワイヤ71が最も劣化する12万回の帯電処理を行う間に200回の清掃動作を行った場合であっても、3枚目のハーフトーン画像で画像濃度ムラがなくなった。すなわち、通常の使用環境では、ほとんどの場合絶対湿度が4g/m3より高いため、放電時間は60秒で十分である。
【0025】
しかし、上記実験結果からわかるように、湿度環境条件や経時使用条件に応じて、画像濃度ムラがなくなるまでの放電時間は変動する。よって、その放電時間を通常の使用環境に合わせたら、清掃後の放電ムラが生じるおそががある。一方、放電ムラに対して予想し得る最悪の湿度環境条件や経時使用条件に基づいた放電時間に設定すれば、清掃後の一時的な放電ムラを経時的に解消することができる。しかし、このような放電時間に設定すると、不必要に放電時間が長くなり、近年のプリント速度の高速化の要求に応えることが困難となる。そこで、以下に説明する実施例1及び2では、湿度環境条件や経時使用条件に応じて適切な放電時間を決定し、放電時間の最適化を図ることで、プリント速度の高速化と安定した放電ムラの解消を実現する方法について説明する。
【0026】
〔実施例1〕
図3は、清掃後の一時的な放電ムラを低減するための放電処理の制御の流れを示すフローチャートである。なお、この制御は、1回の画像形成動作が終了するごとに、上記制御部で行われる制御の流れを示している。
画像形成動作が終了すると、制御部は、まず、清掃間隔カウンタのカウント値を加算するとともに、その画像形成動作時に行われた帯電処理の回数を累積的に加算する(S1)。なお、上記カラープリンタの場合、1回の画像形成動作中に行われる帯電処理の回数は、モノクロ画像のときには1回であるが、フルカラー画像のときには4回となる。次に、制御部は、清掃間隔カウンタのカウント値が2000回に達したか否かを判断し(S2)、上記カウント値が2000回に達していない場合には、次の画像形成に移行する。すなわち、本実施例では、2000回の画像形成ごとに1回の清掃動作を実施して放電ワイヤ71を清掃することになる。
【0027】
一方、2000回に達したと判断された場合、制御部は、機内における帯電チャージャ70周辺の温度及び湿度を図示しない温湿度センサにより検知し、絶対湿度を算出する(S3)。制御部は、このようにして算出した絶対温度が4g/m3以下であるか否かを判断し(S4)、4g/m3以下でないと判断した場合には、放電ワイヤ71の清掃を実施する(S5)。その清掃を終えたら、次に、制御部は、60秒の放電処理を行う(S6)。絶対温度が4g/m3以下でない場合、長期間使用されて放電ワイヤ71が劣化していても、上述のように60秒の放電処理で十分に放電ムラを解消できる。その後、清掃間隔カウンタのカウント値をリセットするとともに、清掃動作の回数をカウントする(S7)。
【0028】
制御部は、上記S4において絶対温度が4g/m3以下であると判断した場合、帯電処理の回数が6万回に達したか否かを判断する(S8)。達していないと判断された場合には、放電ワイヤ71の清掃を実施し(S9)、その清掃後、120秒の放電処理を行う(S10)。絶対温度が4g/m3以下であっても、帯電処理の回数が6万回に達していない場合には放電ワイヤ71があまり劣化しておらず、120秒の放電処理で十分に放電ムラを解消できる。その後、清掃間隔カウンタのカウント値をリセットするとともに、清掃動作の回数をカウントする(S11)。
【0029】
制御部は、上記S8において帯電処理の回数が6万回に達したと判断した場合、次に、清掃動作の回数が100回以上であるか否かを判断する(S12)。100回以上でないと判断された場合には、放電ワイヤ71の清掃を実施し(S13)、その清掃後、150秒の放電処理を行う(S14)。絶対温度が4g/m3以下であって、帯電処理の回数が6万回に達している場合でも、清掃動作が100回に満たない場合には放電ワイヤ71の劣化は少なく、150秒の放電処理で十分に放電ムラを解消できる。その後、清掃間隔カウンタのカウント値をリセットするとともに、清掃動作の回数をカウントする(S15)。
【0030】
一方、上記S12において清掃動作の回数が100回以上であると判断された場合、放電ワイヤ71の清掃を実施し(S16)、その清掃後、180秒の放電処理を行う(S17)。絶対温度が4g/m3以下であって、帯電処理の回数が6万回に達しており、しかも清掃動作が100回以上である場合には放電ワイヤ71の劣化が大きいため比較的長い時間の放電処理が必要となる。この場合でも、180秒の放電処理で十分に放電ムラを解消できる。その後、清掃間隔カウンタのカウント値をリセットするとともに、清掃動作の回数をカウントする(S18)。
【0031】
〔実施例2〕
上記実施例1のように画像形成動作が終了するごとに放電処理の制御フローを実行すると、連続プリント時のプリント速度が遅くなり、プリント速度の高速化が図れない。一方、上記実施例1における制御フロー中のS8やS12の判断ついては、清掃後の一時的な放電ムラとの関係ではあまり厳密な判断が要求されない。そこで、本実施例2では、その日最初の電源投入時にだけ放電ムラを低減するための放電処理を実行する例について説明する。
【0032】
図4は、本カラープリンタの電源投入直後に行う放電処理の制御の流れを示すフローチャートである。電源が投入されると、制御部は、まず、定着ユニット60の温度が50℃以下であるか否かを判断する(S21)。定着ユニット60の温度が50℃以下でない場合、ジャム等が発生して電源を一時的に切った後に電源再投入したものであって、その日最初の電源投入時ではないと判断できる。よって、この場合には、感光体クリーニングユニット12によるクリーニング動作等のウォームアップ動作を行う(S22)。一方、定着ユニット60の温度が50℃以下である場合、その日最初の電源投入時であると判断でき、制御部は、機内における帯電チャージャ70周辺の温度及び湿度を図示しない温湿度センサにより検知し、絶対湿度を算出する(S23)。そして、制御部は、このようにして算出した絶対温度が4g/m3以下であるか否かを判断し(S24)、4g/m3以下でないと判断した場合には、通常の電源投入後処理に移行する。一方、上記S24において絶対温度が4g/m3以下であると判断された後の制御S25〜S35は、上記実施例1のS8〜S18と同じであるため、説明を省略する。
【0033】
以上、上記実施形態並びに上記実施例1及び2の帯電装置としての帯電チャージャは、帯電対象である感光体ベルト11を一様に帯電させるために放電を発生する放電部材としての放電ワイヤ71と、その放電ワイヤ71の表面に付着した付着物であるトナー等を除去して放電ワイヤ71を清掃する清掃手段としてのワイヤ清掃部材74とを備えている。そして、この帯電チャージャには、ワイヤ清掃部材74により放電ワイヤ71を清掃した後、感光体ベルト11に対して帯電処理を施す前に、放電ワイヤ71を放電させる放電制御手段としての制御部が設けられている。これにより、清掃直後に生じる一時的な放電ムラを解消してから、帯電処理を実施することができる。よって、ハーフトーン画像の画像濃度ムラなどの放電ムラによる不具合を少なくすることができる。
また、上記実施例1及び2によれば、制御部は、ワイヤ清掃部材74による清掃後に行う放電処理によって放電ワイヤ71を放電させる放電時間を変化させるので、放電時間の最適化を図ることが可能となる。よって、プリント速度の高速化と安定した放電ムラの解消を両立することが可能となる。
特に、上記実施例1及び2では、帯電チャージャ70の周辺の環境条件である湿度及び温度の条件に応じて放電時間を変更する。よって、環境に応じた最適な放電時間で適切に放電処理を行うことができ、より確実にプリント速度の高速化と安定した放電ムラの解消の両立を実現することができる。
また、上記実施例1及び2では、放電ワイヤ71が過去に放電を発生させた放電発生履歴である帯電処理の回数に応じて放電時間を変更する。よって、長期使用による放電ワイヤ71の劣化によって放電時間が長くなることに対応した適切な放電時間で、放電処理を行うことができる。これにより、より確実に、プリント速度の高速化と安定した放電ムラの解消の両立を実現することができる。なお、上記実施例1及び2では、放電発生履歴として過去の帯電処理回数を利用したが、過去の放電時間等の他の履歴情報を利用することもできる。
また、上記実施例1及び2では、放電ワイヤ71が過去にワイヤ清掃部材74により清掃された清掃履歴である清掃動作の回数に応じて放電時間を変更する。よって、清掃動作による放電ワイヤ71の劣化によって放電時間が長くなることに対応した適切な放電時間で、放電処理を行うことができる。これにより、より確実に、プリント速度の高速化と安定した放電ムラの解消の両立を実現することができる。なお、上記実施例1及び2では、清掃履歴として過去の清掃動作回数を利用したが、過去の清掃動作時間等の他の履歴情報を利用することもできる。また、上記実施形態並びに上記実施例1及び2によれば、画像形成装置としてのカラープリンタに設けられ、放電により帯電対象である感光体ベルト11を一様に帯電させる帯電装置として、上述した帯電チャージャ70を用いている。これにより、清掃直後に一時的に生じる画像濃度ムラを低減することができ、画質の向上を図ることができる。また、安定した画像形成動作を実現することもできる。
【0034】
尚、本実施形態では、感光体ベルト11を一様に帯電させる帯電チャージャ70を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。例えば、上記1次転写ローラ45や上記2次転写ローラ45の代わりに転写チャージャを利用する場合には、その転写チャージャにも同様に適用することができる。この場合、清掃直後であっても一時的な放電ムラが生じないため、中間転写ベルト41や転写紙を一様に帯電でき、均一な転写電界を形成して転写ムラのない良好な転写を実現することができる。また、例えば、静電的に転写紙を吸着させて搬送する転写材搬送部材上から転写紙を分離させるために、転写紙を除電する除電装置にも同様に適用することができる。この場合、清掃直後であっても一時的な放電ムラが生じないため、転写紙を均一に除電して転写紙を安定して分離させることができ、安定した画像形成動作を実現できる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1乃至4の発明によれば、清掃手段による放電部材の清掃直後に一時的に発生する放電ムラを低減することができるので、放電ムラによる不具合を少なくすることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るカラープリンタの帯電チャージャの概略構成を示す一部破断した斜視図。
【図2】同カラープリンタを示す概略構成図。
【図3】実施例1における放電ワイヤの清掃後に生じる一時的な放電ムラを低減するための放電処理の制御の流れを示すフローチャート。
【図4】実施例2における放電ワイヤの清掃後に生じる一時的な放電ムラを低減するための放電処理の制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 カラープリンタ
10 感光体ユニット
11 感光体ベルト
20 光書込ユニット
30 現像ユニット
40 中間転写ユニット
51 1次転写ローラ
60 定着ユニット
70 帯電チャージャ
71 放電ワイヤ
72 ケーシング
73 グリッド電極
74 ワイヤ清掃部材
80 給紙ユニット
Claims (2)
- 帯電対象を一様に帯電させるために放電を発生する放電部材と、
該放電部材の表面に付着した付着物を除去して該放電部材を清掃する清掃手段と、
該清掃手段により上記放電部材を清掃した後、上記帯電対象に対して帯電処理を施す前に上記放電部材を放電させる放電制御手段とを備えた帯電装置において、
周辺の温湿度の検出手段、上記放電部材が過去に放電を発生させた帯電処理の回数の記憶手段、及び、上記放電部材が過去に上記清掃手段により清掃された清掃動作の回数の記憶手段を設け、
周辺の湿度が所定値以下で、帯電の処理回数が所定値以上のときの上記放電の時間を、周辺の湿度が所定値以下で、帯電の処理回数が所定値未満のときよりも長く変更し、
周辺湿度が所定値以下、帯電の処理回数が所定値以上、かつ、清掃動作の回数が所定値以上のときの上記放電の時間を、周辺の湿度が所定値以下、帯電の処理回数が所定値以上、かつ、清掃動作の回数が所定値未満のときよりも長く変更するように上記放電制御手段を構成したことを特徴とする帯電装置。 - 放電により帯電対象を一様に帯電させる帯電装置を備えた画像形成装置において、
上記帯電装置として、請求項1の帯電装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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