JP4108642B2 - 家具用のバネ付きヒンジ - Google Patents

Description

本発明は、開閉可能な家具部材たとえばドアのためのバネ付きヒンジに関する。特に、本発明は、閉じ動作時または開き動作時に押圧力を発生するバネを備えたヒンジに関する。

収納スペースを有する家具の部材には、しばしばヒンジ機構を利用して水平または垂直の方向の軸の周りで回転することで開閉するドアまたは扉を備えている。家具工業で広く利用されている極めて一般的なシステムでは、家具部材のドアを閉じた時に自身が隠れる位置でドアを支持するようなヒンジが備えられている。

例えば、米国特許明細書ＵＳ−Ａ−３３６２０４２（特許文献１）及び米国特許明細書ＵＳ−Ａ−４２２６００１（特許文献２）には、このタイプのヒンジが詳細に記載されている。これらの特許明細書に記載されているヒンジは、それらが市場においてポピュラーになり広く流通するようになったことからわかるように、いくつかの利点を有する。それらに記載された変形形態においては、取り付けられたドアが閉じたときに付勢力を生じさせるようにヒンジにおいて互いに異なるタイプの複数のバネを使用している。従って、家具部材のドアは容易且つ正確に閉じられる。しかしながら、これらのケースでは、殆どの場合、家具部材のドアを開くためには外力の付加が必要となり、そのため適宜のタイプのハンドルの使用が不可欠となる。しばしば、ハンドルまたは外から見える把手を備えたドアは好ましくない。従って、ドアに開きモーメントを発生させるバネを使用してドアを開かねばならない。そのためには、バネをヒンジから分離するか、または極めて複雑なヒンジが必要となる。
米国特許明細書ＵＳ−Ａ−３３６２０４２ 米国特許明細書ＵＳ−Ａ−４２２６００１

本発明の主要な目的は、できるだけ一般的なヒンジ部品を使用して、便利で製作コストが低いヒンジを提供することにある。

本発明によれば、上記の目的を達成するものとして、
家具部材（４）に取り付けるための取り付けアーム（１）、
ドア（１１）に取り付けるためのエレメント（７）、
４辺リンク機構を形成し且つ取り付けアーム（１）をエレメント（７）に回動可能に取り付ける第１ロッカー（６）及び第２ロッカー（５）、及び
第１アーム（８’）及び第２アーム（８”）を持ち且つ第１ロッカー（６）の端部の近傍のピン（１２）の周りに配置されたＶ字形状バネ（８）を備えており、
前記バネ（８）の第１アーム（８’）は前記アーム（１）に当接しており、前記バネ（８）の第２アーム（８”）は前記第２ロッカー（５）の突起（９”）に当接しており、これにより前記Ｖ字形状バネ（８）を押圧し且つドア（１１）を閉じる方向の押圧力を発生させるモーメントを生ずるようなレバーアームが形成され、
前記突起（９”）を持つ前記第２ロッカー（５）を、前記Ｖ字形状バネ（８）を押圧するように形成され且つ異なる形を持つことで同一位置のヒンジに対し異なる押圧力を印加するモーメントを生じさせるような突起（９’，９”’）を持つ他の第２ロッカー（５）で置き換えられるようにしてなることを特徴とする、家具用のヒンジ、
が提供される。

本発明の一態様においては、前記他の第２ロッカー（５）の突起（９’，９”’）は、前記回動の間に前記バネ（８）を圧縮して前記ドアを開く方向の押圧力を生ぜしめるモーメントを発生させるようにされている。本発明の一態様においては、前記第２ロッカー（５）及び他の第２ロッカー（５）の前記突起（９’，９”，９”’）は、前記回動の前記ドアを閉じる最後の狭い角度領域においてのみ前記バネを圧縮するようにされている。本発明の一態様においては、前記他の第２ロッカー（５）の突起（９’，９”’）は、成形された金属部材に固定され且つ該金属部材と共に前記他の第２ロッカー（５）を形成するプラスチック製カムである。

本発明の一態様においては、前記他の第２ロッカー（５）の突起（９”’）は、前記他の第２ロッカー（５）の構造と一体化された舌形状をなしている。本発明の一態様においては、前記他の第２ロッカー（５）の突起（９”’）は、前記他の第２ロッカー（５）の成形により形成されたものである。

例えば、本発明の家具用ヒンジにおいては、家具部材（４）に取り付けるためのアーム（１）、及びドア（１１）に取り付けるための部品（７）が備えられており、これらは２つのロッカー（５，６）により互いに結合されて回動を許容された関節四辺を形成している。更に、ロッカー（６）の端部の近傍に配置されたＶ字形状バネ（８）が備えられており、該バネは、アーム（１）に当接する第１アーム（８’）及びロッカー（５）の突起即ちカムに当接する第２アーム（８”）を持つ。ロッカー（５）及びその突起によりレバーアームが形成され、該レバーアームにより、バネ（８）を押圧し且つロッカー（５）の突起（９’，９”，９”’）の形状に応じてドア（１１）を開く方向または閉じる方向にモーメントを生じさせる。

本発明のヒンジは、その特徴に起因して、互いに異なるタイプの複数の形態に作製することができるので、有用である。本発明のヒンジを構成する殆ど全ての部品は複数の形態につき同様な形状のものであり、部品としてロッカーのみを交換することで、閉じ動作の間に押圧力を持つヒンジを、開き動作の間に押圧力を持つヒンジへと変換させることができる。

本発明による上記及びその他の特徴及び効果は、以下に示す本発明のヒンジの非限定的実施形態において図面を参照して詳細に説明される。

以下、添付図面を参照しながら、本発明によるヒンジの実施形態を示す。図面において、ヒンジ全体が符号Ｃで指示されている。

ヒンジは固定部分即ちアーム１を含んでおり、該アーム１は基部即ちプレート３に取り付けられている。プレート３は、家具部材の側部または適宜の部分である支持壁４に固定されている。ヒンジＣはアームを支持及び調整する部分を含んでおり、これによりアームを直交する３方向につき調整することができる。プレート２は、家具部材に対するヒンジの位置を前方及び側方の方向につき調整するのに使用される。しかし、他の直交方向におけるヒンジ位置の調整のための手段は、当業者に周知であるので、図面には詳細には示されていない。

２つのロッカー５，６が設けられている。これらは、それぞれ、アーム１の側壁に形成された孔に装着されたピン１３，１２の周りで回動する第１の端部を持つ。ピン１２，１３は、図１〜図６，図１７〜図１９において、紙面と垂直の方向に延びている。アーム１はボックスエレメント７にリンクしており、該ボックスエレメント７は家具部材のドア１１または他の適宜の回動部分の内壁に形成されたキャビティに固定されている。ロッカー５，６の第２の先端部は、それぞれ、第１ピン１２，１３と平行な軸を持つ他の２つのピン１４，１５に装着されている。４つのピン１２，１３，１４，１５は、４バーのリンク機構を形成している。アーム１と一体化されたピン１２の周りに、Ｖ字形状バネ８が配置されている。バネ８の一方のアーム８’は、アーム１の背面に当接している。バネ８の第２のアーム８”は、アーム１と一体化された他のピン１３に装着されたロッカー５の突起９’に当接しており、これによりレバーアームが形成される。

突起９’，９”，９”’の位置及び形状は、ドア開閉時の回動の間にロッカー５にモーメントを生ずるように、選択される。このモーメントに対する反作用は、回動部分７をドア開き位置の方へと押圧する（この形態は図１〜図３，図１７〜図１９に示されている）か、またはドア閉じ位置の方へと押圧する（この形態は図４〜図６に示されている）か、または全く押圧力を生じない。

本発明の第１の好ましい実施形態では、ロッカー５は、プラスチックまたは他の適宜の物質からなるインサート材９’または９”がアンカーされている成形金属板１０の少なくとも一部からなる。このインサート材は、バネ８に当接する部分においてカムの形状を持つように、形成されている。ここで、種々のタイプのカム即ち種々の形状を持つカムを成形部分１０に取り付けることで、ヒンジに対して種々の機能を付与することができる。例えば、同一のバネを用いて、ドア開き時及びドア閉じ時の双方において、押圧力を生じさせることができる。

図１〜３は、ドア開き時にバネがドア１１に対する押圧力を発生させるロッカー５の実施形態を示す。この実施形態では、ロッカー５は、バネのアーム８”の適宜の位置が押圧された時に、例えばドアを図面において時計回りの方向に約８°〜１０°回転させることで、該ドアを開くに十分な押圧力を発生するような形状を持つカム９’と結合されている。ドアは、例えばいずれかのタイプの保持器（リテーナ）を備えることができる。可能な保持器としては、ドアを閉じ位置に維持するバネ、磁気またはフックのタイプのものを使用することができる。保持器から開放された時に、押圧力は、カム９’の形状により予め決められた角度だけドアを開く。カム９’の形状に基づき、ドア開きの回転の残りの角度部分については、バネは作用しない。

図４〜６は、ロッカー５上に配置されるカム９”の形状を持つヒンジの実施形態を示す。ここでは、ドア１１が図面において反時計回りの方向に閉じる時に、バネ８がドア１１に対する押圧力を生ずる。この押圧力の発生は、１５°〜２０°の角度にドアを少し開いた状態から開始される。カム９”の形状に基づき、ドア開きの回転の残りの角度部分については、バネは作用しない。

成形部分１０及びカム９’及び９”からなるロッカー５の種々の実施形態が、図７〜１４に示されている。

本発明によるヒンジの他の実施形態は、図１５及び１６に示されるロッカー５を含んでいる。ロッカー５は、一体ものの成形金属板からなる。この形態では、カムの代わりに、ロッカー５の後部から突出せる舌部材９”’を使用している。ヒンジが組み込み位置にある時には、舌部材９”’はその形状に起因して、バネ８のアームを押し、前述のカム９’，９”と同様な機能を発揮する。図１７〜１９に示される実施形態では、ロッカーの舌部材は、図１〜３に示されるカム９’と同様な機能を発揮するような形状とされている。この形態の利点は、製造コストが低いことに起因して製造に要する時間及び費用が節約でき、且つ組立工程を１つ省略できることにある。

以上のようにして製造されるロッカーは、ヒンジを極めて有用なものとする。その低い製造コストは、ヒンジのコストを低下させ、工業的規模での実施を可能にする。

以上の実施形態は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は特許請求の範囲に記載される発明の実施形態の全てを包含しているものである。

本発明によるヒンジの一実施形態を示す断面図である。 図１とは家具部材のドアの開度が異なる状態を示す図１のヒンジの断面図である。 図１及び図２とは家具部材のドアの開度が異なる状態を示す図１のヒンジの断面図である。 本発明によるヒンジの他の実施形態を示す断面図である。 図４とは家具部材のドアの開度が異なる状態を示す図４のヒンジの断面図である。 図４及び図５とは家具部材のドアの開度が異なる状態を示す図４のヒンジの断面図である。 本発明によるヒンジの部品を示す断面図である。 図７の部品の側面図である。 本発明によるヒンジの部品を示す図である。 図９の部品の側面図である。 図７及び図９の部品の組み込み状態を示す断面図である。 本発明によるヒンジの部品を示す図である。 図１２の部品の側面図である。 図７及び図１２の部品の組み込み状態を示す断面図である。 本発明によるヒンジの部品の変形例を示す図である。 図１５の部品の側面図である。 本発明によるヒンジの更に他の実施形態を示す断面図である。 図１７とは家具部材のドアの開度が異なる状態を示す図１７のヒンジの断面図である。 図１７及び図１８とは家具部材のドアの開度が異なる状態を示す図１７のヒンジの断面図である。

符号の説明

Ｃ ヒンジ
１ 固定部分即ちアーム
２ プレート
３ 基部即ちプレート
４ 支持壁
５，６ ロッカー
７ ボックスエレメント
８ Ｖ字形状バネ
８’，８” バネのアーム
９’，９” カムまたは突起またはインサート材
９”’ 舌部材または突起
１０ 成形部分
１１ ドア
１２，１３，１４，１５ ピン

Claims (5)

1. 家具部材（４）に取り付けるための取り付けアーム（１）、
   ドア（１１）に取り付けるためのエレメント（７）、
   ４辺リンク機構を形成し且つ取り付けアーム（１）をエレメント（７）に回動可能に取り付ける第１ロッカー（６）及び第２ロッカー（５）、及び
   第１アーム（８’）及び第２アーム（８”）を持ち且つ第１ロッカー（６）の端部の近傍の第１のピン（１２）の周りに配置されたＶ字形状バネ（８）を備えており、
   前記Ｖ字形状バネ（８）の第１アーム（８’）は前記取り付けアーム（１）に当接しており、前記Ｖ字形状バネ（８）の第２アーム（８”）は前記第２ロッカー（５）の突起（９’，９”，９”’）に当接しており、これにより前記Ｖ字形状バネ（８）を押圧し且つ前記第２ロッカー（５）の端部の近傍の第２のピン（１３）の周りのモーメントを生ずるようなレバーアームが形成され、
   前記第２ロッカー（５）は一の第２ロッカーと他の第２ロッカーとの組み合わせからなり、これら一の第２ロッカー及び他の第２ロッカーのいずれか一方を前記第２のピン（１３）に交換可能に取り付けて前記４辺リンク機構を形成して使用することができ、
   前記一の第２ロッカーは、或るヒンジ位置にて、ドア（１１）を閉じる方向及び開く方向のうちの一方の方向の押圧力を発生させるモーメントを生じさせるような突起（９”）を持ち、
   前記他の第２ロッカーは、前記或るヒンジ位置にて、ドア（１１）を閉じる方向及び開く方向のうちの他方の方向の押圧力を発生させるモーメントを生じさせるような突起（９’，９”’）を持つことを特徴とする、家具用のヒンジ。
2. 前記一の第２ロッカー及び他の第２ロッカーの前記突起（９’，９”，９”’）は、前記回動の前記ドアを閉じる最後の狭い角度領域においてのみ前記Ｖ字形状バネを圧縮するようにされている、請求項１に記載のヒンジ。
3. 前記他の第２ロッカーの突起（９’，９”’）は、成形された金属部材に固定され且つ該金属部材と共に前記他の第２ロッカーを形成するプラスチック製カムである、請求項２に記載のヒンジ。
4. 前記他の第２ロッカーの突起（９”’）は、前記他の第２ロッカーの構造と一体化された舌形状をなしている、請求項１に記載のヒンジ。
5. 前記他の第２ロッカーの突起（９”’）は、前記他の第２ロッカーの成形により形成されたものである、請求項１に記載のヒンジ。

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