JP4107411B2 - 積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装材料やディスプレイ材料、半導体材料等の表面における酸素や水蒸気からの保護層として主に用いられる積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスバリア性を有する膜は、主に、内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気等の影響を防ぐために、食品や医薬品等の包装材料として用いられたり、液晶表示パネルやEL表示パネル等に形成されている素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを避けるために、電子デバイス等のパッケージ材料として用いられている。また、近年においては、従来ガラス等を用いていた部分にフレキシブル性や耐衝撃性を持たせる等の理由から、ガスバリア性を有する樹脂性のフィルムが用いられる場合もある。
【0003】
このようなガスバリア性を有するフィルムは、プラスチックフィルムを基材として、その片面または両面にガスバリア層を形成する構成をとるのが一般的である。そして、当該ガスバリアフィルムは、CVD法およびPVD法等の様々な方法で形成されているが、何れの方法を用いた場合であっても、従来のガスバリアフィルムは、2cc/m2/day程度の酸素透過率(OTR)や、2g/m2/day程度の水蒸気透過率(WVTR)を有するにすぎず、より高いガスバリア性を必要とする用途に使用される場合には、未だ不十分なものであった。
【0004】
ガスバリア性を有する膜を高分子樹脂基材上に乾式成膜する方法として、プラズマCVD法等の乾式成膜法を用いて酸化珪素膜(シリカ膜)や酸化アルミニウム膜(アルミナ膜)を形成する方法が知られている(例えば、特開平8−176326号公報、特開平11−309815号公報、特開2000−6301号公報等)。特に、プラズマCVD法は、高分子樹脂基材に熱的ダメージを与えることなく、ガスバリア性と屈曲性に優れた酸化珪素膜や酸化アルミニウム膜を形成できるという利点がある。
【0005】
しかしながら、このような酸化珪素膜等には、表面の膜に存在する分子が、ナノレベルで欠損していることにより、バリア性に悪影響を与えてしまうという問題があった。
【0006】
また、このような酸化珪素膜等は、その表面が親水性であることから、酸素透過率(OTR)や水蒸気透過率(WVTR)のさらなる向上が難しいという問題点があった。すなわち、一般に、上記酸素透過率(OTR)や水蒸気透過率(WVTR)は、ガスバリア層表面の水に対する吸着性とガスバリア層自体の拡散係数によって決定されるとされている。ここで、上記酸化珪素膜や酸化アルミニウム膜は、拡散係数の面では極めてガスバリア性に寄与するものである。しかしながら、通常酸化珪素膜等の無機酸化物の気相法形成膜は親水性であり、よって表面に水が吸着し易く、したがってガスバリア性に悪影響を与えてしまうという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、酸化珪素膜の表面に存在する、分子のナノレベルでの欠損の充填と、フィルムの表面全体の水等による吸着性を低下させることとにより、バリア性を向上させた積層体を提供することを主目的とする。
【0008】
【課題が解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載するように、基材と、前記基材の片面または両面に形成された酸化珪素膜と、前記酸化珪素膜上に形成された自己組織化単分子膜とからなる積層体であって、前記自己組織化単分子膜が、前記自己組織化単分子膜を形成する分子を基材上に単分子状態で配向させるための配向基を少なくとも一つ有し、かつ基材と吸着するための吸着基を少なくとも一つ有し、前記酸化珪素膜および自己組織化単分子膜が、この順序で基材上に複数層積層されていることを特徴とする積層体を提供する。
【0009】
本発明によれば、上記酸化珪素膜の表面上に、自己組織化単分子膜を有することにより、上記酸化珪素膜の表面に存在する分子のナノレベルでの欠損を、自己組織化単分子膜により充填することが可能となり、全体としてバリア性の向上した積層体とすることが可能となる。また、上記自己組織化単分子膜を形成する分子が、基材上に配向するための配向基を少なくとも一つ有することによって、基材の表面において配向基が単分子状態で配向し、単分子膜を全面にわたって形成することから、酸化珪素膜のナノレベルでの欠損を充填することにより、バリア性の向上した積層体とすることが可能となる。また、上記自己組織化単分子膜を形成する分子が、基材と吸着するための吸着基を少なくとも一つ有することから、上記酸化珪素膜の表面の分子に吸着することが可能となり、上記酸化珪素膜の表面に存在する分子のナノレベルでの欠損にも吸着をすることが可能となるため、上記酸化珪素膜表面全体に上記自己組織化単分子膜を形成し、上記酸化珪素膜の表面上に存在する分子のナノレベルでの欠損を充填することが可能となる。また、複数層積層することにより、さらにガスバリア性を向上させることができるからである。
【0011】
また、請求項1に記載された発明においては、請求項2に記載するように、上記自己組織化単分子膜が、下記の一般式(1)で示される化合物を原材料として形成されたものであることが好ましい。
【0012】
R1 αXR2 β (1)
(ここで、R1は、炭素数1〜30までのアルキル基あるいはアリール基(ベンゼン環)であり、炭素基は部分的に分岐鎖や多重結合を有するものも含まれる。また、炭素に結合する元素としてはフッ素や塩素等のハロゲン、水素あるいは窒素等も含まれる。また、R2は、ハロゲン、または−OR3(R3は、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアリル基である。ここで、炭素が酸素や水素だけでなく、ハロゲンや窒素と結合しているものも含まれる。)で示される置換基である。また、Xは、Si、Ti、Al、CおよびSからなる群から選択される一つの元素である。ここで、αおよびβは1以上であり、α+βは2から4である。)
本発明において、R1は上述したような配向基であり、かつ疎水性を有する。このことから、R1が上記酸化珪素膜の表面に単分子状態で配向することにより、上記酸化珪素膜表面を疎水性基で覆うこととなるため、はっ水性等を向上させることが可能であり、バリア性を有する積層体とすることが可能となるからである。
【0013】
また、R2が上述したような吸着基であることから、上記酸化珪素膜表面の−OH基と結合することが可能となり、上記酸化珪素膜表面全体、および上記酸化珪素膜表面に存在する分子のナノレベルの欠損上に上記自己組織化単分子膜を形成することが可能となり、ガスバリア性を向上させることができるからである。
【0014】
また、請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載するように、上記自己組織化単分子膜が、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、および3−クロロプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも一つの材料を原材料として形成された膜であることが好ましい。本発明においては、これらの材料を原材料とすることにより、上記酸化珪素膜の表面全体に自己組織化単分子膜を形成することが可能となり、バリア性を有する積層体とすることが可能となるからである。
【0015】
請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項4に記載するように、上記自己組織化単分子膜表面における水との接触角が、80°以上(測定温度23℃)であることが好ましい。この程度のはっ水性を有するものであれば、表面に水等が吸着することによるバリア性の低下を防止することができるからである。
【0016】
請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項5に記載するように、上記酸化珪素膜は、厚さが5〜500nmの範囲内であることが好ましい。本発明によれば、5〜500nmという極めて薄い酸化珪素膜を形成した場合であっても、優れたガスバリア性を発揮することができるからである。さらに、上記範囲の厚さで酸化珪素膜を形成した積層体は透明性や外観等を損なうことがなく、またフィルムのカールの増大を抑制することもできるため生産性においても好ましいからである。
【0018】
また、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項6に記載するように、酸素透過率が0.5cc/m2/day以下で、水蒸気透過率が0.5g/m2/day以下であることが好ましい。酸素透過率および水蒸気透過率を上記の範囲内とすることにより、内容物の品質を変化させる原因となる酸素と水蒸気を殆ど透過させないので、高いガスバリア性が要求される用途に好ましく用いることができるからである。
【0019】
本発明は請求項7に記載するように、基材上に真空蒸着法を用いて酸化珪素膜を堆積させて形成する酸化珪素膜形成工程と、前記酸化珪素膜形成工程により形成された酸化珪素膜上に、CVD法を用いて、自己組織化単分子膜を形成する分子を基材上に単分子状態で配向させるための配向基を少なくとも一つ有し、かつ基材と吸着するための吸着基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜を形成する自己組織化単分子膜形成工程とを有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
【0020】
本発明においては、基材上に真空蒸着法を用いて酸化珪素膜を堆積させることにより、ガスバリア性を有する酸化珪素による膜を形成することが可能となり、さらに、上記工程により得られた酸化珪素膜上に、CVD法を用いて、自己組織化単分子膜を形成する分子を基材上に単分子状態で配向させるための配向基を少なくとも一つ有し、かつ基材と吸着するための吸着基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜を形成することにより、上記酸化珪素膜の表面に存在する分子のナノレベルでの欠損を、自己組織化単分子膜により充填することが可能となり、バリア性の高い積層体を製造することが可能となる。
【0022】
請求項7に記載された発明においては、請求項8に記載するように、上記自己組織化単分子膜形成工程が、熱CVD法を用いた工程であることが好ましい。上記自己組織化単分子膜形成工程を、熱CVD法を用いた工程とすることにより、自己組織化単分子膜を形成する分子が気体状態で、上記酸化珪素膜表面に堆積されることが可能となるため、上記酸化珪素膜の表面に存在する分子のナノレベルでの欠損へ容易に吸着することが可能となるからである。また、熱CVD法を用いた工程とすることで、自己組織化単分子膜を形成する分子が、分解されることなく、上記酸化珪素表面に密に堆積することが可能となり、自己組織化単分子膜表面に欠損が発生することを防止することが可能となるからである。さらに、自己組織化単分子膜表面上の配向基で重合反応がほとんど生じないため、表面の疎水性を保つことが可能であり、自己組織化単分子膜が存在しない表面、つまり酸化珪素膜表面には優先的な吸着が生じるからである。
【0023】
また、請求項7または請求項8までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項9に記載するように、上記酸化珪素膜形成工程が、プラズマCVD法を用いた工程であることが好ましい。上記酸化珪素膜形成工程が、プラズマCVD法を用いた工程であることにより、熱的ダメージを与える可能性が少ないことから、樹脂性のフィルムを基材として用いることが可能となり、ガスバリア性と屈曲性に優れた酸化珪素膜を形成することが可能となるからである。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明は、積層体、およびその製造方法を含むものである。それぞれについて以下に説明する。
【0025】
A.積層体
本発明のバリアフィルムは、基材と、前記基材の片面または両面に形成された酸化珪素膜と、前記酸化珪素膜上に形成された自己組織化単分子膜とを有することを特徴とするものである。
【0026】
以下、このような本発明のバリアフィルムを構成する各要素についてそれぞれ説明する。
【0027】
1.自己組織化単分子膜
本発明における自己組織化単分子膜とは、固体/液体もしくは固体/気体界面で、有機分子同士が自発的に集合し会合体を形成しながら自発的に単分子膜を形作っていく有機薄膜のことをいう。
【0028】
例えば、ある特定の材料でできた基板を、その基板材料と化学的親和性の高い有機分子の溶液または蒸気にさらすと、有機分子は基板表面で化学反応し吸着する。その有機分子が、化学的親和性の高い官能基と、基板との化学反応を全く起こさないアルキル基との2つのパートからなり、親和性の高い官能基がその末端にある場合を考えてみる。この場合、分子は、反応性末端が基板側を向き、アルキル基が外側を向いて吸着する。アルキル基同士が集合すると、全体として安定になるため、化学吸着の過程で有機分子同士は自発的に集合する。基板と末端官能基との化学反応が起ることが、分子の吸着に必要なため、いったん基板表面が有機分子でおおわれ単分子膜ができあがると、それ以降は分子の吸着は起らない。その結果、分子が密に集合し、配向性のそろった有機単分子膜ができる。このような膜を本発明においては、自己組織化単分子膜とするのである。
【0029】
本発明においては、このような自己組織化単分子膜を酸化珪素上の全面に形成した点に特徴を有するものであり、酸化珪素膜にナノレベルの欠損があった場合でも単分子状の膜であるため、欠損を充填することが可能となり、大幅にガスバリア性を向上させることができる。以下、このような自己組織化単分子膜について構造面および特性面から説明する。
【0030】
(構造)
本発明に用いられる自己組織化単分子膜を形成する分子は、自己組織化膜を基材上に単分子状態で配向させるための配向基と、基材と吸着するための吸着基とを有することが好ましい。以下これらについて詳細に説明する。
【0031】
a.配向基
本発明における配向基とは、自己組織化単分子膜を形成する分子を基材上に、単分子状態で配向させるための基のことをいう。この配向基が基材に吸着されない基であり、後述するような自己組織化単分子膜を形成する分子の吸着基が基材上に吸着し固定化することから、配向基は基材の表面に配置される。この配向基が多数基材表面に集合すると、配向基同士が自発的に配向するため、分子が密に集合し配向性のそろった有機単分子膜を形成することが可能となる。また、この配向基が反応性の低い基であるために、配向基上には他の分子の吸着等が起こらないことから、自己組織化単分子膜は単分子状態の膜を形成することとなる。
【0032】
本発明においては、自己組織化単分子膜を形成する分子が、上述した配向基を少なくとも一つ有することが好ましい。自己組織化単分子膜を形成する分子が、基材となる上記酸化珪素膜上に配向するための配向基を少なくとも一つ有することによって、基材の表面において配向基が単分子状態で配向し、単分子膜を全面にわたって形成することから、酸化珪素膜のナノレベルでの欠損を充填することとが可能となり、バリア性の向上した積層体とすることができるからである。
【0033】
さらに本発明においては、この配向基が、炭素数1〜30までのアルキル基あるいはアリール基(ベンゼン環)であり、炭素基は部分的に分岐鎖や二重結合のような多重結合のあるもの等も含まれる。また、炭素に結合する元素としてはフッ素や塩素等のハロゲン、水素あるいは窒素等も含まれる。特に炭素数が3〜22までであることが好ましい。具体的には、オクタデシル基、ノニル基、オクテニル基、オクチル基、ペンタフルオロフェニルプロピル基、ペンチル基、フェネチル基、フェニル基、プロピル基、テトラデシル基、トリフルオロプロピル基、ノナフルオロヘキシル基、イソオクチル基、イロブチル基、ヘキシル基、ヘキセニル基、テキサデシル基、ヘプチル基、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシル基、エイコシル基、ドデシル基、ジメトキシメチル基、デシル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基、ペンタコンシル基、トリコンチル基、シクロヘキシル基、クロロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ブチル基、およびこれらの置換基の炭素に結合した水素が一部ハロゲンに置換した基が好ましく、中でもオクタデシル基、オクチル基、フェニル基、トリデカフルオロテトラヒドロオクチル基、イソブチル基、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシル基、ドデシル基、クロロプロピル基が好ましい。
【0034】
配向基が上述したような基であり、かつ疎水性を有することにより、上記酸化珪素膜表面に存在する分子のナノレベルの欠損を充填することにより、積層体のバリア性を向上させることが可能となるだけでなく、上記酸化珪素表面を疎水性基で覆うこととなるため、はっ水性等を向上させることも可能となるからである。
【0035】
b.吸着基
本発明における吸着基とは、自己組織化単分子膜を形成する分子が、基材上に吸着するための基のことをいう。この吸着基は、化学的親和性の高い官能基であるため、基材の表面に存在する物質と容易に化学結合をすることにより、自己組織化単分子膜を形成する分子が、基材上に固定されるのである。また、吸着基が複数ある場合においては、吸着基が基材の表面に存在する物質に吸着するだけでなく、隣り合う分子間同士においても結合が形成される場合もあることから、自己組織化単分子膜の強度が向上する。
【0036】
本発明においては、自己組織化単分子膜を形成する分子が、吸着基を少なくとも一つ有することが好ましい。自己組織化単分子膜を構成する分子に、上述した吸着基を少なくとも一つ有することによって、上記酸化珪素膜の表面分子に自己組織化単分子膜を構成する分子が吸着することが可能となり、また上記酸化珪素膜の表面に存在する分子のナノレベルでの欠損にも吸着することが可能となるため、上記酸化珪素膜表面全体に上記自己組織化単分子膜を形成し、上記酸化珪素膜の表面上に存在する分子のナノレベルでの欠損を充填することが可能となるからである。
【0037】
本発明においては、中でも吸着基を二つ以上有することが好ましい。自己組織化単分子膜を構成する分子に、上述した吸着基を少なくとも二つ有することによって、反応性官能基が複数あるため、基材表面に存在する基と反応するだけでなく、隣り合う分子間同士でも結合が形成される可能性があるため、形成された自己組織化単分子膜をより強固なものとすることが可能となるからである。
【0038】
さらに本発明においては、この吸着基がハロゲン、または−OR3(R3は、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアリル基である。ここで、炭素が酸素や水素だけでなく、ハロゲンや窒素と結合しているものも含まれる。)で示される置換基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基およびフェノキシ基(その他上記の吸着基中の水素が1個以上ハロゲンで置換された基も含む)が好ましく、中でも塩素、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
【0039】
吸着基が上述したような基であることから、例えば熱CVDを用いて成膜した場合、成膜時に原料分子が反応器中で加水分解し、本発明に用いられる基材である上記酸化珪素膜表面の−OH基と結合することが可能となるからである。この結合により、自己組織化単分子膜を、上記酸化珪素膜表面全体、および上記酸化珪素膜表面に存在する分子のナノレベルの欠損上に形成することが可能となるからである。
【0040】
c.その他
本発明において、自己組織化単分子膜を形成する分子には、中心となる核が存在することが好ましい。この核は、上記の配向基と吸着基の中心に存在し、自己組織化単分子膜を形成する分子の配向基や吸着基の数等を決定する。
【0041】
本発明においては、この核としてSi、Ti、Al、CおよびSからなる群から選択される一つの元素であることが好ましい。
【0042】
これまで述べてきた理由から、本発明においては、自己形成単分子膜を形成する材料の分子は、下記の一般式(1)で示される化合物を原材料として形成されたものであることが好ましい。
【0043】
R1 αXR2 β (1)
ここで、R1は上述の配向基、R2は上述の吸着基、Xは上述の核となる物質である。(ここで、αおよびβは1以上であり、α+βは2から4である。)
さらに本発明は、中でも自己組織化単分子膜を形成する物質がオクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルジメチルメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、ノニルクロロシラン、オクテニルトリクロロシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルメチルジエトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェニルジクロロシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルエチルジクロロシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリクロロシラン、ヘキシルジクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)メチルジクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン、エイコシルトリクロロシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ドデシルジメチルクロロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、デシルメチルジクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルメチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシランであることが好ましい。
【0044】
本発明においては、中でもオクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ノニルクロロシラン、オクテニルトリクロロシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、エイコシルトリクロロシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルメチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシランが好ましく、特にオクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランが好ましいといえる。
【0045】
本発明においては、これらの材料を原材料とすることにより、上記酸化珪素膜の表面全体に自己組織化単分子膜を形成することが可能となり、上記酸化珪素膜の表面に存在する分子のナノレベルでの欠損を充填することが可能となるため、バリア性を有する積層体とすることが可能となるからである。
【0046】
(特性)
本発明においては、上述した構造の自己組織化単分子膜が下記のような特性をもつことが好ましい。以下、本発明に用いられる自己組織化単分子膜の特性、具体的には表面のはっ水性および膜厚について説明する。
【0047】
a.はっ水性
本発明においては、上記自己組織化単分子膜の表面における水との接触角が、測定温度23℃において、80°以上、特に100°以上であることが好ましい。この程度のはっ水性を有するものであれば、表面に水等が吸着することによるバリア性の低下を防止することができるため、積層体全体のバリア性を向上させることが可能となるからである。
【0048】
ここで、この水との接触角の測定方法は、協和界面化学社の接触角測定装置(型番CA−Z)を用いて求めた値である。すなわち、被測定対象物の表面上に、純水を一滴(一定量)滴下させ、一定時間経過後、顕微鏡やCCDカメラを用い水滴形状を観察し、物理的に接触角を求める方法を用い、この方法により測定された水との接触角を本発明における水との接触角とすることとする。
【0049】
b.膜厚
また、本発明において、自己組織化単分子膜の膜厚が、1〜10nm、特に1〜5nmの範囲内であることが好ましい。自己組織化分子膜の膜厚は、自己組織化膜を構成する分子の長さによって決定されるものである。本発明の積層体は、包装材料やディスプレイ材料等の表面に保護層として用いられることも想定される。その場合、積層体全体に透明性が必要とされるため、自己組織化膜の単分子膜の膜厚が、上述した範囲であることにより、自己組織化膜に透明性をもたせることが可能となるからである。
【0050】
2.酸化珪素膜
次に、本発明に用いられる酸化珪素膜について説明をする。
【0051】
本発明における酸化珪素膜は、一般に酸化珪素膜と称されるものであれば、その製法や膜厚等について、特に限定されるものでない。本発明においてこのような酸化膜は、後述する基材の片面または両面に形成された膜である。一般的に、酸化珪素膜の膜中に炭素原子等の不純物質等が混入することにより、成膜された酸化珪素膜が粗になるため、酸素透過率や水蒸気透過率が大きくなりガスバリア性が低下するということが見られる。そこで、本発明における酸化珪素膜は、これらの不純物の少ないガスバリア性の高い膜であることが好ましい。具体的には、酸化珪素膜の酸素透過率が2cc/m2/day以下であり、水蒸気透過率が2g/m2/day以下のものが好適に用いられる。
【0052】
また、本発明における酸化珪素膜は、5〜500nmの厚さの範囲内であることが好ましい。酸化珪素膜の厚さが5nm未満の場合は、酸化珪素膜が基材の全面を覆うことができないことがあり、ガスバリア性を向上させることができない可能性があるため好ましくない。一方、酸化珪素膜の厚さが500nmを超えると、クラックが入り易くなること、透明性や外観が低下すること、フィルムのカールが増大すること、さらに、量産し難く生産性が低下してコストが増大すること、等の不具合が起こり易くなるため好ましくない。
【0053】
また、本発明の積層体を包装材料等、フレキシブル性が要求される用途として用いる場合には、形成される酸化珪素膜の機械的特性や用途を勘案し、その厚さを5〜30nmとすることがより好ましい。酸化珪素膜の厚さを5〜30nmとすることによって、軟包装材料としてのフレキシブル性を持たせることができ、フィルムを曲げた際のクラックの発生を防ぐことができる。また、本発明の積層体が比較的薄さを要求されない用途、例えば、フィルム液晶ディスプレイ用ガスバリア膜、フィルム有機ELディスプレイ用ガスバリア膜またはフィルム太陽電池用ガスバリア膜等の用途、に用いられる場合には、ガスバリア性が優先して要求されるので、前述の5〜30nmの範囲よりも厚めにすることが好ましく、その厚さを30〜200nmとすることが生産性等も考慮した場合により好ましい。
【0054】
なお、本発明において、酸化珪素膜は透明であることが好ましいが、各種の用途に供するために、基材やその他積層材料のうち、透明性が劣る層を任意に積層させることは自由であり、最終製品として求められる積層体の透明性およびその程度は、各種の用途によって異なる。例えば、本発明の酸化珪素膜を用いた積層体を包装材料として用いる場合には、内容物を光線から保護するために、有色インキ等で印刷して遮光性を出してもかまわない。その他帯電防止剤やフィラー等、積層体全体の透明性を悪くする要因がある添加物を練り混んだ層を積層したり、透明性がない金属箔等を積層したりすることができる。ただし、フィルム液晶ディスプレイ用ガスバリア膜、フィルム有機ELディスプレイ用ガスバリア膜またはフィルム太陽電池用ガスバリア膜等の用途に用いられる場合には、積層体全体の透明性が要求されるので、本発明における酸化珪素膜の透明性による効果が大である。
【0055】
3.基材
次に、本発明の積層体を構成する基材について説明する。本発明に用いられる基材としては、樹脂等の有機物であっても、ガラス等の無機物であってもよく、また用いる用途に応じて透明なものであっても不透明なものであってもよい。しかしながら、例えば包装材、さらには有機EL素子等の画像表示装置の基板などの用途面を考慮すると、基材はプラスチック材料であり、かつ透明なフィルムであることが好ましい。
【0056】
具体的には、
・エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、
・環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、
・ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、
・ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、
・ポリイミド(PI)樹脂、
・ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、
・ポリサルホン(PS)樹脂、
・ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、
・ポリカーボネート(PC)樹脂、
・ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、
・ポリアリレート(PAR)樹脂、
・エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂、
等を用いることができる。
【0057】
また、上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリル系化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリル系化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物等を用いることも可能である。さらに、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを基材フィルムとして用いることも可能である。
【0058】
上記に挙げた樹脂等を用いた本発明の基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
【0059】
本発明の基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
【0060】
また、本発明の基材においては、表面形状に影響を与えず、表面特性のみを改質するものであれば、酸化珪素膜を形成する前にコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理などの表面処理を行ってもよい。表面微細凹凸が形成されてしまうと、気相形成膜の特性が低下してしまうため、バリア性に影響するからである。
【0061】
さらに、本発明の基材の表面には、酸化珪素膜との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤層を形成してもよい。このアンカーコート剤層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を、1または2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
【0062】
基材は、ロール状に巻き上げられた長尺品が便利である。基材の厚さは、得られる積層体の用途によって異なるので一概には規定できないが、一般的な包装材料やパッケージ材料用の基材として用いる場合には、3〜188μmが好ましい。
【0063】
4.積層体
また、本発明における積層体は、上記酸化珪素膜および自己組織化単分子膜が、この順序で複数層積層しているものであってもよい。ガスバリア性を必要とする程度または用途に合わせて選択することが可能であり、ガスバリア層を複数層積層することにより、さらにガスバリア性を向上させることができるからである。本発明において好ましい積層数は、1〜70であり、特に1〜30の範囲内であることが好ましい。上記範囲より積層数が多い場合には、クラックやひび割れ等が起こりやすくなるため、好ましくないからである。
【0064】
また本発明においては、積層体の酸素透過率が0.5cc/m2/day以下で、水蒸気透過率が0.5g/m2/day以下であることが好ましい。酸素透過率および水蒸気透過率を上記の範囲内とすることにより、内容物の品質を変化させる原因となる酸素と水蒸気を殆ど透過させないので、高いガスバリア性が要求される用途、例えば食品や医薬品等の包装材料や、電子デバイス等のパッケージ材料用に好ましく用いることができる。また、高度なバリア性から、ディスプレイ材料や、半導体材料の保護用積層体としても、好ましく用いることが可能となる。ここで、本発明における酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20)を用い、23℃、90%Rhの条件で測定したものである。また、水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31)を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定したものである。
【0065】
B.積層体の製造方法
本発明における積層体の製造方法は、基材上に真空蒸着法を用いて酸化珪素膜を堆積させて形成する酸化珪素膜形成工程と、上記酸化珪素膜形成工程により形成された酸化珪素膜上に、CVD法を用いて自己組織化単分子膜を形成する自己組織化単分子膜形成工程とを有することを特徴とするものである。以下、これらの工程について説明をする。
【0066】
1.自己組織化単分子膜形成工程
本発明における自己組織化単分子膜形成工程とは、原料となる自己組織化単分子膜を形成する分子をCVD法を用いて、後述する酸化珪素膜工程により形成された酸化珪素膜上に、自己組織化単分子膜を形成する工程である。
【0067】
本発明における自己組織化単分子膜形成工程に用いられる原料は、積層体の項で説明した自己組織化単分子膜を形成する分子であれば、特に限定されるものではない。
【0068】
本発明においては、特に自己組織化単分子膜を形成する分子が、上記自己組織化単分子膜を形成する分子を基材上に単分子状態で配向させるための配向基を少なくとも一つ有し、かつ基材と吸着するための吸着基を少なくとも一つ有することが好ましい。積層体の項で述べた理由と同様に、自己組織化単分子膜を形成する分子が、基材上に単分子状態で配向させるための配向基を少なくとも一つ有することによって、配向基が基材の表面に単分子状態で配向し、全体としてバリア性の向上した積層体を製造することが可能となる。また、自己組織化単分子膜を形成する分子が、基材と吸着するための吸着基を少なくとも一つ有することによって、上記酸化珪素膜の表面の分子に吸着することが可能となり、また上記酸化珪素膜の表面に存在する分子のナノレベルでの欠損にも吸着をすることが可能となるため、フィルム表面全体に上記自己組織化単分子膜を有する積層体を製造することが可能となるからである。
【0069】
本発明に用いられる自己組織化単分子膜形成工程におけるCVD法は、一般的にCVD法と称される方法であれば特に限定されるものではない。CVD法とは、化学気相析出法とも称される方法であり、形成する目的となる自己組織化単分子膜を形成する分子を反応部に供給し、気相または基材表面での化学反応により、微粒子や薄膜を形成する方法である。この際の化学反応を起こさせるエネルギーの与え方により、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法に大別される。
【0070】
本発明における自己組織化単分子膜形成工程は、中でも熱CVD法によって行うことが好ましい。熱CVD法とは、目的とする自己組織化単分子膜の材料を気化し、高温加熱した基材上になるべく均一になるように送り込み、基材上で分解、還元、酸化、置換などの化学反応を行わせ、基材の上に薄膜を形成する方法である。この熱CVD法においては、基材表面に原材料となる自己組織化単分子膜を形成する分子が気体状態で、上記酸化珪素膜表面に堆積することが可能となるため、上記酸化珪素膜の表面に存在するナノレベルでの欠損にも容易に吸着することが可能となり、自己組織化単分子膜を形成することが可能となるという利点がある。また、光CVD法やプラズマCVD法より、装置が簡単であり、かつ生産性が高いため、コスト面等からも有利である。
【0071】
本発明における熱CVD法の好ましい成膜条件としては、基材として使用するポリマーの耐熱温度以下であれば、高ければ高いほどよいが、50℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。また、反応系中に水分、あるいは酸素が含まれることにより、アルコキシ基の加水分解反応がより促進され、基材との反応性が高くなる。
【0072】
2.酸化珪素膜形成工程
本発明における真空蒸着法とは、PVD法であってもCVD法であってもよく、真空状態において行う成膜方法であれば、特に限定されるものではない。
【0073】
具体的には、スパッタリング、イオンプレーティング、光CVD、プラズマCVD等を挙げることができる。
【0074】
本発明における酸化珪素膜形成工程は、上述した真空蒸着法の中でも特にプラズマCVD法によって行うことが好ましい。プラズマCVD法とは、一定圧力の原料ガスを放電させてプラズマ状態にし、そのプラズマ中で生成された活性種によって基材表面での化学反応を促進して形成する方法である。このプラズマCVD法は、高分子樹脂に熱的ダメージが加わらない程度の低温(およそ−10〜200℃程度の範囲)で所望の材料を成膜でき、さらに原料ガスの種類・流量、成膜圧力、投入電力によって、得られる膜の種類や物性を制御できるという利点がある。従って、本発明における酸化珪素膜形成工程がプラズマCVD法を用いた工程であることにより、樹脂性の基材にも熱的ダメージを与える可能性が少ないため、樹脂製の基材を基材として用いることが可能となり、ガスバリア性と屈曲性に優れた酸化珪素膜を形成することが可能となる。
【0075】
本発明においては、プラズマCVD装置の反応室内に、有機珪素化合物ガスと酸素ガスとの混合ガスを所定の流量で供給すると共に、電極に直流電力または低周波から高周波の範囲内での一定周波数を持つ電力を印加してプラズマを発生させ、そのプラズマ中で有機珪素化合物ガスと、酸素原子を有するガス、中でも酸素ガスとが反応することによって基材上に酸化珪素膜を形成することが好ましい。使用されるプラズマCVD装置のタイプは特に限定されず、種々のタイプのプラズマCVD装置を用いることができる。通常は、長尺の高分子樹脂フィルムを基材として用い、それを搬送させながら連続的に酸化珪素膜を形成することができる連続成膜可能な装置が好ましく用いられる。
【0076】
本発明におけるプラズマCVD法の好ましい成膜条件の一例を挙げると、温度条件としては、−20〜100℃の範囲内であり、基材の耐熱性に依存するが、成膜温度は高ければ高いほどよい。原料ガスである有機珪素化合物ガスと酸素原子を含むガスとの分圧比としては、有機珪素化合物ガスを1とした場合に、1〜50の範囲内、好ましくは1〜10の範囲内とすることである。
【0077】
そして、プラズマCVD装置のプラズマ発生手段における単位面積当たりの投入電力を大きく設定したり、マグネット等プラズマの閉じ込め空間を形成しその反応性を高めること等により、その効果がより高く得られる。
【0078】
また、本発明においては、上記原料ガスの内、有機珪素化合物ガスとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、1,1,3,3−テトライソプロピル−1,3−ジクロロジシロキサン、テトラエチルシラン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、テトラデシルトリクロロシラン、テトラ−n−ブチルシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、n−プロピルジメチルクロロシラン、フェニルトリメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリフルオロシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、フェニルメチルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルメチルクロロシラン、フェニルエチルジクロロシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルジクロロシラン、フェノキシトリメチルシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、ペンタメチルジシロキサン、ペンタメチルクロロジシラン、ペンタフルオロフェニルトリメチルシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルジメチルクロロシシラン、ペンタフルオロフェニルジメチルクロロシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルシラン、n−オクタデシルメチルジエトキシシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、n−オクタデシルメトキシジクロロシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−n−オクチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルペンチルジクロロシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、メトキシメチルトリメチルシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリクロロシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、イソブチルジメチルクロロシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメチルシラン、ヒドロキシメチルトリメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリフルオロシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ヘキシルジクロロシラン、ヘキサフェニルジシロキサン、ヘキサフェニルジシラン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、n−ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサクロロジシロキサン、ヘキサクロロジシラン、n−ヘプチルトリクロロシラン、n−ヘプチルメチルジクロロシラン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン、エチルトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、2−エチルヘキシロキシトリメチルシラン、エチルジメチルシラン、エチルジメチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、エチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ドデシルジメチルクロロシラン、ドデカメチルペンタシロキサン、ドコシルメチルジクロロシラン、1,3−ジシラブタン、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン、ジフェニルシランジオール、ジフェニルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジフェニルジフルオロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、1,3−ジオクチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジ−n−オクチルテトラエトキシジシロキサン、ジ−n−オクチルジクロロシラン、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,3−ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,4−ジメチルジシリルエタン、ジメチルメトキシシクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、(3,3−ジメチルブチル)ジメチルクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、ジイロプロピルクロロシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジクロロシラン、ジエチルシラン、ジエチルメチルシラン、ジエチルジヘニルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジシクロペンチルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、1,3−ジクロロテトラフェニルジシロキサン、1,3−ジクロロテトラメチルジシロキサン、ジクロロテトラメチルジシラン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラジロキサン、(ジクロロメチル)トリメチルシラン、(ジクロロメチル)トリクロロシラン、(ジクロロメチル)メチルジクロロシラン、(ジクロロメチル)ジメチルクロロシラン、(ジクロロメチル)(クロロメチル)ジメチルシラン、1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサン、1,2−ジクロロエチルトリクロロシラン、1,1−ジクロロ−3,3−ジメチル−1,3−ジシラブタン、ジ−t−ブチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルクロロシラン、ジ−t−ブチルジクロロシラン、ジ−t−ブチルクロロシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジベンジロキシジクロロシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−デシルメチルジクロロシラン、n−デシルジメチルクロロシラン、デカメチルテトラシロキサン、シクロトリメチレンジメチルシラン、シクロトリメチレンジクロロシラン、シクロテトラメチレンジメチルシラン、シクロテトラメチレンジクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンタメチレンジメチルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、3−クロロプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−クロロプロピルトリメチルシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3−クロロプロピルフェニルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルクロロシラン、3−クロロプロピルジブチルメチルシラン、p−クロロフェニルトリメチルシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、クロロフェニルメチルジクロロシラン、クロロメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、クロロメチルトリメチルシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリクロロシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリクロロシラン、クロロメチルペンタメチルジシロキサン、クロロメチルメチルジイソプロポキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジクロロシラン、クロロメチルジメチルシラン、クロロメチルジメチルフェニルシラン、クロロメチルジメチルイソプロポキシシラン、クロロメチルジメチルエトキシシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、クロロメチルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリクロロシラン、1−クロロエチルトリクロロシラン、2−クロロエチルシラン、2−クロロエチルメチルジクロロシラン、4−クロロブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、t−ブチルメチルジクロロシラン、n−ブチルメチルジクロロシラン、t−ブチルジフェニルメトキシシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジクロロシラン、t−ブトキシトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)メタン、1,4−ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)エタン、1,3−ビス(トリメチルシロキシ)1,3−ジメチルジシロキサン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリス)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、ビス(トリクロロシリル)オクタン、1,9−ビス(トリクロロシリル)ノナン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジメチルシラン、ビス(メチルジクロロシリル)ブタン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジクロロメチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(クロロメチル)ジメチルシラン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)オクタン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)ヘキサン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジロキシトリメチルシラン、ベンジルジメチルシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシジクロロシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)クロロシラン、トリス(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルシロキシクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリス(2−クロロエトキシ)シラン、トリフェニルシラン、トリフェニルフルオロシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、トリオクチルシラン、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルパーフルオロ1ブタンスルフォネート、トリメチルクロロシラン、トリイソプロポキシシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、トリフルオロメチルトリメチルシラン、トリフルオロメチルトリエチルシラン、トリエチルシラノール、トリメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を一種または二種以上用いることができる。
【0079】
しかしながら、本発明においては、SiO2ライクな膜を形成する目的から、特に分子内に炭素−珪素結合を有さない有機珪素化合物が好適に用いられる。具体的には、テトラメトキシシラン(TMOS)、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン等を挙げることができ、中でも分子内に炭素−珪素結合が存在しないテトラメトキシシラン(TMOS)およびテトラエトキシシラン(TEOS)を用いることが好ましい。
【0080】
また、酸素原子を含むガスとしては、N2O、酸素、CO、CO2等を挙げることができるが、中でも酸素ガスが好適に用いられる。
【0081】
このように、原料ガスのうち有機珪素化合物ガスとして炭素−珪素結合を有さない有機化合物を用い、さらに上述したような開始時の基材の温度、原料ガスの流量比、さらにはプラズマ発生手段における投入電力を上述した範囲内とすることにより、よりガスバリア性の良好な積層体が得られるのは、有機珪素化合物ガスの分解性が高くなり、膜の中に酸素原子が取り込まれやすくなり結果としてSiO2ライクな膜が形成されるためと考えられる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0083】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0084】
(プラズマCVD工程;酸化珪素膜の成膜)
酸化珪素膜を、容量結合型高周波プラズマCVDにより成膜した。まず、減圧手段により反応チャンバー(反応室)内を1.0×10−4Pa以下まで真空にした。次いで、原料ガスを反応チャンバー内に導入した。原料ガスとしては、有機珪素化合物としてテトラメトキシシランを用い、酸素原子を含むガスとして酸素ガスを用いた。基材には12μm−PETを使用した。テトラメトキシシラン分圧と酸素分圧比を1:1とし、全圧が10Paとなるように反応チャンバー内に導入した。プラズマ生成、原料分解には13.56MHzの高周波を用いた。成膜時間10分間、200Wの電力でシリカ膜を成膜した。成膜中,基板表面温度は100℃以下であった。膜厚は約200nmであった。
【0085】
XPSおよびFTIRにより膜特性を評価したところ、膜中から炭素原子は検出されなかった(XPS検出限界以下)。FTIRにより、膜中にはシロキサンネットワーク以外に、OH基に起因する結合が若干含まれることが確認された。なお、XPSによる評価は、MgKα使用、15kV、20mA(300W)、Ar+イオンスパッタエッチング(深さ方向分析)という条件下で、XPS220iXL(ESCALAB社製)を用いて測定された結果を用いた。
【0086】
(熱CVD工程;SAM成膜)
酸化珪素膜をコーティングしたPET基材と、ガラス容器に入れたオクタデシルトリメトキシシラン約0.2mlを、テフロン(登録商標)容器内に設置し、100℃のオーブン中に5時間放置し、熱CVDによる単分子膜形成を実施した。
【0087】
SAM作製後、水滴接触角および膜厚を測定したところ、水との接触角が約108°であり、膜厚は1.8nmであった。SAM作製前の水滴接触角がほとんど0°であったので、熱CVDにより、SAMが形成されていることがわかる。
【0088】
(OTR測定)
酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20)を用い、23℃、90%Rhの条件で測定したところ、実施例のサンプルの酸素透過率は0.45cc/m2/dayであった。また、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31)を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定したところ、実施例のサンプルの水蒸気透過率は0.42g/m2/dayであった。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、上記酸化珪素膜の表面上に、自己組織化単分子膜を有することにより、上記酸化珪素膜の表面に存在する分子のナノレベルでの欠損を、自己組織化単分子膜により充填することが可能となり、全体としてバリア性の向上した積層体とすることができるといった効果を奏するものである。
Claims (9)
- 基材と、前記基材の片面または両面に形成された酸化珪素膜と、前記酸化珪素膜上に形成された自己組織化単分子膜とからなる積層体であって、前記自己組織化単分子膜が、前記自己組織化単分子膜を形成する分子を基材上に単分子状態で配向させるための配向基を少なくとも一つ有し、かつ基材と吸着するための吸着基を少なくとも一つ有し、前記酸化珪素膜および自己組織化単分子膜が、この順序で基材上に複数層積層されていることを特徴とする積層体。
- 前記自己組織化単分子膜が、下記の一般式(1)で示される化合物を原材料として形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
R1 αXR2 β (1)
(ここで、R1は、炭素数1〜30までのアルキル基あるいはアリール基(ベンゼン環)であり、炭素基は部分的に分岐鎖や多重結合を有するものも含まれる。また、炭素に結合する元素としてはフッ素や塩素等のハロゲン、水素あるいは窒素等も含まれる。また、R2は、ハロゲン、または−OR3(R3は、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアリル基である。ここで、炭素が酸素や水素だけでなく、ハロゲンや窒素と結合しているものも含まれる。)で示される置換基である。また、Xは、Si、Ti、Al、CおよびSからなる群から選択される一つの元素である。ここで、αおよびβは1以上であり、α+βは2から4である。) - 前記自己組織化単分子膜が、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、および3−クロロプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも一つの材料を原材料として形成された膜であることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
- 前記自己組織化単分子膜表面における水との接触角が80°以上(測定温度23℃)であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の積層体。
- 前記酸化珪素膜は、厚さが5〜500nmであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の積層体。
- 酸素透過率が0.5cc/m2/day以下で、水蒸気透過率が0.5g/m2/day以下であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の積層体。
- 基材上に真空蒸着法を用いて酸化珪素膜を堆積させて形成する酸化珪素膜形成工程と、前記酸化珪素膜形成工程により形成された酸化珪素膜上に、CVD法を用いて、自己組織化単分子膜を形成する分子を基材上に単分子状態で配向させるための配向基を少なくとも一つ有し、かつ基材と吸着するための吸着基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜を形成する自己組織化単分子膜形成工程とを有することを特徴とする積層体の製造方法。
- 前記自己組織化単分子膜形成工程が、熱CVD法を用いた工程であることを特徴とする請求項7に記載の積層体の製造方法。
- 前記酸化珪素膜形成工程が、プラズマCVD法を用いた工程であることを特徴とする請求項7または請求項8までのいずれかの請求項に記載の積層体の製造方法。
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