JP4108999B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルム等の有機材料で形成された基材上に、表面部と中心部の酸素濃度の異なる酸化珪素膜を積層することからなる、ガスバリアフィルム等に用いることができる積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、樹脂性フィルム上に酸化珪素膜を形成して、ガスバリア性フィルム等の用途に用いることが知られている。このようなガスバリアフィルムは、主に、内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気等の影響を防ぐために、食品や医薬品等の包装材料として用いられたり、液晶表示パネルやEL表示パネル等に形成されている素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを避けるために、電子デバイス等のパッケージ材料として用いられている。
【0003】
このようなガスバリア性を有するフィルムは、樹脂性フィルム基材の片面または両面にガスバリア層を形成する構成をとるのが一般的である。そして、当該ガスバリアフィルムは、CVD法、PVD法等の様々な方法で形成する方法が知られている。(例えば、特開平8−176326号公報、特開平11−309815号公報、特開2000−6301号公報等)。特に、プラズマCVD法は、高分子樹脂基材に熱的ダメージを与えることなく、ガスバリア性と屈曲性に優れた酸化珪素膜や酸化アルミニウム膜を形成できるという利点がある。
【0004】
しかし、樹脂性フィルム等の有機材料により形成された基材の表面は、有機材料の特性により不均一であることから、基材表面に酸化珪素膜を形成する場合、酸化珪素膜と基材表面の間の密着性が悪く、クラックが入りやすいという問題があった。この問題を解決する手段として、基材表面の均一化を目的とする前処理や、接着層を一層設ける方法等が知られているが、工程数の増加やコストがかかるということから問題があった。
【0005】
また、上記のような酸化珪素膜をガスバリア性フィルムとして用いた際に、ガスバリア性として、2cc/m2/day程度の酸素透過率(OTR)や、2g/m2/day程度の水蒸気透過率(WVTR)を有するにすぎず、より高いガスバリア性を必要とする用途に使用される場合には、未だ不十分なものであった。
【0006】
また、このような酸化珪素膜等は、その表面が親水性であることから、酸素透過率(OTR)や水蒸気透過率(WVTR)のさらなる向上が難しいという問題点があった。すなわち、一般に、上記酸素透過率(OTR)や水蒸気透過率(WVTR)は、ガスバリア層表面の水に対する吸着性とガスバリア層自体の拡散係数によって決定されるとされている。ここで、上記酸化珪素膜等は、拡散係数の面では極めてガスバリア性に寄与するものである。しかしながら、通常酸化珪素膜等の無機酸化物の蒸着膜は親水性であり、よって表面に水が吸着し易く、したがってガスバリア性に悪影響を与えてしまうという問題があった。この問題を解決する方法として、ガスバリア層の表面にはっ水性の層を設ける方法等が提案されている。しかし、これらについても工程数の増加やコストがかかるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、簡易な工程で製造可能であり、かつ基材との接着性が良好であり、表面にはっ水性を有する酸化珪素膜が形成された積層フィルムの提供が望まれている。
【0008】
【課題が解決するための手段】
本発明は請求項1に記載するように、有機材料で形成された基材と、上記基材の片面または両面に形成された酸化珪素膜とを有し、上記酸化珪素膜の基材側の内表面および外側の外表面の両表面における酸素原子の濃度が、中心部における酸素原子の濃度に対して低くなるように形成されていることを特徴とする積層フィルムを提供する。
【0009】
この発明によれば、上記酸化珪素膜の外側の外表面における酸素原子の濃度が、中心部における酸素原子の濃度に対して低くなるように形成されていることにより膜表面における水の吸着性が低下し、膜のはっ水性を向上させることが可能となる。また、上記酸化珪素膜の基材側の内表面における酸素原子の濃度が、中心部における酸素原子の濃度に対して低くなるように形成されていることにより、例えば炭素原子等の基材に対する密着性を向上させる原子を導入することも可能となり、これにより基材との接着性を向上させることが可能となる。また、内表面および外表面において、例えば炭素原子等の不純物が存在することから、シロキサンネットワークが部分的に切断されることにより、膜としてのフレキシビリティーが向上する。
【0010】
上記請求項1に記載された発明において、請求項2に記載するように、上記酸化珪素膜の内表面および外表面における酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して0〜100の範囲内であることが好ましい。上記酸化珪素膜の内表面および外表面における酸素原子の濃度が上記範囲内であることにより、酸素以外の原子、例えば炭素原子が上記酸化珪素膜の内表面および外表面に比較的多量に含まれており、その結果、外表面のはっ水性を向上させることが可能となり、また内表面の基材に対する密着性を向上させることが可能となるからである。さらに、上述した理由によりフレキシビリティーが向上するからである。
【0011】
上記請求項1または請求項2に記載された発明においては、請求項3に記載するように、上記酸化珪素膜の中心部における酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して150〜200の範囲内であることが好ましい。上記酸化珪素膜の中心部における酸素原子の濃度が、上記範囲内であることにより、中心部の酸化珪素膜を、不純物の少ないSiO2ライクな膜とすることが可能となる。このことにより、積層フィルムに強度とともにガスバリア性を付与することが可能となるからである。
【0012】
上記請求項3に記載の発明においては、請求項4に記載するように、上記酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して150〜200の範囲内である領域の膜厚が、10nm〜500nmの範囲内で上記酸化珪素膜の中心部に形成されていることが好ましい。上記酸化珪素膜の中心部における酸素原子の濃度が上記範囲内であり、その厚さが上記範囲内であることから、よりガスバリア性の高い積層フィルムとすることが可能となる。また、酸素と珪素の結合は強度が高いため、強度の高い積層フィルムとすることが可能となるからである。
【0013】
本発明は、請求項5に記載するように、有機材料で形成された基材と、上記基材の片面または両面に形成された酸化珪素膜とを有し、上記酸化珪素膜の基材側の内表面および外側の外表面の両表面における炭素原子の濃度が、中心部における炭素原子の濃度に対して高くなるように形成されていることを特徴とする積層フィルムを提供する。
【0014】
この発明によれば、上記酸化珪素膜の外側の外表面における炭素原子の濃度が、中心部における炭素原子の濃度に対して高くなるように形成されていることにより、膜表面における水の吸着性が低下し、膜のガスバリア性を向上させることが可能となる。また、上記酸化珪素膜の基材側の内表面における炭素原子の濃度が、中心部における炭素原子の濃度に対して高くなるように形成されていることにより、有機材料で形成されている基材に対して密着性を向上させることが可能となり、接着性を向上した積層フィルムとすることが可能となる。さらに、内表面および外表面に炭素原子が比較的に多量に存在することから、珪素および酸素によるシロキサンネットワークが切断され、膜のフレキシビリティーが向上する。
【0015】
上記請求項5に記載した発明においては、請求項6に記載するように、上記酸化珪素膜の内表面および外表面における炭素原子の濃度が、Si原子数100に対して100〜400の範囲内であることを特徴とする積層フィルムであることが好ましい。
【0016】
上記酸化珪素膜の内表面および外表面における炭素原子の濃度が、上記範囲内であることにより、内表面の基材への接着性を向上、および外表面のはっ水性を向上させることが可能となり、さらにはフレキシビリティーが向上するからである。
【0017】
上記請求項5または請求項6に記載の発明においては、請求項7に記載するように、上記酸化珪素膜の中心部における炭素原子の濃度が、Si原子数100に対して50以下であることが好ましい。上記酸化珪素膜の中心部における炭素原子の濃度が上記範囲以下であることにより、中心部を不純物の少ないSiO2ライクな酸化珪素膜とすることが可能となる。これにより、積層フィルムにガスバリア性および強度を付与することが可能なるからである。
【0018】
上記請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項8に記載するように、上記酸化珪素膜が、プラズマCVD法により形成されたものであることを特徴とする積層フィルムを提供する。上記酸化珪素膜をプラズマCVD法により形成することにより、基材に熱的ダメージを与えることなく膜を形成することが可能となるからである。また、上記酸化珪素膜の成分割合の調整等を比較的容易に行うことが可能となるからである。
【0019】
上記請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項9に記載するように、上記酸素原子、炭素原子の濃度の変化が連続的であることが好ましい。酸素原子、炭素原子の濃度の変化が連続的であることにより、酸化珪素膜の強度を付与することができるからである。
【0020】
上記請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項10に記載するように、上記酸化珪素膜の膜厚が、15nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。上記酸化珪素膜の厚さが、上記範囲より薄い場合には、均一な膜を形成することが困難であり、上記範囲より厚さが厚い場合には、クラック等が入りやすくなり、好ましくないからである。
【0021】
上記請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項11に記載するように、上記積層フィルムの酸素透過率が2cc/m2/day以下であり、水蒸気透過率が、2g/m2/day以下であることが好ましい。上記積層フィルムの酸素透過率および水蒸気透過率が、上記範囲内であることにより、積層フィルムをガスバリアフィルムとして使用することが可能となるからである。
【0022】
上記請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項12に記載するように、上記酸化珪素膜表面の水との接触角が60°以上(測定温度23℃)であることが好ましい。上記酸化珪素膜表面の水との接触角を上記範囲内にすることにより、積層フィルムをはっ水膜として使用することが可能となるからである。また、ガスバリア性も向上することができるからである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の積層フィルムは、有機材料で形成された基材と、前記基材の片面または両面に形成された酸化珪素膜とを有し、前記酸化珪素膜中における酸素原子、炭素原子、さらにはフッ素原子の濃度を、内表面および外表面と、中心部において変化させた点に特徴を有するものである。
【0024】
以下、このような本発明の積層フィルムを構成する各要素についてそれぞれ説明する。
【0025】
A.酸化珪素膜
本発明における酸化珪素膜とは、後述する基材の片面または両面に一般的には真空蒸着法により形成された酸化珪素膜である。このような本発明における酸化珪素膜は、基材側の内表面および外側の外表面と、中心部において、例えば酸素原子等の濃度差を設けた点を特徴とするものである。以下、この酸化珪素膜について説明する。
【0026】
(濃度)
本発明において、上記酸化珪素膜の内表面とは、後述する基材に接する表面部分をいい、上記酸化珪素膜の外表面とは、内表面と反対側の外部に接する側の表面部分をいう。
【0027】
本発明における酸化珪素膜中の酸素原子の濃度は、内表面および外表面の両表面における酸素原子の濃度が、中心部における酸素原子の濃度に対して低くなるように形成されていることを特徴としている。この上記酸化珪素膜の内表面および外表面において、酸素原子の濃度が中心部に対して低いということは、内表面および外表面において酸素以外の原子が、比較的多量に含有されていることを示している。
【0028】
ここで本発明において、上記酸化珪素膜の内表面および外表面における酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して0〜100、特に0〜50の範囲内であることが好ましい。上記酸化珪素膜の内表面および外表面において、酸素原子の濃度が上述した範囲内であることから、内表面および外表面において、酸素原子以外の原子が存在しており、シロキサンネットワークが部分的に切断されているため、膜としてのフレキシビリティーが向上する。
【0029】
さらに、本発明においては内表面および外表面に含有される酸素以外の原子は、炭素原子またはフッ素原子であることが好ましい。ここで炭素原子は、アルキル基(CHx;x=1〜3)の形態で、酸化珪素膜中に含有されていている。また、上記酸化珪素膜の内表面および外表面における炭素原子またはフッ素原子の濃度が、Si原子数100に対して100〜400、特に150〜400の範囲内であることが好ましい。
【0030】
上述した内表面において、酸素原子の代替物が炭素原子またはフッ素原子であり、それらの濃度が上記の範囲内で含有されることにより、有機材料で形成されている基材に対して、密着性を向上させることが可能となり、基材と上記酸化珪素膜との接着性を向上した積層フィルムとすることが可能となるからである。
【0031】
また、上述した外表面においては、酸素原子の濃度が上記範囲内であることにより、膜表面における水の吸着性が低下する。さらに、上記酸化珪素膜の外表面において、酸素原子の代替物が炭素原子またはフッ素原子であり、親水性である酸素原子のかわりに疎水性である炭素原子またはフッ素原子が上記酸化珪素膜の外表面に、上述したの範囲の濃度で含有されることにより、上記酸化珪素膜表面のはっ水性をより向上させることが可能となるからである。
【0032】
次に上記酸化珪素膜の中心部について説明をする。本発明における上記酸化珪素膜の中心部とは、上記酸化珪素膜の上述した外表面および内表面を除いた部分のことをいう。
【0033】
本発明においては、上記酸化珪素膜の中心部における、酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して150〜200、特に180〜200の範囲内であることが好ましい。また、上記酸化珪素膜が、炭素原子またはフッ素原子を含有する場合においては、中心部における炭素原子またはフッ素原子の濃度が、Si原子数100に対して50以下、特に0〜20の範囲内であることが好ましい。上記酸化珪素膜の中心部における酸素原子の濃度が、上述した範囲内であることにより、上記酸化珪素膜を、不純物の少ないSiO2ライクな中心部を有する膜とすることが可能となる。また、上記酸化珪素膜が炭素原子またはフッ素原子を含有する場合においては、中心部の炭素原子またはフッ素原子の濃度が上記範囲以下であることにより、酸化珪素膜が上記と同様にSiO2ライクな中心部を有する膜であるといえる。一般的に酸化珪素膜に、炭素原子等の不純物質が混入した場合に、成膜された酸化珪素膜が粗となり、酸素透過率と水蒸気透過率とが大きくなる。また、強固な結合である酸素および珪素からなるシロキサンネットワークが切断されるために、強度が弱くなる。ここで、本発明において上記酸化珪素膜の中心部の酸素原子濃度が、上記範囲内であることにより、中心部はSiO2ライクな膜であり、酸化珪素膜にガスバリア性を付与、および強度を保持することが可能となる。
【0034】
さらに、本発明における上記酸化珪素膜の中心部において、酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して150〜200、特に180〜200の範囲内である領域の膜厚が、10nm〜500nm、特に25nm〜250nmの範囲内で上記酸化珪素膜の中心部に形成されていることが好ましい。上記酸化珪素膜の中心部が、上述した濃度の範囲内である酸化珪素膜を、上述した範囲内の厚さを有することにより、さらに優れたガスバリア性を有する膜とすることが可能となる。また、シロキサンネットワークの強い結合が上記の範囲内の膜厚を有するために、強度の高い積層フィルムとすることが可能となるからである。
【0035】
本発明においては、上記の酸化珪素膜において、酸素原子、炭素原子、フッ素原子の濃度の変化が連続的であることが好ましい。酸素原子、炭素原子、フッ素原子の濃度の変化が連続的であることにより、酸化珪素膜の強度を保持することが可能となるからである。
【0036】
また、本発明において、上記酸化珪素膜の内表面と外表面に含有される炭素原子またはフッ素原子の濃度は等しいものに限定されるものではない。また、炭素原子またはフッ素原子のどちらかの原子が含有されない場合も含まれており、例として、内表面の酸化珪素膜にはフッ素が含有され、外表面の酸化珪素膜にはフッ素が含有されず、炭素が含有される場合等が挙げられる。
【0037】
ここで、上記酸化珪素膜の各部分における成分割合には、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)で測定された値を使用した。XPSによる分析法を以下説明する。真空中で固体表面にX線を照射すると、X線によりエネルギ−を与えられた表面原子から電子が飛散する。この電子は、X線などの光照射によって発生するため光電子と呼ばれ、この光電子は、元素固有のエネルギ−を有することから、エネルギ−分布を測定することにより元素の定性分析や定量分析が可能となる。また、表面から深いところで発生した光電子は、表面に出てくる前にそのエネルギーを失うため測定が困難であり、1000eVの運動エネルギーを有する電子の脱出深さは、数nm(数十原子層)であることから、最表面の情報を得ることが可能となる。さらに、深部を測定するためには、表面をアルゴン等のイオンによりスパッタリングする必要があり、元素の種類により選択的なスパッタリングが生じるので、定量の際には補正が必要となる。
【0038】
(製法)
本発明において、上記酸化珪素膜はPVD法や、CVD法等の一般的に真空蒸着法と称される方法で製造されたものであれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、上記酸化珪素膜は中でもプラズマCVD法で製造されたものであることが好ましい。プラズマCVD法とは、一定圧力の原料ガスを放電させてプラズマ状態にし、そのプラズマ中で生成された活性粒子によって基材表面での化学反応を促進して形成する方法である。このプラズマCVD法は、高分子樹脂に熱的ダメージが加わらない程度の低温(およそ−10〜200℃程度の範囲)で所望の材料を成膜でき、さらに原料ガスの種類・流量、成膜圧力、投入電力によって、得られる膜の種類や物性を制御できるという利点がある。従って、本発明における酸化珪素膜形成工程がプラズマCVD法を用いた工程であることにより、基材に熱的ダメージを与える可能性が少ないため、樹脂製のフィルムを基材として用いることが可能となる。また、本発明における酸化珪素膜の成分割合の調整等を比較的容易に行うことが可能である。
【0039】
本発明においては、プラズマCVD装置の反応室内に、有機珪素化合物ガスと酸素ガスとの混合ガスを所定の流量で供給すると共に、電極に直流電力または低周波から高周波の範囲内での一定周波数を持つ電力を印加してプラズマを発生させ、そのプラズマ中で有機珪素化合物ガスと、酸素原子を有するガス、中でも酸素ガスとが反応することによって基材上に酸化珪素膜を形成することが好ましい。
【0040】
使用されるプラズマCVD装置のタイプは特に限定されず、種々のタイプのプラズマCVD装置を用いることができる。通常は、長尺の高分子樹脂フィルムを基材として用い、それを搬送させながら連続的に酸化珪素膜を形成することができる連続成膜可能な装置が好ましく用いられる。
【0041】
本発明におけるプラズマCVD法の好ましい成膜条件として、まず成膜時の基材の温度が0℃〜400℃の範囲内、中でも0℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。本発明において成膜温度は高ければ高いほど好ましいが、ポリマーを基材として使用していることから、ポリマーの軟化点以下で成膜されなければならない。一般的なポリマー、例としてポリエチレンやポリエステルの融点は200℃以下であるが、ポリイミド等のように400℃まで耐熱性を有するポリマーも存在する。そこで、本発明においては基材として使用するポリマーの種類により最適成膜温度は異なるため、最適成膜温度は上記範囲内であることが好ましい。
【0042】
本発明においては、上述したように上記酸化珪素膜の内表面および外表面の酸素原子の濃度を低くし、中心部において酸素原子濃度を高くした膜であることが好ましい。また、上記酸化珪素膜中に炭素原子またはフッ素原子が含まれる場合においてはさらに、酸化珪素膜の内表面および外表面の炭素原子またはフッ素原子の濃度を高くし、中心部において炭素原子またはフッ素原子の濃度を低くした膜であることが好ましい。このような酸化珪素膜を形成する方法としては、大きく分けて酸素原子、炭素原子、またはフッ素原子の濃度の異なる複数の層からなる酸化珪素膜を形成する方法と、一層の酸化珪素膜中で酸素原子、炭素原子、またはフッ素原子の濃度勾配を形成する方法とがある。
【0043】
まず、酸素原子、炭素原子、またはフッ素原子の濃度の異なる複数の層からなる酸化珪素膜を形成する方法について説明する。
【0044】
このような方法の一例として、例えば図1に示すようなバッチ式の方法を挙げることができる。すなわち、図1(a)に示すように、まず有機材料からなる基材1上に、例えば原料ガスの比率をHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン):O2=50:50とした酸素原子の濃度が中程度の内表面の2aを成膜する。次いで、原料ガスの比率をHMDSO:O2=2:98とした酸素原子の濃度が極めて高い中心部の2bの酸化珪素膜等を形成する。最後に、HMDSO:O2=100:0として成膜した極めて酸素原子の濃度の低い外表面の2cを形成する。
【0045】
図2は、この方法を巻き取り式に応用した例である。この例では、有機成分からなる基材1が連続してチャンバーA、チャンバーB、およびチャンバーCの順で通過する。そして、上記チャンバーAのガス導入口11aからは、例えば原料ガスの比率をHMDSO:O2=50:50原料ガスが導入されており、電極12aとの間に生じるプラズマにより成膜されて、まず酸素原子の濃度が中程度である内表面を形成する。次にチャンバーBにおいて、ガス導入口11bからHMDSO:O2=2:98とした原料ガスが導入され、同様に電極12bとの間での放電により生じるプラズマにより、酸素原子濃度が極めて高い中心部を形成する。そして最後に、チャンバーCにおいて、ガス導入口11cからHMDSO:O2=100:0とした原料ガスが導入され、同様に電極12cとの間での放電により生じるプラズマにより、酸素原子濃度の低い外表面を形成する方法である。
【0046】
いずれの方法においても、有機成分からなる基材上に段階的に酸素原子濃度等を変化させた層を複数層形成することにより、これら複数層全体を酸化珪素膜としてみた場合、内表面および外表面の酸素原子の濃度を低くし、中心部において酸素原子濃度を高くした膜とすることが可能となる。
【0047】
また、原料ガスの比を調整するだけでなく、それぞれの工程において、原料ガスを変更することにより、複数の物質を膜中に含有させることも可能である。
【0048】
この方法においては、形成する層が多ければ多いほど、各層間の密着度は向上し、結果として全体的に高い密着性を有する積層フィルムとすることが可能であるが、上述したバッチ式であっても巻き取り式であっても工程上煩雑となることは避けられない。一方、少なすぎても密着性に大きく寄与することができない。したがって、このように成分の濃度を段階的に変更させた複数層からなる酸化珪素膜とした場合の層の数としては、3層〜19層であり、好ましくは5層〜9層程度とすることが好ましい。
【0049】
一方、連続的に上記酸化珪素膜の酸素原子、炭素原子、フッ素原子の濃度を変更させる方法の一例を図3に示す。巻取り式の装置においては、原料となるHMDSOガスをガス導入口21aおよびガス導入口21c、O2ガスをガス導入口21bから装置内に導入する。一般的に、酸素ガス流量が有機珪素ガスより相対的に少ない場合および、有機珪素化合物のガスの単位流量あたりの投入電力が小さい場合には、酸素原子の濃度の低い酸化珪素膜とすることが可能となる。これを利用して、装置内において酸素濃度が低く、HMDSOの濃度の高い部位である電極22aで生じるプラズマにより内表面の、酸素原子の濃度が比較的少なく、炭素原子濃度の高い酸化珪素膜が成膜される。次に装置内において、酸素濃度が高く、HMDSO濃度が低い部位である電極22bにより、酸素原子濃度が極めて高い中心部を形成する。さらに、酸素濃度が低く、HMDSO濃度の高い部位である電極22cにより、外表面の酸素原子濃度が比較的低く、炭素原子濃度の高い酸化珪素膜を形成する。これにより上述したような酸化珪素膜の内表面および外表面の酸素原子の濃度を低くし、中心部において酸素原子濃度を高くした膜、または、酸化珪素膜中に炭素原子またはフッ素原子が含まれる場合においてはさらに、酸化珪素膜の内表面および外表面の炭素原子またはフッ素原子の濃度を高くし、中心部において炭素原子またはフッ素原子の濃度を低くした膜であって、これらの原子濃度を連続的に変化させた膜を形成することが可能となるのである。また、フィルムの搬送速度を調整することにより、形成される膜厚を調整することが可能となる。
【0050】
さらに、装置内の全圧を低下させることにより、空間中に含まれる分子が減少することから、投入電力を増加するのと同じ効果を得ることが可能であり、逆に、全圧を増加させることにより、投入電力を低下させるのと同じ効果を得ることが可能である。
【0051】
また、この方法は、上述したガス成分に限定されるものではなく、2種類以上のガスを、成膜された膜中に濃度勾配を形成するために用いることが可能である。
【0052】
なお、このように連続的に上記酸化珪素膜中の酸素原子、炭素原子、またはフッ素原子の濃度を変更させる方法としては、巻き取り式に限るものではなく、例えばバッチ式であっても、導入する原料ガスの濃度を徐々に変更することにより、酸化珪素膜中の成分の濃度を傾斜させた酸化珪素膜を形成することが可能である。
【0053】
本発明においては、上記原料ガスの内、有機珪素化合物ガスとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、1,1,3,3−テトライソプロピル−1,3−ジクロロジシロキサン、テトラエチルシラン、1,1,3,3−テトラエトキシ1,3−ジメチルジシロキサン、テトラデシルトリクロロシラン、テトラ−n−ブチルシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、n−プロピルジメチルクロロシラン、フェニルトリメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリフルオロシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、フェニルメチルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルメチルクロロシラン、フェニルエチルジクロロシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルジクロロシラン、フェノキシトリメチルシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、ペンタメチルジシロキサン、ペンタメチルクロロジシラン、ペンタフルオロフェニルトリメチルシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルジメチルクロロシシラン、ペンタフルオロフェニルジメチルクロロシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルシラン、n−オクタデシルメチルジエトキシシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、n−オクタデシルメトキシジクロロシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−n−オクチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルペンチルジクロロシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、メトキシメチルトリメチルシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリクロロシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、イソブチルジメチルクロロシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメチルシラン、ヒドロキシメチルトリメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリフルオロシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ヘキシルジクロロシラン、ヘキサフェニルジシロキサン、ヘキサフェニルジシラン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、n−ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサクロロジシロキサン、ヘキサクロロジシラン、n−ヘプチルトリクロロシラン、n−ヘプチルメチルジクロロシラン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン、エチルトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、2−エチルヘキシロキシトリメチルシラン、エチルジメチルシラン、エチルジメチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、エチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ドデシルジメチルクロロシラン、ドデカメチルペンタシロキサン、ドコシルメチルジクロロシラン、1,3−ジシラブタン、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン、ジフェニルシランジオール、ジフェニルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジフェニルジフルオロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、1,3−ジオクチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジ−n−オクチルテトラエトキシジシロキサン、ジ−n−オクチルジクロロシラン、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,3−ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,4−ジメチルジシリルエタン、ジメチルメトキシシクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、(3,3−ジメチルブチル)ジメチルクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、ジイソプロピルクロロシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジクロロシラン、ジエチルシラン、ジエチルメチルシラン、ジエチルジフェニルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジシクロペンチルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、1,3−ジクロロテトラフェニルジシロキサン、1,3−ジクロロテトラメチルジシロキサン、ジクロロテトラメチルジシラン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラジロキサン、(ジクロロメチル)トリメチルシラン、(ジクロロメチル)トリクロロシラン、(ジクロロメチル)メチルジクロロシラン、(ジクロロメチル)ジメチルクロロシラン、(ジクロロメチル)(クロロメチル)ジメチルシラン、1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサン、1,2−ジクロロエチルトリクロロシラン、1,1−ジクロロ−3,3−ジメチル−1,3−ジシラブタン、ジ−t−ブチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルクロロシラン、ジ−t−ブチルジクロロシラン、ジ−t−ブチルクロロシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジベンジロキシジクロロシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−デシルメチルジクロロシラン、n−デシルジメチルクロロシラン、デカメチルテトラシロキサン、シクロトリメチレンジメチルシラン、シクロトリメチレンジクロロシラン、シクロテトラメチレンジメチルシラン、シクロテトラメチレンジクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンタメチレンジメチルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、3−クロロプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−クロロプロピルトリメチルシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3−クロロプロピルフェニルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルクロロシラン、3−クロロプロピルジブチルメチルシラン、p−クロロフェニルトリメチルシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、クロロフェニルメチルジクロロシラン、クロロメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、クロロメチルトリメチルシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリクロロシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリクロロシラン、クロロメチルペンタメチルジシロキサン、クロロメチルメチルジイソプロポキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジクロロシラン、クロロメチルジメチルシラン、クロロメチルジメチルフェニルシラン、クロロメチルジメチルイソプロポキシシラン、クロロメチルジメチルエトキシシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、クロロメチルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリクロロシラン、1−クロロエチルトリクロロシラン、2−クロロエチルシラン、2−クロロエチルメチルジクロロシラン、4−クロロブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、t−ブチルメチルジクロロシラン、n−ブチルメチルジクロロシラン、t−ブチルジフェニルメトキシシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジクロロシラン、t−ブトキシトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)メタン、1,4−ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)エタン、1,3−ビス(トリメチルシロキシ)1,3−ジメチルジシロキサン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリス)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、ビス(トリクロロシリル)オクタン、1,9−ビス(トリクロロシリル)ノナン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジメチルシラン、ビス(メチルジクロロシリル)ブタン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジクロロメチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(クロロメチル)ジメチルシラン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)オクタン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)ヘキサン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジロキシトリメチルシラン、ベンジルジメチルシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシジクロロシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)クロロシラン、トリス(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルシロキシクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリス(2−クロロエトキシ)シラン、トリフェニルシラン、トリフェニルフルオロシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、トリオクチルシラン、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルパーフルオロ−1−ブタンスルフォネート、トリメチルクロロシラン、トリイソプロポキシシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、トリフルオロメチルトリメチルシラン、トリフルオロメチルトリエチルシラン、トリエチルシラノール、トリメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0054】
中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルシラン、トリエトキシシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラデシルトリクロロシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、フェニルトリメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジクロロシラン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−n−オクチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルペンチルジクロロシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、n−ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサクロロジシロキサン、n−ヘプチルトリクロロシラン、n−ヘプチルメチルジクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、ジフェニルシランジオール、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルメチルシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、1,2−ジクロロエチルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−デシルメチルジクロロシラン、デカメチルテトラシロキサン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン、クロロメチルトリメチルシラン、クロロメチルジメチルシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、2−クロロエチルトリクロロシラン、2−クロロエチルメチルジクロロシラン、t−ブトキシトリメチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)エタン、1,3−ビス(トリメチルシロキシ)1,3−ジメチルジシロキサン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシジクロロシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(2−クロロエトキシ)シラン、トリフェニルシラン、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリ−n−ヘキシルシランが挙げられる。
【0055】
また、本発明に用いられる酸素原子を含むガスとしては、N2O、酸素、CO、CO2等を挙げることができるが、中でも酸素ガスやN2Oが好適に用いられる。
【0056】
(膜厚)
本発明においては、上記酸化珪素膜の膜厚が15nm〜1000nm、特に30nm〜400nmであることが好ましい。上記酸化珪素膜の厚さが、上述した範囲より薄い場合には、均一な酸化珪素膜とすることが困難であり、上述した範囲より厚い場合には、クラックが入りやすくなり、透明性や外観が低下すること、フィルムのカールが増大すること、さらに量産し難く生産効率が低下してコストが増大すること等の不具合が起こりやすくなるからである。
【0057】
(はっ水性)
本発明においては、上記酸化珪素膜の表面における水との接触角が、測定温度23℃において、60°以上、中でも80°以上、特に100°以上であることが好ましい。この程度のはっ水性を有するものであれば、表面に水等が吸着することを防止することが可能となるため、積層フィルムのはっ水性を向上させることができ、はっ水フィルムとして用いることも可能となるからである。
【0058】
ここで、この水との接触角の測定方法は、協和界面化学社の接触角測定装置(型番CA−Z)を用いて求めた値である。すなわち、被測定対象物の表面上に、純水を一滴(一定量)滴下させ、一定時間経過後、顕微鏡やCCDカメラを用い水滴形状を観察し、物理的に接触角を求める方法を用い、この方法により測定された水との接触角を本発明における水との接触角とすることとする。
【0059】
(その他)
本発明においては、上記酸化珪素膜を後述する基材上に形成する前に、基材表面に数ナノ程度の疎水性の膜を体積してもよい。基材表面に疎水性の膜を形成することにより、上記酸化珪素膜の密着性を向上させることが可能となるからである。具体的には、熱CVD法により形成された自己組織化単分子膜等が挙げられる。例えば、材料としてオクタデシルトリメトキシシランやオクタデシルトリクロロシラン等の有機シランを使用して自己組織化単分子膜を形成することにより、両者の密着性やポリマー基材の平坦化を可能とすることができる。
【0060】
B.基材
次に、本発明の積層フィルムを構成する基材について説明する。
【0061】
本発明の積層フィルムにおける基材は、有機材料で形成されたものであり、上述した酸化珪素膜を保持することができる材料であれば特に限定されるものではない。
【0062】
具体的には、
・エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、
・環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、
・ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2、6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、
・ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、
・ポリイミド(PI)樹脂、
・ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、
・ポリサルホン(PS)樹脂、
・ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、
・ポリカーボネート(PC)樹脂、
・ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、
・ポリアリレート(PAR)樹脂、
・エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂、
等を用いることができる。
【0063】
また、上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリルレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物等を用いることも可能である。さらに、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを基材として用いることも可能である。
【0064】
上記に挙げた樹脂等を用いた本発明における基材は、特に限定されるものではないが、フィルム形状であることが好ましく、この場合未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
【0065】
本発明に用いられる基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
【0066】
基材は、ロール状に巻き上げられた長尺品が便利である。基材の厚さは、得られるガスバリアフィルムの用途によって異なるので一概には規定できないが、一般的な包装材料やパッケージ材料用の基材として用いる場合には、3〜188μmが好ましい。
【0067】
また、本発明に用いられる基材は、中間層を形成する前にコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理などの表面処理を行ってもよい。
【0068】
C.積層フィルム
本発明における積層フィルムは、上述した有機材料からなる基板の表面に上述した酸化珪素膜を形成した積層フィルムである。
【0069】
本発明においては、この積層フィルムの酸素透過率が2cc/m2/day以下であり、水蒸気透過率が2g/m2/day以下であることが好ましい。酸素透過率および水蒸気透過率を上記の範囲内とすることにより、内容物の品質を変化させる原因となる酸素と水蒸気を殆ど透過させないため、高いガスバリア性が要求される用途、例えば食品や医薬品等の包装材料や、電子デバイス等のパッケージ材料用に好ましく用いることができる。また、高度なバリア性から、ディスプレイ材料や、半導体材料の保護ようガスバリアフィルムとしても、好ましく用いることが可能となるからである。
【0070】
ここで、本発明における酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20)を用い、23℃、90%Rhの条件で測定したものである。また、水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31)を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定したものである。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0072】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0073】
(成膜)
酸化珪素膜を、容量結合型高周波プラズマCVDにより成膜した。まず、減圧手段により反応チャンバー(反応管)内を1.0×10-4Pa以下まで真空にした。次いで、原料ガスを反応チャンバー内に導入した。原料ガスとしては、有機珪素化合物としてテトラメチルシランを用い、酸素原子を含むガスとして酸素ガスを用いた。基材には12μm−PETを使用した。
【0074】
成膜初期段階では、テトラメチルシランのみを10Pa、反応チャンバー内に導入した。プラズマ生成、原料分解には13.56MHzの高周波を用いた。成膜時間の増加とともにテトラメチルシラン分圧を連続的に減少させ、かわりに全圧が10Paを維持するように酸素ガスを連続的に導入した。200Wの電力でシリカ膜を成膜した。途中、テトラメチルシラン分圧を1Pa、酸素分圧を9Paで5分間保持した。その後、テトラメチルシラン分圧を連続的に増加させ、一方、酸素分圧を減少させながら、かつチャンバー全圧を10Paに保ったままで、成膜を持続した。最終的な分圧は、テトラメチルシラン10Paのみである。
【0075】
テトラメチルシラン分圧減少および増加(酸素にするとその逆の圧力変化)の速度は、2Pa/minである。成膜中、基板表面温度は100℃以下であった。膜厚は約400nmであった。
【0076】
(XPSによる評価)
実施例で得た酸化珪素膜においては、両最表面近傍での炭素(C)検出量は、Siを100とすると200であった。一方、中心部での炭素検出量は検出限界の0.1atom%以下であった。その間の炭素検出量は成膜初期から中間保持までは、連続的に減少し、中間保持から成膜終了時までは連続的に増加した。酸素に関しては、反対の挙動を示した。酸素の検出量は、中間保持層(純粋シリカ層)では、Siを100とすると約200であった。
【0077】
なお、XPSによる評価は、MgKα使用、15kV,20mA(300W)、Ar+イオンスパッタエッチング(深さ方向分析)という条件下で、XPS220iXL(ESCALAB社製)を用いて測定された結果を用いた。
【0078】
(OTR測定)
酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20)を用い、23℃、90%Rhの条件で測定したところ、実施例のサンプルの酸素透過率は0.8cc/m2/dayであった。また、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31)を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定したところ、実施例のサンプルの水蒸気透過率は0.9g/m2/dayであった。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、上記酸化珪素膜の外側の外表面における酸素原子の濃度が、中心部における酸素原子の濃度に対して低くなるように形成されていることと、例として酸素原子やフッ素原子等のような疎水性の原子が含まれていることにより、膜表面における水の吸着性が低下し、膜のはっ水性を向上させることが可能となる。また、上記酸化珪素膜の基材側の内表面における酸素原子の濃度が、中心部における酸素原子の濃度に対して低くなるように形成されており、例として炭素原子やフッ素原子等の基材に対する密着性を向上させる原子を導入することも可能となり、これにより基材との接着性を向上させることが可能となる。また、内表面および外表面において、不純物が存在することから、シロキサンネットワークが部分的に切断されることにより、膜としてのフレキシビリティーが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における酸化珪素膜の形成方法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明における酸化珪素膜の形成方法の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明における酸化珪素膜の形成方法の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
1…基材
2…酸化珪素膜
11…ガス導入口
12…電極
21…ガス導入口
22…電極
Claims (8)
- 有機材料で形成された基材と、前記基材の片面または両面に形成された酸化珪素膜とを有し、前記酸化珪素膜の基材側の内表面および外側の外表面の両表面における炭素原子の濃度が、中心部における炭素原子の濃度に対して高くなるように形成されていることを特徴とする積層フィルム。
- 前記酸化珪素膜の内表面および外表面における炭素原子の濃度が、Si原子数100に対して100〜400の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記酸化珪素膜の中心部における炭素原子の濃度が、Si原子数100に対して50以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層フィルム。
- 前記酸化珪素膜が、プラズマCVD法により形成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の積層フィルム。
- 前記酸素原子、炭素原子の濃度の変化が連続的であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の積層フィルム。
- 前記酸化珪素膜の膜厚が、15nm〜1000nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の積層フィルム。
- 酸素透過率が2cc/m2/day以下であり、水蒸気透過率が、2g/m2/day以下であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の積層フィルム。
- 前記酸化珪素膜表面の水との接触角が60°以上(測定温度23℃)であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の積層フィルム。
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