JP4107111B2 - 楽音制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、楽音制御装置に関し、特に、電子弦楽器などの所定の音色の楽音を制御するための楽音制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アコースティックギターなどの弦楽器の楽音を電子的な信号処理によって生成する電子ギターなどの電子弦楽器が広く普及している。電子弦楽器の中には、弾弦部(ピック部)に設けられている弦の演奏(ピッキング)に応じて、弦の振動をセンサで検出する構成になっているものがある。このような電子弦楽器に関する従来の提案の一例として、弦がどのような方向に弾かれた場合でも、ピッキングの強さに応じて楽音の強弱をコントロールできるものがある。この提案による電子弦楽器は、本体に張設された弦と、発生すべき楽音の音高を指定する音高指定手段と、前記弦の複数方向の振動を検出する弦振動検出手段と、前記弦振動検出手段により検出された振動状態に応じた音色で、前記音高指定手段により指定された音高の楽音信号の発生を指示する楽音信号指示手段とを備えた構成になっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−106274号公報(段落番号「0007」、「0008」)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の提案による電子弦楽器においては、弦の複数方向の振動を検出する弦振動検出手段を構成するために、例えば、振動する複数の弦の各々に、各面を鏡面加工してなる正立方体形状の反射ブロックを取り付けて、その反射ブロックの近傍の3箇所に、反射型の赤外線フォトセンサを設けている。そして、各弦ごとの反射ブロックと3箇所の赤外線センサとによって、弦の3方向の振動を検出している。このため、弦の代わりに弾性部材からなる操作子を操作(ピッキング)するような安価な電子弦楽器を提供するという商品コンセプトの場合には、振動する弦自体が設けられていないので、反射ブロックおよび3箇所の赤外線センサによっては、ピッキングの強さに応じて楽音の強弱をコントロールすることができない。また、操作部のピッキングの強さを検出するために他のセンサや電子部品および機構部品などを用いた場合には、それらの部品が高価なものになるので、安価な電子弦楽器を提供することができない。
【0005】
本発明は、上記従来の技術の課題を解決するものであり、弦の代わりに操作子を設けてピッキングを行なう安価な電子弦楽器において、ピッキングの強さに応じて楽音の強弱をコントロールすることを可能にする楽音制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の楽音制御装置は、楽器本体に形成された複数のスリットの夫々から突出並設された複数の板状の弾性部材と、前記各弾性部材の下面中央に設けられた第1の上スイッチ接点及び当該各弾性部材の下方に設けられたプリント基板上面の前記各スイッチ接点の夫々に対向する位置に設けられた複数の第1の下スイッチ接点とから構成される複数の第1のスイッチと、前記第1の上スイッチ接点夫々の傍に設けられた第2の上スイッチ接点及び前記プリント基板上面の前記第2の上スイッチ接点の夫々に対向する位置に設けられた複数の第2の下スイッチ接点とから構成される複数の第2のスイッチと、前記複数の弾性部材のいずれかに対する操作により、前記弾性部材に対応して設けられた第1のスイッチがオフ状態からオン状態への変化に応答して時間の計測を開始する時間計測手段と、この時間計測手段により計測された時間が所定時間を越えた状態において、前記弾性部材に対応して設けられた第2のスイッチがオフ状態からオン状態へ変化したか否か検出する検出手段と、前記時間計測手段による時間の計測を開始した後、前記第1のスイッチがオン状態からオフ状態へ変化した際に、当該時間計測手段により計測された時間が前記所定時間以内であれば、当該計測された時間長に応じた音量で所定の音色の発音イベントを生成して音源手段に出力する第1の出力手段と、前記第1のスイッチがオン状態からオフ状態へ変化した際に、当該時間計測手段により計測された時間が前記所定時間を越えていてかつ前記検出手段により第2のスイッチがオフ状態からオン状態へ変化したことが検出されている場合に、アポヤンド奏法による音色の発音イベントを生成して前記音源手段に出力する第2の出力手段と、
を備えた構成になっている。
【0007】
この場合において、前記第1及び第2の出力手段のいずれか一方により、前記音源手段に発音イベントを出力したときから時間長の計測を開始するとともに、この計測された時間長が所定時間を超えたときに消音イベントを生成して前記音源手段に出力する第1の消音手段をさらに備えた構成にしてもよい。
【0008】
また、前記第1及び第2の出力手段のいずれか一方により、前記音源手段に発音イベントを出力した後、前記第1のスイッチが再びオフ状態からオン状態に変化したときに消音イベントを生成して前記音源手段に出力する発音制限手段をさらに備えた構成にしてもよい。
また、前記第2のスイッチは、前記対応する弾性部材が操作されて前記第1のスイッチがオン状態からオフ状態に変化した後にさらに当該弾性部材が操作された場合にオフ状態からオン状態に変化するように構成してもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による楽音制御装置の第1および第2の実施形態について、図を参照して説明する。
図1は、本発明による楽音制御装置を適用した第1および第2の実施形態における電子弦楽器の構造を示す外観図である。この図において、電子弦楽器の本体1には、左手の指で操作するためのフィンガーボード2が取り付けられている。このフィンガーボード2には、弦の代わりに音高を指定するための多数の音高指定スイッチ(図示せず)が設けられている。また、本体1の化粧板3には、ピックアップ部の機能としての弾奏部5があり、化粧板3に形成された6個のスリット3aから、6個の操作子6が突き出ている。すなわち、弦の代わりに右手の指でピッキングするための操作子6が設けられている。その他、本体1には、音色を指定するための音色スイッチやトレモロ演奏のための操作子があるが、本発明には直接関係しないので説明は省略する。
【0010】
図2は、図1の電子弦楽器内部のシステム構成を示すブロック図である。この図において、CPU11は、そのシステムバス12に接続されたROM13、RAM14、スイッチ部15、音源16との間で、各種のコマンドおよびデータを授受して、この電子弦楽器全体を制御する。
ROM13には、CPU11によって実行される制御プログラムや電源起動時のイニシャライズにおける初期値のデータがあらかじめ記憶されている。RAM14は、CPU11のワークエリアであり、制御プログラムの実行に必要なレジスタ、フラグ、カウンタなどのエリアがある。
スイッチ部15は、電源スイッチのほか、フィンガーボード2の音高スイッチ群、ピッキング用の操作子6、その他音色用のスイッチ群やトレモロ演奏のための操作子などで構成されている。
音源16は、CPU11からの発音指示のオンイベントに応じて、楽音波形を生成して発音回路17に出力して発音させ、CPU11からの消音指示のオフイベントに応じて、発音を停止させる。
【0011】
図3は、図1におけるピッキング用の操作子6およびその操作を検出するスイッチ部15の構造および回路を示す図である。
図3(1)は、1つの操作子6およびその近傍の断面図である。6個の操作子6の各々は、板状の弾性部材6aの上面から突起して、各スリット3aから突き出た構造になっている。この弾性部材6aの下側には、図2のCPU11、ROM13、RAM14などの電子部品を搭載したプリント基板7が設けられている。
【0012】
また、弾性部材6aの下面には、操作子6に対応する位置にスイッチ接点8aが設けられ、スイッチ接点8aの両側(ピッキング操作方向の両側)には、2つのスイッチ接点9aが設けられている。また、プリント基板7の上面には、これら3つのスイッチ接点8aおよび9aに対向する位置に、スイッチ接点8bおよび9bが設けられている。
操作子6を(例えば、図の右方向に)ピッキングした場合には、指が操作子6を押したときに弾性部材6aがたわむので、スイッチ接点8aがスイッチ接点8bに接触し、指が操作子6から離れるスイッチ接点8a、8bも離れる。操作子6をピッキングした後、指を空中に浮かせずに、(図の右方向にある)次の操作子に指を止めた状態にすると、スイッチ接点8aが対向するスイッチ接点8bに接触して、さらに、一方の側(図の右側)のスイッチ接点9aが対向するスイッチ接点9bに接触する。すなわち、対向するスイッチ接点8aおよび8bからなる第1接点によってオン状態又はオフ状態となる1つのスイッチ8を形成し、それぞれ対向する2つのスイッチ接点9aおよび9bからなる第2接点によってオン状態又はオフ状態となる2つのスイッチ9を形成している。
【0013】
図3(2)は、スイッチ8およびスイッチ9の等価回路を示している。この図に示すように、1つのスイッチ8および並列接続された2つのスイッチ9のオン状態又はオフ状態は、波形整形用のシュミットトリガ回路などからなるインターフェース(I/F)回路10を介して、システムバス2に入力される。すなわち、操作子6の操作に応じて変化するスイッチ8およびスイッチ9のオン状態又はオフ状態がCPU11によって検出される。
【0014】
次に、第1の実施形態の動作について、図4ないし図7に示すフローチャートを参照して説明する。
図4は、図2のCPU11によって実行される第1の実施形態におけるメインルーチンのフローチャートであり、RAM14の各エリアをクリアするなどのイニシャライズ(ステップA1)の後、スイッチ部15の各スイッチの状態を検出するスイッチ処理(ステップA2)、スイッチ8のオン状態の時間をカウントするオン中時間カウンタ、および、発音が開始してからの時間をカウントする発音中時間カウンタによって、時間の経過を計測する時間経過処理(ステップA3)、音源16にオンイベントやオフイベントを出力する音源処理(ステップA4)、その他の処理(ステップA5)を繰り返し実行する。
【0015】
図5は、図4のメインルーチンにおけるステップA2のスイッチ処理のフローチャートであるが、ここでは、本発明における第1の実施形態の動作を簡潔に説明するために、図3(1)のスイッチ8の第1接点8a、8bのみのスイッチ処理について記述し、音高指定スイッチ、音色指定スイッチ、他の操作子などのスイッチ処理については説明を割愛する。
まず、スイッチ8の第1接点8a、8bに変化があったか否かを判別し(ステップB1)、変化がない場合にはこのフローを終了するが、オフ状態からオン状態に変化があったときは、オン中時間カウンタのカウントを開始する(ステップB2)。
【0016】
次に、オンフラグONFが「1」であるか否かを判別する(ステップB3)。すなわち、前に操作された操作子6によってすでに発音中である場合に、同じ操作子6が操作されて、それに対応するスイッチ8がオン状態に変化したか否かを判別する。ONFが「1」である場合には、実際に弦を持つ弦楽器において、ピッキングによって振動して音を発生している弦に指を当てた状態に相当する。この場合には振動が止まって音が停止するので、弦を持たない図1の電子弦楽器においても同様に音を停止する必要がある。
したがって、消音指示のオフイベントを作成し(ステップB4)、発音中時間カウンタを停止してカウント値をクリアする(ステップB5)。次に、ONFを「0」にリセットして(ステップB6)、図4のメインルーチンに戻る。
【0017】
一方、ステップB1において、スイッチ変化がオン状態からオフ状態への変化であったとき、すなわち、スイッチ8がオフ状態からオン状態に変化し、その後、再びオフ状態に変化したときは、オン中時間カウンタの値が所定時間Aを超えたか否かを判別する(ステップB7)。この値が所定時間Aを超えたときは、操作子6をピッキングした状態ではなく、操作子6を長く押さえた状態である。この場合には発音は行なわないので、図4のメインルーチンに戻る。
【0018】
ステップB7において、オン中時間カウンタの値が所定時間Aを超えていない場合、すなわち、操作子6がピッキングされた場合には、オン中時間カウンタの値に対応するベロシティ値を生成する(ステップB8)。例えば、オン中時間カウンタの値が小さい場合には、大きいベロシティ値を生成し、オン中時間カウンタの値が大きい場合には、小さいベロシティ値を生成する。そして、生成したベロシティ値に基づいて、発音指示のオンイベントを作成する(ステップB9)。次に、オン中時間カウンタのカウントを停止して、カウントした値をクリアする(ステップB10)。そして、発音中時間カウンタのカウントを開始する(ステップB11)。この後、ONFを「1」にセットして(ステップB12)、図4のメインルーチンに戻る。
【0019】
図6は、メインルーチンにおけるステップA3の時間経過処理のフローチャートである。最初に、時間を計測するための最小単位時間が経過したか否かを判別する(ステップC1)。最小単位時間が経過していない場合には、このフローを終了する。最小単位時間が経過したときは、オン中時間カウンタがまだカウント中であるか否かを判別する(ステップC2)。カウント中である場合には、オン中時間カウンタの値をインクリメントする(ステップC3)。そして、図4のメインルーチンに戻る。
【0020】
ステップC2において、オン中時間カウンタがカウントを終了している場合、すなわち、スイッチ8がオン状態からオフ状態に変化している場合には、発音中時間カウンタがまだカウント中であるか否かを判別する(ステップC4)。カウントをしていない場合には、このフローを終了するが、カウント中である場合には、発音中時間カウンタの値をインクリメントする(ステップC5)。
【0021】
次に、発音中時間カウンタの値が所定時間Bを超えたか否かを判別する(ステップC6)。所定時間Bを超えていないときは、このフローを終了するが、所定時間Bを超えたときは、オフイベントを作成する(ステップC7)。すなわち、あらかじめ設定された発音時間が経過したときは、消音処理を行なう。そして、発音中時間カウンタのカウントを停止し、カウント値をクリアする(ステップC8)。次に、ONFを「0」にリセットして(ステップC9)、図4のメインルーチンに戻る。
【0022】
なお、図5のステップB8において生成したベロシティ値に応じて、所定時間Bの値を変えるようにしてもよい。すなわち、ベロシティ値が大きい場合には、所定時間Bの値を大きく設定し、ベロシティ値が小さい場合には、所定時間Bの値を小さく設定する。この場合には、実際に弦を持つ弦楽器と同様に、強く弾弦された場合の音は、弱く弾弦された場合の音よりも発音時間を長くできる。
【0023】
図7は、メインルーチンにおけるステップA4の音源処理のフローチャートである。オンイベント又はオフイベントがあるか否かを判別し(ステップD1)、いずれのイベントもない場合には、このフローを終了するが、いずれかのイベントがある場合には、そのイベントを音源16に送出する(ステップD2)。そして、図4のメインルーチンに戻る。
【0024】
以上のように、この第1の実施形態によれば、CPU11は、操作子6のピッキングに応じて、スイッチ8がオン状態からオフ状態に変化したときは、オン状態の時間長を計測して、その時間長に応じてベロシティ値である音量を設定し、その設定した音量で弦楽器の音色のオンイベントを生成して音源16に出力するので、弦の代わりに操作子を設けてピッキングを行なう安価な電子弦楽器において、ピッキングの強さに応じて楽音の強弱をコントロールすることが可能になる。
なお、オン状態の時間長に応じて音量を制御する音色は、弦楽器の音色以外の所定の音色でにもよい。
【0025】
次に、本発明における第2の実施形態の動作について、図8および図9のフローチャート、並びに、操作子6の操作状態を示す図10を参照して説明する。なお、第2の実施形態におけるメインルーチンのフローチャートおよび音源処理のフローチャートについては、図4および図7に示した第1の実施形態と同じであるので、図面および説明は省略する。
【0026】
図8は、第2の実施形態のメインルーチンにおけるスイッチ処理のフローチャートである。このフローにおいては、図3(1)のスイッチ8の第1接点8a、8bおよびスイッチ9の第2接点9a、9bのオンおよびオフを検出するスイッチ処理を行なう。
まず、スイッチ8の第1接点8a、8bに変化があったか否かを判別し(ステップE1)、変化がない場合にはこのフローを終了するが、オフ状態からオン状態に変化があったときは、オン中時間カウンタのカウントを開始する(ステップE2)。
【0027】
次に、オンフラグONFが「1」であるか否かを判別する(ステップE3)。すなわち、前に操作された操作子6によってすでに発音中である場合に、同じ操作子6が操作されて、それに対応するスイッチ8がオン状態に変化したか否かを判別する。ONFが「1」である場合には、第1の実施形態において説明したように、実際に弦を持つ弦楽器において、ピッキングによって振動して音を発生している弦に指を当てた状態に相当する。この場合には振動が止まって音が停止するので、弦を持たない図1の電子弦楽器においても同様に音を停止する必要がある。
したがって、消音指示のオフイベントを作成し(ステップE4)、発音中時間カウンタを停止してカウント値をクリアする(ステップE5)。次に、ONFを「0」にリセットして(ステップE6)、メインルーチンに戻る。
【0028】
一方、ステップE1において、スイッチ8の第1接点8a、8bのスイッチ変化がオン状態からオフ状態への変化であったとき、すなわち、第1接点8a、8bがオフ状態からオン状態に変化し、その後、再びオフ状態に変化したときは、オン中時間カウンタの値が所定時間Aを超えたか否かを判別する(ステップE7)。オン中時間カウンタの値が所定時間Aを超えていない場合、すなわち、操作子6がピッキングされた場合には、オン中時間カウンタの値に対応するベロシティ値を生成する(ステップE8)。具体的には、オン中時間カウンタの値が小さい場合には、大きいベロシティ値を生成し、オン中時間カウンタの値が大きい場合には、小さいベロシティ値を生成する。そして、生成したベロシティ値に基づいて、発音指示のオンイベントを作成する(ステップE9)。
次に、オン中時間カウンタのカウントを停止して、カウントした値をクリアする(ステップE10)。そして、発音中時間カウンタのカウントを開始する(ステップE11)。この後、ONFを「1」にセットして(ステップE12)、メインルーチンに戻る。
【0029】
ステップE7において、オン中時間カウンタの値が所定時間Aを超えたときは、スイッチ9の第2接点9a、9bがオン状態かオフ状態かを識別する第2接点フラグが、「1(オン状態)」であるか「0(オフ状態)」であるかを判別する(ステップE13)。このフラグが「0」である場合には、操作子6をピッキングした状態ではなく、操作子6を長く押さえた状態である。この場合には発音は行なわないので、メインルーチンに戻る。
【0030】
一方、第2接点フラグが「1」である場合には、図3(1)に示す操作子6が強く操作されて、図10(1)に示すように、スイッチ8の第1接点8a、8bがオン状態になった後、図10(2)に示すように、第1接点8a、8bがオフ状態に変化するとともに、スイッチ9の第2接点9a、9bがオフ状態からオン状態に変化した場合である。この場合には、アポヤンドの音色でオンイベントを作成する(ステップE14)。
次に、第2接点フラグを「0」にリセットして(ステップE15)、オン中時間カウンタのカウントを停止して、カウント値をクリアする(ステップE10)。そして、発音中時間カウンタのカウントを開始する(ステップE11)。この後、ONFを「1」にセットして(ステップE12)、メインルーチンに戻る。
【0031】
図9は、第2の実施形態のメインルーチンにおける時間経過処理のフローチャートである。最初に、時間を計測するための最小単位時間が経過したか否かを判別する(ステップF1)。最小単位時間が経過していない場合には、このフローを終了する。最小単位時間が経過したときは、オン中時間カウンタがまだカウント中であるか否かを判別する(ステップF2)。カウント中である場合には、オン中時間カウンタの値をインクリメントする(ステップF3)。
【0032】
次に、オン中時間カウンタの値が所定時間Aを超えたか否かを判別する(ステップF4)。この値が所定時間Aを超えていない場合には、メインルーチンに戻るが、所定時間Aを超えた場合には、スイッチ9の第2接点9a、9bがオン状態であるか否かを判別する(ステップF5)。第2接点がオン状態である場合には、第2接点フラグを「1」にセットし(ステップF6)、第2接点がオフ状態である場合には、第2接点フラグを「0」にリセットする(ステップF7)。第2接点フラグをセット又はリセットした後は、メインルーチンに戻る。
【0033】
ステップF2において、オン中時間カウンタがカウントを終了している場合、すなわち、スイッチ8がオン状態からオフ状態に変化している場合には、発音中時間カウンタがまだカウント中であるか否かを判別する(ステップF8)。カウントをしていない場合には、このフローを終了するが、カウント中である場合には、発音中時間カウンタの値をインクリメントする(ステップF9)。
【0034】
次に、発音中時間カウンタの値が所定時間Bを超えたか否かを判別する(ステップF10)。所定時間Bを超えていないときは、このフローを終了するが、所定時間Bを超えたときは、オフイベントを作成する(ステップF11)。すなわち、あらかじめ設定された発音時間が経過したときは、消音処理を行なう。そして、発音中時間カウンタのカウントを停止し、カウントした値をクリアする(ステップF12)。次に、ONFを「0」にリセットして(ステップF13)、メインルーチンに戻る。
【0035】
なお、第1の実施形態と同様に、図8のステップE8において生成したベロシティ値に応じて、所定時間Bの値を変えるようにしてもよい。すなわち、ベロシティ値が大きい場合には、所定時間Bの値を大きく設定し、ベロシティ値が小さい場合には、所定時間Bの値を小さく設定する。この場合には、実際に弦を持つ弦楽器と同様に、強く弾弦された場合の音は、弱く弾弦された場合の音よりも発音時間を長くできる。
【0036】
以上のように、この第2の実施形態によれば、スイッチ部15は、対応する操作子6の演奏態様に応じてオン状態又はオフ状態の演奏情報をそれぞれ入力するスイッチ8およびスイッチ9を有し、CPU11は、スイッチ8のみのオン状態に基づく発音については、通常のアルアイレ奏法による音色のオンイベントを生成して音源16に出力し、スイッチ8のオフ状態およびスイッチ9のオン状態に基づく発音については、アポヤンド奏法による音色のオンイベントを生成して音源16に出力するので、弦の代わりに操作子を設けてピッキングを行なう安価な電子弦楽器において、ピッキングの奏法に応じて楽音の音色をコントロールすることが可能になる。
【0037】
この場合において、スイッチ9は、対応する操作子6が操作されてスイッチ8がオン状態からオフ状態に変化した後に、さらに、その操作子6が操作された場合にオフ状態からオン状態に変化するので、実際に弦を持っている弦楽器において、弦を弾いた指を次の弦で止めるアポヤンド奏法と同じ形態で演奏できる。
【0038】
また、上記各実施形態においては、CPU11は、発音中時間カウンタで計測された時間長が所定時間Bを超えたときは、オフイベントを生成して音源16に出力するので、発音した音が不自然に長くなることがない。
また、上記各実施形態においては、CPU11は、操作子6の操作に応じて楽音が発音中である場合に、再び同じ操作子6の演奏に応じてスイッチ8によってオフ状態からオン状態に変化した場合には、その楽音を消音させるので、実際に弦を持っている弦楽器において、振動して発音状態の弦を指で押さえてその音を消音させる場合と同様の演奏ができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、操作子の操作に応じたスイッチ手段によって、オン状態からオフ状態に変化した演奏情報が入力されたときは当該オン状態の時間長を計測し、計測した時間長に応じて音量を設定し、設定した音量で所定の音色の発音イベントを生成して所定の音源手段に出力するので、弦の代わりに操作子を設けてピッキングを行なう安価な電子弦楽器において、ピッキングの強さに応じて楽音の強弱をコントロールすることが可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による楽音制御装置を適用した第1および第2の実施形態の電子弦楽器の構造を示す外観図。
【図2】図1の電子弦楽器のシステム構成を示すブロック図。
【図3】図1におけるピッキング用の操作子6の操作を検出するスイッチ部15の構造および回路を示す図。
【図4】図2のCPU11によって実行される第1の実施形態におけるメインルーチンのフローチャート。
【図5】図4のメインルーチンにおけるスイッチ処理のフローチャート。
【図6】図4のメインルーチンにおける時間経過処理のフローチャート。
【図7】図4のメインルーチンにおける音源処理のフローチャート。
【図8】第2の実施形態のメインルーチンにおけるスイッチ処理のフローチャート。
【図9】第2の実施形態のメインルーチンにおける時間経過処理のフローチャート。
【図10】第2の実施形態において図3の操作子6の操作状態を示す図。
【符号の説明】
1 電子弦楽器の本体
6 操作子
8、9 スイッチ
8a、8b 第1接点
9a、9b 第2接点
11 CPU
13 ROM
14 RAM
15 スイッチ部
16 音源
17 発音回路
Claims (4)
- 楽器本体に形成された複数のスリットの夫々から突出並設された複数の板状の弾性部材と、
前記各弾性部材の下面中央に設けられた第1の上スイッチ接点及び当該各弾性部材の下方に設けられたプリント基板上面の前記各スイッチ接点の夫々に対向する位置に設けられた複数の第1の下スイッチ接点とから構成される複数の第1のスイッチと、
前記第1の上スイッチ接点夫々の傍に設けられた第2の上スイッチ接点及び前記プリント基板上面の前記第2の上スイッチ接点の夫々に対向する位置に設けられた複数の第2の下スイッチ接点とから構成される複数の第2のスイッチと、
前記複数の弾性部材のいずれかに対する操作により、前記弾性部材に対応して設けられた第1のスイッチがオフ状態からオン状態への変化に応答して時間の計測を開始する時間計測手段と、
この時間計測手段により計測された時間が所定時間を越えた状態において、前記弾性部材に対応して設けられた第2のスイッチがオフ状態からオン状態へ変化したか否か検出する検出手段と、
前記時間計測手段による時間の計測を開始した後、前記第1のスイッチがオン状態からオフ状態へ変化した際に、当該時間計測手段により計測された時間が前記所定時間以内であれば、当該計測された時間長に応じた音量で所定の音色の発音イベントを生成して音源手段に出力する第1の出力手段と、
前記第1のスイッチがオン状態からオフ状態へ変化した際に、当該時間計測手段により計測された時間が前記所定時間を越えていてかつ前記検出手段により第2のスイッチがオフ状態からオン状態へ変化したことが検出されている場合に、アポヤンド奏法による音色の発音イベントを生成して前記音源手段に出力する第2の出力手段と、
を有することを特徴とする楽音制御装置。 - 前記第1及び第2の出力手段のいずれか一方により、前記音源手段に発音イベントを出力したときから時間長の計測を開始するとともに、この計測された時間長が所定時間を超えたときに消音イベントを生成して前記音源手段に出力する第1の消音手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
- 前記第1及び第2の出力手段のいずれか一方により、前記音源手段に発音イベントを出力した後、前記第1のスイッチが再びオフ状態からオン状態に変化したときに消音イベントを生成して前記音源手段に出力する発音制限手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
- 前記第2のスイッチは、前記対応する弾性部材が操作されて前記第1のスイッチがオン状態からオフ状態に変化した後にさらに当該弾性部材が操作された場合にオフ状態からオン状態に変化することを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
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