JP3632491B2 - 楽音制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子楽器等における楽音の音色、ピッチ、音量、音像など、各種の楽音要素を制御するのに適した楽音制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子楽器の楽音の音色やピッチなどを制御するための操作子として、ホイール、ジョイスティック、パッドあるいはリボンコントローラなど様々なものがある。これらの操作子は一つ一つ独立した楽音パラメータを制御するものであるので、一度の発音に複数の楽音パラメータを制御する場合には適しておらず、例えば、特開平6−59796号公報に一度の操作で複数の楽音パラメータを制御する入力装置が開示されている。この入力装置は、1つの押圧動作から位置と圧力の2つの検出データを入力して、複数のパラメータをリアルタイムで制御できるようにしたものである。
【0003】
一方、例えばシンセサイザー音楽などでは、演奏者の発想をも超えるような多彩な表現が好まれることもあり、このような場合、斬新な態様の楽音発生を制御できるような操作子が必要となる。しかし、前記従来の操作子あるいは入力装置は、演奏者の操作に忠実な楽音を発生することに主眼をおいて開発されるのが一般的であり、斬新な態様の楽音発生を制御するというものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、斬新な態様の楽音発生を制御できるような楽音制御装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の楽音制御装置は、押圧により該押圧部分以外の他の部分も変位するような弾性を有する放射状の板状体と、該板状体に対向して配置された操作ノブとを備え、前記板状体の中央を固定部に固着することで該板状体の中央より外周側が変位可能にされ、前記操作ノブの中央を支持することで該操作ノブを前記固定部に対して揺動可能にされるとともに、該操作ノブの揺動により前記板状体の一部を押圧可能とされ、前記板状体の前記変位可能な部分に複数の歪み検出手段が固着され、前記操作ノブの揺動による前記板状体の周辺部への押圧にて得られる前記複数の歪み検出手段の出力に基づいて複数の楽音要素を制御するようにしたことを特徴とする。なお、楽音要素としては、例えば、音色、ピッチ、音量、音像などがある。また、放射状の板状体とは、例えば、円形、略円形、正多角形、略正多角形などのように所定の中心に対して略回転対称な形状の板状体である。
【0006】
上記のように構成された請求項1の楽音制御装置によれば、板状体は中央が固定部に固着さてその外周側が変位可能となっており、操作ノブによるこの板状体の周辺部への押圧により板状体が変位する。そして、板状体の変位によりこの板状体に固着された複数の歪み検出手段で出力が得られ、この出力により複数の楽音要素が制御される。ここで弾性を有する板状体は、その板状体の平面形状、断面形状あるいはその断面2次モーメントなどに応じて、押圧に対する変形の度合いや反発の仕方などの特性(以後、「振動特性」という。)により、例えば一箇所を押圧しただけでも、他の部分にも変位が生じる。すなわち、板状体は、押圧により該押圧部分以外の他の部分も変位するような弾性を有する。したがって、ある一つの楽音要素を制御するための一つの歪み検出手段の出力と、他の楽音要素を制御するための一つの歪み検出手段の出力とが、実質的に互いに干渉し合うようになる。したがって、斬新な態様の楽音発生を制御できる。
【0007】
ところで、自然楽器においては、楽器の各部の構造や演奏操作(例えば擦弦楽器の弓速や弓圧、吹奏楽器の息圧やアンブシュアなど)の物理的な条件が複雑に相互依存して、実際に楽音が発生される。したがって、このような自然楽器の楽音を電子楽器でシミュレーションするには、一度に複数の楽音パラメータを制御する上で、各楽音パラメータを相互に干渉させることができることが有効であり、本発明の楽音制御装置は、歪み検出手段の出力を楽音パラメータに適宜反映させることにより自然楽器のシミュレーションにも適用できる。
【0008】
請求項1の構成において、前記複数の歪み検出手段の少なくとも1つをピエゾ素子とするようにしてもよい。
【0009】
このようにすると、請求項1の作用効果に加え、次のような作用効果が得られる。歪み検出手段として用いるピエゾ素子によれば、板状体の変位時に変位の時間微分(変位の変動量)を出力として得ることができる。例えば、板状体を押圧して板状体を変位させると、その変位開始から所定の位置で変位が止まるまでに、ピエゾ素子から所定の極性の信号が出力され、変位が止まると出力も止まる。その状態から押圧を無くすと、板状体の変位が戻り、そのときピエゾ素子から極性の異なる信号が出力される。したがって、このピエゾ素子の出力で楽音パラメータを制御すると、さらに斬新な態様の楽音を得ることができる。
【0010】
また、請求項1の構成において、前記複数の歪み検出手段を、前記板状体の変位による異なる物理量を検出する複数種類のセンサとしてもよい。
【0011】
このようにすると、請求項1と作用効果に加えて、例えば、板状体の変位量と変位の時間微分のように異なる物理量で楽音要素を制御するので、変化に富んだ斬新な態様の楽音が得られる。また、制御対象となる複数の楽音要素に対して、楽音要素の種類に適した物理量で制御することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図5は本発明の実施形態の楽音制御装置を用いた電子楽器の概観平面図、図6は同電子楽器の要部ブロック図である。この電子楽器は、鍵盤1を備えるとともに楽音制御装置を構成する操作部2が配設されており、パネル面3の鍵盤1の横に形成された円形の透孔31には、操作部2の操作ノブ21が配置されている。また、パネル面3には音色選択スイッチなど各種のスイッチ群4が配設されている。
【0013】
制御回路10は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路で構成されており、鍵盤1による演奏、操作部2からの信号に応じて楽音の制御を行う。通常は、鍵盤1からの検出信号に応じたキーコード、キーオン/キーオフ、ベロシティ等の各種のデータを生成して音源20に出力する。また、操作部2の操作時には、操作部2の出力信号に基づいて、効果回路30にフィルタデータ出力し、効果回路30のフィルタ特性を制御する。また、操作部2の出力信号に基づいて、ピッチを変調するピッチベンドデータ、音像定位を制御するパンニングデータ等を生成し、それぞれMIDI規格のパラメータに変換して、それぞれのパラメータをそのパラメータの種類を示すデータとともに音源20に出力する。なお、サウンドシステム(SS)40は効果回路30から出力される楽音信号に対してD/A変換や増幅等を行ってスピーカーでステレオ発音する。
【0014】
図1は実施形態の楽音制御装置の操作部2の一部断面正面図(図5のA−A矢視図)、図2は操作部2の板状体22の下面図である。電子楽器の内部にはフレーム5が固定されており、このフレーム5の操作部2の中央位置には、ボルト状の支持ロッド23がフレーム5の裏側からのネジ止めによりパネル面3側に立設されている。支持ロッド23は径の太い台座部23aと径の細い支持部23bとを有している。そして、アルミニウムや鉄等の弾性を有する金属板でできた円盤状の板状体22が、その中央の孔22a(図2参照)に支持部23bを貫通し、ナット25でネジ止めすることにより、台座部23a上に固定されている。すなわち、板状体22は、中央を固定部である台座部23aに固着することで該板状体の中央の周囲が変位可能にされている。
【0015】
操作ノブ21はドーム型の形状であり、その内部中央に上部から下方に延びるボス部21aが形成されている。このボス部21aの中は中空にされるとともに、ボス部21aの下端側内部には、支持ロッド23の支持部23bと係合する保持部21bが嵌合されて接着されている。
【0016】
保持部21bと支持部23bの構造は図3のようになっている。図3(A) は保持部21bの断面図、図3(B) は保持部21bの底面図、図3(C) は支持部23bの先端部の側面図であり、保持部21bは、略円筒状で、内面周囲に内側に突出する爪部21b−1が形成され、保持部21bの側面にはその下端から爪部21b−1を越えて割溝21b−2が形成されている。一方、支持部23bの先端は保持部21bの内径より僅かに小さな半球状にされ、その下の外周には係合溝23b−1が形成されている。
【0017】
以上の構成により、支持部23bの先端に保持部21bを圧入して、爪部21b−1を係合溝23b−1に係合させる。そして、操作ノブ21のボス部21aを保持部21bに嵌合して接着することにより、操作ノブ21が支持ロッド23に中央を支持された状態で保持される。なお、ボス部21a内でも保持部21bの割溝21b−2が開閉自在になるような構造にすれば、ボス部21a内に保持部21bを嵌合接着してから、この保持部21bに支持部23bを圧入するようにしてもよい。
【0018】
また、図1に示したように、操作ノブ21の下端周縁部は櫛歯状にされ、複数の突片21cが等間隔に形成されている。そして、操作ノブ21が支持ロッド23に支持された状態でこの突片21cの下端は板状体22の外周と僅かに隙間を開けて対向するようになっている。板状体22の下面には、周囲4カ所に歪み検出手段としての、歪みゲージ26が固着されており、この歪みゲージ26の出力は前記制御回路10に入力される。
【0019】
以上の構成により、操作ノブ21は支持ロッド23の支持部23b近傍を支点として外周側の任意の方向に揺動可能となっており、操作ノブ21を揺動操作することにより、その揺動方向にある突片21cが板状体22の外周に当接し、さらに板状体22に変位を与える。このとき、板状体22には、突片21cにより押圧されている部分だけではなく、前記のような板状体22の振動特性により特にその近傍にも変位が生じる。これにより、各歪みゲージ26は、その歪みゲージ26が存在する部分の変位に応じた信号を出力する。そして、その出力信号に基づいて制御回路10が以下の後述各実施例のように各種の楽音要素を制御する。
【0020】
ここで、操作ノブ21の突辺21cは櫛歯状に配置されているので、操作ノブ21を首振り操作させると、順次隣り合う突辺21cが順次板状体22の周囲に当接していき、操作ノブ21を首振り操作して近づけていく方向の歪みゲージ26に対して段階的に変位が増加し、離れていく方向の歪みゲージ26に対しては段階的に変位が減少するようになる。これにより、段階的な制御を行うことができる。なお、操作ノブ21の突辺21cの下端と板状体22との間には僅かな隙間が設けられているが、これは操作ノブ21の操作開始時の節度感(手に当たる感触)を得るためであり、この隙間はなくてもよい。
【0021】
図4は操作ノブの支持構造の他の例を示す図である。図4では支持構造部分だけを図示しているが、その他の部分は図1と同じである。また、図4において図1と同じ要素には同符号を、対応する要素には図1の符号にダッシュを付した符号を付記してある。操作ノブ21′のボス部21a′の中は中空にされるとともに、ボス部21a′の下端側内部には保持部21b′がネジ構造により螺合されている。保持部21b′には内面をテーパ面とされた嵌合孔21b−1′が形成されており、この嵌合孔21b−1′には下バネ24aを介して固定軸26が貫通され、この固定軸26の下端は前記同様な支持ロッドの支持部23b′の上部に螺合されている。また、固定軸26の頭部26aとボス部21a′の内天井部との間には上バネ24bが配設されている。
【0022】
固定軸26は前記フレーム5と固定関係にあり、操作ノブ21′は、下バネ24aの弾性力により固定軸26に対して下方に付勢されるとともに、上バネ24bの弾性力により固定軸26に対して上方に付勢される。そして、この下バネ24aの付勢力と上バネ24bの付勢力および操作ノブ21′の自重の釣り合いにより、操作ノブ21′と支持部23b′との間に隙間(2mm程度)が形成されている。なお、この状態で、操作ノブ21′の周縁の突辺(図示は省略するが、前記櫛歯状に配置された突辺21cに同じ)の下端と板状体22との間には僅かな隙間が設けられている。
【0023】
以上の構成により、操作ノブ21′は保持部21b′の嵌合孔21b′1の下端と固定軸26との接触部を支点として外周側の任意の方向に揺動可能となっており、前記同様に板状体22に変位を与えることができる。また、操作ノブ21′は、上バネ24bの付勢力に抗して下方に押し下げることができ、これにより、操作ノブ21′の周縁の突辺により、板状体22の外周部を全周にわたって押圧することができ、複数の歪みゲージ26(図1,図2参照)にほぼ同じくらい変位を与えることができる。また、なお、操作ノブ21′から手を放せば、操作ノブ21′は下バネ24aの付勢力により図4の状態に戻る。
【0024】
次に、楽音制御の各実施例について説明する。
(第1実施例)
第1実施例は、4つの歪みゲージ26を全てピエゾ素子で構成した例であり、各歪みゲージ26は、板状体22の変位時の変位の時間微分(変位の変動量)に対応する信号を出力する。そして、制御回路10では、この歪みゲージ26から出力される信号のエンベロープを検出し、そのエンベロープに応じて次のように楽音要素を制御する。なお、以下の説明で4つの歪みゲージ26を区別するときには図2に示したようにそれぞれ「A」〜「D」として区別する。そして、4つの歪みゲージ「A」〜「D」から出力される出力信号のそれぞれに対応して第1〜第4の4種類の制御を行う。
【0025】
第1の制御では、効果回路30のフィルタ特性を制御する。この効果回路30のフィルタとは、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ等のいずれのフィルタでもよく、そのカットオフ周波数を制御する。例えば、この第1制御に対応する歪みゲージが押圧された場合に相当する信号により、カットオフ周波数を基準値から上げるように制御する。これにより、操作ノブ21を、特にこの第1の制御に対応して予め決められた方向に押圧すると、カットオフ周波数が上がって、明るい音となるように制御される。
【0026】
第2の制御では、ピッチベンドデータを生成し、この第2の制御に対応する歪みゲージの位置が押圧された場合に場合に相当する信号により、鍵盤で指定されたキーコードのピッチよりも数セント〜半音程度の範囲でピッチを上げるように制御する。これにより、操作ノブ21を、特にこの第2の制御に対応して予め決められた方向に押圧すると、ピッチが上がって、例えばギターのチョーキング奏法のような効果を得ることができる。なお、最大1オクターブ上げるように制御するようにしてもよく、ポルタメントの効果が得られる。
【0027】
第3の制御では、効果回路30のフィルタのQ値(quality factor)を制御する。第3の制御に対応する歪みゲージの位置が押圧された場合に相当する信号により、フィルタのQ値を上げるように制御する。これにより、操作ノブ21を、特にこの第3の制御に対応して予め決められた方向に押圧すると、特定周波数や特定周波数帯域(バンドパスフィルタ)での共振特性(レゾナンス)が上がって高音色に変化を与えることができる。
【0028】
第4の制御では、パンニングを制御する。第4の制御に対応する歪みゲージの位置が押圧された場合に相当する信号により、音像定位を左右どちらかに移動するようにパンニングデータを制御する。これにより、操作ノブ21を、特にこの第4の制御に対応して予め決められた方向に押圧すると、音像定位が移動して、音場が移動するような効果を得ることができる。
【0029】
以上の、第1〜第4の制御による各楽音要素の変化は、操作ノブ21を各制御に対応する位置に押圧したときにそれに対応する楽音要素が特に変化するが、板状体22の前記振動特性により、操作ノブ21の押圧方向に応じて複数の楽音要素の変化が混合して現れる。これにより、斬新な態様の楽音が発生する。
【0030】
以上の第1実施例では、4つの歪みゲージ26を全てピエゾ素子で構成した例であるが、歪みゲージ26として、板状体22の変位に対応する信号を出力するような素子と、ピエゾ素子とを混在して用いるようにすると、さらに斬新な態様の楽音を発生することができる。なお、板状体22の変位に対応する信号を出力するような素子としては次のようなものがある。
【0031】
例えば、人の身振りに応じて楽音を制御するために、指の関節や肘の関節にリボン状の感圧抵抗を配置し、関節の曲がり度合い(変位)を感圧抵抗の抵抗値の変化から検出するような感圧抵抗素子が広く用いられている。そこで、このような感圧抵抗素子を歪みゲージ26に用いることができる。例えば、2つの歪みゲージ26,26がピエゾ素子、残り2つの歪みゲージ26,26が感圧抵抗素子であってもよいし、一つの歪みゲージ26のみがピエゾ素子で、その他が感圧抵抗素子であってもよい。
【0032】
(第2実施例)
第2実施例は、4つの歪みゲージ「A」〜「D」の出力信号をパンニングの制御に用いる。なお、パンニングによる音像定位の方向は、演奏者側からみて前後左右とする。そして、A−A矢視図の背面図である図2において、歪みゲージ「A」の出力で音像定位を後ろに移動し、歪みゲージ「B」の出力で音像定位を前に移動し、歪みゲージ「C」の出力で音像定位を左に移動し、歪みゲージ「D」の出力で音像定位を右に移動する。
【0033】
ここで、各歪みゲージ26としてピエゾ素子を用いると、板状体22の変位の時間微分(変位の変動量)に対応する信号で制御するので、操作ノブ21を操作した時に音像が一旦移動してすぐに元に戻り、操作ノブ21の操作をやめると今度は逆方向に音像が移動してすぐに元に戻るような制御ができる。これに対し、前述のような感圧抵抗素子を歪みゲージ26として用い、板状体22の変位に相当する信号をこの感圧抵抗素子で検出し、この変位に対応する出力でパンニングを制御すると、操作ノブ21の操作に対応する任意の位置に音像を移動した状態を保つこともできる。
【0034】
(第3実施例)
第3実施例は、歪みゲージ26の内の2つの歪みゲージ26,26の出力により、物理モデル音源を制御する例である。この例では、音源20は、例えば擦弦楽器あるいは吹奏楽器をシミュレートする物理モデル音源であり、MIDI規格のパラメータにより楽音を制御して発音する。例えば、擦弦楽器の物理モデル音源であれば、制御回路10から出力される速度情報のパラメータを弓速のパラメータとし、力情報のパラメータを弓圧のパラメータとして処理する。また、吹奏楽器の物理モデル音源であれば、制御回路10から出力される速度情報のパラメータを息圧のパラメータとし、力情報のパラメータをアンブシュアのパラメータとして処理する。これらの各パラメータの制御により、楽音の立ち上がり時のピッチすなわちアタックピッチの制御もできる。このようなアタックピッチの制御により、自然楽器の特に強発音時の高音側へのピッチの変調などをシミュレートすることができる。
【0035】
また、制御回路10は、一つの歪みゲージ26の出力を速度情報のパラメータに変換して音源20に出力し、他の一つの歪みゲージ26の出力を力情報のパラメータに変換して音源20に出力する。ただし、音源20に出力するパラメータとして発音中にある程度の値を保持する必要があるパラメータに対しては、対応する歪みゲージ26に前記のように板状体22の変位に対応する信号を出力するような素子(例えば前記感圧抵抗素子)を用いるようにする。すなわち、制御対象となる複数の楽音要素に対して、楽音要素の種類に適した物理量で制御することができる。
【0036】
なお、このように物理モデル音源を制御するには、発音すべき楽音の特性、板状体22の振動特性および歪みゲージ26の特性を考慮して、歪みゲージ26の出力をどのようなパラメータ値に変換するかを予め設定しておく必要がある。しかし、板状体22の振動特性により一つの操作ノブ21の一度の操作で複数のパラメータを制御することができるので、実施形態の操作部2の構成は、物理モデル音源の制御に適したものであるといえる。
【0037】
本発明は以上の実施形態および各実施例に限定されるものではなく、歪みゲージの個数は4個に限らず複数あればよい。また、歪みゲージとして用いるピエゾ素子と感圧素子の個数は任意であってよい。
【0038】
実施例では、音色(フィルタのカットオフ周波数、Q値)の制御、ピッチの制御、音像定位の制御等について説明したが、その他の楽音要素を制御するようにしてもよい。
【0039】
また、実施形態では、板状体22は円盤状であるが、正多角形あるいはそれに近い多角形であってもよい。
【0040】
また、実施形態では、操作ノブ21がドーム型をしているが、この操作ノブは他の形状でもよい。
【0041】
また、実施形態では電子楽器を例に説明したが、操作部が別体の装置として構成され、この操作部を他の電子楽器あるいはパーソナルコンピュータ等に接続し、この操作部の出力に基づいて他の電子楽器やパーソナルコンピュータ等により楽音を制御するようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の楽音制御装置によれば、押圧により該押圧部分以外の他の部分も変位するような弾性を有する放射状の板状体を用い、この一つの板状体に固着した複数の歪み検出手段により、ある一つの楽音要素を制御するための一つの歪み検出手段の出力と、他の楽音要素を制御するための一つの歪み検出手段の出力とが、実質的に互いに干渉し合うようになり、斬新な態様の楽音発生を制御することができる。また、歪み検出手段の出力を楽音パラメータに適宜反映させることにより自然楽器のシミュレーションにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の楽音制御装置の操作部の一部断面正面図である。
【図2】本発明の実施形態における操作部の板状体の下面図である。
【図3】本発明の実施形態における操作部の操作ノブの支持機構を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態における操作部の操作ノブの支持機構の他の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態の楽音制御装置を用いた電子楽器の概観平面図である。
【図6】同電子楽器の要部ブロック図である。
【符号の説明】
2…操作部、21,21′…操作ノブ、22…板状体、23…支持ロッド(固定部)、26…歪みゲージ(歪み検出手段)、10…制御回路、20…音源、30…効果回路
Claims (1)
- 押圧により該押圧部分以外の他の部分も変位するような弾性を有する放射状の板状体と、該板状体に対向して配置された操作ノブとを備え、
前記板状体の中央を固定部に固着することで該板状体の中央より外周側が変位可能にされ、
前記操作ノブの中央を支持することで該操作ノブを前記固定部に対して揺動可能にされるとともに、該操作ノブの揺動により前記板状体の一部を押圧可能とされ、
前記板状体の前記変位可能な部分に複数の歪み検出手段が固着され、
前記操作ノブの揺動による前記板状体の周辺部への押圧にて得られる前記複数の歪み検出手段の出力に基づいて複数の楽音要素を制御するようにしたことを特徴とする楽音制御装置。
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