JP4106849B2 - 太陽電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本発明はエレクトロニクス用、あるいは時計等の装飾品用として使用可能な太陽電池等に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、III−V族化合物半導体のInGaNを用いた青色発光ダイオードが実用化され、また青色レーザが発振し実用化に近づきつつある。このようなIII−V族化合物半導体のInGaNは、有機金属化合物化学気相成長法(MOCVD)を用いて800〜1100℃の高温条件で作製され、通常は基板にはサファイア基板が使用されている。しかしながら、サファイアは透明であるが絶縁性基板であり大きさも限られ、かつ高価である。この他に、基板としてシリコンカーバイドが用いられている。シリコンカーバイドは導電性であるがサファイアより更に高価であり、かつ使用できる基板の大きさもサファイアより更に限られるという問題がある。
【0003】
一方、現在の半導体素子と製品の大部分を占めるシリコン材料に対しては、III−V族化合物半導体との格子定数の違いが大きく良質の膜ができないため、SiCのバッファ層やサファイア基板に対して行われているように、AINやGaNの低温成長バッファ層が用いられているが、満足できる品質のものが得られていない。
【0004】
このため本発明者らは、リモートプラズマを用いた窒化物半導体の低温製造法に基いて、素子の基板として金属やセラミックスの不透明基板を、またガラスや透明酸化物半導体等の透明基板が使用できることを提案している。更に、基板を半導体素子の電極として用いる場合には、絶縁性基板には表面に金属等の導電性物質による導電性処理を施すことも提案している。しかしながら、このような成膜法によって形成したIII−V族化合物半導体膜は、光導電性等の特性は得られるものの、光依存性が大きく、強光量時の感度や効率が低下する問題があり、感度や応答性において優れた半導体素子とするためには、更に光量依存性や強光量の感度や効率において改善が必要であった。
【0005】
また近年、太陽電池の利用が盛んになってきたが、あらゆる場所で使われるためには、できる限り制限のない形態で使用されるのが望ましいが、従来の太陽電池では色等のデザイン性に問題があり、限られた場所に使用されているのが現状であった。このため文字や模様や画像が印字してある基板に積層が可能で、優れた特性の半導体素子が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、広範囲の光学ギャップを自由に選べ、高感度で、光量に対する出力電流の直線性がよく、大面積でも安価であり、装飾品用として使用可能な太陽電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 印字あるいは画像が表示されてなる金属基板上に、透明な導電膜を有し、該導電膜上に、Al,Ga及びInから選択される1以上の元素、窒素、及び、水素を含有する半導体層を有することを特徴とする太陽電池である。
> 前記導電膜が、金属酸化物半導体からなる前記<1>に記載の太陽電池である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
[半導体素子(太陽電池)
本発明の太陽電池(以下、「半導体素子」と称する場合がある)は、少なくとも、基板上に、導電膜及び半導体層をこの順に有し、更に必要に応じて、該半導体層上に透明導電性電極等のその他の部材を有してなる。
【0009】
(基板)
本発明の半導体素子に用いられる基板は、導電性を有するものであれば、特に制限なく使用することができる。本発明では、本質的に不透明な基板でもよいし、文字や画像や塗装等で不透明になっているものでもよい。また、ブラスト処理や線刻やエッチング等の処理により、実質的に不透明な基板であってもよい。前記基板は、結晶あるいは非晶質でもよい。前記基板のうち、金属基板の材料としては、銅、アルミニウム、鉄、ステンレススチール、ニッケル、クロム、金、白金、タングステン、モリブデン等の金属及びその合金結晶、また金属膜を表面に設けたSi,GaAs,GaP等の半導体が挙げられる。また、前記基板のうち、シリコン基板としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、水素化非晶質シリコン等が挙げられる。本発明においては、導電化処理を施し、表面加工したガラスや石英やセラミックス等を用いることができ、また着色したプラスチックを用いることもできる。
【0010】
(導電膜)
本発明の半導体素子は、基板の上に導電膜が設けられていることを特徴の一つとする。基板の上に導電膜を設けることにより、半導体成長時の膜構造が制御できると共に、界面のバンド構造を制御することができ、電荷発生と電荷輸送を効率よく行えるため、高感度で、光量に対する出力電流の直線性のよい太陽電池を得ることができる。また、前記基板が、印字あるいは画像が表示されている金属基板である場合には、前記導電膜が透明な導電膜であると、上記機能に加え、半導体素子を通して、基板の表面に表示した文字や画像等を見ることができる。
【0011】
前記導電膜は電極としての導電性と共に、半導体層との電気的接触界面を形成する。前記導電膜の抵抗は1〜500Ω□が好ましく、1〜300Ω□がより好ましい。該抵抗が500Ω□を超えると、電極としての機能が不充分であり、一方、該抵抗が1Ω□未満では着色する場合が多い。
【0012】
前記導電膜は、金属酸化物半導体からなることが、界面のバンド構造と透明性の点で好ましい。特に、金属酸化物半導体が、In、Sn及びZnから選ばれる1以上の元素を含むことが好ましい。
透明な導電膜としては、ITO、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム等の金属酸化物、あるいはAlやGa等の金属元素をドープした金属酸化物、よう化銅等を用いることができる。これらの膜は、蒸着、電子ビーム蒸着、反応性蒸着、イオンプレーティング、反応性イオンプレーティング、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンクラスタービーム法等の方法により形成することができる。
【0013】
前記導電膜の厚さは、10〜2000nmが好ましく、50〜1000nmがより好ましい。該厚さが10nm未満であると、抵抗が高く、また、欠陥が多くなることがあり、一方、該厚さが2000nmを超えると、着色し、かつ、表面性が低下することがある。
【0014】
(半導体層)
前記半導体層は、Al,Ga及びInから選択される1以上の元素、窒素、及び、水素を含み、更に必要に応じて、その他の成分を含んでなる。
【0015】
−IIIA族元素(Al,Ga及びIn)
本発明においては、Al,Ga及びInから選択される1以上の元素を含む有機金属化合物が好ましく使用されるが、具体的には、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、t−ブチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、t−ブチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、t−ブチルインジウム等の液体や固体を気化して単独に又はキャリアガスでバブリングされた混合状態のガスを使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記キャリアガスとしては、He,Ar等の希ガス、H2,N2等の単元素ガス、メタンやエタン等の炭化水素、CF4,C26等のハロゲン化炭素等を用いることができる。
【0016】
−VA族元素(窒素)
窒素原料としては、N2、NH3、NF3、N24、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン等の気体又はこれらをキャリアガスでバブリングした混合ガスを使用することができる。
ここで使用されるキャリアガスは、先に例示したものを使用することができる。
【0017】
IIIA族元素とVA族元素との原子数比は0.5:1.0〜1.0:0.5が好ましい。この範囲外の場合には、IIIA族元素とVA族元素との結合において四面体結合型を取る部分が少なくなるため欠陥が多くなり、良好な光起電力素子として機能しなくなることがある。
半導体層中の各元素組成は、X線光電子分光(XPS)、エレクトロンマイクロプローブ、ラザフォードバックスキャタリング(RBS)、二次イオン質量分析計等により測定することができる。
【0018】
−水素−
前記半導体層は、水素が含まれる水素は、IIIA族元素とVA族元素の未結合手の補償や、微結晶の粒界においてIIIA族元素とVA族元素の両方に未結合手を補償することができる。このとき用いる水素は、重水素であってもよい。例えば、このための水素は、IIIA族元素とVA族元素に結合するようにすることが望ましい。
【0019】
前記水素の含有量は、0.1〜50atom%が好ましく、0.5〜30atom%がより好ましい。水素の含有量が0.1atom%未満では、結晶粒界での結合欠陥や未結合手を水素との結合によって無くし、バンド内に形成する欠陥準位を不活性化するのに不十分であり、結合欠陥や構造欠陥が増大し、暗抵抗が低下し光感度がなくなるため、実用的な光導電体として機能させることが困難となる。一方、水素の含有量が50atom%を超えると、水素がIIIA族元素及びVA族元素に2つ以上結合する確率が増え、これらの元素が3次元構造を保てず、2次元及び鎖状のネットワークを形成するようになり、特に結晶粒界でボイドを多量に発生するため、結果としてバンド内に新たな準位を形成し、電気的な特性が劣化すると共に、硬度等の機械的性質が低下することがある。更に半導体層が酸化されやすくなり、結果として半導体層中に不純物欠陥が多量に発生することとになり、良好な光電気特性が得られ難くなる。また、半導体層中の水素が50atom%を超えると、電気的特性を制御するためにドープするドーパントを水素が不活性化するようになるため、結果として電気的に活性な非晶質あるいは微結晶からなる半導体が得られ難くなる。
【0020】
水素量についてはハイドジェンフォワードスキャタリング(HFS)により絶対値を測定することができる。また、加熱による水素放出量の測定あるいはIRスペクトルの測定によっても推定することができる。
また、これらの水素結合状態は、赤外吸収スペクトルによって容易に測定することができる。
【0021】
−その他の成分−
−−p、n制御元素−−
前記半導体層には、p、n制御のための元素を含む化合物を導入して、層中にドープすることができる。ドーピング用ガスはIIIA族元素を含む有機金属化合物と混合してもよいし別々に導入してもよい。また前記有機金属化合物と同時に導入してもよいし、連続導入でもよい。
【0022】
n型用の元素としては、IA族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は1)のLi、IB族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は11)のCu,Ag,Au、IIA族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は2)のMg、IIB族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は12)のZn、IVA族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は14)のC,Si,Ge,Sn,Pb、VIA族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は16)のS,Se,Teを用いることができる。中でもC,Si,Ge,Snが電荷担体の制御性の点から好ましい。
【0023】
p型用の元素としては、IA族のLi,Na,K、IB族のCu,Ag,Au、IIA族のBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Ra、IIB族のZn,Cd,Hg、IVA族のC,Si,Ge,Sn,Pb、VIA族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は16)のS,Se,Te、VIB族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は6)のCr,Mo,W、VIII族のFe(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は8)、Co(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は9)、Ni(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号は10)等を用いることができる。中でもBe,Mg,Ca,Zn,Srが電荷担体の制御性の点から好ましい。
【0024】
i型用の元素としては、p型用の元素と同じものを低濃度で使用することができる。
【0025】
また、層中の水素が、ドーパントに結合し不活性化しないようにする必要があり、欠陥準位をパッシベーションするための水素をドーパントよりもIIIA族元素及びVA元素に選択的に結合させる観点から、n型用の元素としては、特に、C,Si,Ge,Snが好ましく、p型用の元素としては、特に、Be,Mg,Ca,Zn,Srが好ましく、i型用の元素としては、特に、Be,Mg,Ca,Zn,Srが好ましい。
【0026】
ドーピングにはn型用としては、SiH4、Si26、GeH4、GeF4、SnH4を、p型用としては、BeH2、BeCl2、BeCl4、シクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等を、i型用としては、p型用の元素と同じ化合物を、ガス状態で使用することができる。また、ドーピング元素を元素のまま層中に拡散させたり、イオンとして層中に取り込ませることもでき、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用することができる。
【0027】
−結晶構造−
前記半導体層は、非晶質相であっても微結晶相であっても、また微結晶相と非晶質相との混合状態であってもよい。また単結晶状であってもよい。結晶系は立方晶あるいは6方晶系のいずれか一つであっても、複数の結晶系が混合された状態でもよい。
【0028】
ここで非晶質と言う場合は、例えば、透過電子線回折パターンにおいて、リング状の回折パターンが全くなく、ぼんやりしたハローパターンの完全に長距離秩序の欠如しているものから、ハローパターンの中にリング状の回折パターンが見られるもの、更にその中に輝点が見られるものまでの範囲内のものを指す。このような層は、透過電子線回折より広範囲を観測するX線回折測定においては、ほとんど何もピークは得られないことが多い。
【0029】
また、ここで微結晶と言う場合は、例えば、透過電子線回折パターンにおいて、リング状の回折パターンとともに輝点が多数見られるもの、更にほとんどスポット状の輝点のみが見られるものの双方を指している。このような層は、X線回折測定においてはわずかに結晶面に相当するピークが得られるが、多結晶である場合が多いと、ピーク強度が単結晶に比べ弱く、かつ、ピーク幅が単結晶に比べ広いことが多い。
【0030】
更に、赤外吸収スペクトルでは、IIIA族元素とVA族元素との結合の振動吸収ピークの半値幅が、非晶質構造が主体の場合には150cm-1以上であり、結晶性の場合には100cm-1以下である。この吸収ピーク位置は、例えばC−H結合等が層中に多く含まれるような層では300cm-1以上に広がり、このような層は本発明の目的には適さない。ここで言う半値幅とは、IIIA族元素とVA族元素との結合を主体とする吸収位置での吸収帯における、最高強度からバックグランドを除いた値の1/2の強度部分での吸収帯の幅である。
【0031】
微結晶の大きさは、その粒径として5nmから5μmであり、X線回折や電子線回折及び断面の電子顕微鏡写真を用いた形状測定等によって測定することができる。
更に成長の面方位が揃った高度に配向した層であっても、柱状成長した多結晶でもよい。更に面方位が一つであるとともに、成長方向の揺らぎが少なく、例えばX線ロッキングカーブが測定できる単結晶状のものであってもよい。
【0032】
−積層構造等−
前記半導体層は、Al、Ga、Inから選択される1以上の元素と窒素と水素とを含むn型、i型あるいはp型の半導体からなるものでもよく、更に高濃度のドーピングを行った膜p+あるいはn+層を挿入してもよく、低濃度のドーピングを行った膜p-あるいはn-層を挿入してもよい。
【0033】
更に透明性や障壁の形成のために、p型、i型、n型の各層は各々異なるAlxGayInz(x=0〜1.0、y=0〜1.0、z=0〜1.0)で表されるAl、Ga、InとNとの組成を持っていてもよく、p型、i型、n型それぞれの層が複数のAlxGayInzN:H(x=0〜1.0、y=0〜1.0、z=0〜1.0)の組成から成っていてもよい。
【0034】
前記半導体層の光学ギャップは、IIIA族元素の混合比によって任意にかえることができる。GaN:Hを基準にすると3.5eVより大きくする場合には、Alを加えることによって6.5eV程度にまで大きくすることができ、3.2eVより小さくする場合には、Inを加えることによって透明のまま測定波長域を変化させることができる。
【0035】
−半導体層の作製法−
以下に図を参照して、本発明の半導体素子における半導体層の作製法を説明する。図1は、本発明の半導体素子の製造装置の一例を示す概略構成図である。
この半導体素子製造装置は、円筒状の反応器1と、反応器1と上部開口を介して連続する第1及び第2の原料活性化−供給部13、14と、反応器1と下部開口を介して連続し、且つ反応器1内のガスを排気するための排気管2と、反応器1内に配置され、且つ基板を支持するための基板ホルダー3と、基板ホルダー3の基板設置面側とは反対側に配置されたヒーター4と、を備える。
【0036】
第1及び第2の原料活性化−供給部13、14は、それぞれ、反応器1と連通し、且つ反応器1の径方向外側に配置された円筒状の石英管5、6と、これら石英管5、6の反応器1とは反対側と連通するガス導入管9、10とを備える。
第1の原料活性化−供給部13は、更に石英管5と交差するように配置されたマイクロ波導波管8と、石英管5とマイクロ波導波管8との交差位置より反応器1側で石英管5と連続するガス導入管11とを備える。マイクロ波導波管8は筐体状であり、その中を石英管5が貫通している。
また、第2の原料活性化−供給部14では、マイクロ波放電管8の代わりに高周波コイル7が使用され、高周波コイル7は石英管6の外周に巻き付けられ、図示しない高周波発振器に接続されている。
【0037】
そして、第1及び第2の原料活性化−供給部13、14のガス導入管9、10、11、12は原料ガスを供給する図示しない原料供給手段としてのボンベ等にそれぞれ接続されている。
更にガス導入管11、12には原料ガスを間欠的に供給するための流量調節器(マスフローコントローラ)(図示せず)が接続されている。また、マイクロ波導波管8は図示しないマグネトロンを用いたマイクロ波発振器に接続されており、石英管5内で放電させる。更に、排気管2は図示しない排気手段としてのポンプに接続されており、反応器1内を略真空まで排気可能とする。
【0038】
この装置において、窒素元素源として、例えば、N2を用いガス導入管9から石英管5に導入する。マグネトロンを用いたマイクロ波発振器(図示せず)に接続されたマイクロ波導波管8にマイクロ波が供給され、石英管5内に放電を発生させる。別のガス導入管10から、例えばH2を石英管6に導入する。高周波発振器(図示せず)から高周波コイル7に高周波を供給し、石英管6内に放電を発生させる。放電空間の下流側より例えばトリメチルガリウムをガス導入管12より導入することによって、導電膜を設けた不透明導電性基板上に窒化ガリウム半導体を成膜することができる。
【0039】
非晶質になるか、微結晶になるか、あるいは単結晶状になるかは、基板の種類、基板温度、ガスの流量圧力、放電条件に依存する。基板温度は100〜600℃が好ましい。基板温度が高い場合及び/又はIIIA族元素の原料ガスの流量が少ない場合には、微結晶や結晶になりやすい。基板温度が300℃より低い場合には、IIIA族原料ガスの流量が少ない場合に微結晶となりやすく、基板温度が300℃より高い場合には、IIIA族元素の原料ガスの流量が低温条件よりも多くても結晶となりやすい。また、例えばH2放電を行った場合には、行わない場合よりも微結晶化を進めることができる。トリメチルガリウムの代わりに、例えば、インジウム、アルミニウムを含む有機金属化合物を用いることもでき、また混合することもできる。また、これらの有機金属化合物は、ガス導入管11から別々に導入してもよい。
【0040】
また、C、Si、Ge、Snから選択される1以上の元素を含むガス、あるいはBe、Mg、Ca、Zn、Srから選択される1以上の元素を含むガスを放電空間の下流側(ガス導入管11又はガス導入管12)から導入することによってn型、p型等の任意の伝導型の非晶質又は微結晶若しくは結晶の半導体層を得ることができる。Cの場合には条件によっては有機金属化合物の炭素を使用してもよい。
【0041】
上記装置において放電エネルギーにより形成される活性窒素あるいは活性水素を独立に制御してもよく、NH3のような窒素原子と水素原子とを同時に含むガスを用いてもよい。更にH2を加えてもよい。また、前記有機金属化合物から活性水素が遊離生成する条件を用いることもできる。このようにすることによって、導電膜を設けた不透明導電性基板上には活性化されたIIIA族元素の原子、窒素原子が制御された状態で存在し、かつ水素原子がメチル基やエチル基をメタンやエタン等の不活性分子にするため低温にも拘わらず炭素が入らず、膜欠陥が抑えられた非晶質膜又は微結晶膜若しくは結晶膜を生成することができる。
【0042】
上記装置における原料活性化−供給部の活性化方法としては、直流放電、低周波放電、高周波放電、マイクロ波放電、エレクトロンサイクロトロン共鳴方式、ヘリコンプラズマ方式のいずれであってもよく、また加熱フィラメントによるものでもよい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、高周波放電の場合、誘導結合形でも、容量形でもよい。このときの周波数としては、50kHzから100MHzが好ましい。
1つの空間において、2種以上の活性化方法を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起できるようにする必要があり、マイクロ波導波管内(又は高周波導波管内)と石英管内(又は反応器内)とに圧力差を設けてもよい。またこれらの圧力を同一とする場合、異なる原料活性化手段、例えば、マイクロ波放電と高周波放電とを用いることによって活性種の励起エネルギーを大きく変えることができ、これによって膜質を制御することができる。
【0043】
上記半導体層の形成方法は、一般の半導体の形成に比べ、基板温度を低く抑えることができるため、耐熱性の十分でない基板を用いることができる。
本発明においては、反応性蒸着法やイオンプレーティング、リアクティブスパッター等、少なくとも水素が活性化された雰囲気で成膜を行うことも可能である。
【0044】
(その他の部材)
−透明導電性電極−
前記半導体層の上には、前記その他の部材として、透明導電性電極を設けることができる。該透明導電性電極としては、例えば、ITO、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅等の透明導電性材料を用い、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の方法により形成したもの、又はアルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀、銅等の金属あるいはそれらの合金を蒸着やスパッタリングにより半透明になる程度に薄く形成したものが用いられる。
【0045】
図2に、本発明の半導体素子の一例の概略構成図を示す。
図2に示す半導体素子は、基板20上に、導電膜21が形成され、その上に半導体層22及び透明導電性電極23が順次配置されている。
この半導体素子は受光素子であり、バイアスを電極間に印加することによって光電流を出力することができ、無バイアスで光起電流を出力することもできる。特にバンドギャップを調整して、紫外線のみに反応し、可視光下でも半導体素子として使用することや、太陽電池として使用することができる。
上記透明導電性電極と半導体層との間に、暗時の電流注入を抑えダイナミックレンジを広げる目的や応答速度を向上させる目的で、中間層を設けてもよい。この中間層には、AlNやAlxGa(1-x)N、AlxGayInzN等を用いることができる。
【0046】
本発明の半導体素子は、高光感度でかつ光量に対する出力電流の直線性に優れている共にダイナミックレンジが広く、高強度の光までリニアリティを保った出力がされるため、蛍光灯の紫外線量の計測からレーザ出力の測定まで広い範囲で適している。また光起電流も高効率で可能なため、耐光性、耐熱性、及び耐酸化性に優れ、表示面、塗装面、写真や画像の印字された面やカード等に高効率の素子を形成できる。
また、本発明の半導体素子は、基板がどのような材料であっても、優れた電気特性の受光素子や光起電力素子、発光素子等の半導体素子を得ることができる。
【0047】
【実施例】
以下に、本発明の参考例を説明するが、本発明はこれらの参考例に何ら限定されるものではない。尚、半導体層の形成には、図1の装置を用いた。
参考例1
[半導体素子の作製]
不透明導電性基板であるAl基板を洗浄し、スパッター装置にて200nmの厚さの酸化インジウムスズ膜(導電膜:抵抗100Ω□)を作製した。これを基板ホルダー3に載せ、排気口2を介して反応器1内を真空排気後、ヒーター4によりこの基板を350℃に加熱した。
【0048】
2ガスを第1の原料活性化−供給部13のガス導入管9より直径25mmの石英管5内に2000sccm導入し、マイクロ波導波管8を介して2.45GHzのマイクロ波を出力250Wにセットしチューナでマッチングを取り、放電を行った。この時の反射波は0Wであった。一方、H2ガスを第2の原料活性化−供給部14のガス導入管10より直径30mmの石英管6内に500sccm導入し、13.56MHzの高周波放電を行った。高周波電力の出力は100Wであり、反射波は0Wであった。
【0049】
この状態で第2の原料活性化−供給部14のガス導入管12より0℃で保持されたトリメチルガリウム(TMGa)の蒸気を、91kPaに保持された窒素をキャリアガスとして用い、バブリングしながらマスフローコントローラーを通して0.5sccm導入した。更に、第1の原料活性化−供給部13のガス導入管11より50℃で保持されたビスシクロペンタジエニルマグネシウムの蒸気を、窒素をキャリアガスとして用い、バブリングしながらマスフローコントローラーを通して3sccm導入した。この時バラトロン真空計で測定した反応圧力は66.5Paであった。成膜を120分行い、0.2μmの2%MgをドープしたGaN:H層(半導体層)を作製した。
得られたGaN:H,Mg層の上に、直径3mmで透過率50%のAu半透明導電性電極を真空蒸着により形成し、半導体素子(Al/ITO/GaN:H,Mg/Au素子)を作製した。
【0050】
<評価>
得られた半導体素子の暗電流は、0Vで10-10Aであった。30mWのHe−Cdレーザの325nmの光を、直径2mmの光ビームで上記Au電極側に照射したところ、応答は0.1s以下で、光電流は0.4mA流れ、高速でon/offを繰り返したところ、5ケタ以上のダイナミックレンジがあることがわかった。NDフィルターを組み合わせて1mW/cm2まで光量と出力電流の関係を測定した。更に10μW/cm2までをXeランプを分光した定光量照射装置を用いて、光量と出力電流の関係を測定した。その結果、広い範囲で光量と出力電流とが、I=const.×P1.0で完全に一次の関係にあることがわかり、また内部量子効率は0.5を超えていることがわかり、高効率の光起電力素子として使用可能なほか、高感度光検出器として優れた特性を有することがわかった。
【0051】
(比較例1)
参考例1において、導電膜を設けなかった以外は、参考例1と同様の方法により半導体素子(Al/GaN:H,Mg/Au素子)を作製した。
得られた半導体素子について、参考例1と同様な測定を行った。その結果、光量依存性は、I=const.×P0.8であった。光出力と光エネルギーとが一時で比例せず、光量に変換するためには演算が必要であった。この光量依存性のため、低光量では参考例1の半導体素子と同等の光電流が得られたが、高光量では参考例1の半導体素子より低光電流であった。
【0052】
参考例2
参考例1において、不透明導電性基板としてAl基板の代わりにSiウェハーを用いた以外は、参考例1と同様の方法により半導体素子(Si/ITO/GaN:H,Mg/Au素子)を作製した。
得られた半導体素子について、参考例1と同様な測定を行った。その結果、光量依存性は、I=const.×P0.99で完全に光量と一次で比例していることがわかった。
【0053】
参考例3
参考例1において、トリメチルガリウム(TMGa)に加え、窒素ガスをキャリアガスとした20℃で保温されたトリメチルインジウム(TMIn)を2sccm導入し、Ga0.8In0.2N:H、Mg層(半導体層)を形成した以外は、参考例1と同様の方法により半導体素子(Al/ITO/GaInN:H,Mg/Au素子)を作製した。
得られた半導体素子について、参考例1と同様な測定を行った。その結果、広い範囲で光量と出力電流とが、I=const.×P1.0で完全に一次の関係にあることがわかった。分光した光での光電流スペクトルを測定したところ500nmから感度があり、450nmでの内部量子効率は0.8を超えていることがわかり、高効率の光起電力素子として使用可能なほか、高感度光検出器として優れた特性を有することがわかった。
【0054】
参考例4
参考例3において、不透明導電性基板としてAl基板の代わりにSiウェハーを用いた以外は、参考例3と同様の方法により半導体素子(Si/ITO/GaInN:H,Mg/Au素子)を作製した。
得られた半導体素子について、参考例1と同様な測定を行った。その結果、光量依存性は、I=const.×P1.0で完全に光量と一次で比例していることがわかった。
【0055】
参考例5
参考例3において、不透明導電性基板としてAl基板の代わりに、陽極酸化した多孔質膜にCuを封入した着色したAl基板を用いた以外は、参考例3と同様の方法により半導体素子(Al(Cu)/ITO/GaInN:H,Mg/Au素子)を作製した。
得られた半導体素子について、参考例1と同様な測定を行った。その結果、光量依存性は、I=const.×P1.0で完全に光量と一次で比例していることがわかった。自由に着色や画像表示をした基板に高感度の光センサーや太陽電池を作製することができた。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、広範囲の光学ギャップを自由に選べ、高感度で、光量に対する出力電流の直線性がよく、大面積でも安価な太陽電池を提供することができる。更に本発明によれば、高強度の光照射によっても高い感度や効率を示す優れた太陽電池を提供することができる。更に本発明によれば、太陽電池を通して、基板の表面に表示した文字や画像等を見ることができ、また、時計等の装飾品用としても優れた特性を有する太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導体素子の製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の半導体素子の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 反応器
2 排気管
3 基板ホルダー
4 ヒーター
5,6 石英管
7 高周波コイル
8 マイクロ波導波管
9〜12 ガス導入管
13 第1の原料活性化−供給部
14 第2の原料活性化−供給部
20 不透明導電性基板
21 導電膜
22 半導体層
23 透明導電性電極

Claims (2)

  1. 印字あるいは画像が表示されてなる金属基板上に、透明な導電膜を有し、該導電膜上に、Al,Ga及びInから選択される1以上の元素、窒素、及び、水素を含有する半導体層を有することを特徴とする太陽電池
  2. 前記導電膜が、金属酸化物半導体からなる請求項1に記載の太陽電池
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