JP3769921B2 - 半導体受光素子とその製造方法、およびそれを用いた光センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な非単結晶光半導体を用いた半導体受光素子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体受光素子用の光電変換部材として、非晶質や微結晶の非単結晶光半導体が知られいる。例えば、光電変換部材としてセレン、テルルなどの非晶質カルコゲナイド化合物が、撮像管や受光素子や電子写真感光体などに広く用いられてきた(オーム社アモルファス半導体の基礎)。また、近年では水素化アモルファスシリコンが太陽電池やイメージセンサー、Thin Film Transistor、電子写真感光体などに用いられてきた。
【0003】
しかしながら、非晶質カルコゲナイド化合物は、熱に対して不安定で、結晶化が起こり易く、使用できる条件が限られており、価電子制御ができないなどの欠点があった。また、水素化アモルファスシリコンでは、価電子制御が可能でありpn接合や界面での電界効果などが実現でき、耐熱性も250℃程度まであるが、強い光により光導電性が劣化する現象があり(Staebler,Wronski効果:応用物理ハンドブックなど)、例えば、太陽電池に用いた場合に、その効率が使用中に低下するといった問題がある。さらに非晶質や微結晶シリコンのband gapは約1.7〜1.5eV程度であり、太陽光を有効に利用するためや活性領域へ十分な光が到達できるように、GeやCを加えることによってband gapを小さくしたり、広くする等為されている。しかし、これらの元素を加えて3eV程度変化させても光導電特性が大きく劣化し、広い範囲の光を有効に利用できないという問題があった。
【0004】
一方、一般にIII −V族化合物半導体と称されるものの多くは直接遷移型半導体に属するものが多く、光吸収係数が大きく、またバンドギャップをその組成割合により変化させることができる特徴がある。特にN系の化合物はバンドギャップがInNの1.9eVからGaNの3.2eV、AlNの6.5eVまで紫外線から可視領域まで広くバンドギャップを変えることが出来る。これらの結晶については基板としてサファイア基板、GaAs基板、或いはSiC基板が用いられているが、高価であるとともに、格子常数が上記半導体とは適合しないため、そのままで結晶成長が可能な基板がなく、バッファ層の挿入や、基板の窒化処理などが行われている。これらは通常800〜1,100℃で成長が行われているが、このような高温に適合する基板材料が限られるとともに、基板用バルク結晶の大きさが限られ、任意の大面積の膜が得られないという問題があった。さらに光の入出力用としては光の透過に対して不十分なものが多いという問題があった。
【0005】
一方、従来より、測色素子(光センサ)においては、汎色性のある光導電体に色分離フィルターを平面上に並べる方式が広く行われているが、例えばSiなどでは短波長の感度が著しく低下し、紫外領域などでは、シンチレーション等の方法を採ることが必要になり構成が複雑になるとともに、近年急速に開発が進んでいる光インターコネクションのような高密度の情報の伝達においては、その位置ずれと単位画素の大きさが問題となっている。
また、比較的面積の大きい二次元デバイスには、非晶質や結晶材料が適しているが、III −V族化合物の非単結晶材料は、N系も含め光導電性においても実用上使用できるものはなかった。
【0006】
近年、地球の環境問題の最大の問題の一つとして、オゾン層の破壊による地上での紫外線量が増加していることが挙げられる。このため明るい場所でも紫外線量の測定できるいわゆるソーラーブラインド型の紫外線受光素子が望まれている[M.Razeghi and A.Rogalski,J.Appl.Physics,79(1996)7466]。さらに季節変動や気象変動などの影響も含め、全波長全体光量との割合において、簡易に測定できる波長分離受光素子が望まれているが、高感度でかつ低暗電流で高速応答でき、かつ湿度温度などの耐候性に優れたものは存在しなかった。
【0007】
従来、III −V族化合物半導体の非晶質材料を得る為には、III −V族結晶の蒸着やスパッターによって、あるいはIII 族金属を原子状としたものとV族元素を含む分子や活性分子との反応による成膜などが行われていた[H.Reuter,H.Schmitt,M.Boffgen,Thin Solid Films,254(1995)94]。
【0008】
また、III −V族化合物結晶膜は、III 族金属を含む有機金属化合物と、V族元素を含む化合物とを用いて、加熱した基板に作製されていた(有機金属CVD:MOCVD)。これらの方法を用い基板上に結晶作製する場合、600〜1,000℃よりも低い温度に設定することによって非単結晶III −V族化合物が得られている。
しかしながら、この場合、有機金属からの炭素が膜中に残ったり、膜中欠陥準位が多い等の問題により、非晶質III −V族化合物は、光電材料としては機能できるものはなかった。
【0009】
また、非晶質材料や微結晶材料の非単結晶III −V族化合物半導体は、欠陥を水素によりパッシベーションすることが必要であり、このためにも低温での成膜が必要と考えられる。III 族化合物の原料として有機金属化合物を使用した、低温成膜法の一種であるプラズマCVD法によって、非晶質の水素を含むGaP、あるいは微結晶膜のGaNが得られているが光導電性を示さないか、或いは絶縁性であった[J.Knights and R.A.Lujan,J.Appl.Phys.,42(1978)1291]。
【0010】
またプラズマCVD法よって作製した水素化非晶質GaAsについては、10%程度の微小の光導電性しかなく、実用性は不十分なものであり、有機金属化合物をIII 族の原料とするため、非晶質化するための低温成膜では、膜中から炭素の除去が十分でないという問題があった[Y.Segui,F.Carrereand A.Bui,Thin Solid Films,92(1982)303.]。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、必要な波長領域の光情報を同時に、かつ任意に取り出すことが可能で、ゴーストや疲労がなく、高速応答性、耐環境特性、および耐高温度特性を備えた半導体受光素子を提供することにある。
本発明の第2の目的は、紫外領域から可視全域で、高変換効率で光電変換が可能な半導体受光素子を提供することにある。
【0012】
本発明の第3の目的は、広範囲の光学ギャップが自由に選べ、優れた光導電特性、高速応答性、耐環境特性、および耐高温度特性を有し、大面積でも安価な、新しいオプトエレクトロニクス材料となり得る、新規の非晶質や微結晶の非単結晶光半導体を用いた半導体受光素子を提供することにある。
本発明の第4の目的は、上記の特性を有する非晶質や微結晶の非単結晶光半導体を安全に、かつ、低コストで形成することができる半導体受光素子の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1〜3の目的は、光半導体として、光学ギャップが広範囲で任意に選択でき、基板材料の選択性のない、水素を含む、非晶質あるいは微結晶のIII 族元素(本発明において、特に「Al,GaおよびIn」を指す。)のチッ化物を用いることによって達成された。
また、本発明の第4の目的は、従来の非晶質あるいは微結晶III −V化合物の光電子材料としての欠点を、炭素を低温で除去し、膜中の欠陥を水素で補償することが可能な製膜法によって達成された。
【0014】
本発明の半導体受光素子の製造方法によれば、非晶質膜や微結晶膜が成長できる低温でも有機金属から安定分子として有機基が分離し、膜中に取り込まれず、膜成長時に未結合手の欠陥が除去でき、さらに有機基より生成する活性水素あるいは別に加えられた水素及び水素化合物による活性水素が膜成長時に膜表面の炭素を除去する働きにより不純物を極微量まで低減できる。
【0015】
すなわち本発明は、
(1)少なくとも導電性基板上に、Al,Ga およびInの内の少なくとも1以上の元素と、チッ素 と、0.5〜50at%の水素とを含む単一組成の非単結晶光半導体からなる非単結晶光半導体層が形成され、さらにその上に導電性電極が配されてなり、前記非単結晶光半導体層は、前記導電性基板と前記導電性電極との間に設けられた唯一の光半導体層であり、前記導電性電極および前記導電性基板の少なくとも一方が透明または半透明で光の入射が可能であることを特徴とする半導体受光素子である。
(2)前記導電性電極が、透明または半透明であることを特徴とする(1)に記載の半導体受光素子。
(3)前記透明または半透明導電性電極上に透光性支持体を設けた(2)に記載の半導体受光素である。
【0016】
(4)非単結晶光半導体層の赤外吸収スペクトルにおいて、Al,GaまたはIn原子と、N原子との結合の振動吸収位置のピークの半値幅が、300cm -1 以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の半導体受光素子である。
(5)暗抵抗が10 12 Ωcm以上10 15 Ωcm以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の半導体受光素子である。
(6)前記非単結晶光半導体層に含まれる水素が10〜50at%であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の半導体受光素子である。
【0017】
(7)ダイナミックレンジが3桁以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載の半導体受光素子である。
(8)前記非単結晶光半導体は、水素化窒化ガリウムであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1つに記載の半導体受光素子である。
【0018】
(9)前記導電性基板は絶縁性の支持体表面を導電化処理したものであることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1つに記載の半導体受光素子である。
(10)前記非単結晶光半導体中に含まれる、酸素および炭素はそれぞれ15at%以下であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1つに記載の半導体受光素子である。
(11)非単結晶光半導体層の400nmでの吸収係数が、50,000cm -1 以下であることを特徴とする紫外線受光用の(1)〜(10)のいずれか1つに記載の半導体受光素子である。
(12)非単結晶光半導体層の非単結晶の組成において、Al,GaおよびInの元素の量の総和mと、チッ素の量nとの関係が、
0.5:1.0≦m:n≦1.0:0.5
の関係式を満たすことを特徴とする(1)〜(11)のいずれか1に記載の半導体受光素子である。
【0019】
(13)非単結晶光半導体層に、C,Si,Ge,Snからなる群より選ばれる少なくとも1以上の元素、および/または、Be,Mg,Ca,Zn,Srからなる群より選ばれる少なくとも1以上の元素を更に含むことを特徴とする(1)〜(12)のいずれか1に記載の半導体受光素子である。
(14)前記導電性電極は、ITO、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅、Al,Ni,Auによって形成されることを特徴とする(1)〜(13)のいずれか1つ記載の半導体受光素子である。
【0020】
(15)前記導電性基板が透明基板上に透明または半透明導電性電極を設けたものであることを特徴とする(1)〜(14)のいずれか1つ記載の半導体受光素子である。
(16)導電性電極が、ITOからなることを特徴とする(1)〜(15)のいずれか1に記載の半導体受光素子である。
【0021】
(17)前記非単結晶光半導体が、非晶質であることを特徴とする(1)〜(16)のいずれか1つに記載の半導体受光素子である。
(18)(1)〜(17)のいずれか1に記載の半導体受光素子の製造方法であって、
非単結晶光半導体層を、
チッ素を含む化合物および/または水素を反応に必要なエネルギー状態または励起状態に活性化する活性化手段によって、
前記チッ素を含む化合物および/または前記水素を活性種とし、
前記活性種と、活性化していないAl,GaまたはInのうちの1以上の元素を含む有機金属化合物とを反応させることにより形成することを特徴とする半導体受光素子の製造方法である。
【0022】
(19)Al,GaまたはInのうちの1以上の元素を含む有機金属化合物を、チッ素を含む化合物および/または水素を活性化する手段の下流側に導入することを特徴とする(18)に記載の半導体受光素子の製造方法である。
(20)反応を、水素を含む雰囲気中で行うことを特徴とする(18)ないし(19)に記載の半導体受光素子製造方法である。
【0023】
(21)チッ素を含む化合物および/または水素を活性化する手段として、高周波放電及び/又はマイクロ波放電を利用することを特徴とする(18)〜(20)のいずれか1に記載の半導体素子の製造方法である。
(22)反応における基板の温度が100〜600℃の範囲であることを特徴とする(18)〜(21)のいずれか1に記載の半導体素子の製造方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において非単結晶光半導体層とは、下記特定の非単結晶の光半導体からなる層をいう。該非単結晶光半導体層を構成する特定の非単結晶光半導体とは、Al,Ga,Inの少なくとも一つ以上の元素と、チッ素と、水素濃度が0.5〜50at%の水素と、を含む非単結晶光半導体である。尚、本発明において、非単結晶光半導体層は、バンドギャップより高エネルギー側、即ち短波長側に光吸収と光導電性を示し、バンドギャップは可変であり、適宜選択可能である。バンドギャップによっては可視光に透明で、紫外線にのみ感度を有するようにすることもできる。
【0026】
この非単結晶光半導体は、非晶質相であっても微結晶相からなっていても、また微結晶相と非晶質相の混合状態であっても良い。結晶系は立方晶あるいは6方晶系のいずれか一つであっても、複数の結晶系が混合された状態でもよい。
3次元的な構造を維持しながら非晶質構造を実現するためには、III 族元素とチッ素の両方に未結合手が発生する。また、微結晶により3次元的構造を実現するためには、粒界においてIII 族元素とチッ素の両方に未結合手が発生する。この未結合手を補償するために水素を用いることができる。このとき用いる水素は、重水素であってもよい。例えば、このための水素は3族元素とチッ素に結合するようにすることが望ましい。
【0027】
この非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体に含まれる水素が0.5at%未満では、結晶粒界での結合欠陥とあるいは非晶質相内部での結合欠陥や未結合手を水素との結合によって無くし、バンド内に形成する欠陥準位を不活性化するのに不十分であり、結合欠陥や構造欠陥が増大し、暗抵抗が低下し光感度がなくなるため実用的な光導電体として機能することができない。これに対し、非単結晶光半導体に含まれる水素が50at%を超えると、水素がIII 族元素及びV族元素に2つ以上結合する確率が増え、これらの元素が3次元構造を保てず、2次元および鎖状のネットワークを形成するようになり、特に結晶粒界でボイドを多量に発生するため、結果としてバンド内に新たな準位を形成し、電気的な特性が劣化すると共に硬度などの機械的性質が低下する。さらに非単結晶光半導体層が酸化されやすくなり、結果として非単結晶光半導体層中に不純物欠陥が多量に発生することとになり、良好な光電気特性が得られなくなる。
【0028】
また、非単結晶光半導体中の水素が50at%を超えると、電気的特性を制御するためにドープするドーパントを水素が不活性化するようになるため、結果として電気的に活性な非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体が得られない。
水素量についてはハイドジェンフォワードスキャタリング(HFS)により絶対値を測定することができる。また加熱による水素放出量の測定あるいはIRスペクトルの測定によっても推定することができる。
また、これらの水素結合状態は赤外吸収スペクトルによって容易に測定することできる。
【0029】
非単結晶光半導体の組成において、III 族元素(Al,GaおよびIn)の量の総和mと、チッ素の量nとの関係が、
0.5:1.0≦m:n≦1.0:0.5 関係式I
を満たすことが好ましく、この範囲を外れると、III 族元素とV族元素との結合において閃亜鉛鉱(Zincblende)型を取る部分が少なく、欠陥が多くなり、良好な半導体として機能しなくなる場合がある。
【0030】
非単結晶光半導体中には、酸素および炭素は、それぞれ15at%以下であることが好ましく、より好ましくはそれぞれ10at%以下である。酸素が非単結晶光半導体中に多量に含まれると、この酸素原子が3族元素のAl,Ga,Inと安定な結合を形成し、Al,Ga,Inとチッ素による3次元構造を部分的に2次元的柔構造を形成するため、電気的制御のための置換型ドーパントが3次元剛構造の中で電気的に活性な結合配置をとることを妨げることとなり、結果としてpn制御ができなくなる場合がある。一方、炭素が非単結晶光半導体中に多量に含まれると、炭素と水素との結合は、III 族元素としてのAl,Ga,Inと水素との結合より安定であるため水素が炭素と多く結合するようになり、さらに炭素は−CH2−,−CH3結合を取りやすくなり、鎖状構造やボイドの発生により、形成される膜(層)全体として欠陥準位が増えると共に、ドーパントをドープしたときに構造的柔軟性のためpn制御ができない。また、ワイドギャップの膜では、膜が着色して黄色から茶褐色となるため光学的な特性も悪化する。
【0031】
非単結晶光半導体層の光学ギャップは、III 族元素の混合比によって任意に選択することができる。GaN:Hを基準にすると、3.2〜3.5eVより大きくする場合には、Alを加えることによって6.5eV程度まで、また可視域に対しては、Inを加えることによって1.9eV程度まで、それぞれ変化させることができる。
【0032】
非単結晶光半導体層中の各元素組成は、X線光電子分光(XPS)、エレクトロンマイクロプローブ、ラザフォードバックスキャタリング(RBS)、二次イオン質量分析計等の方法で測定することが出来る。
【0033】
ここで非晶質構造と言う場合は、例えば、透過電子線回折パターンにおいて、リング状の回折パターンが全くなく、ぼんやりしたハローパターンの完全に長距離秩序の欠如しているものから、ハローパターンの中にリング状の回折パターンが見られるもの、さらにその中に輝点が見られるものまでの範囲内のものを指す。このような膜は、透過電子線回折より広範囲を観測するX線回折測定においては、ほとんど何もピークは得られないことが多い。
【0034】
また、ここで微結晶と言う場合は、例えば、透過電子線回折パターンにおいて、リング状の回折パターンとともに輝点が多数見られるもの、さらにほとんどスポット状の輝点のみが見られるものの双方を指している。このような膜は、X線回折測定においてはわずかに結晶面に相当するピークが得られるが、多結晶である場合が多いと、ピーク強度が単結晶に比べると弱く、かつ、ピーク幅が単結晶に比べると広いことが多い。
【0035】
さらに赤外吸収スペクトルでは、III 族元素とチッ素との結合の振動吸収ピークの半値幅が、非晶質構造が主体の場合には150cm-1以上であり、微結晶性の場合には100cm-1以下である。この吸収ピーク位置は、例えばC−H結合などが膜中に多く含まれるような膜では300cm-1以上に広がり、この様な膜は本発明の目的には適さない。ここで言う半値幅とは、III 族元素とチッ素元素との結合を主体とする吸収位置での吸収帯における、最高強度からバックグランドを除いた値の1/2の強度部分での吸収帯の幅である。
【0036】
微結晶の大きさは、その粒径として5nmから5μmであり、X線回折や電子線回折および断面の電子顕微鏡写真を用いた形状測定などによって測定することができる。
吸光係数は分光光度計で吸収量を測定し、膜厚で除したものを自然対数系で現したものであり、本発明において、非単結晶光半導体層の400nmの光透過量は、可視光と紫外光の効率よい分離のためには50,000cm-1以下が好ましく、さらに好ましくは20,000cm-1である。これらの値は、ほぼバンドギャップとしては2.8eV以下に相当する。一方、紫外光を十分に吸収し得る為には、非単結晶光半導体層の350nmの光透過量は、100,000cm-1以上であることが好ましい。
【0037】
本発明における非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体の原料としては、Al,Ga,Inのなかから選ばれる一つ以上の元素を含む有機金属化合物を用いることができる。
これらの有機金属化合物としてはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ターシャリーブチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、ターシャリーブチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、ターシャリーブチルインジウムなどの液体や固体を気化して単独にあるいはキャリアガスでバブリングすることによって混合状態で使用することができる。キャリアガスとしては水素,N2,メタン,エタンなどの炭化水素、CF4
,C2F6 などのハロゲン化炭素などを用いることができる。
【0038】
チッ素原料としてはN2,NH3,NF3,N2H4、メチルヒドラジンなど
の気体、液体を気化あるいはキャリアガスでバブリングすることによって使用することができる。
また、本発明における非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体では、p,n制御のために元素を膜中にドープすることができる。
【0039】
ドープし得るn型用の元素としては、Ia族のLi,Ib族のCu,Ag,Au,IIa族のMg,IIb族のZn,IVa族のSi,Ge,Sn,Pb,VIa族のS,Se,Teを挙げることができる。
ドープし得るp型用の元素としては、Ia族のLi,Na,K,Ib族のCu,Ag,Au,IIa族のBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Ra,IIb族のZn,Cd,Hg,IVa族のC,Si,Ge,Sn,Pb,VIa;族のS,Se,Te、VIb族のCr,Mo,W,VIIIa族のFe,Co,Niなどを挙げることができる。
【0040】
膜中の水素は、ドーパントに結合し不活性化しないように、欠陥準位をパッシベーションするための水素が、ドーパントよりもIII 族元素及びチッ素に選択的に結合する必要があり、この点から、n型用の元素としては、特に、Si,Ge,Snが好ましく、p型用の元素としては、特に、Be,Mg,Ca,Zn,Srが好ましい。
【0041】
ドーピングするに際しては、n型用としてはSiH4,Si2H6,GeH4,GeF4,SnH4等を、p型用としてはBeH2,BeCl2,BeCl4,シクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等を、ガス状態で使用できる。またこれらの元素を膜中にドーピングするには、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用することができる。
【0042】
本発明の半導体受光素子における非単結晶光半導体層を構成する、非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体は、次のように形成することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の半導体受光素子を製造するための、非単結晶光半導体層の形成装置の概略構成図であり、プラズマを活性化手段とするものである。
図1中、1は排気して真空にしうる容器、2は排気口、3は基板ホルダー、4は基板加熱用のヒーター、5および6は容器1に接続された石英管であり、それぞれガス導入管9,10に連通している。また、石英管5にはガス導入管11に接続され、石英管6にはガス導入管12が接続されている。
【0043】
この装置においては、チッ素源として、例えば、N2を用い、ガス導入管9から石英管5に導入する。例えば、マグネトロンを用いたマイクロ波発振器(図示せず)に接続されたマイクロ導波管8に2.45GHzのマイクロ波が供給され、石英管5内に放電する。別のガス導入口10から、例えばH2を石英管6に導入する。高周波発振器(図示せず)から高周波コイル7に13.56MHzの高周波を供給し、石英管6内に放電を発生させる。放電空間の下流側に配されたガス導入管12より、例えばトリメチルガリウムを導入することによって、基板ホルダー3にセットされた導電性基板(以下、単に「基板」という場合がある)上に、非晶質あるいは微結晶の非単結晶チッ化ガリウム光半導体を成膜することができる。
【0044】
非晶質になるか、あるいは微結晶になるかは、基板の種類、基板温度、ガスの流量圧力、放電条件に依存する。基板温度は100℃〜600℃が好ましい。基板温度が高い場合、および/または、III 族元素の原料ガスの流量が少ない場合には、微結晶になりやすい。基板温度が300℃より低くIII 族元素の原料ガスの流量が少ない場合には、微結晶となりやすく、基板温度が300℃より高い場合には、低温条件よりもIII 族原料ガスの流量が多い場合でも微結晶となりやすい。また、例えばH2放電を行った場合には、行わない場合よりも微結晶化を進めることができる。トリメチルガリウムの代わりにインジウム、アルミニウムを含む有機金属化合物を用いることもできるし、またこれらを混合することもできる。また、これらの有機金属化合物は、ガス導入管11から別々に導入しても良い。
【0045】
また、C,Si,Ge,Snから選ばれた少なくとも一つ以上の元素を含むガス、あるいはBe,Mg,Ca,Zn,Srから選ばれた少なくとも1つ以上の元素を含むガスを放電空間の下流側(ガス導入管11又はガス導入管12)から導入することによってn型、p型等任意の伝導型の非晶質あるいは微結晶のチッ化物半導体を得ることができる。Cの場合には条件によっては有機金属化合物の炭素を使用してもよい。
【0046】
上述のような装置において放電エネルギーにより形成される活性チッ素あるいは活性水素を独立に制御してもよいし、NH3のようなチッ素と水素原子を同時に含むガスを用いてもよい。さらにH2を加えてもよい。また、有機金属化合物から活性水素が遊離生成する条件を用いることもできる。このようにすることによって、基板上には活性化されたIII 族原子チッ素が、制御された状態で存在し、かつ水素原子がメチル基やエチル基をメタンやエタン等の不活性分子にするため、低温にも拘わらず、炭素がほとんど入らないか、入っても極低量の、膜欠陥が抑えられた非晶質あるいは微結晶膜を形成することができる。尚、水素化アモルファスシリコン膜を得ようとする場合には、チッ素ガスの代わりにクフを用いシラン、ジシラン、トリシラン等のガスを有機金属ガスの代わりに用いれば良い。またプラズマCVD装置を用いてもよい。
【0047】
上述の装置において、活性化手段としては、高周波放電、マイクロ波放電の他、エレクトロサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式であっても良いし、これらを一つ用いても良いし、二つ以上を用いてもよい。また、図1においては高周波放電とマイクロ波放電とを用いたが、2つともマイクロ波放電、或いは共高周波放電であっても良い。さらに2つともエレクトロンサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式を用いても良い。高周波放電により放電する場合、高周波発振器としては、誘導型でも容量型でも良い。このときの周波数としては、50kHzから100MHzが好ましい。
【0048】
異なる活性化手段(励起手段)を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起できるようにする必要があり、放電領域内と成膜部(容器1内)に圧力差を設けても良い。また同一圧力で行う場合、異なる活性化手段(励起手段)、例えば、マイクロ波と高周波放電を用いると、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質制御に有効である。
【0049】
本発明における、以上の非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体の形成方法は、一般の光半導体の形成に比べ、基板温度を低く抑えることができるため、耐熱性の十分でない基板や導電性層(電極)形成用の材料、例えば、ITO等を、導電性基板や、後述の透光性導電性層の形成用の材料として用いることができる。
【0050】
本発明における非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体は、反応性蒸着法やイオンプレーイング、リアクティブスパッターなど、少なくとも水素が活性化された雰囲気で形成することも可能である。
【0051】
本発明で使用する導電性基板としては、基板自体が導電性であっても、絶縁性の支持体表面を導電化処理したものであっても良く、また、結晶であるか非晶質であるかは問わない。基板自体が導電性である導電性基板としては、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、クロム等の金属及びその合金結晶、Si,GaAs,GaP,GaN,SiC,ZnOなどの半導体を挙げることができる。
絶縁性の支持体としては、高分子フィルム、ガラス、石英、セラミック等を挙げることができる。絶縁性の支持体の導電化処理は、上記導電性基板の具体例で挙げた金属又は金、銀、銅等を蒸着法、スパッター法、イオンプレーティング法などにより成膜して行うことができる。
【0052】
光の入射側に配される透明導電性電極としては、ITO、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅等の透明導電性材料を用い、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の方法により形成したものであり、これら透明導電性電極は、非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体層より光学ギャップの大きいものである。あるいはAl,Ni,Au等の金属を蒸着やスパッタリングにより半透明になる程度に薄く形成したものが用いられる。また、透明導電性電極は透明基板上に設けてもよいし、非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体層の上に、これらの透明導電性電極を直接設けてもよい。
【0053】
透明導電性電極上には透光性支持体を設けてもよい。透光性支持体としては、ガラス、石英、サファイア、MgO,LiF,CaF2等の透明な無機材料、弗素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ等の透明な有機樹脂のフィルムまたは板状体、さらにまた、オプチカルファイバー、セルフォック光学プレート等が使用できる。
【0054】
導電性基板上に、前述した方法によって非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体層を形成し、その上に透明導電性電極を設けることにより、本発明の半導体受光素子を得ることができる。
このような構成の半導体受光素子においては、透明導電性電極と導電性基板の間に電圧を印加することによって、光電流を取り出すことができる。この時印加する電圧は、直流でも交流でも良い。
【0055】
本発明の半導体受光素子は、後述する実施例1〜3に示されるように、単一組成の非単結晶半導体からなる非単結晶光半導体層が唯一の光半導体層として設けられたものである。なお、参考までに述べれば、単一組成の非単結晶半導体からなる非単結晶光半導体層を含む2層以上の半導体層を備えた積層型の半導体受光素子を作製することもできる。
積層型の半導体受光素子とするためには、以下のような構成とする。
【0056】
導電性基板上に、最も光学ギャップの小さい光半導体からなる第一の光半導体層(本発明にいう非単結晶光半導体層であるか否かは不問)を形成し、その上に第一の光半導体層より光学ギャップの大きい導電層あるいは半透明導電層(透光性導電性層)を電極として形成する(第一の透明導電性中間電極)。この上に絶縁性かつ透明な分離層、あるいは実質的に光電流に寄与しない光半導体層を設け、さらに透光性導電性層を電極として設ける(第二の透明導電性中間電極)。この透光性電極の上に、さらに前記光半導体より光学ギャッブの大きい別の光半導体からなる第二の光半導体層(本発明にいう非単結晶光半導体層であるか否かは不問)を形成し、その上に第二の光半導体層より光学ギャッブの大きい透光性導電性層を電極(第三の透明導電性中間電極、または透明導電性電極)として形成する。このような方法で、分離して出力を取り出すべき波長の数だけ光半導体層、透光性導電性層等を積層することにより、色分離可能な光学受光素子を得ることができる。
【0057】
この時、光半導体層の形成に、本発明における非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体を用いることで、光学ギャップが広範囲で任意に選択でき、色分離を極めて緻密かつシャープに行うことができる。尚、透光性導電性層間に分離層を設けず、1つの透光性導電性層を、上下の光半導体層の共用の透明導電性中間電極とすることもできる。
【0058】
このように、光の入射側から、順次光学ギャップが小さくなるように光半導体層および透明導電性中間電極を設けることにより、入射した光が上層から順に光半導体層に受光され、起電力を生じ、小さな面積で有効に光分離することのできる半導体受光素子を得ることができる。
【0059】
透光性導電性層(透明導電性中間電極)は、前述の透明導電性電極と同様にして形成することができる。
分離層は、絶縁性のSiO2 、Al2 O3 、Si3 N4 等、当該分離層の上層に設けられる光半導体層より光学ギャップが大きいか、あるいは同等のものとすることができる。また、本発明に用いられる非単結晶光半導体で、分離層の上層に設けられる光半導体層より光学ギャップが大きく、かつ抵抗が高いものが使用できる。特に本発明に用いられる非単結晶光半導体が好ましい。
【0060】
このような構成の受光素子の透明導電性電極−透明導電性中間電極間、各透明導電性中間電極間、および透明導電性中間電極−電極間導電性基板間に電圧を印加することによって、光電流を取り出すことができる。この時印加する電圧は、直流でも交流でも良い。
【0061】
図2は、本発明の半導体受光素子の構成を示すものである。
図2に示す半導体受光素子は、導電性基板20上に、本発明にいう非単結晶光半導体層である光半導体層21が形成され、その上に透明導電性電極22が配置されている。
このような構成とすることにより、半導体受光素子を得ることができる。特にバンドギャップを調整して、紫外線のみに反応し、可視光下でも問題なく使用できる半導体受光素子を得ることもできる。
【0062】
図3は、本発明の半導体受光素子に用いられる単一組成の非単結晶半導体からなる非単結晶光半導体層を含む2層以上の半導体層を備えた積層型(2層型)の半導体受光素子の一例を参考として示すものである。
図3に示す半導体受光素子は、導電性基板30上に、第一の光半導体層31aが形成され、その上に第一の透明導電性中間電極(透光性導電性層)33、分離層34、第二の透明導電性中間電極33'が順次形成され、その上に本発明にいう非単結晶光半導体層である第二の光半導体層31bが形成され、さらにその上に透明導電性電極32が配置されている。この時、第一の光半導体層31aは、光学ギャップが第二の光半導体層31bより小さければ、本発明にいう非単結晶光半導体層であるか否かは問わない。
【0063】
このような構成とすることにより、光半導体層31aおよび31bに対応した光を分離することができる。即ち、光の入射側である透明導電性電極32の側から入ってきた光については、第二の光半導体層31bが吸収し得る光のみが受光され、透明導電性電極32および第二の透明導電性中間電極33’間に電圧をかけることにより、光電流を取り出すことができる。さらに、吸収されなかった光のみが第一の光半導体層31aまで入射し、第一の光半導体層31aが吸収し得る光のみが受光され、第一の透明導電性中間電極33および導電性基板30間に電圧をかけることにより、光電流を取り出すことができる。
【0064】
図4は、本発明の半導体受光素子に用いられる単一組成の非単結晶半導体からなる非単結晶光半導体層を含む2層以上の半導体層を備えた積層型(3層型)の半導体受光素子の一例を参考として示すものである。
図4に示す半導体受光素子は、図3に示す半導体受光素子に、さらにもう一組の光半導体層、および、分離層を介した2層の透明導電性中間電極を設けたものである。具体的には、導電性基板40から順に、第一の光半導体層41a、第一の透明導電性中間電極43a、中間層44a、第二の透明導電性中間電極43a'、第二の光半導体層41b、第三の透明導電性中間電極43b、中間層44b、第四の透明導電性中間電極43b'、および第三の光半導体層41cが形成され、さらにその上に透明導電性電極42が配置されている。
【0065】
この時、第一の光半導体層41aおよび第二の光半導体層41bは、光学ギャップが第三の光半導体層41cより小さければ、本発明にいう非単結晶光半導体層であるか否かは問わない。また、光学ギャップは、第三の光半導体層41c、第二の光半導体層41b、第一の光半導体層41aの順に小さくなるように配置する。
【0066】
このような構成とすることにより、光半導体層41a、41bおよび42cに対応した光を分離することができる。その光の分離のメカニズムは、図3に示す半導体受光素子と同様である。
参考として例示した積層型の半導体受光素子は、以上に示す2層および3層型に限定されるものではなく、分離して出力を取り出そうとする光の波長の数に合わせて、何層でも積層したものとすることができる。
【0067】
以上、参考として例示した積層型の半導体受光素子における光半導体層のうち、本発明にいう非単結晶光半導体層以外の別の光半導体層に関しては、可視光を吸収するものであっても、紫外光を吸収するものであっても構わない。非単結晶光半導体層以外の別の光半導体層としては、従来公知の光半導体からなる層とすることができる。使用可能な光半導体としては、例えば、水素化アモルファスシリコン、セレン、セレンヒ素、テルル、結晶シリコン等が挙げられ、このなかでも、特に耐熱性、化学的安定性、および光感度の点で水素化アモルファスシリコンを用いることが好ましい。かかる別の光半導体層は、従来公知の方法により形成することができる。
【0068】
透明導電性電極と光半導体の間および/または中間電極と光半導体の間および/または導電性基板と光半導体の間に、暗時の電流注入を抑えダイナミックレンジを広げる目的や応答速度を向上させる目的で中間層を設けてもよい。この中間層にはAlNやAlxGa(1-x)N,AlxGayInzNなどを用いることが
できる。
【0069】
また光学ギャップの異なるAl,Ga,Inの少なくとも一つ以上の元素とチッ素と水素を含む非単結晶層の組成や膜厚の制御は、原料ガスとキャリアガスとの濃度を変える、流量を変える、成膜時間を変える、或いは、放電のエネルギーを変える等により行うことができる。膜厚の制御に対しては成膜時間の制御によるものが好ましい。
上記各光半導体層(非単結晶光半導体層およびそれとは別の光半導体層のいずれをも含む)は、Al,Ga,Inの少なくとも一つ以上の元素とチッ素と水素を含むn型あるいはp型の非単結晶光半導体からなるものでもよいし、さらに高濃度のドーピングを行った膜p+あるいはn+層、或いは、低濃度のドーピングを行った膜p−あるいはn−層を挿入しても良い。
【0070】
これらの非単結晶光半導体のAl,Ga,Inの元素の量の総和mと、チッ素の量nとの関係は、
0.5:1.0≦m:n≦1.0:0.5 関係式I
を満たすことが好ましい。さらに透明性や障壁の形成のために,これらのp型、i型、n型の各層は、それぞれ異なるAlxGayInz(x=0〜1.0,y
=0〜1.0,z=0〜1.0)で表すことができるAl,Ga,およびInとNとの組成であってもよいし、p型、i型、n型それぞれの膜が複数のAlxGayInzN:H(x=0〜1.0,y=0〜1.0,z=0〜1.0)の組成
から成っていてもよい。
【0071】
本発明における、少なくともAl,Ga,Inの一つ以上の元素とチッ素を含む非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶光半導体は、従来の非晶質あるいは微結晶からなる非単結晶半導体に無い光電変換機能を、全波長領域で持たせることができるため、光入力が赤色から紫外までの全領域で可変となる。
【0072】
また、かかる非単結晶光半導体を用いた本発明の半導体受光素子は、耐光性、耐熱性、および耐酸化性に優れ、高速応答が可能であるほか、高光透過性、高光感度および高速応答性に優れているので、電子デバイスを組み合せたハイブリッドデバイスにも使用できる。さらに前記光半導体単独の場合はもとより、様々な組み合わせにより、光入力波長の異なる可視から紫外域までの幅広い光の有効利用と、光入力の波長多重化が可能となり、同時に取り扱える情報量を飛躍的に増加することができ、二次元光情報処理素子、光インターコネクト用素子などとしても使用することができる。
【0073】
以上の如き積層型の半導体受光素子を、光センサとして利用した場合の一例を、参考として図5および図6を用いて説明する。図6は本例の光センサの平面図を表し、図5はその模式断面図である。
図5および図6の光センサは、図4に示す半導体受光素子を用いて作製したものである。但し、導電性基板40は、ガラス製の透明基板40b上に透明導電性層40aを形成したものを用い、導電性基板側40からも露光(Hν)できるようにしている。
【0074】
この導電性基板40の透明導電性層40a上に、赤色用としての、バンドギャップが1.6eVから1.9eVの光半導体層41aを、円形のマスクを用いて形成し、その上に、透明導電性中間電極43aを導電性基板40(基板電極)に接触しないように設け、その上に分離層43a’を電極端子R1を設けるスペースを残して形成する。さらにこの上に同様に、緑用および青用の光半導体層41bおよび41cを透明導電性中間電極43b、43b’と分離層44bとを設けつつ、電極端子G2、G1、B2を設けるスペースを残し、かつ重ならないように、適宜マスクを用いて形成する。その上に透明導電性電極42を配置し、そして、図5および図6に示すように、各電極に電極端子B1、B2、G1、G2、R1、およびR2を設けることにより、光センサが構成される。
【0075】
このような構成の光センサは、電極端子B1とB2との間、電極端子G1とG2との間、電極端子R1とR2との間に、それぞれ電圧を印加するとともに、光電流を取り出すことができる。
【0076】
【実施例】
〔実施例1〕
半導体受光素子を、前述の図1の装置を用いて作製した。
まず、Al基板、石英基板、Siウェハーをそれぞれ洗浄し、これらを基板ホルダー3に並べて載せた。排気口2を介して容器1内を真空排気後、ヒーター4によりこれら基板を250℃に加熱した。
【0077】
N2ガスをガス導入管9より直径25mmの石英管5内に1,000sccm導入し、マイクロ波導波管8を介して2.45GHzのマイクロ波を出力250Wにセットし、チューナでマッチングを取り放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
H2ガスはガス導入管10より直径30mmの石英管6内に100sccm導入した。13.56Hzの高周波の出力は200Wにセットした。反射波は0Wであった。
【0078】
この状態でガス導入管12より0℃に保持されたトリメチルガリウム(TMGa)の蒸気を水素をキャリアガスとして用い、バブリングしながらマスフローコントローラーを通して4sccm導入した。この時バラトロン真空計で測定した反応圧力は0.5Torrであった。成膜を30分行い0.5μmのa−GaN:H膜を形成した。
【0079】
石英基板上に形成されたa−GaN:H膜の組成を、RBS(ラザフォード・バック・スキャタリング)を用いて測定したところ、Ga/N比0.9であり、ほぼ化学量論比となっていた。このとき炭素(C)は5at%以下であり、酸素(O)は検出できなかった。また、HFSにより水素を測定したところ、25at%であった。
【0080】
Siウェハー上に形成されたa−GaN:H膜の組成を、IRスペクトル測定したところ、水素はGa−H,N−HとしてこのGaN膜中に含まれていた。またGa−N吸収は200cm-1でブロードであり非晶質であることがわかった。さらに、電子線回折スペクトルを測定したところ、ハローパターンしか検出できず非晶質であることを示していた。光学ギャップは3.2eVであった。400nmでの光吸収係数は9,100cm-1であった。
【0081】
Al基板上に形成されたa−GaN:H膜のさらに上に、Auからなる、透過率50%の半透明導電性電極を真空蒸着することにより形成し、本発明の半導体受光素子を得た。
【0082】
得られた半導体受光素子の暗抵抗を測定したところ10+15Ωcmであった。He−Cdレーザの325nmの光を透明導電性電極側に照射したところ、応答は0.1s以下で、光電流は1μA流れ、高速でon/offを繰り返したところ3ケタ以上のダイナミックレンジがあることがわかった。また、光量と出力電流はほぼ一次の関係にあり、また連続照射においても出力は安定で、光検出器として十分使用可能であることがわかった。かかる光検出器は、紫外光を含まない光源のもとでは応答せず、強い可視光の存在下であっても紫外光の検出が可能であった。
【0083】
〔比較例1〕
実施例1と基板温度を30℃とした以外は同じ条件で成膜を行った。成膜を30分行い1.0μmのGaN:H膜を作製した。実施例1と同様にして、各種組成および物性を測定すると、水素濃度は55at%であり、水素はGa−H,N−HとしてこのGaN膜中に含まれていた。またGa−N吸収は320cm -1 でブロードであり、有機化合物的な非晶質膜であることがわかった。得られたGaN:H膜は、大気中に放置することによってIRスペクトルが変化し、また吸収スペクトルも変化してしまい、半導体受光素子に適用するには不適であることがわかった。
【0084】
〔実施例2〕
Al基板、石英基板、Siウェハーについて、実施例1と同じ基板の条件で、ガス導入管12より30℃に保持したトリメチルインジウム(TMIn)にH2 ガスを圧力760Torrで導入し、マスフローコントローラーを通して3sccm反応領域に導入した。この状態でガス導入管11より0℃で保持されたトリメチルガリウム(TMGa)の蒸気を水素をキャリアガスとして用い、バブリングしながらマスフローコントローラーを通して3sccm導入した。この時バラトロン真空計で測定した反応圧力は0.5Torrであった。成膜を30分行い0.5μmのInGaN:H膜を作製した。
【0085】
実施例1と同様にして、各種組成および物性を測定した。石英基板上に形成されたInGaN:H膜の組成は(In+Ga)/N比1.1でほぼ化学量論化となっていた。In/Ga濃度比は0.4/0.6であった。また、HFS測定により水素を測定したところ、20at%であった。
【0086】
Siウェハー上に形成されたInGaN:H膜の組成を、IRスペクトル測定したところ、水素はGa−H,In−H,N−HとしてこのGaN膜中に含まれていた。また、InGa−N吸収は180cm-1でブロードであり非晶質であることがわかった。光学ギャップは2.0eVであった。400nmでの光吸収係数は250,000cm-1であった。
Al基板上に形成されたa−GaN:H膜のさらに上に、Auからなる、透過率50%の半透明導電性電極を真空蒸着することにより形成し、本発明の半導体受光素子を得た。
【0087】
得られた半導体受光素子の暗抵抗を測定したところ3×1012Ωcmであった。Xeランプ光を分光器で中心波長500nmで分光し照射したところ、光電流は200μA流れ、高速でon/offを繰り返したところ3ケタ以上のダイナミックレンジがあることがわかった。また、光量と出力電流は一次の関係にあり、また連続照射においても出力は安定で、光検出器として十分使用可能であることがわかった。かかる光検出器は、可視光の検出が可能であった。
【0088】
〔実施例3〕
半導体受光素子を、前述の図1の装置を用いて作製した。
まず、Al基板、石英基板、Siウェハーをそれぞれ洗浄し、これらを基板ホルダー3に並べて載せた。排気口2を介して容器1内を真空排気後、ヒーター4によりこれら基板を300℃に加熱した。
【0089】
N2ガスをガス導入管9より直径25mmの石英管5内に1,000sccm導入し、マイクロ波導波管8を介して2.45GHzのマイクロ波を出力300Wにセットし、チューナでマッチングを取り放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
H2ガスはガス導入管10より直径30mmの石英管6内に1,000sccm導入した。13.56Hzの高周波の出力は200Wにセットした。反射波は0Wであった。
【0090】
この状態でガス導入管12より−10℃に保持されたトリメチルガリウム(TMGa)の中に圧力760Torrの窒素を導入し、直接マスフローコントローラーを通して2sccm導入した。この時、バラトロン真空計で測定した反応圧力は0.5Torrであった。成膜を30分行い0.1μmのGaN:H膜を作製した。
【0091】
実施例1と同様にして、各種組成および物性を測定した。該GaN:H膜の組成はGa/N比1.0で化学量論比となっていた。水素は10at%であった。IRスペクトルから水素はGa−H,N−HとしてこのGaN膜中に含まれていた。またGa−N吸収は80cm-1でシャープであり、微結晶性であることがわかった。電子線回折スペクトルではスポットパターンが検出でき、微結晶であることを示していた。光学ギャップは3.0eVであった。400nmでの光吸収係数は12,500cm-1であった。
Al基板上に形成されたa−GaN:H膜のさらに上に、Auからなる、透過率50%の半透明導電性電極を真空蒸着することにより形成し、本発明の半導体受光素子を得た。
【0092】
得られた半導体受光素子の暗抵抗を測定したところ10+12Ωcmであった。He−Cdレーザの325nmの光を透明導電性電極側に照射したところ、応答は0.1s以下で、光電流は100μA流れ、明抵抗は10+6Ωcm台までになった。高速でon/offを繰り返したところ3ケタ以上のダイナミックレンジがあることがわかった。また光量と出力電流はほぼ一次の関係にあり、また連続照射においても出力は安定で、受光素子として十分使用可能であることがわかった。かかる受光素子は、紫外光を含まない光源のもとでは応答せず、強い可視光の存在下であっても紫外光の検出が可能であった。
【0093】
〔参考例1〕
図3に示す構成の2層型の半導体受光素子を作製した。
基板温度を350℃にしたこと以外は実施例2と同じ条件でInGaN:H膜(第一の光半導体層31a)をAl基板(導電性基板30)の上に形成し、第一の透明導電性中間電極33として、ITO膜をスパッター法にて0.1μm形成した。この上に実施例3と同様の条件で、時間のみを変えて0.05μmのGaN:H膜を分離層34として形成し、さらにこの上にITO膜をスパッター法にて0.1μm形成し第二の透明導電性中間電極33'とした。この上に実施例3と同じ条件で0.5μmのGaN:H膜(第二の光半導体層31b)を形成した。この上にITO膜をスパッター法にて0.1μm形成し上部電極(透明導電性電極32)とし、2層構成の半導体受光素子を得た。
【0094】
得られた半導体受光素子の上部電極(透明導電性電極32)と第二の透明導電性中間電極33’との間(A)、および、第一の透明導電性中間電極33と導電性基板30との間(B)に、それぞれ電圧を印加し、流れる電流を測定した(Aに印加した時に流れる電流をIA,Bに印加した時に流れる電流をIBとする)
。
【0095】
波長300nmの光を照射したところIAに50μAの電流が流れ、IBには電流は流れなかった。また、500nmの光を照射したところIAには電流は流れず、IBに100μAの電流が流れ、紫外線と可視光とを分離することができた。
【0096】
〔参考例2〕
図4に示す構成の3層型の半導体受光素子を作製した。
実施例1と同様のAl基板(導電性基板40)の上に、41a〜41cの光半導体層、43a、43a'、43b、43b'の透明導電性中間電極、44a、44bの分離層をそれぞれ図4に記載の順番で形成し、最上層に42の透明導電性電極を形成した。具体的には、以下の構成とした。
【0097】
(光半導体層41a)
水素ガスをキャリアガスとしたTMInの流量を3sccmとし、TMGaの流量を0.5sccmとした他は、実施例2と同様にして、In0.9Ga0.1 N:Hの組成比である光半導体層41aを形成した。
【0098】
(光半導体層41b)
実施例2における光半導体層の形成と同様にして、In0.4Ga0.6N:Hの組成比である光半導体層41bを形成した。
【0099】
(光半導体層41c)
水素ガスをキャリアガスとしたTMInの流量を0.6sccmとし、TMGaの流量を2.5sccmとした他は、In0.2Ga0.8N:Hの組成比である光半導体層41aを形成した。
【0100】
(分離層44a、44b)
実施例4における分離層34の形成と同様にして、分離層44a、44bをそれぞれ形成した。
【0101】
(透明導電性中間電極43a、43a’、43b、43b’、および透明導電性電極)
それぞれITO膜をスパッター法にて0.1μm形成し、透明導電性中間電極43a、43a’、43b、43b’、および透明導電性電極とした。
【0102】
得られた半導体受光素子の透明導電性電極42と第四の透明導電性中間電極43b’との間(A)、第三の透明導電性中間電極43bと第二の透明導電性中間電極43a’との間(B)、および、第一の透明導電性中間電極43aと導電性基板40との間(C)に、それぞれ電圧を印加し、流れる電流を測定した(Aに印加した時に流れる電流をIA,Bに印加した時に流れる電流をIB、およびCに印加した時に流れる電流をICとする)。
【0103】
波長450nmの青色光を照射したところIAに50μAの電流が流れ、IB
およびICには電流は流れなかった。波長500nmの緑色光を照射したところIBに100μAの電流が流れ、IAおよびICには電流はほとんど流れなかった。さらに波長610nmの赤色光を照射したところIAおよびIBには電流は流れず、ICに40μAの電流が流れた。本発明の3層型の半導体受光素子は、このように波長450nmの青色光、波長500nmの緑色光、波長610nmの赤色光を独立に、同時に、かつ高精度で分離測定することができ、光センサとして使用可能なものであった。
【0104】
【発明の効果】
本発明の半導体受光素子は、必要な波長領域の光情報を、同時に、かつ任意に取り出すことが可能で、ゴーストや疲労のなく、高速応答性、および経時安定性に優れ、耐環境特性や耐高温度特性を備え、また紫外から可視領域の全域での光電変換が、高変換効率で可能である。
さらに、本発明の半導体受光素子は、広範囲の光学ギャップが自由に選べ、優れた光導電特性、高速応答性、耐環境特性、および耐高温度特性を有し、大面積でも安価な新規の非晶質や微結晶の非単結晶光半導体を用いており、かかる非単結晶光半導体を安全に、かつ、低コストで形成することができる半導体受光素子の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導体受光素子を製造するための装置の好ましい一例を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の半導体光受光素子の構成例を示す拡大断面図である。
【図3】 参考例の2層型の半導体光受光素子の構成例を示す拡大断面図である。
【図4】 参考例の3層型の半導体光受光素子の構成例を示す拡大断面図である。
【図5】 参考例の3層型の半導体光受光素子を利用した光センサの一例を示す模式断面図である。
【図6】 参考例の3層型の半導体光受光素子を利用した光センサの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1:容器
2:排気口
3:基板ホルダー
4:ヒーター
5、6:石英管
7:高周波コイル
8:マイクロ導波管
9〜12:ガス導入管
20、30、40:導電性基板
21、31、41:光半導体層
22、32、42:透明導電性電極
33、43:透明導電性中間電極(透光性導電性層)
34、44:分離層
B1、B2、G1、G2、R1、R2:電極端子
Claims (22)
- 少なくとも導電性基板上に、Al,Ga およびInの内の少なくとも1以上の元素と、チッ素 と、0.5〜50at%の水素とを含む単一組成の非単結晶光半導体からなる非単結晶光半導体層が形成され、さらにその上に導電性電極が配されてなり、前記非単結晶光半導体層は、前記導電性基板と前記導電性電極との間に設けられた唯一の光半導体層であり、前記導電性電極および前記導電性基板の少なくとも一方が透明または半透明で光の入射が可能であることを特徴とする半導体受光素子。
- 前記導電性電極が、透明または半透明であることを特徴とする請求項1に記載の半導体受光素子。
- 前記透明または半透明導電性電極上に透光性支持体を設けた請求項2に記載の半導体受光素。
- 非単結晶光半導体層の赤外吸収スペクトルにおいて、Al,GaまたはIn原子と、N原子との結合の振動吸収位置のピークの半値幅が、300cm-1以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体受光素子。
- 暗抵抗が10 12 Ωcm以上10 15 Ωcm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体受光素子。
- 前記非単結晶光半導体層に含まれる水素が10〜50at%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体受光素子。
- ダイナミックレンジが3桁以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体受光素子。
- 前記非単結晶光半導体は、水素化窒化ガリウムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体受光素子。
- 前記導電性基板は絶縁性の支持体表面を導電化処理したものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の半導体受光素子。
- 前記非単結晶光半導体中に含まれる、酸素および炭素はそれぞれ15at%以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体受光素子。
- 非単結晶光半導体層の400nmでの吸収係数が、50,000cm-1以下であることを特徴とする紫外線受光用の請求項1〜10のいずれか1つに記載の半導体受光素子。
- 非単結晶光半導体層の非単結晶の組成において、Al,GaおよびInの元素の量の総和mと、チッ素の量nとの関係が、
0.5:1.0≦m:n≦1.0:0.5
の関係式を満たすことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載の半導体受光素子。 - 非単結晶光半導体層に、C,Si,Ge,Snからなる群より選ばれる少なくとも1以上の元素、および/または、Be,Mg,Ca,Zn,Srからなる群より選ばれる少なくとも1以上の元素を更に含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1に記載の半導体受光素子。
- 前記導電性電極は、ITO、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅、Al,Ni,Auによって形成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つ記載の半導体受光素子。
- 前記導電性基板が透明基板上に透明または半透明導電性電極を設けたものであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つ記載の半導体受光素子。
- 導電性電極が、ITOからなることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1に記載の半導体受光素子。
- 前記非単結晶光半導体が、非晶質であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の半導体受光素子。
- 請求項1〜17のいずれか1に記載の半導体受光素子の製造方法であって、
非単結晶光半導体層を、
チッ素を含む化合物および/または水素を反応に必要なエネルギー状態または励起状態に活性化する活性化手段によって、
前記チッ素を含む化合物および/または前記水素を活性種とし、
前記活性種と、活性化していないAl,GaまたはInのうちの1以上の元素を含む有機金属化合物とを反応させることにより形成することを特徴とする半導体受光素子の製造方法。 - Al,GaまたはInのうちの1以上の元素を含む有機金属化合物を、チッ素を含む化合物および/または水素を活性化する手段の下流側に導入することを特徴とする請求項18に記載の半導体受光素子の製造方法。
- 反応を、水素を含む雰囲気中で行うことを特徴とする請求項18ないし19に記載の半導体受光素子製造方法。
- チッ素を含む化合物および/または水素を活性化する手段として、高周波放電及び/又はマイクロ波放電を利用することを特徴とする請求項18〜20のいずれか1に記載の半導体素子の製造方法。
- 反応における基板の温度が100〜600℃の範囲であることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1に記載の半導体素子の製造方法。
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