JP4106827B2 - ポリウレタンウレア系樹脂の製造方法、及び合成皮革・弾性糸用ポリウレタンウレア系樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーと、アミン系などの鎖延長剤とを反応させて得られるポリウレタンウレア系樹脂の製造方法、及び合成皮革・弾性糸用ポリウレタンウレア系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオキシテトラメチレングリコールやポリエステルポリオールといった高分子量ポリオールとイソシアネート化合物とを反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーとし、このプレポリマーを溶媒中で鎖延長剤と反応させて樹脂溶液を調製した後(いわゆる溶液重合法)、この樹脂溶液を加工処理して合成皮革用又は弾性糸用ポリウレタン系/ポリウレタンウレア系樹脂を製造することが知られている。
【0003】
そして、上記溶液重合法で製造されるポリウレタン系/ポリウレタンウレア系樹脂は、高弾性、高伸び、高耐久性などの特徴から伸縮性のある衣料生地用の弾性繊維などとして使用されている。
【0004】
このとき、製品の物性、成形性、経済性などの理由から、上記ポリオールはブレンドの形態で用いられることも多く、米国特許No5,691,441及び米国特許No5,648,447には、低不飽和度のポリオキシプロピレンポリオールとポリオキシテトラメチレンポリオールとの混合物をポリイソシアネートと反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを得ることが記載されている。また、米国特許No5,723,563、特表平8−511297(WO94129360)には低不飽和度のポリオキシプロピレンポリオールを単独で使用することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、ポリウレタン系弾性繊維は、他の繊維素材と比較して弾性に富むことから多くの用途に用いられているが、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリエステルポリオール等を使用した場合、その結晶性のため天然ゴム等のゴム材料と比べると伸張後の回復性に劣るという欠点があった。また、ポリオキシプロピレンポリオールを単独又は他のポリオールと混合して使用した場合、回復性は改良されるものの充分ではなく、また、耐熱性が低下するという欠点があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、伸張後の回復性及び耐熱性を大幅に改良したポリウレタンウレア系樹脂の製造方法、及び合成皮革・弾性糸用ポリウレタンウレア系樹脂を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によるポリウレタンウレア系樹脂の製造方法の1つは、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの少なくとも一部のイソシアネート基がブロック化されてなるブロック化プレポリマー(a)と、鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)とを溶媒中で反応させた後、溶媒を除去して熱処理を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明によるポリウレタンウレア系樹脂の製造方法のもう1つは、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの少なくとも一部のイソシアネート基がブロック化されてなるブロック化プレポリマー(a)と、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(d)と、鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)とを溶媒中で反応させた後、溶媒を除去して熱処理を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明によるポリウレタンウレア系樹脂の製造方法のさらにもう1つは、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(d)と、鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)とを溶媒中で反応させ、さらにこの反応液に、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの少なくとも一部のイソシアネート基がブロック化されてなるブロック化プレポリマー(a)を混合した後、溶媒を除去して熱処理を行うことを特徴とする。
【0011】
上記各製造方法においては、前記ブロック化プレポリマー(a)が、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得た後、ブロック化剤を反応させて得られるものであることが好ましい。
【0012】
また、前記高分子量活性水素化合物の少なくとも一部が、総不飽和度0.07以下、かつ水酸基価70以下のポリオキシプロピレン系ポリオールであることが好ましい。
【0013】
更に、前記ポリオキシプロピレン系ポリオールが、開始剤及び複合金属シアン化錯体触媒の存在下で、アルキレンオキシドを反応させて得られるものであることが好ましい。
【0014】
また、本発明の合成皮革・弾性糸用ポリウレタンウレア系樹脂は、上記各製造方法によって得られたものであることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの少なくとも一部のイソシアネート基がブロック化されてなるブロック化プレポリマーを、溶液重合の前後又はそのいずれかの段階で添加し、溶媒を除去した後に熱処理してブロックをはずし、イソシアネート基による架橋反応を完結させることにより、伸張後の回復性及び耐熱性に優れたポリウレタンウレア系樹脂を得ることができる。したがって、このポリウレタンウレア系樹脂を合成皮革や弾性糸の材料として用いることにより、伸縮性に富み、染色等がしやすい製品を提供することができる。
【0016】
【発明の実施形態】
本発明において、「ポリウレタンウレア系樹脂」とは、鎖延長剤として主にジアミン化合物を用いて作られる「ポリウレタンウレア樹脂」を指す。
【0017】
本発明において、高分子量活性水素化合物としては、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレングリコール(以下、PTMGという)などのポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール(以下、PESという)、ポリカーボネートポリオール等を使用することができる。また、これらポリオールの水酸基価は、5〜70であることが好ましく、10〜70であることがより好ましく、10〜60であることが特に好ましい。水酸基価が70を超えると、充分な柔軟性が得られず、5未満であると充分な強度が得られないため好ましくない。
【0018】
上記ポリオキシアルキレンポリオールとしては、水酸基価70以下、総不飽和度0.07以下、オキシプロピレン基含有量が70重量%以上のポリオキシプロピレン系ポリオールが好ましく、場合によっては他のポリオキシアルキレンポリオールと併用してもよい。また、ポリオキシプロピレン系ポリオールの水酸基価が比較的高い(例えば、水酸基価が28〜70)場合は、総不飽和度は0.02以下であることが特に好ましい。総不飽和度がこれより高い場合には、残留タックの増大、強度の低下等が起こるため好ましくない。さらに、オキシプロピレン基含有量は、85重量%以上であることが特に好ましい。
【0019】
上記ポリオキシプロピレン系ポリオールは、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、複合金属シアン化物錯体等を触媒に用いて、多官能の開始剤にモノエポキシドを反応させて得ることができる。
【0020】
上記触媒としては、複合金属シアン化物錯体を使用することが特に好ましい。なかでも亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、特にそのエーテル及び/又はアルコール錯体が好ましい。その組成は、本質的に特公昭46−27250号公報に記載されているものを使用することができる。
【0021】
上記エーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等が好ましく、錯体製造時の取り扱いの点から、グライムが特に好ましく使用される。
【0022】
また、上記アルコールとしては、t−ブタノール、t−ブチルセロソルブ等が好ましく使用される。
【0023】
本発明において、水酸化カリウム等のアルカリ触媒を使用した場合は、特に高分子量体において不飽和度が高くなるため好ましくない。
【0024】
また、前記モノエポキシドはエポキシ環を1個有する化合物であり、例えばプロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、グリシジルエーテル、グリシジルエステル等が挙げられるが、これらは2種以上併用してもよい。本発明においては、プロピレンオキシド又はプロピレンオキシドとエチレンオキシドの併用が好ましい。
【0025】
また、前記開始剤としては2〜10個、より好ましくは2〜8個の活性水素を有する化合物が好ましく、さらにポリヒドロキシ化合物であることが好ましい。特に2〜4個の水酸基を有するポリヒドロキシ化合物が好ましく、2個の水酸基を有するポリヒドロキシ化合物が最も好ましい。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、シュークロース及びこれらにモノエポキシドを反応させて得られる目的物より低分子量のポリオール、又はモノアミン、ポリアミン、アルカノールアミンなどにモノエポキシドを反応させて得られる目的物より低分子量のポリオールが挙げられる。これらは1種又は2種以上併用してもよい。
【0026】
上記PTMGとしては、水酸基価40〜60のものが特に好ましい。
上記PESとしては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、マロン酸等の2塩基酸から選ばれた1種又は2種以上の混合物と、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメタノール等の1級水酸基のみを有するジオールから選ばれた1種又は2種以上の混合物から得られたもの、該2塩基酸と上記ジオール化合物とトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の1級水酸基のみを有する3官能以上のアルコール化合物から選ばれた1種又は2種以上の混合物とから得られたものが挙げられる。また、水酸基に対してカルボキシル基が過剰となる割合で反応させて得られる末端にカルボキシル基を有するポリエステルに、例えばポリオキシジエチレングリコール、PTMG、ポリオキシペンタメチレングリコール等のポリエーテルジオールを更に反応させて得られたものを使用することもできる。
【0027】
上記ポリカーボネートポリオールとしては、アルキレンカーボネート類と1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等との反応により得られるポリ(ブタン−1,4−カーボネート)ジオール、ポリ(ペンタン−1,5−カーボネート)ジオール、ポリ(ヘキサン−1,6−カーボネート)ジオール及びそれらの共重合体並びに混合物から得られるポリカーボネートジオールが好ましく用いられる。
【0028】
また、その他に、ε−カプロラクトン等の環状エステルを開環重合して得られるポリラクトンポリオールも使用することができる。
【0029】
本発明において使用されるイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物が好ましい。具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
【0030】
・脂肪族ジイソシアネート:1,3−プロパンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、3−メチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、及び3,3−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等;
・環状脂肪族ジイソシアネート:1,3−及び1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等;
・芳香族ジイソシアネート:m−及びp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIという)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等;である。
【0031】
本発明において使用される鎖延長剤(b)としては、以下に示すようなジアミン化合物が好ましく用いられ、芳香環を有するジアミン化合物、あるいは脂肪族ジアミン化合物が好ましく使用される。なお、芳香環を有するジアミン化合物としては、芳香環に直接アミノ基が結合した芳香族系ジアミン化合物、及び芳香環にアルキレン基を介してアミノ基が結合したジアミン化合物が好ましい。
【0032】
・芳香環を有するジアミン化合物:ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等(m−キシリレンジアミンが特に好ましい);
・脂肪族ジアミン:エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等;
・脂環族ジアミン:ピペラジン、ピペラジン誘導体、1,3BAC、水添DAM、シクロヘキシルジアミン等;である。
【0033】
また、本発明において、ポリマーの分子量調節剤として用いる末端停止剤(c)としては、例えばジエチルアミン、ジブチルアミンやジエタノールアミン等を使用することができ、特にジエチルアミンが好ましく用いられる。
【0034】
本発明において、ブロック化剤としては、公知の化合物を使用することができる。具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
【0035】
フェノール系ブロック化剤:フェノール、クレゾール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、フェニルフェノール等;
ラクタム系ブロック化剤:ε−カプロラクタム等;
オキシム系ブロック化剤:アセトアルデヒドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、2,3−ブタンジオンモノオキシム、シクロヘキサノンオキシム等;
アルコール系ブロック化剤:メタノール、エタノール、1−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ペンタノール、ベンジルアルコール、メトキシメタノール、2Hクロロエタノール、1−クロロ−2−プロパノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等;
その他のブロック化剤:アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、マレイン酸ジエチル等;である。
【0036】
本発明においては、フェノール、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトンオキシム、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等を用いることが特に好ましい。
【0037】
本発明におけるブロック化プレポリマー(a)及び(a’)は、以下に説明するようにして得られたイソシアネート基末端プレポリマーにブロック化剤を反応させることにより得ることができる。
【0038】
イソシアネート基末端プレポリマーは、上述したような高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを化学量論的にイソシアネート基過剰の条件で反応させることにより得られ、本発明においては、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とのモル数の比(イソシアネート基のモル数/活性水素基のモル数)が1.5〜3.5であることが好ましく、1.5〜2.5であることが特に好ましい。
【0039】
また、上記高分子量活性水素化合物は、その実質的な平均官能基数が1.3〜10であることが好ましく、1.5〜4であることがより好ましく、1.5〜3であることが特に好ましい。
【0040】
このとき、高分子量活性水素化合物は、任意の上記のポリオールを混合して使用することができ、その場合は、ポリオキシアルキレンポリオールどうし、ポリエステルポリオールどうしを併用すると相溶性の点から好ましい。
【0041】
本発明においては、ポリオキシアルキレンポリオールを使用することが好ましく、ポリオキシプロピレン系ポリオール又はポリオキシプロピレン系ポリオールとPTMGの併用が特に好ましい。
【0042】
また、高分子量活性水素化合物として反応性の異なる2種以上を用いる場合、イソシアネート基末端プレポリマーを得るときに、反応性の遅い高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物を反応させた後、次に反応の速い高分子量化合物を反応させてイソシアネート基末端プレポリマーとすることが好ましい。このようにすることで、反応時間を短縮することが可能となる。特に、ポリオキシプロピレン系ポリオールとPTMGを併用する場合であって、該ポリオキシプロピレン系ポリオールが2級水酸基を含む場合は、前者の方が後者より反応が遅いため、前者を先に反応させた後、後者を反応させてイソシアネート基末端プレポリマーとすることが好ましい。
【0043】
そして、上記のようにして得られたイソシアネート基末端プレポリマーにブロック化剤を反応させる。このときブロック化剤の添加量は、イソシアネート基末端プレポリマーの原料である高分子量活性水素化合物の実質的な平均官能基数と、ブロック化剤の活性水素基の合計の平均官能基数が1.4〜2.05、より好ましくは1.5〜2.0となるように決定することが好ましい。該平均官能基数が2.05を超えるとゲル化しやすく、紡糸性が悪くなり好ましくない。
【0044】
また、ブロック化は、溶媒中でも、無溶剤下でも行なうことができるが、無溶剤下で行なうことが好ましい。
【0045】
無溶剤下でブロック化反応を行う場合、イソシアネート基末端プレポリマーにそのままブロック化剤を添加し、撹拌することによりブロック化することができる。
【0046】
また、溶媒中でブロック化反応を行う場合、イソシアネート基末端プレポリマーを溶剤に溶解した後、ブロック化剤を添加し、撹拌することによりブロック化することができる。溶剤としては、活性水素を持たない溶剤、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を使用することが好ましくブロック化プレポリマーを製造後、そのまま鎖延長反応を行うことが好ましい。
【0047】
本発明のポリウレタンウレア系樹脂は、例えば次のような方法で製造することができる。すなわち、上述したような高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを化学量論的にイソシアネート基過剰の条件でまず反応させて、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを合成し、これにメチルエチルケトオキシム等のブロック化剤を加えて、ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(ブロック化プレポリマー)(a)を得る。これを有機溶媒に溶解してプレポリマー溶液を得、その後、このプレポリマー溶液に鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)を加えて重合反応を行ない、濃度が15〜40重量%のポリウレタンウレア系樹脂溶液を得る。そして、得られたポリウレタンウレア系樹脂溶液から溶媒を除去し、さらに熱処理を行ないブロックをはずし、イソシアネート基による架橋反応を完結することによりポリウレタンウレア系樹脂が得られる。上記溶液重合に用いる溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の水に可溶な極性溶媒が好ましい。
【0048】
また、本発明の別の態様として、上記ブロック化プレポリマー(a)と、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とをイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(d)との混合物を上記有機溶媒に溶解してプレポリマー溶液とした後、これに鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)を加えて重合反応を行ない、上記と同様に溶媒を除去して熱処理を行うことにより、ポリウレタンウレア系樹脂を得ることもできる。
【0049】
上記イソシアネート基末端プレポリマー(d)は、上記ブロック化プレポリマーにおけるイソシアネート基末端プレポリマーと同様にして得ることができる。
【0050】
また、ブロック化プレポリマー(a)とイソシアネート基末端プレポリマー(d)の混合割合は、(a)/(d)が重量比で、50〜100/50〜0が好ましく、65〜100/35〜0が好ましい。
【0051】
さらに、ブロック化プレポリマー(a)とイソシアネート基末端プレポリマー(d)の混合物全体において、全高分子量活性水素化合物の実質的な平均官能基数と、ブロック化剤の活性水素基の合計の平均官能基数が、1.4〜2.05、より好ましくは1.5〜2.0となるように決定することが好ましい。
【0052】
本発明のさらに別の態様として、上記イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(d)を上記有機溶媒に溶解してプレポリマー溶液とした後、これに鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)を加えて重合反応を行ない、この反応液にさらに上記ブロック化プレポリマー(a)を混合した後、上記と同様に溶媒を除去して熱処理を行うことにより、ポリウレタンウレア系樹脂を得ることもできる。
【0053】
本発明のさらに別の態様として、上記ブロック化プレポリマー(a)と、上記イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(d)とを上記有機溶媒に溶解してプレポリマー溶液とした後、鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)を加えて重合反応を行ない、この反応液にさらにブロック化プレポリマー(a’)を混合した後、上記と同様に溶媒を除去して熱処理を行うことにより、ポリウレタンウレア系樹脂を得ることもできる。
【0054】
本発明で使用される鎖延長剤(b)の量は、アミノ基又は水酸基がプレポリマー溶液中のイソシアネート基量の80〜105モル%となるようにすることが好ましい。上記範囲外では、ポリマー分子量が大きくなりすぎたり、小さすぎるなどして成形不可能あるいは高強度の樹脂を得ることができない。
【0055】
また、末端停止剤(c)の量を調整することにより、加工に必要な粘度となるようにポリマーの粘度を制御することができる。
【0056】
本発明において、上記プレポリマーを鎖延長剤と反応させる鎖伸長反応時の温度は、0〜30℃が好ましい。これ以下の温度であると、プレポリマーの溶解性が低下し、反応系が不均一になり、逆にこれ以上の温度であるとイソシアネート基とアミノ基との反応が異常に速くなって反応を制御しにくくなる。
【0057】
本発明において、全高分子量活性水素化合物、ブロック化剤及び鎖延長剤に含まれる活性水素含有基のモル数とイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基のモル数との比が、下記数式1の範囲内にあることが好ましい。
【0058】
【数1】
(イソシアネート基のモル数)/(活性水素基のモル数)=0.95〜1.10
【0059】
上記比の値が、上記数値の範囲外であると、充分な強度が得られず、耐久性に劣るため好ましくない。
【0060】
また、ブロック化されたイソシアネート基は、ブロック化剤の解離温度以上の温度で、熱処理することによりブロックをはずすことが出来る。
【0061】
なお、本発明におけるポリウレタンウレア系樹脂には酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
【0062】
本発明のポリウレタンウレア系樹脂を合成皮革として利用する場合には、上述したような反応によって得られたポリウレタンウレア系樹脂溶液から溶媒を除去して皮膜を形成し、この皮膜を熱処理することによって合成皮革を得ることができる。
【0063】
また、本発明のポリウレタンウレア系樹脂を弾性糸として利用する場合には、上述したような反応によって得られたポリウレタンウレア系樹脂溶液から乾式紡糸法又は湿式紡糸法により糸を形成し、この糸を熱処理することによって弾性糸を得ることができる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、以下の実施例において、部とは重量部のことである。
【0065】
各例のポリウレタン系エラストマーの原料として、下記表1のポリオキシアルキレンポリオールを用いた。
【0066】
ポリオールA、B、Dは、分子量400〜600のポリオキシプロピレンポリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体を触媒としてプロピレンオキシドを付加し、次いで該触媒を除去して製造されたものである。
【0067】
ポリオールCは、同様にしてプロピレンオキシドを付加し、次いで該触媒を失活させた後アルカリ触媒を用いてエチレンオキシドを付加し、その後精製して触媒成分を除去して製造されたものである。
【0068】
上述のようにして得られた各ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価、総不飽和度、水酸基数、平均官能数及びオキシエチレン基含有量を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例1
ポリオールA25.4部に、MDI15.9部を加え、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。反応生成物のイソシアネート含有率は、12.1重量%であった。これに、PTMG(分子量2,000、水酸基価56.1)58.2部を加えて、同一条件下で更に3時間反応させたところ、イソシアネート含有率2.25重量%のイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーが得られた。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値2.38重量%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。これにさらにメチルエチルケトオキシム0.428部を加え混合し、イソシアネート含有率2.03%のブロック化プレポリマーを得た。このとき、ポリオールAとPTMGを合わせた平均官能基数は2.04、メチルエチルケトオキシムまで含めた平均官能基数は1.9であった。
【0071】
得られたプレポリマーをN,N’−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)に溶解して、固形分30重量%のウレタンプレポリマー溶液を得た。そして、硬化剤溶液として、m−キシリレンジアミン0.897部とジエチルアミン0.107部の混合物を30重量%の濃度になるようにDMAcに溶解したものを、室温下で激しく撹拌した該ウレタンプレポリマー溶液100部へ加え、重合反応を行ないポリウレタンウレア樹脂溶液を得た。
【0072】
DMAcを蒸発させて該ポリウレタンウレア樹脂溶液を乾固し、さらに140℃で30分間熱処理を行ない、厚さ約100μmのフィルム状の試料を作成した。試料は10日間室温で養生した後、後述する物性測定を行なった。
【0073】
実施例2
ポリオールB10.7部及びポリオールC14.0部に、MDI17.2部を加え、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。反応生成物のイソシアネート含有率は、12.35重量%であった。これに、PTMG(分子量2,000、水酸基価56.1)57.6部を加えて、同一条件下で更に3時間反応させたところ、イソシアネート含有率2.65重量%のイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーが得られた。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値2.81重量%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。これにさらにメチルエチルケトオキシム0.466部を加え混合し、イソシアネート含有率2.40%のブロック化プレポリマーを得た。このとき、ポリオールB、CとPTMGを合わせた平均官能基数は2.04、メチルエチルケトオキシムまで含めた平均官能基数は1.9であった。
【0074】
得られたプレポリマーをDMAcに溶解して、固形分30重量%のウレタンプレポリマー溶液を得た。そして、硬化剤溶液として、m−キシリレンジアミン1.060部とジエチルアミン0.126部の混合物を30重量%の濃度になるようにDMAcに溶解したものを、室温下で激しく撹拌した該ウレタンプレポリマー溶液100部へ加え、重合反応を行ないポリウレタンウレア樹脂溶液を得た。
【0075】
DMAcを蒸発させて該ポリウレタンウレア樹脂溶液を乾固し、さらに140℃で30分間熱処理を行ない、厚さ約100μmのフィルム状の試料を作成した。試料は10日間室温で養生した後、後述する物性測定を行なった。
【0076】
実施例3
ポリカプロラクトンポリオールPCL308(ダイセル化学社製、水酸基価198、平均官能基数3)1.03部、及び平均官能基数2のポリエステルポリオールN−4042(日本ポリウレタン工業社製PES、水酸基価56.1)78.6部にMDI19.8部を加えて、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させたところ、イソシアネート含有率3.20重量%のイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーが得られた。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値3.22重量%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。これにさらにメチルエチルケトオキシム0.509部を加え混合し、イソシアネート含有率2.93%のブロック化プレポリマーを得た。このときポリオールPCL1308とN−4042を合わせた平均官能基数は2.03、メチルエチルケトオキシムまで含めた平均官能基数は1.9であった。
【0077】
得られたプレポリマーをN,N’−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)に溶解して、固形分30重量%のウレタンプレポリマー溶液を得た。そして、硬化剤溶液として、エチレンジアミン0.570部とジエチルアミン0.154部の混合物を30%の濃度となるようにDMFに溶解したものを、激しく撹拌した15℃の該ウレタンプレポリマー溶液100部へ滴下し、重合反応を行ないポリウレタンウレア樹脂溶液を得た。
【0078】
DMFを蒸発させて該ポリウレタンウレア樹脂溶液を乾固し、さらに140℃で30分間熱処理を行ない、厚さ約100μmのフィルム状の試料を作成した。試料は10日間室温で養生した後、後述する物性測定を行なった。
【0079】
実施例4
ポリオールA25.0部及びポリオールD58.7部に、MDI15.9部を加え、窒素雰囲気下、80℃で10時間反応させた。反応生成物のイソシアネート含有率は、2.50重量%であった。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値2.58重量%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。これにさらにメチルエチルケトオキシム0.399部を加え混合し、イソシアネート含有率2.30%のブロック化プレポリマーを得た。このとき、ポリオールA、Dを合わせた平均官能基数は2.03、メチルエチルケトオキシムまで含めた平均官能基数は1.9であった。
【0080】
得られたプレポリマーをDMAcに溶解して、固形分30重量%のウレタンプレポリマー溶液を得た。そして、硬化剤溶液として、m−キシリレンジアミン1.015部とジエチルアミン0.121部の混合物を30重量%の濃度になるようにDMAcに溶解したものを、室温下で激しく撹拌した該ウレタンプレポリマー溶液100部へ加え、重合反応を行ないポリウレタンウレア樹脂溶液を得た。
【0081】
DMAcを蒸発させて該ポリウレタンウレア樹脂溶液を乾固し、さらに140℃で30分間熱処理を行ない、厚さ約100μmのフィルム状の試料を作成した。試料は10日間室温で養生した後、後述する物性測定を行なった。
【0082】
実施例5
▲1▼ポリオールB22.1部にMDI18.0部を加え、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。反応生成物のイソシアネート含有率は13.6重量%であった。これにPTMG(分子量2,000、水酸基価56.1)59.2部を加え、同一条件下で、さらに3時間反応させたところイソシアネート含有率2.90重量%のイソシアネート基末端プレポリマーが得られた。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値3.03重量%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。このイソシアネート基末端プレポリマーのポリオールだけの平均官能基数は2.10であった。これにさらにメチルエチルケトオキシム0.658部を加え混合し、イソシアネート含有率2.56%のブロック化プレポリマーを得た。高分子量活性水素化合物とメチルエチルケトオキシムを含めた平均官能基数は1.9であった。
【0083】
▲2▼ポリオールB2.76部とポリオールC22.1部に、MDI16.8部を加え、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。反応生成物のイソシアネート含有率は12.2重量%であった。これに、PTMG(分子量2,000、水酸基価56.1)58.0部を加えて、同一条件下で更に3時間反応させたところ、イソシアネート含有率2.58重量%のイソシアネート基末端プレポリマーが得られた。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値2.68%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。
【0084】
上記▲2▼で得たイソシアネート基末端プレポリマー70部に、上記▲1▼で得た化合物を30部加え、DMAcに溶解して、固形分30重量%のウレタンプレポリマー溶液を得た。そして、硬化剤溶液として、m−キシリレンジアミン1.135部とジエチルアミン0.135部の混合物を30%の濃度となるようにDMAcに溶解したものを、激しく撹拌した室温下の該ウレタンプレポリマー溶液100部へ加え、重合反応を行ないポリウレタンウレア樹脂溶液を得た。
【0085】
DMAcを蒸発させて該ポリウレタンウレア樹脂溶液を乾固し、さらに140℃で30分間熱処理を行ない、厚さ約100μmのフィルム状の試料を作成した。試料は10日間室温で養生した後、後述する物性測定を行なった。
【0086】
実施例6
▲1▼ポリカプロラクトンポリオールPCL308(ダイセル化学社製、水酸基価198、平均官能基数3)47.6部にMDI52.4部を加え、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。反応生成物のイソシアネート含有率は10.45重量%であった。イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値10.55重量%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。
【0087】
これにさらにメチルエチルケトオキシム21部を加え混合した。この化合物のイソシアネート含有率は0.1重量%となった。
【0088】
▲2▼平均官能基数2のポリエステルポリオールN−4042(日本ポリウレタン工業社製PES、水酸基価56.1)80部にMDI20部を加え、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させたところ、イソシアネート含有率3.25重量%のイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーが得られた。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値3.36重量%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。
【0089】
上記▲2▼で得られたプレポリマーをDMFに溶解して、固形分30重量%のウレタンプレポリマー溶液を得た。そして、硬化剤溶液として、エチレンジアミン0.598部とジエチルアミン0.257部の混合物を30%の濃度となるようにDMFに溶解したものを、激しく撹拌した15℃の該ウレタンプレポリマー溶液100部へ滴下し、重合反応を行ないポリウレタンウレア樹脂溶液を得た。
【0090】
得られたポリウレタンウレア樹脂溶液100部に、上記▲1▼で得られた化合物を5部配合し、混合した後、DMFを蒸発させて該ポリウレタンウレア樹脂溶液を乾固し、さらに140℃で30分間熱処理を行ない、厚さ約100μmのフィルム状の試料を作成した。試料は10日間室温で養生した後、後述する物性測定を行なった。
【0091】
比較例1
PTMG(分子量2,000、水酸基価56.1)80部、及びMDI20部を加え、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。反応生成物のイソシアネート含有率は3.23重量%であった。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値3.36重%となっているため、反応は終了していると考えられた。得られたプレポリマーをDMAcに溶解して、固形分30重量%のウレタンプレポリマー溶液を得た。そして、硬化剤溶液として、エチレンジアミン0.594部とジエチルアミン0.255部の混合物を30重量%の濃度となるようにDMAcに溶解したものを、激しく撹拌した15℃に温調したウレタンプレポリマー溶液100部へ加え、重合反応を行ないポリウレタンウレア樹脂溶液を得た。
【0092】
DMAcを蒸発させて該ポリウレタンウレア樹脂溶液を乾固し、厚さ100μmのフィルム状の試料を作成した。
【0093】
比較例2
平均官能基数2のポリエステルポリオールN−4042(日本ポリウレタン工業社製PES、水酸基価56.1)80部にMDIを20部加えて、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させたところ、イソシアネート含有率3.20重量%のイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーが得られた。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物とすべて反応した場合の理論値3.36重量%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。得られたプレポリマーをDMFに溶解して、固形分30重量%のウレタンプレポリマー溶液を得た。そして、硬化剤溶液として、エチレンジアミン0.589部とジエチルアミン0.253部の混合物を30%の濃度となるようにDMFに溶解したものを、激しく撹拌した15℃の該ウレタンプレポリマー溶液100部へ滴下し、重合反応を行ないポリウレタンウレア樹脂溶液を得た。
【0094】
DMFを蒸発させて該ポリウレタンウレア樹脂溶液を乾固し、厚さ約100μmのフィルム状の試料を作成した。試料は10日間室温で養生した後、後述する物性測定を行なった。
【0095】
比較例3
ポリオールA7.0部及びポリオールC18.2部に、MDI15.8部を加え、窒素雰囲気下、80℃で4時間反応させた。これに、PTMG(分子量2,000、水酸基価56.1)59.0部を加えて、同一条件下でさらに3時間反応させたところ、イソシアネート含有量2.15重量%のイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーが得られた。上記イソシアネート含有率は、ポリオール化合物がイソシアネート化合物と全て反応した場合の理論値2.35重量%より低い値となっているため、反応が終了していると考えられた。
【0096】
得られたプレポリマーをDMAcに溶解して、固形分30重量%のウレタンプレポリマー溶液を得た。そして、硬化剤溶液として、m−キシリレンジアミン0.865部とジエチルアミン0.204部の混合物を30重量%の濃度になるようにDMAcに溶解したものを、室温下で激しく撹拌した該ウレタンプレポリマー溶液100部へ加え、重合反応を行ないポリウレタンウレア樹脂溶液を得た。
【0097】
DMAcを蒸発させて該ポリウレタンウレア樹脂溶液を乾固し、厚さ約100μmのフィルム状の試料を作成した。試料は10日間室温で養生した後、後述する物性測定を行なった。
【0098】
上記で得られた各試料の物性測定は次のようにして行った。
ポリウレタンウレア樹脂の伸び(%)、100%モジュラス(kg/cm2)及び破断強度(kg/cm2)の測定は、JIS K6301の試験方法に従い行なった。
【0099】
回復性は、3号形ダンベル片により、引っ張り速度300mm/分で300%伸張までの往復の応力を測定し、往きの応力とべースラインで囲まれる面積を100として、この面積から戻りの応力とベースラインで囲まれる面積を引いた差の面積の割合を回復性の指標として測定した。例えば、往きと戻りのラインが一致する場合は、もっとも回復性が良好で測定値はゼロとなる。
【0100】
耐熱性(耐熱永久歪)は、3号形1ダンベル片により100%伸張した状態で100℃雰囲気中に1分間置き、さらに室温で30分間放置後、寸法の変化を測定し、初期値と比較して変化したひずみの寸法の割合を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの少なくとも一部のイソシアネート基がブロック化されてなるブロック化プレポリマーを、溶液重合の前後又はそのいずれかの段階で添加し、溶媒を除去した後に熱処理してブロックをはずし、イソシアネート基による架橋反応を完結させることにより、伸張後の回復性が大きく改良され、かつ耐熱性に優れたポリウレタンウレア系樹脂を得ることができる。このポリウレタンウレア系樹脂は、強度、伸縮性、耐熱性及び耐薬品性などに優れているため、耐久性能に優れた合成皮革や弾性糸の材料として利用することができる。
Claims (7)
- 高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの少なくとも一部のイソシアネート基がブロック化されてなるブロック化プレポリマー(a)と、鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)とを溶媒中で反応させた後、溶媒を除去して熱処理を行うことを特徴とするポリウレタンウレア系樹脂の製造方法。
- 高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの少なくとも一部のイソシアネート基がブロック化されてなるブロック化プレポリマー(a)と、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー(d)と、鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)とを溶媒中で反応させた後、溶媒を除去して熱処理を行うことを特徴とするポリウレタンウレア系樹脂の製造方法。
- 高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(d)と、鎖延長剤(b)及び末端停止剤(c)とを溶媒中で反応させ、さらにこの反応液に、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの少なくとも一部のイソシアネート基がブロック化されてなるブロック化プレポリマー(a)を混合した後、溶媒を除去して熱処理を行うことを特徴とするポリウレタンウレア系樹脂の製造方法。
- 前記ブロック化プレポリマー(a)が、高分子量活性水素化合物とイソシアネート化合物とを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得た後、ブロック化剤を反応させて得られるものである請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリウレタンウレア系樹脂の製造方法。
- 前記高分子量活性水素化合物の少なくとも一部が、総不飽和度0.07以下、かつ水酸基価70以下のポリオキシプロピレン系ポリオールである請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリウレタンウレア系樹脂の製造方法。
- 前記ポリオキシプロピレン系ポリオールが、開始剤及び複合金属シアン化錯体触媒の存在下で、アルキレンオキシドを反応させて得られるものである請求項5記載のポリウレタンウレア系樹脂の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1つの方法により得られたものであることを特徴とする合成皮革・弾性糸用ポリウレタンウレア系樹脂。
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