JP4600799B2 - サニタリー用ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法 - Google Patents

サニタリー用ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温でもヘタリのない優れた弾性特性を有し、かつ、サニタリー製品に好適な、良好な伸長性と回復性を兼ね備えたサニタリー用ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性繊維は、その優れた伸縮特性から紙おむつ、衛生ナプキンなどのサニタリー用途に幅広く使用されている。
【0003】
かかる弾性繊維として、ポリウレタン弾性繊維が用いられていて、特開昭63−235320号公報、特開平5−239177号公報および特開平2−19511号公報などにテトラヒドロフランおよび3−メチルテトラヒドロフランの共重合体、有機ジイソシアネートおよびジアミン化合物からなるポリウレタン重合体を紡糸する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、紙おむつなどに弾性繊維を用いた際に、ドラフトアップが困難であり、製品一個当たりに使用する弾性繊維の量を減少させることができず、生産コストを減少させることができなかった。
【0005】
また、単位時間当たりの生産量も向上させることができなかった。
【0006】
本発明は、従来の技術では得られなかった、サニタリー用ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維は、前記の課題を解決するため、以下の手段を採用する。
【0008】
すなわち、主構成成分がポリオール、ジイソシアネートおよびジアミンであるポリウレタンウレアであって、該ポリオールがテトラヒドロフランとエチレンオキサイドとのランダム共重合体であり、かつ、エチレンオキサイド単位のモル分率が15〜37%の範囲であることを特徴とするサニタリー用ポリウレタン弾性繊維である。
【0009】
また、本発明のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維の製造方法は、前記の課題を解決するため、以下の手段を採用する。
【0010】
すなわち、テトラヒドロフランとエチレンオキサイドとのランダム共重合体であり、かつ、エチレンオキサイド単位のモル分率が15〜37%の範囲であるポリオール、ジイソシアネートおよびジアミンを主構成成分とするポリウレタンウレアを溶質とするポリウレタンウレア溶液を紡糸することを特徴とするサニタリー用ポリウレタン弾性繊維の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維について、さらに詳細に述べる。
【0012】
本発明のサニタリーポリウレタン弾性繊維は、主構成成分がポリオール、ジイソシアネートおよびジアミンであるポリウレタンウレアである。
【0013】
ポリウレタンウレアの合成法も特に限定されるものではない。特に、反応を効率的に行う等の観点から溶液中で重合するのが好ましい。なお、本発明の効果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグリコールやイソシアネート等が使用されていても何ら構わない。
【0014】
ここで、本発明におけるポリウレタンウレアを構成する代表的な構造単位について説明する。
【0015】
本発明に用いるポリオールは、優れた耐寒性および高い伸長性を有し、かつ、高い回復性を具備したものを得る観点から、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)とエチレンオキサイドが不規則に配列した、いわゆるランダム共重合体を使用する。
【0016】
本発明においては、ブロック共重合体を用いると、得られるポリウレタン弾性繊維が著しい吸水性を有するため、吸水時の物性が低下する問題がある。
【0017】
すなわち本発明に用いるポリオールは、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールとも表現され得る。
【0018】
かかるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールにおいて、エチレンエーテルは、全アルキレンエーテルに対して15〜37mol%含有されるのが好ましく、20〜35mol%含有されるのがより好ましい。
【0020】
さらに、本発明で使用するポリオールはランダム共重合体のみから構成されていてもよいし、また、他のポリオールと共重合されたものでもよく、さらに他のポリオールと混合されてなるものであってもよい。
【0021】
他のポリオールとしては、優れた耐寒性、高い伸長性を有し、かつ、高い回復性を具備したものを得る観点から、ポリ(1,4−テトラメチレングリコール)(以下、PTMGと略する)、ポリカプロラクトンジオール、ポリエチレンエーテルグリコール等を使用するのが好ましい。そして、かかる他のポリオールは、1種類であってもよく、さらに2種類以上であってもよい。
【0022】
本発明においては、エチレンオキサイド単位のモル分率が5〜90%の範囲であるのが好ましい
【0023】
本発明に用いるポリオールの重量平均分子量は、糸にした際の伸度、強度、耐熱性などの観点から1000以上6000以下の範囲にあることが好ましい。
【0024】
さらに好ましくは1300以上4500以下の範囲である。この範囲の分子量のポリオールを用いることにより、力学特性のバランスの取れた弾性糸を得ることができる。
【0025】
次に本発明に用いるジイソシアネートは、例えば、5−イソシアネート−1−(イソシアネートメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1−イソシアネート−4−[(4−イソシアネートフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアネート−2−[(4−イソシアネート−フェニル)メチル]ベンゼン、1,1’−メチレンビス(4−イソシアネートシクロヘキサン)、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記する)、2,4−トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記する)、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートは、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成するのに好ましい。
【0026】
さらに脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(以下、H12MDIと略する)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは特にポリウレタン糸の黄変を抑制する際に好ましく用いられる。
【0027】
そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0028】
かかるジイソシアネートのモル量の比は、得られるポリウレタン弾性繊維の強度特性の観点から、ポリオール1に対し、ジイソシアネートは1.2以上2.3以下の範囲であるのが好ましい。
【0029】
次に本発明に用いる鎖伸長剤として、ジアミンを用いるものである。
【0030】
ジアミンとしては、低分子量ジアミンおよびエタノールアミンのような水酸基とアミノ基を分子中に有するもののうち少なくともいずれか1種を用いるのが好ましい。
【0031】
低分子量ジアミンとしては、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、2,4−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、1,3−ペンタンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキサイド、ヘキサメチレンジアミン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)フォスフィンオキサイドなどを使用するのが好ましい。特に伸度および弾性回復性等に優れたものを得る観点から、エチレンジアミンを用いるのが好ましい。 これらの鎖伸長剤に架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えばジエチレントリアミン等を効果を失わない程度に加えるのも好ましい。
【0032】
本発明のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維の繊度、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば、断面は円形であっても扁平であっても何らかまわない。
【0033】
本発明のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維は、−5℃での残留歪みが90%以下であるのが好ましく、50%以下であるのがより好ましく、さらに好ましくは26%以下である。
【0034】
本発明のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐ガス安定剤などとして、いわゆるBHTや住友化学工業(株)製の”スミライザー”GA−80などをはじめとするヒンダードフェノール系薬剤、各種の”チヌビン”をはじめとするベンゾトリアゾール系薬剤、住友化学工業(株)製の”スミライザー”P−16をはじめとするリン系薬剤、各種の”チヌビン”をはじめとするヒンダードアミン系薬剤、さらに酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラックをはじめとする無機顔料、ステアリン酸マグネシウムをはじめとする金属石鹸、また、銀や亜鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、またシリコーン、鉱物油などの滑剤、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベタインやリン酸系などをはじめとする各種の帯電防止剤などが含まれていたり、またポリマと反応させられていることも好ましい。
【0035】
そして、特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるには、酸化窒素補足剤、例えば日本ヒドラジン(株)製のHN−150、熱酸化安定剤、例えば住友化学工業(株)製の”スミライザー”GA−80、光安定剤、例えば住友化学工業(株)製の”スミソーブ”300#622などを使用することは好ましい。
【0036】
次に本発明のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維の製造方法について詳細に説明する。
【0037】
本発明においては、最初にポリウレタンウレア溶液を調製するのが好ましい。
【0038】
本発明においてはポリウレタンウレア溶液の溶質であるポリウレタンウレアの製造方法やポリウレタンウレア溶液の製造方法はいずれの方法であってもよい。
【0039】
すなわち、溶融重合法でも溶液重合法のいずれでもよい。しかし、より好ましいのは溶液重合法である。溶液重合法の場合には、ポリウレタンウレアにゲルなどの異物の発生が少ない。また、当然のことであるが、溶液重合の場合、溶液にする労が省け、生産効率の観点からも好ましい。
【0040】
そして本発明においては、テトラヒドロフランとエチレンオキサイドのランダム共重合体を含有するポリオール、ジイソシアネートおよびジアミンを主構成成分とするポリウレタンウレアを使用するものである。
【0041】
こうした中でも特にポリオールの重量平均分子量が1000以上6000以下の範囲にあり、鎖伸長剤であるジアミンは、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、2,4−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、1,3−ペンタンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキサイド、ヘキサメチレンジアミン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)フォスフィンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、ジイソシアネートはMDIを主原料として溶液中で合成されるポリウレタンウレアが好ましい。
【0042】
かかるポリウレタンウレアは、例えば、DMAC、DMF、DMSO、NMPなどやこれらを主成分とする溶剤の中で、前記の原料を用い合成することにより得ることができる。
【0043】
例えば、こうした溶剤中に、各原料を投入、溶解せしめ、適度な温度に加熱し反応せしめポリウレタンウレアとする、いわゆるワンショット法、また、ポリオールとMDIをまず溶融反応せしめ、しかる後に、該反応物を溶剤に溶解し、前記のジアミンと反応せしめ、ポリウレタンウレアとする方法などが、特に好適な方法として採用され得る。
【0044】
なお、かかるポリウレタンウレアの合成に際し、アミン系触媒や有機金属触媒を1種または2種以上混合して用いても何ら構わない。これらの代表的なものとしては、アミン系触媒としては、例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、トリエタノールアミン等を好ましく使用できる。また、有機金属触媒としてはオクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸鉛ジブチル等を好ましく使用できる。
【0045】
さらに、本発明においては、ポリウレタンの分子量およびポリウレタン紡糸溶液の粘度を制御するため、鎖停止剤を使用することも好ましい。
【0046】
かかる鎖停止剤として、n−ブタノール、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘキシルアミン等が好ましい。
【0047】
鎖停止剤は、通常、鎖伸長剤と混合して使用されるのが好ましい。
【0048】
また、ジエチレントリアミンとグリセロールのような三官能性物質の少量もポリマー粘度の制御に用いることができる。
【0049】
こうして得られるポリウレタンウレア溶液の濃度は特に限定されるものではないが、通常、30重量%以上80重量%以下の範囲が好ましい。
【0050】
本発明においては、かかるポリウレタンウレア溶液に前記した各種添加剤を添加することが好ましい。添加剤のポリウレタンウレア溶液への添加方法としては、任意の方法を採用することができる。その代表的な方法として、スタティックミキサーによる方法、攪拌による方式などを採用することが好ましい。
【0051】
ここで、添加剤は溶液にして添加することが好ましい。溶液であるとポリウレタンウレア溶液への均一な添加が可能となる。
【0052】
本発明においては、ポリウレタンウレア溶液を紡糸してポリウレタン弾性繊維を得る。紡糸方法としては、湿式法、乾式法、溶融法のいずれの方法であってもよい。
【0053】
紡糸速度を高速とする観点から乾式法で紡糸するのが好ましい。乾式紡糸においては、ガスの供給部が少なくとも2箇所設けられ、ガスの吸引部が前記ガスの供給部の間に設けられた紡糸筒に、口金からポリウレタン溶液を吐出させて繊維を形成する際、紡糸筒下部に設けられたガスの供給部から供給するガスの温度を60℃以下とすることも糸ムラをなくす観点から好ましく行われる。
【0054】
紡糸の際、ゴデローラーと巻取機の速度比は糸の使用目的に応じて決めるのが好ましい。
【0055】
本発明においては、ゴデローラーと巻取機の速度比を1.1以上1.8以下として巻き取ることが好ましい。
【0056】
また、紡糸速度は300m/分以上800m/分以下であるのが好ましい。
【0057】
【実施例】
本発明を実施例によって更に詳しく説明する。ただし、本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。
【0058】
本発明における応力緩和、強度、伸度、残留歪み、耐熱性の定量法について説明する。
[応力緩和、強度、伸度、残留歪み]
応力緩和、強度、伸度、残留歪みは、ポリウレタン糸をインストロン4502型引張試験機を用い、引張テストすることにより得られた。
【0059】
なお、応力緩和、強度、伸度は22℃で測定し、残留歪みは−5℃で測定した。
【0060】
これらは下記により定義される。
【0061】
5cm(L1)の試料を50cm/分の引張速度で300%伸長を5回繰返した。このときの応力を(G1)とした。
【0062】
次に該長さを30秒間保持した。30秒間保持後の応力を(G2)とした。
【0063】
また、応力を0としたときの試料長を(L2)とした。
【0064】
さらに6回目にポリウレタン糸が切断するまで伸長した。
【0065】
この破断時の応力を(G3)、破断時の試料長さを(L3)とした。
【0066】
以下、前記特性は下記式により得られた。
【0067】
強度=(G3)
応力緩和(%)=100×((G1)−(G2))/(G1)
残留歪み(%)=100×((L2)−(L1))/(L1)
伸度(%)=100×((L3)−(L1))/(L1)
[耐熱性]
糸を100%伸長させ、180℃の乾燥空気の雰囲気に1分間した。処理後、糸をフリーの状態にして21℃,65%RHの雰囲気に一晩放置した後インストロン4502型引張試験機を用い200%伸長時の応力を測定し、処理前の応力と比較することにより応力保持率を求めた。(値が大きい程耐熱性に優れる)
[実施例1]
THFとエチレンオキサイドの割合が7対3で分子量が1951のランダム共重合体であるポリオール(三洋化成工業(株)製”テトラキシノールAS−200S”)2900gとMDI595.8gを無溶媒の条件下で反応させた後、6602gのジメチルアセトアミドに溶解し、エチレンジアミン53.7gおよびジエチルアミン5.45gを添加することにより35重量パーセントのポリウレタンウレア溶液を得た。このポリウレタンウレア溶液に酸化防止剤、耐ガス安定剤および酸化チタンを適量添加することにより試料溶液を調製した。得られた溶液を500m/分のスピードで乾式紡糸することにより470デシテックス、56フィラメントの糸を得た。
【0068】
この糸の伸度、強度、応力緩和、−5℃で測定した残留歪みおよび耐熱性の結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
Figure 0004600799
【0070】
[実施例2]
THFとエチレンオキサイドの割合が7対3で分子量が1951のランダム共重合体であるポリオール(三洋化成工業(株)製”テトラキシノールAS−200S”)2820gとMDI579.35gを無溶媒の条件下で反応させた後、6439gのジメチルアセトアミドに溶解し、エチレンジアミン41.8g、デュポン社製Dytek(R)Aアミン20.16gおよびジエチルアミン5.30gを添加することにより35重量パーセントのポリウレタンウレア溶液を得た。このポリウレタンウレア溶液に酸化防止剤、耐ガス安定剤および酸化チタンを適量添加することにより試料溶液を調製した。得られた溶液を500m/分のスピードで乾式紡糸することにより470デシテックス、56フィラメントの糸を得た。
【0071】
この糸の伸度、強度、応力緩和、−5℃で測定した残留歪みおよび耐熱性の結果を表1に示す。
【0072】
参考例1
THFとプロピレンオキサイドの割合が8対2で分子量が2000のランダム共重合体であるポリオール3000gとMDI618.75gを無溶媒の条件下で反応させた後、6836gのジメチルアセトアミドに溶解し、エチレンジアミン58.6gおよびジエチルアミン3.56gを添加することにより35重量パーセントのポリウレタンウレア溶液を得た。このポリウレタンウレア溶液に酸化防止剤、耐ガス安定剤および酸化チタンを適量添加することにより試料溶液を調製した。得られた溶液を500m/分のスピードで乾式紡糸することにより470デシテックス、56フィラメントの糸を得た。
【0073】
この糸の伸度、強度、応力緩和、−5℃で測定した残留歪みおよび耐熱性の結果を表1に示す。
【0074】
[実施例
THFとエチレンオキサイドの割合が7対3で分子量が3556のランダム共重合体であるポリオール(三洋化成工業(株)製”テトラキシノールAS−300S”)3000gとMDI411.28gを無溶媒の条件下で反応させた後、6435gのジメチルアセトアミドに溶解し、エチレンジアミン48.2gおよびジエチルアミン5.33gを添加することにより35重量パーセントのポリウレタンウレア溶液を得た。このポリウレタンウレア溶液に酸化防止剤、耐ガス安定剤および酸化チタンを適量添加することにより試料溶液を調製した。得られた溶液を500m/分のスピードで乾式紡糸することにより470デシテックス、56フィラメントの糸を得た。
【0075】
この糸の伸度、強度、応力緩和、−5℃で測定した残留歪みおよび耐熱性の結果を表1に示す。
【0076】
[実施例
THFとエチレンオキサイドの割合が7対3で分子量が3556のランダム共重合体であるポリオール(三洋化成工業(株)製”テトラキシノールAS−300S”)3000gとMDI411.28gを無溶媒の条件下で反応させた後、6442gのジメチルアセトアミドに溶解し、エチレンジアミン43.3g、デュポン社製Dytek(R)Aアミン9.29gおよびジエチルアミン4.88gを添加することにより35重量パーセントのポリウレタンウレア溶液を得た。このポリウレタンウレア溶液に酸化防止剤、耐ガス安定剤および酸化チタンを適量添加することにより試料溶液を調製した。得られた溶液を500m/分のスピードで乾式紡糸することにより470デシテックス、56フィラメントの糸を得た。
【0077】
この糸の伸度、強度、応力緩和、−5℃で測定した残留歪みおよび耐熱性の結果を表1に示す。
【0078】
[比較例1]
分子量2000のPTMG2900gとMDI594.50gを無溶媒の条件下で反応させた後、6608gのジメチルアセトアミドに溶解し、エチレンジアミン55.8gおよびジエチルアミン7.89gを添加することにより35重量パーセントのポリウレタンウレア溶液を得た。このポリウレタンウレア溶液に酸化防止剤、耐ガス安定剤および酸化チタンを適量添加することにより試料溶液を調製した。得られた溶液を500m/分のスピードで乾式紡糸することにより470デシテックス、56フィラメントの糸を得た。この糸の伸度、強度、応力緩和および−5℃で測定した残留歪みおよび耐熱性の結果を併せて表1に示す。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、低温においても弾性的性質が損なわれず、ヘタリのない優れた低温特性を有し、かつ、良好な伸長性と回復性を兼ね備え、しかも耐熱性の良好なサニタリー用ポリウレタン弾性繊維を得ることができる。本発明のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維を紙おむつ、衛生ナプキン等のサニタリー製品の製造に使用した際、生産コストを減少させるとともに、単位時間当たりの生産量を増加させることができ、フィット性、外観品位、着用性、着用感などに優れたものを生産コスト得ることができる。

Claims (5)

  1. 主構成成分がポリオール、ジイソシアネートおよびジアミンであるポリウレタンウレアであって、該ポリオールがテトラヒドロフランとエチレンオキサイドとのランダム共重合体であり、かつ、エチレンオキサイド単位のモル分率が15〜37%の範囲であることを特徴とするサニタリー用ポリウレタン弾性繊維。
  2. ポリオールの分子量が、1000以上6000以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維。
  3. −5℃での残留歪みが90%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維。
  4. テトラヒドロフランとエチレンオキサイドとのランダム共重合体であり、かつ、エチレンオキサイド単位のモル分率が15〜37%の範囲であるポリオール、ジイソシアネートおよびジアミンを主構成成分とするポリウレタンウレアを溶質とするポリウレタンウレア溶液を紡糸することを特徴とするサニタリー用ポリウレタン弾性繊維の製造方法。
  5. 紡糸方法が乾式であることを特徴とする請求項に記載のサニタリー用ポリウレタン弾性繊維の製造方法。
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