JP4106785B2 - ポリエステルストレッチ織物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルマルチフィラメント糸よりなるストレッチ織物に関し、より詳細には、実質的にポリエステルのみからなり且つ適度の伸縮性とドレープ性を兼ね備えたポリエステルストレッチ織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
織物に高い伸縮性を付与する手段としては、伸縮糸としてポリウレタン系弾性糸を使用し、これをカバリングヤーンやプライヤーン等の形態で織物の一部として用いたものが一般的に使用されている。
【0003】
しかしながらポリウレタン系弾性糸は、良好な伸縮性を有するものの高価であり、しかも耐アルカリ性に乏しいため、ポリエステル系織物の染色加工に必須とされるアルカリ減量加工ができない等の制約がある。
【0004】
また、ポリウレタン系弾性糸を含むポリエステル系織物はドレープ性が極端に悪く、特に婦人用薄地織物素材としては満足し得るものが得られ難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、実質的にポリエステル単独使用で、適度の伸縮性とドレープ性を兼ね備えたポリエステルストレッチ織物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成することのできた本発明にかかるポリエステルストレッチ織物とは、ポリエステルマルチフィラメント糸からなる織物をリラックス処理してなる織物であって、該織物を構成する経糸及び/又は緯糸が、下記特性( i )及び( ii )を満たすポリエステルマルチフィラメント糸の強撚糸であり、該織物の経方向及び/又は緯方向の伸長率(E)と伸長回復率(RE)が下記式 iii )及び( iv の範囲内であるところに特徴を有している。
i )沸水収縮率(SHW):0%<SHW≦3%
ii )沸水発現トルク(TQ ):50回/10cm≦TQ ≦65回/10cm
iii )伸長率(E):10%≦E≦40%
iv )伸長回復率(RE):85%≦RE<100%
本発明の上記ポリエステルストレッチ織物においては、該織物の経方向及び/又は緯方向の残留歪み率(RS)が下記式の範囲内であり、
0%<RS≦3.0%
あるいは更に、該織物のカバーファクター(CF)が下記式の範囲内であり、
1200≦CF≦2800
(但し、CFは下記式で表わされる値である)
CF=T×√DT+W×√DW
[式中、Tは織物の経密度(本/インチ)、Wは織物の経密度(本/インチ)を示し、DTおよびDWは、織物を構成する経糸および緯糸の太さ(デニール)を表わす]
また該織物の経糸及び/又は緯糸のクリンプ率(C )が下記式の範囲内であるものは、伸縮性とドレープ性の一段と優れたものとなるので好ましい。
25%≦C≦55%
[但し、Cは下記式によって算出される値をいう]
C=(L/p−1)×100(%)
[式中、Lは経糸又は緯糸の軸線長さ(mm)、pは相隣り合う緯糸又は経糸の中心間距離(mm)をそれぞれ表わす]
【0007】
また該織物を構成する経糸及び/又は緯糸として、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルマルチフィラメント糸の強撚糸を使用すれば、一層優れた特性のポリエステルストレッチ織物を得ることができるので好ましく、あるいは、撚係数(K) が下記式の範囲内であるポリエステルマルチフィラメント糸の強撚糸を用いたポリエステルストレッチ織物は、伸縮性とドレープ性の一段と優れたものとして推奨される。
12000≦K≦25000
[但し、Kは下記式で示される値をいう]
K=t×√D
[式中、tは撚数(回/m)、Dは糸条の太さ(デニール)を表わす]
【0008】
【発明の実施の形態】
上記の様に本発明では、実質的にポリエステル単独使用で、伸縮糸としてポリウレタン系弾性繊維を使用したストレッチ織物に匹敵する伸縮性を確保しつつ優れたドレープ性を確保するため、第1の要件として、ストレッチ織物の経方向及び/又は緯万向の伸長率(E )と伸長回復率(ER)を下記式の範囲に定めている。
10%≦E≦40%、 85%≦RE<100%
【0009】
即ち伸長率とは、ストレッチ織物の経方向及び/又は緯方向への伸び易さを示すもので、該伸長率が高いほど、織物のストレッチ性能は高いことを意味する。そして、該伸長率が10%未満の織物ではストレッチ性が乏しく、通常のポリエステル織物と何ら変わりのないものとなり、もはやストレッチ織物とは言えなくなるばかりでなく、伸長率が極端に小さくなると織物の可縫性にも支障をきたし、仕立て映えの良くないものとなってしまう。
【0010】
一方、ポリエステル単独使用では、上記伸長率を40%超にまで高めることが極めて困難であるばかりでなく、一般衣料用途としてはストレッチ性能が過度となり、汎用性に欠けるものとなる。即ち、伸長率が40%を超えるストレッチ織物は、一部のスポーツ衣料等を除き一般衣料用途では必ずしも必要とされず、むしろドレープ性の欠如や生地が重くなり過ぎて奇麗なシルエットが出なくなる等の障害を招く原因となる。
【0011】
次に伸長回復率とは、繰り返し伸長時の回復性能を示すもので、100%に近いほど残留歪みが少ないことを意味する。そして、織物の伸長回復率が85%未満のものでは、残留歪みによって“ワライ" や“パッカリング" 等を起こす原因となり、縫製品の外観品位に悪影響を及ぼす。従って、ストレッチ織物として優れた外観品位の一般衣料品を得るには、伸長回復率が85%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上のものであることが必須となる。
【0012】
次に本発明の上記ポリエステルストレッチ織物においては、該織物の経方向及び/又は緯方向の残留歪み率(RS)が0%超3.0%以下であることが望ましい。即ちこの残留歪み率とは、繰り返し伸長時に伸長回復しきれずに残留した歪みの割合を示すもので、この値が0%に近いほど完全に伸長回復するので好ましいといえる。
【0013】
但しこの残留歪み率が3.0%を超えると、“ワライ" や“パッカリング" が発生したり寸法安定性が悪化し、一般消費者の要求を満たし得なくなる。そのため、該残留歪み率は3.0%以下、より好ましくは2.0%以下、更に好ましくは1.0%以下に抑えることが望ましい。
【0014】
また本発明のストレッチ織物においては、織物としてのカバーファクター(F) が1200以上、より好ましくは1400以上で、2800以下、より好ましくは2000以下のものが好ましく、該カバーファクター(F )が1200未満のものでは、織物に“めよれ" や“スリップ" 等の問題が生じ易くなり、一方2800を超えると織組織がもはや繻子組織に限定され、ストレッチ性とは相反して織物の表面感が悪化する方向に転じ、外観品位的に好ましいものが得られ難くなる。
【0015】
更に本発明のストレッチ織物においては、クリンプ率(C) を25〜55%、より好ましくは30〜50%の範囲とすることにより、一段と良好なストレッチ性を確保できるので好ましい。ちなみに、該クリンプ率が25%未満では、織物の伸びしろが小さくなって織物に適度なストレッチ性を与えることができず、一方55%を超えると、織物の伸長回復時に撚糸条がスナールとなって織物表面に露出する恐れが生じ、外観品位的に満足なものが得られ難くなる。そして、該クリンプ率を25〜55%の範囲にコントロールすることによって、適度なストレッチ性を確保しつつ、上述した様な問題を生じない織物を得ることが可能となる。
【0016】
ところで本発明のポリエステルストレッチ織物は、前述の如くエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする、実質的にポリエステルマルチフィラメント糸のみからなる織物であるが、好ましくは、該ポリエステルマルチフィラメント糸からなる強撚糸を経糸及び/又は緯糸として使用し、且つ該強撚糸としては下記特性を満たすものを使用することが望ましい。
沸水収縮率(SHW ):0%<SHW≦3%
沸水発現トルク(TQ2 ):50回/10cm≦TQ2 ≦65回/10cm
【0017】
ちなみに、沸水収縮率(SHW )が0%以下の撚糸は、撚糸条が全く収縮しないか或いは自己伸長を示すものであり、“めよれ" や“縫目滑脱" などの障害を招くばかりでなく、織物がペーパーライク様の風合いとなって一般衣料用途への適性に欠けるものとなる。但し、沸水収縮率(SHW )が3%を超えて過度に大きくなると、前述したクリンプ率(C )が小さくなって織物に適度なストレッチ性を付与し難くなる。
【0018】
尚、強撚糸として用いられるポリエステルマルチフィラメント糸の糸物性自体は特に限定されないが、沸水収縮率(SHW) が0.5%以上、より好ましくは1.0%以上で、3.5%以下、より好ましくは3.0%以下である高配向低収縮延伸糸を使用することが望ましい。
【0019】
また沸水発現トルクは、染色加工におけるリラックス工程で、それまで撚止めセットにより抑えられていた撚糸トルクが開放されて生じるもので、断面二次モーメントが大きい程、また撚糸回数が多い程、大きな値を示すものとなり、この効果によって織物にふくらみ感が与えられると同時に、表面に微細なしぼが形成される。
【0020】
そして本発明の織物に与えられるストレッチ特性は、該沸水発現トルクによって撚糸条が恰もスプリングの如き働きを示すことによって与えられるもので、この沸水発現トルク(TQ2 )が50回/10cm未満では、織物にふくらみ感は付与できるものの、スプリングの働きが不十分となって満足なストレッチ性が得られ難くなる。但し、沸水発現トルク(TQ2 )が65回/10cmを超えると、スプリング効果が強くなり過ぎるため織物表面に“スナール" や“ループ" となって露出し易くなり、外観品位の低下や抗ピリング性能の低下を生じる原因となる。
【0021】
尚、ポリエステルマルチフィラメント糸に撚りを与える際に使用される撚糸機としては、ダブルツイスター、アップツイスター、リングツイスター等が例示されるが、生産性や品質面を考慮するとダブルツイスターの使用が最も好ましい。
【0022】
加撚する際の好ましい撚糸回数(K )は、適度なストレッチ性を付与する意味から12000〜25000の範囲が最適である。ちなみに、撚係数(K) が12000未満の甘撚りから中撚りの領域では、前述した沸水発現トルク(TQ2 )が極小さいものに留まり、織物に適度なストレッチ性を付与し難くなり、また25000を超える超強撚領域になると、上記沸水発現トルク(TQ2 )が大きくなり過ぎ、“スナール" や“ループ" となって織物表面に露出して外観品位の低下を招く恐れが出てくるので望ましくない。
【0023】
この様なところから、撚係数(K )は12000以上、より好ましくは13000以上で25000以下、より好ましくは22000以下の範囲とすることが、適度のストレッチ性能を付与する上で最も効果的である。
【0024】
本発明にかかるの上記ポリエステルストレッチ織物を製織する際に使用する織機に対する制限は特に存在しないが、緯糸としてポリエステルマルチフィラメントの強撚糸を打ち込む場合は、撚戻りを考慮してレピアルーム、プロジェクタイルルームの使用が望ましい。また、織組織に関しても何ら限定を加えるものではないが、本発明のポリエステルストレッチ織物では、前述の如くポリエステルマルチフィラメント強撚糸の解撚効果によるスプリング作用を利用しているため、平織、あるいは2/2綾織等の如く組織点の多い織組織の方が、外観品位の悪化を抑えることができるので好ましい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
【0026】
尚、本文中及び実施例中の物性値は、以下の方法により測定した値を意味する。
【0027】
[織物の伸長率(E) ]
1978年度版JIS L−1080 A法(定速伸長法)により、初荷重のもと、チャック間の距離が20cmとなる様に取り付け、引張速度が100%/分(20cm/分)の条件で荷重−伸長曲線を描き、この曲線から1.5kg/f荷重時の伸長率(%)を求め、3回の測定値の平均値で表す。
【0028】
[織物の伸長回復率(RE)及び残留歪み率(RS)]
1978年度版JIS L−1080 A法(繰り返し定速定伸長法)により、試料を幅5cm、チャック間隔20cmとなる様に取り付け、引張速度100%/分(20cm/分)の条件で、先に求めた伸長率の80%の伸びまで試験片を伸長してから1分間放置し、次に同じ速度で元の位置まで戻して3分間放置し、これを10回繰り返す。その後さらに同じ速度で伸ばして荷重−伸長曲線を描き、この曲線から次式により伸長回復率(RE)と残留歪み率(RS)を算出する(何れも3回測定した平均値)。
・伸長回復率(RE )(%)=(L10−l10)/L10×100
・残留歪み率(RS)(%)=l10/L0 ×100
但し、L10:伸長率の80%の伸び(cm)
10:10回繰り返し荷重を掛けた後の残留伸び(cm)
0 :試料のチャック間距離(20cm)
【0029】
[織物のクリンプ率(c) ]
経糸方向又は緯糸方向に平行に切断した試料(織物)を非緊張状態で試料台に接着し、Pt(プラチナ)スパックリングを施したものを観察試料とする。その試料断面を走査型電子顕微鏡により80倍の倍率で観察し、経糸又は緯糸の軸線長さ(mm)及び相隣り合った緯糸又は経糸の中心間距離(mm)を夫々小数点第2位(小数点第3位四捨五入)まで測定し、次式によってクリンプ率(C )を求める。
クリンプ率(C )=(L/p−1)×100(%)
[式中、Lは経糸又は緯糸の軸線長さ(mm)、Dは相隣り合った緯糸又は経糸の中心間距離(mm)を夫々表わし、測定箇所数200箇所の平均値をもって測定値とする]
【0030】
[マルチフィラメント糸の沸水収縮率(SHW) ]
試料を、枠周1.125mの検尺機を用いて0.1g/dの初荷重をかけて120回/分の速度で巻き返し、巻き回数20回の小カセを作成し、初荷重の40倍の荷重を掛けてカセ長L0 (mm)を測定する。次いで荷重を外し、収縮が妨げられない様な条件下に98℃±2℃の沸水中に30分間浸漬した後、水平状態に保って風乾する。風乾後に再度0.1g/dの荷重を付加し、カセ長Ll (mm)を測定し、下記式によりマルチフィラメント糸の沸水収縮率(SHW) を算出し、実験回数5回の平均値をもって測定値とする。
SHW(%)=(L0 −Ll )/L0 ×100
【0031】
[撚糸の沸水収縮率(SHW) ]
試料を解じょ撚りが入らない方法で約1m採取し、中央部で2つに折り返して0.5g/dの初荷重を掛け、該折り返し部から20cmの位置に油性インクで印を付ける。次いで、収縮が妨げられず且つ撚が解撚されない条件で0.2g/dの荷重下、98℃±2℃の沸水中に30分間浸漬した後、水平状態に保って風乾する。風乾後に再度0.5g/dの荷重を付加し、折り返し部分から印までの距離L2 (mm)を測定し、下記式により撚糸の沸水収縮率(SHW) を測定し、実験回数5回の平均値をもって測定値とする。
SHW(%)=(200−L2 )/200×100
【0032】
[沸水発現トルク(TQ2) ]
試料を解じょ撚りが入らない方法で約1m採取し、中央部で2つに折り返して0.1g/dの荷重を掛け、98℃±2℃の沸水中に20分間浸漬した後、水平状態に保って風乾する。風乾後の試料を、2つ折りにしたまま検撚器に真っ直ぐに装着して30cm当たりの撚数(トルク)を測定し、10cm当たりの撚数(トルク)に換算し、実験回数5回の平均値をもって測定値とする。
【0033】
実施例1
表1に示すポリエステルマルチフィラメント低収縮糸(40デニール、18フィラメント)の撚糸を経糸及び緯糸として使用し、同表に示す平織物を製織する。得られた織物を、高圧ロータリーワッシャーリラクサーで精練・リラックス処理し、190℃の乾熱予備セットを施した後、アルカリ減量処理を行い、液流染色機を用いて染色加工した後、ノニオン系の柔軟・帯電防止剤を付与した。その後、170℃の乾熱ファイナルセットを行なって染色加工布を得た。
【0034】
得られたポリエステルストレッチ織物の仕上げ性と特性値は表1に示した通りであり、適度のストレッチ性とドレープ性を有する織物に仕上がった。
【0035】
実施例2
経糸をポリエステルマルチフィラメント中収縮糸(50デニール、24フィラメント)の撚糸に代えた以外は上記実施例1と同様の方法で染色加工布を得た。
【0036】
得られたポリエステルストレッチ織物の仕上げ性および特性値は表1に示した通りであり、経方向のストレッチ性能がやや乏しいが、緯方向のストレッチ性が良好な織物に仕上がった。
【0037】
実施例3
織組織と織物規格を2/1綾織とした他は実施例1と同様の方法で染色加工布を得た。得られたポリエステルストレッチ織物の仕上げ性と特性値は表1に示した通りであり、経・緯方向共に適度なストレッチ性を有する織物に仕上がった。
【0038】
比較例1
前記実施例1と同じポリエステルマルチフィラメント低収縮糸(40デニール、18フィラメント)を使用し、撚数を1800回/mとして平織物を製織した。該平織物を、前記実施例1と同様の方法で染色加工したところ、ストレッチ性が乏しいのみならず“メヨレ" が発生するなど外観品位が不良となり、衣料用途として適したものに仕上がらなかった。
【0039】
比較例2
ポリエステルマルチフィラメント中収縮糸(50デニール、48フィラメント)の撚糸を経糸及び緯糸として使用し、平織物を製織した。該平織物を前記実施例1と同様の方法で染色加工したが、外観品質は良好であるものの、適度なストレッチ性能を付与することができなかった。
【0040】
比較例3
ポリエステルマルチフィラメント中収縮糸(40デニール、18フィラメント)を用いた以外は前記実施例1と同様の方法で染色加工布を得た。該染色加工布の外観品質は良好であるものの、ストレッチ性の乏しいものに仕上がった。
【0041】
【表1】
Figure 0004106785
【0042】
尚、上記実施例1のポリエステルストレッチ織物において、織物表面、経糸及び緯糸の形状を確認するため、織物表面及び経緯断面、織物から取り出した経糸及び緯糸の側面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影し、それぞれを図1〜図5に示した。図1は、実施例1の織物表面(倍率50倍)、図2,3は、それぞれ経糸および緯糸の断面(何れも倍率80倍)を表す。また、図4, 5は、該織物から取り出した経糸及び緯糸の側面(何れも倍率60倍)である。
【0043】
これらのSEM写真からも明らかな様に、実施例の織物は経・緯糸共にかなり屈曲した形態をなしており、微細な凹凸(しぼ)が表面に現れている。また、織物から取り出した経糸及び緯糸はスプリングの如き形態をとっており、その形状効果により適度なストレッチ性が与えられている。
【0044】
また、ポリウレタン弾性糸の様に糸条自体が伸縮するのではなく、スプリング構造が伸び縮みしてストレッチ性を発揮するものであるから、ブラウスやドレスなど婦人薄地織物に必要不可欠なドレープ性が損なわれる恐れもない。
【0045】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、このストレッチ織物は、実質的にポリエステルマルチフィラメント糸のみからなるものであるから、ポリウレタン系弾性糸を用いた従来のストレッチ織物に比べて比較的安価であり、しかもアルカリ減量加工による極度の脆化を伴うこともない。また、この織物は適度の伸縮性とドレープ性を有しているため、ポリウレタン系弾性糸を用いた従来のストレッチ織物では出すことのできなかった綺麗なシルエットを発現させることができ、特に美的意匠感の求められるブラウスやドレスなど婦人用薄地衣料への展開が可能となるなどの効果を享受できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験で得た織物の表面性状を示すSEM写真(50倍)である。
【図2】実験で用いた経糸の断面形状を示すSEM写真(80倍)である。
【図3】実験で用いた緯糸の断面形状を示すSEM写真(80倍)である。
【図4】実験で得た織物から抜き出した経糸の側面形状を示すSEM写真(60倍)である。
【図5】実験で得た織物から抜き出した緯糸の側面形状を示すSEM写真(60倍)である。

Claims (6)

  1. ポリエステルマルチフィラメント糸からなる織物をリラックス処理してなる織物であって、該織物を構成する経糸及び/又は緯糸が、下記特性( i )及び( ii )を満たすポリエステルマルチフィラメント糸の強撚糸であり、該織物の経方向及び/又は緯方向の伸長率(E)と伸長回復率(RE)が下記式 iii )及び( iv の範囲内であることを特徴とするポリエステルストレッチ織物。
    i )沸水収縮率(SHW):0%<SHW≦3%
    ii )沸水発現トルク(TQ ):50回/10cm≦TQ ≦65回/10cm
    iii )伸長率(E):10%≦E≦40%
    iv )伸長回復率(RE):85%≦RE<100%
  2. 織物の経方向及び/又は緯方向の残留歪み率(RS)が下記式の範囲内である請求項1に記載のポリエステルストレッチ織物。
    0%<RS≦3.0%
  3. 織物のカバーファクター(CF)が下記式の範囲内である請求項1または2に記載のポリエステルストレッチ織物。
    1200≦CF≦2800
    (但し、CFは、下記式で表わされる値である)
    CF=T×√DT+W×√DW
    [式中、Tは織物の経密度(本/インチ)、Wは織物の緯密度(本/インチ)を示し、DTおよびDWは、織物を構成する経糸および緯糸の太さ(デニール)を表わす]
  4. 織物の経糸及び/又は緯糸のクリンプ率(C)が下記式の範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルストレッチ織物。
    25%≦C≦55%
    [但し、Cは下記式によって算出される値をいう]
    C=(L/p−1)×100(%)
    [式中、Lは経糸又は緯糸の軸線長さ(mm)、pは相隣り合う経糸又は緯糸の中心間距離(mm)をそれぞれ表わす]
  5. 織物を構成する経糸及び/又は緯糸が、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルマルチフィラメント糸の強撚糸である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルストレッチ織物
  6. ポリエステルマルチフィラメント強撚糸の撚係数(K)が下記式の範囲内である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルストレッチ織物。
    12000≦K≦25000
    [但し、撚係数Kとは下記式で示される値をいう]
    K=t×√D
    [式中、tは撚数(回/m)、Dは糸条の太さ(デニール)を表わす]
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