JPH10195732A - ポリエステルストレッチ織物及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステルストレッチ織物及びその製造方法

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JPH10195732A
JPH10195732A JP8349560A JP34956096A JPH10195732A JP H10195732 A JPH10195732 A JP H10195732A JP 8349560 A JP8349560 A JP 8349560A JP 34956096 A JP34956096 A JP 34956096A JP H10195732 A JPH10195732 A JP H10195732A
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JP
Japan
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yarn
polyester
twist
twisting
elongation
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JP8349560A
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Inventor
Ukou Nishida
右広 西田
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリウレタン弾性糸を使用することなく、ソフ
トな触感、適度なドレープ性、更には適度な伸縮性を有
するポリエステルストレッチ織物を提供する。 【解決手段】ポリエステルマルチフィラメント糸に、撚
係数Kが1500〜8000の甘撚を施し、撚止めセットを施さ
ずに、施撚方向が該甘撚方向と同方向になるが如く仮撚
加工を施し、次いで該仮撚解撚方向に撚係数Kが10000
〜30000の追撚を施した先撚仮撚加工糸の追撚糸を、そ
のまま或いは該糸条を含む複合糸の形態で、経糸及び/
又は緯糸として使用してなるポリエステルストレッチ織
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルマル
チフィラメント糸から構成されるポリエステルストレッ
チ織物に関する。更に詳しくは、アルカリ減量加工によ
る引裂強力低下等の生地脆化の問題がなく、しかも、従
来のポリウレタン弾性糸を使用したストレッチ織物に比
し、安価に製造出来、尚且つ取扱性能も良好なポリエス
テルストレッチ織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成繊維マルチフィラメント糸よりなる
織物に伸縮性を付与する方法として、特にナイロン織物
に於いてポリウレタン弾性糸を、カバーリング糸或いは
交織糸として用いてなる織物が、ファンデーション用途
或いはスポーツ衣料用途として広く展開されてきた。
【0003】しかしながら、このような方法をポリエス
テル織物に応用することは、事実上困難であった。即
ち、ポリエステル織物に於いては、ドレープ性やソフト
感等の風合いを好適化するためには、アルカリ減量加工
が必須なものとなり、耐アルカリ性に乏しいポリウレタ
ン弾性糸を、ポリエステルと組み合わせて使用すること
は織物の消費性能を考慮すると好ましくないのである。
【0004】また、仮にポリエステルをポリウレタン弾
性糸と組み合わせたとしても、価格的に大変高価なもの
となり、一般消費者に対しては価格面で満足のいくレベ
ルには達していない現状にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ソフトな触
感、適度なドレープ性、更には適度な伸縮性を有するポ
リエステルストレッチ織物を提供することを課題とする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、エチレンテレ
フタレート成分を85重量%以上含むポリエステルから
なるマルチフィラメント糸を経糸及び/又は緯糸に使用
してなり、且つラベルドストリップ法による伸長弾性率
が95%以上、30秒後の伸長回復率が70%以上、1
時間後の伸長回復率が85%以上であるポリエステルス
トレッチ織物を提供するものである。
【0007】また、本発明は、上記ポリエステルストレ
ッチ織物の製造法を提供するものでもある。
【0008】即ち、本発明は、エチレンテレフタレート
成分を85重量%以上含むポリエステルからなるマルチ
フィラメント糸に、下記式 撚係数K=Tw×√D [式中、Twは糸条に挿入する撚数(回/m)を、Dは
糸条の総デニール(Den.)をそれぞれ示す。]によ
って示される撚係数Kが1500〜8000の甘撚を施
した後、撚止めセットを施さずに、施撚方向が該甘撚方
向と同方向になるが如く仮撚加工を施し、次いで該仮撚
解撚方向に(即ち、仮撚施撚方向と逆方向に)撚係数K
が10000〜30000の追撚を施した先撚仮撚加工
糸の追撚糸、又は該糸条を含む複合糸を、経糸及び/又
は緯糸として使用して製織することを特徴とするポリエ
ステルストレッチ織物の製造法をも提供するものであ
る。
【0009】更に、本発明は、エチレンテレフタレート
成分を85重量%以上含むポリエステルからなるマルチ
フィラメント糸に、上記撚係数Kが1500〜8000
の甘撚を施した後、撚止めセットを施さずに、施撚方向
が該甘撚方向と同方向になるが如く仮撚加工を施し、次
いで該仮撚解撚方向に撚係数Kが10000〜3000
0の追撚を施した先撚仮撚加工糸の追撚糸、又は該糸条
を含む複合糸を、経糸及び/又は緯糸として使用して製
織することにより得られうるポリエステルストレッチ織
物を提供するものである。
【0010】上記本発明の織物において、経糸密度と緯
糸密度との密度比(T/W)は、下記式 1.2≦T/W≦4.0 [式中、Tは経糸密度(本/インチ)を、Wは緯糸密度
(本/インチ)を示す。]で示される範囲のものである
のが好ましい。
【0011】また、本発明において、上記ポリエステル
マルチフィラメント糸(即ち、上記製造法の先撚仮撚加
工糸の追撚糸)は、下記物性 10%伸長時伸長回復応力≧1.75g/d 10%伸長時伸長回復度≧0.80 を有しているのが好ましい。
【0012】また、本発明の織物には、アルカリ金属水
酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物から選ばれた少な
くとも1種の水溶液によってアルカリ減量処理を施して
もよい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、まず、本発明織物の経糸及
び/又は緯糸として使用するポリエステルマルチフィラ
メント糸について説明し、次いで、本発明織物について
説明する。
【0014】1.ポリエステルマルチフィラメント糸に
ついて 本発明のポリエステルストレッチ織物に使用するポリエ
ステルマルチフィラメント糸を構成するポリエステル
は、エチレンテレフタレート成分を85重量%以上、好
ましくは95重量%以上含むことが必要であり、85重
量%末満であると、上記アルカリ加水分解による脆化が
著しくなり、生地物性が低下してしまうので、望ましい
領域ではない。
【0015】上記ポリエステルのエチレンテレフタレー
ト成分以外の構成成分に関しては特に限定を加えるもの
ではないが、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸等を共重合せしめたポリエステルを15重量%
未満、好ましくは5重量%未満の範囲で含有させること
も可能である。
【0016】更に必要に応じて、二酸化珪素、二酸化チ
タン、硫酸バリウム、カオリナイト等の無機微粒子を適
当量、例えば、0.05〜2.0重量%程度含有させて
も構わない。
【0017】また、上記ポリエステルマルチフィラメン
ト糸を構成するポリエステルは、極限粘度数〔η〕が
0.55〜0.75の範囲であるのが好ましい。該極限
粘度数〔η〕が0.55未満であれば、アルカリ減量加
工による加水分解作用による脆化によって生地物性、特
に引裂強力の低下を引き起こし、一般消費性能を充分に
満足し得るものとはならない。また極限粘度数〔η〕
が、0.75を超えると、生地物性の低下の問題は軽減
されるものの、アルカリ加水分解が促進され難くなり、
風合い合わせのためにアルカリ減量加工時間を長くとる
必要があり、望ましくない。従って、上記極限粘度数
〔η〕は、0.60〜0.70程度の範囲であるのがよ
り好ましい。
【0018】また、本発明で使用される供給ポリエステ
ルマルチフィラメント糸は、通常の溶融紡糸によって得
られるものを使用することができる。該供給ポリエステ
ルマルチフィラメント糸は、スビンドローにより得られ
るものであってもよいし、紡糸巻取した後、別工程に於
いて延伸処理を行った糸条を用いても構わない。勿論、
紡糸引取速度についても特に限定を加えるものではな
く、通常使用される領域、例えば2000m/min.〜6
000m/min.程度の範囲が好適に使用される。
【0019】本発明で使用するポリエステルマルチフィ
ラメント糸の構成デニール、構成単糸デニール、断面形
態については特に限定を加えるものではないが、一般衣
料用途の場合、総デニールは30〜400デニール程
度、好ましくは30〜200デニール程度が、構成単糸
デニールは0.1〜10デニール程度、好ましくは0.
5〜5.0デニール程度が推奨される。
【0020】該ポリエステルマルチフィラメント糸の断
面形態については、特に限定はなく、従来公知の断面形
態を有するものが広い範囲から使用でき、丸断面糸の
他、三角断面やその他多角断面糸、或いは偏平断面糸等
々いずれをも使用することが出来る。また中実断面糸の
他、中空断面糸も使用し得る。
【0021】本発明では、上記ポリエステルマルチフィ
ラメント糸に、(a)撚係数Kが1500〜8000の
範囲の甘撚を施した後、(b)施撚方向が該甘撚方向と
同方向になるが如く仮撚加工を施し、次いで(c)該仮
撚解撚方向に撚係数K=10000〜30000の追撚
を施した先撚仮撚加工糸の追撚糸、或いは該糸条を含む
複合糸を、経糸及び/又は緯糸として使用する。
【0022】即ち、本発明では、ポリエステルマルチフ
ィラメント糸に対して、上記に示した範囲の甘撚を施し
た後、仮撚施撚方向が該先撚施撚方向と同方向になるが
如く仮撚加工を施し、次いで追撚を仮撚施撚方向と逆方
向に挿入する。
【0023】以下、これら工程について、詳しく説明す
る。
【0024】(a)先撚工程 該先撚仮撚加工糸を得る際の先撚挿入(甘撚挿入)につ
いては、イタリ撚糸機、アップツイスター、ダブルツイ
スター等々一般の撚糸機を使用して常法に従い行なえば
よい。
【0025】その際にポリエステルマルチフィラメント
糸に挿入される甘撚は、前記した撚係数Kの範囲で示す
と1500〜8000、好ましくは4000〜6000
の範囲であることが必要である。
【0026】該撚係数Kが1500未満の範囲となる
と、先撚仮撚加工糸の追撚糸、或いは該糸条を含む複合
糸の伸長回復性能が乏しく、該糸条を使用したポリエス
テル織物はキックバック特性(織物を伸張した時に歪み
が戻る際の戻り良さを示す特性)が乏しくなってしま
い、織物を伸長させても回復しきれず、所謂ワライ(歪
みが回復せずに、織物が伸びて元に戻らなくなってしま
った状態)が生じてしまい、消費性能を満足し得るもの
にはならない。また逆に、該撚係数Kが8000を著し
く超過すると、先撚を施した後の仮撚加工の際、仮撚施
撚ゾーンにおいて、ポリエステルマルチフィラメント糸
に実質的に加えられる撚りが多くなり過ぎてしまい、切
れ毛羽を生じさせ、工程通過性を悪化させるばかりでな
く、断糸に至る等の諸問題が生じ、仮撚操業性を考慮す
ると好ましい領域ではない。
【0027】また、本先撚工程で行う甘撚は、上記ポリ
エステルマルチフィラメント糸を加熱することなく行な
う。こうして得られた先撚糸は、撚止めセットを施すこ
となく、シリンダー又は紙管或いはボビンに巻き取られ
る。
【0028】(b)仮撚工程 上記先撚(甘撚)に引き続き、得られた撚糸に対して、
該甘撚方向と同方向の施撚方向で、仮撚加工機を使用
し、実質的に延伸されないような条件にて、仮撚加工を
施す。
【0029】使用される仮撚加工機としては、ピン仮撚
加工機の他、セラミックディスク或いはウレタンディス
クを施撚体とする多軸外接型摩擦仮撚加工機やベルトニ
ップ式仮撚加工機等々市販の仮撚加工機が挙げられる。
【0030】仮撚条件は、上記先撚工程での撚係数Kの
程度等によっても変わりうるが、一般には、特にピン仮
撚加工機を使用した場合には、加工速度50〜150m
/分、撚係数K=10000〜27000程度、好まし
くは17000〜26000程度、ヒーター温度160
〜220℃、糸条張力0.05〜0.5g/yarn.
程度を採用するのが好ましい。
【0031】また、この仮撚工程においては、上記先撚
工程(a)で得られた甘撚糸は、撚糸トルクがあるの
で、ビリ止めのボビンキャップ等を経て、仮撚加工機に
供給するのが好ましい。 即ち、甘撚糸は、糸にかかる
張力が下がるとビリやスナールを発生しやすくなるの
で、適当な張力を付加することによりこれらビリやスナ
ール発生を抑制するのが好ましい。従って、上記ビリ止
めのボビンキャップに限らず、ビリやスナール発生を抑
制できるのに有効な適当な張力を付加できる手段や装置
であれば、どのようなものを使用しても良い。
【0032】(c)追撚工程 上記仮撚工程で得られた先撚仮撚加工マルチフィラメン
ト糸は、引き続き、追撚を施されるが、この追撚挿入に
ついても、先撚挿入の際と同様に、市販されている何れ
の撚糸機によって行なっても構わない。しかし、工程通
過性や生産性等を考慮するとダブルツイスターの使用が
適している。
【0033】この追撚工程では、上記で得た先撚仮撚加
工糸を、仮撚解撚方向に、撚係数Kが10000〜30
000の追撚を施す。
【0034】該追撚撚数が、撚係数Kで示して1000
0未満の範囲となると、得られる先撚仮撚追撚糸の伸長
回復特性がストレッチ織物に使用するには軽微なものと
なり、良好なストレッチ特性を与えることが出来ない。
また、該追撚撚数が、撚係数Kで示して30000を著
しく超過する範囲となると、追撚の効果が強くなり過ぎ
てしまい、風合い的にも硬くなり過ぎてしまう他、単糸
間の自由度も小さくなってしまう結果、伸長回復特性が
非常に軽微なものとなってしまうので、好ましい範囲で
あるとはいえない。
【0035】該追撚挿入の後、糸条の取扱性を向上させ
るために撚止めセットを施すことが望ましい。該撚止め
セットにはバキュームヒートセッターやライドンボック
ス等を使用することができる。該撚止めセット温度に関
しては過度に高い温度で処理することは望ましくなく、
糸条のガラス転移点近傍、具体的には65℃〜85℃の
温度領域に於ける処理が望ましい。
【0036】上記のようにして(a)先撚、(b)仮撚
加工及び(c)追撚を行なって得られた先撚仮撚追撚糸
は、下記物性を有することが好ましい: 10%伸長時伸長回復応力≧1.75g/d 10%伸長時伸長回復度≧0.80。
【0037】該10%伸長時伸長回復応力は、引張試験
機を用い、糸条を10%伸長させた後、歪みをゼロに戻
した時の歪みの回復応力を示すものである。10%伸長
時伸長回復応力が1.75g/d(即ち、gram/denier)
未満の範囲となれば、織物にした際のキックバック性に
乏しく、伸長させても織物が元の長さに戻らず、パッカ
リング(波打ち現象)やワライといった問題を引き起こ
してしまい、消費性能的に好ましい領域であるとはいえ
ないので、1.75g/d以上、好ましくは1.90〜
3.00g/d程度であるのが望ましい。
【0038】また、上記10%伸長時伸長回復度は、引
張試験機を用い、糸条を10%伸長させた後、歪みをゼ
ロに戻した時の回復度を表す指標であり、完全に回復す
ると1.0の数値となる。該10%伸長時伸長回復度が
0.80未満の範囲の糸条を使用すると、織物を伸長し
た際、残留歪みが生じてしまい、パッカリングやワライ
といった諸問題を引き起こしてしまう恐れが大きいの
で、0.80以上、より好ましくは0.85以上である
ことが望ましい。
【0039】また、上記先撚仮撚加工糸の追撚糸は、そ
のまま使用しても良いが、必要に応じて、他のポリエス
テルマルチフィラメント糸と複合した複合糸として使用
しても良い。他のポリエステルマルチフィラメント糸と
の複合方法については、特に限定を加えるものではない
が、合撚、引揃え等々が例示される。合撚の際には、先
撚仮撚追撚糸の追撚方向に加撚することが望ましく、追
撚方向と逆方向に加撚するとストレッチ特性が低下して
しまい好ましいものとはならない。
【0040】2.織物について 本発明では、上記のようにして(a)先撚、(b)仮撚
及び(c)追撚を行なって得られた先撚仮撚追撚糸を、
そのままで或いは他のポリエステルマルチフィラメント
糸と複合した複合糸の形態で、経糸及び/又は緯糸とし
て使用して織物を構成する。
【0041】本発明の先撚仮撚加工糸の追撚糸を、経糸
又は緯糸の一方のみに使用する場合、経糸又は緯糸の他
方として使用する素材としては、通常のポリエステルマ
ルチフィラメント糸条、ポリエステル紡績糸、ポリエス
テルマルチフィラメント仮撚加工糸、ポリエステルマル
チフィラメント異収縮混繊糸等を例示することができ
る。
【0042】このように本発明の先撚仮撚追撚糸(A)
を、他の通常のポリエステルマルチフィラメント糸
(B)と組み合わせて使用する場合、これら糸の配列と
しては、特に限定されるものではなく、例えば、ABA
BAB・・・やAABBAABB・・・のような配列を
例示することができる。
【0043】本発明のポリエステルストレッチ織物は、
本発明の先撚仮撚追撚糸を単独で経糸及び緯糸として使
用する場合も、他の通常のポリエステルマルチフィラメ
ント糸条と組み合わせて使用する場合も、経糸密度
(T)と緯糸密度(W)との密度比(T/W)が、1.
2以上4.0以下、より好ましくは2.0以上3.7以
下程度のサテン組織を有しているのが最も好ましい。該
密度比(T/W)が1.2未満の通常のヒラ組織では、
本発明の意図する良好なストレッチ特性が得られ難く、
好ましい領域ではない。また、該密度比(T/W)が
4.0を超過する領域となれば、経糸密度に比べ緯糸密
度が少な過ぎ、スリップ等の取扱いに於ける諸問題を引
き起こしてしまう恐れがあり、好ましくない。
【0044】経糸と緯糸の浮き糸比率は、特に限定され
るものではなく広い範囲から適宜選択すればよいが、経
糸:緯糸=1:1では、ストレッチ性が不十分となる傾
向があり、また、経糸:緯糸=5:1を越えるとスナッ
ギングが発生するようになるので、経糸:緯糸=2:1
〜4:1とするのが好ましい。
【0045】本発明の織物の織組織としては、上記サテ
ン組織、ヒラ組織に限らず、ツイル組織やその他の各種
の変化組織を広い範囲から採用することができる。
【0046】本発明のポリエステルストレッチ織物は、
上述の先撚仮撚追撚糸を、そのまま或いは他のポリエス
テルマルチフィラメント糸と複合した複合糸の形態で、
経糸及び/又は緯糸として織物を構成するものである
が、緯糸として使用した場合は製織の際、緯入れ張力を
過度に増加させぬよう張力管理を充分に行うのが好まし
い。
【0047】製織の方法としては、従来公知の方法がい
ずれも使用できる。織機としてはフライシャットル式、
エアージェット式、ウォータージェット式、レピア式、
スルザー式の何れの経入れ方式の織機を使用してもよい
が、上記張力管理を行う点ではレピア織機の使用が最も
好ましい。
【0048】本発明のポリエステルストレッチ織物は製
織した後、精練・リラックス工程及びプレセット工程を
施し、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸
化物から選ばれた少なくとも一種の水溶液を使用してア
ルカリ減量処理を行った後、染料による染色加工を施さ
れ、乾熱のファイナルセットを施される。
【0049】製織後のこれら工程は、いずれも、この分
野で慣用されている方法に従って、所望の風合い、色等
が得られるように行われる。
【0050】上記アルカリ減量処理は、必ず実施する必
要はなく、本発明織物がリラックス処理後充分ソフトな
ものであれば、アルカリ減量処理は不要である。
【0051】また、上記アルカリ減量加工に使用される
アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化
物は、水酸化ナトリウムの他、水酸化カルシウム、水酸
化カリウム等々が好適に使用される。
【0052】該アルカリ減量処理に於けるアルカリ金属
の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物から選ばれ
た少なくとも一種の濃度に関しても特に限定を加えるも
のではなく、通常の領域、例えば15g/リットル〜5
0g/リットル、好ましくは20g/リットル〜30g
/リットルの領域が好適に使用される。アルカリ減量処
理の温度についても特に限定を加えるものではなく、浴
温として75℃〜95℃程度、好ましくは85℃〜95
℃程度の範囲が好適に使用される。アルカリ減量処理に
使用する装置の機種についても特に限定を加えるもので
はなく、通常使用される液流染色機も用いることができ
る。
【0053】本発明のポリエステルストレッチ織物は、
100%ポリエステル系繊維からなるものであり、アル
カリ減量による風合い合わせが、ポリウレタン弾性糸を
組み合わせてなるストレッチ織物と比較し、いとも簡単
であり且つ価格的にも安価である。
【0054】本発明のポリエステルストレッチ織物は通
常のポリエステル織物と同様、アルカリ減量加工して風
合い合わせをした後、染色加工を施される。ポリウレタ
ン弾性糸を組み合わせてなるストレッチ織物がポリウレ
タン弾性糸とポリエステル繊維間で染着差が生じ、イラ
ツキが生じてしまうのに対して、本発明のポリエステル
ストレッチ織物は100%ポリエステル系繊維で構成可
能なため、上記のような問題を発生させることがない。
【0055】しかも、本発明のポリエステルストレッチ
織物は、通常のポリエステル織物で一般的に使用される
100℃〜130℃の高温高圧染色にも充分耐え得、し
かも通常のポリエステル織物と同系の染料で染色可能で
ある。
【0056】該染色加工には通常ポリエステル織物で使
用される染色機であれば如何なるものも使用可能である
が、過度に引張力を与える機構で染色加工を行う機種
は、適度なストレッチ特性を損なってしまう恐れがあ
り、避けることが望ましい。
【0057】また精練後の乾熱プレセットや染色後の乾
熱ファイナルセットにおいても、適度なストレッチ特性
を損ねないように、過度に引張力を加えない条件を採用
することが望ましい。
【0058】上記のように製織工程で製織され、製織工
程後の各種処理を施して得られる本発明のポリエステル
ストレッチ織物は、従来のポリウレタン弾性糸を使用す
ることなく適度なストレッチ特性を布帛に与えたもので
あるが、該ポリエステルストレッチ織物の伸長サイド、
例えば緯糸のみに該伸長特性を付与した場合は緯方向に
対する伸長弾性率及び伸長回復率が、経糸及び緯糸双方
に該伸長特性を付与した場合はその双方向に対する伸長
弾性率及び伸長回復率が、下記範囲にあることが必要で
ある: ラベルドストリップ法による伸長弾性率が95%以上、 30秒後の伸長回復率が70%以上、 1時間後の伸長回復率が85%以上 尚、これら物性の測定法については、後述する。
【0059】上記ラベルドストリップ法による伸長弾性
率が95%未満の範囲となれば、伸長後の残留歪み、即
ち残留伸びが5%以上となってしまい、ワライやパッカ
リングと呼ばれる問題が生じる恐れが大きく、消費性能
的に好ましくない。該伸長弾性率が95%以上、より好
ましくは100%を保持すると、布帛にした際のワライ
やパッカリング等の発生を抑制することが出来、好まし
いといえる。
【0060】伸長回復率については、除重後の経時によ
って、通常、徐々に歪みが回復し、最後は完全に元の長
さに戻るか、ある程度伸長してしまい残留歪みが永久歪
みとなって残存してしまうかの何れかの結果となる。
【0061】本発明において、30秒後及び1時間後の
伸長回復率については、何れも100%により近い値を
示すものが好ましい。ポリウレタン弾性糸を使用したス
トレッチ織物の場合は該伸長回復率はほぼ100%か、
それに限りなく近い値を示すが、本発明のポリエステル
ストレッチ織物の場合は、100%ポリエステルマルチ
フィラメント糸で構成されているために、ポリウレタン
弾性糸を使用したストレッチ織物のような高い伸長回復
性を示すものではない。
【0062】しかし、それにも拘わらず、本発明のポリ
エステルマルチフィラメントストレッチ織物は、婦人衣
料用途を考慮した際の一般消費性能を満足し得る範囲と
して、30秒後の伸長回復率が70%以上であり、1時
間後の伸長回復率が85%以上であるという性能を有す
るものである。該30秒後及び1時間後の伸長回復率
が、上記範囲以下となれば良好なストレッチ性能を消費
者が感じ得るものとはならず、好ましくない。
【0063】
【実施例】以下、本発明を実施例を用い、より具体的に
説明する。勿論、本発明は以下に例示した実施例に制限
されるものではない。
【0064】尚、本文中及び実施例中のファクターの測
定法、算出法は以下の通りである。
【0065】〔極限粘度数〔η〕の測定法〕75重量%
のp−クロロフェノールと25重量%のテトラクロロエ
タンからなる混合溶媒中で、重合体(ここではポリエス
テル)を室温条件下で溶解する。該溶液を、30℃±
0.5℃の調温条件下で、オストワルド−フェンスケ毛
細粘度計を使用し、粘度測定を実施する。極限粘度数に
ついては、溶液粘度の溶媒粘度に対する比の自然対数
を、溶液100ml当たりの重合体のグラム数で表した
重合体溶液の濃度によって除した値が濃度ゼロに接近す
る際の極限値を示すものである。
【0066】〔160℃乾熱収縮率(SHD)の測定
法〕試料に1/30g/dの荷重を掛け、その長さd1
(mm)を測定する。次いで、その荷重を取り除き、試
料を乾燥機に入れ160℃で30分間乾燥する。乾燥後
冷却し、再度1/30g/dの荷重を試料に掛けて、その
長さd2(mm)を測定する。上記d1、d2を下記式
に代入し、乾熱収縮率SHDを算出する。
【0067】 SHD(%)=[(d1−d2)/d1]×100 尚、測定回数5回の平均値を以てその測定値とした。
【0068】〔糸条の伸長回復度の測定法〕引張試験機
(オリエンテック社製「テンシロンUTM−III型」)
を使用し、試料長200mm、引張スピード200mm
/min.、チャートスピード200mm/min.で10%歪み
を与えた後、同条件で歪みをゼロ(残留歪みが生じる場
合は完全にはゼロにならない)まで戻した応力−歪み曲
線を作成し、図1にて示されるa、bにより下記式に基
づき伸長回復度を算出した: 伸長回復度=b/a 尚、測定回数5回の平均値を以てその測定値とした。
【0069】〔糸条の伸長回復応力の測定法〕引張試験
機(オリエンテック社製「テンシロンUTM−III
型」)を使用し、試料長200mm、引張スピード20
0mm/min.、チャートスピード200mm/min.で1
0%歪みを与えた後、同条件で歪みをゼロ(残留歪みが
生じる場合は完全にはゼロにならない)まで戻した応力
−歪み曲線を作成し、その時の応力値を求めたものであ
る。尚、測定回数5回の平均値を以てその測定値とす
る。
【0070】〔布帛のラベルドストリップ法による伸長
弾性率の測定法〕引張試験機(オリエンテック社製「テ
ンシロンUTM−III型」)を使用し、試料長200m
m、引張スピード200mm/min.で、歪みが5%とな
るまで引き伸ばし、1分間放置後、上記引張スピードと
同じ速度で除重し、3分放置後、再び上記と同じ引張ス
ピード引き伸ばす。図2にて示される荷重−伸長曲線か
ら残留伸びを測定し、次式で伸長弾性率を算出する。な
お、図2において、初荷重は、0.2g/dである。測
定回数5回の平均値を以てその測定値とする: 伸長弾性率(%)=[(L−L1)/L]×100 上記式中、Lは一定伸び(mm)を、L1は残留伸び
(mm)を、それぞれ示す。
【0071】〔布帛の伸長回復率の測定法〕引張試験機
(オリエンテック社製「テンシロンUTM−III型」)
を使用し、試験片を上部クランプに固定し、試験片が伸
長せずに且つ不自然な雛が入らない程度の初荷重をかけ
た後、下部クランプを固定し、次いで200mmの間隔
に印をつけ、静かに1.5Kgfの荷重をかけ、1時間
放置後、印間の長さを計測する。次いで除重し、30秒
後及び1時間後に初荷重をかけ、再度印間の長さを計測
し、次式で伸長回復率を算出する。測定回数5回の平均
値を以てその測定値とする: 伸長回復率(%)=[(L1−L2)/(L1−L
0)]×100 上記式中、L0は元の印間の長さ(20cm)、L1は
1.5Kgfの荷重を1時間掛けた後の印間の長さ(c
m)、L2は除重後30秒後、1時間後に初荷重を掛け
た時の印間の長さ(cm)をそれぞれ示す。
【0072】実施例1 (1)先撚仮撚追撚糸の製造 極限粘度数〔η〕が0.633であるポリエチレンテレ
フタレートセミダルレジン(エチレンテレフタレート成
分含量=97.5重量%、二酸化チタン微粒子0.2重
量%含有、残部=ポリエステル重合過程で生じた副生成
物)を使用し、通常の溶融紡糸法によってポリエステル
マルチフィラメント未延伸糸110デニール36フィラ
メント丸断面糸を得た。巻き取った後、引き続き延伸機
を使用して1.47倍に延伸し、ポリエステルマルチフ
ィラメント延伸糸75デニール36フィラメント丸断面
糸とした。
【0073】(a)該延伸糸を村田機械社製ダブルツイス
ターNo.302型を使用し、Z撚方向に500回/m
の甘撚を挿入した(撚係数K=4330)。得られた甘
撚糸は、撚止めセットを施すことなく、シリンダーに捲
き取り、引き続く仮撚工程に供した。
【0074】(b)引き続き三菱重工業社製仮撚機LS−
6型を使用し、仮撚施撚方向がZ撚方向となるように仮
撚加工を施した。なお、この仮撚加工は、ビリ込み防止
のために、ビリ止めのボビンキャップを甘撚糸のシリン
ダーにつけて、実施した。
【0075】仮撚条件は、加工速度90m/分、撚数3
000回/m、ヒーター温度220℃、仮撚施撚領域へ
の糸条過供給率+3.0%、糸条張力10.1g/ya
rn.である。
【0076】該先撚仮撚加工を施されたマルチフィラメ
ント糸を、捲き取った。この結果、捲き取られた先撚仮
撚糸には、先撚の分だけ撚が残る(Z500回/m) (c)上記捲き取り後、村田機械社製ダブルツイスターN
o.302型を使用し、S撚方向に2500回/mの追
撚を施し(撚係数K=21650)、撚糸シリンダーに
巻き取った。
【0077】該先撚仮撚追撚糸を、バキュームヒートセ
ッターを使用し、処理温度85℃、処理時間40分の各
条件で撚止セットを実施した。
【0078】こうして得られた該先撚仮撚追撚糸75デ
ニール36フィラメントは、10%伸長時伸長回復応力
が1.842g/d、10%伸長時伸長回復度が0.8
52であった。
【0079】(2)織物の製造 該先撚仮撚追撚糸75デニール36フィラメントを緯糸
として、経糸に東洋紡エステル50デニール36フィラ
メントブライト三角断面糸をS撚方向に300回/m施
撚した糸条を使用し、ウォータージェット織機にて織上
密度が経274本/in、緯93本/inの5枚朱子に
製織した。
【0080】該製織布に、精練、リラックス、プレセッ
ト、アルカリ減量、染色、ファイナルセットという通常
の染色加工を施し、仕上密度として経382本/in、
緯107本/inの染色加工布を得た。ちなみに、減量
率は、17%で実施した。
【0081】該染色加工布は緻密感があり、上品な光沢
を有する、パンツやスカート、ドレス等々、婦人衣料用
途に好適な外観、風合いを有する織物に仕上がった。
【0082】また、緯糸方向に於けるラベルドストリッ
プ法による伸長弾性率は100%、30秒後の伸長回復
率は77.8%、1時間後の伸長回復率は88.9%の
値をそれぞれ示すものであり、ストレッチ特性評価はポ
リウレタン弾性糸を使用してなるストレッチ織物と比較
出来る程のものではないが、婦人衣料に使用するには適
度なストレッチ性能を有するものとなり、過度の引張張
力で引張しない限りワライやパッカリング等の諸問題を
引き起こすものではなかった。
【0083】比較例1 甘撚を行わなわず、仮撚加工と追撚加工を行なう以外は
実施例1と同様にして、織物を得た。より詳しくは、下
記の操作を行なった。
【0084】(1)仮撚追撚糸の製造 実施例1で使用したものと同一の極限粘度数〔η〕が
0.633であるポリエチレンテレフタレートセミダル
レジンを使用し、通常の溶融紡糸法によってポリエステ
ルマルチフィラメント未延伸糸110デニール36フィ
ラメント丸断面糸を得た。巻き取った後、引き続き延伸
機を使用して1.47倍に延伸し、ポリエステルマルチ
フィラメント延伸糸75デニール36フィラメント丸断
面糸とした。
【0085】該延伸糸を三菱重工業社製仮撚機LS−6
型を使用し、仮撚方向がZ方向になるように仮撚加工を
施した。仮撚条件は加工速度90m/分、撚数3000
回/m、ヒーター温度220℃、仮撚施撚領域への糸条
過供給率+3.0%、糸条張力8.2g/yarn.で
ある。
【0086】該仮撚加工を施されたマルチフィラメント
糸を巻き取った後、村田機械杜製ダブルツイスターN
o.302型を使用しS撚方向に2000回/mの追撚
を施し(撚係数K=17320)、撚糸シリンダーに巻
き取った。
【0087】該仮撚追撚糸をバキュームヒートセッター
を使用し、処理温度85℃、処理時間40分の各条件で
撚止セットを実施した。
【0088】こうして得られた該仮撚追撚糸75デニー
ル36フィラメントは、10%伸長時伸長回復応力が
1.645g/d、10%伸長時伸長回復度が0.76
2の各値を示すものであった。
【0089】(2)織物の製造 該仮撚追撚糸75デニール36フィラメントを緯糸とし
て、経糸に東洋紡エステル50デニール36フィラメン
トブライト三角断面糸をS撚方向に300回/m施撚し
た糸条を使用し、ウォータージェット織機にて織上密度
が経274本/in、緯93本/inの5枚朱子に製織
した。
【0090】該製織布に、実施例1と同様にして、精
練、リラックス、プレセット、アルカリ減量、染色、フ
ァイナルセットという通常の染色加工を施し、仕上密度
として経340本/in、緯106本/inの染色加工
布を得た。ちなみに、減量率は、17%で実施した。
【0091】該染色加工布は、実施例1の織物に比し、
緻密感にはやや欠けるものの、上品な光沢を有する、パ
ンツやスカート、ドレス等、一般婦人衣料用途に好適な
外観、風合いを有する織物に仕上がった。
【0092】しかし、緯糸方向へのストレッチ特性に関
してはラベルドストリップ法による伸長弾性率が98.
2%、30秒後の伸長回復率が65.2%、1時間後の
伸長回復率が70.5%の値をそれぞれ示すものであ
り、ストレッチ性能は、婦人衣料用一般消費性能を考慮
すると満足出来る領域のものとはならず、ワライやパッ
カリング等の諸問題を引き起こす可能性が大きいものと
なった。
【0093】比較例2 ポリエステルマルチフィラメントの通常の撚糸を使用す
る以外は実施例1と同様にして、織物を得た。より詳し
くは、下記の操作を行なった。
【0094】(1)撚糸の製造 実施例1で使用したものと同一の極限粘度数〔η〕が
0.633であるポリエチレンテレフタレートセミダル
レジンを使用し、通常の溶融紡糸法によってポリエステ
ルマルチフィラメント未延伸糸110デニール36フィ
ラメント丸断面糸を得た。巻き取った後、引き続き延伸
機を使用して1.47倍に延伸し、ポリエステルマルチ
フィラメント延伸糸75デニール36フィラメント丸断
面糸とした。
【0095】該マルチフィラメント延伸糸を巻き取った
後、村田機械杜製ダブルツイスターNo.302型を使
用し、S撚方向に2000回/mの撚りを挿入し、撚糸
シリンダーに捲き取った。
【0096】該撚糸をバキュームヒートセッターを使用
し、処理温度85℃、処理時間40分の各条件で撚止セ
ットを実施した。
【0097】こうして得られた該撚糸75デニール36
フィラメントは、10%伸長時伸長回復応力が1.02
5g/d、10%伸長時伸長回復度が0.423の各値
を示すものであった。
【0098】(2)織物の製造 該撚糸75デニール36フィラメントを緯糸として、経
糸に東洋紡エステル50デニール36フィラメントブラ
イト三角断面糸を、S撚方向に300回/m挿入した糸
条を使用し、ウォータージェット織機にて織上密度が経
274本/in、緯93本/inの5枚朱子に製織し
た。
【0099】該製織布に、実施例1と同様にして、精
練、リラックス、プレセット、アルカリ減量、染色、フ
ァイナルセットという通常の染色加工を施し、仕上密度
として経321本/in、緯106本/inの染色加工
布を得た。ちなみに、減量率は、17.5%であった。
【0100】該染色加工布は、実施例1の織物や比較例
1の織物に比し、緻密感には劣るものの、上品な光沢を
有する、パンツやスカート、ドレス等、一般婦人衣料用
途に好適な外観、風合いを有する織物に仕上がった。
【0101】緯糸方向へのストレッチ特性に関しては、
ラベルドストリップ法による伸長弾性率84.5%、3
0秒後の伸長回復率58.7%、1時間後の伸長回復率
は59.6%の値をそれぞれ示すものであり、ストレッ
チ性能は婦人衣料用一般消費性能を考慮すると満足出来
る領域のものとはならず、ワライやパッカリング等の諸
問題を引き起こす可能性が大きいものとなった。
【0102】比較例3 実施例1で用いたポリエステルマルチフィラメント延伸
糸75デニール36フィラメント丸断面糸に、村田機械
社製ダブルツイスターNo.302型を使用し、Z撚方
向に1000回/mの撚を挿入した(撚係数K=866
0)。
【0103】引き続き、実施例1と同様の方法で仮撚を
試みたが、撚糸トルクが強すぎ、仮撚操業中に断糸、ビ
リ込みが多発し、安定操業不可能であった。
【0104】
【発明の効果】本発明のポリエステルストレッチ織物に
よれば、従来のポリウレタン弾性糸を使用したストレッ
チ織物とは異なり、アルカリ滅量加工による風合い出し
が簡単であり、しかも脆化の程度もごく低度に抑制する
ことが出来るため、工程管理も簡単である。
【0105】加えて高価なポリウレタン弾性糸を使用し
ないために、比較的安価にポリエステルストレッチ織物
を提供することが出来る等の効果がある。
【0106】しかも婦人衣料用途を考慮した場合、ポリ
ウレタン弾性糸を使用したストレッチ織物程の高度のス
トレッチ特性は期待できないが、一般的な使用には十分
耐え得る程度の良好なストレッチ特性を比較的安価に提
供できる等々の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】糸条の伸長回復度の測定法において得られる荷
重−伸長曲線を示すグラフである。
【図2】布帛のラベルドストリップ法による伸長弾性率
の測定法において行なう引き伸ばし、1分間放置、除重
及び3分間放置の操作、並びにそれに伴う一定伸び、回
復した伸び及び残留伸びを示すダイアグラムである。
【符号の説明】
a 5%伸長時の応力 b 10%伸長後、応力緩和させ、歪みが5%となっ
た時点の応力をaから差し引いたもの L 一定伸び L1 残留伸び L2 回復した伸び

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレンテレフタレート成分を85重量%
    以上含むポリエステルからなるマルチフィラメント糸を
    経糸及び/又は緯糸に使用してなり、且つラベルドスト
    リップ法による伸長弾性率が95%以上、30秒後の伸
    長回復率が70%以上、1時間後の伸長回復率が85%
    以上であるポリエステルストレッチ織物。
  2. 【請求項2】織物の経糸密度と緯糸密度との密度比(T
    /W)が、下記式 1.2≦T/W≦4.0 [式中、Tは経糸密度(本/インチ)を、Wは緯糸密度
    (本/インチ)を示す。]を満足することを特徴とする
    請求項1に記載のポリエステルストレッチ織物。
  3. 【請求項3】マルチフィラメント糸が、下記物性 10%伸長時伸長回復応力≧1.75g/d 10%伸長時伸長回復度≧0.80 を有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステ
    ルストレッチ織物。
  4. 【請求項4】アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金
    属水酸化物から選ばれた少なくとも1種の水溶液によっ
    てアルカリ減量処理された請求項1に記載のポリエステ
    ルストレッチ織物。
  5. 【請求項5】エチレンテレフタレート成分を85重量%
    以上含むポリエステルからなるマルチフィラメント糸
    に、下記式 撚係数K=Tw×√D [式中、Twは糸条に挿入する撚数(回/m)を、Dは
    糸条の総デニール(Den.)をそれぞれ示す。]によ
    って示される撚係数Kが1500〜8000の甘撚を施
    した後、撚止めセットを施さずに、施撚方向が該甘撚方
    向と同方向になるが如く仮撚加工を施し、次いで該仮撚
    解撚方向に撚係数Kが10000〜30000の追撚を
    施した先撚仮撚加工糸の追撚糸、または該糸条を含む複
    合糸を、経糸及び/又は緯糸として使用して製織するこ
    とを特徴とするポリエステルストレッチ織物の製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001057297A1 (fr) * 2000-02-04 2001-08-09 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Tissu elastique
KR100602427B1 (ko) * 1999-12-27 2006-07-20 주식회사 코오롱 폴리에스테르 복합가공사의 제조방법 및 그의 직물

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KR100602427B1 (ko) * 1999-12-27 2006-07-20 주식회사 코오롱 폴리에스테르 복합가공사의 제조방법 및 그의 직물
WO2001057297A1 (fr) * 2000-02-04 2001-08-09 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Tissu elastique
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