JP4098803B2 - 車載駆動制御装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1「アクチュエータの制御装置」によれば,四輪駆動モードと二輪駆動モードを切り替えるためのギアシフト用モータにおいて,モータの回転が過負荷停止した場合に,モータの回転エネルギーをトーションスプリングに蓄積し,過負荷状態が解消されたときにこれを放出して速やかに負荷を駆動すると共に,負荷停止状態においてはモータに過大ロック電流が流れないように通電率を低下させる技術が開示され,モータの回転は回転センサによって検出されるようになっている。
また,特許文献3「自動車用エンジン制御装置」によれば,電源スイッチを遮断した後に電源リレーを遅延遮断して,この間にエンジンのアイドル回転制御用のステッピングモータを原点復帰させておく概念が開示されている。
一方,この発明に関連して特許文献5「エンジン制御装置」によれば,スロットル弁開度を電動制御する電子スロットル制御において,スロットル弁駆動機構の初期位置復帰機構のほか,二重系設置されたアクセルポジションセンサやスロットルポジションセンサに関する異常判定手段・良品判定手段に関する詳細技術が開示されている。
また,正転限界位置や逆転限界位置が正しく検出されていないと,各限界位置で不必要な駆動が行われて駆動不可能となる異常状態が発生する危険性がある。
なお,特許文献1によるものは回転センサによってモータの回転位置が検出できる構成となっているのに対し,特許文献2による「パワーウインドの安全装置」によれば,初期校正されたポテンショセンサによって回転位置が検出されるものであって,モータは全閉・全開直前におけるウインドの駆動が行えるだけの十分なトルクを持っており,挟み込みの危険性がある安全管理領域では,もしもモータが減速すると一時的に開放駆動を行ってモータ停止するようになっている。
また,特許文献3「自動車用エンジン制御装置」の場合は,電源スイッチを遮断してエンジン停止した後にアクチュータをイニシャライズする手段を開示したものであって過負荷状態の脱出方法を論及するものではない。
同様に,特許文献4・特許文献5ではモータの回転位置を検出するポテンショセンサ(可変抵抗)の不良判定方法を開示したものであり,過負荷状態の脱出方法を論及するものではない。
この発明の第二の目的は,正転限界位置や逆転限界位置において誤って脱出駆動制御が行われないような高精度なセンサの校正手段を提供することである。
上記移動体位置検出手段は上記モータの回転と連動する可変抵抗の出力電圧又は回転センサを可逆計数する可逆カウンタの現在値に関して原点位置での校正を行って,上記可変抵抗の出力電圧又は可逆カウンタの現在値の少なくとも一方の値を監視することによって上記移動体と正転限界位置及び逆転限界位置との相対位置を検知する手段となっている。
上記通常駆動制御手段は上記車載バッテリの電源電圧が変動しても上記モータに対する印加電圧を略一定とするように上記開閉素子の通電率を制御する電圧制御手段である
か,または上記車載バッテリの電源電圧が変動しても電流検出回路によって検出された上記モータに対する給電電流を略一定とするように上記開閉素子の通電率を制御する電
流制御手段となっている。
上記拘束状態検出手段は上記モータに対する給電が行われているにも関わらずモータが回転していない状態を検出する手段となっている。
上記脱出駆動制御手段は上記移動体位置検出手段が正転限界位置及び逆転限界位置以外の位置を検出しているときであって,上記モータの拘束状態検出手段が上記モータのモータの定格電流を超える所定の脱出駆動電流を通電する強化通電期間と,上記開閉素子の通電率を制御して上記モータの定格電流未満の保持電流又は電流値が0となる休息期間とを置き,上記強化通電期間と休息期間を所定回数以下の範囲で反復する断続通電手段となっている。
上記脱出検出手段は上記脱出駆動制御手段によって駆動されている上記モータが回転開始したことを検出して通常駆動制御手段へ移行するための手段となっている。
更に,正転限界位置や逆転限界位置においてモータの拘束停止状態が発生しても,不必要な強化駆動を行わないで速やかに給電停止することによってモータや駆動用開閉素子の温度上昇を抑制することができる効果がある。
以下この発明の第一実施例装置の全体ブロック図を示す図1について説明する。
図1において,車載駆動制御装置100aは後述のマイクロプロセッサ160aを主体として
動作し,図示しない脱着コネクタを介して以下に述べる外部入出力機器と接続されるようになっている。
車載バッテリ101は例えばDC12Vの直流電圧を発生して,キースイッチ等の電源スイッチ102を介して車載駆動制御装置100aに接続されている。
電源リレー103は出力接点104と励磁コイル105によって構成されていて,出力接点104は車載バッテリ101と車載駆動制御装置100aの電源電圧端子Vb間に接続されている。
励磁コイル105は電源スイッチ102が閉路すると直ちに付勢され出力接点104を閉路し,電源スイッチ102が開路すると車載駆動制御装置100aによる自己保持出力が停止するまで閉路状態を持続するよう構成されている。
なお,車載バッテリ101は車載駆動制御装置100aの直接電源端子BATにも接続されていて,電源スイッチ102や出力接点104が開路しても後述のRAMメモリ163に対する記憶保持用の微小電力を供給するようになっている。
を介して駆動して,矢印113方向に正転前進又は逆転後退させるように構成されている。
なお,移動体111は逆転限界ストッパ114と正転限界ストッパ115との間で移動可能で
あって,逆転限界ストッパ114と正転限界ストッパ115との間隔は後述のプログラムメモ
リ161a又はデータメモリ162aの中に全体距離情報として予め格納されている。
モータ110の回転と連動して移動体111の位置を検出する可変抵抗120は,車載駆動制御装置100a内の制御電源電圧Vccから給電されるようになっていて,その給電回路の正電圧側には正側抵抗121が直列接続され,負電圧側には負側抵抗122が接続されている。
また,可変抵抗120の摺動端子はプルアップ抵抗123を介して制御電源電圧Vccに接続
されると共に,マイクロプロセッサ160aのアナログ入力端子AN2に接続されている。
なお,正側抵抗121・負側抵抗122・プルアップ抵抗123が設けられているので,可変抵抗120の摺動端子の電圧は例えば0.5〜4.5Vの範囲にあるのが正常であり,この範囲外になったときは摺動端子の接触不良や配線の断線・短絡等の異常であると判断することが
できるようになっている。
警報表示器140は運転手の視認しやすい位置に設置されて,後述のマイクロプロセッサ
160aが警報・表示出力DSPを発生した場合に異常報知を行うものである。
外部ツール150は車載駆動制御装置100aの製造ラインにおける出荷検査や自動車の製造ラインにおける出荷検査,或いはサービス店での保守点検を行うときに車載駆動制御装
置100aに対して接続される設定・表示機器である。
不揮発フラッシュメモリによるプログラムメモリ161a,不揮発EEPROMメモリによるデータメモリ162a,演算処理用のRAMメモリ163,多チャンネルAD変換器164と協働してモータ110に対するパルス幅変調制御を行うようになっている。
なお,シリアルインタフェース165は外部ツール150とシリアル接続され,マイクロプ
ロセッサ160aに対してはバス接続される直並列変換器となっている。
定電圧電源ユニット170は車載バッテリ101から給電され,例えばDC5Vの定電圧制
御電源出力Vccを発生してマイクロプロセッサ160aや不揮発プログラムメモリ161a,不揮発データメモリ162a,RAMメモリ163,多チャンネルAD変換器164,シリアルインタフェース165などに給電したり,スリープ電源出力SLPを発生してRAMメモリ163に給電するようになっている。
励磁コイル105と直列接続された自己保持トランジスタ171は,電源スイッチ102が閉路すると駆動抵抗172を介して導通し,マイクロプロセッサ160aの駆動出力DRから駆動抵抗173を介して導通維持されるようになっていている。
分圧抵抗175・176は互いに直列接続されて車載バッテリ101から給電されると共に,分圧抵抗176の両端電圧はマイクロプロセッサ160aのアナログ入力端子AN0に接続されている。
駆動回路を構成するトランジスタブリッジ回路180は図示しない一対の正電位側トランジスタと直列接続さ
れた一対の負電位側トランジスタによって構成され,各トランジスタの直列接続点間にはモータ110が接続されている。
電流検出回路181はトランジスタブリッジ回路180の負電位側に直列接続された電流検
出抵抗182と電流検出抵抗182の両端電圧を増幅する増幅器183によって構成されていて,
増幅器183の出力はマイクロプロセッサ160aのアナログ入力端子AN1に接続されている。
なお,トランジスタブリッジ回路180の正電位側トランジスタの一方はマイクロプロセッサ160aから正転指令出力FWDが与えられたときに導通し,正電位側トランジスタの他方は逆転指令出力RVSが与えられたときに導通するようになっている。
トランジスタブリッジ回路180は内蔵されたトランジスタの断線・短絡異常とモータ110やその接続配線における断線・短絡異常の検出回路が内蔵されていて,異常発生信号
はマイクロプロセッサ160aの断線・短絡監視入力端子MNTに入力されている。
ウォッチドッグタイマ190はマイクロプロセッサ160aが発生するパルス列であるウォッチドッグクリア信号WDのパルス幅を監視して,これが所定値を超過するとリセット信号パルス出力RSTを発生してマイクロプロセッサ160aを初期化して再起動するようになっている。
しかし,モータ110と連動する可変抵抗120と移動体111の相対位置関係を確認するために,製品出荷前に図2の要領で原点記憶処理が行われ,アナログ入力端子AN2から入力される移動体111の位置データが校正されるようになっている。
原点記憶処理が行われた後の通常運転制御は図4に示すとおりであるが,図2や図4におけるトランジスタの通電率の制御は図3に示すとおりとなっている。
アナログ入力端子AN0・AN1から入力される車載バッテリ101の電源電圧Vbの値やモータ110の通電電流Imの値はトランジスタの通電率を制御するために使用されるものである。
トランジスタブリッジ回路180やモータ110とその接続回路における断線・短絡異常が
発生し,断線・短絡監視入力端子MNTに入力されると警報・表示出力DSPを介して警報・
表示器140が動作する。
同様に,アナログ入力端子AN2の電圧レベルが0.5〜4.5Vの範囲外であるときには,可変抵抗120とその接続配線の接触不良・断線・短絡異常であるとして警報・表示出力DSPを介して警報・表示器140が動作する。
図2において,工程200はマイクロプロセッサ160aが原点記憶動作を開始する工程,続く工程201は後述の工程257によって原点出し完了フラグがセットされているかどうか
を読出して原点記憶済であるかどうかを判定する工程であり,該工程201の判定がYESであって記憶済であるときには動作終了工程202へ移行し,工程201の判定がNOであって原点記憶されていないときには工程210へ移行するようになっている。
工程210では逆転指令出力RVSを発生すると共に,対辺となるトランジスタに対してパルス幅変調制御出力PWMを供給する。
工程210における通電率α(=τon/τ)はモータ110が逆転復帰するのに適した回転速度となる目標駆動電圧Vsとアナログ入力端子AN0から入力された車載バッテリ101の電源電圧Vbとの比率に等しくなるようα=Vs/Vbに設定されている。
工程210に続いて実行される工程211はアナログ入力端子AN1から入力されたモータ
電流が定格電流を超過して所定値以上に過大となったかどうかを判定する工程であり,この判定工程ではモータ起動時の短時間の過大電流は無視して過大とはみなさないようになっている。
工程211の判定がYESであって,例えば移動体111が逆転限界ストッパ114に突当たって停止しモータ電流が上昇したような場合には工程214が実行され,逆転指令出力RVSと制御出力PWMを停止すると共に工程212で起動された後退計時タイマを停止して計時時間がリセットされる。
続く工程215ではアナログ入力端子AN2に入力された可変抵抗120の検出出力がRAMメモリ163の第一アドレスD1に仮格納され,この仮記憶値は一応は逆転限界ストッパ114による逆転限界位置であるとみなされているが,実際には逆転限界ストッパ114に到達する前に異常負荷が発生してモータ110が停止して,工程211が過大電流を検出したものであるかもしれないことを想定しておく必要がある。
工程220における通電率α(=τon/τ)はモータ110が正転動作するのに適した回転速度となる目標駆動電圧Vsとアナログ入力端子AN0から入力された車載バッテリ101の電源電圧Vbとの比率に等しくなるようα=Vs/Vbに設定されている。
工程220に続いて実行される工程221はアナログ入力端子AN1から入力されたモータ
電流が定格電流を超過して所定値以上に過大となったかどうかを判定する工程であり,この判定工程ではモータ起動時の短時間の過大電流は無視して過大とはみなさないようになっている。
工程221の判定がYESであって,例えば移動体111が正転限界ストッパ115に突当たって停止しモータ電流が上昇したような場合には工程224が実行され,正転指令出力FWDと制御出力PWMを停止すると共に工程222で起動された前進計時タイマを停止して計時時間がリセットされる。
続く工程225ではアナログ入力端子AN2に入力された可変抵抗120の検出出力がRAMメモリ163の第二アドレスD2に仮格納され,この仮記憶値は一応は正転限界ストッパ115による正転限界位置であるとみなされているが,実際には正転限界ストッパ115に到達する前に異常負荷が発生してモータ110が停止して,工程221が過大電流を検出したものであるかもしれないことを想定しておく必要がある。
工程231は工程230の判定がNOであって可変抵抗120の出力変化量が適切でなかったときに実行される脱出駆動工程である。
工程231では正転指令出力FWDを発生すると共に,対辺となるトランジスタに対してパルス幅変調制御出力PWMを供給し,通電率を0又は微小値δにしたり下記のβにして断続駆動を行うようになっている。
なお,通電率βは,モータ110の電機子抵抗をRaとしたときに,モータ電流が定格電
流以上で拘束電流以下の所定の脱出駆動電流Ieとなるような駆動電圧Ve=Ra×Ieを
算出して,通電率β(=τon/τ)=Ve/Vbとして設定されるものである。
233では断続駆動時間が所定制限時間を超過したかどうかを判定し,時間超過していなけ
れば工程234へ移行し,時間超過しておれば断続計時タイマをリセットしたうえで工程240へ移行するようになっている。
工程234ではモータ110が回転開始したことによって駆動電流が減少したかどうかを判
定し,電流減少が見られないときには工程231へ復帰して断続駆動を継続し,電流減少が
発生したときには工程232で起動された断続駆動タイマをリセットしたうえで工程220へ
復帰するようになっている。
工程220によって再度前進駆動が行われ,やがて正転限界ストッパ115の位置でモータ
110が停止すると工程221・224・225を経て工程230に至り,工程230の判定がYESとなって可変抵抗120の変化量が適切であると判断されると工程255へ移行するようになっている。
工程240における通電率α(=τon/τ)はモータ110が逆転動作するのに適した回転速度となる目標駆動電圧Vsとアナログ入力端子AN0から入力された車載バッテリ101の電源電圧Vbとの比率に等しくなるようα=Vs/Vbに設定されている。
工程240に続いて実行される工程241はアナログ入力端子AN1から入力されたモータ
電流が定格電流を超過して所定値以上に過大となったかどうかを判定する工程であり,この判定工程ではモータ起動時の短時間の過大電流は無視して過大とはみなさないようになっている。
工程241の判定がYESであって,例えば移動体111が逆転限界ストッパ114に突当たって停止しモータ電流が上昇したような場合には工程244が実行され,逆転指令出力RVSと制御出力PWMを停止すると共に工程242で起動された逆転計時タイマを停止して計時時間がリセットされる。
続く工程245ではアナログ入力端子AN2に入力された可変抵抗120の検出出力がRAMメモリ163の第一アドレスD1に更新仮格納され,この仮記憶値は一応は逆転限界ストッパ114による逆転限界位置であるとみなされているが,実際には逆転限界ストッパ114に到達する前に異常負荷が発生してモータ110が停止して,工程241が過大電流を検出したものであるかもしれないことを想定しておく必要がある。
工程251は工程250の判定がNOであって可変抵抗120の出力変化量が適切でなかったときに実行される脱出駆動工程である。
工程251では逆転指令出力RVSを発生すると共に,対辺となるトランジスタに対してパルス幅変調制御出力PWMを供給し,通電率を0又は微小値δにしたり下記のβにして断続駆動を行うようになっている。
なお,通電率βは,モータ110の電機子抵抗をRaとしたときに,モータ電流が定格電
流以上で拘束電流以下の所定の脱出駆動電流Ieとなるような駆動電圧Ve=Ra×Ieを算出して,通電率β(=τon/τ)=Ve/Vbとして設定されるものである。
253では断続駆動時間が所定制限時間を超過したかどうかを判定し,時間超過していなけ
れば工程254へ移行し,時間超過しておれば断続計時タイマをリセットしたうえで工程260へ移行するようになっている。
工程254ではモータ110が回転開始したことによって駆動電流が減少したかどうかを判
定し,電流減少が見られないときには工程251へ復帰して断続駆動を継続し,電流減少が
発生したときには工程252で起動された断続駆動タイマをリセットしたうえで工程240へ
復帰するようになっている。
工程240によって再度後退駆動が行われ,やがて逆転限界ストッパ114の位置でモータ
110が停止すると工程241・244・245を経て工程250に至り,工程250の判定がYESとなって可変抵抗120の変化量が適切であると判断されると工程255へ移行するようになっている。
なお,工程ブロック258は移動体111の位置を例えば正転限界ストッパ115と逆転限界ストッパ114の中間点である初期位置へ移動させる工程ブロックである。
工程213・223・243・253においてタイムアウト判定が行われたときに実行される工程
260では正転又は逆転駆動を停止して計時タイマをリセットし,続いて実行される異常分
析工程261ではタイムアウト判定が工程213・223・243において発生したものか,または工程253において発生したものであるかを区分する。
タイムアウトが工程253で発生したものである場合には続く工程262の判定がYESとなって,再度原点復帰動作を実行するために工程210へ移行するようになっている。
タイムアウトが工程213・223・243で発生したものである場合,又は再度の原点復帰動
作を行った後である場合には工程262の判定はNOとなって工程263が実行され,異常警報表示が行われると共に異常履歴がRAMメモリ163に格納されるようになっている。
工程210から工程215に至るフローは移動体111を一旦後退停止させて可変抵抗120の出力電圧をデータD1として仮記憶しておくものである。
工程220から工程225に至るフローは移動体111を前進動作させ前進停止位置で可変抵抗120の出力電圧をデータD2として仮記憶しておくものである。
工程230ではデータD1・D2として記憶された出力電圧の差分値が所定値となっているかどうかを判定し,これが所定値になっておればれば原点出し動作は成功であって,工
程255から工程258によるフローによってデータメモリ162aへの保存と初期位置復帰が行われる。
しかし,工程210から工程215による後退動作の途中で過負荷状態が発生し,逆転限界
ストッパ114の位置まで後退していなかったような場合には,工程220から工程234に至る一連の動作によっては所定の移動量に達することができず,工程231による脱出駆動は正転限界ストッパ115の位置で更なる前進を行おうとする動きになる。
このような場合には工程233がタイムアウトの判定を行って工程240へ移行し,工程240から工程254による一連の動作によって逆転限界位置114への復帰動作が行われ,工程250で移動量の再確認が行われてこれが適正値であれば原点出し動作は成功であって,工程255から工程258によるフローによってデータメモリ162aへの保存と初期位置復帰が行われる。
上行なっても所定の移動量に到達しないときには工程253によってタイムアウトの判定が
なされ,工程260から工程263が実行されて再度原点出し動作が行われることになる。
このような当て止め方式の原点出し操作においては,移動体111が過大負荷によって停
止したものではなくて,正転限界ストッパ115や逆転限界ストッパ114によって停止した
ものであることを判定することが重要であるが,原点出しが確実に行われたかどうかは工程230や工程250による可変抵抗120の変化量の確認によって判定され,過大負荷が発生
した場合には脱出駆動制御手段231・251による脱出駆動が行われるようになっている。
通電率制御の全体フロー図である図3(A)において,工程300はマイクロプロセッサ
160aの通電率制御動作の開始工程,続く工程301はトランジスタブリッジ回路180による駆動用トランジスタやモータ110と接続配線に関する断線・短絡監視信号MNTの論理レベルを判定して駆動回路系の異常の有無を判定する工程であり,工程301の判定が異常判定であるときには工程302が実行されて警報表示器140による異常報知やRAMメモリ163に対する異常履歴情報の格納が行われてから工程303へ移行し,工程303では通電率を0にしてから動作終了工程304へ移行し,工程304では他の制御動作を行ってから再度工程300へ循環移行するようになっている。
工程301の判定が異常なしであったときには工程305が実行され,工程305では移動体
111の目標位置と現在位置との偏差によって前進・後退動作を行うのかどうかの判定が行われ,前進・後退動作を行わないときには工程303へ移行して通電率を0にすると共に,
前進・後退動作を行うときには工程306へ移行して正転指令出力FWD又は逆転指令出力RVSを発生するようになっている。
工程311では適正なモータ回転速度を得るに必要な目標駆動電圧Vsが設定され,続く工程312では現在の電源電圧Vbが読み出され,続く工程313では通電率αとしてα=Vs/Vbが決定され,続いて動作終了工程304へ移行するようになっている。
なお,工程311・312・313によって構成された工程ブロック314は電圧制御方式による通常駆動制御手段となっている。
ただしRaはモータ110の電機子抵抗であり,工程315a・316a・317aによって構成された工程ブロック319aはモータの回転速度とは無関係に一定の通電率βを維持する限定制御方式による強化通電手段となっている。
工程320aではモータ110の電流が減少して回転開始したと判定したときには工程311へ移行し,まだ電流が減少していないときには工程321へ移行するようになっている。
強化通電期間を決定する工程321では工程ブロック319aによる強化通電が開始してからの経過時間を判定し,たとえば経過時間が0.1秒以下であれば工程315aへ復帰して強化通電を継続し,0.1秒を超過すると工程322へ移行するようになっている。
工程322は通電率を0にするか又は微小保持電流となるような設定が行われてから工程
323へ移行する。
ば経過時間が0.9秒以下であれば工程322へ復帰して休息通電を継続し,0.9秒を超過すると工程324へ移行するようになっている。
工程324では工程ブロック319aによる強化通電と工程322による休息通電による断続駆動回数が例えば10回以下であるかどうかを判定して,10回以下であれば工程315aへ移行して断続駆動を継続し,10回を超過すると工程326へ移行して警報表示器140による異常報知とRAMメモリ163に対する異常履歴の書込み保存が行われ,続いて動作終了工程304へ移行するようになっている。
なお,工程315aから工程324によって構成された工程ブロック325は脱出駆動制御手段となるものである。
なお,続く工程320bでは通電率γが上昇したことによって回転開始したと判定したときには工程311へ移行し,まだ通電率が上昇していないときには工程321へ移行するよう
になっている。
御方式による通常駆動制御手段,工程319aはモータの回転速度とは無関係に一定の通電率に制御する限定制御方式による強化駆動手段,工程319bはモータ電流を所定値に維持するような帰還制御方式による強化駆動手段,工程320aと工程320bは脱出検出手段,工
程321は強化通電期間,工程323は休息期間,工程325は脱出駆動制御手段,工程326は異常報知手段となっている。
なお,図2における通常駆動制御手段210・220・240は詳しくは工程ブロック314に示すものであり,図2における脱出駆動制御手段231・251は工程ブロック325に基づく
ものとなっている。
図4において,工程400はマイクロプロセッサ160aがモータ110の通常運転動作を開始する工程,続く工程401は図2の工程257や後述の工程413aによって原点出し完了フラグがセットされているかどうかを読出して原点記憶済であるかどうかを判定する工程であり,該工程401の判定がYESであって記憶済であるときには工程405へ移行し,工程401の判定がNOであって原点記憶されていないときには工程402へ移行するようになっている。
なお,図2による原点出し操作はメーカの製品出荷ラインで実行されているものであって,通常運転モードにおいて原点出しが未完了であることは異常状態となるので,工程402では警報・表示器140による異常報知とRAMメモリ163に対する履歴情報の書込み保存が行われる。
工程402に続いて実行される工程403では電源スイッチ102が開路されたかどうかを判定し,閉路のままであれば動作終了工程404へ移行する。
マイクロプロセッサ160aは動作終了工程404においてその他の制御動作を行った後に
再度動作開始工程400が活性化され,工程400・401・402・403・404を循環実行している過程において工程403が電源スイッチ102の開路状態を検知すると工程ブロック411へ移行する。
クは後述のとおり電源スイッチ102が開路したときにはいつでも実行されている。
続いて実行される工程412では,既に記憶保存されている原点校正情報と新たに実行さ
れた原点校正情報が合致しているかどうかを判定し,誤差過大であるか既存情報が無いときには工程413aが実行されて新たな情報がデータメモリ162aに更新保存される。
工程ブロック414は工程ブロック411と工程412・413aによって構成され,原点記憶確認手段となっている。
工程412の判定が誤差僅少であったとき,又は工程413aに続いて実行される工程ブロック415は運転再開時における移動体111の初期位置を目標位置として予め移動体111を移動させておく運転動作工程となっている。
続いて実行される工程413bでは運転中にRAMメモリ163に書込み保存されていた異常履歴情報をデータメモリ162aへ転送保存する工程,続く工程416はマイクロプロセッサ160aの駆動出力DRを停止してから動作終了工程404へ移行する工程であり,駆動出力DRが停止されると自己保持トランジスタ171が不導通となって電源リレー103が消勢され,車載駆動制御装置100aへの給電が停止されるようになっている。
続く工程406では工程405で算出された偏差量の正負に応じてモータ110の回転方向が
決定され,正転指令出力FWD又は逆転指令出力RVSが発生する。
続く工程407では正転指令出力FWD又は逆転指令出力RVSによって導通したトランジスタの対辺となるトランジスタに対してパルス幅変調制御出力PWMを供給する。
通常駆動制御手段となる工程407における通電率α(=τon/τ)はモータ110の目標回転速度に適した駆動電圧Vsとアナログ入力端子AN0から入力された車載バッテリ101の電源電圧Vbとの比率に等しくなるようα=Vs/Vbに設定されている。
なお,モータ110の目標回転速度は位置偏差が大きいときには定格回転速度とし,目標
位置に接近すると回転速度を漸減するような制御が一般的である。
但し,工程403が実行されたときに電源スイッチ102が開路していると工程ブロック414・415,工程413b・416が実行されてから動作終了工程404へ移行するようになっている。
工程408の判定がNOであって目標位置に到達していないときには工程417が実行されて駆動時間計時タイマが起動され,続く工程418ではこの計時タイマがタイムアップしたかどうかを判定し,もしも時間超過の判定であれば工程460へ移行し,工程418の判定が時間超過ではないときには工程420aが実行されるようになっている。
工程420aではアナログ入力端子AN2に入力された可変抵抗120の出力電圧について前回実行時の出力電圧と今回実行時の出力電圧の変化量,又はアナログ入力端子AN1に入力されたモータ110の通電電流Imと定格電流との偏差電流が測定されるようになっている。
モータ110が停止していないときには工程407へ復帰してモータ110の駆動を継続し,モータ110が拘束停止したと判定したときには工程417で起動された計時タイマをリセットしてから工程421へ移行するようになっている。
脱出駆動制御手段となる工程421では図3(A)の工程ブロック325で示した断続駆動が
行われ,続く工程422ではモータ110の断続駆動を行いながら断続駆動時間を計時し,続
く工程423では断続駆動時間が所定制限時間を超過したかどうかを判定し,時間超過して
いなければ工程424aへ移行し,時間超過しておれば工程460へ移行するようになってい
る。
工程424aでは工程420aと同様に,アナログ入力端子AN2に入力された可変抵抗120の出力電圧について前回実行時の出力電圧と今回実行時の出力電圧の変化量,又はアナログ入力端子AN1に入力されたモータ110の通電電流Imと定格電流との偏差電流が測定されるようになっている。
工程418・423においてタイムアウト判定が行われたときに実行される工程460では正転又は逆転駆動を停止して計時タイマをリセットし,続いて実行される異常分析工程461ではタイムアウト判定が工程418において発生したものか,または工程423において発生したものであるかを区分する。
タイムアウトが工程423で発生したものである場合には続く工程462の判定がYESとなって,再度工程405へ移行するようになっている。
タイムアウトが工程418で発生したものである場合,又は再度の運転動作を行った後で
ある場合には工程462の判定はNOとなって工程465が実行され,異常警報表示が行われると共に異常履歴がRAMメモリ163に格納されるようになっている。
憶処理手段,工程414は原点記憶確認手段,工程420bは拘束状態検出手段,工程421は脱出駆動制御手段,工程424bは脱出検出手段,工程465は異常報知手段となっている。
なお,通常駆動制御手段407は詳しくは図3(A)の工程ブロック314に示すとおりであ
り,脱出駆動制御手段421は詳しくは図3(A)の工程ブロック325に示すとおりとなって
いる。
また,図2における拘束状態検出手段211・221・241や図3(A)における拘束状態検出
手段310は工程420bと同様に可変抵抗120の変化の停止又は過大モータ電流状態によって判定することができると共に,図2における脱出検出手段234・254や図3(A)・図3
(B)における脱出検出手段320a・320bは工程424bと同様に可変抵抗120の変化の開始又はモータ電流の減少状態によって判定することができるものである。
上記移動体位置検出手段は上記モータ110の回転と連動する可変抵抗120の出力電圧に
関して原点位置での校正を行って,出力電圧の値を監視することによって上記移動体110
と正転限界位置115及び逆転限界位置114との相対位置を検知する手段となっている。
110に対する印加電圧を略一定とするように上記開閉素子の通電率αを制御する電圧
制御手段となっている。
上記拘束状態検出手段310は上記モータ110に対する給電が行われているにも関わらず
モータ110が回転していない状態を検出する手段となっている。
上記脱出駆動制御手段325は上記移動体位置検出手段120が正転限界位置115及び逆転限界位置114以外の位置を検出しているときであって,上記モータ110の拘束状態検出手段310が上記モータ110の拘束状態を検出しているときに作用して,上記開閉素子の通電率βを制御して上記モータ110の定格電流を超える所定の脱出駆動電流Ieを通電する強化通電期間321と,上記開閉素子の通電率を制御して上記モータ110の定格電流未満の保持電流又は電流値が0となる休息期間323とを置き,上記強化通電期間321と休息期間323を所定回数以下の範囲で反復する断続通電手段となっている。
上記脱出検出手段320aは上記脱出駆動制御手段325によって駆動されているモータ110が回転開始したことを検出して通常駆動制御手段314へ移行するための手段となっている。
上記原点記憶処理手段200は第一・第二の仮記憶手段と比較判定手段と格納保存手段とに
よって構成されている。
上記第一の仮記憶手段215・245は上記移動体111を逆転方向に駆動してから上記拘束状態検出手段211・241がモータ110の拘束状態を検出した時点の上記可変抵抗120の値を読出し記憶する手段となっている。
上記第二の仮記憶手段225は上記移動体111を正転方向に駆動してから上記拘束状態検
出手段221がモータ110の拘束状態を検出した時点の上記可変抵抗120の値を読出記憶する手段となっている。
上記比較判定手段230・250は上記第一・第二の仮記憶値の差分値と上記プログラムメモリ161a又はデータメモリ162aに格納されている全体移動距離に関する設定値とが略一
致しているかどうかを比較する手段となっている。
上記格納保存手段256は上記比較判定手段230・250による比較結果が略一致しているときに上記第一・第二の仮記憶値を逆転限界位置及び正転限界位置として上記データメモ
リ162aに転送する手段となっている。
従って,可変抵抗120の組み付け位置と移動体111の位置との相対関係が不確定であっ
ても,組み付け現品に対応した校正処理によって正確に移動体位置を測定することができる特徴がある。
特に,負荷抵抗の増大異常によって移動体111が正常に動作しなかった場合にはこれを
検出して再度校正動作を行って確実に校正を行うことができる特徴がある。
上記原点記憶確認手段414は上記電源スイッチ102が開路されてから電源リレー103が遮断されるまでの期間において作動して,上記原点記憶処理手段200となるプログラムを実行し,新たに実行された上記格納保存情報と既に上記データメモリ162aに格納されている格納保存情報に誤差があるときには上記データメモリの内容を新たな格納保存情報に
更新する手段となっている。
従って,校正記憶情報に異常が発生しても,電源スイッチ102を遮断した状態で原点情
報の更新が行えるので安全性が向上すると共に,不揮発データメモリ162aの書換え回数
を抑制することができる特徴がある。
従って,可変抵抗120に異常があっても,確実にモータ110の拘束停止状態を検出して,モータ110や駆動用開閉素子の焼損することができる特徴がある。
である。
従って,モータ110の電圧・電流監視によらないで簡単にモータ110の拘束停止状態を
検出することができる特徴がある。
通電電流Imがモータ110の定格電流以上の所定の脱出駆動電流Ieとなるように帰還制御する強化駆動手段319bであるか,または上記開閉素子の通電率βをモータ110の回転速度とは無関係に一定の値として拘束状態にある上記モータ110に対して定格電流以上の所定の脱出駆動電流Ieを供給するように上記開閉素子の通電率βを限定制御する手段となっている。
従って,脱出駆動電流Ieを一定値に保つことによって,電源電圧Vbが変動しても安定した脱出駆動トルクを得ることができる特徴がある。
するものであるか,又は拘束状態における脱出電流が所定値となるように開閉素子の通電率βが制御されているものにおいてモータ110の通電電流Imが所定値以下に低下したことを検出するものである。
従って,可変抵抗120の出力変化を監視しなくても,確実にモータ110の回転開始状態
を検出することができる特徴がある。
従って,モータ110の電圧・電流監視によらないで簡単にモータ110の回転開始状態を
検出することができる特徴がある。
従って,開閉素子やモータ110の焼損が防止できると共に,異常状態を報知するだ
けでなく,保守点検のための履歴情報が得られる特徴がある。
以下この発明の第二実施例装置の全体ブロック図を示す図5について,図1のものとの相違点を中心にして説明する。
図5において,車載駆動制御装置100bは後述のマイクロプロセッサ160bを主体として
動作し,図1のものと同様に図示しない脱着コネクタを介して車載バッテリ101,電源ス
イッチ102,電源リレー103の出力接点104,励磁コイル105,モータ110,可変抵抗120,
警報・表示器140,外部ツール150と接続されるようになっている。
図1のものに比べて追加接続されているものとして回転センサ130があり,該回転セン
サ130はモータ110の回転と連動して90度の位相差を持ったA相パルスAPとB相パルスBPの2相のパルスを発生し,例えばB相パルスBPが論理レベル「L」から「H」に
変化した時点におけるA相パルスAPの論理レベルが「H」であれば正転状態であると判定され,A相パルスAPの論理レベルが「L」であれば逆転状態であると判定されるようになっている。
不揮発フラッシュメモリによるプログラムメモリ161bと,プログラムメモリ161bの一部
領域であって分割されて一括消去が可能な領域であるデータメモリ162b,演算処理用のRAMメモリ163,多チャンネルAD変換器164と協働してモータ110に対するパルス幅変
調制御を行うようになっている。
図1のものに比べて追加設置されているものとして可逆カウンタ131があり,該可逆カ
ウンタ131は回転センサ130から入力されたA相パルスAPとB相パルスBPに基づいて
可逆計数動作を行って,移動体111の現在位置を検出するようになっている。
可逆カウンタ131の計数現在値CVはマイクロプロセッサ160bに入力されていると共
に,後述の原点出し動作によって発生するリセット指令出力CRSによって可逆カウンタ131の現在値は0に初期化されるようになっている。
可逆カウンタ131は異常判定機能も包含しており,A相パルスAP又はB相パルスBP
のいずれか一方の論理レベルが交互に変化しているときに,他方の論理レベルが変化していないときは断線・短絡異常検出信号ERを発生してマイクロプロセッサ160bに入力するようになっている。
また,A相パルスAP及びB相パルスBPの論理レベルが共に交互に変化しているときには,回転検出信号ROTを発生してマイクロプロセッサ160bに入力するようになってい
る。
しかし,モータ110と連動する可変抵抗120と移動体111の相対位置関係や可逆カウンタ131の現在値と移動体111の相対位置関係を確認するために,製品出荷前に図6の要領で原点記憶処理が行われ,アナログ入力端子AN2から入力される移動体111の位置データや可逆カウンタ131の現在値が校正されるようになっている。
原点記憶処理が行われた後の通常運転制御は図9に示すとおりであるが,図6や図9におけるトランジスタの通電率の制御は図8に示すとおりとなっている。
アナログ入力端子AN0・AN1から入力される車載バッテリ101の電源電圧Vbの値やモータ110の通電電流Imの値はトランジスタの通電率を制御するために使用されるものである。
グタイマ190が作動してマイクロプロセッサ160bを初期化して再起動する。
トランジスタブリッジ回路180やモータ110とその接続回路における断線・短絡異常が
発生し,断線・短絡監視入力端子MNTに入力されると警報・表示出力DSPを介して警報・
表示器140が動作する。
アナログ入力端子AN2の電圧レベルが0.5〜4.5Vの範囲外であるときには,可変抵抗120とその接続配線の接触不良・断線・短絡異常であるとして警報・表示出力DSPを介
して警報・表示器140が動作する。
同様に,断線・異常検出信号ERが発生したときには,回転センサ130とその接続配線の断線・短絡異常であるとして警報・表示出力DSPを介して警報・表示器140が動作す
る。
但し,この実施形態においては移動体111の移動位置検出手段として可変抵抗120と回
転センサ130が2重系設置されていて,いずれか一方に異常が発生した場合には図7で示
す良品選択手段による運転が続行できるようになっている。
なお,異常検出機能を包含した可逆カウンタ131は図5で示すようなハードウエアによ
るものではなく,プログラムメモリ161bに格納された計数プログラムとマイクロプロセッサ160bとによるソフトウエアによって実現することも可能となるものである。
図6において,工程600はマイクロプロセッサ160bが原点記憶動作を開始する工程,続く工程601は後述の工程657によって原点出し完了フラグがセットされているかどうか
を読出して原点記憶済であるかどうかを判定する工程であり,該工程601の判定がYESであって記憶済であるときには動作終了工程602へ移行し,工程601の判定がNOであって原点記憶されていないときには工程610へ移行するようになっている。
工程610では逆転指令出力RVSを発生すると共に,対辺となるトランジスタに対してパルス幅変調制御出力PWMを供給する。
工程610における通電率γ(=τon/τ)はアナログ入力端子AN1から入力されるモータ110の通電電流Imが目標電流Isと等しくなるように帰還制御され,目標電流Isはモータ110の定格電流が使用される。
工程610に続いて実行される工程611はモータ110の回転速度が低下したことによって
通電電流Imが目標電流Isとなるための駆動電圧が低下して通電率γが所定値以下になったことを判定する拘束状態検出手段となっている。
工程611の判定がYESであって,例えば移動体111が逆転限界ストッパ114に突当たって停止し通電率γが減少したような場合には工程614が実行され,逆転指令出力RVSと制御出力PWMを停止すると共に工程612で起動された後退計時タイマを停止して計時時間がリセットされる。
続く工程615ではリセット指令出力CRSによって可逆カウンタ131の現在値を0にすると共に,アナログ入力端子AN2に入力された可変抵抗120の検出出力がRAMメモリ163の第一アドレスD1に仮格納され,この仮記憶値は一応は逆転限界ストッパ114による逆転限界位置であるとみなされているが,実際には逆転限界ストッパ114に到達する前に異常負荷が発生してモータ110が停止して,工程611が過小通電率を検出したものであるかもしれないことを想定しておく必要がある。
工程620における通電率γ(=τon/τ)はアナログ入力端子AN1から入力されるモータ110の通電電流Imが目標電流Isと等しくなるように帰還制御され,目標電流Isはモータ110の定格電流が使用される。
工程620に続いて実行される工程621はモータ110の回転速度が低下したことによって
通電電流Imが目標電流Isとなるための駆動電圧が低下して通電率γが所定値以下になったことを判定する拘束状態検出手段となっている。
工程621の判定がYESであって,例えば移動体111が正転限界ストッパ115に突当たって停止し通電率γが減少したような場合には工程624が実行され,正転指令出力FWDと制御出力PWMを停止すると共に工程622で起動された前進計時タイマを停止して計時時間がリセットされる。
続く工程625ではアナログ入力端子AN2に入力された可変抵抗120の検出出力がRAMメモリ163の第二アドレスD2に仮格納されると共に,可逆カウンタ131の現在値CVが第三アドレスD3に仮格納される。
工程625による仮記憶値は一応は正転限界ストッパ115による正転限界位置であるとみ
なされているが,実際には正転限界ストッパ115に到達する前に異常負荷が発生してモー
タ110が停止して,工程621が過小通電率を検出したものであるかもしれないことを想定
しておく必要がある。
同様に,工程630では工程625で仮記憶されたデータD3の値がプログラムメモリ161b又はデータメモリ162bに対して予め格納されている全体移動距離に対応したカウンタ計数値に関するデータと略一致しているかどうか比較判定する。
工程631は工程630の判定がNOであって可変抵抗120の出力変化量と可逆カウンタ131の計数値が適切でなかったときに実行される脱出駆動工程である。
工程631では正転指令出力FWDを発生すると共に,対辺となるトランジスタに対してパルス幅変調制御出力PWMを供給し,通電率を0又は微小値δにしたり下記のγにして断続駆動を行うようになっている。
なお,通電率γは,アナログ入力端子AN1から入力されたモータ110の通電電流Imが定格電流以上で拘束電流以下の所定の脱出駆動電流Ieとなるように帰還制御されるようになっている。
633では断続駆動時間が所定制限時間を超過したかどうかを判定し,時間超過していなけ
れば工程634へ移行し,時間超過しておれば断続計時タイマをリセットしたうえで工程640へ移行するようになっている。
工程634ではモータ110が回転開始したことによって通電率γが上昇したかどうかを判
定し,通電率の上昇が見られないときには工程631へ復帰して断続駆動を継続し,通電率
上昇が発生したときには工程632で起動された断続駆動タイマをリセットしたうえで工程
620へ復帰するようになっている。
工程620によって再度前進駆動が行われ,やがて正転限界ストッパ115の位置でモータ
110が停止すると工程621・624・625を経て工程630に至り,工程630の判定がYESとなって可変抵抗120の変化量や可逆カウンタ131の現在値が適切であると判断されると工程655へ移行するようになっている。
工程640における通電率γ(=τon/τ)はアナログ入力端子AN1から入力されるモータ110の通電電流Imが目標電流Isと等しくなるように帰還制御され,目標電流Isはモータ110の定格電流が使用される。
工程640に続いて実行される工程641はモータ110の回転速度が低下したことによって
通電電流Imが目標電流Isとなるための駆動電圧が低下して通電率γが所定値以下になったことを判定する拘束状態検出手段となっている。
には工程642が実行され,図示しない計時タイマによって後退動作時間の計測が開始し,
続く工程643では後退運転時間が過大ではないかどうかを判定し,過大でなければ工程641へ復帰し,時間超過であれば後述の工程660へ移行するようになっている。
工程641の判定がYESであって,例えば移動体111が逆転限界ストッパ114に突当たって停止し通電率γが減少したような場合には工程644が実行され,逆転指令出力RVSと制御出力PWMを停止すると共に工程642で起動された後退計時タイマを停止して計時時間がリセットされる。
続く工程645ではアナログ入力端子AN2に入力された可変抵抗120の検出出力がRAMメモリ163の第一アドレスD1に更新仮格納されると共に,可逆カウンタ131の現在値CVが第四アドレスD4に仮格納される。
工程645による仮記憶値は一応は逆転限界ストッパ114による逆転限界位置であるとみ
なされているが,実際には逆転限界ストッパ114に到達する前に異常負荷が発生してモー
タ110が停止して,工程641が過小通電率を検出したものであるかもしれないことを想定
しておく必要がある。
工程651は工程650の判定がNOであって可変抵抗120の出力変化量と可逆カウンタ131の計数値が適切でなかったときに実行される脱出駆動工程である。
工程651では逆転指令出力RVSを発生すると共に,対辺となるトランジスタに対してパルス幅変調制御出力PWMを供給し,通電率を0又は微小値δにしたり下記のγにして断続駆動を行うようになっている。
なお,通電率γは,アナログ入力端子AN1から入力されたモータ110の通電電流Imが定格電流以上で拘束電流以下の所定の脱出駆動電流Ieとなるように帰還制御されるようになっている。
653では断続駆動時間が所定制限時間を超過したかどうかを判定し,時間超過していなけ
れば工程654へ移行し,時間超過しておれば断続計時タイマをリセットしたうえで工程660へ移行するようになっている。
工程654ではモータ110が回転開始したことによって通電率γが上昇したかどうかを判
定し,通電率の上昇が見られないときには工程651へ復帰して断続駆動を継続し,通電率
上昇が発生したときには工程652で起動された断続駆動タイマをリセットしたうえで工程
640へ復帰するようになっている。
工程640によって再度後退駆動が行われ,やがて逆転限界ストッパ114の位置でモータ
110が停止すると工程641・644・645を経て工程650に至り,工程650の判定がYESとなって可変抵抗120の変化量や可逆カウンタ131の現在値が適切であると判断されると工程655へ移行するようになっている。
続く工程656においてデータD1・D2・D3の値を不揮発データメモリ162bへ転送保存すると共に,工程657では不揮発データメモリ162bに対して原点出し完了フラグのセット状態を転送保存し,続いて工程ブロック658を経て動作終了工程602へ移行するようになっている。
なお,工程ブロック658は移動体111の位置を例えば正転限界ストッパ115と逆転限界ストッパ114の中間点である初期位置へ移動させる工程ブロックである。
工程613・623・643・653においてタイムアウト判定が行われたときに実行される工程
660では正転又は逆転駆動を停止して計時タイマをリセットし,続いて実行される異常分
析工程661ではタイムアウト判定が工程613・623・643において発生したものか,または工程653において発生したものであるかを区分する。
タイムアウトが工程653で発生したものである場合には続く工程662の判定がYESとなって,再度原点復帰動作を実行するために工程610へ移行するようになっている。
タイムアウトが工程613・623・643で発生したものである場合,又は再度の原点復帰動
作を行った後である場合には工程662の判定はNOとなって工程663が実行され,異常警報表示が行われると共に異常履歴がRAMメモリ163に格納されるようになっている。
による脱出駆動制御手段,工程611・621・641は拘束状態検出手段,工程615・645は第一の仮記憶手段,工程615・655はリセット手段,工程625は第二の仮記憶手段,工程630・
650は比較判定手段,工程634・654は脱出検出手段,工程656は格納保存手段,工程663は異常報知手段となるものである。
工程610から工程615に至るフローは移動体111を一旦後退停止させて可変抵抗120の出力電圧をデータD1として仮記憶し,可逆カウンタ131の現在値をリセットしておくものである。
工程620から工程625に至るフローは移動体111を前進動作させ前進停止位置で可変抵抗120の出力電圧をデータD2として仮記憶すると共に,可逆カウンタ131の現在値をデータD3として仮記憶しておくものである。
工程630でデータD1・D2として記憶された出力電圧の差分値とデータD3として仮格
納された可逆カウンタ131の現在値が所定値となっておれば原点出し動作は成功であって,工程655から工程658によるフローによってデータメモリ162bへの保存と初期位置復帰が行われる。
ず,移動量不足であったときに実行され,過負荷状態に対する脱出強化駆動を行ってみて,十分な移動量が確保できて所定移動量が確保されれば原点出し動作は成功であって,工程655から工程658によるフローによってデータメモリ162aへの保存と初期位置復帰が行われる。
しかし,工程610から工程615による後退動作の途中で過負荷状態が発生し,逆転限界ストッパ114の位置まで後退していなかったような場合には,工程620から工程634に至る一連の動作によっては所定の移動量に達することができず,工程631による脱出駆動は正転限界ストッパ115の位置で更なる前進を行おうとする動きになる。
このような場合には工程633がタイムアウトの判定を行って工程640へ移行し,工程640から工程654による一連の動作によって逆転限界位置114への復帰動作が行われ,工程650で移動量の再確認が行われてこれが適正値であれば原点出し動作は成功であって,工程655から工程658によるフローによってデータメモリ162bへの保存と初期位置復帰が行われる。
間以上行なっても所定の移動量に到達しないときには工程653によってタイムアウトの判
定がなされ,工程660から工程663が実行されて再度原点出し動作が行われることになる。
このような当て止め方式の原点出し操作においては,移動体111が過大負荷によって停
止したものではなくて,正転限界ストッパ115や逆転限界ストッパ114によって停止した
ものであることを判定することが重要であるが,原点出しが確実に行われたかどうかは工程630や工程650による可変抵抗120の変化量と可逆カウンタ131の現在値の変化量の確認によって判定され,過大負荷が発生した場合には脱出駆動制御手段631・651による脱出駆動が行われるようになっている。
なお,工程630や工程650において可変抵抗120の出力電圧の変化量や可逆カウンタ131の現在値の変化量には一定の比例関係があり,もしもこの比例関係が維持されていないときには工程631や工程651による断続駆動は行われず,図7で示す良品選択を行った
うえで可変抵抗120又は可逆カウンタ131の現在値のどちらか一方の値に依存した制御が
行われるようになっている。
図7において,工程700はマイクロプロセッサ160bの良品選択動作の開始工程,続く工程701は図6の工程657や後述の工程913aによって原点出し完了フラグがセットされているかどうかを読出して原点記憶済であるかどうかを判定する工程であり,該工程701の判定がNOであって原点記憶されていないときには動作終了工程702へ移行し,工程701の判定がYESであって記憶済であるときには工程703へ移行するようになっている。
工程701の判定がYESであって原点記憶済みであったときに実行される工程703では,可変抵抗120の出力電圧と可逆カウンタ131の現在値CVの値が比較される。
例えば,逆転限界位置114から正転限界位置115に至る移動体111の最大移動距離Lに対して回転センサ130の動作回数は100回であるとし,また可変抵抗120は単品では最大動作角度320度であるが組付け状態では最大移動距離Lに対して最大回動角度が250度であるとし,可変抵抗120の出力電圧は単品状態では0.5〜4.5Vに変化するものであるとすると,回転センサ130の1パルスあたりの可変抵抗120の出力電圧の変化量ΔVは次式のとおりである。
ΔV=[(4.5−0.5)×250/320]/100=31.25mV/パルス
続く工程704では工程703による比較偏差が僅少であれば工程705へ移行し,比較偏差が所定閾値以上に過大であると工程710へ移行するようになっている。
工程705では移動体111の位置検出手段として可変抵抗120の出力電圧,又は回転センサ130の発生パルスを計数する可逆カウンタ131の現在値CVのどちらかを選択することになるが,図9のフローチャートの中では回転センサ130が選択されたものとして記載されている。
工程710では可変抵抗120の出力電圧が0.5〜4.5Vの範囲内であるかどうか,また前回
検出時の出力電圧と一定時間後に検出した今回の出力電圧との変化量が過大になっていないかどうかの点検を行って,可変抵抗120の接触不良又は接続配線の断線・短絡異常の有無が点検される。
工程711に続いて実行される工程712では工程710による点検結果として可変抵抗120が異常であれば工程713aへ移行し,可変抵抗120の異常が発見できなければ工程713bへ移行する。
工程713aと工程713bでは工程711による回転センサ130の異常点検結果によって分岐動作が行われる。
工程714aは工程712が可変抵抗120を異常と判定し,工程713aが回転センサ130を正常と判定した場合に実行されて回転センサ130の選択使用を決定する。
工程714bは工程712が可変抵抗120を正常と判定し,工程713bが回転センサ130を異常と判定した場合に実行されて可変抵抗120の選択使用を決定する。
工程715は工程712が可変抵抗120を異常と判定し,工程713aが回転センサ130を異常と判定した場合,又は工程712が可変抵抗120を正常と判定し,工程713bが回転センサ130を正常と判定した場合に実行されて,図6の工程657でセットされた原点出し完了フラグをリセットする。
動作終了工程702ではマイクロプロセッサ160bは他の制御動作を行ってから再度動作
開始工程700へ移行して,略定期的に良品選択制御が実行されるようになっている。
いときは原点出しフラグがリセットされるようになっている。
その結果,図9の工程901・903を経て工程ブロック914による原点記憶の確認処理が
行われるようになっている。
通電率制御の全体フロー図である図8(A)において,工程800はマイクロプロセッサ
160bの通電率制御動作の開始工程,続く工程801はトランジスタブリッジ回路180による駆動用トランジスタやモータ110と接続配線に関する断線・短絡監視信号MNTの論理レベルを判定して駆動回路系の異常の有無を判定する工程であり,工程801の判定が異常判定であるときには工程802が実行されて警報表示器140による異常報知やRAMメモリ163に対する異常履歴情報の格納が行われてから工程803へ移行し,工程803では通電率を0にしてから動作終了工程804へ移行し,工程804では他の制御動作を行ってから再度工程800へ循環移行するようになっている。
工程801の判定が異常なしであったときには工程805が実行され,工程805では移動体
111の目標位置と現在位置との偏差によって前進・後退動作を行うのかどうかの判定が行われ,前進・後退動作を行わないときには工程803へ移行して通電率を0にすると共に,
前進・後退動作を行うときには工程806へ移行して正転指令出力FWD又は逆転指令出力RVSを発生するようになっている。
工程811では例えばモータ110の定格電流である目標電流Isが設定され,続く工程812
ではアナログ入力端子AN1に入力されたモータ110の通電電流Imが読み出され,続く工程813では通電電流Imが目標電流Isに等しくなるように通電率γが帰還制御されるようになっていて,工程811・812・813によって構成された工程ブロック814は帰還制御方式による通常駆動制御手段となっている。
なお,工程813ではモータ回転速度が過大とならないようにするために図3(A)の工程313で示した通電率αも算出され,通電率γ<αに制限されるようになっている。
が読み出され,続く工程817aでは通電率γを増減制御してモータ電流Imが脱出駆動電流Ieと等しくなるような帰還制御が行われ,続く工程818aではモータ110の回転上昇によって脱出電流Ieを得るに必要な通電率γが上昇したか,または回転検出信号ROTを監視してモータ110が回転開始したかどうかを点検するようになっている。
なお,回転工程815aから工程818aで構成された工程ブロック819aによってモータの回転速度に応動して通電率γが変化する帰還制御方式による強化通電手段が構成されてい
る。
工程820では工程818aによる点検結果としてモータ110が回転開始したと判定したときには工程811へ移行し,まだ回転開始していないときには工程821へ移行するようになっている。
強化通電期間を決定する工程821では工程ブロック819aによる強化通電が開始してからの経過時間を判定し,たとえば経過時間が0.1秒以下であれば工程815aへ復帰して強化通電を継続し,0.1秒を超過すると工程822へ移行するようになっている。
工程822は通電率を0にするか又は微小保持電流となるような設定が行われてから工程
823へ移行する。
ば経過時間が0.9秒以下であれば工程822へ復帰して休息通電を継続し,0.9秒を超過すると工程824へ移行するようになっている。
工程824では工程ブロック819aによる強化通電と工程822による休息通電による断続駆動回数が例えば10回以下であるかどうかを判定して,10回以下であれば工程815aへ移行して断続駆動を継続し,10回を超過すると工程826へ移行して警報表示器140による異常報知とRAMメモリ163に対する異常履歴の書込み保存が行われ,続いて動作終了工程804へ移行するようになっている。
なお,工程815aから工程824によって構成された工程ブロック825は脱出駆動制御手段となるものであるが,断続脱出駆動を行わないで連続脱出駆動を行う場合には工程815a
で設定される脱出駆動電流Ieを少し低い目の値にしておいて,工程821による判定時間
を例えば5秒に変更し,工程821が時間超過判定を行うと工程826へ直接移行するように
すればよい。
ただしRaはモータ110の電機子抵抗であり,工程815bから工程818bによって構成された工程ブロック819bはモータの回転速度とは無関係に一定の通電率βを維持する限定制御方式による強化通電手段となっている。
御方式による通常駆動制御手段,工程819aはモータ電流を所定値に維持するような帰還制御方式による強化駆動手段,工程819bはモータの回転速度とは無関係に一定の通電率に制御する限定制御方式による強化駆動手段,工程820は脱出検出手段,工程821は強化
通電期間,工程823は休息期間,工程825は脱出駆動制御手段,工程826は異常報知手段となっている。
なお,図6における通常駆動制御手段610・620・640は詳しくは工程ブロック814に
示すものであり,図6における脱出駆動制御手段631・651は工程ブロック825に基づく
ものとなっている。
また,通常駆動制御手段814は図3(A)で示したような電圧制御方式の通常駆動制御手
段314に置き換えてもよく,逆に,図3(A)の通常駆動制御手段314は電流制御方式の通常駆動制御手段814に置き換えてもよい。
更に,拘束状態検出手段810と脱出検出手段820では可変抵抗120の出力電圧の変化の有無によって拘束状態又は回転状態を判定するものであってもよい。
図9において,工程900はマイクロプロセッサ160bがモータ110の通常運転動作を開始する工程,続く工程901は図6の工程657や後述の工程913aによって原点出し完了フラグがセットされているかどうかを読出して原点記憶済であるかどうかを判定する工程であり,該工程901の判定がYESであって記憶済であるときには工程905へ移行し,工程901の判定がNOであって原点記憶されていないときには工程902へ移行するようになっている。
なお,図6による原点出し操作はメーカの製品出荷ラインで実行されているものであって,通常運転モードにおいて原点出しが未完了であることは異常状態となるので,工程902では警報・表示器140による異常報知とRAMメモリ163に対する履歴情報の書込み保存が行われる。
工程902に続いて実行される工程903では電源スイッチ102が開路されたかどうかを判定し,閉路のままであれば動作終了工程904へ移行する。
マイクロプロセッサ160bは動作終了工程904においてその他の制御動作を行った後に再度動作開始工程900が活性化され,工程900・901・902・903・904を循環実行している過程において工程903が電源スイッチ102の開路状態を検知すると工程ブロック911へ移行する。
クは後述のとおり電源スイッチ102が開路したときにはいつでも実行されている。
続いて実行される工程912では,既に記憶保存されている原点校正情報と新たに実行さ
れた原点校正情報が合致しているかどうかを判定し,誤差過大であるか既存情報が無いときには工程913aが実行されて新たな情報と,図7の工程715によってリセットされてい
た原点出し完了フラグのセット情報がデータメモリ162bに更新保存される。
工程ブロック914は工程ブロック911と工程912・913aによって構成され,原点記憶確認手段となっている。
工程912の判定が誤差僅少であったとき,又は工程913aに続いて実行される工程ブロック915は運転再開時における移動体111の初期位置を目標位置として予め移動体111を移動させておく運転動作工程となっている。
続いて実行される工程913bでは運転中にRAMメモリ163に書込み保存されていた異常履歴情報をデータメモリ162bへ転送保存する工程,続く工程916はマイクロプロセッサ160bの駆動出力DRを停止してから動作終了工程904へ移行する工程であり,駆動出力DRが停止されると自己保持トランジスタ171が不導通となって電源リレー103が消勢され,車載駆動制御装置100bへの給電が停止されるようになっている。
続く工程906では工程905で算出された偏差量の正負に応じてモータ110の回転方向が
決定され,正転指令出力FWD又は逆転指令出力RVSが発生する。
続く工程907では正転指令出力FWD又は逆転指令出力RVSによって導通したトランジスタの対辺となるトランジスタに対してパルス幅変調制御出力PWMを供給する。
通常駆動制御手段となる工程907における通電率γ(=τon/τ)はモータ110の上限回転速度に適した駆動電圧Vsとアナログ入力端子AN0から入力された車載バッテリ101の電源電圧Vbとの比率に等しくなるようなα=Vs/Vb以下の値であって,所定の目標電流Isが得られるように帰還制御されている。
なお,モータ110の上限回転速度は位置偏差が大きいときには定格回転速度とし,目標
位置に接近すると回転速度を漸減するような制御が一般的である。
但し,工程903が実行されたときに電源スイッチ102が開路していると工程ブロック914・915,工程913b・916が実行されてから動作終了工程904へ移行するようになっている。
工程908の判定がNOであって目標位置に到達していないときには工程917が実行されて駆動時間計時タイマが起動され,続く工程918ではこの計時タイマがタイムアップしたかどうかを判定し,もしも時間超過の判定であれば工程960へ移行し,工程918の判定が時間超過ではないときには工程920aが実行されるようになっている。
工程920aではモータ回転が低下して通電率γが減少したかどうか,又は回転検出信号ROTの論理レベルを監視する。
脱出駆動制御手段となる工程921では図8(A)の工程ブロック825で示した断続駆動が
行われ,続く工程922ではモータ110の断続駆動を行いながら断続駆動時間を計時し,続
く工程923では断続駆動時間が所定制限時間を超過したかどうかを判定し,時間超過して
いなければ工程924aへ移行し,時間超過しておれば工程960へ移行するようになってい
る。
工程924aでは工程920aと同様に,通電率γの上昇又は回転検出信号ROTの論理レベルを監視してモータ110が回転開始したかどうかを点検する。
よってモータ110が回転開始したかどうかを判定し,モータ110がまだ回転開始していな
いときには工程921へ復帰してモータ110の脱出駆動を継続し,モータ110が回転開始したと判定したときには工程922で起動された計時タイマをリセットしてから工程907へ移行するようになっている。
工程918・923においてタイムアウト判定が行われたときに実行される工程960では正転又は逆転駆動を停止して計時タイマをリセットし,続いて実行される異常分析工程961ではタイムアウト判定が工程918において発生したものか,または工程923において発生したものであるかを区分する。
タイムアウトが工程923で発生したものである場合には続く工程962の判定がYESとなって,工程963へ移行するようになっている。
工程963では今までとは異なる回転方向にモータ110を反転駆動し,続く工程964では
工程963による反転駆動時間が所定値を超過したかどうか,または可変抵抗120の出力電
圧や可逆カウンタ131の現在値CVが所定閾値以上に変化したかどうかを判定し,反転動作が未完了であれば工程963へ復帰して反転駆動を継続し,所定の微小反転駆動が完了すれば工程905へ復帰して再度目標位置への駆動制御が開始されるようになっている。
タイムアウトが工程918で発生したものである場合,又は再度の運転動作を行った後で
ある場合には工程962の判定はNOとなって工程965が実行され,異常警報表示が行われると共に異常履歴がRAMメモリ163に格納されるようになっている。
憶処理手段,工程914は原点記憶確認手段,工程920bは拘束状態検出手段,工程921は脱出駆動制御手段,工程924bは脱出検出手段,工程963は反転駆動手段,工程965は異常報知手段となっている。
なお,通常駆動制御手段907は詳しくは図8(A)の工程ブロック814に示すとおりであ
り,脱出駆動制御手段921は詳しくは図8(A)の工程ブロック825に示すとおりとなっている。
また,図6における拘束状態検出手段611・621・641や図8(A)における拘束状態検出
手段810は工程920bと同様に通電率の減少や回転検出信号ROTの論理レベルや可変抵抗120の変化の停止によって判定することができると共に,図6における脱出検出手段634・654や図8(A)における脱出検出手段820は工程924bと同様に可変抵抗120の変化の開始又は通電率γの上昇又は回転検出信号ROTの論理レベルによって判定することができるものである。
上記移動体位置検出手段は上記モータ110の回転と連動する可変抵抗120の出力電圧又
は回転センサ130を可逆計数する可逆カウンタ131の現在値に関して原点位置での校正を
行って,少なくとも一方の値を監視することによって上記移動体111と正転限界位置115
及び逆転限界位置114との相対位置を検知する手段となっている。
する第一の異常検出手段710と,上記回転センサ130の内部又は外部配線の断線・短絡の
有無を検出する第二の異常検出手段711と,上記可変抵抗120の出力電圧の変化量に比例
した値と可逆カウンタ130の現在値の変化量とが略一致しているかどうかを判定する相対
比較手段703とを備えていて,上記相対比較手段703が不一致の判定であって第一・第二
の異常検出手段710・711の一方が異常状態を検出しているときには,異常状態が検出されていない他方のものを良品と判定し,上記相対比較手段703が不一致の判定であって第
一・第二の異常検出手段710・711が共に正常状態を検出しているときには良品無しと判定し,上記移動体位置検出手段は良品と判定された可変抵抗120又は回転センサ130に基
づいて上記移動体111と正転限界位置115及び逆転限界位置114との相対位置を検知するものである。
上記通常駆動制御手段814は車載バッテリ101の電源電圧が変動しても電流検出回路181によって検出された上記モータ110に対する給電電流を略一定とするように上記開閉素子の通電率γを制御する電流制御手段となっている。
モータ110が回転していない状態を検出する手段となっている。
上記脱出駆動制御手段825は上記移動体位置検出手段120・130が正転限界位置115及び逆転限界位置114以外の位置を検出しているときであって,上記モータ110の拘束状態検出手段810が上記モータ110の拘束状態を検出しているときに作用して,上記開閉素子の通電率γを制御して上記モータ110の定格電流以上の所定の脱出駆動電流Ieを所定時間以下の期間で連続通電又は断続通電する手段となっている。
上記脱出検出手段820は上記脱出駆動制御手段825によって駆動されているモータ110が回転開始したことを検出して通常駆動制御手段814へ移行するための手段となっている。
また,正転限界位置や逆転限界位置においてモータの拘束停止状態が発生しても,不必要な強化駆動を行わないで速やかに給電停止することによってモータや駆動用開閉素子の温度上昇を抑制することができる効果がある。
更に,センサ系を2重化して一方の異常に対して代替制御を可能にすることによって信頼性が向上する特徴がある。
上記原点記憶処理手段600は第一・第二の仮記憶手段と比較判定手段と格納保存手段とに
よって構成されている。
上記第一の仮記憶手段615・645は上記移動体111を逆転方向に駆動してから上記拘束状態検出手段611・641がモータの拘束状態を検出した時点の上記可変抵抗120の値を読出し記憶する手段である。
上記第二の仮記憶手段625は上記移動体111を正転方向に駆動してから上記拘束状態検
出手段621がモータ110の拘束状態を検出した時点の上記可変抵抗120の値を読出記憶する手段である。
上記比較判定手段630・650は上記第一・第二の仮記憶値の差分値と上記プログラムメ
モリ161b又はデータメモリ162bに格納されている全体移動距離に関する設定値とが略一
致しているかどうかを比較する手段である。
上記格納保存手段656は上記比較判定手段630・650による比較結果が略一致しているときに上記第一・第二の仮記憶値を逆転限界位置及び正転限界位置として上記データメモ
リ162bに転送する手段となっている。
従って,可変抵抗の組み付け位置と移動体の位置との関係が不確定であっても,組み付け現品に対応した校正処理によって正確に移動体位置を測定することができる特徴がある。
特に,負荷抵抗の増大異常によって移動体が正常に動作しなかった場合にはこれを検出して再度校正動作を行って確実に校正を行うことができる特徴がある。
上記原点記憶処理手段600はリセット手段と比較判定手段と格納保存手段とによって構成
されている。
上記リセット手段615・655は上記移動体111を逆転方向に駆動してから上記拘束状態検出手段611・641がモータ110の拘束状態を検出した時点で上記可逆カウンタ131の現在値を初期化する手段である。
上記比較判定手段630・650は上記移動体111を正転方向に駆動してから上記拘束状態検出手段621がモータ110の拘束状態を検出した時点の上記可逆カウンタ131の計数現在値を読出して,上記プログラムメモリ161b又はデータメモリ162bに格納されている全体移動距離に関する設定値と略一致しているかどうかを比較する手段である。
上記格納保存手段656は上記比較判定手段630・650による比較結果が略一致していたときに有効となり,原点記憶処理が完了したことを示すフラグ情報又は上記可逆カウンタ
131の計数現在値の少なくとも一方を上記データメモリに転送する手段である。
従って,可逆カウンタの初期化を確実に行うことができ,負荷抵抗の増大異常によって移動体が正常に動作しなかった場合にはこれを検出して再度校正動作を行って確実に初期化を行うことができる特徴がある。
上記原点記憶確認手段914は上記電源スイッチ102が開路されてから電源リレー103が遮断されるまでの期間において作動して,上記原点記憶処理手段600となるプログラムを実行し,新たに実行された上記格納保存情報と既に上記データメモリ162bに格納されている格納保存情報に誤差があるときには上記データメモリ162bの内容を新たな格納保存情報に更新する手段である。
従って,校正記憶情報に異常が発生しても,電源スイッチを遮断した状態で原点情報の更新が行えるので安全性が向上すると共に,不揮発データメモリの書換え回数を抑制することができる特徴がある。
低下したことによって検出されるものである。
従って,可変抵抗や回転センサに異常があっても,確実にモータの拘束停止状態を検出して,モータや駆動用開閉素子の焼損することができる特徴がある。
従って,モータの電圧・電流監視によらないで簡単にモータの拘束停止状態を検出することができる特徴がある。
従って,脱出駆動電流を一定値に保つことによって,電源電圧が変動しても安定した脱出駆動トルクを得ることができる特徴がある。
帰還制御されている開閉素子の通電率γが所定値以上に上昇したことを検出するものであるか,又は拘束状態における脱出電流が所定値となるように開閉素子の通電率βが制御されているものにおいてモータの通電電流が所定値以下に低下したことを検出するものとなっている。
従って,可変抵抗や回転センサの出力変化を監視しなくても,確実にモータの回転開始状態を検出することができる特徴がある。
のとなっている。
従って,モータの電圧・電流監視によらないでモータの回転開始状態を検出することができる特徴がある。
該反転駆動手段963は所定時間又は所定回転量以下の範囲で上記モータ110の回転方向
を反転させてから再度目標位置への駆動を開始する手段となっている。
従って,脱出駆動を中断して一旦反転動作を行ったうえで再度目標位置への移動を行うことによって,困難であった脱出駆動が可能となる可能性が生まれ,脱出駆動時間を短縮して駆動用開閉素子やモータの焼損を防止することができる特徴がある。
従って,開閉素子やモータの焼損が防止できると共に,異常状態を報知するだけでなく,保守点検のための履歴情報が得られる特徴がある。
101 車載バッテリ 703 相対比較手段
102 電源スイッチ 710 第一の異常検出手段
103 電源リレ− 711 第二の異常検出手段
110 モータ
111 移動体 310・810 拘束状態検出手段
114 逆転限界ストッパ 314 通常駆動制御手段
115 正転限界ストッパ (電圧制御方式)
120 可変抵抗(移動体位置検出手段) 814 通常駆動制御手段
130 回転センサ(移動体位置検出手段) (電流制御方式)
131 可逆カウンタ 319a 強化駆動手段
140 警報・表示器 (限定制御方式)
160a・160b マイクロプロセッサ 819a 強化駆動手段
161a・161b プログラムメモリ (帰還制御方式)
162a・162b データメモリ 319b 強化駆動手段
163 RAMメモリ (帰還制御方式)
180 トランジスタブリッジ回路(駆動回路)819b 強化駆動手段
181 電流検出回路 (限定制御方式)
320a・320b 脱出検出手段
200・600 原点記憶処理手段 820 脱出検出手段
210・610 通常駆動制御手段 321・821 強化通電期間
211・611 拘束状態検出手段 323・823 休息期間
215・615 第一の仮記憶手段 325・825 脱出駆動制御手段
220・620 通常駆動制御手段 326・826 異常報知手段
221・621 拘束状態検出手段
225・625 第二の仮記憶手段 407・907 通常駆動制御手段
230・630 比較判定手段 411・911 原点記憶処理手段
231・631 脱出駆動制御手段 414・914 原点記憶確認手段
234・634 脱出検出手段 420b・920b 拘束状態検出手段
240・640 通常駆動制御手段 421・921 脱出駆動制御手段
241・641 拘束状態検出手段 424b・924b 脱出検出手段
245・645 第一の仮記憶手段 963 反転駆動手段
250・650 比較判定手段 465・965 異常報知手段
251・651 脱出駆動制御手段
254・654 脱出検出手段
256・656 格納保存手段
263・663 異常報知手段
615・655 リセット手段
Claims (12)
- 車載バッテリから駆動回路を構成する開閉素子を介して可逆給電され,正転限界位置と逆転限界位置との間で移動体を可逆駆動するモータに対する車載駆動制御装置において、
不揮発プログラムメモリと不揮発データメモリと演算処理用RAMメモリとで協働するマイクロプロセッサを備えると共に,移動体位置検出手段と通常駆動制御手段とモータの拘束状態検出手段と脱出駆動制御手段と脱出検出手段とを備え,
上記移動体位置検出手段は上記モータの回転と連動する可変抵抗の出力電圧又は回転センサを可逆計数する可逆カウンタの現在値に関して原点位置での校正を行って,上記可変抵抗の出力電圧又は可逆カウンタの現在値の少なくとも一方の値を監視することによって上記移動体と上記正転限界位置及び逆転限界位置との相対位置を検知する手段であり,
上記通常駆動制御手段は上記車載バッテリの電源電圧が変動しても上記モータに対する印加電圧を略一定とするように上記開閉素子の通電率を制御する電圧制御手段であるか,または上記車載バッテリの電源電圧が変動しても電流検出回路によって検出された上記モータに対する給電電流を略一定とするように上記開閉素子の通電率を制御する電流制御手段であって,
上記拘束状態検出手段は上記モータに対する給電が行われているにも関わらずモータが回転していない状態を検出する手段であり,
上記脱出駆動制御手段は上記移動体位置検出手段が上記正転限界位置及び逆転限界位置以外の位置を検出しているときであって,上記モータの拘束状態検出手段が上記モータの拘
束状態を検出しているときに作用して,上記開閉素子の通電率を制御して上記モータの定格電流を超える所定の脱出駆動電流を通電する強化通電期間と,上記開閉素子の通電率を制御して上記モータの定格電流未満の保持電流又は電流値が0となる休息期間とを置き,上記強化通電期間と休息期間を所定回数以下の範囲で反復する断続通電手段であり,
上記脱出検出手段は上記脱出駆動制御手段によって駆動されている上記モータが回転開始したことを検出して通常駆動制御手段へ移行するための手段である
ことを特徴とする車載駆動制御装置。 - 車載バッテリから駆動回路を構成する開閉素子を介して可逆給電され,正転限界位置と逆転限界位置との間で移動体を可逆駆動するモータに対する車載駆動制御装置において,
不揮発プログラムメモリと不揮発データメモリと演算処理用RAMメモリとで協働するマイクロプロセッサを備えると共に,移動体位置検出手段と良品選択手段と通常駆動制御手段とモータの拘束状態検出手段と脱出駆動制御手段と脱出検出手段とを備え,
上記移動体位置検出手段は上記モータの回転と連動する可変抵抗の出力電圧又は回転センサを可逆計数する可逆カウンタの現在値に関して原点位置での校正を行って,上記可変抵抗の出力電圧又は可逆カウンタの現在値の少なくとも一方の値を監視することによって上記移動体と正転限界位置及び逆転限界位置との相対位置を検知する手段であり,
上記良品選択手段は上記可変抵抗の接触不良や配線の断線・短絡の有無を検出する第一の異常検出手段と,上記回転センサの内部又は外部配線の断線・短絡の有無を検出する第二の異常検出手段と,上記可変抵抗の出力電圧の変化量に比例した値と可逆カウンタの現在値の変化量とが略一致しているかどうかを判定する相対比較手段とを備えていて,上記相対比較手段が不一致の判定であって第一・第二の異常検出手段の一方が異常状態を検出しているときには,異常状態が検出されていない他方のものを良品と判定し,上記相対比較手段が不一致の判定であって第一・第二の異常検出手段が共に正常状態を検出しているときには良品無しと判定し,上記移動体位置検出手段は良品と判定された可変抵抗又は回転センサに基づいて上記移動体と上記正転限界位置及び逆転限界位置との相対位置を検知するものであり,
上記通常駆動制御手段は上記車載バッテリの電源電圧が変動しても上記モータに対する印加電圧を略一定とするように上記開閉素子の通電率を制御する電圧制御手段であるか,または上記車載バッテリの電源電圧が変動しても電流検出回路によって検出された上記モータに対する給電電流を略一定とするように上記開閉素子の通電率を制御する電流制御手段であって,
上記拘束状態検出手段は上記モータに対する給電が行われているにも関わらずモータが回転していない状態を検出する手段であり,
上記脱出駆動制御手段は上記移動体位置検出手段が上記正転限界位置及び逆転限界位置以外の位置を検出しているときであって,上記モータの拘束状態検出手段が上記モータの拘
束状態を検出しているときに作用して,上記開閉素子の通電率を制御して上記モータの定格電流以上の所定の脱出駆動電流を所定時間以下の期間で連続通電又は断続通電する手段であり,
上記脱出検出手段は上記脱出駆動制御手段によって駆動されている上記モータが回転開始したことを検出して通常駆動制御手段へ移行するための手段である
ことを特徴とする車載駆動制御装置。 - 上記プログラムメモリは原点記憶処理手段となるプログラムを包含していて,
上記原点記憶処理手段は第一・第二の仮記憶手段と比較判定手段と格納保存手段とによって構成され,
上記第一の仮記憶手段は上記移動体を逆転方向に駆動してから上記拘束状態検出手段が上記モータの拘束状態を検出した時点の上記可変抵抗の値を読出し記憶する手段であり,
上記第二の仮記憶手段は上記移動体を正転方向に駆動してから上記拘束状態検出手段が上記モータの拘束状態を検出した時点の上記可変抵抗の値を読出記憶する手段であり,
上記比較判定手段は上記第一・第二の仮記憶値の差分値と上記プログラムメモリ又はデータメモリに格納されている全体移動距離に関する設定値とが略一致しているかどうかを比較する手段であり,
上記格納保存手段は上記比較判定手段による比較結果が略一致しているときに上記第一・第二の仮記憶値を上記逆転限界位置及び正転限界位置として上記データメモリに転送する手段であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載駆動制御装置。 - 上記プログラムメモリは原点記憶処理手段となるプログラムを包含していて,
上記原点記憶処理手段はリセット手段と比較判定手段と格納保存手段とによって構成され,
上記リセット手段は上記移動体を逆転方向に駆動してから上記拘束状態検出手段が上記モータの拘束状態を検出した時点で上記可逆カウンタの現在値を初期化する手段であり,
上記比較判定手段は上記移動体を正転方向に駆動してから上記拘束状態検出手段が上記モータの拘束状態を検出した時点の上記可逆カウンタの計数現在値を読出して,上記プログ
ラムメモリ又はデータメモリに格納されている全体移動距離に関する設定値と略一致しているかどうかを比較する手段であり,
上記格納保存手段は上記比較判定手段による比較結果が略一致していたときに有効となり,原点記憶処理が完了したことを示すフラグ情報又は上記可逆カウンタの計数現在値の少なくとも一方を上記データメモリに転送する手段である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載駆動制御装置。 - 上記原点記憶処理手段は車載駆動制御装置が車両に組込まれた時点で実行されるものであると共に,上記車載駆動制御装置は電源スイッチによって付勢され電源スイッチが開路したときに遅延復帰する電源リレーを介して上記車載バッテリから給電されるものであって,
上記プログラムメモリは原点記憶確認手段となるプログラムを包含していて,
上記原点記憶確認手段は上記電源スイッチが開路されてから上記電源リレーが遮断されるまでの期間において作動して,上記原点記憶処理手段となるプログラムを実行し,新たに
実行された格納保存情報と既に上記データメモリに格納されている格納保存情報に誤差があるときには上記データメモリの内容を新たな格納保存情報に更新する手段である
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車載駆動制御装置。 - 上記拘束状態検出手段は上記通常駆動制御手段によって駆動され,一定電圧が印加されている上記モータの給電電流が所定値以上に過大となったとき,又は一定電流を供給する
のに必要な電圧が低下してパルス幅変調制御における通電率が所定値以下に低下したことによって検出されるものである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載駆動制御装置。 - 上記拘束状態検出手段は上記モータに対する給電が行われているにも関わらず,上記可変抵抗の出力電圧が変化していないか,又は上記回転パルスの発生パルスが所定時間以上にわたって変化しないことによって拘束状態を検出するものである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載駆動制御装置。 - 上記脱出駆動制御手段は上記開閉素子の通電率を制御して上記モータの通電電流がモータの定格電流以上の所定の脱出駆動電流となるように帰還制御する強化駆動手段であるか,または上記開閉素子の通電率を上記モータの回転速度とは無関係に一定の値として拘束状態にある上記モータに対して定格電流以上の所定の脱出駆動電流を供給するように上記開閉素子の通電率を限定制御する強化駆動手段である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載駆動制御装置。 - 上記脱出検出手段は上記脱出駆動制御手段によって一定脱出電流となるように帰還制御されている上記開閉素子の通電率が所定値以上に上昇したことを検出するものである
か,又は拘束状態における脱出電流が所定値となるように上記開閉素子の通電率が制御されているものにおいて上記モータの通電電流が所定値以下に低下したことを検出するものである
ことを特徴とする請求項8に記載の車載駆動制御装置。 - 上記脱出検出手段は上記可変抵抗の出力電圧が変化しているか,又は上記回転パルスの論理レベルが変化していることを検出するものである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載駆動制御装置。 - 上記脱出駆動制御手段は所定時間以上の脱出駆動を行っても上記脱出検出手段が脱出状態を検出できないときに作用する反転駆動手段を備え,
該反転駆動手段は所定時間又は所定回転量以下の範囲で上記モータの回転方向を反転させてから再度目標位置への駆動を開始する手段である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載駆動制御装置。 - 上記脱出駆動制御手段は所定時間以上の脱出駆動を行っても上記脱出検出手段が脱出状態を検出できないときに作用して,上記モータに対する給電駆動を停止すると共に,警報・表示器を作動させる異常報知手段を備え,異常報知が行われたことを異常履歴情報として上記データメモリに格納保存する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載駆動制御装置。
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