JP4098698B2 - 排ガス処理方法 - Google Patents
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しかし、排ガス中には、窒素酸化物(NOx)とともに、有害物質である水銀が、金属水銀(Hg0)もしくは塩化水銀(HgCl2)のようなハロゲン化水銀として含まれていることがある。窒素酸化物とともに水銀(金属水銀やハロゲン化水銀)をも含む排ガスを前述したSCR法で処理すると、経時的に脱硝触媒に水銀が蓄積してしまい、蓄積した水銀が触媒毒として作用して脱硝触媒の劣化を促進することとなり、高い排ガス処理効果を長期にわたり持続することができない、といった問題を生じる。
これまで、排ガス中から水銀(金属水銀を含む)を除去する技術としては、例えば、活性炭吸着法や次亜塩素酸ソーダ吸収法が知られている(例えば、特許文献1、2など参照)。詳しくは、活性炭吸着法としては、例えば、排ガス中に活性炭粉末を吹き込んでバグフィルターで回収する方法が実用化されており、一方、次亜塩素酸ソーダ吸収法としては、例えば、排ガス処理システムにおける冷却塔の冷却水、脱硫吸収塔の吸収液、湿式電気集じん機の供給水や循環水等に、次亜塩素酸ソーダを直接添加する方法が実用化されている。
Hg0+2HCl+1/2O2⇔HgCl2+H2O (1)
に示す平衡反応において、HCl存在下、触媒を用いることにより平衡が右へ移動することに着目し、この反応を利用して金属水銀を捕捉・除去が容易なハロゲン化水銀に変換すれば、排ガス中から容易に金属水銀を除去することができることを見出した。また、窒素酸化物の処理については脱硝触媒を用いて行なうことが適していると考え、この窒素酸化物の処理を行なう前に、金属水銀をハロゲン化水銀に変換し、該ハロゲン化水銀を除去しておくようにすることで、水銀の蓄積による脱硝触媒の性能低下を回避することができることを見出した。そして、これらの知見に基づき本発明を完成した。
本発明の排ガス処理方法は、窒素酸化物と金属水銀とを含有する排ガスに対して、まず、水銀ハロゲン化触媒を用いて金属水銀をハロゲン化水銀に変換する処理(以下「水銀ハロゲン化処理」と称することもある。)を施し、次に、該ハロゲン化水銀を吸収液で捕捉することによって除去する処理(以下「水銀除去処理」と称することもある。)を施し、その後、脱硝触媒を用いて窒素酸化物の処理(以下「脱硝処理」と称することもある。)を行なうものである。以下、各処理について、詳しく説明する。
前記水銀ハロゲン化触媒は、前記金属酸化物類Aとして、チタン系複合酸化物を用いた触媒であることが、安定な構造を維持でき、水銀に対する高い耐性を発揮しうる点で好ましい。前記チタン系複合酸化物としては、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、タングステンおよびモリブデンからなる群より選ばれる1種または2種とチタンとの二元系または三元系複合酸化物が好ましく、具体的には、例えば、Ti−Si、Ti−Zr、Ti−Al、Ti−W、Ti−Mo等の二元系複合酸化物;Ti−Si−Mo、Ti−Si−W、Ti−Si−Zr、Ti−Si−Al、Ti−Zr−Al、Ti−Zr−Mo、Ti−Zr−W、Ti−Al−Mo、Ti−W−Mo等の三元系複合酸化物;等が挙げられる。これらの中でも、Ti−Moの二元系複合酸化物や、Ti−Si−Mo、Ti−Zr−Mo、、Ti−Al−Mo、Ti−W−Moのような三元系複合酸化物など、モリブデン(Mo)を必須とする遷移金属とチタン(Ti)との二元系または三元系複合酸化物が、水銀ハロゲン化活性がより高いことから、より好ましい。なお、ここで、複合酸化物とは、X線回折パターンにおいてTiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークを示さず、TiO2についてはアナターゼ型酸化チタンに帰属される固有のピークを示さないか、もしくは示してもアナターゼ型酸化チタンの回折ピークよりもブロードな回折ピークを示すものを言う。
前記水銀ハロゲン化触媒における前記金属酸化物類Aがチタン系複合酸化物である場合、前記チタン系複合酸化物の調製方法としては、特に制限はなく、例えば、沈殿法(共沈法)、沈着法、混練法などの従来公知の方法を採用することができる。例えば、Ti−Moであれば、パラモリブデン酸アンモニウムやモリブデン酸等のモリブデン化合物をアンモニア水溶液に分散させて水溶液(A)を得、この水溶液(A)に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリーを濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。また、例えば、Ti−Si−Mo、Ti−Zr−Mo、Ti−Al−Mo、Ti−W−Moであれば、前記水溶液(A)に、さらにSi、Zr、Al、Wなどの塩の水溶液を加え、得られた水溶液に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリーを濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。
前記水銀ハロゲン化触媒における前記バナジウム(V)の含有量は、特に限定されないが、例えば、水銀ハロゲン化触媒の全重量に対し、酸化物換算重量比で、0.1〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましい。
前記水銀ハロゲン化触媒が前記金属酸化物類Aにバナジウム(V)を添加したものである場合、バナジウム(V)を添加する方法としては、特に限定されず、例えば、前記金属酸化物類Aの粉末に、バナジウム源を含む水溶液を、一般にこの種の成形を行う際に用いられる有機または無機の成形助剤とともに加え、混合、混錬しつつ加熱して水分を蒸発させ、押出し可能なペースト状とし、これを押出し成形機でハニカム状等に成形した後、乾燥し空気中にて高温(好ましくは200〜600℃)で焼成する方法等が挙げられる。また、別の方法として、前記金属酸化物類Aの粉末を予め球状、円柱状のペレット、格子状のハニカムなどの形に成形し、焼成した後、バナジウム源を含む水溶液を含浸させる方法も採用することができる。また、前記金属酸化物類Aの粉末を、バナジウム酸化物の粉体と直接混練する方法で調製することもできる。
前記水銀ハロゲン化触媒の形状は、特に限定されるものではなく、ハニカム状、板状、網状、円柱状、円筒状など所望の形状に成形して使用することができる。
前記水銀ハロゲン化触媒の全細孔容積は、特に制限されないが、水銀圧入法により測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm3/gであることが好ましく、より好ましくは0.25〜0.80cm3/g、さらに好ましくは0.25〜0.70cm3/gであるのがよい。
前記水銀ハロゲン化処理における処理温度(前記水銀ハロゲン化触媒の触媒温度)は、60〜450℃とすることが好ましく、より好ましくは100〜350℃、さらに好ましくは100〜300℃とするのがよい。
前記水銀ハロゲン化処理における排ガスの空間速度は、特に制限されないが、100〜90000Hr−1が好ましく、より好ましくは200〜50000Hr−1である。100Hr−1未満では、処理装置が大きくなりすぎるため非効率となり、一方、90000Hr−1を超えると、ハロゲン化水銀への変換反応の効率が低下する。
前記水銀除去処理に用いる前記吸収液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(具体的には、炭酸カルシウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液など)等を用いればよい。
脱硝処理においては、脱硝触媒を用いて排ガス中の窒素酸化物を処理する。具体的には、前記脱硝処理は、脱硝触媒をアンモニアや尿素などの還元剤の存在下、排ガスと接触させ、排ガス中の窒素酸化物を還元して無害化すればよい。本発明の排ガス処理方法においては、前記水銀除去処理を施した排ガスを該脱硝処理に供することが重要であり、これにより脱硝触媒の劣化を抑制し、長期間にわたり高い脱硝性能を維持することができるのである。なお、前記脱硝処理は、脱硝のため通常の排ガスシステムに設けられている脱硝装置で行なえばよい。
前記脱硝触媒は、バナジウム(V)および/またはチタン(Ti)のほかに、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属をも含有することが好ましい。これら遷移金属は、独立した金属酸化物として含有されていてもよいが、チタンとの複合酸化物を形成して含有されていることがより好ましい。すなわち、前記脱硝触媒は、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、タングステンおよびモリブデンからなる群より選ばれる1種または2種とチタンとの二元系または三元系複合酸化物を含有するものであることがより好ましいのである。具体的には、例えば、Ti−Si、Ti−Zr、Ti−Al、Ti−W、Ti−Mo等の二元系複合酸化物;Ti−Si−Mo、Ti−Si−W、Ti−Si−Zr、Ti−Si−Al、Ti−Zr−Al、Ti−Zr−Mo、Ti−Zr−W、Ti−Al−Mo、Ti−W−Mo等の三元系複合酸化物;等が、安定な構造を維持できる点で好ましい。これらの中でも、Ti−Siの二元系複合酸化物や、Ti−Si−Mo、Ti−Si−W、Ti−Si−Zr、Ti−Si−Alのような三元系複合酸化物など、ケイ素(Si)を必須とする遷移金属とチタン(Ti)との二元系または三元系複合酸化物が、脱硝活性がより高いことから、より好ましい。なお、ここで、複合酸化物とは、X線回折パターンにおいてTiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークを示さず、TiO2についてはアナターゼ型酸化チタンに帰属される固有のピークを示さないか、もしくは示してもアナターゼ型酸化チタンの回折ピークよりもブロードな回折ピークを示すものを言う。
前記脱硝触媒がチタン系複合酸化物を含有するものである場合、該チタン系複合酸化物の調製方法としては、特に制限はなく、例えば、沈殿法(共沈法)、沈着法、混練法などの従来公知の方法を採用することができる。例えば、Ti−Siであれば、コロイド状シリカなどのケイ素化合物をアンモニア水溶液に分散させて水溶液(B)を得、この水溶液(B)に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリーを濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。また、例えば、Ti−Si−Mo、Ti−Si−Zr、Ti−Si−Al、Ti−Si−Wであれば、前記水溶液(B)に、さらにMo、Zr、Al、Wなどの塩の水溶液を加え、得られた水溶液に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリーを濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。
前記脱硝触媒が前記チタン系複合酸化物に前記活性種(V、W、Mo)を添加したものである場合(前記チタン系複合酸化物にVを添加したものである場合、もしくは前記Ti−Si二元系複合酸化物にVとW・Moとを添加したものである場合)、これらVもしくはVとW・Moの含有量は、特に限定されないが、例えば、脱硝触媒の全重量に対し、各元素(V、W、Mo)の酸化物換算重量比で0.1〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましい。
前記脱硝触媒の全細孔容積は、特に制限されないが、水銀圧入法により測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm3/gであることが好ましく、より好ましくは0.25〜0.75cm3/g、さらに好ましくは0.30〜0.60cm3/gであるのがよい。
前記脱硝触媒のBET比表面積は、特に制限されないが、20〜300m2/gであることが好ましく、より好ましくは30〜250m2/gであるのがよい。
前記脱硝処理における排ガスの空間速度は、特に制限されないが、100〜100000Hr−1が好ましく、より好ましくは200〜50000Hr−1である。
本発明の排ガス処理方法においては、吸収液に吸収された水銀(ハロゲン化水銀)を回収し、回収した水銀を資源として再利用することが好ましい。具体的には、例えば、ハロゲン化水銀を吸収させたのちの吸収液を加熱して水銀蒸気を発生させ、これを急冷することにより、水銀を回収することができる。
本発明の排ガス処理方法においては、処理に供する排ガス中の水銀(金属水銀およびハロゲン化水銀)濃度は100mg/m3N以下であることが好ましく、50mg/m3N以下であることがより好ましく、40mg/m3N以下であることがさらに好ましい。なお、一般に、排ガス中に存在する除去対象物の濃度が低すぎると、除去効果が充分に認められないことがあるが、本発明の排ガス処理方法においては、10μg/m3N以下のような極めて低い水銀(金属水銀およびハロゲン化水銀)濃度であっても、充分に除去効果を発揮することができる。
〔製造例1−水銀ハロゲン化触媒(1)の製造〕
まず、Ti−W複合酸化物を次のように調製した。工業用アンモニア水(25wt%NH3含有)255kgおよび水140リットルの混合溶液に、メタタングステン酸アンモニウム水溶液(日本無機化学工業(株)製:WO3として50wt%含有)20kgを加えてよく攪拌し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiO2として70g/リットル、H2SO4として287g/リットル含有)571リットルを攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させた後、適量のアンモニア水を加えてpHを4に調整した。この共沈スラリーを約40時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、150℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、500℃で5時間焼成し、Ti−W複合酸化物粉体を得た。該Ti−W複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:タングステン酸化物=80:20であった。
なお、水銀ハロゲン化触媒(1)のX線回折パターンを図1に示す。図1において、TiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、水銀ハロゲン化触媒(1)は複合酸化物であることが確認できた。参考として、TiO2のX線回折パターンを図7に示す(なお、以下の製造例でも該図7を参考とする)。
まず、Ti−Si−Mo複合酸化物を次のように調製した。シリカゾル(「スノーテックス−30」日産化学社製、SiO2換算30wt%含有)3.3kg、工業用アンモニア水(25wt%NH3含有)103kg、および水58リットルの混合溶液に、モリブデン酸3.4kgを加えてよく攪拌し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiO2として70g/リットル、H2SO4として287g/リットル含有)228リットルを攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させた後、適量のアンモニア水を加えてpHを4に調整した。この共沈スラリーを約40時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、100℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、500℃で5時間焼成し、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体を得た。該Ti−Si−Mo複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:モリブデン酸化物=80:5:15であった。
なお、水銀ハロゲン化触媒(2)のX線回折パターンを図2に示す。図2において、TiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、水銀ハロゲン化触媒(2)は複合酸化物であることが確認できた。
まず、Ti−Si複合酸化物を次のように調製した。シリカゾル(「スノーテックス−30」日産化学社製、SiO2換算30wt%含有)6.7kg、工業用アンモニア水(25wt%NH3含有)110kg、および水70リットルを混合し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiO2として70g/リットル、H2SO4として287g/リットル含有)257リットルを撹拌しながら徐々に滴下した。得られたスラリーを20時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、続いて100℃で1時間乾燥した。さらに、空気雰囲気下、500℃で5時間焼成し、Ti−Si複合酸化物粉体を得た。該Ti−Si複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物=90:10であった。
なお、水銀ハロゲン化触媒(3)のX線回折パターンを図3に示す。図3において、TiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、水銀ハロゲン化触媒(3)は複合酸化物であることが確認できた。
〔製造例4−脱硝触媒(1)の製造〕
まず、Ti−Si複合酸化物を次のように調製した。シリカゾル(「スノーテックス−30」日産化学社製、SiO2換算30wt%含有)10kg、工業用アンモニア水(25wt%NH3含有)104kg、および水73リットルを混合し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiO2として70g/リットル、H2SO4として287g/リットル含有)243リットルを撹拌しながら徐々に滴下した。得られたスラリーを20時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、続いて150℃で1時間乾燥した。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、Ti−Si複合酸化物粉体を得た。該Ti−Si複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物=85:15であった。
なお、脱硝触媒(1)のX線回折パターンを図4に示す。図4において、TiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、脱硝触媒(1)は複合酸化物であることが確認できた。
製造例4と同様にしてTi−Si複合酸化物を得たのち、パラタングステン酸アンモニウム1.12kgの代わりにパラモリブデン酸アンモニウム1.23kgを用いたこと以外は製造例4と同様にして、Ti−Si複合酸化物にバナジウムとモリブデンを添加した脱硝触媒(2)を得た。
得られた脱硝触媒(2)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si複合酸化物:バナジウム酸化物:モリブデン酸化物=90:5:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:バナジウム酸化物:モリブデン酸化物=76.5:13.5:5:5)であった。
〔製造例6−脱硝触媒(3)の製造〕
市販のチタン酸化物粉体にバナジウムとタングステンを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、パラタングステン酸アンモニウム1.12kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.85kgを混合して溶解させ、均一なバナジウムおよびタングステン含有溶液を調製した。市販のチタン酸化物粉体(「DT−51」ミレニアム社製)18kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウムおよびタングステン含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、450℃で5時間焼成して、脱硝触媒(3)を得た。
なお、脱硝触媒(3)のX線回折パターンを図6に示す。図6において、TiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるシャープなピークが認められることから、脱硝触媒(3)はチタン単一酸化物を主とするものであることが確認できた。
〔実施例1および参考例1〜3〕
図8に示す排ガス処理システムにて、表1に示す水銀ハロゲン化触媒および脱硝触媒をそれぞれ表1に示す触媒温度で用い、下記ガス組成の模擬排ガスを処理した。なお、処理に際しては、水銀ハロゲン化装置における空間速度は3000Hr−1とし、脱硝装置における空間速度は13000Hr−1とした。
NOx:100ppm
NH3:100ppm
HCl:7ppm
Hg:25μg/m3N(内、金属水銀(Hg0)は15μg/m3N)
O2:11%
H2O:15%
詳しくは、まず、排ガス容器1に入れた模擬排ガスを、水銀ハロゲン化触媒を備えた水銀ハロゲン化装置2に導き、該装置にて金属水銀をハロゲン化水銀に変換させた。このとき、水銀ハロゲン化装置2中の水銀ハロゲン化触媒の温度は、温度制御装置3aによって制御した。次いで、水銀ハロゲン化装置2を通った模擬排ガスを、吸収瓶4中の吸収液(3%炭酸カルシウム水溶液)5の中に導き、模擬排ガス中のハロゲン化水銀を吸収液に吸収させた。次いで、模擬排ガスを吸収瓶4から脱硝装置6に導き、該装置にて窒素酸化物を処理した。このとき、脱硝装置6中の脱硝触媒の温度は、温度制御装置3bによって制御した。その後、模擬排ガスを脱硝装置6から回収瓶7に導き、回収した。
<脱硝率>
脱硝率(%)={(ガスaのNOx濃度)−(ガスbのNOx濃度)}÷(ガスaのNOx濃度)×100
<水銀除去率>
水銀除去率(%)={(ガスaのHg濃度)−(ガスbのHg濃度)}÷(ガスaのHg濃度)×100
図8に示す排ガス処理システムに代え、図9に示すような脱硝装置6を水銀ハロゲン化装置2の前流に設けた排ガスシステムを採用したこと以外は、実施例1および参考例1〜3と同様にして、模擬排ガスを処理した。
詳しくは、まず、排ガス容器1に入れた模擬排ガスを、脱硝装置6に導き、該装置にて窒素酸化物を処理した。このとき、脱硝装置6中の脱硝触媒の温度は、温度制御装置3bによって制御した。次いで、模擬排ガスを脱硝装置6から水銀ハロゲン化触媒を備えた水銀ハロゲン化装置2に導き、該装置にて金属水銀をハロゲン化水銀に変換させた。このとき、水銀ハロゲン化装置2中の水銀ハロゲン化触媒の温度は、温度制御装置3aによって制御した。次いで、水銀ハロゲン化装置2を通った模擬排ガスを、吸収瓶4中の吸収液(3%炭酸カルシウム水溶液)5の中に導き、模擬排ガス中のハロゲン化水銀を吸収液に吸収させた。その後、模擬排ガスを吸収瓶4から回収瓶7に導き、回収した。
2 水銀ハロゲン化装置
3 温度制御装置
4 吸収瓶
5 吸収液
6 脱硝装置
7 回収瓶
8 ガスサンプリング口
Claims (1)
- 窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを処理する排ガス処理方法であって、ハロゲン化合物の存在下で、Ti−Si−Moなる三元系複合酸化物と活性種としてのバナジウムを含有する水銀ハロゲン化触媒を用いて金属水銀をハロゲン化水銀に変換し、該ハロゲン化水銀を吸収液で捕捉することによって排ガスから除去したのち、脱硝触媒を用いて窒素酸化物を処理することを特徴とする、排ガス処理方法。
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