JP3860706B2 - 燃焼排ガスの処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼排ガスの処理方法に関するものであり、詳しくは、低温度でダイオキシン等の塩素化有機化合物を高効率で分解することが出来る塩素化有機化合物の分解方法を特定条件下に利用する燃焼排ガスの処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
都市ゴミや産業廃棄物を処理する焼却炉などから排出される燃焼排ガスは、各種の有害成分を含有しているが、毒性の強いダイオキシンとその前駆体である芳香族塩素化合物などの塩素化有機化合物および光化学スモッグの原因物質である窒素酸化物の除去は、特に重要である。
【0003】
燃焼排ガス中の塩素化有機化合物の除去方法としては、各種の方法が知られているが、特に接触分解法は、500℃以下の条件で塩素化有機化合物を分解する優れた方法である。ところで、塩素化有機化合物の接触分解は、300℃以上の分解温度では一旦分解されたダイオキシン等が再生成するため、250℃以下の温度で行うことが要求されている。
【0004】
更に近年、都市ゴミ焼却設備では、ゴミ焼却時に発生した熱を回収する目的で得たスチームで発電し、都市ゴミ焼却設備に電力供給すると共に余剰電力の売電が行なわれている。ところで、塩素化有機化合物分解用触媒層の反応温度の維持に上記のスチームが利用されている場合、反応温度が高い程に多量のスチームが消費される不利益がある。従って、斯かる観点からも可及的に低い反応温度、具体的には200℃以下の反応温度での運転が要求されている。
【0005】
一方、塩素化有機化合物の接触分解は、酸化反応と考えられ、反応温度が低下すると反応速度が必然的に低下する。従って、より低い温度で接触分解を行って所定の分解率を得ようとした場合は、触媒量の増加や単位時間当たりの処理ガス量の低下が必要となる。しかしながら、都市ゴミ焼却設備では、処理ガス量の低下が困難なため、処理装置が巨大化するという問題がある。
【0006】
一方、触媒の担体としては、一般的に、TiO2、SiO2、Al23、ZrO2等が使用できるが、塩素化有機化合物分解用触媒の場合は、燃焼排ガス中にSO2が含有されている場合が多いため、SO2に耐性を有するTiO2が一般的に使用される。例えば、特許第2633316号公報においてはTiO2担体に活性成分V25とWO3を担持した触媒が使用され、特許第2916259号公報においては、担体として、Ti、Si、Zrの2元または3元複合酸化物を使用することにより活性成分の分散性を向上させて触媒性能の向上を図っている。
【0007】
そして、特許第2633316号公報においては、270〜290℃の反応温度が採用されているが、斯かる温度は十分に低温とは言い難く、また、特許第2916259号公報においては、温度が200℃でSVが2000hr-1の反応条件が採用されており、多量の触媒を使用する必要がある。
【0008】
上述の様に、従来の塩素化有機化合物分解用触媒は、何れも、低温条件で且つコンパクトな処理装置で使用するには十分に満足し得る性能ではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、ダイオキシン類の再合成の問題や触媒層の加熱源であるスチームの使用量の削減の観点から要求される250℃以下(好ましくは200℃以下)の反応温度を採用し得る、塩素化有機化合物の分解方法を特定条件下に利用した燃焼排ガスの処理方法であって、しかも、窒素酸化物の分解のために排ガス中に導入されたアンモニアと排ガス中の二酸化イオウとによって生成する酸性硫酸アンモニウムの触媒表面への析出を防止し得る様に改良された燃焼排ガスの処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、種々検討を重ねた結果、次の様な種々の知見を得た。すなわち、SiO2が高分散しているSiO2−TiO22元系複合酸化物と純粋なTiO2との混合物を担体とする触媒は、塩素化有機化合物の分解性能が著しく高い。就中、200℃以下の低い反応温度において高い分解性能を示す。しかも、斯かる担体は、耐SO2性が高いため、酸性硫安生成条件下で使用しても性能劣化が小さい。更に、特定性能の2種類の触媒を特定条件下に使用するならば、酸性硫酸アンモニウムの触媒表面への析出を防止し得る。
【0013】
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、塩素化有機化合物、二酸化イオウ及び窒素酸化物を含有する燃焼排ガスの処理方法であって、次の(a)〜(d)の条件を満足することを特徴とする燃焼排ガスの処理方法に存する。
【0014】
(a)触媒として、担体に活性成分としてバナジウム(V)酸化物およびモリブデン(Mo)酸化物が担持され、しかも、塩素化有機化合物分解能とアンモニア存在下における窒素酸化物分解能とを有し且つ以下に規定する二酸化イオウの酸化転化率が1.3%以下の低酸化性能触媒(X)と、担体に活性成分としてバナジウム(V)酸化物およびモリブデン(Mo)酸化物が担持された触媒であって、担体として、SiO−TiO2元系複合酸化物とTiOから成り且つ両者の全量に対する前者の割合が50重量%以下である混合物が使用され、しかも、塩素化有機化合物分解能を有し且つ以下に規定する二酸化イオウの酸化転化率が3.0%以上の高酸化性能触媒(Y)との2種類を使用する。
【0015】
<二酸化イオウの酸化転化率>
圧力:常圧、温度:250℃、SV(空間速度):1850Hr-1、触媒量:450mlの条件下、O210乾体積%,SO2500ppm,H2O:10体積%,N2バランス量の組成のガスを触媒が充填された反応管に供給し、反応管出口のSO3濃度とトータルSOXの濃度を求め、次式により二酸化イオウの酸化転化率(%)を算出する。
【0016】
【数2】
(出口SO3濃度/出口トータルSOX)×100
【0017】
(b)燃焼排ガスと低酸化性能触媒および高酸化性能触媒との各接触工程を任意の順序で且つ100〜250℃の温度範囲で行う。
【0018】
(c)低酸化性能触媒との接触工程を先行させる場合、低酸化性能触媒との接触工程に流入する燃焼排ガス中にアンモニアを導入するが、その量は当該工程から流出する燃焼排ガス中のアンモニア濃度が20ppm以下となる量に調節する。
【0019】
(d)高酸化性能触媒との接触工程を先行させる場合、低酸化性能触媒との接触工程に流入する燃焼排ガス中にアンモニアを導入する。
【0020】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明に係る燃焼排ガスの処理方法において利用される塩素化有機化合物の分解方法について説明する。この分解方法においては、塩素化有機化合物分解用触媒として、担体に活性成分が担持された触媒であって、担体がSiO−TiO2元系複合酸化物とTiOから成り且つ両者の全量に対する前者の割合が50重量%以下である混合物から成る触媒を使用する。上記のSiOは特に非晶質であることが好ましい。
【0021】
SiO2−TiO22元系複合酸化物のチタン源は、塩化チタン、硫酸チタニル、メタチタン酸などから選択することが出来る。ケイ素源としては、コロイド状シリカ、水ガラス、四塩化ケイ素などの無機系ケイ素化合物およびテトラエチルシリケート等の有機系ケイ素化合物から選択することが出来る。そして、SiO2−TiO22元系複合酸化物は、上記の様なチタン源とケイ素源とから得られ、例えば、TiO2含量が20〜50重量%の含水チタン酸(TiO2の水和物)とシリカゾルとを所定割合で混合し、十分に熟成させ後に濾過し、得られたケーキを乾燥して焼成することにより得ることが出来る。
【0022】
一般に、SiO2−TiO22元複合酸化物は、固体酸性を有することが知られており、この性質を塩素化有機化合物の分解に利用した場合、脱塩素化反応の促進により分解効率の向上が期待できる。また、一般に、比表面積や耐SOX性が向上することも期待できる。
【0023】
しかしながら、酸性硫安の付着により触媒性能が劣化した場合、通常、反応速度が低下する。酸性硫安が生成する様な低温反応温度域ではダイオキシン類は、脱塩素化反応によって分解されることが多いが、脱塩素化反応の反応速度が低下した場合、毒性の低い8塩素体のダイオキシン類が反応によって毒性の強い4塩素体のダイオキシンになることも予想される。従って、酸性硫安が生成するガス成分やガス温度領域で使用する触媒に対し、固体酸性のみを付与し、脱塩素化反応の能力を向上させて塩素化有機化合物の分解率を向上させる方法は、必ずしも得策ではない。また、最近注目されているコプラナーPCBは、構造内に酸素を持たないことから、よりベンゼン環の酸化分解能力が高い触媒を使用しないと所定の分解効率が得られない。
【0024】
本発明者らは、塩素化有機化合物分解用触媒の評価方法として、代替物質の分解率によって評価する場合、構造内に酸素を有する芳香族塩素化合物、例えばo−クロルフェノール等の分解性能は、脱塩素化反応による分解性能(主に低温反応でのダイオキシン類の分解性能)と対応し、構造内に酸素を有しない芳香族塩素化合物、例えばモノクロルベンゼン等の分解性能は、酸化分解反応による分解性能(主にコプラナーPCB分解性能)と対応することを知見として得ている。
【0025】
本発明者らの検討の結果によれば、200℃以下の低温反応領域で酸化分解性能を低下させずに、SiO2の添加による効果、例えば、耐SOx性の向上、脱塩素化反応の促進、脱硝反応性能の向上などを引き出す方法として、SiO2−TiO22元系複合酸化物とTiO2とを両者の全量に対する前者の割合が50重量%以下となる様に混合する方法が有力である。
【0026】
更に、本発明者らの検討の結果によれば、上記の方法で得られる混合物において、形成助材として使用されることがある石英繊維などのSiO2を除き、SiO2の割合が0.5〜3重量%であり、残余がTiO2である様に濃度調整することにより、高酸化活性能・高脱塩素活性能の触媒を調製することが出来る。
【0027】
上記のSiO2−TiO22元系複合酸化物において、SiO2含有量は、通常1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%である。SiO2含有量が1重量%未満の場合はSiO2の高分散による前述効果が現れず、SiO2含有量が20重量%を超える場合は高分散が困難となる。
【0028】
TiO2にSiO2が非晶質で高分散しているか否かの確認は、以下に説明する様にX線回折によって行なうことが出来る。すなわち、X線回折スペクトルにおいて、ピーク強度はSiO2の含有量によって変化するが、SiO2の分散性が悪くSiO2結晶が存在する場合は2θ=26.6°の位置にピークが出現する。逆に、SiO2が多量に存在する場合でもSiO2が高分散しているSiO2−TiO22元系複合酸化物の場合は、2θ=26.6°の位置にピークは出現せず、試薬特級のアナターゼ型TiO2と同じ位置にのみピークが出現する。
【0029】
本発明において、塩素化有機化合物分解触媒の活性成分は、バナジウム(V)酸化物およびモリブデン(Mo)酸化物である。バナジウム(V)酸化物安価であり且つ塩素化有機化合物の分解率が高いために好適に使用される。
【0030】
活性成分としてバナジウム酸化物を使用する場合、MoO3やWO3でV25を修飾することによりV25の分散性が向上して活性が向上することが知られている。しかしながら、塩素化有機化合物分解用触媒においては、単純に酸化活性を向上させてしまうとSO2の酸化活性も向上し、その結果、酸性硫安の生成が促進され、ひいては、触媒性能の劣化が促進される。また、MoO3の添加は、酸化活性を抑制するが、塩素化有機化合物の分解活性も抑制する。
【0031】
しかしながら、本発明者らの検討の結果によれば、V25量が触媒量に対し5重量以上で且つMoO3量がV25に対し1〜2倍モルに調整された活性成分を前記の担体に担持して成る触媒の場合は、上記の性質とは全く異なり、塩素化有機化合物の酸化分解性能が向上し、しかも、SO2酸化性能が抑制され且つ酸性硫安による性能劣化が軽減される。斯かる効果は、バナジウムとモリブデンの複合酸化物の生成に起因していると考えられる。
【0032】
上記のバナジウム酸化物の原料としては、特に制限されないが、五酸化バナジウム(V25)又はメタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)が好適に使用される。これらの原料は、通常、シュウ酸水溶液またはモノエタノールアミン水溶液に溶解して原料液として使用される。モリブデン酸化物の原料としては、特に制限されないが、パラモリブデン酸アンモニウムが好適に使用される。これらの原料は、通常、熱水またはエタノールアミン水溶液に溶解して使用される。塩素化有機化合物分解触媒中のバナジウム酸化物の含有量は、活性成分として単独使用する他、触媒の使用方法などによって異なるが、通常0.1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0033】
上記の金属活性成分を使用する場合、活性成分の水溶液と担体とをよく混合して成形した後に焼成するか、成形した担体基材に活性成分の水溶液を含浸させた後に焼成する方法により、触媒を調製する
【0034】
また、触媒の形状および大きさは、塩素化有機化合物含有ガス中におけるダストの有無、処理ガス量、反応器の大きさ等により、適宜選択される。触媒の形状としては、ハニカム状、円柱状、球状、板状などが挙げられる。
【0035】
担体に活性成分が担持されたハニカム形状の触媒を製造する方法として、(a)担体成分と活性成分またはその原料を成形助材と共に混練した後に、押出成形法など によりハニカム状の形状に賦形する方法、(b)ハニカム形状の基材上に担体成分および活性成分を含浸・担持する方法を挙げることが出来る。上述の製造方法(a)の1例として、以下の方法が例示される。
【0036】
(1)メタバナジン酸アンモニウムを約10重量%モノエタノールアミン水溶液に溶解する。
(2)硫酸チタン溶液を熱加水分解してメタチタン酸スラリーを得る。
(3)メタチタン酸スラリーに15重量%アンモニア水を加えてpH調整した後、リフラックス処理を1時間以上行なう。
(4)シリカゾルを加え、更に、リフラックス処理を1時間以上行なう。
(5)得られたスラリーを濾過し、得られたケーキを50〜150℃の温度で3〜50時間乾燥した後、400〜650℃の温度で焼成し、冷却後に粉砕する。
(6)得られた粉末状のSiO2−TiO22元系複合酸化物を50重量%以下の割合のTiO2と混合して担体とする。
(7)上記の担体と上記の(1)で調製した水溶液とをニーダーで混練する。
【0037】
(8)(i)更に成形助材を加えて混練した混練物を押出成形し、50〜150℃の温度で3〜50時間乾燥した後、SV100〜2000Hr-1の空気気流中、450〜650℃の温度で焼成する、または( ii )混練物を50〜150℃の温度で3〜50時間乾燥し、450〜650℃の温度で焼成した後、成形助材を加えて成形する。
【0038】
また、上述の製造方法(b)の1例として、次の方法が例示される。すなわち、円柱状、球状、ハニカム状、板状など 、所望の形状の基材上に上記の(2)〜(6)で調製した担体成分をコーティングし、上記の(1)で調製した水溶液を塗布して活性成分を含浸させ、50〜150℃で3〜50時間乾燥した後、450〜650℃の温度で焼成する。
【0039】
基材上に形成された触媒の場合、基材としては、TiO2に、シリカ(SiO2)やアルミナ(Al23)等を単独で又は併用して使用する。SiO2−TiO22元系複合酸化物とTiO2との混合物(担体成分)の量は、担体成分と活性成分との合計量に対し、通常70〜99重量%である。また、担体成分と活性成分との合計量は、基材、担体成分および活性成分の総量に対し、通常5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%である。
【0040】
混練・成形方法の様に添加した原料が全て活性成分となる場合は、それぞれの金属塩など の原料成分が対応する金属酸化物に変化したものとして、触媒組成は添加量から推算する。また、含浸方法で製造された場合は、触媒をフッ化水素酸で処理した後、硫酸アンモニウムで融解してプラズマ発光分析法(ICP−AES分析法)により触媒組成を測定する。
【0041】
素化有機化合物の分解方法においては、塩素化有機化合物含有ガスを上記の触媒と接触させる。塩素化有機化合物含有ガスとしては、例えば、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾダイオキシン及び2,3,4,7,8−ぺンタクロロジベンゾフランで代表されるダイオキシン類や3,3’,4,4’,5−ペンタクロロビフェニルで代表されるコプラナーPCB類が約0.1〜200ng/m(N.T.P)(毒性等価換算値)含有され、更に、ダイオキシン類の前駆体物質である、モノクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のクロロベンゼン類、O−クロロフェノール、トリクロロフェノール等のクロロフェノール類、クロロベンゾフラン等が含有されたガス、具体的には、後述する燃焼排ガスの処理方法における都市ごみや産業廃棄物などを燃焼した際の排ガス等が挙げられる。斯かる塩素化有機化合物含有ガスは、水分と共に酸素を含有し、その含有量は、通常0.5〜25vol%、好ましく1〜21vol%である。
【0042】
上記の様な塩素化有機化合物含有ガスは、通常、バッグフィルターに通じて粉塵や重金属などを除去した後に接触工程に導入される。また、必要に応じ、バッグフィルターで処理する前に消石灰反応塔で処理して酸性ガスを除去してもよい。
【0043】
塩素化有機化合物含有ガスと触媒との接触温度は、通常100〜250℃、好ましくは100〜200℃である。接触温度が250℃を超える場合は、塩素化有機化合物の分解率も増加するが、分解されたダイオキシン類が再合成する問題と共に触媒層加熱用スチームの節約の観点からも不利である。接触温度が100℃未満の場合は、運転上支障を来す結露が惹起される。触媒層の圧力は、ゲージ圧として、通常−0.05〜0.9MPa、好ましくは−0.01〜0.5MPaである。また、空間速度(SV)は、通常100〜50000Hr-1、好ましくは1000〜20000Hr-1である。
【0044】
次に、本発明に係る燃焼排ガスの処理方法について説明する。この発明においては、触媒として、担体に活性成分としてバナジウム(V)酸化物およびモリブデン(Mo)酸化物が担持され、しかも、塩素化有機化合物分解能とアンモニア存在下における窒素酸化物分解能とを有し且つ以下に規定する二酸化イオウの酸化転化率が1.3%以下の低酸化性能触媒(X)と、担体に活性成分としてバナジウム(V)酸化物およびモリブデン(Mo)酸化物が担持された触媒であって、担体として、SiO−TiO2元系複合酸化物とTiOから成り且つ両者の全量に対する前者の割合が50重量%以下である混合物が使用され、しかも、塩素化有機化合物分解能を有し且つ以下に規定する二酸化イオウの酸化転化率が3.0%以上の高酸化性能触媒(Y)との2種類を使用する。
【0045】
<二酸化イオウの酸化転化率>
圧力:常圧、温度:250℃、SV(空間速度):1850Hr-1、触媒量:450mlの条件下、O210乾体積%,SO2500ppm,H2O:10体積%,N2バランス量の組成のガスを触媒が充填された反応管に供給し、反応管出口のSO3濃度とトータルSOXの濃度を求め、次式により二酸化イオウの酸化転化率(%)を算出する。
【0046】
【数3】
(出口SO3濃度/出口トータルSOX)×100
【0047】
上記の様に規定された低酸化性能触媒(X)は、排ガス中にアンモニアと二酸化イオウ(実際は硫黄酸化物SOXとH2O)が存在する場合において、SO2やSO3が物理的に吸着することはあっても、酸性硫酸アンモニウムを殆ど生成しない特徴を有する。ところで、通常、二酸化イオウの酸化転化率が低い触媒は、塩素化有機化合物の分解性能が低い。従って、低酸化性能触媒(X)のみを使用した場合は、大量の触媒が塩素化有機化合物の高い除去率のために必要となり、効率が悪くなる。
【0048】
そこで、本発明においては、上記の様に規定された高酸化性能触媒(Y)、すなわち、塩素化有機化合物の分解性能が高い触媒を使用することにより、換言すれば、前述の塩素化有機化合物の分解方法を特定条件下に利用する(前述の塩素化有機化合物分解用触媒を二酸化イオウの酸化転化率3.0%以上に修飾して利用する)ことにより、トータルとして比較的少量の触媒量で塩素化有機化合物の高い除去率を達成している。そして、高酸化性能触媒(Y)の場合は、排ガス中にアンモニアと二酸化イオウが存在すると、100〜250℃の温度において、酸性硫酸アンモニウムが生成して触媒表面に付着して性能低下を惹起する。従って、高酸化性能触媒(Y)は、後述する通り、燃焼排ガス中のアンモニア濃度が20ppm以下の条件で使用される。
【0049】
低酸化性能触媒(X)の二酸化イオウの酸化転化率は、酸性硫酸アンモニウムの生成を一層確実に防止する観点から0.8%以下が好ましく、高酸化性能触媒(Y)の二酸化イオウの酸化転化率は、塩素化有機化合物の除去率を一層高める観点から、5%以上が好ましく、6%以上が更に好ましい。
【0050】
上記の二酸化イオウの異なる酸化転化率は、組成や種類の異なる触媒を使用すること等により達成することが出来る。例えば、V 含有量が2.5重量%以下の場合は低酸化性能触媒(X)、3.5重量%以上の場合は高酸化性能触媒(Y)が得られる。
【0051】
先ず、低酸化性能触媒(X)について説明する。この触媒は、通常、担体に活性成分を担持して形成される。担体としては、特に制限されないが、SOX含有燃焼排ガスを処理する観点から、耐酸性に優れるTiO2が好適に使用される。TiO2としては、TiO2−SiO2、TiO2−SiO2−ZrO2、TiO2−WO3−SiO2等の複合酸化物であってもよい。
【0052】
触媒の活性成分としては、前述の塩素化有機化合物の分解方法におけるのと同様の成分が挙げられる。バナジウム酸化物を含有する触媒は、安価であり、塩素化有機化合物の分解率が高く、しかも、アンモニアの存在下に窒素酸化物が分解できるため、特に好ましい。バナジウム酸化物の担持量は、上記の分解方法と同様に、通常は0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%である。
【0053】
また、低酸化性能触媒(X)としては、上記の二酸化イオウの酸化転化率の条件を満足する限り、前記の塩素化有機化合物分解用触媒と同様の触媒を使用することも出来る。触媒の形状および大きさ、触媒の調製方法などは、前記の塩素化有機化合物分解用触媒の場合と同様である。
【0054】
次に、高酸化性能触媒(Y)について説明する。この触媒は、既に述べた様に、前記の塩素化有機化合物分解用触媒を二酸化イオウの酸化転化率3.0%以上に修飾したものである。
【0055】
次に、本発明の燃焼排ガスの処理方法について説明する。本発明においては、燃焼排ガスと低酸化性能触媒および高酸化性能触媒との各接触工程を任意の順序で且つ100〜250℃の温度範囲で行う。接触温度250℃以下の条件は、前述の様に分解されたダイオキシン等の再生成を防止する観点から規定された条件であり、接触温度100℃以上の条件は、装置の運転に支障を来す結露を確実に防止する観点から規定された条件である。接触処理中の圧力は、ゲージ圧で通常−0.05〜0.9MPa、好ましくは−0.01〜0.5MPaである。また、SVは、通常100〜50000Hr-1、好ましくは1000〜20000Hr-1である。
【0056】
本発明の処理方法が対象とする燃焼排ガスとしては、塩素化有機化合物、通常0.1ppm以上のNOx、通常0.1ppm以上のSOxを含有する排ガス、例えば都市ごみや産業廃棄物などを燃焼した際の排ガス等が挙げられる。この様な燃焼排ガスには、水分および酸素と共に、前記のダイオキシン類およびコプラナーPCB類が0.1〜200ng/m3(N.T.P)(毒性等価換算値)含まれている。更に、前述の通り、ダイオキシン類の前駆体である種々の塩素化有機化合物も含まれている。
【0057】
上記の燃焼排ガスは、通常、バッグフィルターに通じて粉塵や重金属などを除去した後に接触工程に導入される。また、必要に応じ、バッグフィルターで処理する前に消石灰反応塔で処理して酸性ガスを除去してもよい。
【0058】
本発明において、低酸化性能触媒との接触工程を先行させる場合、低酸化性能触媒との接触工程に流入する燃焼排ガス中にアンモニアを導入するが、その量は当該工程から流出する燃焼排ガス中のアンモニア濃度が20ppm以下となる量に調節する。
【0059】
すなわち、上記の場合、第1工程である低酸化性能触媒との接触工程は、窒素酸化物の分解のため、アンモニアの存在下に行う。この際、酸性硫酸アンモニウムは、触媒が低酸化性であるため、殆ど生成しない。従って、窒素酸化物の分解と同時に、塩素化有機化合物は、低酸化性能触媒の能力に応じた高い水準で分解される。燃焼排ガス中へのアンモニアの導入量は、上記の条件下、窒素酸化物を高分解し得る様に決定される。なお、燃焼排ガス中でのアンモニアの消費量は、燃焼排ガスの温度および処理量、触媒の使用量およびガス接触面積などで決定される。上記の第1工程から流出する燃焼排ガス中に残存する塩素化有機化合物は、第2工程である高酸化性能触媒との接触工程によって分解される。この際、酸性硫酸アンモニウムは、燃焼排ガス中のアンモニア濃度が20ppm以下に抑えられているため、殆ど生成しない。
【0060】
一方、本発明に係る燃焼排ガスの処理方法において、高酸化性能触媒との接触工程を先行させる場合、低酸化性能触媒との接触工程に流入する燃焼排ガス中にアンモニアを導入する。
【0061】
すなわち、上記の場合、第1工程である高酸化性能触媒との接触工程は、塩素化有機化合物の分解を行い、実質的に窒素酸化物の分解を行わないためアンモニアの不存在下に行う。なお、窒素酸化物の一部分解のため焼却炉内にアンモニアを導入している場合は、燃焼排ガス中のアンモニア濃度が20ppm以下となる様に焼却炉内に導入するアンモニア量を調節する。上記の第1工程から流出する燃焼排ガス中の窒素酸化物は、第2工程である低酸化性能触媒との接触工程によって分解される。この際、酸性硫酸アンモニウムは、触媒が低酸化性であるため、殆ど生成しない。従って、低酸化性能触媒との接触工程に流入する燃焼排ガス(上記の第1工程からの流出ガス)中に導入されるアンモニアの量は、窒素酸化物を高分解し得る様に任意に決定される。
【0062】
上記の各接触工程における反応器の大きさ及び形状は、本発明の目的を逸脱しない限り、任意に選択することが出来る。また、各触媒は、別々の反応器に充填しても、同一の反応器に異なる層として充填してもよい。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下の諸例で使用した触媒(A)〜(F)は次の様に調製した。
【0064】
<SiO2−TiO22元系複合酸化物の調製(1)>
硫酸法による酸化チタンの製造工程より得られる硫酸チタン溶液を熱加水分解してメタチタン酸を得、これを酸化チタンとして800g取り出し、還流器付撹拌槽に仕込み、これに15重量%アンモニア水498gを加えてpHを9.5に調整した後、95℃にて1時間に亘り十分な撹拌を行いつつ加熱熟成した。次いで、シリカゾル(触媒化成社製「キャタロイドS−20L)211gを添加し、更に、上記と同一条件の加熱熟成を1時間行なった。その後、冷却してスラリーを取り出し、濾過脱水し、得られたケーキを100℃で20時間乾燥した後、600℃まで75℃/Hrの速度で昇温し、同温度で5時間保持した。そして、冷却後、適当な粒度に粉砕し、SiO2/TiO2比が5重量%/95重量%の、SiO2−TiO22元系複合酸化物を得た。
【0065】
<SiO2−TiO22元系複合酸化物の調製(2)>
上記の調製(1)において、酸化チタンとシリカゾルの使用量を変えた以外は、同様の方法により、SiO2/TiO2比が15重量%/85重量%の、SiO2−TiO22元系複合酸化物粉末を得た。
【0066】
<触媒の調製>
触媒(A)の調製:
メタバナジン酸アンモニウム1029gとパラモリブデン酸アンモニウム736gを80℃に加温した10重量%モノエタノールアミン水溶液6000gに溶解して原料液(1)を調製した。上記の調製(1)で得たSiO2−TiO22元系複合酸化物粉末(5重量%SiO2/95重量%TiO2)1900gと純粋なTiO2粉末5700gとを双腕型ニーダーで1時間に亘り乾式混合し、当該混合物に原料液(1)と成形助材1000gを加えて更に2時間混練し、得られた混練物を押出機により口径5mmのハニカム構造に成形した。得られた成形物を130℃の温度で24時間乾燥し、次いでSV100Hr-1、温度500℃の条件下で3時間焼成し、表1に示す触媒(A)を得た。
【0067】
触媒(B)の調製:
上記の触媒(A)の調製において、メタバナジン酸アンモニウムの使用量を643g、SiO2−TiO22元系複合酸化物粉末の使用量を1975g、純粋なTiO2粉末の使用量を5925gにそれぞれ変更した以外は、触媒(A)の調製と同様にして表1に示す触媒(B)を得た。
【0068】
触媒(C)の調製:
上記の触媒(A)の調製において、前記の調製(2)で得たSiO2−TiO22元系複合酸化物粉末(15重量%SiO2/85重量%TiO2)を使用し、その使用量を5067gとし、純粋なTiO2粉末の使用量を2533gに変更した以外は、触媒(A)の調製と同様にして表1に示す触媒(C)を得た。
【0069】
触媒(D)の調製:
上記の触媒(A)の調製において、原料液(1)にパラモリブデン酸アンモニウムを添加せず、パラタングステン酸アンモニウム1070gとメタバナジン酸アンモニウム516gを添加し、そして、SiO2−TiO22元系複合酸化物粉末を使用せず、純粋なTiO2のみを7650g使用した以外は、触媒(A)の調製と同様にして表1に示す触媒(D)を得た。
【0070】
触媒(E)の調製:
上記の触媒(A)の調製において、メタバナジン酸アンモニウムの使用量を129g、パラモリブデン酸アンモニウムの使用量を74g、SiO2−TiO22元系複合酸化物粉末の使用量を2210g、純粋なTiO2粉末の使用量を6630gにそれぞれ変更したした以外は、触媒(A)の調製と同様にして表1に示す触媒(E)を得た。
【0071】
触媒(F)の調製:
上記の触媒(A)の調製において、メタバナジン酸アンモニウムの使用量を643g、SiO2−TiO22元系複合酸化物粉末の使用量を7900gに変更し、純粋なTiO2粉末を使用しない以外は、触媒(A)の調製と同様にして表1に示す触媒(F)を得た。
【0072】
<二酸化イオウ酸化転化率の測定>
前記の触媒の内、(A)、(B)、(D)及び(E)をそれぞれ450ml(縦および横方向に夫々6個の孔を有し且つ高さが500mmのハニカム構造)のサンプルに加工して石英ガラス製の反応管に充填した。次いで、管状型電気炉に反応管を入れ、窒素ガスと酸素ガスを所定量流通させながら触媒の温度を250℃に保持した。次いで、所定濃度となる様にH2OとSO2ガスを添加した。ガス組成は、O210乾体積%,SO2500ppm,H2O10体積%,N2バランス量であり、ガス調製量(速度)は835L/Hr(at 0℃,101.325KPa)とした。
【0073】
前記の反応管に上記のガスを70時間通過させ、その後、反応管の出口のガスをサンプリングしSO3濃度を測定した。次いで、再度、反応管の出口のガスをサンプリングしトータルSOX濃度を測定した。SO3のサンプリングはスパイラル管式捕集管を使用してSOXの内SO3のみを捕集することによって行った。そして、捕集したSO3は、水で洗い採り、JIS K 0103の沈殿滴定法にて分析した。トータルSOXのサンプリング及び分析は、JIS K 0103の方法によって行った。二酸化イオウの酸化転化率は次式により求めた。
【0074】
【数4】
(出口SO3濃度/出口トータルSOX)×100
【0075】
【表1】
【0076】
<活性試験−1>
ガラス製反応器に上記の各触媒を30ml充填し、常圧固定床流通反応装置で活性試験を行なった。触媒固定床の寸法は、縦28mm、横28mm、高さ38mmであった。原料ガス組成は、オルトクロルフェノール(OCP)100ppm、O210vol%、H2O10vol%、N2バランス量の組成であった。原料ガスのSVは5000Hr-1であった。160℃と180℃の各温度で5時間保持した後、反応装置通過ガスをマイクロシリンジでサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析した。分析は絶対検量線法で行なった。
【0077】
<活性試験−2>
ガラス製反応器に上記の各触媒を30ml充填し、常圧固定床流通反応装置で活性試験を行なった。触媒固定床の寸法は、縦28mm、横28mm、高さ38mmであった。原料ガス組成は、モノクロルベンゼン(MCB)100ppm、O210vol%、H2O10vol%、N2バランス量の組成であった。原料ガスのSVは3000Hr-1であった。160℃と180℃の各温度で5時間保持した後、反応装置通過ガスをマイクロシリンジでサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析した。分析は絶対検量線法で行なった。
【0078】
参考例1及び2
触媒(A)及び(B)を使用して活性試験−1を行なった。その結果を表2に示す。
【0079】
参考例
触媒(A)を使用して活性試験−2を行なった。その結果を表3に示す。
【0080】
参考比較例1及び2
触媒(C)及び(D)を使用して活性試験−1を行なった。その結果を表2に示す。
【0081】
参考比較例3
触媒(F)を使用して活性試験−2を行なった。その結果を表3に示す。
【0082】
参考例
触媒(B)を使用して活性試験−2を行なった。その結果を表3に示す。
【0083】
参考比較例4
触媒(C)を使用して活性試験−2を行なった。その結果を表3に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
実施例
3cm×3cm×50cmのハニカム構造の触媒を充填した内径5cm、長さ60cmのガラス製反応器を3本直列に接続し、縦内径80cm、横内径80cm、高さ1.5mの恒温槽内に設置した。前2本の反応器に触媒(E)、後1本の反応器に触媒(A)を充填して常圧固定床流通反応装置を組み立てた。そして、この装置を使用し、都市ゴミ焼却炉のモデル排ガスの処理試験を次の要領で行った。
【0087】
温度180℃、SV5000Hr-1の条件下、平均濃度80ppmのアンモニアを添加しながら、上記の装置に、平均濃度1ng−TEQ/m3(N.T.P)のダイオキシン類と平均濃度30ppmのSO2と平均濃度75ppmのNOxを含有するガスを通過させた。アンモニアの添加量は、触媒(A)の直前(前2本の反応器の直後)のアンモニア濃度を測定し、その値が20ppm以下となる様に調節した。
【0088】
処理後の排ガスの分析は、ガスクロマトグラフィー質量分析法で「廃棄物処理におけるダイオキシン類標準測定分析マニュアル」(厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課(平成9年2月))に準じて行った。分析は通ガス後2週間後と4ヶ月後に行った。評価結果を表4に示す。
【0089】
実施例
実施例において、常圧固定床流通反応装置を組み立てる際、前1本に触媒(A)、後2本に触媒(E)を充填した。そして、アンモニアの添加位置を触媒(E)の直前(前1本の直後)とし、アンモニア添加量を平均NO濃度に対し、モル比(NO/NH)で1とした以外は、実施例と同様にして都市ゴミ焼却炉のモデル排ガスの処理試験を行った。評価結果を表5に示す。
【0090】
比較例
実施例において、全3本に触媒(D)を使用して組み立てた常圧固定床流通反応装置を使用し、温度を200℃に変更し、そして、前2本直後のアンモニア濃度の測定結果に基づくアンモニア添加量の調節を行なわなかったこと以外は、実施例と同様な方法でモデル排ガスの処理試験を行なった。評価結果を表6に示す。
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
【表6】
【0094】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、SiO2−TiO22元系複合酸化物と純粋なTiO2とから成る担体を使用した触媒により、より低温度でダイオキシン等の塩素化有機化合物を高効率で分解することが出来る。また、本発明によれば、一旦分解されたダイオキシン等が再生成することがない。更に、本発明によれば、硫黄酸化物から生成する酸性硫酸アンモニウムを極力少なくすることにより、触媒の経時的性能劣化が抑制されるため、燃焼排ガス中のダイオキシン等の塩素化有機化合物および窒素酸化物を高効率で除去することが出来る。

Claims (1)

  1. 塩素化有機化合物、二酸化イオウ及び窒素酸化物を含有する燃焼排ガスの処理方法であって、次の(a)〜(d)の条件を満足することを特徴とする燃焼排ガスの処理方法。
    (a)触媒として、担体に活性成分としてバナジウム(V)酸化物およびモリブデン(Mo)酸化物が担持され、しかも、塩素化有機化合物分解能とアンモニア存在下における窒素酸化物分解能とを有し且つ以下に規定する二酸化イオウの酸化転化率が1.3%以下の低酸化性能触媒(X)と、担体に活性成分としてバナジウム(V)酸化物およびモリブデン(Mo)酸化物が担持された触媒であって、担体として、SiO−TiO2元系複合酸化物とTiO2から成り且つ両者の全量に対する前者の割合が50重量%以下である混合物が使用され、しかも、塩素化有機化合物分解能を有し且つ以下に規定する二酸化イオウの酸化転化率が3.0%以上の高酸化性能触媒(Y)との2種類を使用する。
    <二酸化イオウの酸化転化率>
    圧力:常圧、温度:250℃、SV(空間速度):1850Hr−1、触媒量:450mlの条件下、O10乾体積%,SO500ppm,HO:10体積%,Nバランス量の組成のガスを触媒が充填された反応管に供給し、反応管出口のSO濃度とトータルSOの濃度を求め、次式により二酸化イオウの酸化転化率(%)を算出する。
    (b)燃焼排ガスと低酸化性能触媒および高酸化性能触媒との各接触工程を任意の順序で且つ100〜250℃の温度範囲で行う。
    (c)低酸化性能触媒との接触工程を先行させる場合、低酸化性能触媒との接触工程に流入する燃焼排ガス中にアンモニアを導入するが、その量は当該工程から流出する燃焼排ガス中のアンモニア濃度が20ppm以下となる量に調節する。
    (d)高酸化性能触媒との接触工程を先行させる場合、低酸化性能触媒との接触工程に流入する燃焼排ガス中にアンモニアを導入する。
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