JP3920612B2 - 排ガス処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物を含む排ガスの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業廃棄物や都市廃棄物を処理する焼却施設から排出される排ガス中には、ダイオキシン類、PCB、クロロフェノールなどの有害物質が含まれており、中でも特に毒性の強いダイオキシン類については、社会的関心の高まりから近年になって急速にその対策が進んでいる。排ガス中のダイオキシン類を低減させる技術の1つとして触媒による分解除去方法が挙げられ、この方法ではダイオキシン類を無害な二酸化炭素や水などに分解できるために二次処理が不要である等の利点がある。また、この方法に用いられる触媒として、例えば、特開平10−235191や特願2000−99593に記載のチタン−バナジウム系触媒などが実用化されており、この触媒を用いて現行での排出規制値を達成することは十分可能である。
【0003】
しかしながら、社会的な要請から将来的には排出ダイオキシン類濃度を現在の規制値よりもさらに低減させることが必要になると予想されており、現在においても規制値よりもさらに低い濃度、例えば排出ダイオキシン類濃度を0.01ng−TEQ/m3(Normal)まで低減させることが求められる場合がある。
ところが、ダイオキシン類濃度が概ね0.1ng−TEQ/m3(Normal)以下の条件で触媒を使用したときには、濃度が高いときと比べて極端に除去率が低下する場合や、触媒の前後でダイオキシン類が増加するといった現象が認められる場合がある。
【0004】
このことから、排出ダイオキシン類濃度を0.01ng−TEQ/m3(Normal)オーダーの極低濃度まで安定して低減させるためには、触媒の活性が高いということだけでは十分でなく、ダイオキシン類低濃度条件下での除去率の低下などの原因を解明するとともに、これを防ぐための適切な対策を講じる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、ダイオキシン類を含有する排ガスを触媒を用いて浄化するプロセスにおいて、排出ダイオキシン類を極低濃度まで安定して低減させることにある。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、これまでに得た実ガスでの試験データなどから、ダイオキシン類濃度が低い条件での除去率低下が認められた場合にも、触媒自体の活性にはまったく問題がなかったことを確認している。また、触媒反応器前後でダイオキシン類が増加することは、触媒によるダイオキシン類分解除去の考え方だけで説明できるものではない。以上のことから、本発明者らは、ダイオキシン類低濃度条件下で認められる前記の現象については、触媒の活性以外の要因が関与していると考えた。
【0007】
その要因の一つとして、触媒反応器内あるいは煙道部でのダイオキシン類の生成による影響が挙げられる。ここで、ダイオキシン類とは、クロロフェノールやクロロベンゼン、多環芳香族化合物などを原料として、意図に反して生成する物質である(なお、ここでいうクロロフェノール、クロロベンゼンとは、それぞれポリ塩素化フェノールおよびポリ塩素化ベンゼンの各同族体および異性体を総称しているものとする。以下同様)。
触媒反応器以降のガス温度は、概ね200℃程度であり、この温度条件ではダイオキシン類の生成は比較的少量であるが、排出ダイオキシン類濃度として0.01ng−TEQ/m3(Normal)オーダーの濃度を目標とする場合には、その影響は無視できないものである。
【0008】
ダイオキシン類の生成機構については未だ明らかでない点も多く、現在様々な研究が進められており、一般的には次のような経路によって生成すると考えられている。すなわち、1)クロロフェノール、クロロベンゼンの縮合による生成、2)すすや多環芳香族化合物(以下、PAHsという)などダイオキシン類より大きい炭素骨格を有する物質が分解される過程におけるダイオキシン類の生成(de novo合成)である。
ダイオキシン類分解触媒として現在一般的に用いられている前述のチタン−バナジウム系触媒は、酸化触媒の一つであることから、ダイオキシン類の他にもその生成原料となる前述の有機化合物をも酸化する能力をもっている。しかしながら、その分解性能は有機化合物の種類によって異なり、本発明者らがこれまでに得た知見では、例えば、前記チタンーバナジウム系触媒を用いた試験において、ダイオキシン類において99%以上の除去率になる条件であっても、PAHsに関しては70%以下の除去率しか得られない場合があった。PAHsの除去率が低いことから判断すると、このような高分子量の有機化合物は酸化されにくい物質であり、また、反応によって中間的に酸化された有機化合物が生成していると考えられる。de novo合成の反応機構を考えると、触媒での中間酸化の過程でダイオキシン類が生成している可能性があると推察され、このことから従来のチタン−バナジウム系触媒はダイオキシン類分解活性には優れるものの、これだけではダイオキシン類生成の影響による除去率の低下が避けられないものと考えられる。
【0009】
本発明者らは、ダイオキシン類がPAHsなどの高分子量有機化合物よりも酸化分解を受けやすいことに着目し、高分子量有機化合物は酸化しないが、ある程度のダイオキシン類分解活性は有するような触媒、つまり従来のチタン−バナジウム系触媒よりも酸化活性の低い触媒を見出すことができれば、ダイオキシン類を生成させることなくダイオキシン類を低減することができると考えた。また、このような酸化活性の低い触媒だけでは、ダイオキシン類の高効率での除去のためには充分でないと考えられるため、本発明者らは、さらに、酸化活性の低い触媒とダイオキシン類分解活性に優れるチタン−バナジウム系触媒を組み合わせて用いることによって、ダイオキシン類生成の影響を低く抑えながらダイオキシン類の高効率での除去を達成することができると考え、これらの観点に基づいて鋭意検討を加えた。
【0010】
その結果、ダイオキシン類分解活性に優れるチタン−バナジウム系触媒としては、触媒A成分としてチタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてバナジウム酸化物を含有する触媒、または、触媒A成分としてチタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてバナジウム酸化物を含有し、触媒C成分としてW、Mn、Mo、Ce、Co、Nb、Ni、Zn、Zr、Sn、Ta、Laから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有する触媒(以下、第1触媒という)が有効であることがわかった。また、低酸化活性の触媒としては、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有しバナジウム酸化物は含まない触媒、または、触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてW、Mh、Mo、Ce、Co、Nb、Ni、Zn、Zr、Sn、Ta、Laから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有し、バナジウム酸化物は含まない触媒(以下、第2触媒という)が有効であることがわかり、これらの2種類の触媒を組み合わせて用いることによって、排出ダイオキシン類の低減が達成されることを見出し、本発明にかかる第1の排ガス処理方法を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明にかかる第1の排ガス処理方法は、有機ハロゲン化合物を含有する排ガスを触媒を用いて処理する排ガス処理方法において、上記の第1触媒と第2触媒を用い、第1触媒を第2触媒の前段に設置することを特徴とする。
この第1の排ガス処理方法では、ダイオキシン類分解性能に優れる第1触媒、およびダイオキシン類の分解性能は有するものの、PAHsなどの高分子量有機化合物に対してはほとんど酸化活性を示さない第2触媒の2種類の触媒を組み合わせて用いることによって、ダイオキシン類の高効率での分解を行いながら、ダイオキシン類生成の影響を低く抑えることによって、排出ダイオキシン類濃度を低減させることができる。
【0012】
一方、触媒でダイオキシン類を除去した後でも排ガス中にダイオキシン類を生成しうる有機化合物が残存していれば、触媒反応器後流側の煙道部分、例えば、ダストが堆積している部分などでダイオキシン類が生成することがあり、特に排ガス中の有機化合物の濃度が高い場合にはその影響は無視できないものとなる。したがって、煙道部などでのダイオキシン類生成が問題になる場合には、ダイオキシン類低減のための方策として、生成原料となる有機化合物を触媒で分解除去し、煙道部などでのダイオキシン類生成を抑制することも必要であると考えられる。しかしながら、前述のように上記第1触媒および第2触媒だけでは有機化合物の分解活性は十分でないと考えられるため、このような条件ではさらに酸化性能の高い触媒を組み合わせて用いることが有効であると考えられる。
【0013】
本発明者らは、この観点に基づいて有機化合物の酸化活性に優れる触媒について鋭意検討した結果、触媒組成として、Pt、Pd、Rh、Ruから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する触媒(以下、第3触媒という)が有効であること、および、第3触媒を前記第1触媒および第2触媒と組み合わせて用いるのが効果的であることを見出し、本発明にかかる第2の排ガス処理方法を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる第2の排ガス処理方法は、有機ハロゲン化合物を含有する排ガスを触媒を用いて処理する排ガス処理方法において、上記の第1触媒、第2触媒および第3触媒を用い、第1触媒を第2触媒の前段に、第3触媒を第1触媒の前段に各設置することを特徴とする。
【0014】
この第2の排ガス処理方法では、ダイオキシン類分解性能に優れる第1触媒、ダイオキシン類の分解性能は有するもののPAHsなどの高分子量有機化合物に対してはほとんど酸化活性を示さない第2触媒、および、有機化合物全般に対して高い酸化分解活性を有する第3触媒の合計3種類の触媒を組み合わせて用いることにより、ダイオキシン類の低減および生成抑制を図るものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1の排ガス処理方法]
本発明の第1の排ガス処理方法に用いる第1触媒は、触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてバナジウム酸化物を含有する触媒、または、触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてバナジウム酸化物を含有し、触媒C成分としてW、Mn、Mo、Ce、Co、Nb、Ni、Zn、Zr、Sn、Ta、Laから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有する触媒である。第1触媒は触媒成分として前記成分を含んでいれば、その触媒の調製方法については特に制限されず、任意の方法で調製することができる。例えば、特願2000−99593に記載のチタン−バナジウム−モリブデン系触媒や、特開平10−235191に記載のチタン−バナジウム−タングステン系触媒などが好適に用いられ、以下にその例を示すが、本発明の触媒の調製方法はこれらに限定されない。
【0016】
チタン−バナジウム−モリブデン系触媒の調製方法は例えば以下のような方法が挙げられる。
例えば、前記触媒A成分の粉体に、触媒B成分および触媒C成分の塩類またはその溶液を任意の順序で添加して調製する方法を挙げることができる。また、触媒B成分および触媒C成分の塩類またはその溶液を予め混合した後に、触媒A成分の粉体に添加する方法でもよく、触媒A成分の成型体に、触媒B成分および触媒C成分の塩類の溶液またはその両方の混合物を含浸担持させる方法でもよい。別の調製方法としては、たとえば、触媒成分の触媒A成分と触媒B成分の混合物に、触媒C成分を担持させる方法や、触媒A成分と触媒C成分の混合物に、触媒B成分を担持させる方法を挙げることができる。
【0017】
より具体的には、例えば、チタン酸化物および/またはチタン−ケイ素複合酸化物の粉体に、バナジウムとモリブデンを溶液として添加する方法や、モリブデンを粉体として添加する方法などである。
触媒成分としてチタン酸化物とバナジウム酸化物および/またはタングステン酸化物とを含む触媒の場合、調製方法は例えば以下のような方法である。
方法(a)は、いわゆる共沈法といわれるものであり、可溶性チタン化合物、例えば四塩化チタンと可溶性タングステン化合物、例えばメタタングステン酸アンモニウムとを水に溶解して酸性のチタン−タングステン含有水溶液とする。次に、この水溶液の温度を60℃以下、好ましくは0〜50℃の範囲に保持しながら、アンモニア水を最終pHが5〜8、好ましくは5以上で7未満の範囲となるように添加して共沈させる。なお、タングステン化合物の水溶液が塩基性の場合には、タングステン含有水溶液をアンモニア水と同時にチタン含有水溶液に添加して沈澱させる。
【0018】
なお、上記最終pHとは沈澱操作を終了した時点での沈澱物スラリーまたはゲルのpHを意味する。
上記沈澱操作における温度が60℃を超えると得られる触媒の活性が低下する。また、最終pHが5より低いと得られる触媒の活性は低下し、また8を超えると触媒の活性は低下し、そのうえタングステンの再溶解も起こる。
上記沈澱操作により得られたチタン−タングステン沈殿物は、沈澱物スラリーから分離し、よく洗浄し、乾燥した後、焼成することによリチタン−タングステン酸化物が得られる。上記分離、洗浄、乾燥および焼成は、この種の酸化物の調製に一般的に用いられている条件下で行うことができるが、酸化チタン/酸化タングステンの重量比が10/1〜3/1、好ましくは20/1〜4/1のものを300〜700℃、特に350〜600℃の範囲で加熱焼成すると耐久性の優れたチタン−タングステン酸化物が得られる。
【0019】
方法(b)は、チタン酸化物にバナジウム酸化物および/またはタングステン酸化物を担持させる方法であり、例えばチタン酸化物の粉体またはスラリーにバナジウムおよび/またはタングステンの塩類粉末またはその塩類の溶液を添加するか、あるいはチタン酸化物の成形体にバナジウムおよび/またはタングステンの塩類の溶液を含浸させて担持させることによりチタン−バナジウムおよび/またはタングステン酸化物が得られる。なお、焼成条件などは前記方法Aと同じである。
方法(c)は、予めタングステン酸化物を担持したチタン酸化物、またはチタン酸化物とタングステン酸化物との均密混合物にバナジウム酸化物および/またはタングステン酸化物を担持する方法である。
【0020】
また、触媒成分としてチタン酸化物と、チタン−ケイ素複合酸化物と、バナジウム酸化物および/またはタングステン酸化物とを含む触媒の場合、調製方法は例えば以下のような方法である。
▲1▼チタン酸化物と、チタン−ケイ素複合酸化物と、バナジウム酸化物および/またはタングステン酸化物とを任意の順序で混合する。
▲2▼チタン酸化物にタングステン酸化物を担持し(W酸化物/Ti酸化物)、これとチタン−ケイ素複合酸化物とを混合する。
▲3▼W酸化物/Ti酸化物と、チタン−ケイ素複合酸化物と、バナジウム酸化物および/またはタングステン酸化物とを任意の順序で混合する。
【0021】
上記W酸化物/Ti酸化物は、例えば、前述の方法(a)(共沈法)によって調製することができる。
また、W酸化物/Ti酸化物は、チタン酸化物の粉体またはスラリーにタングステンの塩類または溶液を添加するか、あるいはチタン酸化物の成形体にタングステンの塩類の溶液を含浸させて担持させ、上記のようにして焼成することにより得られる。
そのほかに、上記方法▲3▼において、W酸化物/Ti酸化物、またはチタン酸化物とタングステン酸化物との均密混合物にバナジウム酸化物および/またはタングステン酸化物を担持してもよい。
【0022】
チタン−ケイ素複合酸化物は、例えば以下の手順(i)〜(iv)によって調整できる。
(i)シリカゾルとアンモニア水を混合し、硫酸チタンの硫酸水溶液を添加して沈澱を生じさせ、得られた沈澱物を洗浄・乾燥し、次いで300〜700℃で焼成する。
(ii)硫酸チタン水溶液にケイ酸ナトリウム水溶液を添加し、反応して沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗浄・乾燥し、次いで300〜700℃で焼成する。
【0023】
(iii)四塩化チタンの水−アルコール溶液にエチルシリケート(テトラエトキシシラン)を添加し、次いで加水分解することにより沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗浄・乾燥し、次いで300〜700℃で焼成する。
(iv)酸化塩化チタン(オキシ三塩化チタン)とエチルシリケートとの水−アルコール溶液に、アンモニアを加えて沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗浄・乾燥し、次いで300〜700℃で焼成する。
上記の方法のうち、(i)の方法が特に好ましく、さらに具体的にはケイ素源とアンモニア水をモル比が所定量になるように取り、チタン源として酸性の水溶液またはゾル状態(1〜100g/リットル(チタン源はTiO2で換算)の濃度の酸性の水溶液またはゾル状態)で、10〜100℃に保ちながら、滴下し、pH2〜10で10分間から3時間保持してチタンおよびケイ素の共沈物を生成し、この沈殿物をろ過し、充分洗浄後、80〜140℃で10分間から3時間乾燥し、300〜700℃で1〜10時間焼成することにより目的とするチタン−ケイ素複合酸化物を得ることができる。
【0024】
本発明で用いる第1触媒は、上記のような触媒成分を含み、0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布のピークを有する細孔群(以下、第一細孔群という場合もある)と、0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布のピークを有する細孔群(以下、第二細孔群という場合もある)および/または0.8〜4μmの範囲に孔径分布のピークを有する細孔群(以下、第三細孔群という場合もある)とを含む細孔を有することが好ましい。好ましくは、本発明で用いる第1触媒の細孔は、それぞれ実質的に独立した2つまたは3つの孔径分布のピークを有し、しかもそれぞれのピークを含む細孔群の孔径分布は狭く、実質的に均一なものである。孔径分布のピークはそれぞれの孔径範囲に1つずつあるのが好ましい。もちろん、孔径分布が実質的に均一でなく、孔径分布のピークがショルダーを有するようなものであってもよいが、孔径分布が実質的に均一な細孔を有する触媒が特に好適に用いられる。
【0025】
本発明の第1の排ガス処理方法に用いる第2触媒は、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有しバナジウム酸化物は含まない触媒、または、触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてW、Mn、Mo、Ce、Co、Nb、Ni、Zn、Zr、Sn、Ta、Laから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有し、バナジウム酸化物は含まない触媒である。第2触媒についても触媒成分として前記成分を含んでいれば、この触媒の調製方法については特に制限されない。
本発明の第1の排ガス処理方法では、2種類の触媒を組み合わせて用いるが、このことがダイオキシン類の低減のためには重要である。なぜかならば、第2触媒はダイオキシン類を生成させることはないと考えられるものの、酸化活性が弱いためにダイオキシン類分解活性も比較的低く、第2触媒だけで高い除去性能を得ようとすると触媒量が多くなってしまうからである。したがって、第2触媒とダイオキシン類分解活性に優れる第1触媒を組み合わせて用いることにより、効率よくダイオキシン類の低減を達成することができるのである。
【0026】
また、本発明の第1の排ガス処理方法においては、第1触媒は第2触媒の前段に設置して用いられる。なぜかならば、触媒反応器の後段部分ではダイオキシン類が低濃度になっており、このような条件でのさらなるダイオキシン類低減においては、ダイオキシン分解活性が高いことよりも、むしろダイオキシン類を生成させないことの方が重要になるからである。つまり、ダイオキシン類分解活性に優れる第1触媒を前段に配置してダイオキシン類を低濃度、例えば、0.1ng−TEQ/m3(Normal)オーダーあるいはそれ以下にまで低減しておき、そのあと、後段の第2触媒でさらにダイオキシン類を除去すれば、低濃度域におけるダイオキシン類生成の影響を最小限に抑えることができ、ダイオキシン類を高効率で除去することが達成される。また、前段の第1触媒でダイオキシン類の生成が起こったとしても、後段の第2触媒でこれを分解除去することができるため、好適であるからである。
【0027】
本発明の第1の排ガス処理方法において、第1触媒および第2触媒を使用する際の空間速度は、使用する条件や要求される性能によって異なってくるため、一概には決められないが、いずれの触媒も100H-1以上100000H-1以下とすることが好ましく、さらに好ましくは、100H-1以上10000H-1以下とするのがよい。空間速度が100000H-1を超えると十分な除去性能が得られず、100H-1よりも低い場合には反応装置が大きくなりすぎて経済的でない。本発明の第1の排ガス処理方法における各触媒の使用温度としては、150℃以上450℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは150℃以上300℃以下であるのがよい。使用温度が150℃よりも低い場合には、ダイオキシン類分解性能が低下し、450℃を超える場合には触媒が熱的損失を受ける可能性があるからである。また、ガス温度が高くなると、クロロフェノールやクロロベンゼンの縮合反応によるダイオキシン類生成が促進されるため、好ましくない。
【0028】
本発明の第1の排ガス処理方法においては、排ガス中のダスト濃度が触媒反応器出口のダイオキシン類濃度に大きな影響を及ぼすが、その理由としては、ダスト中に含まれるダイオキシン類は触媒による分解除去が困難であるために、ダスト濃度が高い場合には排出ダイオキシン類の低減が困難になることや、ダストに含まれる炭素分や重金属類がダイオキシン類生成の触媒となってダイオキシン類が増加することなどが挙げられる。したがって、処理対象排ガス中のダスト濃度はできるだけ低いことが好ましいが、最大でも30mg/m3(Normal)以下であるのが好ましく、さらに好ましくは10mg/m3(Normal)以下であるのがよい。また、処理対象排ガス中のダスト濃度を低くするためには、触媒による排ガス処理の前に排ガスを集塵設備に通すことが好ましい。集塵設備としては特に限定されないが、例えば、サイクロン、電気集塵器、バグフィルター、セラミックフィルターなどが挙げられる。
【0029】
[第2の排ガス処理方法]
本発明の第2の排ガス処理方法に用いる3種類の触媒のうち、第1および第2触媒については、本発明の第1の排ガス処理方法で用いられる第1および第2触媒と同じである。
本発明の第2の排ガス処理方法で用いる第3触媒は、Pt、Pd、Rh、Ruから選ばれる少なくとも1種の元素の金属または酸化物を必須成分として含有する触媒である。第3触媒において、前記金属成分は単独で用いてもよく、例えば、チタニア、シリカ、チタニアーシリカ複合酸化物、アルミナ、ジルコニア、炭酸カルシウムなどの適当な基材成分に担持または混合して用いることもできる。さらに、ダイオキシン類分解触媒や脱硝触媒などの既存の触媒に更に前記金属成分を担持して用いることもできる。すなわち、本発明の第3触媒は、Pt、Pd、Rh、Ruのうち、少なくとも1種の元素の金属または酸化物を含有するものであれば、その他の触媒組成については特に制限されない。
【0030】
また、本発明の第3触媒は、任意の方法で調製することができる。例えば、前記必須金属成分を基材成分に担持する場合には、基材成分の粉体またはスラリーに前記必須金属成分の塩類またはその溶液を添加して調整することができる。あるいは、それぞれの成分の粉体またはスラリーを混合してもよい。また、基材成分の成型体に前記必須金属成分の塩類の溶液を含浸担持させる方法によっても調製することができる。さらに、各々の成分の塩類の溶液の混合物から共沈させることによって調製してもよい。
また、脱硝触媒など既存の触媒に前記必須成分を担持させる場合には、焼成して脱硝触媒になる成分を含んだ粉体またはスラリーに前記必須金属成分の塩類またはその溶液を添加して調整することができる。あるいは、焼成して脱硝触媒になる成分を含んだ粉体またはスラリーに前記必須成分の粉体またはスラリーを混合してもよい。また、脱硝触媒の粉体またはスラリーに前記必須金属成分の塩類またはその溶液を添加する方法や、脱硝触媒の粉体またはスラリーに前記必須成分の粉体またはスラリーを混合する方法によっても調製することができる。また、脱硝触媒の成型体に前記必須金属成分の塩類の溶液を含浸担持させる方法によっても調製することができる。さらに、脱硝触媒成分および前記必須金属成分の各々の塩類の溶液の混合物から共沈させることによって調製してもよい。
【0031】
上述した本発明第3触媒の調製方法は、あくまでもその好ましい一例であり、これらの調製方法に限定されない。
本発明の第2の排ガス処理方法では、上記3種類の触媒を組み合わせて用いるが、このことがダイオキシン類の低減とその生成抑制のためには重要である。なぜかならば、第3触媒は酸化活性が高いために有機化合物の除去性能は高いものの、必ずしもダイオキシン類の除去に適しているというわけではなく、使用条件によってはダイオキシン類を増加させる場合もある。その原因は一概に断定できないが、その1つの要因は、必須元素として用いる金属類がガス中に存在する有機化合物の一部を塩素化するという可能性が考えられる。したがって、第3触媒だけではダイオキシン類生成原料となる有機化合物を除去することはできても、ダイオキシン類の低減が保証されるものではない。
【0032】
また、第1触媒と第2触媒の組み合わせでは有機化合物の分解性能は十分であるとは言えず、これだけでは煙道部分などでのダイオキシン類生成を抑制するには限界がある。しかしながら、本発明の第1の排ガス処理方法で述べたように、第1触媒と第2触媒の組み合わせによってダイオキシン除去に関しては高い性能を示すため、第3触媒でダイオキシン類生成原料となる有機化合物が十分に低減されれば、処理対象ガス中の有機化合物濃度が高い場合でも、安定して排出ダイオキシン類濃度を0.01ng−TEQ/m3(Normal)オーダーの極低濃度域まで低減することが可能になる。
【0033】
つまり、これら3種類の触媒を組み合わせて使用することによってそれぞれの短所を補完し、ダイオキシン類の分解除去と触媒反応器後流での生成抑制を達成することができるのである。
また、本発明の第2の排ガス処理方法においては、第3触媒は、第1触媒および第2触媒よりも前段に設置されている。なぜかならば、第3触媒を最後段に設置した場合には、酸化活性の低い第1触媒および第2触媒を通過した未反応のダイオキシン類前駆体やPAHsの中間酸化生成物が第1触媒で塩素化され、触媒反応器出口部でのダイオキシン類濃度が増加する可能性があるからである。一方、第3触媒の後に第1触媒および第2触媒を設置した場合には、仮に第3触媒でダイオキシン類が増加しても、後段の触媒を用いてこれを除去することができるからである。
【0034】
本発明の第2の排ガス処理方法においては、有機化合物の酸化分解活性には優れるもののダイオキシン類生成能も比較的高いと考えられる第3触媒を最前段に設置し、第3触媒の後段にダイオキシン類分解活性に優れる第1触媒を設置し、第1触媒の後段に低濃度ダイオキシン除去に最も有効な第2触媒を設置する。つまり、まず高い酸化活性を有する第3触媒によってダイオキシン類生成原料となる有機化合物を分解除去した後、第3触媒で除去しきれなかったダイオキシン類、および場合によっては第3触媒で増加したダイオキシン類も含め大部分のダイオキシン類は第1触媒で処理し、そのあと排ガス中に微量に残存したダイオキシン類を最後段の第2触媒で更に低減すれば、触媒反応器内でのダイオキシン類生成の影響を最小限に抑えることができるため、ダイオキシン類の高効率除去が達成されるとともに、触媒反応器後流でのダイオキシン類生成も抑制することが可能になる。
【0035】
本発明の第2の排ガス処理方法において、第1触媒、第2および第3触媒を使用する際の空間速度は、使用する条件や要求される性能によって異なってくるため、一概には決められないが、いずれの触媒も100H-1以上100000H-1以下とすることが好ましく、さらに好ましくは、第1触媒および第2触媒においては100H-1以上10000H-1以下、第3触媒においては1000H-1以上100000H-1以下とするのがよい。空間速度が100000H-1を超えると十分な除去性能が得られず、100H-1よりも低い場合には反応装置が大きくなりすぎて経済的でない。また、触媒反応器後流側でのダイオキシン類生成を抑制するために、触媒反応器出口でのクロロフェノール濃度が100ng/m3(Normal)以下になるように触媒量を設定するのが好ましい。
【0036】
本発明の第2の排ガス処理方法における各触媒の使用温度としては、本発明の第1の排ガス処理方法と同様、150℃以上450℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは150℃以上300℃以下であるのがよい。使用温度が150℃よりも低い場合には、ダイオキシン類および有機化合物の分解性能が低下し、450℃を超える場合には触媒が熱的ダメージを受ける可能性があるからである。
本発明の第2の排ガス処理方法は、処理対象排ガス中の全炭化水素濃度が50μg/m3(Normal、メタン換算値)以上であるときに、特に好適に用いられる。
【0037】
また、本発明の第2の排ガス処理方法における処理対象排ガス中のダスト濃度は、本発明の第1の排ガス処理方法と同様、できるだけ低いことが好ましいが、最大でも30mg/m3(Normal)以下であるのが好ましく、さらに好ましくは10mg/m3(Normal)以下であるのがよい。また、処理対象排ガス中のダスト濃度を低くするためには、触媒による排ガス処理の前に排ガスを集塵設備に通すことが好ましい。集塵設備としては特に限定されないが、例えば、サイクロン、電気集塵器、バグフィルター、セラミックフィルターなどが挙げられる。
【0038】
本発明の第1および第2の排ガス処理方法で使用される各触媒の形状については特に制限はなく、板状、波板状、網状、ハニカム状、円柱状、円筒状などのうちから選んだ所望の形状で用いてもよく、またアルミナ、シリカ、コーデイライト、チタニア、ステンレス金属などよりなる板状、波板状、網状、ハニカム状、円柱状、円筒状などのうちから選んだ所望の形状の担体に担持して使用してもよいが、処理効率が高く、圧力損失の少ないハニカム形状のものが特に好適に用いられる。
また、本発明の第1および第2排ガス処理方法で使用される各触媒を担体に担持して使用する場合には、各触媒をそれぞれ別個の担体に担持してもよく、同一の担体に複数の触媒を担持してもよい。さらに、同一の担体に複数の触媒を担持する場合には、担体の部分毎に異なる触媒を担持してもよく、同一の部分に複数の触媒を層状に担持してもよい。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
[第1触媒の調製]
10重量%アンモニア水700リットルにスノーテックス−20(日産化学(株)製シリカゾル、約20重量%のSiO2含有)21.3kgを加え、撹拝、混合した後、硫酸チタニルの硫酸溶液(TiO2として125g/リットル、硫酸濃度550g/リットル)340リットルを撹拝しながら徐々に滴下した。得られたゲルを3時間放置した後、ろ過、水洗し、続いて150℃で10時間乾燥した。これを空気雰囲気下500℃で焼成し、更にハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒子径10μmの粉体を得た。得られた粉体の組成はTiO2:SiO2=8.5:1.5(モル比)であり、粉体のX線回折チャートではTiO2やSiO2の明らかな固有ピークは認められず、ブロードな回折ピークによって非晶質な微細構造を有するチタンとケイ素との複合酸化物(以下、Ti−Si複合酸化物という)であることが確認された。
【0040】
上記Ti−Si複合酸化物粉体10kgと市販の酸化チタン粉体(DT−51(商品名)、ミレニアム社製)10kgにメタバナジン酸アンモニウム1.43kg、シュウ酸1.7kgおよびモノエタノールアミン0.4kgを水5リットルに溶解させた溶液とパラモリブデン酸アンモニウム1.36kgおよびモノエタノールアミン0.5kgを水3リットルに溶解させた溶液を加え、さらに成形助剤としてデンプン0.5kgを加えて混合し、ニーダーで混練りした後、押出成形機で外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成して触媒(1)を得た。
【0041】
触媒(1)は高いダイオキシン類分解活性を有する触媒、つまり本発明の第1触媒の一つであり、触媒(1)の組成はTiO2:Ti−Si複合酸化物:V2O5:MoO3=45:45:5:5(重量比)であった。
[第2触媒の調製]
上記第1触媒の調製で用いたTi−Si複合酸化物粉体10kgと酸化チタン粉体10kgにパラタングステン酸アンモニウムの10%メチルアミン水溶液(WO3として400g/リットル)5.6リットルと水5リットルを加え、さらに成形助剤としてデンプン0.5kgを加えて混合し、ニーダーで混練りした後、押出成形機で外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成して触媒(2)を得た。
【0042】
触媒(2)は低濃度のダイオキシン類の除去に有効な触媒、つまり本発明の第2触媒の一つであり、触媒(2)の組成はTiO2:Ti−Si複合酸化物:WO3=45:45:10(重量比)であった。
[触媒性能の評価]
触媒反応器に、第1触媒の調製で得られた触媒(1)と第2触媒の調製で得られた触媒(2)を、触媒(2)が触媒(1)の後段にくるように充填した。次に、この反応器にダイオキシン類(以下、DXNという)を約1ng−TEQ/m3(Normal)含有するゴミ焼却炉排ガスを通し、触媒反応器の入口部と出口部でのDXN濃度を測定した。尚、このときの触媒反応器内のガス温度は200℃であり、各触媒における空間速度(STP)は下記の通りであった。
【0043】
触媒(1)の空間速度:6000Hr-1
触媒(2)の空間速度:3000Hr-1
よって、触媒(1)と触媒(2)のトータルでの空間速度は2000Hr-1であった。
そして、DXN除去率を下記式に従って求めた。
DXN除去率(%)=〔(反応器入口DXN濃度)−(反応器出口DXN濃度)〕÷(反応器入口DXN濃度)×100
実施例1でのDXN除去率および反応器出口のDXN濃度を表1に示した。
【0044】
(比較例1)
実施例1で用いた触媒反応器において、触媒(2)のかわりに触媒(1)を充填し、触媒(1)のみで空間速度を2000Hr-1としたこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。
そして、DXN除去率を実施例1と同様にして求めた。
比較例1でのDXN除去率および反応器出口のDXN濃度を表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
この結果より、触媒(1)と触媒(2)を組み合わせた方がDXN除去率が高くなり、出口DXN濃度の低減に有効であることが示される。
(実施例2)
[第3触媒の調製]
実施例1で用いたTi−Si複合酸化物粉体20kgにメタバナジン酸アンモニウム1.43kg、シュウ酸1.7kgおよびモノエタノールアミン0.4kgを水5リットルに溶解させた溶液とパラタングステン酸アンモニウムの10%メチルアミン水溶液(WO3として400g/リットル)2.8リットルを加え、さらに成形助剤としてデンプン0.5kgを加えて混合し、ニーダーで混練りした後、押出成形機で外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成して成型体を得た。
【0047】
この成型体を硝酸パラジウムの水溶液(Pdとして13g/リットル含有)に含浸し、その後150℃で3時間乾燥し、次いで450℃で2時間空気雰囲気下で焼成して触媒(3)を得た。
触媒(3)は有機化合物の酸化活性が高い触媒、つまり本発明の第3触媒の一つであり、触媒(3)の組成は、Ti−Si複合酸化物:V2O5:WO3:Pd=89.4:5:5:0.6(重量比)であった。
[触媒性能の評価]
触媒反応器に、実施例1で調製した触媒(1)、触媒(2)と、上記第3触媒の調製で得られた触媒(3)を、ガス流れ上流側より触媒(3)、触媒(1)、触媒(2)の順になるように充填した。次に、この反応器にDXNを約10ng−TEQ/m3(Normal)含有するゴミ焼却炉排ガスを通し、触媒反応器の入口部と出口部、および反応器出口から約10メートル離れた煙道部でのDXN濃度を測定した。尚、このときの触媒反応器内のガス温度は240℃であり、各触媒における空間速度(STP)は下記の通りであった。
【0048】
触媒(1)の空間速度:3000Hr-1
触媒(2)の空間速度:6000Hr-1
触媒(3)の空間速度:6000Hr-1
よって、触媒(1)、触媒(2)、触媒(3)のトータルでの空間速度は1500Hr-1であった。
そして、DXN除去率を実施例1と同様にして求めた。
DXN除去率(%)=〔(反応器入口DXN濃度)一(反応器出口DXN濃度)〕÷(反応器入口DXN濃度)×100
実施例2でのDXN除去率および反応器出口と煙道部のDXN濃度を表2に示した。
【0049】
(比較例2)
実施例2で用いた触媒反応器において、触媒(2)および触媒(3)のかわりに触媒(1)を充填し、触媒(1)のみで空間速度を1500Hr-1としたこと以外は実施例2と同様にして試験を行った。
そして、DXN除去率を実施例1と同様にして求めた。
比較例2でのDXN除去率および反応器出口と煙道部のDXN濃度を表2に示した。
【0050】
【表2】
【0051】
この結果より、触媒(1)、触媒(2)、および触媒(3)を組み合わせた方がDXN除去率が高くなり、かつ煙道部でのDXN生成も抑制されるため、排出DXN濃度の低減に有効であることが示される。
【0052】
【発明の効果】
本発明にかかる排ガス処理方法は、排出ダイオキシン類を極低濃度まで安定して低減させることができる。
Claims (2)
- 有機ハロゲン化合物を含有する排ガスを触媒を用いて処理する排ガス処理方法において、下記の第1触媒および第2触媒を用い、前記第1触媒を前記第2触媒の前段に設置することを特徴とする排ガス処理方法。
第1触媒:触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてバナジウム酸化物を含有する触媒、または、触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてバナジウム酸化物を含有し、触媒C成分としてW、Mn、Mo、Ce、Co、Nb、Ni、Zn、Zr、Sn、Ta、Laから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有する触媒。
第2触媒:チタン酸化物およびチタンーケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有しバナジウム酸化物は含まない触媒、または、触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてW、Mn、Mo、Ce、Co、Nb、Ni、Zn、Zr、Sn、Ta、Laから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有し、バナジウム酸化物は含まない触媒。 - 有機ハロゲン化合物を含有する排ガスを触媒を用いて処理する排ガス処理方法において、下記の第1触媒、第2触媒および第3触媒を用い、前記第1触媒を前記第2触媒の前段に、前記第3触媒を前記第1触媒および前記第2触媒よりも前段に設置することを特徴とする排ガス処理方法。
第1触媒:触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてバナジウム酸化物を含有する触媒、または、触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてバナジウム酸化物を含有し、触媒C成分としてW、Mn、Mo、Ce、Co、Nb、Ni、Zn、Zr、Sn、Ta、Laから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有する触媒。
第2触媒:チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有しバナジウム酸化物は含まない触媒、または、触媒A成分として、チタン酸化物およびチタン−ケイ素複合酸化物からなる少なくとも1種の金属酸化物を含有し、触媒B成分としてW、Mn、Mo、Ce、Co、Nb、Ni、Zn、Zr、Sn、Ta、Laから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有し、バナジウム酸化物は含まない触媒。
第3触媒:Pt、Pd、Rh、Ruから選ばれる少なくとも1種の元素の金属またはその酸化物を必須成分として含有する触媒。
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