JP2006255641A - 排ガス処理触媒、その製造方法および排ガス処理方法 - Google Patents

排ガス処理触媒、その製造方法および排ガス処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 窒素酸化物や有機ハロゲン化合物を含む排ガスの処理性能に優れた排ガス処理触媒を提供する。
【解決手段】 本願発明は、バナジウム酸化物およびチタン系酸化物を含有する触媒であって、バナジウムの価数が4.1以上4.9未満であり、かつBET比表面積が40m/g以上であることを特徴とする排ガス処理触媒であり、当該触媒はチタン系酸化物にバナジウム化合物を加えた後に還元処理により調製されることが好ましい。更に当該排ガス処理触媒を用いて、排ガス中の有害物質を分解除去することができるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は排ガス処理触媒、その製造方法、およびこの触媒を用いた排ガス処理方法に関する。
排ガス中の窒素酸化物(NOx)をアンモニアなどの還元剤とともに脱硝触媒に接触させて還元分解することは一般によく知られているところであり、この脱硝触媒としては、例えば、チタンおよびバナジウムの酸化物と、モリブデン、タングステンおよびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物とからなる触媒(特許文献1)や、チタンおよびケイ素からなる二元系酸化物と、バナジウム、タングステン、モリブデンなどの酸化物とからなる触媒(特許文献2)が実用化されている。また、バナジウムの価数に着目して、バナジウムイオンの価数が4.9未満としたバナジウム含有触媒も提案されている(特許文献3)。同様に、排ガス中のダイオキシン類などの有機ハロゲン化合物を触媒に接触させて酸化分解することも一般によく知られているところであり、この触媒としては、例えば、チタン、バナジウム、タングステンなどの酸化物を含有する触媒が用いられている(特許文献4参照)。また、バナジウムの価数に着目して、バナジウムイオンの価数が4.9未満としたバナジウム含有触媒も提案されている(特許文献5照)
特公昭53−28148号公報 特公昭57−30532号公報 特開2004−81994号公報 特開平10−235191号公報 特開2004−81995号公報
前記公知の触媒は優れた処理性能を有し、また耐久性に優れたものであるが、近年の排ガス処理の高効率化の要求に対応して、処理性能が一段と優れた触媒の開発が望まれている。本発明は、このような事情のもとになされたものであり、従来の触媒に比べて、窒素酸化物や有機ハロゲン化合物の処理性能に優れた触媒を提供することを目的とするものである。
本発明者らの研究によれば、バナジウム酸化物とチタン系酸化物とを含む触媒のなかでも、バナジウムの価数が4.1以上4.9未満であり、しかもBET比表面積が40m/g以上のものが優れた排ガス処理性能を発揮することがわかった。本発明はこのような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、(1)バナジウム酸化物およびチタン系酸化物を含有する触媒であって、バナジウムの価数が4.1以上4.9未満であり、かつBET比表面積が40m/g以上であることを特徴とする排ガス処理触媒、(2)チタン系酸化物がチタン(Ti)とアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物である上記(1)の排ガス処理触媒、(3)チタン系酸化物にバナジウム化合物を加えた後に還元処理を行うことを特徴とする上記(1)または(2)の排ガス処理触媒の製造方法、(4)低酸素濃度雰囲気下300〜700℃で焼成して還元処理を行う上記(3)の排ガス処理触媒の製造方法、および(5)上記(1)または(2)の排ガス処理触媒を用いて、排ガス中の有害物質を分解除去することを特徴とする排ガス処理方法である。
本発明の排ガス処理触媒を用いることにより、排ガス中の窒素酸化物や有機ハロゲン化合物などの有害物質を一段と効率よく処理することができる。
本発明の排ガス処理触媒における、バナジウムの価数は4.1以上4.9未満、好ましくは4.2〜4.8、より好ましくは4.3〜4.7である。バナジウムの価数が4.1より少なかったり、あるいは4.9以上となると排ガス処理性能が低下する。触媒上のバナジウムの価数が4.1以上ということは、全バナジウム種中に占めるV4+の割合が90%以下であることと等価であり、4.9未満ということは、全バナジウム種中に占めるV4+の割合が10%より多いことと等価である。したがって、V4+とV5+とが触媒上に互いに独立して存在し、混合した状態でもよい。上記バナジウムの価数は、次のX線光電子分光法(XPS)により求めたものである。
<X線光電子分光法> JEOL JPS−9000MX(日本電子(株)製)を用い、MgをX線源として使用し、ピーク位置は炭素を基準として補正する。少量のサンプルをプレスして装置内にセットし、高真空に確認した後に、加速電圧10kV、エミッション電流10mA、スキャン回数50回の条件で測定する。イオンスパッタリングは試料の状態を変えるおそれがあるため行わない。バナジウムの2p電子に帰属されるピークのバックグランドスペクトルをシャーリー(Shirley)法で除去し、ガウス−ローレンツ(Gauss−Lorenntz)関数でカーブフィットすることによりピークをV5+(ピーク位置517.4eV±0.3eV)とV4+(ピーク位置516.4eV±0.5eV)とに分離する。そして、バナジウムの価数は以下の式から求める。
(Vの価数)=4×(V4+のピーク面積)÷(V4+とV5+のピーク面積の合計)+5×(V5+のピーク面積)÷(V4+とV5+のピーク面積の合計)
バナジウムの価数を求める方法として、バナジウムのXPSピークのエネルギーシフトを用いて評価することもできるが、誤差が大きいため、上記の方法で評価することが好ましい。
図1は、実施例1で得られた触媒(1)のXPSのチャートである。ここには、バナジウムの実測波形(中央のピーク)と、この実測波形を5価のバナジウムの波形成分(左側のピーク)と4価のバナジウムの波形成分(右側のピーク)とに分けたものが、まとめて示されている。前記バナジウムの価数は、図1の左右2つのピーク面積を測定し、上記式に従って求めることができる。なお、図1において、横軸はバナジウムの酸化度合いを示し(単位eV(エレクトロンボルト))、縦軸は電子線の強度を示す。
本発明の排ガス処理触媒は、前記バナジウムの価数が、4.1以上4.9未満であるとともに、BET比表面積が40m/g、好ましくは50m/g、より好ましくは60m/gを下回らないものである。BET比表面積が40m/g未満では、バナジウムが凝集しやすくなり、排ガス処理性能が低下する。細孔容積は0.2〜0.8cm/g、好ましくは0.25〜0.7cm/g、より好ましくは0.25〜0.6cm/gである。
本発明の排ガス処理触媒は、バナジウム酸化物とチタン系酸化物とを含有するものである。チタン系酸化物としては、チタン酸化物(TiO)のほかに、チタン(Ti)と、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物を用いることができる。なかでも、チタンと、アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種の元素との二元または三元系複合酸化物が好適に用いられる。これらチタン系酸化物は混合して使用することもできる。具体例としては、TiO、Ti−Si複合酸化物、Ti−Mo複合酸化物、Ti−Si−Mo複合酸化物、Ti−Si−W複合酸化物、Ti−W複合酸化物、Ti−Zr−Mo複合酸化物、TiO+Ti−W複合酸化物、Ti−Si複合酸化物+Ti−Si−W複合酸化物などを挙げることができる。本発明の排ガス処理触媒は、その排ガス処理性能を損なわない範囲で2価や3価のバナジウムを含んでいてもよい。上記チタン系複合酸化物の調製方法については、特に制限はなく、一般によく知られている方法、例えば、沈澱法(共沈法)、沈着法、加水分解法、ゾル−ゲル法、混練法などにしたがって調製することができる。なお、「複合酸化物」とは、X線回折パターンにおいて、酸化チタン以外の物質に帰属される明らかな固有のピークを示さず、酸化チタンについてはアナターゼ型酸化チタンに帰属される固有のピークを示さないか、もしくは示してもアナターゼ型酸化チタンの回折ピークよりもブロードな回折ピークを示すものをいう。
前記バナジウムの価数が4.1以上4.9未満であり、かつBET比表面積が40m/gを下回らない、本発明の排ガス処理触媒は、例えば、次の方法により得られる。
(A)チタン系酸化物の粉末にバナジウム源としてのバナジウム化合物を含む水溶液を有機または無機の成形助剤とともに加え、混練した後、ハニカム状などの形状に成形する。次に、この成形品を300〜700℃、好ましくは350〜650℃の温度で、水素、一酸化炭素、炭化水素などの還元剤の存在下(還元性雰囲気下)に焼成する、窒素雰囲気下で1〜8時間、好ましくは1〜5時間焼成する、あるいは低酸素濃度雰囲気下で焼成するなどの方法により還元処理する。
(B)チタン系酸化物の粉体を予め球状、円柱状、ペレット状、ハニカム状などの形状に成形して成形品とし、この成形品を焼成した後、バナジウム源としてのバナジウム化合物を含む水溶液に含浸させ、次いで上記(A)と同様の方法により還元処理する。
(C)チタン系酸化物の粉末とV、VO、Vなどのバナジウム酸化物粉体とを直接混合し、これを上記(A)と同様の方法により還元処理する。
(D)V4+が形成されやすいチタン系酸化物にバナジウム化合物を混練法、含浸法などの一般的な方法により添加した後、上記(A)と同様の方法により還元処理する。
上記(A)〜(D)の還元処理における、「低酸素濃度雰囲気」とは、酸素濃度が18%以下、好ましくは16%以下の雰囲気を意味する。上記(A)〜(D)のなかでも、(D)の方法が好ましい。また、上記還元処理のなかでも、低酸素濃度雰囲気下に焼成する方法が好適に用いられる。上記(D)のV4+が形成されやすいチタン系酸化物としては、例えば、Ti−Si−Mo複合酸化物やTi−Si−W複合酸化物を挙げることができる。Ti−Si−Mo複合酸化物については、前記特許文献3、5に詳しく説明されている。上記バナジウム化合物ついては、上記還元処理により、バナジウム酸化物を形成し得るものであれば、いずれでもよく、例えば、バナジウム酸化物(V、VO、Vなど)や、バナジウムの水酸化物、アンモニウム塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物などを用いることができる。
本発明の排ガス処理触媒における、バナジウムの含有量は、酸化物(V換算)として、通常、0.1〜25質量%であり、好ましくは1〜15質量%である。本発明の排ガス処理触媒は、その排ガス処理性能を損なわない範囲で、その他の金属、例えば、Na、K、Ca、Ba、Mo、W、Cr、Mn、Fe、Co、Bi、Zn、Zr、Nb、Sn、Ta、La、Ce、Ag、Au、Pd、Pt、Rh、RuおよびIrの1種または2種以上を含んでいてもよい。なお、Mo、W、Crなどはチタン系複合酸化物の形態、もしくはそれ以外の形態で含まれていても、またはチタン系複合酸化物の形態とそれ以外の形態とで同時に含まれていてもよいが、チタン系複合酸化物の形態で含まれるのが好ましい。
本発明の排ガス処理触媒の形状については特に制限はなく、ハニカム状、板状、網状、円柱状、円筒状など所望の形状に成形して使用することができる。また、アルミナ、シリカ、コージェライト、ムライト、SiC、チタニア、ステンレス鋼などからなるはハニカム状、板状、網状、円柱状、円筒状など所望の形状の担体に担持して使用してもよい。
本発明の排ガス処理触媒は、排ガス中の窒素酸化物(NOx)の還元分解除去(脱硝)に用いることができる。例えば、ボイラ、焼却炉、ガスタービン、ディーゼルエンジンおよび各種工業プロセスから排出される排ガス中の窒素酸化物の除去に好適に用いられる。本発明の触媒を用いて脱硝を行うには、本発明の触媒をアンモニアや尿素などの還元剤の存在下、排ガスと接触させ、排ガス中の窒素酸化物を還元除去する。この際の条件については、特に制限がなく、この種の反応に一般的に用いられている条件で実施することができる。具体的には、排ガスの種類、性状、要求される窒素酸化物の分解率などを考慮して適宜決定すればよい。
なお、本発明の触媒を用いて脱硝を行う場合の排ガスの空間速度は、通常、100〜100000Hr−1(STP)であり、好ましくは200〜50000Hr−1(STP)である。100Hr−1未満では、処理装置が大きくなりすぎるため非効率となり、一方100000Hr−1を超えると分解効率が低下する。また、その際の温度は、100〜500℃であることが好ましく、より好ましくは150〜400℃である。
また、本発明の排ガス処理触媒は、排ガス中の有機ハロゲン化合物の酸化分解除去に用いることができる。ここで、「有機ハロゲン化合物」とは、排ガス中に含まれる環境上好ましくない有害物質を意味し、その代表例としては、塩素化ダイオキシン類、臭素化ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニール(PCB)、クロロフェノール、ブロモフェノールなどを挙げることができる。したがって、本発明の「有害物質」とは、上記のような、窒素酸化物や有機ハロゲン化合物を意味する。本発明の触媒を用いて有機ハロゲン化合物の処理を行うには、本発明の触媒を排ガスと接触させ、排ガス中の有機ハロゲン化合物を分解除去する。この際の条件については、特に制限がなく、この種の反応に一般的に用いられている条件で実施することができる。具体的には、排ガスの種類、性状、要求される有機ハロゲン化合物の分解率などを考慮して適宜決定すればよい。アンモニアや尿素などの還元剤を添加することにより同時に脱硝を行うこともできる。
なお、本発明の触媒を用いて有機ハロゲン化合物の処理を行う場合の排ガスの空間速度は、通常、100〜100000Hr−1(STP)であり、好ましくは200〜50000Hr−1(STP)である。100Hr−1未満では、処理装置が大きくなりすぎるため非効率となり、一方100000Hr−1を超えると分解効率が低下する。また、その際の温度は、100〜500℃であることが好ましく、より好ましくは150〜400℃である。
本発明の有利な実施態様を示している以下の実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
<Ti−W複合酸化物の調製>
メタタングステン酸アンモニウム水溶液(日本無機化学工業(株)製、WOとして50質量%含有)4kgと工業用アンモニア水(25質量%NH含有)120kgと水130リットルとの混合溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製、TiOとして70g/リットル、HSOとして287g/リットル含有)257リットルを攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させた後、適量のアンモニア水を加えてpHを5に調整した。この共沈スラリーを約20時間静置した後、水で十分洗浄し、ろ過し、100℃で1時間乾燥させた。次いで、空気雰囲気下、550℃で4時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒子径10μmの粉体を得た。得られた粉体のX線回折図を図2に示す。WOの明らかな固有ピークは認められず、2θ=25.3°にブロードな回折ピークが得られていることから、上記粉体はチタンとタングステンとの複合酸化物(Ti−W複合酸化物)であることが確認された。このTi−W複合酸化物の組成は、チタン酸化物:タングステン酸化物(TiO:WO)=90:10(質量比)であった。なお、参考として、市販のTiO粉体(ミレニアム製、DT−51)のX線回折図を図3に示した。
<バナジウム酸化物の添加>
8リットルの水にメタバナジン酸アンモニウム1.29kgとシュウ酸1.67kg、さらにモノエタノールアミン0.4kgを混合し、溶解させ、均一溶液を調製した。先に調製したTi−W複合酸化物粉体19kgをニーダーに投入後、有機バインダー(合計1.5kg)などの成形助材とともにバナジウム含有溶液を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで十分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、炉内酸素濃度をやや還元雰囲気である14%として、450℃で4時間焼成して目的の触媒(1)を得た。この時の組成は、質量比で、チタン酸化物:タングステン酸化物:バナジウム酸化物(TiO:WO:V)=85.5:9.5:5であった。この触媒(1)のBET比表面積は90m/gであった。触媒(1)のバナジウムの価数は4.40であった(図1参照)。
(実施例2)
<Ti−Si−W複合酸化物の調製>
メタタングステン酸アンモニウム水溶液(WOとして50質量%含有)4kgと、シリカゾル(スノーテックス−30、日産化学社製、SiO換算30質量%含有)6.7kgと、工業用アンモニア水(25質量%NH含有)110kgと、水130リットルとの混合溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製、TiOとして70g/リットル、HSOとして287g/リットル含有)228リットルを、攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させた後、適量のアンモニア水を加えてpHを3に調整した。この共沈スラリーを約20時間静置したのち、水で十分洗浄した後、ろ過し、100℃で1時間乾燥させた。次いで、空気雰囲気下、550℃で4時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒子径10μmの粉体を得た。得られた粉体のX線回折図では、SiOおよびWOの明らかな固有ピークは認められず、2θ=25.3°にブロードな回折ピークが得られたことから、上記粉体はチタンとケイ素とタングステンの複合酸化物(Ti−Si−W複合酸化物)であることが確認された。このTi−Si−W複合酸化物の組成は、チタン酸化物:ケイ素酸化物:タングステン酸化物(TiO:SiO:WO)=90:10:10(質量比)であった。
<バナジウム酸化物の添加>
実施例1において、Ti−W複合酸化物粉体の代わりにTi−Si−W複合酸化物粉体を用いたこと以外は同様にしてバナジウム酸化物を添加し、触媒(2)を得た。この時の組成は、質量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:タングステン酸化物:バナジウム酸化物(TiO:SiO:WO:V)=76:9.5:9.5:5であった。この触媒(2)のBET比表面積は100m/gであった。触媒(2)のバナジウムの価数は4.35であった。
(実施例3)
<Ti−Mo複合酸化物の調製>
実施例1のTi−W複合酸化物の調製の工程において、メタタングステン酸アンモニウム水溶液の代わりに、モリブデン酸2.25kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして酸化物粉体を得た。得られた粉体のX線回折図では、MoOの明らかな固有ピークは認められず、2θ=25.3°にブロードな回折ピークが得られたことから、上記粉体はチタンとモリブデンの複合酸化物(Ti−Mo複合酸化物)であることが確認された。このTi−Mo複合酸化物の組成は、チタン酸化物:モリブデン酸化物(TiO:MoO)=90:10(質量比)であった。
<バナジウム酸化物の添加>
実施例1において、Ti−W複合酸化物粉体の代わりにTi−Mo複合酸化物粉体を用いたこと以外は同様にしてバナジウム酸化物を添加し、触媒(3)を得た。この時の組成は、質量比で、チタン酸化物:モリブデン酸化物:バナジウム酸化物(TiO:MoO:V)=85.5:9.5:5であった。この触媒(3)のBET比表面積は90m/gであった。触媒(3)のバナジウムの価数は4.40であった。
(実施例4)
<Ti−Si複合酸化物の調製>
シリカゾル(SiO換算30質量%含有)13.3kgと工業用アンモニア水(25質量%NH含有)120kgと水160リットルとの混合溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製、TiOとして70g/リットル、HSOとして287g/リットル含有)229リットルを、攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させた後、適量のアンモニア水を加えてpHを7に調整した。この共沈スラリーを約20時間静置した後、水で十分洗浄し、ろ過し、100℃で1時間乾燥させた。次いで、空気雰囲気下、450℃で4時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒子径10μmの粉体を得た。得られた粉体のX線回折図では、SiOの明らかな固有ピークは認められず、2θ=25.3°にブロードな回折ピークが得られていたことから、上記粉体はチタンとケイ素との複合酸化物(Ti−Si複合酸化物)であることが確認された。このTi−Si複合酸化物の組成は、チタン酸化物:ケイ素酸化物(TiO:SiO)=80:20(質量比)であった。
<バナジウム酸化物、タングステン酸化物の添加>
8リットルの水にメタバナジン酸アンモニウム1.29kg、パラタングステン酸アンモニウム1.9kg、シュウ酸2.0kgおよびモノエタノールアミン1.2kgを混合し、溶解させ、均一溶液を調製した。先に調製したTi−Si複合酸化物粉体18kgをニーダーに投入後、有機バインダー(合計1.5kg)などの成形助材とともにバナジウム含有溶液を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで十分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、炉内酸素濃度をやや還元雰囲気である14%として、450℃で4時間焼成して目的の触媒(4)を得た。この触媒(4)の組成は、質量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:タングステン酸化物:バナジウム酸化物(TiO:SiO:WO:V)=72:18:5:5であった。この触媒(4)のBET比表面積は250m/gであった。触媒(4)のバナジウムの価数は4.60であった。
(実施例5)
<Ti−Zr複合酸化物の調製>
実施例1のTi−W複合酸化物の調製の工程において、メタタングステン酸アンモニウム水溶液の代わりに、オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8HO)3.7kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして、酸化物粉体を得た。得られた粉体のX線回折図では、ZrOの明らかな固有ピークは認められず、2θ=25.3°にブロードな回折ピークが得られていたことから、上記粉体はチタンとジルコニウムとの複合酸化物(Ti−Zr複合酸化物)であることが確認された。このTi−Zr複合酸化物の組成は、チタン酸化物:ジルコニウム酸化物(TiO:ZrO)=90:10(質量比)であった。
<バナジウム酸化物、タングステン酸化物の添加>
実施例4において、Ti−Si複合酸化物粉体18kgの代わりにTi−Zr複合酸化物粉体18kgを用いた以外は同様にして、触媒(5)を得た。この触媒(5)の組成は、質量比で、チタン酸化物:ジルコニウム酸化物:タングステン酸化物:バナジウム酸化物(TiO:ZrO:WO:V)=81:9:5:5であった。この触媒(5)のBET比表面積は100m/gであった。触媒(5)のバナジウムの価数は4.60であった。
(実施例6)
<Ti−Cr複合酸化物の調製>
実施例1のTi−W複合酸化物の調製の工程において、メタタングステン酸アンモニウムの代わりに塩化クロム(III)(CrCl・6HO)7.0kgを用いた以外は実施例1と同様にしてTi−Cr複合酸化物粉体を得た。このようにして調製したTi−Cr複合酸化物の組成は、チタン酸化物:クロム酸化物(TiO:Cr)=90:10(質量比)であった。得られた粉体のX線回折図ではCrの明らかな固有ピークは認められず、2θ=25.3°にブロードな回折ピークが得られたことから、上記粉体はチタンとクロムとの複合酸化物(Ti−Cr複合酸化物)であることが確認された。
<バナジウム酸化物の添加>
実施例1において、Ti−W複合酸化物粉体の代わりにTi−Cr複合酸化物粉体を用いた以外は同様にしてバナジウム酸化物を添加し、触媒(6)を得た。この触媒(5)の組成は、質量比で、チタン酸化物:クロム酸化物:バナジウム酸化物(TiO:Cr:V)=76.9:5.9:5.5であった。この触媒(6)のBET比表面積は55m/gであった。触媒(6)のバナジウムの価数は4.75であった。
(実施例7)
実施例1のバナジウム酸化物の添加の工程において、Ti−W複合酸化物粉体19kgの代わりに、市販の酸化チタン粉体(DT−51(商品名)、ミレニアム社製)19kgを用いたこと以外は同様にして、触媒(7)を得た。この時の組成は、質量比で、チタン酸化物:バナジウム酸化物(TiO:V)=95:5であった。この触媒(7)のBET比表面積は45m/gであった。触媒(7)のバナジウムの価数は4.85であった。
(比較例1)
実施例1で得られた触媒(1)を、H:2%、N:バランス、ガス温度:350℃、空間速度:3000Hr−1の条件下で10時間、還元処理を施すことにより、触媒(8)を得た。この触媒(8)のBET比表面積は90m/gであった。触媒(8)のバナジウムの価数は4.05であった。
(比較例2)
市販の酸化チタン粉体(DT−51)19kgに、市販のV結晶粉体1.29kgを加え、有機バインダー(合計1.5kg)などの成形助材および必要量の水とともに混合し、ニーダーで混練りした後、押出成形機でハニカム状に成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、空気雰囲気下(炉内酸素濃度20%)、450℃で5時間焼成して目的の触媒(9)を得た。この触媒(9)の組成は、質量比で、チタン酸化物:バナジウム酸化物(TiO:V)=95:5であった。この触媒(9)のBET比表面積は35m/gであった。触媒(8)のバナジウムの価数は4.95であった。
(実施例8)
実施例1〜7および比較例1〜2で得られた触媒(1)〜(9)を用いて下記の活性評価試験を行った。
<活性評価試験>
(脱硝反応条件)
ガス組成:NOx:200ppm、SO:50ppm、NH:200ppm、O:2%、HO:10%、N:バランス
ガス温度:200℃、300℃および400℃
空間速度:21000Hr−1
脱硝率は下記の式に従って求めた。
脱硝率(%)={(反応器入口NOx濃度)−(反応器出口NOx濃度)}÷(反応器入口NOx濃度)×100
(クロロトルエン分解反応条件)
ガス組成:クロロトルエン:20ppm、SO:50ppm、O:9%、HO:10%、N:バランス
ガス温度:210℃
空間速度:3000Hr−1
クロロトルエン分解率は下記の式に従って求めた。
クロロトルエン分解率(%)={(反応器入口クロロトルエン濃度)−(反応器出口クロロトルエン濃度)}÷(反応器入口クロロトルエン濃度)×100
結果を表1に示す。
Figure 2006255641
実施例1で得られた触媒(1)のXPSのチャートである。 実施例1で得られた粉体のX線回折図である。 TiO粉体のX線回折図である。

Claims (5)

  1. バナジウム酸化物およびチタン系酸化物を含有する触媒であって、バナジウムの価数が4.1以上4.9未満であり、かつBET比表面積が40m/g以上であることを特徴とする排ガス処理触媒。
  2. チタン系酸化物がチタン(Ti)とアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物である請求項1記載の排ガス処理触媒。
  3. チタン系酸化物にバナジウム化合物を加えた後に還元処理を行うことを特徴とする請求項1または2の排ガス処理触媒の製造方法。
  4. 低酸素濃度雰囲気下300〜700℃で焼成して還元処理を行う請求項3記載の排ガス処理触媒の製造方法。
  5. 請求項1または2記載の排ガス処理触媒を用いて、排ガス中の有害物質を分解除去することを特徴とする排ガス処理方法。

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