JP4097704B2 - ホウ酸リチウム錯体の調製方法 - Google Patents

ホウ酸リチウム錯体の調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、一般式(I):
Figure 0004097704
(式中、RおよびR1は同一または異なっているか、
場合によっては単結合または二重結合により互いが直接結合しており、
おのおのの場合において、別々に、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニルから選択される芳香族環であり、
その芳香族環は、置換されていないか、または、AもしくはHalにより一置換ないし四置換されててもよい
あるいは、
おのおのの場合において、一緒になって、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニルから選択される芳香族環であり、
その芳香族環は、置換されていないか、または、AもしくはHalにより一置換ないし四置換されていてもよい
そして、
Halは、FまたはClであり、
そして、
Aは、炭素数1〜6のアルキルであり、一ハロゲン化ないし四ハロゲン化されていてもよい。)
で示されるリチウム錯体塩、二次リチウム電池における電解質としてのその使用、およびこれらの化合物の調製方法に関する。
リチウムの低い静止電位ゆえに、非プロトン性化合物のみが溶媒として適当である。アルコールのようなプロトン性化合物は、リチウム含有陽極と反応して水素を生成し、これにより最終的に電池が破裂する。
二次リチウム電池における適当な有機溶媒は、基本的に、この用途のためのものとして当業者に知られている任意の溶媒および溶媒混合物である。適当な溶媒は、特に、エーテルおよびエステルであり、環式有機炭酸エステル、例えば、炭酸プロピレンまたは炭酸エチレンを含む。しかしながら、液体のみならず、ポリマーも溶媒として用いることができ、この場合、使用されるポリマーがリチウム塩を溶解し、それとイオン的導電性混合物を形成することが必要である。最も一般的に用いられているポリマーの一つは、ポリエチレンオキシドである。導電性は、ポリマーと、一種または二種以上の溶媒との混合物を用いることにより増加させることができる(Amalgierら著:Proceedings of the Symposium on Primary and Secondary Lithium Batteries、第91-1巻、131〜141頁、(1991年);ニュージャージー州ペニントン在The Electrochemical SocietyのK.M. AbrahamおよびM. Salomon(編集者))。電池容器が機械的に破損した場合に電解質が逃げ出て電極表面が露出されることが防止されるので、ポリマー電解質そのものの使用は電池の操作安全性を向上させる。
リチウム電子に用いられる導電性塩は、大きな陰帯電した無機または有機対イオンを有する塩に限定される。小さな対イオンを有する導電性塩、例えば塩化リチウムは、高格子結合エネルギーによる低溶解性ゆえに不適当である。
フッ化無機アニオンを有するリチウム塩は、二次リチウム電池のために今まで最も頻繁に研究されている導電性塩に含まれる。種々のエーテル中にテトラフルオロホウ酸リチウムを含む溶液は、不活性基質上で比較的低い環化収率を示す。LiBH4/炭酸ポリエチレン溶液を用いた炭素陽極上での低い収率も達成されている(Maki Satoら著:Proceedings of the Symposium on Primary and Secondary Lithium Batteries、第91-3巻、407〜415頁、(1991年);ニュージャージー州ペニントン在The Electrochemical SocietyのK.M. AbrahamおよびM. Salomon(編集者))。従って、テトラフルオロホウ酸リチウムは二次リチウム電池における用途に理想的に適しているものではない。Li++e-における元素リチウムの反応の平衡電位より大きな電位において、ヘキサフルオロアンチモン酸リチウムは特に元素アンチモンに還元され、その結果、導電性塩として用いることができない。
ヘキサフルオロ砒酸リチウムは、大部分の溶媒および溶媒混合物中、不活性基質上で非常に高い環化収率を示す。2−メチルテトラヒドロフラン中にLiAsF6を含む溶液について96%を超える環化収率が発見された(Goldmanら、J. Electrochemical So.、第127巻、1461〜1467頁(1980年))。ヘキサフルオロ砒酸リチウムおよびその二次生成物の毒性および劣った環境適合性が、大規模適用への障害となっている(Archuleta, M.M.著、J. Power Sources第54巻、138頁(1995年))。
有機炭酸エステル系のLiPF6含有溶液も、リチウム陽極を有する電池において試験された。これらの系の本質的不利益は、LiPF6の低い熱安定性である。溶液中においてLiFおよびPF5への部分的解離が起こり、それが、ルイス酸PF5により開始される溶媒のカチオン性重合を引き起こし得る(Kochら著:Proceedings of the symposium Lithium batteries、第81-4巻、165〜171頁(1981年)、シュージャージー州ペニントン在The Electrochemical Society;H. V. Venkatasetty(編者))。
無機フッ化対イオンの解離を避けるために、過フッ化有機基を有する有機リチウム塩、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドおよびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドも試験された。高い熱安定性ゆえに、これらの塩は、主にイオン性導電性ポリマーにおいて用いられる。前記後者の二つの塩は、第1のものよりも明らかに高い導電性を有しており、酸化に対して実質的に安定である。それらは、炭素陽極および酸化ニッケル陰極を有する電池において良好に用いられる(Dahnら著、J. of Electrochem. Soc.,第138巻、2207〜2211頁(1991年))。しかしながら、その製造方法による高いコストが大きな欠点となっている。これらの化合物の高いフッ素含量ゆえに、リチウムとの発熱反応の危険性もある。
有機ホウ酸リチウムの使用も、Horowitzらにより研究されている(Proceedings of the symposium Lithium batteries、第81-4巻、131〜143頁(1981年)、シュージャージー州ペニントン在The Electrochemical Society;H.V. Venkatasetty(編者))。低い陽極安定性、トリオルガノボランの形成に関する安全性の問題およびその高い価格ゆえに、テトラオルガノボランはリチウム電池において用いられない。
ホウ酸の水溶液から始めるホウ酸リチウム錯体の合成については、WO 94/27335及び、J.Barthelら著、J.Electrochem. Soc.,142/8 2527(1995)に記述されている。リチウム電池に採用する際の決定的な基準は、高い純度に加え、特に水が存在しないことにある。この合成方法によっては、完全い水を除いた方法で生成物を得ることは不可能である。
クロロホウ酸リチウムの使用も研究されている(Johnson,J. W.;Brody, J. F. 著;J. Electrochem. Soc.,第1299巻、2213〜2219頁(1982年))。しかしながら、これらの化合物の調製および精製のためのプロセスは非常に費用がかかり、これらの塩の溶液は相分離を起こし易い。これらの高い塩素含量により不安定になる。
従って、本発明の一つの目的は、経済的に調製され、適当な溶媒中において二次リチウム電池の製造用電極として好適であり、環境的に適合性があり、改良された特性を有する安定なリチウム錯体塩を提供することであった。本発明のもう一つの目的は、これらのリチウム錯体塩そのものの調製方法を提供することである。
実験により、本発明の目的は、一般式(I):
Figure 0004097704
(式中、Rおよび1は同一または異なっているか、
場合によっては単結合または二重結合により互いが直接結合しており、
おのおのの場合において、別々に、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニルから選択される芳香族環であり、
その芳香族環は、置換されていないか、または、AもしくはHalにより一置換ないし四置換されててもよい
あるいは、
おのおのの場合において、一緒になって、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニルから選択される芳香族環であり、
その芳香族環は、置換されていないか、または、AもしくはHalにより一置換ないし四置換されていてもよい
あるいは、
おのおのの場合において、別々に、ピリジル、ピロール、1,2−ジアジン、1,3−ジアジン及び1,4−ジアジンから選択されるヘテロ環式芳香族環であり、
その芳香族環は、置換されていないか、または、AもしくはHalにより一置換ないし三置換されていてもよい
あるいは、
おのおのの場合において、一緒になって、ピロール、1,2−ジアジン及び1,3−ジアジンから選択されるヘテロ環式芳香族環であり、
その芳香族環は、置換されていないか、または、AもしくはHalにより一置換ないし三置換されていてもよい
そして、
Halは、FまたはClであり、
そして、
Aは、炭素数1〜6のアルキルであり、一ハロゲン化ないし四ハロゲン化されていてもよい。)
で示されるリチウム錯体塩、特に、RおよびR1が同一または異なっており、場合によっては単結合または二重結合により直接結合しており、それぞれフェニルまたはピリジルであるリチウム錯体塩により達成され得ることが発見された。特に好適なリチウム錯体塩(I)は、リチウムビス[2,2’−ビフェニルジオラート(2−)−O,O’]ボレート(1−)およびリチウムビス[2,3−ナフタレンジオラート(2−)−O,O’]ボレート(1−)である。
本発明はまた、本発明の化合物の調製方法、および、本発明のホウ酸リチウム錯体の調製のための中間体として必要とされる。隣接炭素原子においてヒドロキシル化されている一フッ化ないし四フッ化芳香族、特にテトラフルオロカテコールを調製するための新規方法も提供する。
驚くべきことに、水に不溶性の配位子、例えば、ピリジンジオールまたはジヒドロキシビフェニルなど、好ましくは、ヒドロキシル化芳香族化合物を、本発明の方法により中心ホウ素原子に配位させることもできる。
本発明の反応条件から、錯体形成反応中および特に溶液の濃縮により行われる調製生成物の単離中の両方において、B(OH)4 -を形成する配位子としての中心原子に水性媒体中において結合することのできる水の存在は、B−O−B結合を有する副生物の形成することから悪影響となる。
本発明の方法は、反応溶液が穏やかな条件下に蒸発して100%の生成物収率を提供し得るように、錯体形成反応の平衡の位置に作用する。
本発明による方法の一つの特別の利点は、錯体形成反応中にHCl、HFまたはH2の形成を引き起こすBCl3、BF3またはLiBH4のような強い試薬を用いることなく、穏やかな条件下に作業することができることである。さらに、本発明の方法は、LiB(OCH34のメタノール溶液を、ポリマーマトリックス、例えば、ヒドロキシル化PEOに混入し、ポリマー主鎖にアニオンが固定されているポリマー電解質を調製するある程度の可能性を提供する。
本発明の錯体塩は、テトラアルコラートホウ酸リチウムを非プロトン性溶媒中に入れることにより調製される。この溶液を、必要なら僅かに加熱してホウ酸塩を溶解する。
反応に適当なテトラアルコラートホウ酸リチウムは、メタノール、エタノールおよびプロパノールの誘導体、ならびに他の短鎖アルコールの誘導体である。しかしながら、メタノールまたはエタノール誘導体を用いることが特に好ましい。なぜなら、これらのアルコールの沸点が低いということは、錯体形成後に比較的低い温度で反応混合物からそれらのアルコールを除去し得ることを意味しているからである。
錯体形成のために、適当なヒドロキシ化合物、または異なる適当なヒドロキシ化合物の1:1混合物が、テトラアルコラートホウ酸リチウムが先に溶解されたものと同じ非プロトン性溶媒中に溶解され、必要なら不活性ガス雰囲気下に、10〜60℃の温度、好ましくは室温〜約55℃の温度で、テトラアルコラートホウ酸リチウム溶液に等モル量でゆっくり滴下される。次に反応を完了するために、場合によっては、反応溶液が60〜90℃の温度で、適当な時間、攪拌される。錯体形成反応が非常に速い場合、引き続いて攪拌をしなくともよい場合がある。
アセトニトリル、アセトン、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドを含む群から選択される溶媒を、非プロトン性溶媒として用いることができる。アセトニトリルを用いることが好ましい。
反応中に形成されるアルコールが、調製された錯体塩のその後の単離を阻害する場合、僅かな減圧により、また適当な場合には、約50〜60℃に穏やかに加熱することにより分離することができる。非プロトン性溶媒中で調製したリチウム錯体塩の溶解性に依存して、反応溶液が濃縮され、または溶媒が完全に留去され、また、生成物が自然に結晶化しない場合には、残さが0〜10℃の温度で数時間冷却される。結晶生成物は従来法により分離され、ゆっくり加熱することにより乾燥される。
錯体形成に特に適当な化合物は、ピロカテコール、1,2−または2,3−ジヒドロキシナフタレンおよび対応するヒドロキシル化アントラセンまたはフェナンスレンのような隣接位置においてヒドロキシル化されている芳香族化合物である。しかしながら、芳香環どうしが結合しており、その結合に直接隣接している箇所にヒドロキシル基を有する芳香族化合物、例えば、2,2’−ジヒドロキシビフェニルも適当である。錯体形成に適当な他の化合物は、相当するヘテロ環式化合物、例えば、ピリジン−2,3−ジオールおよびピリジン−3,4−ジオール、または相当するヒドロキシル化ビピリジルである。錯体形成に適当な他の芳香族化合物は、隣接位置においてヒドロキシル化されているジアジン、たとえば、1,3−ジアジン−5,6−ジオール、1,2−ピラジン−3,4−ジオール、1,2−ピラジン−4,5−ジオールおよび1,4−ピラジン−2,3−ジオール、または対応するピロールのジオールである。錯体形成に適当な対応する配位子は、芳香環のヘテロ原子上および非ヒドロキシル化炭素原子上の両方において、ハロゲン原子または、場合によってはハロゲン化されている炭素原子数1〜6のアルキル基により一置換または多置換されていてもよい。1−トルフルオロメチルピロール−2,3−ジオールは、これらの配位子の一つの例である。しかしながら、ヘテロ環式芳香族化合物のみならず、他の適当な芳香族化合物も、ハロゲン、特にフッ素または塩素により一置換、または多置換、すなわち四置換までされていてもよい。一アルキル化または多アルキル化されたヒドロキシル化芳香族化合物、特にメチル、エチル、n−もしくはイソプロピルまたはn−、sec−もしくはtert−ブチルにより置換されているヒドロキシル化されたフェニル、ナフチル、アントラセニルまたはフェナンスレニルも、錯体形成に有利に用いることができる。
錯体形成に適当なヒドロキシル化合物は、市販されていない化合物、例えば、テトラフルオロカテコールも含む。それは、文献から知られている方法により低い収率でしか得ることができない。実験により、ペンタフルオロフェノールを炭酸カリウムと反応させてカリウムペンタフルオロフェネートを得て、次いでこれをDMSO中で2−ブロモエタノールと反応させてモノエーテルを得て、次いでこれをDMF中で炭酸カリウムと反応させて環式ジエーテルを得ることにより、前記ジヒドロキシル化合物を高収率で調製することができ、次に、それから、塩化アルミニウムのベンゼン存在下においてそのエーテルを開裂させることにより、所望のテトラフルオロカテコールが得ることができることを示した。しかしながら、環式ジエーテルは、酸化エチレンをDMSO中において不活性ガス雰囲気下、高温で反応させることにより一反応工程において得ることもできる。どのように反応が行われるかに依存して、この方法により80〜95%の収率が得られる。この方法は、一、二または三フッ化ジヒドロキシ芳香族化合物を調製するために用いることもできる。
環化実験において、本発明によるこのフッ化ジヒドロキシ化合物のホウ酸Li錯体は、所定の特に良好な結果を有し、特に安定であるとわかった。他の塩との組み合わせにおいて、これらの錯体は、酸化に対して相乗的安定化効果を示している。この結果は、配位子当りに結合されたフッ素原子の数に依存しているようであり、電気化学的測定は約0.1V/フッ素原子/配位子の安定化を示した。
これは、本発明のこれらフッ化ホウ酸錯体塩、ならびに本発明の他のホウ酸Li錯体が、一次および二次電池のみならず二重層または超蓄電器(super capacitor)としての電気化学的電池における使用に適しており、およびディスプレイまたは電気的に切り替えることのできるウインドウの製造に特に適していることを意味している。
本発明の錯体塩は、それ自体を、または混合して用いることができる。しかしながら、それらは、これらの用途の当業者に知られている他の導電性塩との混合物として用いることもできる。本発明のLi塩は、適当なホウ酸アンモニウム錯体または他のホウ酸アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属錯体と混合して用いることもできる。
本発明の錯体塩、特に、リチウムビス[2,2’−ビフェニルジオラート]ボレート(1−)を、高い酸化性の陰極材料と組み合わせて用い得ることが実験によりわかった。これらの化合物は、過負荷保護を確保するために他のリチウム化合物と混合して用いることもできる。電解質混合物を調製する場合、リチウムビス[パーフルオロ−1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート(1−)をリチウムビス[2,2’−ビフェニルジオラート]ボレート(1−)または本発明による他のホウ酸リチウム錯体と混合して用いる場合、リチウムアルコラートの添加により安定化させることは、有利である。電子供与特性を有する置換基、すなわち、芳香環に+I効果を有する置換基を有する錯体を添加すると、リチウムビス[パーフルオロ−1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート(1−)と本発明による他の錯体塩との適当な混合物が得られる。+I効果を有する置換基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルのようなアルキル基である。
特に、4:1炭酸プロピレン/ジメチルエチレングリコールからなる溶媒混合物中においてリチウムビス[2,2’−ビフェニルジオラート]ボレート(1−)の0.5モル溶液を用いて行われる電気化学的実験(ステンレススチール上、0.5cm2、v=20mV/秒)は、アニオンの酸化が、非常に弱い電流であるが、4Vを超える電圧でしか開始しないことを示した。しかしながら、第二の放電サイクル後、4V以上で酸化を測定することはもはやできない。第1から第4のサイクルにかけて、保護被膜の抵抗は、リチウムの付着と共に増加し、環化収率は、48m/C、65m/C(74%)で、概ね一定であり、PC/DME中の他の塩に匹敵する。次に逆転電位が4.5Vから5Vおよび6Vに上昇すると、保護被膜の抵抗はさらに上昇し、リチウム付着の収率が低下する。形成された保護被膜の高い陽極酸化安定性という特徴については、特筆される。溶媒は約5V(PC)を超えると不安定でありそれ自体分解し始めるが、8Vの逆転電位においても非酸化性電流を観察することはできない。
リチウムフェネートがリチウムビス[2,2’−ビフェニルジオラート]ボレート(1−)と共に添加されている電解質溶液を用いる実験における第1のサイクルにおいて弱い陽極電流が検出されたが、電解質の変色は起こらず、そのために、そうでなければ起こるであろう酸化をリチウムフェネートの添加により回避することができる。実際、これらの実験は、約3000mVの静止電位から開始し、20mV/秒の速度で45000mVまで電位を上昇させ、次に、それは−500mVまで下げ、最後にそれを静止電位に戻すことにより行った。逆転電位を6000mVまで上昇させた実験において、同じ良好な結果が得られた。ビス[1,2−ベンゼンジオラート]ホウ酸アニオンおよびジメチレングリコール溶媒を含む電解溶液も、4000mVを充分超える電位においてLiフェネートにより、酸化から保護される。
ジリチウム2,2’−ビフェニルジオラートは、Liフェネートと同じ良好な特性を示す。少量を電解質に添加しても、安定化に充分である。
実施例
参考例1
リチウムビス[2,2’−ビフェニルジオラート(2)−O,O’]ボレート(1−)
テトラメタノラートホウ酸リチウム6.6g(47mmol)を、55℃でアセトニトリル80mlに入れる。2,2’−ジヒドロキシビフェニル(純度99%超)をアセトニトリル100ml中に含む溶液17.5g(94mmol)を滴下する。ビフェニル溶液30mlを添加すると、全てのテトラメタノラートホウ酸リチウムが溶解した。さらに20mlを添加すると、大量の無色生成物がすみやかに沈澱する。残りの50mlの溶液を、沈澱物の溶解をすることなく、添加する。形成されるメタノールを、55℃で2時間、軽く排気しながら混合物から除去する。次に、残さを室温まで冷却し、不活性ガス雰囲気下に濾去し、アセトニトリルで洗う。濾去された無色生成物を、180℃にゆっくり加熱することにより乾燥する。
収率:リチウムビス[2,2’−ビフェニルジオラート(2)−O,O’]ボレート(1−)3.2g(理論値の17.7%)
1H NMR(250MHz、DMSO-d6)[δ/ppm]:
7.35(dd、3JH4/H3=7.5Hz、4JH4/H2=1.5Hz、H4)
7.25(td、3JH2/H1=7.5Hz、4JH2/H4=1.5Hz、H2)
6.99(td、3JH3/H1=7.4Hz、4JH3/H1=0.9Hz、H3)
6.91(dd、3JH1/H3=7.5Hz、4JH1/H3=0.9Hz、H4)
11B NMR(128.38MHz、0.3M DMSO-d6、Et2O*BF3抽出):
8.8ppm(s)
電位差滴定
希塩酸を用いて滴定を行う。
理論的および実際のホウ素含量はそれぞれ2.80%および2.791%である。
基質の純度は99.9%。
MS(NI-LISIMS;CH3CN):
379.0(100%、M-Li+
溶解性:
基質はEC/DMEおよび、PCにも約0.5モルまで溶解するが、純PC溶液中では、溶質が短時間のうちに沈澱する。
参考例2
リチウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート(−1)
テトラメタノラートホウ酸リチウム6.19g(43.6mmol)を、35℃でアセトニトリル100mlに入れる。ピロカテコール9.61g(887.3mmol[そのものとして])を添加する。黄色溶液が直ちに形成される。これを、80℃で1時間加熱し、次に減圧下で合計体積が40mlになるまで濃縮する。溶液は褐色に変わる。冷却すると、50℃より低くなると無色矩形小板が溶液から沈澱する。溶液を5℃で12時間維持することにより、生成物の結晶化を完了させる。次に、上澄み溶液を傾瀉し、得られた結晶を140℃で減圧下にて一定重量に達するまで乾燥させて灰色粉末を得る。
収率:リチウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート(−1)537g(23mmol、理論値の52.7%)
分解温度:270℃
1H NMR(250MHz、DMSO-d6)[δ/ppm]:
6.48ppm(s)
13C NMR(62.9MHz、DMSO-d6
151.6ppm(S、CI[そのもの]、C2)
117.3ppm(S、C4、C5)
107.6ppm(S、C3、C6)
実施例1
リチウムフェネート
リチウム2.26g(326mmol)を、操作手袋を備える閉鎖フード内で切断する。テトラヒドロフラン150mlを不活性ガス雰囲気(Ar6.0)下で添加する。次に、フェノールp.a.27.72g(294.6mmol)をテトラヒドロフラン75ml中に含む溶液を、磁気撹拌子を用いて攪拌しながら、40℃で3時間滴下する。無色沈澱が形成される。次に、混合物を室温で14時間攪拌して沈澱を再溶解する。少量の未反応リチウムを閉鎖フード内で濾去する。溶媒を蒸発除去し、残留生成物を、油ポンプ減圧下で一定重量に達するまで乾燥して純度99.9%の生成物を得る。
参考例3
ジリチウム2,2’−ビフェニルジオラート
メタノール100mlをリチウム1.67g(0.241mol)に滴下し、混合物をゆっくり加熱する。無色溶液が50℃で形成される。次に、メタノール100mlおよび2,2’−ジヒドロキシビフェニル22.4g(0.120mol)からなる溶液を攪拌しながら添加する。得られる反応溶液から溶媒を蒸発させ、得られる無色生成物を減圧下にゆっくりと最高温度100℃まで加熱し乾燥させる。
収率:理論値の100%
純度:99.6%(滴定により決定)
参考例4
リチウムビス[テトラフルオロ−1,2−フェニルジオラート(2−)−O,O’]ボレート
a)カリウムペンタフルオロフェネート
ペンタフルオロフェノールの水溶液94.1gを、固体炭酸カリウム48.4gに攪拌しながらゆっくり添加して、相当量のガス(CO2)を発生させる。結晶が分離し、それ自体はさらなる水200mlを添加し温度を95℃にすると溶解する。この溶液を20℃に冷却する。12時間後、形成された結晶を分離し、水40mlで3回洗い、0℃に冷却する。得られた結晶生成物を、温度を150℃までゆっくり上昇させることにより乾燥する。
収率:理論値の93.7%
分解温度:240℃
b)テトラメタノラートホウ酸リチウム
リチウム9.92gを、操作手袋を備える閉鎖フード内でアルゴン雰囲気下にパイレックス製フラスコ内に入れる。リチウムにメタノール250mlを、攪拌しながら氷/メタノール混合物で冷却しつつゆっくり添加する。強い発熱反応が起こる。さらに320mlのメタノールを徐々に添加する。反応混合物を60℃まで加熱し、ホウ酸トリメチル148.6gをゆっくりと、形成される均一溶液に滴下する。白色結晶性生成物が形成される。室温で24時間放置後、生成物を濾去し、減圧下で乾燥する。
収率:理論値の93.7%
分解温度:50℃
c)5,6,7,8−テトラフルオロ−(1,4)−ベンゾジオキサン
カリウムペンタフルオロフェネート40.2gを、予め高純度アルゴンで処理しておいた乾燥DMSO150mlに溶解する。乾燥され、アルゴン処理されたDMSO100mlを175℃まで加熱し、カリウムペンタフルオロフェネート溶液75mlを30分以上かけて滴下する。気体状エチレンオキシド3.1gを同時に導入する。175℃で45分後、溶液は褐色に変色し、KF塩が結晶する。さらなるフェネート溶液(25ml)を20分間以上かけてゆっくり添加し、気体状エチレンオキシド3.1gを導入する。次いで45分間経た後に、残りの50mlのフェネート溶液を滴下し、さらに3.9gの気体状エチレンオキシドを導入する。最後に、さらなるエチレンオキシド(1.9g)を60分間以上かけて導入する。次に、溶液を175℃でさらに2時間攪拌する。無色沈澱が形成する。粗生成物を60〜70℃の温度で減圧(1〜2Torr)下で昇華させる。
収率:理論値の95%
融点:78℃
d)3,4,5,6−テトラフルオロカテコール
還流冷却器を備えるガラスフラスコ内で、粉砕かつ乾燥された塩化アルミニウム41.6gおよび5,6,7,8−テトラフルオロ−(1,4)−ベンゾジオキサン10.7gを、アルゴン雰囲気下に入れることによりエーテルを分解し、それらをトルエン350ml中に溶解する。溶液を80〜110℃で攪拌しながら2時間加熱し、次に、110〜118℃の還流温度で6時間加熱すると、その間、反応溶液が黒色になる。冷却後、反応溶液を氷400g上に注ぐ。水相を抽出のために保持する。トルエンを有機相から留出し、残りの結晶を熱い水で抽出する。氷による処理および水による抽出による両方の水相を、併せ、ジエチルエーテル150mlで3回抽出する。エーテルを留去して緑色油状残さを残す。50℃において、これは無色液体となり、減圧(14〜16Torr)下に60〜80℃で蒸発する。精製テトラフルオロカテコールを、この温度で昇華することにより得る。
収率:理論値の63.5%
融点:68℃
e)リチウムビス[テトラフルオロ−1,2−ベンゼンジオラート(2−)−O,O’]ボレート
テトラメタノラートホウ酸リチウム5.24gおよびテトラフルオロカテコール13.5gをアルゴン雰囲気下にアセトニトリル11g中に溶解する。溶液を50℃に加熱し、アセトニトリル10gを留去してリラ色粘性溶液を残す。5℃で3日後に無色結晶が形成された。収率は、減圧下に95℃で溶液をゆっくり加熱することにより上昇させることができる。これにより固体褐色粗生成物15.6gが残り、それをベンゼン20mlおよびアセトニトリル5mlからなる混合物から再結晶させる。無色結晶を得て、それを濾去し、ベンゼンで洗う。
収率:理論値の30.8%
分解温度:270℃
実施例2
リチウムビス[2,3−ナフタレンジオラート(2−)−O,O’]ボレート(1−)
2,3−ジヒドロキシナフタレン90.0g、ホウ酸17.4g、水酸化リチウム一水和物11.8gおよび水100mlをガラスフラスコに入れる。混合物をアルゴン雰囲気下に55℃で加熱する。アセトニトリル300mlの添加により透明溶液が得られる。5℃に冷却すると、無色結晶としての生成物が得られる。結晶を分離し、減圧下で10℃から170℃にゆっくり加熱することにより乾燥する。アセトン200mlおよび160mlから生成物を2回再結晶化させる。次に生成物を170℃でゆっくり加熱し、この温度に維持する。
収率:理論値の28.6%
分解温度:280℃

Claims (18)

  1. 一般式(I):
    Figure 0004097704
    (式中、RおよびR1同一または異なっているか、
    場合によっては単結合または二重結合により互いが直接結合しており、
    おのおのの場合において、別々に、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニルから選択される芳香族環であり、
    その芳香族環は、置換されていないか、または、AもしくはHalにより一置換ないし四置換されててもよい
    あるいは、
    おのおのの場合において、一緒になって、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニルから選択される芳香族環であり、
    その芳香族環は、置換されていないか、または、AもしくはHalにより一置換ないし四置換されていてもよ
    して、
    Halは、FまたはClであり、
    そして、
    Aは、炭素数1〜6のアルキルであり、一ハロゲン化ないし四ハロゲン化されていてもよい。)
    で示されるリチウム錯体塩。
  2. RおよびR1は同一または異なっているか、場合によっては単結合または二重結合により互いが直接結合しており、それぞれフェニルまたはナフチルである請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩。
  3. RおよびR1は同一または異なっており、場合によっては単結合または二重結合により互いが直接結合しており、それぞれアントラセニルまたはフェナントレニルである請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩。
  4. チウムビス[2,3−ナフタレンジオラート(2−)−O,O’]ボーレート(1−)である請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩。
  5. 請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩の調製方法であって、
    a)テトラアルコラートホウ酸リチウムを非プロトン性溶媒に混合し、
    b)非プロトン性溶媒中に溶解された、等モル量のヒドロキシル化合物または、二つの異なるヒドロキシ化合物の1:1混合物を10〜60℃の温度で攪拌しながら添加し、このとき場合によっては、不活性ガス雰囲気下で行われ、必要なら、次いで反応混合物を60〜90℃の温度で撹拌し、
    c)適当な場合には、反応中に形成されたアルコールを、僅かに高い温度で僅かな減圧を適用することにより、ゆっくり留去し、
    d)その形成された生成物は結晶化され、場合によっては、0〜10℃の温度で減圧下に反応溶液を濃縮後に、結晶化され、また必要な場合には、不活性ガス雰囲気下で分離され、
    e)その分離された生成物をゆっくり加熱することにより乾燥する
    ことを特徴とする調製方法。
  6. a)水溶液中でペンタフルオロフェノールを炭酸カリウムと反応させてカリウムペンタフルオロフェネートを得て、
    b)不活性ガス雰囲気下でDMSO溶媒中でエチレンオキシオでエーテル化して環式ジエーテルである5,6,7,8−テトラフルオロ−(1,4)−ベンゾジオキサンを得る、または
    2−ブロモエタノールでエーテル化し、次にDMF溶媒中で炭酸カリウムの存在下でジエーテルに環化し、
    c)不活性ガス雰囲気下で、溶媒としてのベンゼンを用いて塩化アルミニウムの存在下でエーテルを分解する
    ことにより調製されたテトラフルオロカテコールを錯体形成のためのヒドロキシル化合物として用いる請求項5に記載の方法。
  7. 請求項6のテトラフルオロカテコールと同じ方法により調製したモノ、ジまたはトリカテコールを錯体形成のためのヒドロキシル化合物として用いる請求項5に記載の方法。
  8. 用いられるテトラアルコラートホウ酸リチウムが、テトラメタノラートホウ酸リチウム、テトラエタノラートホウ酸リチウムまたはテトラプロパノラートホウ酸リチウムである請求項5に記載の方法。
  9. アセトニトリル、アセトン、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドから選択される非プロトン性溶媒を用いる請求項5に記載の方法。
  10. 等モル量のヒドロキシル化合物を室温で滴下する請求項5に記載の方法。
  11. 形成されたアルコールを、50〜60℃の温度で僅かな減圧下で留去する請求項5に記載の方法。
  12. 請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩の、電気化学的電池の電解質中の導電性塩としての使用。
  13. 請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩の、電池用の電解質中の導電性塩としての使用。
  14. 請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩の、二次リチウム電池の電解質中の導電性塩としての使用。
  15. 請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩の、二次リチウム電池中の電解質中における、他のリチウム塩および/またはホウ酸塩錯体と組み合わされた使用。
  16. 請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩の、二次リチウム電池中の電解質中における、リチウムフェネートおよびジリチウム2,2’−ビフェニルジオラートからなる群より選択される他の塩と組み合わされた使用。
  17. 請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩の、二重層および超蓄電器における使用。
  18. 請求項1に記載の一般式(I)で示されるリチウム錯体塩の、切り替え可能なウインドウまたはディスプレイの製造における使用。
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