JP4091355B2 - スパークプラグの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパークプラグの製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関に使用されるスパークプラグにおいては、接地電極及び中心電極の位置決め精度が重要である。例えば、火花放電ギャップを挟んで対向する接地電極の中心軸線と、中心電極の中心軸線とが、接地電極の曲げ加工の不具合や、電極に固着された貴金属の位置ずれ等により偏心することがある。このような位置ずれが生ずると、例えば電極の偏った消耗による寿命低下や、発火ミスといったトラブルにつながる。
【0003】
火花放電ギャップの偏心検査やギャップ周辺を形成する各部の寸法検査は従来目視により行われているが、検査精度が個人差によりばらついたり、検査漏れによる不合格品の流出を招きやすい問題がある。そこで、偏心等の検査を自動で行うために、CCDカメラによりスパークプラグの発火部の画像を撮影し、その画像に基づいて偏心量を検出する技術が、例えば特開平8−153566号公報に開示されている。また、貴金属チップを電極に固着したスパークプラグの偏心検査を、モデル画像を用いたパターンマッチングにより行う方法が、特開平11−121143号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スパークプラグの接地電極及び中心電極はいずれも金属製であり、検査対象部の画像撮影を行う際に、撮影角度によっては、一方が他方の背景となったり、あるいは別の金属部材(例えば主体金具)と像が重なり合ったりすることがある。その結果、偏心測定や寸法測定の基準として用いる電極の輪郭線が、背景をなす金属光沢領域に埋没して検出が困難になり、十分な測定精度が確保できなかったり、外乱光の影響により測定ミスを生じたりしやすい問題があった。
【0005】
本発明の課題は、電極などの金属光沢を有する構成部品の輪郭線を、背景をなす部分が同じ金属光沢を有している場合であっても、正確に画像抽出でき、ひいては電極偏心等の検出及び矯正等を正確に行うことができるスパークプラグの製造方法及び装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明のスパークプラグの製造方法は、
中心電極と、基端側が主体金具の端面に接合されるとともに先端側が中心電極と対向するように配置され、中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備えたスパークプラグを製造するために、
互いに切り替え可能な第一の照明及び第二の照明であって、第二の照明よりも接地電極の撮影対象部位の輪郭が明瞭化するようにスパークプラグワークを照らす第一の照明と、該第一の照明にて照射したときよりも、中心電極の撮影対象部位の輪郭が明瞭化するようにスパークプラグワークを照らす第二の照明とを用い、
スパークプラグワークを第一の照明により照射しながら撮影する第一の撮影工程と、
スパークプラグワークを第二の照明により照射しながら撮影する第二の撮影工程と、
第一の撮影工程により得られた第一の画像と、第二の撮影工程により得られた第二の画像とに基づいて、接地電極と中心電極との位置情報を取得する位置情報取得工程と、
を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のスパークプラグの製造装置は、
中心電極と、基端側が主体金具の端面に接合されるとともに先端側が中心電極と対向するように配置され、中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備えたスパークプラグを製造するために、
切換可能な第一の照明及び第二の照明であって、第二の照明よりも接地電極の撮影対象部位の輪郭が明瞭化するようにスパークプラグワークを照らす第一の照明と、該第一の照明にて照射したときよりも、中心電極の撮影対象部位の輪郭が明瞭化するようにスパークプラグワークを照らす第二の照明と、
スパークプラグワークを第一の照明又は第二の照明により照射しながら撮影するカメラと、
第一の照明を用いて撮影された第一の画像と、第二の照明を用いて撮影された第二の画像とに基づいて、接地電極と中心電極との位置情報を解析・取得する解析装置と、
を有することを特徴とする。
【0008】
火花放電ギャップ近傍の接地電極及び中心電極の画像を、単一の照明により照らして画像撮影しようとすると、要求される撮影アングルによっては、双方の電極の輪郭線を同時に明確化できる都合のよい照明方式を見出せないことが多い。この場合、一方の電極の輪郭線を明確化しようとすると、他方の電極の輪郭線が金属背景領域に埋没する等の要因により不明確となってしまう。そこで、本発明の方法及び装置においては、接地電極の輪郭線を明確化するのに好都合な第一の照明と、中心電極の輪郭線を明確化するのに好都合な第二の照明とを用い、照明切り替えにより、接地電極の輪郭線が明確化した第一の画像と、中心電極の輪郭線が明確化した第二の画像とを、別個に撮影・取得するようにした。つまり、各画像では、着目していない側の電極輪郭線に拘泥することなく、着目している電極の輪郭線を明確化するための照明条件を見出せばよいので、どのような撮影アングルが要求される場合でも、接地電極及び中心電極の双方の輪郭線を容易に明確化することができる。その結果、接地電極と中心電極との位置情報を確実に取得でき、接地電極に施す調整量の決定も高精度に行うことができる。すなわち、電極輪郭線を、背景をなす部分が同じ金属光沢を有している場合であっても、電極偏心やギャップ間隔等の検出を正確に行うことができる。
【0009】
上記のように取得した位置情報は、スパークプラグの製造上、以下のように活用できる。
▲1▼上記位置情報に基づいて接地電極に施す調整曲げ加工の量(以下、調整量という)を決定し(加工量決定工程)、その決定された調整量により接地電極に調整曲げ加工を施す(調整曲げ加工工程)。
▲2▼上記位置情報を検査情報としてスパークプラグワークの検査を行い(検査工程)、その検査結果に基づいてスパークプラグワークの選別を行う(選別工程)。
【0010】
2つの画像に表れる接地電極及び中心電極の位置関係を把握するために、画像のスケールと座標系とを最終的に合わせ込む必要がある。この場合、接地電極と中心電極とを、互いに異なる2台のカメラを用いて撮影することもできるが、2台のカメラのアングルを完全に一致させることは一般には困難であり、得られた画像の角度あるいはスケール補正が必要となるので面倒である。そこで、第一の画像と第二の画像とを、位置固定の同一のカメラにより同一の視野にて、第一の照明と第二照明とを切り替えつつ撮影すれば、撮影時のカメラアングルと倍率とを、2つの画像で簡単かつ高精度に一致させることができ、両電極の位置関係の把握を極めて容易に行うことができる。
【0011】
通常のスパークプラグの製造工程においては、接地電極と中心電極とは、偏心量や火花放電ギャップ間隔など、電極毎に定められる基準位置間の隔たりが調整対象パラメータとして設定され、これを公差の範囲内に収めることが、調整加工工程の目的となる。従って、本発明においても、2つの電極の位置情報は、第一の画像において接地電極側に定められる接地電極側基準位置と、第二の画像において中心電極側に定められる中心電極側基準位置との、特定方向における隔たりを表すものとすることができる。この場合、該隔たりの基準値からの逸脱を縮小するように前記調整曲げ加工を行うことができる。また、該隔たりの基準値からの逸脱の有無に基づいて前記検査を行うことができる。
【0012】
この場合、第一の画像と第二の画像とを、画像視野内の座標原点が共通となるように設定することができる。前記したように、同一のカメラによりアングル及び倍率を変えずに、照明のみ切り替えて2つの画像の撮影を行えば、両画像の座標原点を一致させることは極めて容易である。この場合、第一の画像における接地電極側基準位置の絶対座標と、第二の画像における中心電極側基準位置の絶対座標とに基づいて、両基準位置間の隔たりを容易に算出・決定することができる。
【0013】
また、上記のような絶対座標を用いる方法のほかに、第一の画像と第二の画像との画像視野内に、共通のマーカ画像が現れるように撮影を行い、第一の画像における接地電極側基準位置及び第二の画像における中心電極側基準位置の隔たりを、マーカ画像に対する相対的な位置関係に基づいて算出することも可能である。この方法によると、2つの画像の絶対座標を合わせ込む処理が不要となり、マーカ画像との相対関係を各画像にて把握するだけで、接地電極側基準位置と中心電極側基準位置との隔たりを容易に算出することができる。また、接地電極及び中心電極のマーカ画像に対する相対的な位置関係さえ保持されれば、仮にカメラ視野の機械的要因(例えば振動など)によるドリフトや、画像処理上の要因による原点ずれなどが発生した場合においても、その影響を容易に排除することができる。
【0014】
本発明の効果が特に顕著に発揮されるのは、以下のような場合である。まず、スパークプラグワークとして、接地電極の先端側が中心電極側に曲げ返されるとともに、該接地電極の先端部側周面が中心電極の先端面に対向して火花放電ギャップが形成されたものを採用する(いわゆる、平行電極型スパークプラグが製造対象となる場合である)。このようなスパークプラグワークの、接地電極と中心電極との偏心量を測定したい場合は、カメラから見て中心電極が前方側、接地電極の基端部が後方側となるように、当該中心電極と接地電極基端部とが互いに重なって見える方向を正面方向として、該スパークプラグの火花放電ギャップ及びその周辺部分を正面方向から撮影する必要がある。このようなカメラアングルでは、中心電極の火花放電ギャップに臨む部位の画像は、接地電極の画像の前方に重なって現れるので、中心電極画像の背景部分が金属製の接地電極の画像となり、通常の方法では中心電極の輪郭線が金属光沢の背景中に埋没して、その正確な画像抽出が困難となる。そこで、本発明を適用すれば、接地電極及び中心電極が上記のような位置関係にある場合でも、両電極の輪郭線を確実に抽出・把握でき、偏心量を正確に測定することができる。
【0015】
このようなケースに本発明を適用するには、第一の画像及び第二の画像を、いずれも上記正面方向からスパークプラグワークを撮影したものとして取得する。そして、接地電極側基準位置は、火花放電ギャップに臨む接地電極外形線の幅方向中心位置(接地電極中心位置)に設定し、中心電極側基準位置は中心電極の先端面中心位置(中心電極中心位置)に設定する。前記の隔たりは、接地電極中心位置と中心電極中心位置との偏心量δを表すものとされる。前記調整曲げ加工は、接地電極に対し該偏心量δが縮小されるように行うことができる。また、前記検査は、該偏心量δが基準値(あるいは基準範囲)から逸脱していないかどうかに基づいて行うことができる。
【0016】
また、照明の形態としては、以下のようなものを採用することができる。まず、第一の照明は、接地電極の先端面を正面方向から照らすものとすることができる。上記正面方向からのカメラアングルでは、正面方向から光を当てると、平坦な接地電極の先端面により光がカメラ側に一様に反射されて、他のスパークプラグ部分よりも明るく浮き立って撮影される。つまり、第一の画像上にて接地電極の先端面の輪郭線を明瞭に表すことができる。接地電極の先端面画像には、電極幅方向の輪郭線が現れるので、これを用いて偏心量δの測定基準として用いる接地電極中心位置を容易に決定することができる。
【0017】
他方、第二の照明は、接地電極の、中心電極の背後にある側面部位を照射することにより、第二の画像において中心電極先端部をシルエット化させるものを用いることができる。上記第一の照明による正面方向からの光は、中心電極とともに、その背景をなす接地電極の側面部位も照らすので、中心電極の輪郭線を明瞭化する効果は有していない。そこで、その第一の照明とは別に用意された第二の照明により、中心電極の背後にある側面部位を照射すれば、その反射光は、前にある中心電極先端部に遮られる。その結果、第二の画像上において、中心電極先端部の輪郭線をシルエットの形で明瞭化することができる。また、中心電極先端面の輪郭線を用いれば、偏心量δの測定基準として用いる中心電極中心位置を容易に決定することができる。
【0018】
次に、スパークプラグワークは、スパークプラグの生産のために、測定用のホルダに対して次々と着脱が繰り返される。ホルダへのスパークプラグワークの装着姿勢は常に一定であることが望ましいが、スパークプラグへの中心電極の組み付け精度や、主体金具へのバリや異物の付着によって、必ずしも一定の姿勢とはならず、軸線が傾いて装着される場合がある。他方、カメラ位置は固定であるから、スパークプラグワークの軸線が傾いていると、画像上においても該軸線は当然に傾いて現れる。しかし、こうしたことを考慮せずに軸線の方向を一定と考え、画像視野上にて軸線の向きを固定的に定めると、軸線が傾いて装着されたワークの場合は、視野上の設定軸線方向と実際の軸線方向とが一致しなくなる。その結果、例えば、接地電極及び中心電極の中心位置を通って軸線と平行な直線間の距離として偏心量δを算出する場合、その算出結果にも誤差が生ずることとなる。そこで、第一の画像及び第二の画像の視野内におけるスパークプラグワークの軸線の傾きに応じて、接地電極中心位置と中心電極中心位置との偏心量δの規定方向を定めるようにすれば、ホルダにワークが傾いて装着された場合も、偏心量δを正確に算出することができるようになる。
【0019】
軸線の位置及び方向は、第一の画像又は第二の画像を用いて決定することもできるが、これらの画像は、接地電極あるいは中心電極のそれぞれの輪郭線を正確に決定するために用いられるものであり、倍率が大きすぎて、必ずしもスパークプラグワーク全体の軸線決定には適さないこともありえる。そこで、第一の画像及び第二の画像のいずれよりも視野が大きいスパークプラグワークの第三の画像を撮影し、該第三の画像を用いてスパークプラグワークの軸線を決定すれば、軸線の決定精度が上がり、偏心量δの算出精度はさらに向上する。軸線の向きは、例えば、第一〜第三の各画像視野内に共通に定められた基準方向(例えば鉛直方向)からの傾き角度により算出・決定することができる。
【0020】
第一及び第二の画像と、これらよりも低倍率の第三の画像とを撮影する場合、ズームレンズを用いた光学系を用い、第一及び第二の画像の撮影時と、第三の画像の撮影時とで光学系の焦点距離(つまり、倍率)を変化させて、1台のカメラによる撮影を行うこともできる。しかし、この方法の場合、撮影を繰り返して行う際に、視野や倍率の調整が面倒であり、その再現性にも問題がある。そこで、各々倍率を固定した2台のカメラを用い、第一の倍率による第一のカメラで第一及び第二の画像を撮影し、他方、それよりも低倍率の第二のカメラにより第三の画像を撮影すれば、視野や倍率をその都度設定・調整しなおす面倒からは解放される。しかし、撮影アングルが第一及び第二のカメラで相違していると、スパークプラグワークの軸線の、第一のカメラにおける向きと、第二のカメラにおける向きとが、カメラアングルの影響を受けてずれてしまう可能性がある。
【0021】
この問題を解決するためには、次のようにすればよい。すなわち、スパークプラグワークに対する共通の対物光学系を設け、該対物光学系に導かれた画像ビームをビームスプリッタにより2つの画像ビームに分離する。そして、その第一の画像ビームを、第一の倍率にて像拡大する第一の結像光学系を介して第一のカメラに導くことにより第一の画像及び第二の画像を撮影する。他方、第二の画像ビームを、第一の倍率よりも小さい第二の倍率にて像拡大する第二の結像光学系を介して第二のカメラに導くことにより第三の画像を撮影する。このようにすると、対物光学系が第一のカメラと第二のカメラとの間で共通化されるので、カメラアングルが2つのカメラの間で同一となり、スパークプラグワークの軸線の決定精度を向上させることができる。
【0022】
なお、第一のカメラと第二のカメラとは、それぞれ第一の結像光学系及び第二の結像光学系に対し、光軸周りのカメラの回転に自由度を生ずるから、軸線もこの回転によって、視野上にて傾きを生ずる可能性がある。そこで、光軸周りの各カメラ角度位置を調整して、2つのカメラの視野上での基準方向を合わせ込んでおくことが必要である。具体的には、スパークプラグワークに対する第一のカメラの撮影視野と、第二のカメラの撮影視野とは、位置固定の基準被写体を予め撮影し、当該基準被写体上に定められた被写体側基準方向を、各視野上に定められた基準方向に一致させることにより、視野間の方向合わせを行うようにする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明のスパークプラグの製造方法を実施するための製造装置の、撮影系の一例を示す模式図である。スパークプラグワーク(以下、単にワークともいう)50は、中心電極53と、基端側が主体金具51の端面51aに接合されるとともに先端側が中心電極53と対向するように配置され、中心電極53との間に火花放電ギャップgを形成する接地電極54とを備えたものである。具体的には、ワーク50は、接地電極54の先端側が中心電極53側に曲げ返されるとともに、該接地電極54の先端部側周面が中心電極53の先端面に対向して火花放電ギャップgが形成されたものである。本実施形態においては、中心電極53の先端部が、Ni合金からなる電極本体の先端に溶接された貴金属チップ53a(以下、先端部53aと呼ぶこともある)とされている。
【0024】
撮影系22は、切換可能な第一の照明19及び第二の照明24を有する。第一の照明19は、第二の照明24よりも接地電極54の撮影対象部位(後述する先端面54a)の輪郭が明瞭化するようにワーク50を照らすものである。また、第二の照明24は、第一の照明19にて照射したときよりも、中心電極53の撮影対象部位(後述の先端部53aである)の輪郭が明瞭化するようにワーク50を照らすものである。ワーク50は、上記第一の照明19により照射されながら第一のカメラ3により第一の撮影がなされ、第一の画像が取得される。また、第二の照明24により照射されながら第一のカメラ3により第二の撮影がなされ、第二の画像が取得される。なお、第一の撮影と第二の撮影とは、順序が逆転してもかまわない。また、第二のカメラ4は、後述する通り、ワーク50の軸線決定のための第三の画像を撮影するためのものである。
【0025】
第一の撮影工程により得られた第一の画像と、第二の撮影工程により得られた第二の画像とに基づいて、接地電極と中心電極との位置情報が解析・取得される。この位置情報の解析・取得は、解析装置あるいは制御装置として機能する図2のコンピュータ10が行う。
【0026】
図1に戻り、本実施形態においては、ワーク50の接地電極54と中心電極53との偏心量が測定される。カメラ3から見て中心電極53が前方側、接地電極54の基端部が後方側となるように、当該中心電極53と接地電極54の基端部とが互いに重なって見える方向を正面方向として、カメラ3は、ワーク50の火花放電ギャップg及びその周辺部分を、上記正面方向から撮影する。図3に示すように、該アングルでは、中心電極53の火花放電ギャップgに臨む部位の画像が、接地電極54の画像の前方に重なって現れる。
【0027】
図1に戻り、第一の照明19は、接地電極54の先端面54aを正面方向から照らすものである。本実施形態において第一の照明19は、面発光型LEDあるいは多数のLEDを平面的に配列したLED照明とされ、画像ビームBの通る位置に貫通部(あるいは透光部)19aが設けられている。図16は、該第一の照明19による第一の画像の撮影例を模式的に示すものであり、接地電極54の平坦な先端面54aにより光がカメラ3側に一様に反射され、他のスパークプラグ部分よりも明るく浮き立って撮影される。つまり、接地電極54の先端面54aの輪郭線を明瞭に識別することができる。
【0028】
次に、第二の照明24は、図5に示すように、接地電極54の、中心電極53の背後にある側面部位54bを照射するものであり、本実施形態においては、接地電極54と中心電極53との隙間に、斜め前方側から光を照射する光ファイバー照明が用いられている。図19は、該第二の照明24による第二の画像の撮影例を模式的に示すものであり、中心電極53の先端部53aがシルエットとなり、その輪郭線が明るい背景とのコントラストにより明瞭化している。
【0029】
図1に戻り、カメラ4は、ワーク50の軸線Oを決定するために、上記第一の画像及び第二の画像のいずれよりも視野が大きい第三の画像を撮影するためのものである。図3に示すように、第一のカメラ3は、火花放電ギャップgの近傍が拡大されるように撮影視野VA2が定められている。また、第二のカメラ4は、端面51aを含む主体金具51の画像が取得できるように撮影視野VA1が定められている。
【0030】
図1に示すように、第一のカメラ3と第二のカメラ4とは、レンズユニット2に取り付けられている。該レンズユニット2内には、ワーク50に対する共通の対物光学系15が設けられ、その対物光学系15に導かれた画像ビームBが、ビームスプリッタ16(ハーフプリズム(ハーフミラーでもよい)により構成されている)により2つの画像ビームB1,B2に分離される。第一の画像ビームB1は、ミラー16aにて方向転換された後、第一の結像光学系17にて第一の倍率にて拡大され、第一のカメラ3により撮影される(第一の画像又は第二の画像)。他方、第二の画像ビームB2は、第二の結像光学系18により第一の倍率よりも小さい第二の倍率にて像拡大された後、第二のカメラ4にて撮影される(第三の画像)。対物光学系15が第一のカメラ3と第二のカメラ4との間で共用化されるため、両カメラ3,4は、倍率が異なるのみで、ワーク50への撮影アングルは同一となる。
【0031】
また、カメラ3,4による撮影方向においてワーク50の背後には、背景ユニット20が配置されている。図4に示すように、該背景ユニット20は、接地電極54の背景を形成する暗色部20bと、中心電極53及びその背後の接地電極部分の背景を形成するとともに、前記暗色部20bよりも外観明度の高い明色部20aとを有する。暗色部20bは、つや消しの黒色板等として構成され、正面からの第一の照明19(図1)により接地電極54の撮影を行う際に、その背景部分の明度を小さくして、明るく撮影される接地電極54とのコントラストを強め、先端面54aの輪郭線をより明瞭化させる役割を果たす。また、明色部20aは、つや消しの白色板等により構成され、第二の照明24(図5)によりシルエット化される中心電極53の先端部53aの背景明度を大きくして、暗く撮影される中心電極53とのコントラストを強め、その輪郭線をより明瞭化させる役割を果たす。なお、本実施形態では、暗色部20bと明色部20aとの境界は、接地電極54の先端面54aの、火花放電ギャップgに面する外形線に対して位置合わせされている。
【0032】
図2は、本発明のスパークプラグの製造装置の全体構成の一例を示すブロック図である。該製造装置1は、前記した解析装置と装置全体の制御部として機能するコンピュータ10を有する。コンピュータ10は、CPU102、該CPU102のワークエリアを与え、かつ、制御処理及び解析処理にて使用する種々のデータのメモリ198〜227として機能するRAM104、コンピュータの基本システムプログラムを格納したROM103、及び入出力インターフェース101などを有する。製造装置1の制御機能を実現する制御ソフトウェア230は、ハードディスクドライブ等で構成された記憶装置105にインストールされている。また、該記憶装置105には、画像上における接地電極あるいは中心電極の輪郭線抽出・確定処理などの画像処理を行う画像処理ソフトウェア231、その抽出された輪郭線のデータに基づき、接地電極と中心電極との偏心量を解析する偏心解析ソフトウェア232もインストールされている。また、後述する調整量μと変位量λとの実績値データ233が記憶されている。さらに、入出力インターフェース101には、キーボードやマウスなどで構成された入力部106(種々の設定入力に使用される)と、モニタ107とが接続されている。
【0033】
また、コンピュータ10の入出力インターフェース101には、前記した第一のカメラ3及び第二のカメラ4(いずれもデジタルカメラにて構成されている)、第一の照明19及び第二の照明24(点灯制御ユニットの図示は省略している)が接続されている。また、ホルダに対するワークの着脱を行うワークロード/アンロード機構14、固定金具駆動機構13、チャック駆動機構12、加工装置5及び加工検知部11も入出力インターフェース101に接続されている。
【0034】
図6に示すように、ホルダ31は、ワーク50を火花放電ギャップg側が上となるように挿通するためのワーク装着孔31aを有し、その開口周縁部にて、主体金具51の六角部57を支持する。ワーク50の主体金具51には、取付ねじ部56の基端側にフランジ状の突出部55が設けられている。固定金具30,30は、合わせ面30s,30sにおいて型合わせされる2部材からなり、固定金具駆動機構13により軸線Oに向けて水平に接近・離間し、かつ型合わせ状態にて、突出部55の上面に向け軸線O方向に接近・離間するように駆動される。なお、合わせ面30s,30sには、取付ねじ部56との干渉を避けるための半円状の切欠30aが形成されている。また、金具30,30の下面には、切欠30a,30aに沿うガイド30b,30bが突出形成されている。固定金具30,30は、接地電極54に曲げ加工を施す際の、ワーク固定用に用いられるものであり、切欠30aの下面周縁にて突出部55の上面に当接し、ホルダ31に向けてこれを軸線O方向に押し付けることにより、ワーク50をホルダ31の上面に密着させる。また、ガイド30b,30bの内周面にて突出部55の外周面と当接し、軸線Oに関する半径方向へのワーク50の移動やがたつきを規制する。
【0035】
次に、図7に示すように、加工装置5は、接地電極54に調整用の曲げ加工を施すためのものであり、加工工具32を有する。加工工具32は、下面側に接地電極54を受け入れる加工溝32gが形成され、その加工溝32gの幅方向の両内側面が、それぞれ接地電極54の幅方向における第一方向及び第二方向への曲げ作用面32a1,32a2とされている。加工工具32は、例えばこれと一体に設けられた雌ねじ部33に螺合するねじ軸34を、加工駆動モータ8により正逆いずれかの向きに駆動され、曲げ作用面32a1,32a2にて接地電極54と当接することにより、これに曲げ加工力を加える。
【0036】
加工駆動モータ8の回転角度位置は、パルスジェネレータ(PG)6により検出される。図2に示すように、加工駆動モータ8のサーボ駆動ユニット9がコンピュータ10の入出力インターフェース101に接続されており、PG6からの角度位置は、サーボ駆動ユニット9とともに、入出力インターフェース101を介してコンピュータ10にも入力される。
【0037】
また、図2において加工検知部11は、加工工具32と接地電極54との接触を検知するものである。例えば、図7に示すように、金属製のホルダ31と加工工具32との間に検知電源電圧Vccを印加しておき、加工検知部11は、接地電極54及び主体金具51を介した加工工具32とホルダ31との間の短絡電流を検出するものとして構成することができる。
【0038】
図2に戻り、コンピュータ10からサーボ駆動ユニット9には、接地電極54への曲げ調整方向に応じた正方向又は逆方向への駆動指令が出される。そして、加工駆動モータ8の回転が開始すると、PG6からのパルスがコンピュータ10に入力される。接地電極54は最初は加工工具32と非当接状態にあり、加工検知部11は接触非検知の信号をコンピュータ10に入力している。そして、所定量加工駆動モータ8が回転すると、接地電極54と加工工具32とが接触状態となり、加工検知部11による接触検知信号がコンピュータ10に入力される。接地電極54へは、加工工具32と接触後に、後述の偏心量測定結果から算出された調整量μに相当する加工変位を付与する必要がある。そこでコンピュータ10は、上記接触検知信号を受信したタイミングにて、調整量μに対応する角度量だけ加工駆動モータ8を回転駆動する指令をサーボ駆動ユニット9に与える。そして、該角度量の回転が完了すれば、加工駆動モータ8を逆転駆動して工具32による加工付勢状態を解除し、曲げ加工を終了する。なお、コンピュータ10からサーボ駆動ユニット9へ加工終了を指令する制御形態としては種々の形態がありえる。例えば、加工終了角度位置(あるいはパルス数)をサーボ駆動ユニット9に指令しておき、サーボ駆動ユニット9が、PG6からのパルスカウントと加工終了の角度位置の認識とを自発的に行うように構成することができる。他方、PG6からのパルスカウントをコンピュータ10側にて行い、加工終了の角度位置が到来した時点で、コンピュータ10からサーボ駆動ユニット9に対し、加工駆動モータ8の停止及び逆転指令を出すように構成することもできる。
【0039】
以下、上記装置を用いた本発明のスパークプラグの製造方法の実施形態について、詳細に説明する。まず、図1の第一のカメラ3と第二のカメラ4との光軸周りのカメラ角度位置を調整して、2つのカメラの視野上での基準方向を合わせ込む操作を行う。ワークの代わりに、図8に示すような棒状の治具27(基準被写体)を、ホルダ31を固定する図示しないベースに垂直に取り付け、各カメラ3,4の焦点を該治具27に合わせる。そして、カメラ3,4のファインダ(撮影視野VA2,VA1)に形成された基準線Bが、治具27の垂直な外形線(被写体側基準方向A0(図11)を表す)Aと平行になるように、各カメラ3,4を光軸周りに回転させて調整を行う。なお、第一のカメラと第二のカメラについて、カメラ視野上での基準方向を合わせ込んでおくことは、必ずしも不可欠な要件ではない。例えば解析装置側にて認識されている基準座標系において、各カメラの光軸(撮影方向)の3次元的な位置関係を把握することができれば、少なくとも一方のカメラの画像に対し、基準方向を合わせ込むための座標変換を行なうことにより、撮影後において、両画像データの基準方向を合わせ込むことが可能である。
【0040】
次に、図6に示すホルダ31をベースに装着し、周知のロボットアーム機構等で構成されたワークロード/アンロード機構14(図2)を用いて、ワーク50をホルダ31に装着する。以下の処理の流れを図10に示している。また、図11及び図12は、主要工程を抜き出して示す工程説明図である。図10のS1及びS2において、ホルダ31に装着されたワーク50は、図1に示すように、接地電極54の先端面54aがカメラ3,4の方向、すなわち正面方向を向くように整列させられる。具体的には、図12の(S1)及び(S2)に示すように、1対のチャック35,35をワーク50の上方から接地電極54に向けて下降させ、該接地電極54を幅方向両側からチャック把持する。このチャック35,35の把持面が前記正面方向に一致するように定めてあり、ワーク50は、接地電極54のチャック把持に伴い回転して正面方向に整列する。
【0041】
図10に戻り、ワーク50の整列が終了したら、S3において図1の第一の照明19を点灯させる。S4において、コンピュータ10(図2)により、第二のカメラ4により第三の画像の取り込みを行う。そして、S5(図11及び図12も参照)において、その第三の画像を用いてワーク50の軸線Oの基準方向A0からの傾き角度θ1を測定する。S6では、第一のカメラ3に切り替え、第一の照明19の点灯を継続したまま、第一の画像の取り込みを行う。S7(図11及び図12も参照)においては、その第一の画像に基づいて、接地電極54の先端面54aの幅方向中心位置、すなわち接地電極中心位置E1を求める。
【0042】
次に、S8に進み、照明を第二の照明24(図1)に切り替える。S9では、第一のカメラ3により第二の画像の取り込みを行う。S10(図11及び図12も参照)において、その第二の画像に基づいて、中心電極53の先端面の中心位置、すなわち中心電極中心位置E2を求める。そして、S11において、接地電極中心位置E1、中心電極中心位置E2及び軸線の傾き角度θ1とを用いて両電極の偏心量δを算出する。
【0043】
接地電極中心位置E1及び中心電極中心位置E2は、異なる2つの画像、つまり、第一の画像及び第二の画像により決定されるものであるが、同じ第一のカメラ3により撮影されるものであり、視野は完全に共通している(第二の視野VA2)。従って、接地電極中心位置E1及び中心電極中心位置E2は、第二の視野VA2上に定められた共通のX−Y座標系上での絶対座標にて、相互の位置関係を把握でき、偏心量δの算出も問題なく行うことができる。しかし、第一の画像及び第二の画像に、共通の被写体からなるマーカ画像を組み入れておき、そのマーカ画像上の基準位置に対する相対座標表示より、接地電極中心位置E1及び中心電極中心位置E2の相互の位置関係把握を行うことができる。
【0044】
以下、各処理の詳細について説明する。画像取り込みと画像解析は、コンピュータ10が画像処理ソフトウェア231の実行により行い、偏心量δ及び調整量μの算出は、同じく偏心解析ソフトウェア232により行われる。なお、各視野において、ワーク50の軸線に対する基準方向A0の向き(つまり、鉛直方向)をY軸方向と定め、これと直交する方向(つまり、水平方向)をX軸方向と定める。また、画像はいずれも画素に濃淡階調が設定されたグレースケール画像である。
【0045】
図13及び図15は、S3〜S5の処理の詳細を示すものである。図13の工程1に示すように、第二のカメラ4により、倍率の小さい視野VA1による画像が第三の画像としてメモリ200に取り込まれる。これを用いて、まず、視野内にワーク50が存在するかどうかのチェックを行う。このチェックは種々の方法により実行できるが、本実施形態では以下のような方法を採用している。すなわち、第三の画像上において、主体金具51を横切るように、Y軸方向幅が一定の帯状のワーク有無判定領域60をX方向に設定する(図14(a))。そして、Y軸方向に画素濃度を平均しながら(平均値をgiとする)、ワーク有無判定領域60のX方向濃度分布を求める(図14(b))。なお、本明細書では、画素の輝度が低いほど(つまり、黒に近づくほど)、画素濃度は低くなるものとして取り扱う。
【0046】
ワーク50が存在すれば、第一の照明19を用いた場合、主体金具51の背景は、背景ユニット20の明色部20a(図4)により明るくなる。従って、ワークサンプリング位置(Xm:例えば、視野VA1のX方向中央位置)での画素濃度は、視野VA1のX方向両端近傍に定められた背景サンプリング位置(X101,X102)での画素濃度よりも低くなる。そこで、背景サンプリング位置での画素濃度(例えば、X101とX102との平均にて求める)と、ワークサンプリング位置Xmでの画素濃度とを平均して得られる閾値thがある上限値を超えている場合はワークなしと判定し、以降の工程を行わないようにする。また、第一の照明19と第二の照明24との切り替え忘れなど、何らかの事情により第一の照明19が正常に動作していない場合は、視野全体が暗くなり、閾値thは正常な場合よりも低くなる。そこで、閾値thがある下限値未満になっている場合もワークなしと同様の取り扱いとし、以降の工程を行わないようにする。
【0047】
一方、ワークありと判定された場合は、工程2に進み、主体金具51の端面サーチ処理を行う。まず、上記のX方向濃度分布において、ワーク左右端位置X103,X104を、X方向濃度分布において濃度変化率が最大となる位置として決定する。すなわち、図14(c)に示すように、濃度giの列方向隣接値同士の差分演算を行い、その差分が最大となる位置をワーク端位置とする。次に、このワーク左右端位置X103,X104からX方向に一定画素数だけ主体金具51側に入り込んだ位置に、Y方向の金具端面サーチ線61,62を設定する。これら金具端面サーチ線61,62のY方向濃度分布を、ワーク有無判定領域60のX方向濃度分布と同様にして求め、図14と同様の方法により、各金具端面サーチ線61,62の金具端面位置を決定する(サーチ線を用いた端点あるいはエッジ点の決定は、本明細書では基本的に上記と同様の手法にて行うので、以下においては説明を繰り返さない)。そして、図15に示すように、これら2つの金具端面位置を結ぶ直線L1を、金具端面位置Y1として決定し、メモリ201に記憶する。
【0048】
そして、工程3に進み、この直線L1と直交する直線L0と、前記した基準方向A0とのなす角度をワーク傾き角度θ1として算出し、メモリ205に記憶する。なお、上記実施の形態の場合、金具端面サーチ線を2本設定する場合について説明しているが、金具端面サーチ線は、3本以上設定することが可能である。この場合、それぞれの金具端面サーチ線に対応する3点以上の金具端面位置に対して、最小二乗回帰を行い、得られた直線を金具端面位置Y1を表す直線L1として求めることができる。
【0049】
図16〜図18は、接地電極中心位置E1の決定処理の詳細を示すものである。図16及び図17は、接地電極54側に貴金属チップが接合されていないか、又は、接合されていても、接地電極54の先端面54aに貴金属チップが露出していないタイプのワークについての実施形態である。まず、工程4において、第一の画像の視野VA2のほぼ中央において、適当な幅を有するY方向の帯状の接地電極上下端サーチ領域66を設定し、幅方向の濃度平均を取る前述の方法を用いて、該接地電極上下端サーチ領域66のY方向濃度分布から接地電極上下端位置Y2,Y3を決定し、メモリ207に記憶する。工程5では、上記上下端位置Y2,Y3間の距離に幅が一致するX方向の接地電極左右端サーチ領域67を設定し、そのX方向濃度分布から接地電極の左右端位置X3,X4を見出して、メモリ208に格納する。
【0050】
次に、図17の工程6に進み、得られる左右端位置X3、X4により挟まれるとともに、接地電極左右端サーチ領域67の上下1/3の領域を除いた中央1/3の領域を用いて重心Kを求め、メモリ210に記憶する。また、工程7に進み、このKを通って、既に求めてある軸線傾き角度θ1だけ傾いた直線を中心線L2として決定し、メモリ211に記憶する。そして、この中心線L2上において、既に求めてある接地電極54の下端位置(Ymとする)に対応するX座標を求めてXmとし、(Xm,Ym)を接地電極中心位置E1としてメモリ213に記憶する。
【0051】
次に、図18は、接地電極54の火花放電ギャップに面する位置に貴金属チップ58が接合され、かつ、先端面54aに該貴金属チップ58が露出しているタイプのワークについての実施形態である。図18の工程7では、貴金属チップ58の正確な位置を、いわゆるパターンマッチングの手法により決定する。具体的には、標準的なワークの貴金属チップ58及びその周辺部分を同一撮影することにより、グレースケールによるモデル画像58’を予め作成し、メモリ215に登録しておく。このモデル画像58’を、第一の画像の視野VA2上で平行移動しながら、該第一の画像との適合位置が検索される。すなわち、モデル画像58’と、これと重なり合う第一の画像上の領域との間で、対応する画素間の濃度差(あるいはその絶対値)を演算し、その総計(あるいは平均値)を算出する。そして、各位置毎に算出した上記総計の値が最小となる撮影画像部分を適合部分として選定する。なお、上記のパターンマッチングは、パターンマッチング用メモリ216を用いて行う。本実施形態では、第一の画像上の適合位置に位置決めされたモデル画像58’の中心位置E1’を、そのまま接地電極中心位置E1として用いる。
【0052】
図19は、中心電極中心位置の決定処理を示すものである。この実施形態では、工程8において、中心電極53の先端部(貴金属チップ)53aの存在が見込まれる領域に、Y方向に一定幅を有する判定領域71をX方向に設定し、X方向の各画素位置において、それぞれY方向濃度分布を求め、図14(c)の方法により求めた端点の平均を上端点位置Y4として設定し、メモリ218に記憶する。
【0053】
次に、図19の工程9に進み、上記仮上端位置Y4からY方向に所定距離(例えば0.1mm程度)だけ下がった位置に、X方向の中心電極左右端サーチ線73を設定する。このサーチ線73に沿ってX方向の画素濃度分布を求め、図14(c)に示すのと同様の手法により中心電極左右端X7,X8を決定して、メモリ220に記憶する。
【0054】
そして、工程10に進み、中心電極左右端のX座標平均値をX座標Xmとし、上端点位置Y4をY座標Ymとして、中心電極中心位置E2を(Xm,Ym)として決定し、メモリ221に記憶する。
【0055】
図20に示すように、既に算出されている接地電極中心位置E1を通り、角度θ1だけ傾斜した接地電極中心線L2を基準として、中心電極中心点E2のX座標がL2よりも右側にあるか左側にあるかを判定し、偏心量δの符号を決定する。この符号は、接地電極54の曲げ加工の向きを規定するものである。そして、接地電極中心線L2と中心電極中心位置E2との距離を偏心量δとして算出し、メモリ222に記憶する。
【0056】
以下、調整曲げ加工工程について説明する。
この調整曲げ加工は、前述の通り、図7の加工装置5を用いて行われる。接地電極54に対し、上記偏心量δが解消される向きに調整量μの加工を行う。しかし、この調整量μを偏心量δと等しく定めたのでは、加工工具32による付勢を解除すると接地電極54がスプリングバックを起こし、偏心量δを解消することができない。そこで、このスプリングバックを見込んで偏心量δよりも大きな調整量μを与える必要が生ずる。換言すれば、調整量μからスプリングバック量SBを減じた値が、調整曲げ加工の結果として接地電極54に残留する変位量λとなって表れる。この変位量λが偏心量δと等しくなるように調整量μを設定するとき、偏心量δを解消することができる。以上を式にまとめると、以下のようになる。
μ=λ+SB ‥‥▲2▼
λ=δ ‥‥▲3▼
▲2▼及び▲3▼より、
μ=δ+SB ‥‥▲4▼
【0057】
金属は塑性変形量を大きくなると加工硬化を起こすため、調整量μが大きくなるほど、加工荷重付加時に生じている弾性変形量も高くなる。従って、接地電極54のスプリングバック量SBは、調整量μの値に応じて異なる値となる。これをSB(μ)と表すと、▲4▼式は以下の通りとなる。
μ=δ+SB(μ) ‥‥▲5▼
もし、SB(μ)を合理的に予測することができれば、加工の際に与えるべき調整量μは、その予測されたSB(μ)と、実測により求めた偏心量δとによって見出すことができる。しかし、偏心解消のために接地電極に加える曲げ加工は、単純な一軸引張り変形等では近似できないので、各種調整量μにおけるSB(μ)の値を、材料の応力歪曲線等から予測することが一般には困難である。
【0058】
本実施形態では、こうした事情に鑑み、次のような手法により調整量μの決定を行う。すなわち、複数のスパークプラグワークの接地電極に対し、種々の調整量μにて調整曲げ加工を行い、接地電極に生ずる変位量λを実測することにより、調整量μを変位量λの関数μ=F(λ)(調整量関数)として求めておく。スプリングバック量をはじめから組み込んだ形で、調整量μを変位量λのみの調整量関数μ=F(λ)として実験的に決定しておけば、該調整量関数μ=F(λ)に基づいて、測定された偏心量δに対応する調整量μを見出すことができる。つまり、調整量関数μ=F(λ)のλに、偏心量δを代入するだけで、調整量μを簡単に決定できるのである。
【0059】
スパークプラグの実生産時においては、種々の偏心量δを生じているワークに対し、対応する調整量μにより調整曲げ加工がその都度行われる。そして、その調整曲げ加工後に、図10〜図20を用いて既に説明したのと全く同じ方法により、再び偏心量を測定してその値をδ’とすれば、実際に接地電極に加えられた変位量λは、調整曲げ加工前に測定した偏心量δを用いて、
λ=δ−δ’ ‥‥▲6▼
により求めることができる(ここでは、偏心量を表すパラメータは、正負の符号を含むものとし、その符号によって偏心の向きも同時に表すものとする)。
【0060】
従って、上記のようなλの測定により、調整量μ及び変位量λのデータ(μ,λ)の組は、スパークプラグの生産時に新たに収集されるデータ(μ,λ)により更新することができるようになる。その更新された(μ,λ)のデータ組に基づいて調整量関数μ=F(λ)を更新しつつ用いれば、関数μ=F(λ)によるμの決定精度をより高めることができる。
【0061】
この場合、現在の製造に係るスパークプラグワークへの調整量μを定める調整量関数μ=F(λ)を、当該スパークプラグワークに先立つ全てのデータ組に基づいて求めることができる。ただし、ロットの相違や操業条件の不可抗力的な推移により、μ=F(λ)の傾向が経時的に変化しうると考えられる場合は、直近の所定数個(Nとする)のスパークプラグワークの(μ,λ)を用いて調整量μを決定するほうが望ましい。
【0062】
調整量関数μ=F(λ)は、調整量μ及び変位量λのデータ(μ,λ)の組に最小二乗回帰を行うことにより、λの一次関数として求めることができる。この方法は、製造上採用可能性のある調整量μの範囲内において、λがμにほぼ比例して増加する傾向にあると考えられる場合に、非常に有効な手法である。ただし、曲げ前の接地電極54の加工状態や材料組成により、該傾向は一定の範囲内でばらつくことが見込まれる。従って、最小二乗回帰による近似は、(μ,λ)のデータ点数をある程度増やして(例えば5個以上)行うことが望ましい。
【0063】
スパークプラグの生産実績が進み、集められた(μ,λ)のデータ点数が増加すれば、上記のような最小二乗近似の精度は必然的に高められる。しかし、生産開始直後は、十分な数の(μ,λ)のデータを集めることはできない。従って、スパークプラグの生産に先立って、試験等により、所定数のスパークプラグワークについて予めデータ(μ,λ)の組を収集しておくことが必要である。しかし、試験等により収集できる(μ,λ)のデータ数は限られている。
【0064】
そこで、次のような方法が採用可能である。最小二乗近似を行う上で十分なデータ数nに達するまでは、試験等によりn個のワークのデータ(μ,λ)の組を予め求めておき、そのデータ組を用いて初期近似用関数μ=F’(λ)を求める。例えば、図22に示すように、初期近似用関数μ=F’(λ)は、n個のワークのデータ(μ,λ)の組を用いて一義的に決定される、λのn次関数として求めることができる。そして、スパークプラグの生産開始後、n番目(例えば10番目)までのスパークプラグワークについては、該n次関数を用いて調整量μを求める。このようにすると、データ数の少ない生産初期段階においても、調整量μの決定精度を比較的高く維持することができる。
【0065】
他方、n+1番目以降のスパークプラグワークについては、該スパークプラグワークに先立つ全ての、もしくは直近の所定数個のスパークプラグワークの(μ,λ)のデータ組に対し、最小二乗回帰を行うことにより得られる、λの一次関数として調整量関数μ=F(λ)を求め、当該調整量関数を用いて調整量μを求めるようにする。データ点数が十分に増加すれば、最小二乗回帰によるμの決定精度を向上させることができ、しかも多項式近似よりも演算がはるかに簡単である。
【0066】
例えば試験によりn個の(μ,λ)のデータ組を求める場合、μを少しずつ変えてλの測定を行い、その結果に対して前述の多項式近似を行うことができる。μをλの多項式で表そうとする場合、μが同じでλが異なる(μ,λ)の組が複数含まれていると、多項式近似は数学的に不能となる。従って、n個の(μ,λ)の組は、μの値が全て異なるものでなければならない。しかし、ワークが異なれば、同じμに対してもλがばらつくことがあり、得るべき初期近似用関数μ=F’(λ)としては、そのλのばらつきの平均的な傾向を反映したものであることが望ましい。そこで、試験用のスパークプラグワークを必要数用意し、予め定められた複数の調整量μを、それぞれ複数のスパークプラグワークに与えたときの各変位量λを求め、例えば調整量μ毎のλの平均値を用いて多項式近似を行う方法が有効である。
【0067】
また、複数の調整量μのそれぞれにおいて、複数ワークの変位量λを測定する場合は、μ毎にλの値を平均化せず、図23に示すように、それら(μ,λ)の組に対して最小二乗回帰を行い、初期近似用関数μ=F’(λ)を一次関数として求めることもできる。μの値毎に複数個の変位量λを測定するから、ばらつきの影響が軽減され、データ点数が少ない生産開始直後の段階においても、最小二乗回帰による簡便な方法により、μを比較的高精度に決定することができる。この場合、最小二乗回帰により、変位量λの調整量μへの回帰直線λ=f(μ)を求め、初期近似用関数μ=F’(λ)をλ=f(μ)の逆関数として求めることが、関数決定のための試験において与える調整量を真値と仮定し、変位率を確率変数と考えて近似するため高精度になるので望ましい。
【0068】
いずれにしても、初期近似用関数μ=F’(λ)を用いる方法は、データ点数が少ない生産開始直後において、調整量μの決定をなるべく正確に行うための便法である。従って、データ数が十分に集まった後は、それらデータを用いて最小二乗回帰により調整量関数μ=F(λ)を決定する処理に移行することが望ましい。ただし、μに対するλのばらつきが十分小さい場合は、初期近似用関数μ=F’(λ)を恒常的に使用することも可能である。
【0069】
図21は、上記調整量μの決定に係る、コンピュータ10による制御の流れの一例を示すものである(制御ソフトウェア230の実行によりなされる)。まず、P1においては、生産に先立って、n個の試験用のワークを用いて、初期近似用関数μ=F’(λ)を求める(メモリ225に記憶される)。P2では、ワーク番号kを1とし、P3において、既に説明した方法により偏心量δの計測を行う。P4ではワーク番号kがn個を超えたかどうかを判定し、超えていない場合はP5に進んで、初期近似用関数μ=F’(λ)を用いて調整量μを算出する(メモリ223に記憶される)。
【0070】
そして、P9に進み、算出された調整量μにより接地電極54に対して調整加工を行う。P10では、加工後のワークに対して偏心量の再計測を行い、その値をδ’とする。また、P11では、変位量λをδ−δ’により求め、(μ,λ)の値をメモリ226に記憶する(P12)。P13で、終了の割り込みが入っていなければP14に進み、ワーク番号kをインクリメントして次のワークに交換し、P3以降の処理を繰り返す。
【0071】
そして、P4でワーク番号kがn個を超えた場合は、P6に進み、現在のkに至る直近のt個の(μ,λ)の値を読み出す。そして、P7において、そのt個の(μ,λ)の値に対して最小二乗回帰直線μ=aλ+bを求め、これを調整量関数として設定して、メモリ227に記憶する。P8では、該μ=aλ+bのλに偏心量δを代入し、調整量μを算出する(メモリ223に記憶する)。
【0072】
なお、調整加工の後に行う偏心量を再測定工程は、一種の検査工程として用いることもできる。すなわち、その偏心量の再測定結果を検査結果として、スパークプラグワークの選別を行うことが可能である。そして、再測定された偏心量が規定範囲外となっているものは、不良品として製品ロットから除外する。除外された不良品は、例えば調整曲げ加工を追加して、偏心量δが規定範囲内に収まるようにし、良品化することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの製造装置の撮影系の構成例を示す模式図。
【図2】本発明のスパークプラグの製造装置の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図3】第一のカメラと第二のカメラとの視野の関係を模式的に示す図。
【図4】背景ユニットの説明図。
【図5】第二の照明の説明図。
【図6】ワークを保持するホルダ及び固定金具の説明図。
【図7】加工装置の模式図。
【図8】基準被写体となる治具の例を示す正面図。
【図9】図8の治具の使用方法の説明図。
【図10】図2の装置を用いたスパークプラグの製造方法の概略的な工程の流れを示すフローチャート。
【図11】図10の製造方法の要旨を示す説明図。
【図12】図10の製造方法の主要な工程を抜き出して説明する図。
【図13】ワークの傾き角度の決定処理の詳細を示す工程説明図。
【図14】図13に続く工程説明図。
【図15】図14に続く工程説明図。
【図16】接地電極中心位置の決定処理の詳細を示す工程説明図。
【図17】図16に続く工程説明図。
【図18】接地電極中心位置の決定処理の別例を示す工程説明図。
【図19】中心電極中心位置の決定処理の詳細を示す工程説明図。
【図20】偏心量の決定方法を説明する図。
【図21】調整曲げ加工工程の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図22】初期近似用関数μ=F’(λ)の決定方法の一例を概念的に示す図。
【図23】初期近似用関数μ=F’(λ)の決定方法の別例を概念的に示す図。
【符号の説明】
3 第一のカメラ
4 第二のカメラ。
10 コンピュータ(解析装置)
E1 接地電極中心位置
E2 中心電極中心位置
15 対物光学系
16 ビームスプリッタ
17 第一の結像光学系
18 第二の結像光学系
19 第一の照明
24 第二の照明
VA2 第一のカメラの撮影視野
VA1 第二のカメラの撮影視野
27 治具(基準被写体)
50 スパークプラグワーク
53 中心電極
g 火花放電ギャップ
54 接地電極
Claims (15)
- 中心電極と、基端側が主体金具の端面に接合されるとともに先端側が前記中心電極と対向するように配置され、前記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備えたスパークプラグを製造するために、
互いに切り替え可能な第一の照明及び第二の照明であって、第二の照明よりも接地電極の撮影対象部位の輪郭が明瞭化するようにスパークプラグワークを照らす第一の照明と、該第一の照明にて照射したときよりも、前記中心電極の撮影対象部位の輪郭が明瞭化するように前記スパークプラグワークを照らす前記第二の照明とを用い、
スパークプラグワークを前記第一の照明により照射しながら撮影する第一の撮影工程と、
スパークプラグワークを前記第二の照明により照射しながら撮影する第二の撮影工程と、
前記第一の撮影工程により得られた第一の画像と、前記第二の撮影工程により得られた第二の画像とに基づいて、前記接地電極と前記中心電極との位置情報を取得する位置情報取得工程と、
を有することを特徴とするスパークプラグの製造方法。 - 前記位置情報に基づいて前記接地電極に施す調整曲げ加工の量(以下、調整量という)を決定する加工量決定工程と、
その決定された調整量により前記接地電極に調整曲げ加工を施す調整曲げ加工工程とを含む請求項1記載のスパークプラグの製造方法。 - 前記位置情報を検査情報として前記スパークプラグワークの検査を行う検査工程と、
その検査結果に基づいて前記スパークプラグワークの選別を行う選別工程とを含む請求項1又は2に記載のスパークプラグの製造方法。 - 前記第一の画像と前記第二の画像とは、位置固定の同一のカメラにより同一の視野にて、前記第一の照明と前記第二の照明とを切り替えつつ撮影される請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記位置情報は、前記第一の画像において前記接地電極側に定められる接地電極側基準位置と、前記第二の画像において前記中心電極側に定められる中心電極側基準位置との、特定方向における隔たりを表すものであり、
前記第一の画像と前記第二の画像とは、画像視野内の座標原点が共通となるように設定され、前記第一の画像における前記接地電極側基準位置の絶対座標と、前記第二の画像における前記中心電極側基準位置の絶対座標とに基づいて、前記隔たりが算出される請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。 - 前記位置情報は、前記第一の画像において前記接地電極側に定められる接地電極側基準位置と、前記第二の画像において前記中心電極側に定められる中心電極側基準位置との、特定方向における隔たりを表すものであり、
前記第一の画像と前記第二の画像とは、画像視野内に共通のマーカ画像が生ずるように定められ、前記第一の画像における前記接地電極側基準位置及び前記第二の画像における前記中心電極側基準位置の、前記マーカ画像に対する相対的な位置関係に基づいて前記隔たりが算出される請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。 - 前記スパークプラグワークは、前記接地電極の先端側が前記中心電極側に曲げ返されるとともに、該接地電極の先端部側周面が前記中心電極の先端面に対向して前記火花放電ギャップが形成されたものであり、
カメラから見て前記中心電極が前方側、前記接地電極の基端部が後方側となるように、当該中心電極と接地電極基端部とが互いに重なって見える方向を正面方向として、
前記第一の画像及び前記第二の画像は、いずれも、前記スパークプラグの前記火花放電ギャップ及びその周辺部分を前記正面方向から撮影して得られるものであり、
前記接地電極側基準位置は、前記火花放電ギャップに臨む接地電極輪郭線の幅方向中心位置(以下、接地電極中心位置という)に設定し、前記中心電極側基準位置は前記中心電極の先端面中心位置(以下、中心電極中心位置という)に設定するとともに、
前記隔たりは、前記接地電極中心位置と前記中心電極中心位置との偏心量δを表すものである請求項1ないし6のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。 - 前記第一の照明は、前記接地電極の先端面を前記正面方向から照らすものである請求項7記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記第二の照明は、前記接地電極の前記中心電極の背後にある側面部位を照射することにより、前記第二の画像において前記中心電極先端部をシルエット化させるものである請求項7又は8に記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記第一の画像及び前記第二の画像の視野内における前記スパークプラグワークの軸線の傾きに応じて、前記接地電極中心位置と前記中心電極中心位置との偏心量δの規定方向を定める請求項7ないし9のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記第一の画像及び前記第二の画像のいずれよりも視野が大きい前記スパークプラグワークの第三の画像を撮影し、該第三の画像を用いて前記スパークプラグワークの前記軸線を決定する請求項10記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記第一の画像及び前記第三の画像を撮影するに際して、前記第一の照明を併用する請求項11記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記スパークプラグワークに対する共通の対物光学系を設け、該対物光学系に導かれた画像ビームをビームスプリッタにより2つの画像ビームに分離し、その第一の画像ビームを、第一の倍率にて像拡大する第一の結像光学系を介して第一のカメラに導くことにより前記第一の画像及び前記第二の画像を撮影する一方、第二の画像ビームを、前記第一の倍率よりも小さい第二の倍率にて像拡大する第二の結像光学系を介して第二のカメラに導くことにより前記第三の画像を撮影する請求項11又は12に記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記スパークプラグワークに対する前記第一のカメラの撮影視野と、前記第二のカメラの撮影視野とは、位置固定の基準被写体を予め撮影し、当該基準被写体上に定められた被写体側基準方向を、各視野上に定められた基準方向に一致させることにより、視野間の方向合わせがなされる請求項13記載のスパークプラグの製造方法。
- 中心電極と、基端側が主体金具の端面に接合されるとともに先端側が前記中心電極と対向するように配置され、前記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備えたスパークプラグを製造するために、切換可能な第一の照明及び第二の照明であって、前記第二の照明よりも接地電極の撮影対象部位の輪郭が明瞭化するようにスパークプラグワークを照らす第一の照明と、該第一の照明にて照射したときよりも、前記中心電極の撮影対象部位の輪郭が明瞭化するように前記スパークプラグワークを照らす前記第二の照明と、
スパークプラグワークを前記第一の照明又は前記第二の照明により照射しながら撮影するカメラと、
前記第一の照明を用いて撮影された第一の画像と、前記第二の照明を用いて撮影された第二の画像とに基づいて、前記接地電極と前記中心電極との位置情報を解析・取得する解析装置と、
を有することを特徴とするスパークプラグの製造装置。
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