JP4100846B2 - 表面性状検査方法および表面性状検査装置 - Google Patents
表面性状検査方法および表面性状検査装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、曲率を有する検査表面の表面性状を検査する検査方法および検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
部品表面の表面性状を検査する手段として、光を照射した検査表面をカメラで撮影し、このカメラで撮影した検査表面の画像を画像処理装置により明部と暗部とに識別し、識別された明暗パターンのデータに基づいて、部品表面の表面性状を検査する方法がある。この方法は、検査表面の光の反射特性が一様でないものに採用され、例えば、部品表面に無数に形成されたくぼみや盛り上がりの形状や分布状態等の検査に用いられる。なお、検査表面を撮影するカメラには、CCD(Charge Coupled Device) カメラがよく用いられる。
【0003】
この方法を用いて、軸受部品等のように曲率を有する部品表面の表面性状を検査する場合は、検査表面に照射される光の入射角と反射角が、検査表面の部位によって異なるので、カメラで撮影される検査表面の画像に、検査表面の曲率に起因する輝度分布、いわゆるシェーディングが生じる。このため、このシェーディングが画像の明暗パターンを識別する際の外乱となり、明暗の輝度の識別値の設定が困難となる問題がある。
【0004】
この曲率に起因するシェーディングをできるだけ少なくするために、従来は、検査表面を撮影するカメラの光軸方向に光を照射し、かつ、検査表面の法線方向をカメラの光軸に一致させるように検査表面を位置決めしている。すなわち、曲率に伴う検査表面の傾きの変化をできるだけ少なくして、前記検査表面各部位での光の入射角と反射角の変化を抑えるようにしている。
【0005】
この検査表面の法線方向をカメラの光軸に一致させる手段としては、検査表面にマーキングを施す方法がよく採用されているが、曲率を有する検査表面はマーキングに手間がかかり、かつ、マーキング精度を確保するのも難しい問題がある。場合によっては、マーキングの付与が許されない検査表面もある。
【0006】
また、曲率を有する検査表面が、特許公報第2724219号に記載された転がり軸受のように、転動体表面や内外輪の軌道面に無数の微小なくぼみをランダに形成されたものである場合は、検査表面が顕微鏡を介してカメラで撮影される。この場合は、顕微鏡の焦点合わせをするために、検査表面は顕微鏡の対物レンズに非常に近接して位置決めされるので、検査表面が顕微鏡の対物レンズと衝突する恐れがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の課題は、曲率を有する検査表面を精度よく位置決めでき、かつ、検査表面の曲率に起因する外乱を除去して、その表面性状を的確に検査できる表面性状の検査方法と検査装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明の表面性状検査方法は、曲率を有する検査表面に光を照射して検査表面をカメラで撮影し、このカメラで撮影された検査表面の画像の輝度を測定して、この測定された輝度の明部と暗部のコントラストで形成される明暗パターンにより、前記検査表面の表面性状を検査する表面性状検査方法において、前記光を前記カメラの光軸方向に合致させて照射し、前記測定される画像の輝度分布がピーク値を示す位置を、前記カメラの光軸上に一致させるように、前記検査表面を位置決めする方法を採用した(請求項1)。
【0009】
すなわち、光を照射された検査表面からの反射光量は、光の照射方向と検査表面の法線方向が一致した所で最大となることを利用して、光の照射方向をカメラの光軸方向に合致させ、カメラで撮影される画像の輝度のピーク位置がカメラの光軸上に一致するように検査表面を位置決めすることにより、検査表面の法線方向をカメラの光軸に精度よく一致させるようにした。前述したように、検査表面の法線方向をカメラの光軸に一致させることにより、曲率に伴う検査表面の傾きの変化をできるだけ少なくして、検査表面各部位での光の入射角と反射角の変化を抑え、前記曲率に起因するシェーディングを抑制することができる。
【0010】
前記画像の輝度分布としては、前記コントラストの明部のみを対象とした輝度分布を用いることができる(請求項2)。検査表面にくぼみがある場合は、くぼみ部が暗部、それ以外の平滑部が明部となり、乱反射の少ない平滑部の輝度が曲率に起因して大きく変化するので、この方法は、このようなくぼみのある検査表面に好適である。なお、検査表面に盛り上がりがある場合は、盛り上がり部が明部、乱反射の少ない平滑部が相対的な暗部となるので、暗部の輝度分布を用いるとよい。全体的に平滑な検査表面の場合は、全体の輝度分布を用いればよい。
【0011】
また、この発明の表面性状検査方法は、曲率を有する検査表面に光を照射して検査表面をカメラで撮影し、このカメラで撮影された検査表面の画像の輝度を測定して、この測定された輝度の明部と暗部のコントラストで形成される明暗パターンにより、前記検査表面の表面性状を検査する表面性状検査方法において、前記光を前記カメラの光軸方向に合致させて照射し、前記測定される画像の輝度分布について、この輝度分布がピーク値を示す位置に相当する検査表面の部位を原点とし、前記曲率の対称軸を一つの軸とする直交二次元座標で、直交する各座標軸に沿う一次元の輝度分布をそれぞれ近似関数で近似し、これらの近似関数を用いて、前記画像の輝度分布を除去するように、前記輝度分布のピーク値を基準値として、前記座標各位置に相当する測定された画像の輝度を補正し、この補正された輝度の前記明暗パターンにより検査表面の表面性状を検査する方法も採用した(請求項3)。
【0012】
すなわち、検査表面の曲率に起因して生じる画像の輝度分布を、そのピーク位置に相当する検査表面の部位を原点とし、曲率の対称軸を一つの軸とする直交座標の各座標軸に沿ってそれぞれ近似関数で近似し、これらの近似関数を用いて曲率に起因するシェーディングを除去するように補正することにより、シェーディングのない明暗パターンで表面性状を検査できるようにした。
【0013】
前記画像の輝度分布としては、前記コントラストの明部のみを対象とした輝度分布を用いることができる(請求項4)。この方法も、くぼみのある検査表面に好適である。
【0014】
さらに、この発明の表面性状検査方法は、曲率を有する検査表面に光を照射して検査表面をカメラで撮影し、このカメラで撮影された検査表面の画像の輝度を測定して、この測定された輝度の明部と暗部のコントラストで形成される明暗パターンにより、前記検査表面の表面性状を検査する表面性状検査方法において、前記カメラをCCDカメラとし、前記測定される輝度の中間値が、前記CCDカメラの輝度測定レンジの中央値に概ね一致するように、前記検査表面に照射する光の量を調節する方法も採用した(請求項5)。
【0015】
すなわち、検査表面を撮影するカメラとして、撮影画像を電気信号に変換できるCCDカメラを用い、この電気信号で測定される画像の輝度の中間値がCCDカメラの輝度測定レンジの中央値に概ね一致するように、検査表面に照射する光の量を調節することにより、前記明部と暗部のコントラストの識別を安定して精度よく行うことができる。
【0016】
前記輝度の中間値としては、前記明部の輝度の平均値と前記暗部の輝度の平均値との中間値を採用することができる(請求項6)。
【0017】
前記照射する光量の調整範囲を予め設定し、前記測定される輝度の中間値と前記CCDカメラの輝度測定レンジの中央値の差に基づいて、前記光量を前記調整範囲内で自動的に調節することもできる(請求項7)。
【0018】
前記光量の調整単位を所定の量に設定し、この調整単位ずつ前記光量をステップ状に調節することにより(請求項8)、前記光量の調節を迅速に行うことができる。
【0019】
前記曲率を有する検査表面は、円筒外径面とすることができる(請求項9)。
【0020】
前記曲率を有する検査表面は、無数の微小なくぼみをランダムに形成された転がり軸受部品の表面とすることができる(請求項10)。
【0021】
この発明の表面性状検査装置は、曲率を有する検査表面を観察する顕微鏡と、この顕微鏡の像を撮影するCCDカメラと、このCCDカメラで撮影された画像を処理する画像処理装置と、前記検査表面に光を照射する照明装置と、前記顕微鏡の対物レンズの前に前記検査表面を位置決めする位置決め装置とを備え、前記画像処理装置で処理された画像のデータに基づいて、前記検査表面の表面性状を検査する表面性状検査装置において、前記CCDカメラで撮影される画像の輝度分布に基づいて、前記対物レンズの前に位置決めされる検査表面の法線を、前記対物レンズの光軸に一致させる手段を設けた構成を採用した(請求項11)。
【0022】
すなわち、検査表面の微小なくぼみや盛り上がり等の表面性状を検査するために、検査表面を顕微鏡を介してCCDカメラで撮影するとともに、検査表面の法線方向を顕微鏡の対物レンズの光軸に一致させることにより、曲率に伴う検査表面の傾きの変化をできるだけ少なくして、前記曲率に起因するシェーディングを抑制するようにした。
【0023】
また、この発明の表面性状検査装置は、曲率を有する検査表面を観察する顕微鏡と、この顕微鏡の像を撮影するCCDカメラと、このCCDカメラで撮影された画像を処理する画像処理装置と、前記検査表面に光を照射する照明装置と、前記顕微鏡の対物レンズの前に前記検査表面を位置決めする位置決め装置とを備え、前記画像処理装置で処理された画像のデータに基づいて、前記検査表面の表面性状を検査する表面性状検査装置において、前記CCDカメラで撮影される画像の輝度分布を除去するように、前記画像各位置における輝度を補正する手段を設けた構成も採用した(請求項12)。
【0024】
すなわち、CCDカメラで撮影される画像各位置における輝度を補正することにより、曲率に起因する画像の輝度分布を除去し、シェーディングのない明暗パターンで表面性状を検査することができる。
【0025】
さらに、この発明の表面性状検査装置は、曲率を有する検査表面を観察する顕微鏡と、この顕微鏡の像を撮影するCCDカメラと、このCCDカメラで撮影された画像を処理する画像処理装置と、前記検査表面に光を照射する照明装置と、前記顕微鏡の対物レンズの前に前記検査表面を位置決めする位置決め装置とを備え、前記画像処理装置で処理された画像のデータに基づいて、前記検査表面の表面性状を検査する表面性状検査装置において、前記CCDカメラで撮影される画像の輝度の中間値が、前記CCDカメラの輝度測定レンジの中央値に概ね一致するように、前記照明装置の光量を調節する手段を設けた構成も採用した(請求項13)。
【0026】
すなわち、CCDカメラで測定される画像の輝度の中間値がCCDカメラの測定輝度レンジの中央値に概ね一致するように、検査表面に照射する光の量を調節することにより、前記明部と暗部のコントラストの識別を安定して精度よく行うことができる。
【0027】
前記CCDカメラで撮影される画像の輝度の平均値が、検査表面が予め設定した閾値を越えたときに、前記位置決め装置の作動を停止することにより(請求項14)、顕微鏡に対する検査表面の焦点合わせを迅速で的確に行うことができ、かつ、検査表面と顕微鏡の対物レンズとの衝突も防止することができる。
【0028】
すなわち、検査表面からの反射光量は、検査表面が対物レンズの焦点に近づくにつれて増大し、焦点位置で最大となったのち、さらに近づくと減少するので、CCDカメラで撮影される画像の輝度の平均値を監視することにより、焦点位置を決めることができる。輝度の平均値の閾値は、予め焦点位置での輝度の平均値を測定しておき、この測定値に基づいて設定することができる。
【0029】
前記CCDカメラで撮影される画像の輝度の最大値と最小値との差が、予め設定した閾値を越えたときに、前記位置決め装置の作動を停止する手段(請求項15)によっても、検査表面を対物レンズに衝突させることなく、検査表面の焦点合わせを行うことができる。
【0030】
すなわち、CCDカメラで撮影される画像のコントラスト、つまり輝度の最大値と最小値との差は、検査表面が対物レンズの焦点位置にあるときに最大となるので、この輝度の最大値と最小値との差に閾値を設定する手段によっても、検査表面の焦点位置を決めることができる。
【0031】
前記曲率を有する検査表面は、円筒外径面とすることができる(請求項16)。
【0032】
前記曲率を有する検査表面は、無数の微小なくぼみをランダムに形成された転がり軸受部品の表面とすることができる(請求項17)。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図8に基づき、この発明の実施形態を説明する。この表面性状検査装置は、転動体表面や内外輪の軌道面に無数の微小なくぼみをランダムに形成された軸受部品の表面性状を検査するものであり、図1に示すように、検査表面を観察する顕微鏡1と、顕微鏡1の像を撮影するCCDカメラ2と、CCDカメラ2で撮影された画像を処理する画像処理装置3と、検査表面に光を照射する照明装置4と、顕微鏡1の下に検査表面を位置決めする位置決め装置5とで基本的に構成されている。
【0034】
前記画像処理装置3は、CCDカメラ2で撮影された画像を明部と暗部に2値化する画像解析装置3aにパーソナルコンピュータ3bを接続したものであり、画像解析装置3aには、CCDカメラ2で撮影された画像の測定データに基づいて、後述する位置決め装置5の位置合わせと焦点合わせ、照明装置4の光量調節、およびシェーディング補正を行うプログラムとが組み込まれ、パーソナルコンピュータ3bには、画像解析装置3aで画像解析された検査データを収集するプログラムが組み込まれている。
【0035】
図2は、検査部品としてのころ軸受のころ6を表面性状検査装置にセットした状態を示す。前記位置決め装置5は、ステージ7が水平なXY方向と垂直なZ方向に移動する3次元移動テーブルで形成されており、顕微鏡1の対物レンズ1aの下方に配置されている。ころ6は、検査表面としての円筒外径面6aに微小なくぼみをランダムに形成されたものであり、その軸方向を左右のX方向に向けて、ステージ7上のVブロック8にセットされている。Vブロック8は、その溝の向きをX方向に合致させて、予めステージ7に固定されている。
【0036】
図3は、前記円筒外径面6aの表面性状を検査する作業手順を示す。各作業手順の詳細は後述し、ここでは作業の項目のみを述べる。まず、ころ6をVブロック8にセットしたのち、ステージ7を前記X方向と、図2の紙面に垂直なY方向に移動させて、円筒外径面6aの頂部が対物レンズ1aの光軸上に来るように位置合わせし、つぎに、ステージ7をZ方向に上昇させて、円筒外径面6aを顕微鏡1の焦点に合わせる。
【0037】
こののち、CCDカメラ2の輝度測定レンジに合わせて照明装置4の光量を調節し、円筒外径面6aの曲率に起因するシェーディングを補正する。このシェーディング補正後に、円筒外径面6aの明暗パターンの画像解析を行い、この解析結果に基づいて表面性状の合否を判定する。合否を判定されたころ6はステージ7から排出され、その判定結果がパーソナルコンピュータ3bのモニタとプリンタにアウトプットされて、検査が終了する。
【0038】
上述した各作業のうち、ころ6を供給、排出する作業は別体の部品ハンドリング装置で行われ、その他の作業は、以下に述べるように、画像処理装置3に組み込まれたプログラムにより自動的に実行される。
【0039】
前記ころ6が供給されるときのステージ7の初期位置は、XY方向については、Vブロック8が対物レンズ1aの下方からX方向に離れて、その溝中心の延長線が対物レンズ1aの光軸近傍を通るように位置決めされ、Z方向については、ころ6を対物レンズ1aの下方に移動させたときに、円筒外径面6aが対物レンズ1aに衝突しないように、円筒外径面6aが顕微鏡1の焦点にくる位置よりも下方に位置決めされる。また、照明装置4の初期光量は、後述するCCDカメラ2の輝度測定レンジを考慮して事前に求めた最適光量の平均値よりも若干低めに設定される。
【0040】
まず、円筒外径面6aの頂部を対物レンズ1aの光軸上へ位置合わせする作業を説明する。ステージ7は先にX方向に移動され、ころ6が対物レンズ1aの視野に入れられる。このとき、CCDカメラ2の画像の中心を原点とする直交xy座標におけるy方向(ステージ7のY方向と一致)には、図4(a)に模式的に示すような輝度分布G(0,y)が生じる。輝度分布G(0,y)は、画像の明部、すなわち円筒外径面6aのくぼみ以外の部分に対応する輝度分布であり、そのピーク位置が画像の中心、すなわち対物レンズ1aの光軸からδだけずれている。パーソナルコンピュータ3bは、測定されたδの値に基づいて、ステージ7をY方向に移動させ、図4(b)に模式的に示すように、前記ピーク位置がCCDカメラ2の画像中心に一致するように位置決めする。なお、円筒外径面6aは軸方向の曲率が零であるので、画像のx方向には輝度分布が生じないが、例えば球面のように2軸方向の曲率を有する検査表面の場合は、ステージ7のX方向にも同様の位置決めを行う。
【0041】
つぎに、顕微鏡1の焦点合わせ作業を説明する。ステージ7をZ方向に上昇すると、図5に示すように、CCDカメラ2の画像の平均輝度Gave が高くなる。パーソナルコンピュータ3bには、予め円筒外径面6aが顕微鏡1の焦点位置に来たときの平均輝度Gave の測定結果に基づいて、平均輝度Gave の閾値Gt が80に設定されており、ステージ7の上昇に伴って増大する平均輝度Gave がこの閾値Gt を越えたときに、ステージ7の上昇が停止され、円筒外径面6aが顕微鏡1の焦点に合わせられる。
【0042】
つぎに、照明装置4の光量調節作業を説明する。CCDカメラ2の輝度測定レンジは、画像解析装置3aの入力側のA/Dコンバータが8ビットのため、0〜255となっており、その中央値は127.5である。また、照明装置4の光量は、画像解析装置3aにより電圧制御され、その最小値は0mV、最大値は5000mVである。図6に示すように、照明装置4の光量レベルは、初期値を700mVに設定され、5mVずつ増加される。この光量の増加に伴って、CCDカメラ2で撮影される画像の輝度の最大値Gmax と最小値Gmin の中間値Gmed が増大し、この中間値Gmed が前記中央値127.5と一致する光量レベル790mVに、照明装置4の光量が設定される。なお、輝度の最大値Gmax は明部で、最小値Gmin は暗部で観測されるが、暗部における輝度の最小値Gmin は、光量を増加してもあまり変化しない。
【0043】
つぎに、シェーディングの補正作業を説明する。図7は、CCDカメラ2の画像の明部の輝度分布G(x,y)を示す。図7(a)は前記xy座標のy軸に沿った輝度分布G(0,y)、図7(b)はx軸に沿った輝度分布G(x,0)である。前述したように、円筒外径面6aはy方向の曲率を有するので、y軸に沿った輝度分布G(0,y)は円筒外径面6aの頂部で最大となり、頂部から離れるほど輝度が低下し、図8(a)に示すCCDカメラ2の画像のように、頂部から離れた部位では明部と暗部の明暗パターンが不明瞭になっている。
【0044】
シェーディング補正では、まず各輝度分布G(x,0)、G(0,y)を、それぞれ滑らかな近似関数f1 (x)、f2 (y)で近似する。つぎに、これらの近似関数f1 (x)、f2 (y)と前記輝度の最大値Gmax から、それぞれx座標軸上とy座標軸上における、輝度の最大値Gmax からの偏りを、各近似関数f1 (x)、f2 (y)の最大値Gmaxに対する比Gmax/f1 (x)、Gmax/f2 (y)、または各近似関数f1 (x)、f2 (y)の最大値Gmaxに対する差Gmax−f1 (x)、Gmax−f2 (y)として補正する滑らかな補正関数P1 (x)、P2 (y)を求める。この各座標軸上で求めた補正関数P1 (x)、P2 (y)により、画像全体の輝度分布G(x,y)を補正し、曲率に起因するシェーディングを補正した輝度分布G’(x,y)を求める。図8(b)は、このシェーディング補正を行った画像であり、全領域で明暗パターンを明確に識別できるようになっている。
【0045】
前記輝度の最大値Gmax からの偏りは、最大値Gmax に対する比もしくは差のいずれとしてもよい。比を採用する場合は、補正関数P1 (x)、P2 (y)をそれぞれ輝度分布G(x,y)に掛け合わせ、差を採用する場合は、補正関数P1 (x)、P2 (y)を輝度分布G(x,y)に足し合わせることにより、補正した輝度分布G’(x,y)を求めることができる。
【0046】
明暗パターンの画像解析作業は、通常の画像解析と同じ手法で行われ、前記補正した輝度分布G’(x,y)による画像を明部と暗部に2値化処理し、明暗パターンを識別する。この識別した明暗パターンを、予め設定した各種検査基準値と比較し、円筒外径面7aの表面性状についての合否を判定する。
【0047】
これらの作業が全て終了して、ころ6がステージ7から排出されると、ステージ8の位置と照明装置4の光量は前述した初期状態に戻される。
【0048】
上述した実施形態では、微小なくぼみを有する検査表面を検査するために、顕微鏡を介して検査表面をカメラで撮影したが、検査表面の表面性状によっては、直接検査表面をカメラで撮影することもできる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、この発明の表面性状検査方法は、検査表面への光の照射方向をカメラの光軸方向に合致させ、カメラで撮影された画像の輝度のピーク位置がカメラの光軸上に一致するように検査表面を位置決めして、検査表面の法線方向をカメラの光軸に精度よく一致させるようにしたので、曲率に伴う検査表面の傾きの変化をできるだけ少なくして、曲率に起因するシェーディングを抑制することができる。
【0050】
また、検査表面の曲率に起因して生じる画像の輝度分布を、そのピーク位置に相当する検査表面の部位を原点とし、曲率の対称軸を一つの軸とする直交座標の各座標軸に沿ってそれぞれ近似関数で近似し、これらの近似関数を用いて曲率に起因するシェーディングを除去するように補正するようにしたので、シェーディングのない明暗パターンで表面性状を精度よく検査することができる。
【0051】
さらに、検査表面を撮影するカメラとして、撮影画像を電気信号に変換できるCCDカメラを用い、この電気信号で測定される画像の輝度の中間値がCCDカメラの輝度測定レンジの中央値に概ね一致するように、検査表面に照射する光の量を調節することにより、明部と暗部のコントラストの識別を安定して精度よく行うことができる。
【0052】
この発明の表面性状検査装置は、検査表面の微小なくぼみや盛り上がり等の表面性状を検査するために、検査表面を顕微鏡を介してCCDカメラで撮影するとともに、検査表面の法線方向を顕微鏡の対物レンズの光軸に一致させるようにしたので、曲率に起因するシェーディングを抑制することができる。
【0053】
また、この発明の表面性状検査装置は、CCDカメラで撮影された画像の曲率に起因するシェーディングを補正するようにしたので、シェーディングのない明暗パターンで表面性状を検査することができ、CCDカメラで測定される画像の輝度の中間値がCCDカメラの測定輝度レンジの中央値に概ね一致するように、検査表面に照射する光の量を調節するようにしたので、明部と暗部のコントラストの識別を安定して精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の表面性状検査装置のシステム構成を示すブロック図
【図2】図1の表面性状検査装置に検査部品をセットした状態を示す一部省略正面図
【図3】図1の表面性状検査装置による検査手順を示すフローチャート
【図4】a、bは、それぞれ検査部品の位置合わせ前後の状態を示す模式図
【図5】検査表面の焦点合わせ過程における平均輝度の変化を示すグラフ
【図6】図1の照明装置の光量調節過程過程における中間輝度の変化を示すグラフ
【図7】a、bは、それぞれCCDカメラ画像のxy座標軸に沿った輝度分布を示すグラフ
【図8】a、bは、それぞれシェーディング補正前後のCCDカメラ画像の写真
【符号の説明】
1 顕微鏡
1a 対物レンズ
2 CCDカメラ
3 画像処理装置
3a 画像解析装置
3b パーソナルコンピュータ
4 照明装置
5 位置決め装置
6 ころ
6a 円筒外径面
7 ステージ
8 Vブロック
Claims (8)
- 曲率を有する検査表面に光を照射して検査表面をカメラで撮影し、このカメラで撮影された検査表面の画像の輝度を測定して、この測定された輝度の明部と暗部のコントラストで形成される明暗パターンにより、前記検査表面の表面性状を検査する表面性状検査方法において、前記光を前記カメラの光軸方向に合致させて照射し、前記測定される画像の輝度分布がピーク値を示す位置を、前記カメラの光軸上に一致させるように、前記検査表面を位置決めし、この輝度分布がピーク値を示す位置に相当する検査表面の部位を原点とし、前記曲率の対称軸を一つの軸とする直交二次元座標で、直交する各座標軸に沿う一次元の輝度分布をそれぞれ近似関数で近似し、これらの近似関数を用いて、前記検査表面の曲率に起因する画像の輝度分布、いわゆるシェーディングを除去するように、前記輝度分布のピーク値を基準値として、前記座標各位置に相当する測定された画像の輝度を補正し、この補正された輝度の前記明暗パターンにより検査表面の表面性状を検査することを特徴とする表面性状検査方法。
- 前記画像の輝度分布として、前記コントラストの明部のみを対象とした輝度分布を用いた請求項1に記載の表面性状検査方法。
- 前記カメラをCCDカメラとし、前記測定される輝度の中間値が、前記CCDカメラの輝度測定レンジの中央値に概ね一致するように、前記検査表面に照射する光の量を調節するようにした請求項1または2に記載の表面性状検査方法。
- 前記輝度の中間値を、前記明部の輝度の平均値と前記暗部の輝度の平均値との中間値とした請求項3に記載の表面性状検査方法。
- 前記照射する光量の調整範囲を予め設定し、前記測定される輝度の中間値と前記CCDカメラの輝度測定レンジの中央値の差に基づいて、前記光量を前記調整範囲内で自動的に調節するようにした請求項3または4に記載の表面性状検査方法。
- 前記光量の調整単位を所定の量に設定し、この調整単位ずつ前記光量をステップ状に調節するようにした請求項5に記載の表面性状検査方法。
- 前記曲率を有する検査表面が、円筒外径面である請求項1乃至6のいずれかに記載の表面性状検査方法。
- 前記曲率を有する検査表面が、無数の微小なくぼみをランダムに形成された転がり軸受部品の表面である請求項1乃至7のいずれかに記載の表面性状検査方法。
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1999
- 1999-12-24 JP JP36609999A patent/JP4100846B2/ja not_active Expired - Lifetime
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