JP4088091B2 - 木質繊維物質含有樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質繊維物質含有樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、木粉、樹皮、パルプ、紙、竹粉等の木質繊維物質が配合され、そして得られる成形品の外観および成型加工性に優れ、かつ衝撃強度、曲げ強度などの機械的特性に優れる木質繊維物質含有樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
木材は、木質調の風合いが好まれる以外に、資源が豊富であり、そして繰り返し生産ができるという優れた材料であることから、建築用資材、装飾材料、家庭用具として幅広く使用されている。これら木材製品の加工方法は、切る、彫る、削るといった方法のみであり、樹脂のように自由な大きさや形に成型することができない。また、多湿環境下で使用すると腐食して外観不良を引き起こし、商品価値が低下することがある。
【0003】
一方、熱可塑性樹脂は、機械的性質に優れていること、ならびに押出し成型、射出成型、カレンダー成型、ブロー成型等の幅広い成型加工方法によって自由な形に成型できることから、ボトル、薬品・灯油等のタンク類、自動車の内外装品、医療器具、電機等の工業部品、パイプ、電線被覆材、床材、壁紙、農業用ビニル、ホース、チューブ、建材、食品包装材等に幅広く使用されている。このように、成型加工が容易でかつ機械的強度に優れる熱可塑性樹脂が、木質風合いを持つならば、建築用資材、装飾材料などとして、さらに幅広く利用することが可能になる。
【0004】
樹脂に木質風合いを持たせるために、樹脂表面への木目調印刷が行われている。具体的には、特開昭53−16072号公報には、透明性のインキにて木目柄を印刷した透明性の熱可塑性樹脂フィルムを、樹脂基材上に重ねて加熱加圧することにより、木質感に富む化粧材を安価に製造する方法が記載されている。特開平4−212852号公報には、透明なフィルムあるいは透明な紙に、透明なインキで木目柄を施し、かつ、このシートをパール顔料入りの接着剤で積層することにより、天然の木材に近い木質感を出す方法が報告されている。
【0005】
しかし、これらの方法では、視覚的には木質調の熱可塑性樹脂を得ることができるが、木質調の風合いや肌触りを出すことができない。この問題を解決するために、木粉、樹皮、パルプ、紙、竹粉等の木質繊維物質を熱可塑性樹脂に配合する方法が検討されている。さらに、昨今の環境問題により、製材所で発生するのこぎり屑やかんな屑、あるいは建築廃材などの木質材料の焼却処分が困難となってきている。これらの木質材料の再利用の一環として、木質材料を木粉とし、この木粉に樹脂を高濃度に練り込んで成型品を作ることによって、焼却処分する木質材料の量を削減して、環境負荷の軽減を行なう試みが多く行われている。具体的な樹脂への配合方法として、特開昭58−204049号公報には、150メッシュより細かくした乾燥木粉を熱可塑性樹脂に添加する方法が記載されている。特開昭63−236575号公報では、木質繊維粉体を含む塩化ビニル系樹脂成形体を木用着色剤および塗料材で加飾することにより、より天然の木質材料に近い風合いを出す方法が報告されている。
【0006】
このように、熱可塑性樹脂に木質繊維物質を配合することにより、天然の木質調風合いおよび肌触りを出すことが可能となる。しかし、木質繊維物質は、熱可塑性樹脂と混ざりにくく、成型加工が困難であり、押出し成型加工時等に成形品の外観不良、生産性の著しい低下、目やにの発生、ストランド成型不可能などの問題が発生する。そのため、木質繊維物質入り熱可塑性樹脂の使用は、強度があまり要求されない用途に限定されている。さらに、木質繊維物質が押出成型加工が行える程度の量、例えば、ポリオレフィンに対して20〜30重量部で配合された樹脂の成型しか行われていなかった。
【0007】
これに対して、特開平10−330552号公報には、天然ワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル等のワックスを添加する方法が記載されている。また、有機過酸化物と多塩基酸との併用(特開平9−316247号公報)、エチレン/酢酸ビニル等の熱可塑性エラストマーの併用(特開平10−251523号公報)、およびアルカリ(土類)金属の酸化物と酸変性ポリオレフィンとの併用(特開平10−237219号公報)が提案されている。これらはいずれも、機械的強度がある程度改善されているが、不十分であり、特に押出成型時の製品の外観不良(ささくれ状態になる)、目やにの発生、かつ、吐出量が低下するという問題は解決されていない。
【0008】
特開平10−287815号公報には、親水性単量体とそれと共重合可能な単量体との共重合物を用いる方法が報告されている。衝撃強度等の機械的強度の向上が図られているが、成型加工時に要求される外観の向上および生産性は未だ不十分である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、成形品の外観および成型加工性に優れ、かつ衝撃強度、曲げ強度などの機械的特性に優れる木質繊維物質含有樹脂組成物が望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)熱可塑性樹脂を100重量部、(B)木質繊維物質を70〜400重量部、および(C)(メタ)アクリレート系重合物を0.1〜40重量部含有する木質繊維物質含有樹脂組成物を提供し、ここで、該(C)(メタ)アクリレート系重合物の結晶化開始温度は、5℃〜50℃であり、そして該(C)(メタ)アクリレート系重合物は、アルキル基の炭素数が16〜30のアルキル(メタ)アクリレート(c1)を20〜80モル%およびポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート(c2)80〜20モル%含有する重合物である。
【0011】
好適な実施態様においては、上記(c2)のポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレートは式(1):
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、R1は水素またはメチル基であり、AOはオキシアルキレン基であり、そしてnは4〜15である)
で示される化合物である。
【0014】
好適な実施態様においては、上記(C)の(メタ)アクリレート系重合物の重量平均分子量は3,000〜300,000である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂(A)は、一般に市販されている熱可塑性樹脂であれば、特に限定されず、例えば以下のものが使用され得る:ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸エステル共重合体(EEA)、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリオレフィンエラストマー等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/(メタ)アクリル酸エステル/スチレン共重合体(AAS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS樹脂)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/エチレン共重合体(ACS)、スチレン/イソプレンゴム、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエステル;ポリカーボネートなど。
【0016】
本発明の樹脂組成物に含有される木質繊維物質(B)は、木、樹皮、パルプ、紙、竹粉等の木材または木質繊維の加工品であって、平均粒径が0.0005〜5mmであることが好ましい。粒径が小さすぎると、木質繊維物質自体の取り扱い性および熱可塑性樹脂との混合性が悪く、大きすぎると、最終的に得られる成形品の強度および加工性が低下するおそれがある。また、木質繊維物質(B)は、105℃で3時間乾燥した後の乾燥残分が90%以上であることが好ましい。水分含量が高いと、成型品に気泡が入るおそれがあるからである。
【0017】
本発明の樹脂組成物に含有される(メタ)アクリレート系重合物(C)は、モル換算で、アルキル基の炭素数が16〜30のアルキル(メタ)アクリレート(c1)を20〜80モル%およびポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート(c2)80〜20モル%含有する重合物である。いずれか一方の(メタ)アクリレート単量体が少なすぎるまたは多すぎると、最終的に得られる成形品の強度および加工性が低下するおそれがある。
【0018】
上記アルキル基の炭素数が16〜30のアルキル(メタ)アクリレート(c1)の具体的な例としては、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、べへニル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、カルナービル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、コリヤニル(メタ)アクリレート、メリシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を使用することができる。好ましいアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、アルキル基の炭素数が16〜22の直鎖飽和アルキル(メタ)アクリレートである。アルキル基の炭素数が16未満であると、(メタ)アクリレート系重合物(C)の結晶化開始温度が、5℃より低くなるおそれがある。
【0019】
上記ポリオキシアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート(c2)としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種あるいは2種以上を使用することができる。特に好ましいポリオキシアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート単量体は、下記式(1):
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、R1は水素またはメチル基であり、AOはオキシアルキレン基であり、そしてnは4〜15である)で示される化合物である。
【0022】
上記式(1)のAOとしては、具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられ、好ましくはオキシエチレン基である。(AO)nは、単独重合体あるいはブロック重合体でもよい。nは4〜15、好ましくは8〜12である。
【0023】
上記(メタ)アクリレート系重合物(C)は、重量平均分子量が3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましい。重量平均分子量が3,000未満の場合、成形品の外観不良を伴い、重量平均分子量が300,000より大きい場合、成形品の外観不良だけでなく衝撃・曲げ強度の低下も伴う。
【0024】
上記(メタ)アクリレート系重合物(C)の結晶化開始温度は、好ましくは5℃〜50℃であり、より好ましくは20℃〜30℃である。ここで、結晶化開始温度とは、重合物の熱的特性を示し、DSC(示差走査熱量測定装置)において測定可能な重合物中の結晶部位が溶融を開始する温度である。通常、結晶化開始温度は、DSCにおいて、冷却条件下、発熱が開始された温度を測定することにより特定可能である。例えば、図1に示すステアリルメタクリレートとメトキシポリエチレングリコールとの重合物の示差熱分析による発熱グラフにおいて、発熱開始前の勾配の延長線Aと、発熱開始後の勾配の延長線Bとの交点Cを結晶化開始温度とする。すなわち、ステアリルメタクリレートとメトキシポリエチレングリコールとの重合物の結晶化開始温度は26℃である。上記(メタ)アクリレート系重合物(C)の結晶化開始温度が5℃未満の場合、成型加工時の生産性低下および外観不良を引き起こすおそれがあり、50℃より高い場合、成形品の衝撃強度などの機械的特性の低下を招くおそれがある。
【0025】
上記(メタ)アクリレート系重合物(C)は、上記アルキル基の炭素数が16〜30のアルキル(メタ)アクリレート(c1)およびポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート(c2)以外に、本発明の樹脂組成物の特徴を損なわない範囲で、その他の共重合可能な単量体を含有する重合物であってもよい。
【0026】
上記(メタ)アクリレート系重合物(C)は、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの通常用いられる重合方法により製造可能である。
【0027】
本発明の木質繊維物質含有樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)を100重量部、木質繊維物質(B)を70〜400重量部、および(メタ)アクリレート系重合物(C)を0.1〜40重量部含有する。
【0028】
木質繊維物質(B)は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、70〜400重量部、好ましくは100〜300重量部、特に好ましくは150〜300重量部含有される。木質繊維物質(B)の添加量が70重量部未満の場合は、成形品において木質調風合いが出ず、添加量が400重量部を超えると、成形品の外観不良、成型加工時の生産性低下、および衝撃強度の低下を引き起こす。
【0029】
(メタ)アクリレート系重合物(C)は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部含有される。(メタ)アクリレート系重合物(C)の添加量が0.1重量部未満の場合は、成形品の機械的強度の低下、外観不良、目やに発生、ストランド成型性、吐出量の低下などが起こる。一方、添加量が40重量部を超えると、成形品の外観不良および機械的強度の低下が起こる。
【0030】
本発明の木質繊維含有熱可塑性樹脂組成物は、最終的に得られる成形品に求められる性質に応じて、例えば以下に挙げる種々の添加剤を含んでいてもよい:ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリルアルコールなどの高級アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコール;パラフィンワックス、モンタン酸ワックスなどのワックス類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛などの金属石鹸類;ステアリルステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどの脂肪酸エステル類;脂肪酸アミド、メチレンビス脂肪酸アミド、エチレンビス脂肪酸アミドなどの滑剤;ジオクチル錫マレエートなどの錫化合物;ジフェニルモノデシルホスファイトなどのホスファイト化合物;珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、ハイドロタルサイト、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ゼオライト、シリカなどの無機充填剤;ジベンゾイルメタンなどのβジケトン化合物;エポキシ化大豆油などのエポキシ化合物;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートなどの可塑剤;ポリメチルメタクリレート、4−フッ化エチレン重合物などのアクリル系またはフッ素系の加工肋剤;顔料;酸化防止剤;帯電防止剤;防曇剤;難燃剤;紫外線吸収剤;抗菌剤;防黴剤など。
【0031】
本発明の木質繊維含有熱可塑性樹脂組成物は、押出し成型、射出成型、カレンダー成型、ブロー成型等の通常用いられる種々の方法によって成形され得る。特に、押出し成型によって成形されることが好ましい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0033】
(製造例1)
還流管および攪拌装置を設置した2Lの四つ口フラスコに、トルエン500gを仕込み、105℃に昇温した。次いで、予め混合しておいたメトキシポリエチレングリコール(9モル)モノメタクリレートとステアリルメタクリレートとの混合物500g(モル比1/1)に重合触媒として日本油脂株式会社製パーブチルOを20g溶解した混合溶液を、トルエンに4時間かけて滴下した。滴下終了後、パーブチルOを2g追触媒し、3時間熟成させ、そして脱溶剤して重合物Aを得た。
【0034】
なお、得られた重合物Aの結晶化開始温度は26℃であった。結晶化開始温度の測定チャートを図1に示す。
【0035】
(製造例2〜8)
表1に記載の(メタ)アクリレート単量体を用いて、上記製造例1と同様に重合物B〜Hを得た。なお、各重合物の結晶化開始温度は表1に示すとおりである。
【0036】
【表1】
【0037】
[結晶化開始温度の測定]
セイコー電子(株)製DSC(示差走査熱量測定装置)を用いて、以下の条件下で結晶化開始温度の測定チャートを作成し、得られた重合物の結晶化開始温度を測定した。
DSC測定条件:昇温条件:30℃→100℃、10℃/分
100℃、30分間保持
冷却条件:100℃→−50℃、−5℃/分
【0038】
この条件下、図1に示すように、発熱グラフの発熱開始前の勾配の延長線Aと、発熱開始後の勾配の延長線Bとの交点Cを求めて、結晶化開始温度とした。
【0039】
(実施例1〜6および比較例1〜6)
表2に示す各組成物の成分を、ヘンシェルミキサーにて混合し、(株)東洋精機製作所製の二軸押出機を使用して、C1/C2/C3/D=185℃/180℃/175℃/175℃、回転数40rpmで、木質繊維含有樹脂組成物ぺレットを作成した。
【0040】
この木質繊維含有樹脂組成物について、以下に示すように衝撃試験、曲げ試験、および押し出し試験を実施した。結果を表2に示す。
【0041】
[衝撃試験および曲げ試験用の試験片の作成]
得られた木質繊維含有樹脂組成物のペレットを、185℃で3分間混練りし、9インチロールを用いて、厚さ0.5mmのシートにした。得られたシートを185℃でプレスして(予熱1分/50kgf/cm2、加圧5分/100kgf/cm2)、厚さ0.5mmで表面の平滑なシートを作成した。
【0042】
[衝撃試験]
上記のようにして得た衝撃試験用試験片を、温度20℃、湿度50%中で48時間アニーリングを行い、アイゾット衝撃試験を行なった。なお、試験は10試験片についての平均値を求めた。平均値が2.5KJ/m2以上を合格とした。
【0043】
[曲げ試験]
上記のようにして得た曲げ試験用試験片を、温度20℃、湿度50%中で48時間アニーリングを行い、曲げ試験を行なった。なお、試験は10試験片についての平均値を求めた。平均値が10N/mm2以上を合格とした。
【0044】
[押し出し試験]
(株)東洋精機製作所製二軸押出機を使用して、C1/C2/C3/D=185℃/180℃/185℃/185℃、回転数40rpmで丸棒を成型し、外観および吐出量を、以下の評価指標によって評価した。
【0045】
(1)外観
上記押し出し試験で作成した成型品の外観を以下の基準で評価した。
評価基準 ○:表面が滑らかである
△:表面に若干ささくれあり
×;表面にささくれが多い
合否判定:○および△が合格。
【0046】
(2)吐出量
上記条件で押出試験を行なった時の吐出量を以下の基準で評価した。
合否判定:吐出量40g/分以上が合格。
【0047】
結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
表2からわかるように、実施例1〜6は、比較例1〜6と比べて、衝撃強度、曲げ強度、外観、および吐出量が優れている。
【0050】
本発明の樹脂組成物に含有される(メタ)アクリレート系重合物とは異なる単量体を用いた重合物を(C)として用いた場合(比較例1〜3)は、実施例と比較して、成形品の外観、成型加工時の生産性(吐出量)、成形品の衝撃強度および曲げ強度が劣っていた。(c2)としてポリオキシアルキレングリコール鎖を有しないグリシジルメタクリレートを用いた場合(比較例4)は、成型加工時の生産性(吐出量)は合格値を示したが、成形品の外観、成形品の衝撃強度および曲げ強度が劣る結果を示した。(C)において(c1)と(c2)のモル比が本発明の樹脂組成物の範囲外である重合物を用いた場合(比較例5)は、成形品の外観、成型加工時の生産性(吐出量)、成形品の衝撃強度および曲げ強度が劣る結果を示した。
【0051】
木質繊維物質(B)の含有量が、本発明の樹脂組成物の範囲外である場合(比較例6)、実施例と比較して、成形品の外観、成型加工時の生産性(吐出量)、成形品の衝撃強度および曲げ強度が劣っていた。
【0052】
(B)の含有量が本発明の範囲以上である比較例4は、衝撃強度、曲げ強度の著しい低下が確認された。
【0053】
【発明の効果】
本発明の木質繊維物質含有樹脂組成物は、成型時の吐出量が多いため生産性が良く、得られる成形品の衝撃強度および曲げ強度が強く、その外観が良いなどの、優れた特徴を有している。本発明の木質繊維物質含有樹脂組成物を用いることによって、外観が良く、衝撃強度、曲げ強度などの機械的特性に優れる木質調風合いのある樹脂成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステアリルメタクリレートとメトキシポリエチレングリコールとの重合物の示差熱分析による発熱グラフである。
Claims (3)
- (A)熱可塑性樹脂を100重量部、
(B)木質繊維物質を70〜400重量部、および
(C)(メタ)アクリレート系重合物を0.1〜40重量部含有する木質繊維物質含有樹脂組成物であって、
該(C)(メタ)アクリレート系重合物の結晶化開始温度が、5℃〜50℃であり、そして該(C)(メタ)アクリレート系重合物が、アルキル基の炭素数が16〜30のアルキル(メタ)アクリレート(c1)を20〜80モル%およびポリアルキレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート(c2)80〜20モル%含有する重合物である、木質繊維物質含有樹脂組成物。 - 前記(C)の(メタ)アクリレート系重合物の重量平均分子量が3,000〜300,000である、請求項1または2に記載の木質繊維物質含有樹脂組成物。
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