JP4084860B2 - 作業機の安全装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本願発明は、作業機の安全装置に関するものである。
【従来の技術】
【0003】
従来、高所作業車とかクレーン車等の作業機には、例えば作業機に過大な負荷がかかってこれが転倒に至るのを未然に防止するための過負荷防止機能とか、作業機の周辺構造物との干渉を防止する等のために該作業機の動作を規制する動作規制機能等の安全監視機能を備えた安全装置が装備されている。そして、この安全装置においては、上記各機能を有効に作動させるために、作業機の動作状態を検出する各種の検出器を備え、該各検出器の検出結果を用いて該作業機の安全度を判定するようにしている。
【0004】
この場合、安全装置の信頼性の確保という点においては、上記各検出器が正常に作動し且つ精度の良い検出を行うことが必須の条件となる。このため、作業機においては、上記安全装置に上記各検出器の異常を監視する異常監視機能を付加するとともに、上記各検出器による正確な状態検出を行うための検出器の調整機能を有している。そして、この検出器の調整動作を行う「調整モード」と通常の動作を行う「通常モード」とを選択可能としたモード選択手段を備えている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モード選択手段を「調整モード」に設定して検出器の調整動作を行う場合には、該検出器に色々な調整値を入れて作業機を動作させ、該検出器が正確な状態検出を行うように該検出器を調整する関係上、上記異常監視機能を有効としたまま調整動作を行うと、調整値の設定の如何によっては調整中に上記異常監視機能が働いて「検出器の異常」と判定し、該検出器の検出結果に基づく安全監視機能が作動して作業機の動作が停止されるとか警報が発せられることとなり、調整動作に支障を来すことにもなる。
【0006】
このため、一般に、検出器の調整動作時には、異常監視機能を無効とし、また場合によっては安全監視機能のうち、作業機の安全確保上最も重要な過負荷防止機能のみを有効とし、それ以外の機能、例えば動作規制機能等は無効とするようにしていた。
【0007】
ところが、このように検出器の調整動作時に上記安全装置における異常監視機能を無効とすると、例えば、調整動作の完了後に上記モード選択手段を「調整モード」から「通常モード」に切り換えるべきところ、万一、「調整モード」のまま放置された場合には、該作業機を使用しての作業の安全確保上問題が生じる。即ち、例えば、検出器に異常が生じた場合でもこの検出器の異常監視が為されないので、この検出器の正常でない検出結果に基づいて転倒防止等の安全監視が行われることとなり、安全性が十分に確保されないことも懸念される。
【0008】
そこで本願発明は、「調整モード」が選択された状態下においても作業機の安全性を確実に確保し得るようにした作業機の安全装置を提供せんとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0010】
本願の第1の発明では、操作入力手段からの信号に基づいて駆動制御される駆動手段を備えた作業機に、該作業機の作業状態を検出する検出器と、該検出器からの検出信号を受けて上記作業機の稼働状態を判別し該作業機が安全に稼働するように上記駆動手段に制御信号を出力する制御手段とを備えた作業機の安全装置において、上記制御手段に、上記検出器からの作業機の作業状態にかかる情報を受けて該作業機の安全監視を行う安全監視手段と、上記検出器の調整を行う時に選択され上記安全監視手段の機能のうち上記検出器の異常監視を行う異常監視機能を無効とした上で該検出器の調整を可能とする調整モードと、該検出器からの検出信号を受けて上記安全監視手段の機能を有効とした上で上記作業機が安全に稼働するように演算制御する通常モードとを選択可能としたモード選択手段と、
制御電源の投入時に上記モード選択手段が調整モードに選択されている時には上記作業機の駆動を規制する作動規制手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
本願の第2の発明では、操作入力手段からの信号に基づいて駆動制御される駆動手段を備えた作業機に、該作業機の作業状態を検出する検出器と、該検出器からの検出信号を受けて上記作業機の稼働状態を判別し該作業機が安全に稼働するように上記駆動手段に制御信号を出力する制御手段とを備えた作業機の安全装置において、上記制御手段に、上記検出器からの作業機の作業状態にかかる情報を受けて該作業機の安全監視を行う安全監視手段と、上記検出器の調整を行う時に選択され上記安全監視手段の機能のうち上記検出器の異常監視を行う異常監視機能を無効とした上で該検出器の調整を可能とする調整モードと、該検出器からの検出信号を受けて上記安全監視手段の機能を有効とした上で上記作業機が安全に稼働するように演算制御する通常モードとを選択可能としたモード選択手段と、
制御電源の投入時に上記モード選択手段が調整モードに選択されている時には該調整モードの選択にかかわらず通常モードとして上記制御手段の制御を立ち上げる作動規制手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
本願の第3の発明では、操作入力手段からの信号に基づいて駆動制御される駆動手段を備えた作業機に、該作業機の作業状態を検出する検出器と、該検出器からの検出信号を受けて上記作業機の稼働状態を判別し該作業機が安全に稼働するように上記駆動手段に制御信号を出力する制御手段とを備えた作業機の安全装置において、上記制御手段に、上記検出器からの作業機の作業状態にかかる情報を受けて該作業機の安全監視を行う安全監視手段と、上記検出器の調整を行う時に選択され上記安全監視手段の機能のうち上記検出器の異常監視を行う異常監視機能を無効とした上で該検出器の調整を可能とする調整モードと、該検出器からの検出信号を受けて上記安全監視手段の機能を有効とした上で上記作業機が安全に稼働するように演算制御する通常モードとを選択可能としたモード選択手段と、制御電源の投入時には上記モード選択手段の選択モードを通常モードに設定した状態で上記制御手段の制御を立ち上げる作動規制手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本願発明ではかかる構成とすることにより次のような効果が得られる。
【0014】
(a) 本願の第1の発明にかかる作業機の安全装置によれば、制御電源の投入時にモード選択手段が調整モードに選択されていた時には、安全監視手段の機能のうち検出器の異常監視を行う異常監視機能が無効とされていても作業機の駆動が規制されるので、作業機の使用に際しては最初に制御電源が投入されるということを考慮すれば、例えば、検出器の調整動作において選択された調整モードを調整動作の完了後に通常モードに戻すのを万一忘れた場合であっても、その初期操作の段階で作業機の駆動が確実に規制され、該作業機を駆動させて作業を行うことは不能とされる。従って、例えば、従来のように検出器の異常監視が行われず安全監視機能が十分に働かない状態で作業機が駆動される虞れがあるような場合に比して、作業機の安全性がより一層向上し、作業上の高い信頼性が確保されるものである。
【0015】
(b) 本願の第2の発明にかかる作業機の安全装置によれば、制御電源の投入時に上記モード選択手段が調整モードに選択されている時には、安全監視手段の機能のうち検出器の異常監視を行う異常監視機能が無効とされていても該調整モードの選択にかかわらず通常モードとして制御手段の制御が立ち上げられるので、作業機の使用に際しては最初に制御電源が投入されるということを考慮すれば、例えば、検出器の調整動作において選択された調整モードを調整動作の完了後に通常モードに戻すのを万一忘れた場合であっても、その初期操作の段階で実際の選択モードに左右されることなく通常モードとして制御が立ち上がり検出器の異常監視機能が有効とされた状態で安全監視機能が働くので、作業機は高い精度の安全監視の下で駆動される。従って、例えば、従来のように検出器の異常監視が行われず安全監視機能が十分に働かない状態で作業機が駆動される虞れがあるような場合に比して、作業機の安全性がより一層向上し、作業上の高い信頼性が確保されるものである。
【0016】
(c) 本願の第3の発明にかかる作業機の安全装置によれば、制御電源の投入時に上記モード選択手段が調整モードに選択されている時には、安全監視手段の機能のうち検出器の異常監視を行う異常監視機能が無効とされていても該モード選択手段の選択モードを通常モードに設定した状態で制御手段の制御を立ち上げるようにしているので、作業機の使用に際しては最初に制御電源が投入されるということを考慮すれば、例えば、検出器の調整動作において選択された調整モードを調整動作の完了後に通常モードに戻すのを万一忘れた場合であっても、その初期操作の段階で通常モードとされ、検出器の異常監視機能が有効とされた状態で安全監視機能が働くので、作業機は高い精度の安全監視の下で駆動される。従って、例えば、従来のように検出器の異常監視が行われず安全監視機能が十分に働かない状態で作業機が駆動される虞れがあるような場合に比して、作業機の安全性がより一層向上し、作業上の高い信頼性が確保されるものである。
【発明の実施の形態】
【0017】
以下、本願発明にかかる作業機の安全装置を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0018】
図1には、本願発明にかかる作業機の安全装置の機能ブロック図を示している。この安全装置には、安全監視手段5と作動規制手段6とを備えた制御手段4が設けられている。そして、この安全監視手段5には、検出器3において検出される作業機の作業状態信号と、次述のモード選択手段1において選択されたモード信号とがそれぞれ入力される。また、上記作動規制手段6には、次述の操作入力手段2から操作信号が入力される。
【0019】
A:モード選択手段1
上記モード選択手段1は、上記検出器3からの検出信号を受けて作業機が安全に稼働するように演算制御を行う「通常モード」と、該検出器3の調整を行う時に選択されて該検出器3の調整を可能とする「調整モード」との間で動作モードを選択するものであって、その具体的形態としては、作業者による切換操作によって「通常モード」と「調整モード」との間で動作モードを選択する切換スイッチで構成されるもの(後述する第1〜第3の実施形態において想定するもの)とか、作業者の操作回数に応じて「通常モード」と「調整モード」を交互に選択するマイクロスイッチで構成されるもの(後述する第4の実施形態において想定するもの)、等である。
【0020】
B:操作入力手段2
上記操作入力手段2は、一般ユーザーが作業機を使用して所要の作業を行う場合に操作される操作レバーで構成され、その操作に対応して駆動手段8が駆動される。
【0021】
C:制御手段4
C−1:安全監視手段5
上記安全監視手段5は、上記検出器3からの作業機の作業状態にかかる情報を受けて、該作業機の安全監視を行うものであって、その機能としては、例えば過大な負荷による作業機の転倒等を未然に防止するための過負荷防止機能とか、作業機とその周辺構造物との干渉を防止すべく該作業機の動作を所定範囲内に規制する動作規制機能等の安全監視のための直接的な機能の他に、安全監視の基礎となる上記検出器3の異常監視を行う異常監視機能等を備えている。
【0022】
また、後述する各実施形態においては、上記安全監視手段5は上記モード選択手段1における動作モードの選択結果に応じて異なった機能を発揮するものとして説明する。例えば、上記モード選択手段1が「通常モード」に選択されている場合には該安全監視手段5が備える総ての機能を有効とする一方、「調整モード」が選択されている場合には該安全監視手段5が備える総ての機能のうち、安全確保上において最も重要な過負荷防止機能のみを有効とし、それ以外の機能は無効とするものとしている。
【0023】
そして、上記安全監視手段5は、その過負荷防止機能として、上記モード選択手段1が何れの動作モードに設定されている場合においても、作業機に過大な負荷がかかった場合のように該作業機の安全性が担保できない状態となった場合には該作業機のそれ以上の動作を禁止すべく次述の作動規制手段6に作動規制信号を出力するとともに、上記警報手段7に警報信号を出力する。また、上記モード選択手段1が「通常モード」に設定されている場合には、上記動作規制機能として、作業機とその周辺構造物との干渉の危険性がある場合には干渉方向への動作を規制すべく後述の作動規制手段6に作動規制信号を出力するとともに、上記検出器3の異常監視をも行う。さらに、上記モード選択手段1が「調整モード」に設定されている場合には、後述の作動規制手段6に作動規制信号を出力する(後述の第1及び第2の実施形態の場合)。
【0024】
C−2:作動規制手段6
上記制御手段4における上記作動規制手段6は、上記安全監視手段5から作動規制信号を受けた場合に、上記操作入力手段2の操作を無効とし、該操作入力手段2の操作に拘わらず上記駆動手段8の作動を規制するものである。
【0025】
D:各実施形態における制御の説明
上述した安全装置の機能を踏まえた上で、実際の制御を以下に示す各実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0026】
D−1:第1の実施形態
図2には、第1の実施形態における制御を示しており、これを説明すると次の通りである。
【0027】
即ち、作業機の作業開始に際して制御電源を投入すると、先ずステップS1において、現時点における選択モードの判定、即ち、「通常モード」と「調整モード」のうちの何れの動作モードが選択されているかの判定が行われる。ここで、「通常モード」が選択されている場合には、通常動作が実行される(ステップS3)。即ち、この通常動作においては、上記安全監視手段5のもつ機能の総てが有効に働いた状態で作業機が駆動され、該作業機により所定の作業が行われる。そして、作業機の安全性が損なわれる状態となった場合には、上記安全監視手段5から作動規制手段6に作動規制信号が出力され、駆動手段8の動作が規制される。また、同時に警報手段7から所定の警報が発せられ、作業者に注意を促す。
【0028】
この通常動作は、その動作の途中において上記モード選択手段1が操作され且つ動作モードとして「調整モード」が選択されるまで継続される(ステップS2→ステップS3)。そして、実際に「調整モード」の選択が行われると通常動作に変わって調整動作が実行される(ステップS4)。そして、この調整動作は、再度、上記モード選択手段1が操作され且つ動作モードとして「通常モード」が選択されるまで継続される(ステップS2→ステップS4)。
【0029】
一方、ステップS1での判定の結果、現在の動作モードが「調整モード」であるとされた場合には、上記安全監視手段5から上記作動規制手段6に作動規制信号が出力され、上記駆動手段8の作動規制が実行され(ステップS5)、上記作業機は非動作のまま維持される。また、これと同時に、上記警報手段7から警報が発せられる(ステップS6)。
【0030】
即ち、この実施形態の安全装置においては、制御電源の投入時にモード選択手段1が調整モードに選択されていた時には、作業機の駆動が規制される。従って、作業機の使用に際しては最初に制御電源が投入されるということを考慮すれば、例えば、検出器3の調整動作において選択された「調整モード」を調整動作の完了後に「通常モード」に戻すのを万一忘れたような場合であっても、制御電源の投入という初期操作の段階において、作業機の駆動が確実に規制され、該作業機を駆動させて作業を行うことは不能とされるものである。このため、例えば、従来のように検出器の異常監視が行われず安全監視機能が十分に働かない状態で作業機が駆動される虞れがあるような場合に比して、作業機の安全性がより一層向上し、作業上の高い信頼性が確保されるものである。
【0031】
尚、制御電源の投入時に「調整モード」が選択されており、作業機の作動規制が実行された場合において、通常動作を希望する場合には、一旦、制御電源を切り、上記モード選択手段1を「通常モード」に設定した状態で制御電源を再投入すれば良い。
【0032】
D−2:第2の実施形態
図3には、第2の実施形態における制御を示しており、これを説明すると次の通りである。
【0033】
即ち、作業機の作業開始に際して制御電源を投入すると、先ずステップS1において、現時点における選択モードの判定、即ち、「通常モード」と「調整モード」のうちの何れの動作モードが選択されているかの判定が行われる。ここで、「通常モード」が選択されている場合には、さらにステップS2において、新たに上記モード選択手段1による動作モードの選択が行われたかどうかの判定がされる。ここで、新たな選択操作は行われていないと判定された場合(即ち、動作モードは「通常モード」のままである場合)には、通常動作が実行される(ステップS3)とともに、新たな選択操作が行われるまで「通常モード」がそのまま継続される(ステップS2→ステップS3)。
【0034】
これに対して、新たな選択操作が行われたと判定された場合(即ち、動作モードは当初の「通常モード」から「調整モード」に変更されている場合)には、調整動作が実行される(ステップS4)とともに、新たな選択操作が行われるまで「調整モード」がそのまま継続される(ステップS2→ステップS4)。
【0035】
一方、制御電源の投入時における動作モードが「調整モード」であると判定された場合には、上記安全監視手段5から作動規制手段6に作動規制信号が出力され、作業機の作動が規制される(ステップS5)とともに、警報が発せられる(ステップS6)。また、この作動規制が実行された場合には、さらにステップS7において、新たに上記モード選択手段1による動作モードの選択が行われたかどうかの判定がされる。
【0036】
ここで、新たな選択操作は行われていないと判定された場合(即ち、動作モードは「調整モード」のままである場合)には、新たな選択操作が行われるまで作動規制がそのまま継続される(ステップS5→ステップS7)。これに対して、新たな選択操作が行われたと判定された場合(即ち、動作モードは当初の「調整モード」から「通常モード」に変更されている場合)には、通常動作を実行する(ステップS3)とともに、新たな選択操作が行われるまで「通常モード」が継続される(ステップS2→ステップS3)。また、ステップS2において、新たな選択操作が行われたと判定された場合(即ち、動作モードが「通常モード」から「調整モード」に変更された場合)には、調整動作が実行される(ステップS4)とともに、新たな選択操作が行われるまで「調整モード」が継続される(ステップS2→ステップS4)。
【0037】
即ち、この実施形態の安全装置においては、制御電源の投入時にモード選択手段1が調整モードに選択されていた時には、作業機の駆動が規制される。従って、作業機の使用に際しては最初に制御電源が投入されるということを考慮すれば、例えば、検出器3の調整動作において選択された「調整モード」を調整動作の完了後に「通常モード」に戻すのを万一忘れたような場合であっても、制御電源の投入という初期操作の段階において、作業機の駆動が確実に規制され、該作業機を駆動させて作業を行うことは不能とされるものである。このため、例えば、従来のように検出器の異常監視が行われず安全監視機能が十分に働かない状態で作業機が駆動される虞れがあるような場合に比して、作業機の安全性がより一層向上し、作業上の高い信頼性が確保されるものである。
【0038】
D−3:第3の実施形態
図4には、第3の実施形態における制御を示しており、これを説明すると次の通りである。
【0039】
即ち、作業機の作業開始に際して制御電源を投入すると、先ずステップS1において、現時点における選択モードの判定、即ち、「通常モード」と「調整モード」のうちの何れの動作モードが選択されているかの判定が行われる。ここで、「通常モード」が選択されている場合にはフラグを「0」に設定する(ステップS2)。これに対して、「調整モード」が選択されている場合には、フラグを「1」に設定する(ステップS3)。
【0040】
ここで、これ以降の制御を、制御電源投入時の動作モードが「通常モード」である場合と、制御電源投入時の動作モードが「調整モード」である場合とに分けてそれぞれその制御を説明する。
【0041】
先ず、制御電源投入時の動作モードが「通常モード」である場合には、ステップS2からステップS4に移行し、新たな動作モードの選択操作が行われたか否かの判定を行う。新たな選択操作は行われていない場合(即ち、動作モードは「通常モード」のままである場合)には、フラグを「0」に再設定し(ステップS5)、通常動作を実行する(ステップS6)。この通常動作は、新たに動作モードの選択操作が行われるまで継続される(ステップS4→ステップS6)。これに対して、ステップS4において新たな動作モードの選択操作がなされたと判定された場合(即ち、動作モードが「通常モード」から「調整モード」に変更された場合)には、ステップS7においてフラグの判定を行うが、このフラグは「0」であるため、ステップS7からステップS8に移行して調整動作を実行する。この調整動作は、新たに動作モードの選択操作が行われるまで継続される(ステップS4→ステップS7→ステップS8)。そして、ステップS4において、新たな動作モードの選択操作がなされたと判定された場合には、フラグを「0」に設定し(ステップS5)、通常動作に移行する(ステップS6)。
【0042】
一方、制御電源投入時の動作モードが「調整モード」である場合には、ステップS3からステップS4に移行し、新たな動作モードの選択操作が行われたか否かの判定を行う。新たな選択操作は行われていない場合(即ち、動作モードは「調整モード」のままである場合)には、ステップS4からステップS7を経て、ステップS6において通常動作を実行する。この通常動作は、新たに動作モードの選択操作が行われるまで継続される(ステップS4→ステップS7→ステップS6)。
【0043】
これに対して、ステップS4において新たな動作モードの選択操作がなされたと判定された場合(即ち、動作モードが「調整モード」から「通常モード」に変更された場合)には、ステップS5においてフラグを「0」に設定した後、通常動作に移行する(ステップS6)。この通常動作は、新たに動作モードの選択操作が行われるまで継続される(ステップS4→ステップS5→ステップS6)。
【0044】
また、この通常動作の実行中にステップS4において、新たな動作モードの選択操作がなされたと判定された場合(即ち、動作モードが「通常モード」から「調整モード」に変更された場合)には、ステップS7を経てステップS8に移行し、調整動作が実行される。
【0045】
即ち、この実施形態の安全装置においては、制御電源の投入時に上記モード選択手段1が「調整モード」に選択されている時には該調整モードの選択にかかわらず「通常モード」として制御が立ち上げられるものである。従って、作業機の使用に際しては最初に制御電源が投入されるということを考慮すれば、例えば、検出器3の調整動作において選択された「調整モード」を調整動作の完了後に「通常モード」に戻すのを万一忘れた場合であっても、その初期操作の段階で実際の選択モードに左右されることなく「通常モード」として制御が立ち上がり、検出器3の異常監視機能が有効とされた状態で安全監視機能が働くので、作業機は高い精度の安全監視の下で駆動される。従って、例えば、従来のように検出器の異常監視が行われず安全監視機能が十分に働かない状態で作業機が駆動される虞れがあるような場合に比して、作業機の安全性がより一層向上し、作業上の高い信頼性が確保されるものである。
【0046】
D−4:第4の実施形態
図5には、第4の実施形態における制御を示しており、これを説明すると次の通りである。尚、上記第1〜第3の実施形態においては、上記モード選択手段1を切換スイッチで構成したものを想定しているが、この第4の実施形態においては、上記モード選択手段1を押しボタン式のマイクロスイッチで構成したものを想定している。
【0047】
作業機の作業開始に際して制御電源を投入すると、先ずステップS1において初期の動作モードが「通常モード」に自動的に設定され、そのまま通常動作が実行される(ステップS2)。
【0048】
次に、ステップS3において、モード選択スイッチ、即ち、マイクロスイッチで構成される上記モード選択手段1が操作されたか否かの判定が行われる。ここで、操作はされていないと判定された場合には、そのまま通常動作が継続される。これに対して、ステップS3において、モード選択スイッチが操作されたと判定された場合には、動作モードが「通常モード」から「調整モード」に変更設定され(ステップS4)、調整動作が実行される(ステップS5)。調整動作への移行後は、さらにステップS6においてモード選択スイッチの操作の判定がなされ、操作されていない場合にはそのまま調整動作が継続されるが、操作された場合にはステップS1に移行し、動作モードが「通常モード」に設定され、通常動作が実行される(ステップS2)。
【0049】
即ち、この実施形態の安全装置においては、制御電源の投入時に上記モード選択手段1の選択モードを「通常モード」に設定した状態で制御が立ち上げられるものである。従って、作業機の使用に際しては先ず最初に制御電源が投入されるということを考慮すれば、例えば、検出器3の調整動作において選択された「調整モード」を調整動作の完了後に「通常モード」に戻すのを万一忘れた場合であっても、その初期操作の段階で「通常モード」とされ、検出器3の異常監視機能が有効とされた状態で安全監視機能が働くので、作業機は高い精度の安全監視の下で駆動されることになる。このため、例えば、従来のように検出器の異常監視が行われず安全監視機能が十分に働かない状態で作業機が駆動される虞れがあるような場合に比して、作業機の安全性がより一層向上し、作業上の高い信頼性が確保されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明にかかる作業機の安全装置の機能ブロック図である。
【図2】 図1に示した安全装置の第1の実施形態における制御フローチャートである。
【図3】 図1に示した安全装置の第2の実施形態における制御フローチャートである。
【図4】 図1に示した安全装置の第3の実施形態における制御フローチャートである。
【図5】 図1に示した安全装置の第4の実施形態における制御フローチャートである。
【符号の説明】
1はモード選択手段、2は操作入力手段、3は検出器、4は制御手段、5は安全監視手段、6は作動規制手段、7は警報手段、8は駆動手段である。
Claims (3)
- 操作入力手段からの信号に基づいて駆動制御される駆動手段を備えた作業機に、該作業機の作業状態を検出する検出器と、該検出器からの検出信号を受けて上記作業機の稼働状態を判別し該作業機が安全に稼働するように上記駆動手段に制御信号を出力する制御手段とを備えた作業機の安全装置において、
上記制御手段に、上記検出器からの作業機の作業状態にかかる情報を受けて該作業機の安全監視を行う安全監視手段と、上記検出器の調整を行う時に選択され上記安全監視手段の機能のうち上記検出器の異常監視を行う異常監視機能を無効とした上で該検出器の調整を可能とする調整モードと、該検出器からの検出信号を受けて上記安全監視手段の機能を有効とした上で上記作業機が安全に稼働するように演算制御する通常モードとを選択可能としたモード選択手段と、制御電源の投入時に上記モード選択手段が調整モードに選択されている時には上記作業機の駆動を規制する作動規制手段を備えたことを特徴とする作業機の安全装置。 - 操作入力手段からの信号に基づいて駆動制御される駆動手段を備えた作業機に、該作業機の作業状態を検出する検出器と、該検出器からの検出信号を受けて上記作業機の稼働状態を判別し該作業機が安全に稼働するように上記駆動手段に制御信号を出力する制御手段とを備えた作業機の安全装置において、
上記制御手段に、上記検出器からの作業機の作業状態にかかる情報を受けて該作業機の安全監視を行う安全監視手段と、上記検出器の調整を行う時に選択され上記安全監視手段の機能のうち上記検出器の異常監視を行う異常監視機能を無効とした上で該検出器の調整を可能とする調整モードと、該検出器からの検出信号を受けて上記安全監視手段の機能を有効とした上で上記作業機が安全に稼働するように演算制御する通常モードとを選択可能としたモード選択手段と、制御電源の投入時に上記モード選択手段が調整モードに選択されている時には該調整モードの選択にかかわらず通常モードとして上記制御手段の制御を立ち上げる作動規制手段を備えたことを特徴とする作業機の安全装置。 - 操作入力手段からの信号に基づいて駆動制御される駆動手段を備えた作業機に、該作業機の作業状態を検出する検出器と、該検出器からの検出信号を受けて上記作業機の稼働状態を判別し該作業機が安全に稼働するように上記駆動手段に制御信号を出力する制御手段とを備えた作業機の安全装置において、
上記制御手段に、上記検出器からの作業機の作業状態にかかる情報を受けて該作業機の安全監視を行う安全監視手段と、上記検出器の調整を行う時に選択され上記安全監視手段の機能のうち上記検出器の異常監視を行う異常監視機能を無効とした上で該検出器の調整を可能とする調整モードと、該検出器からの検出信号を受けて上記安全監視手段の機能を有効とした上で上記作業機が安全に稼働するように演算制御する通常モードとを選択可能としたモード選択手段と、制御電源の投入時には上記モード選択手段の選択モードを通常モードに設定した状態で上記制御手段の制御を立ち上げる作動規制手段を備えたことを特徴とする作業機の安全装置。
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JP04039997A Expired - Fee Related JP4084860B2 (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | 作業機の安全装置 |
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JP (1) | JP4084860B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH04105261U (ja) * | 1991-02-14 | 1992-09-10 | エヌオーケー株式会社 | シールリング |
JPH05106736A (ja) * | 1991-10-11 | 1993-04-27 | Kubota Corp | エンジンのピストンの圧力リング装置 |
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1997
- 1997-02-25 JP JP04039997A patent/JP4084860B2/ja not_active Expired - Fee Related
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