JP4083973B2 - シート状媒体整合装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、シート状媒体整合装置、シート状媒体後処理装置、画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排出手段より積載手段上に排出されたシート状媒体について、前記排出手段による前記シート状媒体の排出方向上での上流側の端部を、整合位置に設けられた立壁(エンドフェンス)に突き当てることにより整合して積載する手段であって、前記積載手段(トレイ)上に排出されたシート状媒体に外力を与えて前記立壁に向けて移動させて整合する、回転体からなる戻し手段を具備したシート状媒体整合装置が知られている。
【0003】
この明細書では、取り扱われるシート状媒体として、複写紙、転写紙、記録紙、表紙、合い紙(仕切紙)、コンピュータフォーム、特殊紙、OHPシート等が含まれるが、以下では、これらを代表して用紙の名称で表示する。
【0004】
画像形成装置や、画像形成装置から排出される画像形成済みの用紙にファイリング用のパンチ穴をあけるパンチユニットや、ステープル手段、押印などの後処理を行なうシート状媒体後処理装置において、排出手段から排出されてくる用紙は積載手段である排紙トレイ、積載トレイ等と称されるトレイ上に積載されるようになっている。積載手段上に積載された用紙は、その後の利用上、自動整合されるようになっているが、用紙揃えの程度つまり、整合の精度が問題となる。
【0005】
従来の用紙処理装置の一例を示した図36、図37において、例えば図示しない画像形成装置で画像形成されて当該用紙処理装置に向けて送られてきた用紙Sは、該用紙の通過を検知する排紙センサを経て排出手段としての下コロ3a、上コロ3bによる一対の排紙コロ3に導かれ、前記搬送方向の延長上である排出方向a(下コロ3aと上コロ3bの共通接平面内で下コロ3aの軸線方向と直交する方向)に向けて排出される。
【0006】
排紙コロ3の下方には立壁(エンドフェンス或いはバックフェンスともいう。)131が設けられ、このエンドフェンス131と交差するようにしてトレイ12が位置している。トレイ12はフェンス131よりも排出方向aの下流側に進む程高さが高くなる勾配の傾斜面を有し、この傾斜面上に用紙が積載される。また、トレイ12は上下方向に移動可能であり、図示しない紙面検知フィラーがトレイ12の上面(用紙が積載されているときは用紙の最状面)位置を検知することにより、排紙コロのニップ部からの間隔が一定に保たれるように用紙が積載されるのにつれて下降するように制御されている。
【0007】
排紙コロ3からトレイ3に向けて排出される用紙S1は、この排出の過程で排出速度にもよるが、図36に示すように用紙S1の後端部がまだ排紙コロ3にくわえられているときに用紙S1の中間部が撓み該用紙S1の先端部がトレイ12上に既に積載されている積載紙S"に接しつつ送り出される。
【0008】
この状態の下では用紙S1の先端部が、積載紙S"の最上紙である用紙S2を排出方向aの下流側に押し動かしてしまうため、一旦はトレイ12の傾斜によりその後端部がエンドフェンス131に突き当てられて整合された用紙S2の後端部がエンドフェンス131から離間して排出方向の下流側にずれてしまい、後端揃えができない状態となってしまう。
【0009】
コピー業者などでは、積載された用紙束を次工程の例えば、パンチ機にかけたりするため、良好な整合状態が要求されている。整合精度の悪い用紙束であると、トレイから取り出した用紙束を再び人の手によって揃えてからパンチ機にかけなければならず作業効率の面で無駄が発生してしまう。このため、上のセグメント例えば所謂コピー業者は、積載された用紙について厳しい揃え精度を要求し、揃え精度の向上が望まれている。
【0010】
そこで、このように排出紙の先端部が積載紙を押し動かすことによる整合不良を解消するため、従来、排紙コロ3とトレイ12の上面との間であって、用紙の幅方向の中央位置に、押え手段としての押えコロ121'が回転駆動するように設けられている。
【0011】
押えコロ121'は不動部材上の定位置に固定されてトレイ12上面(用紙が積載されているときは用紙の最上面)に軽く接していて、この接する面が排出方向aの上流側に移動する向きに常時回転駆動されているので、トレイ12上に排出される用紙の先端部が積載紙を押し動かそうとしても積載紙は押えコロ121'により押えられつつさらに排出方向aとは反対側に向けて戻す向きの力を与えられてエンドフェンス131に突き当てられた状態が維持される。
【0012】
こうして、排紙コロ3から排出されてトレイ12上に落下した用紙Sはそのまま押えコロ121'に捉えられ、エンドフェンス131に突き当てられるので排出方向の後端部について所謂縦整合が乱れることはない。
【0013】
ここで、押えコロ121'は用紙の後端部を捉えやすくするためスポンジなどの弾性材で構成され、表面を凹凸形状にして、積載紙の上面に軽く圧接される状態にして変形させつつ回転させているが、積載紙と常時接して摺接回転するために早期に損耗してしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、所謂縦整合を良好に行いつつ従来の押え手段の早期の損耗を防止することのできる改良されたシート上媒体整合装置、シート状媒体後処理装置、画像形成装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
請求項1記載の発明では、排出手段より積載手段上に排出されたシート状媒体について、前記排出手段による前記シート状媒体の排出方向上での上流側の端部を、整合位置に設けられた立壁(エンドフェンス)に突き当てることにより整合して積載する手段であって、既に積載されているシート状媒体が前記積載手段(トレイ)上に排出されるシート状媒体によって前記排出方向の下流側に押し動かされないように押える機能を有する押さえ手段を具備したシート状媒体整合装置において、前記押え手段が、前記積載手段上に積載済みのシート状媒体から離間した待機位置としての第1の位置と、前記押え機能を発揮する第2の位置と、前記第1の位置と第2の位置との間で積載紙から離間した第3の位置間を移動可能な回転体からなり、この第3の位置で戻し方向に回転可能になっていて、
かつ、前記押え手段は、前記排出手段からのシート状媒体の排出のたびに該シート状媒体が前記積載手段に完全に排出される前に前記第2の位置で前記押え機能を発揮するほか、シート状媒体が前記積載手段に落下するごとに前記第2の位置で該落下したシート状媒体を前記壁に戻す戻し機能を発揮するように構成され、
前記排出手段によりシート状媒体が前記積載手段上に排出されたとき、押え手段は前記第1の位置から前記第2の位置へ移動して前記戻し機能を発揮してから前記第3の位置へ移動し、次のシートが排出されるのと合わせて前記第2の位置に移動して前記押さえ機能を発揮し、前記第1の位置へ移動するという制御手段を有し、
前記回転体からなる押さえ手段は常時戻し方向に回転駆動されているが、押さえ機能を発揮すべく前記第2の位置に移動したときには回転を停止することとした。
請求項2記載の発明では、請求項1に記載のシート状媒体整合装置において、前記押え手段を具備して、少なくとも2つの位置間を変位可能な変位手段を具備し、
前記変位手段は、たて長の部材であってその中間位置を不動部材に枢着されていて、この枢着部である第1枢着部を揺動中心として一定角度の範囲で揺動可能に設けられた第1部材と、たて長の部材であってその中間位置を、前記第1部材上の前記第1枢着部から外れた一方の自由端側に枢着されていて、この枢着部である第2枢着部を中心に一定角度の範囲で揺動可能に設けられた第2部材とを具備し、前記第2部材の前記第2枢着部での回転中心からずれた任意の自由端側に前記戻し手段を枢着し、前記第1部材の揺動と、前記第2部材の揺動との組み合わせ動作により、前記戻し手段を前記排出方向上の異なる位置に変位させ、
前記第2部材は、当該第2部材上であって前記第2枢着部を間にして前記戻し部材が設けられた側と反対側の自由端側に作用するように設けられた第2揺動手段により揺動させられ、
前記第2揺動手段は前記第2部材上の前記第2枢着部の中心からずれた任意の側の自由端側に摺動するカムであって、一部に突起部が形成された平板状カムと、前記平板状カムに前記自由端側を当接させる第2当接手段を付帯していることとした。
請求項3記載の発明では、請求項2に記載のシート状媒体整合装置において、
前記平板状カムは前記第2部材の前記自由端側の上方に位置していることとした。
請求項4記載の発明では、請求項2に記載のシート状媒体整合装置において、
前記変位手段は、戻し手段を回転駆動するための動力伝達系を具備し、この動力伝達系は前記第1枢着部、前記第2枢着部の各枢着中心を回転中心とするプーリおよびこれらプーリに掛けられたベルトを主要素としていることとした。
請求項5記載の発明では、請求項4に記載のシート状媒体整合装置において、
前記第1枢着部、前記第2枢着部とそれぞれ同心に設けたプーリおよびこれらのプーリ間に掛けられたベルトにより前記戻し手段に回転動力を伝達するとともに、該ベルトの張力により与えられる前記戻し手段と前記第2部材と一体的な枢着軸との摩擦力を利用して前記回転動力を前記第2部材に作用させて前記第2当接手段の機能を果たさせていることとした。
請求項6記載の発明では、シート状媒体に後処理を行なう後処理手段及びこの後処理されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有するシート状媒体後処理装置において、請求項1乃至5の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置を具備していることとした。
請求項7記載の発明では、シート状媒体に画像形成を行なう画像形成手段及びこの画像形成されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有する画像形成装置において、請求項1乃至5の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置を具備していることとした。
【0026】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
本実施の形態は押え手段を可変とし待機位置で積載紙と離間させる例である
例1.排出方向への移動の例シート状媒体整合装置の要部を示した図1において、前記した図36、図37におけるものと同じ符号で示した部材は、既に説明した物と同じであるので説明は省略する。
【0027】
図中、符号121は押えコロを示し、前記例における押えコロ121'に準じて排出方向aと直交する用紙の幅方向に2つ設けられているものを一括して呼称するものである。本例では、押えコロ121を排出方向a上の異なる位置に位置することができるようにしている。
【0028】
上記異なる位置のうち1つの位置は図1において、トレイ12上に既に積載されている用紙S"と非接触な2点鎖線で示す待機位置としての第1の位置であり、他の1つの位置は押え機能を発揮すべく積載紙S"に接触する実線で示す第2の位置である。便宜上、第1の位置を(I)、第2の位置を(II)で表示する。
【0029】
このように、押えコロ121を従来のように定位置に固定しておくのではなく、第1の位置(I)と第2の位置とをずれた位置関係にすることにより、押え機能を果たさない第1の位置においては積載紙S"から離間させることで回転する押さえコロ121については待機状態において積載紙S"との摩擦による損耗を防止することができる。
【0030】
また、押えコロ121が回転駆動しないタイプものである場合には、押え機能を果たした後、排出された用紙S1が積載用紙S"上に落下するのを妨げないように、速やかに第1の位置(I)に移動する。落下した用紙S1はトレイ12の傾斜を利用してバックフェンス131に突き当たるまでスライドする。以下、順を追って説明する。
【0031】
図1において、排紙コロ3の近傍であって積載紙S"の上方、積載紙S"から離間した第1の位置(I)で待機している押さえコロ121は、排紙コロ3により用紙S1が排出されその先端部が積載紙S"に接する前の図1に図示されるタイミングで第1の位置(I)から第2の位置(II)へ移動し、積載紙S"の上面に接した状態となって積載紙S"を押さえる。
【0032】
これにより、用紙S1の送りが進んでその先端部が積載紙S"の最上面に接して排出方向に押し動かそうとしても、既に押えコロ121が積載紙S"の最上面に接して押え機能を発揮しているので、積載紙S"がバックフェンス131に突き当たり整合されている既存の整合位置からずれることがない。
【0033】
また、押えコロ121が積載用紙と触れない第1の位置(I)では回転している押えコロ121は摺接対象がないので、押えコロ121を常時積載紙S"と摺接する構成の従来技術と比べて、押えコロ121の経時的な損耗の度合いを著しく減少させることが可能である。
【0034】
図2には、図1に示した状態よりもさらに用紙S1の排出が進んで用紙S1の排出方向aの上流側の端部(後端部)が排紙コロ3を完全に抜けて該後端部が第2の位置(II)にある押えコロ121上に落下する直前の状態を示している。仮に押えコロ121の上に後端部が落下すると用紙S1は積載用紙S"上に落下することができない場合を生じる。このような事態を避けるため、後端部が押えコロ121に落下する前に第2の位置(II)にある押えコロ121を第1の位置(I)に退避させる。これにより、用紙を積載用紙上に落とすことができる。
【0035】
この戻しのタイミングが早すぎると押え機能が不十分になるし、遅すぎると用紙が積載用紙S"上に落下せず押さえコロ121に引っ掛かった状態になりかねない。
【0036】
このように用紙S1の後端部が第2の位置(II)にある押えコロ121上に落下する前に押さえコロ121を第1の位置(I)に移動させることにより用紙S1を積載紙S"上に落下させたとしても、用紙が上凸のバックスカールしているときには、積載紙S"の上面はトレイの傾斜と比べて傾斜が緩やかとなっており、このため用紙S1が傾斜を利用した自重による滑りによりバックフェンス131に移動しない場合がある。その場合には後端部の整合性に不良が生ずる。
【0037】
かかる懸念があるときには、図3に示すように第1の位置(I)に移動した押えコロ121を再度第2の位置(II)に移動させ、押えコロ121の回転による戻し力により用紙S1の後端部がバックフェンス131に突き当たるまで移動させる戻し機能を発揮させる。
【0038】
このように、最初に押え機能を発揮させ、次いで戻し機能を発揮させる形態のときには、その都度第1の位置まで戻るのは時間的にロスである。そこで、図4に示すように、押えコロ121について、第1の位置(I)と第2の位置(II)との間で積載紙S"から離間した第3の位置を設定し、第2の位置(II)で押え機能を発揮した後、第3の位置(III)まで移動して待機し、押え機能発揮時に排出手段から排出された最新の用紙S1がトレイ12上に落下するのを待って第2の位置へ移動してその位置で該最新の用紙S1をエンドフェンス131に戻す戻し機能を発揮させることとした。第2の位置(II)からは第1の位置(I)よりも第3の位置(III)の方が近いので、時間的なロスを短縮することができる。
【0039】
上記説明では押え機能を発揮してから第3の位置へ移動し、用紙の排出に合わせて戻し機能を発揮させるため第2の位置へ移動するとして説明したが、ジョブの第1枚目ではトレイ12上に押えるべき用紙がないので、最初は第1の位置から第2の位置へ移動して戻し機能を発揮してから第3の位置へ移動し、次の用紙が排出されるのと合わせて第2の位置へ移動して押え機能を発揮し、その後第3の位置へ戻り、用紙の排出と合わせて第2の位置で戻し機能を発揮し、第1の位置へ戻るというサイクルが実用的である。
例2.上下方向の変位手段
上記例1では押えコロ121が位置する、第1の位置(I)と第2の位置(II)間の移動方向が排出方向a上での異なる2つの位置であったが、これに限らず、第1の位置と第2の位置とを排出方向aと直交する略上下方向に設定することによっても、同様の利点を得ることができる。
以下に押えコロ121の移動方向を上記のように略上下方向に設定した例を、押えコロ121をそのように変位させる変位手段の例と共に説明する。
【0040】
図5乃至図7により変位手段を説明する。
本例においては、押えコロ121"は2つの揺動アーム300a、300bの一端側に軸支されている。揺動アーム300a、300bの他端側は不動部材に軸支された軸301に軸支されている。軸301にはプーリ302、押えコロ121"と一体的な軸にはプーリ303が一体的に設けられていて、これらプーリ302、303間にはベルト304が掛けまわされている。同様に軸301と一体的なプーリ306とモータ307の軸と一体的なプーリ308との間にもベルト309が掛けまわされていて、モータ307の回転が押さえコロ121"に伝達されることにより押えコロ121"を回転駆動することができる。
【0041】
揺動アーム300a、300bの中間位置にはリンク310の一端側が枢着され、他端側はソレノイド311のプランジャに枢着されている。なお、図示しないが、ソレノイド311のプランジャは引出される方向に図示省略の引っ張りばねにより引かれているものとする。
【0042】
ソレノイド311が非励磁状態のときには、図5に示されるように上記図示省略のばねの付勢力によりプランジャは引き出され、このため揺動アーム300a、300bは軸301を中心に時計まわりの向きに回動させられており、このとき押えコロ121"はトレイ12の上面(或は用紙が積載されていれば積載用紙の状面)から離間した第1の位置(I)にある。
【0043】
また、ソレノイド311を励磁状態にすれば、図6に示されるように上記ばねの付勢力に抗してプランジャは引き戻され、押えコロ121"はトレイ12の上面(或は用紙が積載されていれば積載用紙の状面)に軽く接した2点鎖線で示す第2の位置(II)にある。
【0044】
このように、揺動アーム300a、300b、リンク310、ソレノイド311などからなる変位手段により押さえコロ121"を第1の位置(I)と第2の位置(II)間に任意に移動させることができる。また、モータ307により押えコロ121"を回転駆動することができる。
【0045】
このように、本例による変位手段により、押さえコロ121"を上下方向の第1の位置(I)と第2の位置(II)間に任意に移動させることにより、前記例1で述べたと同様の押え機能を得ることができる。
【0046】
例3.排出方向の変位手段
上記、上下方向での移動による場合では、排紙コロ3から排出された用紙S1が図8に2点鎖線で示すように順次下降して積載紙S"上に落下するのであるが、積載紙S"がフェースカールしている場合で、前記図4で説明したように用紙の上面の傾斜がトレイ12本来の傾斜α°よりも傾斜の緩いβ°に変化しているため、自然落下した用紙S1は自重によってエンドフェンス131に突き当たるまで移動することができない。このため、整合不良の用紙S1'を生じてしまう。
【0047】
このような整合不良を解消することは、前記図5乃至図7に示した押えコロ121を上下移動させる変位手段ではできず、前記図1乃至4で示したように排出方向aについて位置変位可能な変位手段を用いる必要がある。そこで、以下に排出方向aについて押えコロ121の位置変位を可能にする変位手段の例を説明する。
【0048】
図9は変位手段を押えコロと共に組み立て状態でその要部を示した図、図10は変位手段を押えコロと共に分解した状態で示した図である。これらの図において、構成部材はフレーム200に取り付けられて組み立てられている。
【0049】
押えコロ121は押えコロ121aと、押えコロ121bとからなる。押えコロ121aを変位させる手段と、押えコロ121bを変位させる手段とは共通部分において全く同じ構成である。そこで、説明の煩雑を避けるため、この共通部部分の構成に関しては押えコロ121a関係については部材を表す数字の符号にaの文字を付して表して説明し、戻しコロ121b関係については部材を表す数字の符号にbの文字を付すにとどめ、説明は省略する。
【0050】
変位手段の基本構成は次のとおりである。
図9、図10において、第1部材(以下、駆動レバーという。)123aはたて長の部材であって、その中間位置を軸129により貫通されることにより不動部材であるフレーム200に枢着されている。ここで、軸129は駆動レバー123aに対して回転自在であり、軸129の両端部は軸受520、521を介してフレーム200に軸支されている。駆動レバー123aについて軸129により貫通された部位は枢着部であり、この部位を第1枢着部522aと称する。駆動レバー123aは第1枢着部522aを揺動中心にして一定角度の範囲で揺動可能である。
【0051】
第2部材(以下、従動レバーという。)122aはたて長の部材であってその中間位置にて突出している軸部524aを、駆動レバー123a上の第1枢着部522aから外れた一方の自由端側である第2枢着部523aに嵌合することにより枢着されている。従動レバー122aは第2枢着部523aを中心に一定角度の範囲で揺動可能である。
【0052】
従動レバー122aの第2枢着部523aでの回転中心(軸部524aの中心)からずれた任意の自由端側には、軸部525aが一体に形成されており、この軸部525aに押えコロ121aが枢着されている。
【0053】
これら駆動レバー123aの第1枢着部522aを中心とする揺動と、従動レバー122aの第2枢着部523aを中心とする揺動との組み合わせ動作により、従動レバー122aの自由端側に枢着された押えコロ122aを排出方向a上の異なる位置に変位させることとする。
【0054】
これにより、揺動自在の単体レバーの先端部に押えコロを設ける構成に比べて押えコロ121を遠方まで変位させることが可能であり、駆動レバー123aと従動レバー122aとの折曲自在な構成により同じストロークを達成するための他の構成と比べてコンパクトな構成となし得、しかも、山形の軌跡を描かせるなど上下方向の変位も可能でフェイスカールにより後端部が上方に跳ね上がった部位を乗り越えてトレイ上の用紙の上に当てることも可能となる。
【0055】
駆動レバー123aは第1枢着部522aを中心にして考えたときに従動レバー122aが設けられた側と反対側の自由端側に板金からなるブラケット124がねじ526aによって固定されている。これにより駆動レバー123aは板状をしたブラケット124と一体化されている。
【0056】
このブラケット124の、排出方向aの上流側の側面部には駆動レバー123aを揺動させる偏心カム125の周面が当接している。偏心カム125はフレーム200と一体的に構成された支持板527に軸支された軸528と一体的に回転させられるようになっている。偏心カム125のカム面をブラケット124に弾性的に押し当てる第1当接手段として、ねじりコイルばね529aが設けられている。このねじりコイルばね529aのうち、ボス状をした第1枢着部522aの外周をゆるく巻いた該ねじりコイルばね529aの一端側が駆動レバー123aの側部に掛けられ、該ねじりコイルばね529aの他端側がフレーム200の一部として構成されたフック530aに掛けられている。
【0057】
このねじりコイルばね529aの弾性により、駆動レバー123aは第1枢着部522aを中心にして矢印の向きに回動付勢され、偏心カム125に弾性的に押圧される。よって、偏心カム125を回転駆動することにより、カム面の変位量に従い駆動レバー123aは第1枢着部522aを中心にして揺動する。
【0058】
偏心カム125はエンドレスなカム面を有するので、その回転運動により駆動レバー123、ひいては押えコロ121に周期的な変位を与えることができる。
【0059】
第1当接手段としてのねじりコイルばね529aと偏心カム125を以って、第1揺動手段が構成され、この第1揺動手段によって偏心カム125と駆動レバー123a(ブラケット124)の自由端側の摺接が得られ、偏心カム125の回転に応じて駆動レバー123aを偏心量に従う所定角度で揺動させることができる。
【0060】
このように第1揺動手段によって駆動レバー123aを所定角度揺動させることによって、該駆動レバー123a上に乗っている従動レバーを押えコロ121aと共に移動させ、戻しコロ121aに対して排出方向aについての円弧状の変位を与えることができる。
【0061】
偏心カム125を固定している軸528には円盤の一部を半円状に切り欠かれた遮蔽板531がその軸心部を固定されており、かつ、歯車532がその軸心部を固定されている。歯車532には歯車533が噛み合わされており、この歯車533は支持板527に固定されたステッピングモータ126により回転駆動されるようになっている。また、遮蔽板531の切欠部が通過する部位にはセンサ127が固定されていて、センサ127による遮蔽板531の検知情報により偏心カム125の回転量を検知し、ステッピングモータ126の駆動停止を制御することができる。センサ127及び遮蔽板531の組み合わせはエンコーダを構成し、偏心カム125はステッピングモータ126を駆動源として上記エンコーダにより回転量が制御される。このようにステッピングモータとエンコーダの組み合わせの構成を採用することにより戻しコロ121の位置を適正に管理することができる。例えば、押えコロ121を図1乃至図4等に示した第1の位置(I)、第2の位置(II)、第3の位置(III)等にあるように位置決めすることができる。
【0062】
従動レバー122aは、当該従動レバー122a上であって第2枢着部523a(軸部524a)を間にして戻しコロ121aが設けられた側と反対側の自由端側534aに作用するように設けられた第2揺動手段により揺動させられる。
【0063】
この第2揺動手段は、駆動レバー123aの揺動に伴い、第2枢着部523aを中心に従動レバー122aを所定角度量だけ揺動させるもので、かかる第2揺動手段を設けることにより、第2枢着部523aと中心とする駆動レバー123aに対する従動レバー122aの角度を変位させることで戻しコロ121を所望の軌跡を以って所望の位置間に移動させ得る。かつ、従動レバー122aの揺動動作と駆動レバー123aの揺動動作とを組み合わせることにより、戻しコロ121のストロークを稼ぐことができる。
【0064】
第2揺動手段は従動レバー122a上の前記第2枢着部の中心からずれた押えコロ121aが設けられた側と反対側の自由端側534aに形成した突起535aに摺動するカムであって、曲率無限大の周面の一部に台形状の突起部536が形成された平板状カム537と、該平板状カム537を突起535aに当接させる第2当接手段を付帯している。この第2当接手段としては、軸部524aにねじりコイルばねを巻き、該ねじりコイルばねの一端側を従動レバー122aに掛け、該ねじりコイルばねの他端側を不動部材に掛けることにより構成することができる。
【0065】
第2当接手段により平板状カム537に対する突起535aの当接状態が得られることにより、駆動レバー123aの揺動に応じて押えコロ121aを周期的に上下動させることができ、駆動レバー123a及び従動レバー122aの揺動との組み合わせにより押えコロ121aを山形の軌跡で変位させることができるので、トレイ12上に積載された用紙を排出方向aに押し出すことなく、第2の位置(II)へ移動することができる。
【0066】
図9、図10に図示されるように、平板状カム537は従動レバー122aの自由端側534aの上方に位置している。このような位置関係では押えコロ121aの下方にはトレイ12が位置している。
【0067】
トレイ12は積載される用紙の上面と排紙コロ3との間の距離を一定に保つために、用紙が排出されてトレイ12上の高さが高くなるにつれて下降するようにモータ駆動されるようになっている。
【0068】
トレイ12の上限と下限には安全対策としてのリミットスイッチが設けられていて、トレイ上下動用のモータが暴走した場合でも停止するように制御されるが、かかるリミットスイッチに到達する以前に、仮に何らかの原因でトレイ12が異常事態により上昇した場合でも、本例のように平板状カム537が従動レバー122aの自由端側534aの上方に位置している構成とすれば、上昇するトレイ121が押えコロ121aを押し上げても、第2枢着部523aを中心に従動レバー122aは平板状カム537から逃げることができ、従動レバー122aが回動するだけで他部材との干渉がないので、部材の損傷を免れることができる。
【0069】
押えコロ121aを回転駆動するための動力伝達系について説明する。
動力伝達系は、第1枢着部522a、第2枢着部523aの各枢着中心を回転中心とするプーリおよびこれらプーリに掛けられたベルトを主要素としている。ここで、プーリ及びベルトには、歯車及びチェーンも同様な動力伝達手段として包含するものとする。
【0070】
図10において、軸129と一体的に回転するプーリ538aと、軸部524aに枢着されているプーリ539aと、これらプーリ538aとプーリ539aとに掛けまわされたベルト540aからなる組み合わせがある。
【0071】
また、軸部524aに枢着されているプーリ541aと、軸部525aに枢着され押えコロ121aと一体に構成されたプーリ542aと、これらプーリ541aとプーリ542aとに掛けまわされたベルト543aからなる組み合わせがある。なお、プーリ541aとプーリ539aとは共通の軸部524aに嵌合された状態では側面部に形成された噛み合わせ部が噛み合うことにより一体的に回転される状態となる。
【0072】
軸129の軸端部には継手555を介してステッピングモータ556がフレーム200に固定されていて、軸129を回転させる。或は、ステッピングモータ556を設けない場合にはプーリ544を設け、排紙コロ3と共通駆動のベルト557を介して回転動力を得る。何れにしても、軸129が回転することにより、プーリ538a→ベルト540a→プーリ539a→プーリ541a→ベルト543a→プーリ542a→押えコロ121aの順を動力の伝達して押えコロ121aが回転され、戻しのための回転がなされる。
【0073】
このように、駆動レバー123a、従動レバー122aの各揺動支点部にプーリを配置しこれらのプーリを介して押えコロ121aに動力伝達される構成とし動力伝達のプーリの軸部を押えコロ変位のための揺動支点軸と共通化したので、動力伝達系を簡単に構成でき、かつ、駆動レバー123aの外部からも容易に動力をとり入れることができ変位手段を軽量かつコンパクト化できる。
【0074】
上記したように図10において、押えコロ121a回転のための動力は、第1枢着部522aと同心の軸129と一体的に設けられたプーリ538aと、第2枢着部523aと同心の軸部524aに枢着されたプーリ539aと、これらプーリ538aとプーリ539a間に掛けまわされたベルト540aを介して伝達される構成を含んでいる。
【0075】
この動力伝達系の断面を示した図11において、プーリ538aは軸129と一体的に固定されている。プーリ539aは軸部524aに枢着されている。本例では特に、これらプーリ538aとプーリ539a間に掛けまわされたベルト540aの張力を適度に選択してこの張力によりプーリ539aを軸部524aに押しつけることにより、該プーリ539の内径部と軸部540aとの間に適度の摩擦力を作用させる。この摩擦力によりプーリ539aの回転力は軸部524aにも伝えられて、従動レバー122aは第2枢着部523aを中心にして回動付勢される。
【0076】
図9、図10において、押えコロ121aに用紙をバックフェンス側に戻す戻し機能を果たさせるための回転の向きは反時計まわりの向きである。この回転の向きで押えコロ121aを回転させるときのプーリ539aの回転の向きは反時計まわりの向きであり、この向きの回転のときに上記摩擦力によって従動レバー122aに与えられる回動付勢力もまた、第2枢着部523aと中心とする反時計まわりの向きであり、この回動付勢力により従動レバー122aの突起535aが平板状カム537に押圧される向きに付勢される。
【0077】
本例のように、ベルト540aの張力によるプーリ539aと軸部524aとの摩擦力及びプーリ539aの回転力を利用した従動レバー122aの回動付勢により、従動レバー122aの突起535aを平板状カム537に押圧させる第2付勢手段の機能を果たさせることができ、ねじりコイルばねを使用する場合に比べて、簡易な構成となすことができる。突起535aが平板状カム537に適度の押圧力で押圧された状態でプーリ539aと軸部524aとがスリップするようにベルト540aの張力は適度に設定するものとする。
【0078】
前記図9〜図11で説明した構成の変位手段により押えコロを変位させて行なう整合動作について構成の説明を加えながら図12〜図13を参照しながら説明する。図12において押えコロ121は用紙整合装置の排紙コロ3の下部近傍に位置しており、本例では2個の押えコロ121a、121bからなり、排出方向aと直交する用紙の幅方向の中央部に対向して配置されている。
【0079】
この押えコロ121aと121bの近傍に積載面の紙面高さを検知するための紙面レバー73が位置しており、用紙が積載されると紙面レバー73の遮蔽部が紙面センサ74で検知されてトレイ12を下降させる。従って、紙面レバー73とトレイ12上の用紙の積載面との接触点は常に一定の高さに制御される。
【0080】
図3で説明したように、押さえコロ121に戻し機能を発揮させるときには再度、押えコロ121を第2の位置まで変位させて用紙の後端部に接触させて回転力で戻す。
【0081】
既に説明したように、押えコロ121は従動レバー122a、122bの軸部525a、525bに枢着されており、これら従動レバー122a、122bの反対側の軸部524a、524bは、駆動レバー123a、123bに挿入されて該軸部524a、524bを中心に従動レバー122a、122bは回動するようになっている。
【0082】
また、駆動レバー123a、123bは従動レバー122a、122bが枢着している反対側を軸129に挿通されていて該軸129を中心に回動するようになっている。さらに、駆動レバー123aと123bにはブラケット124が接合されており、ブラケット124を偏心カム125で変位させることによって、駆動レバー123a、123bを、軸129を中心に揺動させ、さらには駆動レバー123a、123bに枢着されている従動レバー122a、122bを揺動させ、押えコロ121を変位させる。
【0083】
図14に示されているように、押えコロ121は第1の位置(I)(ホームポジション)から2点鎖線で示す第2の位置(II)まで移動して、トレイ12上に落下した用紙の後端に接触してその回転力でエンドフェンス131まで該用紙を引き戻し、後端部の整合を行う。
【0084】
駆動レバー123a、123bに接合されているブラケット124を矢印J方向に変位させる偏心カム125はステッッピングモータ126から歯車533、532による伝達駆動を受けて回転し、この回転により上記の変位を行なわせる。
【0085】
偏心カム125には半円状の遮蔽板531が付加されており、この遮蔽板531をセンサ127で検知することによって偏心カム125の停止位置を規制して、すなわち押えコロ121の停止位置を規制している。図14において、押えコロ121の第1位置(I)(待機位置)は実線で示した位置、第2の位置(II)(戻し、押え位置)は2点鎖線で示した位置である。
【0086】
次に、押えコロ121の変位のタイミングについて説明する。
通常は、第1の位置(I)にあり、用紙が排紙コロ3から排出され、該用紙の排出方向下流側の端部である先端部が積載用紙に接する前に第1の位置(I)から第2の位置(II)へ変位させる。平板状カム537によるカム形状に従い山形の軌跡を以って変位した押えコロ121が積載紙の後端部に上方から下降して接触して、排出される用紙の先端部が積載紙を押し動かさなくなるまでの所定時間第2の位置(II)にとどまり押え機能を発揮してから、偏心カム125を回転させて第1の位置(I)或は第3の位置(III)まで変位させ、次いで、上記排出された用紙が積載紙上に落下した後、この用紙をバックフェンスに戻すべく再度第2の位置(II)への移動し、戻し機能を発揮した後、第1の位置(I)へ戻すサイクルを繰り返す。このような動作により、押え機能と戻し機能により用紙の排出方向aについての揃え精度を向上させることができる。
【0087】
ここで、図3に示したほどバックカールの状態が著しくなく、排紙コロ3から排出されただけで十分にバックフェンス131に突き当たるまで戻すことができ、戻し機能を発揮しなくてもよい場合には、押さえコロ121に戻し機能を発揮させる必要はなく、回転駆動させることなく、第1の位置(I)と第2の位置(II)間を往復動するサイクルを行なわせればよい。
【0088】
次に押えコロ121の回転駆動の構成例を図15(a)により説明する。押えコロ121aには図10にも示したようにプーリ542aが一体的に形成されており、これらのプーリは軸部524上のプーリ541aとベルト543aで結ばれている。さらに、プーリ541aと同軸かつ一体的なプーリ539aがベルト540aを介して駆動側のプーリ538aと結ばれている。
【0089】
駆動源に連結された軸129と一体的に回転するプーリ538aによりベルト540aが回転してプーリ539a、541aを回転させ、これによりベルト543aを介してプーリ542aが回転して戻しコロ121が回転する仕組みである。プーリ542bについてもこれに準ずる。
【0090】
ここで、ベルト543は図14の従動レバー122a(122b)の内部に、ベルト540は駆動レバー123a(123b)の内部に各々収納されている。これらの構造は図10により説明した通りである。
【0091】
本例では、軸129は、駆動側の下コロ3aを回転させているステッピングモータ132によってベルト557を介して回転するようにしている。すなわち、排紙コロ3を回転させているステッピングモータ132によって押えコロ121も回転させている。
【0092】
或は、上記のようにステッピングモータ132を兼用しないで、図15(b)や図10に示すように、軸129を回転させる専用のステッピングモータ556を設けた構成とすることもできる。図15(a)の場合にはステッピングモータ132が兼用されるのでモータが1台で済む半面、排紙コロ3の駆動と戻しコロ3の駆動を個別に制御できない欠点があり、図15(b)のように個々に駆動モータを設けた例では、排紙コロ3の駆動と戻しコロ3の駆動を個別に制御できる利点がある。
【0093】
何れにしても、用紙が排紙コロ3を通過してトレイ12に落下するまで戻しコロ121を第1の位置(I)に待機させ、所定のタイミングで第2の位置(II)まで変位動作させることによって、押え機能或は戻し機能を果たすことを可能にしている。
【0094】
第1の位置(I)と第2の位置(II)とで、駆動レバー123と従動レバー122とのなす角度(係合角度)を変える構成とした点について説明する。
押えコロ121を支持して変位させる変位手段としての従動レバー122と駆動レバー123の係合角度を、押えコロ121の第1の停止位置と第2の停止位置とで変化させることによって、押えコロ121の移動距離を大きくすることができる。
【0095】
図16に示すように、押えコロ121の第1の位置(I)での駆動レバー123と従動レバー122の係合角度η°よりも第2の位置(II)での係合角度θ°の方が大きくなることによって、直接、駆動レバー123上に押えコロ121を配置するよりも、軸129を中心とした同じ回転角度であれば、押えコロ121の移動距離Xを大きくすることができるのである。
【0096】
移動距離Xを大きくすることができれば、特に戻し機能発揮時においてトレイ12に落下した用紙の後端部を押えコロ121に接触させることが確実になり、揃え精度を向上させることができる。例えば、用紙が何らかの要因で押えコロ121から離れた位置に落下積載されても、押えコロ121の移動距離が大きくなればなるほど、用紙後端部への接触が確実になる。
【0097】
ここで、従動レバー122の揺動量は、平板状カム537のカム特性によって定まる。従動レバー122の揺動中心である第2枢着部523aから外れた自由端側534aに形成された突起535aを平板状カム537に摺動させることによって平板状カム537の突起部536が突起535aを押し下げる量により、従動レバー122の回転量が規制されている。従って、押えコロ121の移動軌跡も必然的に平板状カム537と突起部536の接触軌跡によって決定されてくるのである。
【0098】
押えコロ121は、用紙の後端部の高さを検知している紙面レバー73の近傍で用紙に接触する。用紙後端部は、常に一定の高さに制御されているため、押えコロ121が、突起部536への突起535aの乗り上げにより第2の位置(II)に移動した時には、用紙後端部に押えコロ121が接触し、押えコロ121の戻し部(スポンジ部)が若干、変形して押え機能を果たし、或は戻し機能を旗薄ことが可能になっている。
【0099】
このように、駆動レバー123は一端側を固定中心として回転するようになっていて、他端側に従動レバー122が枢着されていて従動レバー122の該枢着部を中心とした一端側に押えコロ121が設けられ、反対側に揺動量を規制するカム手段が設けられている。押えコロ121が第1の位置(I)で、駆動レバー123、従動レバー122の双方の係合角度よりも、第2の位置(II)での係合角度を大きくすることによって、単一の揺動支持部材で押えコロ121を支持する場合よりも同じ回転量でより遠くまで動作することが可能である。また、駆動レバー123、従動レバー122双方の係合角度をカム手段によって可変とするのでトレイ12との位置関係をみながら最適な戻し位置に移動させることも可能である。よって、少ないスペースで第1の位置(I)と第2の位置(II)間を揺動する戻しコロを実現し、排出方向の揃え精度を向上することができる。
【0100】
押えコロ121の変位時の軌跡について図16を参照しながら説明する。用紙後端部がフェイスカール(上向きカール)している場合、押えコロ121が待機位置である第1の位置(I)から押え、或は戻しのための第2の位置(II)に移動する際、押えコロ121でカールして上にはね上がっている用紙の後端部を押し出して揃え精度を悪化させてしまう可能性がある。
【0101】
その対策として従動レバー122の自由端側に534aの先端部に突起535aを形成し、これを平板状カム537の一部に形成した突起部536と摺接するようにしている。これにより、従動レバー122aの揺動に連れて突起535と突起部536との双方の凸形状部が接触する前は、従動レバー122の自由端側534aが上に変位しこれに伴い回転中心の反対側の押えコロ121は上に上がり、そして、双方の凸形状部が接触すると押えコロ121は下に下がる。
【0102】
用紙の後端部のカールを乗り越えるまでは、上記カムを利用して押えコロ121を上に上げ、乗り越えたら上記カムを利用して押えコロ121下げるようにする。つまり、上記カムを利用して押えコロ121に山形の軌跡を描かせるのである。これにより、後端部がフェイスカールした用紙を押し出す危険性を軽減させ、揃え精度を悪化させないようにしている。
【0103】
[実施の形態2]
下では、前記図4乃至図16で説明した構成の変位手段を具備したシート状媒体整合装置をシート状媒体後処理装置に設けた例について説明する。
【0104】
(1)シート状媒体後処理装置の概要
この発明にかかるシート状媒体後処理装置としては、用紙に後処理を行なう後処理手段及びこの後処理された用紙を搬送する搬送手段を有するものが含まれ、後処理の内容としては、押印、穴あけ、ステープル処理、そのほか、シート状媒体に何らかの加工を行なうものが含まれる。
【0105】
このシート状媒体後処理装置には前記図4乃至図11で説明した変位手段を具備したシート状媒体整合装置が一体的に構成されている。当該シート状媒体後処理装置において、後処理実行有無の選択ができ、後処理実行が選択されたことにより後処理された用紙、或いは後処理実行が選択されなかったことにより後処理が行なわれなかった用紙は、シート状媒体処理装置の仕分け機能及び揃え機能によってトレイ上に仕分けられた状態で揃えることができる。
【0106】
図17に本例にかかるシート状媒体後処理装置51の全体構成例を示す。本例のシート状媒体後処理装置は、用紙を排出する手段をもつ他の装置、例えば、揃え機能を有しない画像形成装置50と連結して組み合わされて用いられ、揃え機能によって用紙をトレイ上に揃えることができる。
【0107】
画像形成装置50において画像形成された用紙は、シート状媒体後処理装置51に至る。後処理の有無は選択することができ、選択により後処理された用紙或いは選択により後処理を行なわなかった用紙はシート状媒体後処理装置51と組み合わされたシート状媒体整合装置の整合動作によって排出方向aについてトレイ上に揃えられ、かつ、必要に応じ、排出方向aと直交する方向について所定枚数ずつ位置をずらした仕分け状態で積載される。この仕分け機能は、排出方向aと直交するシフト方向(図18に符号dで示す。)にトレイ12を移動させるトレイ移動手段98(後述)により行なわれる。
【0108】
画像形成装置50では、オペレーターにより指示された後処理内容に従い画像形成手段により画像形成された用紙Sがシート状媒体後処理装置51に送られてくる。
【0109】
シート状媒体後処理装置51における後処理内容としては、画像形成装置50が複写機の場合には次のモードがある。▲1▼用紙を排出順に単に積載する通常モード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数を指示することで処理が実行される。▲2▼ステープル処理を行なうステープルモード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数のほか、綴じ枚数や綴じ位置等を指示することにより処理が実行される。▲3▼仕分け処理を行なう仕分けモード。このモードでは用紙サイズと仕分け部数を指示することで処理が実行される。▲4▼パンチモード。このモードでは、穴あけが行なわれる。
【0110】
これらの後処理にかかる作業指示は、画像形成装置50の操作パネルからキー操作によりCPUを含む制御手段に伝えられ、画像形成装置50及びシート状媒体後処理装置51の間で後処理遂行の信号授受が行なわれて後処理が実行される。
【0111】
図17に示すように、シート状媒体後処理装置51は、積載手段としての昇降可能なトレイ12を有しているとともに、位置固定トレイとしてのプルーフトレイ14を装置上部に有している。
【0112】
画像形成装置50との用紙受け渡し部位の近傍には、入口センサー36、入口ローラ対1が設けられており、画像形成装置50(図12参照)の排紙コロ525を経て入口ローラ対1により取り込まれた用紙は、後処理モードに応じてそれぞれの搬送経路を搬送される。
【0113】
入口ローラ対1の下流には穴開けを行うパンチユニット15が設けられており、パンチユニット15の下流には搬送ローラ対2aが設けられている。搬送ローラ対2aの下流には分岐爪8aが設けられており、用紙は分岐爪8aによりプルーフトレイ14へ向かう搬送経路と、略水平に進む搬送経路とに選択的に案内される。プルーフトレイ14へ向けて搬送された場合、用紙は搬送ローラ対60で搬送され、排紙ローラ対62によりプルーフトレイ14へ排出される。
【0114】
分岐爪8aの下流には分岐爪8bが設けられており、用紙は分岐爪8bによりノンステイプルルートEと、ステイプルルートFへ選択的に案内される。分岐爪8a、8bは、図示しないソレノイドのオン/オフ制御により位置を切り替えられるようになっている。
【0115】
ノンステイプルルートEへ案内された用紙は、搬送ローラ対2bにより搬送され、排出手段としての排紙ローラ3によりトレイ12に排出される。排紙ローラ3の下部と重なるようにして或は下方位置には前記図9乃至図16で説明した変位手段により変位される押えコロ121が設けられている。
【0116】
装置本体の図中左側面は、トレイ12に対する用紙の後端揃えを行うエンドフェンス131となっている。
【0117】
排紙ローラ3は、上コロ3aと、下コロ3bを有し、下コロ3bは用紙排出方向aの上流側を支持されて上下方向に回動自在に設けられた支持部材66の自由端部に回転自在に支持されている。下コロ3bは自重又は付勢力により上コロ3aに当接し、用紙は両ローラ間に挟持されて排出される。綴じ処理された用紙束が排出されるときは、支持部材66が上方に回動され、所定のタイミングで戻される。このタイミングは排紙センサ38の検知信号に基づいて決定される。
【0118】
ステイプルルートFへ案内された用紙は、搬送ローラ対2cにより搬送される。搬送ローラ対2cの下流には分岐爪8cが設けられており、用紙は分岐爪8cにより、ステイプル本ルートGと、退避ルートHへ選択的に案内される。分岐爪8cも図示しないソレノイドのオン/オフ制御により位置を切り替えられるようになっている。
【0119】
ステイプル本ルートGへ案内された用紙は、搬送ローラ対4を経て排紙センサ37で検知され排紙ローラ対68により図示しないステイプルトレイへ積載される。この場合、用紙毎に叩きローラ5で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス9にてシフト方向(排出方向aと直交する用紙幅方向)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束の最終紙から次の用紙束の先頭紙の間で図示しない制御手段からのステイプル信号によりステイプラー11が駆動され、綴じ処理が行われる。
【0120】
画像形成装置50から排出される用紙間の距離が短く、綴じ処理をしている間に次の用紙が来る場合には、該次の用紙は退避ルートHへ案内され、一時的に退避させられる。退避ルートHへ案内された用紙は、搬送ローラ対16により搬送される。
【0121】
綴じ処理が行われた用紙束は、直ちに放出爪10aを有する放出ベルト10によりガイド69を経て排紙ローラ3へ送られ、トレイ12へ排出される。放出爪10aはセンサ39によって所定位置を検知されるようになっている。
【0122】
叩きローラ5は支点5aを中心に図示しないソレノイドによって振り子運動を与えられ、上記ステイプルトレイへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙をエンドフェンス131に突き当てる。図示しないが、排紙ローラ対68はブラシローラを有しており、これによって用紙後端の逆流が防止される。なお、叩きローラ5は反時計回りに回転する。ここまでがシート状媒体後処理装置の本来的な機能部分の構成及び動作の概要である。
【0123】
シート状媒体後処理装置51では、本来的な機能である後処理を行なうことができると共に、以下に述べるように、トレイ12上に積載された後の用紙を揃えることができる。この揃えには、排出方向aの端部を揃えることと、シフト方向dの端部を揃えることの2つの意味があるが、前者の揃えはエンドフェンス131への突き当て及び押えコロ131の機能によりなされ、後者の揃えは対向する2つの揃え部材102a、102bからなる揃え手段102によりなされる。揃え手段102による揃えの詳細は省略する。
【0124】
図17において、シート状媒体後処理装置は、排紙コロ3、排紙コロ3より排出される用紙Sを積載するトレイ12、トレイ12を昇降させるトレイの昇降手段、トレイ12の昇降方向の位置を制御する位置決め手段、トレイ12を図17の排出方向aと直交するシフト方向d(図17の紙面を貫く方向)に往復動させるトレイの移動手段、トレイ12上での用紙のずれを防止する押さえコロ121、押えコロ121を変位させる変位手段などからなる。
【0125】
このうち、上記トレイの昇降手段は図18(a)に符号95、昇降方向の位置決め手段は図18(a)、(b)に符号96、トレイの移動手段は図19、図20に符号98で示され詳細は以下でそれぞれ説明する。
(2)トレイ、その昇降手段、昇降方向の位置決め手段、トレイ移動手段
図17において、用紙Sは分岐爪8bから用紙の搬送手段である搬送ローラ対2bにより排紙センサ38を経てトレイ12に向けて搬送され、排紙コロ3により排出方向aに送り出される。
【0126】
図17、図18に示すように、トレイ12の上面は排出方向aに進むほど、上面の高さが増す傾向に傾斜している。該トレイ12の傾斜面の下方基端部には鉛直面からなるエンドフェンス131が位置している。
【0127】
図17において排紙コロ3から排出された用紙Sは、受け入れ位置で待機している揃え部材102a、102b間に進入し、重力によりトレイ12上、上記傾斜に沿って滑り、後端部がエンドフェンス131に突き当たることにより後端部が揃えられ整合される。後端部が整合されたトレイ12上の用紙Sは揃え部材102a、102bの揃え動作により幅方向が揃えられる。
【0128】
図18(a)に示すように、トレイ12の上面であって、揃え部材102aに対向する部位には凹部80a、揃え部材102bが対向する部位は凹部80bがそれぞれ形成されていて、トレイ12の上面よりも部分的に低くなっている。少なくともこれら凹部80a、80b上に用紙が積載されていない状態では、受け入れ位置にある揃え部材102a、102bはこれら凹部80a、80bの中にその一部が進入しトレイ12とオーバーラップした状態を保持するようになっている。これは、揃え動作において揃え部材102a、102bを用紙Sの端面に確実に当てるためである。
【0129】
図18(a)において、トレイ12はトレイ昇降手段95により昇降されるとともに、位置決め手段96により用紙Sの着地に適する位置に常時制御されるようになっている。
【0130】
つまり、排紙コロ3から用紙がトレイ12上に排出され積載面が上昇すると、トレイ12はトレイの昇降手段95およびトレイの昇降方向の位置決め手段96により適量下降させられて用紙最上面の位置が排紙コロ3のニップ部から一定の高さを維持し着地位置が一定レベルに保持されるように制御される。
【0131】
図17、図18(a)において、排紙コロ3は定位置にある。よって、仮にトレイ12が昇降しない構成では、トレイ12上に用紙Sが排出され積載されてくると用紙束の高さが高くなりこの用紙束が用紙の排出をさえぎることにより、遂には用紙Sの排出ができなくなる。
【0132】
昇降手段を設けることによりトレイ12を昇降させ、かつ、排紙コロ3のニップ部からトレイ12上面までの間隔、或いは排紙コロ3のニップ部からトレイ12上の用紙Sの最上面までの間隔を、位置決め手段により、排紙が適正に行なわれる適正間隔に維持することができる。これにより、トレイ12上面へ用紙Sを着地位置のバラツキが小さい状態で排出することができる。
【0133】
図18(a)に示すようにトレイ12は上下リフトベルト70により吊るされている。上下リフトベルト70はギヤ列及びタイミングベルトを介して上下モータ71により駆動され、上下モータ71の正転または逆転により上昇または下降する。これら上下リフトベルト70、上下モータ71、ギヤ列及びタイミングベルト等はトレイを昇降させる昇降手段95の主な構成要素である。
【0134】
図18(a)において、排紙コロ3の近傍位置には押えコロ121が位置している。この押えコロの機能については既に述べた。
【0135】
こうして、順次、画像形成済みの用紙Sがトレイ12上に次々と排出され積載により用紙Sの最上面が上昇していく。積載された用紙の最上面には、図18(a)に示すように軸73aに揺動自在に支持された紙面レバー73の一端側が自重で接するように設けられており、この紙面レバー73の他端側はフォトインタラプタからなる紙面センサ74により検知されるようになっている。
【0136】
紙面センサ74は通常積載モードにおいてトレイ12の上下位置を制御するためのものであり、また、紙面センサ75はステープルモードにおいて、同様の制御を行うためのものであり、モードに応じて用紙の排出位置を異ならせている。
【0137】
紙面レバー73は、支点を中心にして自重によるモーメントで回動するようになっていて、トレイ12が下降したとき、該紙面レバー73の上側の自由端部が紙面センサ75又は紙面センサ74をオンさせる位置で該紙面レバー73の回動を止めるようにするストッパ手段が設けられている。
【0138】
このストッパ手段は、通常モードでは紙面レバー73が紙面センサ74をオンにさせる位置で回動を停止させ、ステープルモードでは紙面センサ75をオンにさせる位置で回動を停止させる。トレイ12上に用紙Sが積載されていくと、紙面レバー73の下側の自由端部が押し上げられる。これにより紙面レバー73が紙面センサ75又は紙面センサ74を外れるとこれらセンサはオフになる。
【0139】
ここでは、通常モードであるので、用紙Sが1枚ずつ排出される毎に用紙Sの積載面が上昇し、紙面レバー73の自由端部が紙面センサ74を外れる毎に、上下モーター71が駆動されて紙面センサ74がオンになるまでトレイ12を下降させる制御が行われる。これにより、用紙Sのトレイ12上での着地位置の条件は、排紙コロ3とトレイ12(用紙の最上面)との間隔が前記適正間隔に制御される。紙面センサ74、75及び紙面レバー73等はトレイ12の高さを一定の高さに制御するトレイの位置決め手段96の主な構成要素であり、位置決めのための情報を検知して制御手段に送る。
【0140】
このような前記適正間隔のもとでのトレイ12の高さ位置を適正排出位置と称し、カール等特殊な態様で送り出される用紙以外の普通の状態の用紙を受ける適切な位置として設定されている。
【0141】
通常モードで用紙が1枚ずつ排出される場合と、ステープルモードでステープル処理された用紙束が排出される場合とでは、排紙の条件が異なるので当然のことながら、トレイ12の適正排出位置は異なる。このことは、紙面センサ75と74とで位置を異ならせていることからも明らかである。また、後処理終了時には、用紙の取り出しに備え排紙トレイ12を30mm程度下降させる動作が行なわれる。
【0142】
通常モード、ステープルモード、何れの後処理にかかるモードでも、それぞれに適する基準高さで、排紙コロ3からの用紙Sはトレイ12上に排出され、用紙Sが積もる毎にトレイ12は下降し、遂には下限センサ76により下限位置が検知される。また、トレイ12の上昇時にはトレイ12は紙面センサ74、75、紙面レバー73等の位置決め手段による紙面の検知情報に基き、基準高さまで上昇させられる。
【0143】
トレイ12は、仕分け動作を行なうため、図18(a)に示すシフト方向dの一端側に移動したのち、他端側に移動し、また他端側から一端側に移動するように台座18上にスライド可能に支持されている。
【0144】
以下にトレイの移動手段98について説明する。
図18においてトレイ12は、仕分け動作を行なうためシフト方向dの一方に往動したのち、他方側に復動動し、また他方側から一方側に移動するようにシフトされる。仕分けの単位である部を構成する所定枚数の排出量の用紙を処理するときの作業単位を1ジョブとすれば、同一ジョブ中、トレイ12はシフト方向dにはシフトせず、1ジョブ(部)が終わる毎にシフト方向dに移動し、一方の移動端で次のジョブにかかる用紙Sの排出を受ける。用紙Sの排出を受けトレイ12上に用紙Sが積載される毎に、揃え部材102a、102bによる揃え動作が行なわれる。
【0145】
トレイ12上に積載された用紙(用紙束を含む)を仕分けるべく当該トレイ12をシフト方向dに移動させて仕分け動作を行なうトレイの移動手段98について図19、図20により説明する。ここで、トレイ12の移動量d'は仕分けに必要な量であって、用紙サイズや用紙の種類、オペレーターの好みなどにもよるが、例えば20mm程度に設定される。
【0146】
トレイの移動手段98は図19に示すようにトレイ12を台座18でスライド可能に支持しているトレイ支持構造と、図19、図20に示すようにトレイ12を往復動させるトレイ往復動機構からなる。
【0147】
図19によりトレイ支持構造160を説明する。図19において台座18の上部にはシフト方向dに長さを有し、左右方向に対向する2つの案内板30、31が一体的に設けられている。これらの案内板30、31の各外側には軸が突出していて、ローラ32、33が軸支されている。
【0148】
一方、トレイ12の底部には、左右方向についてはローラ32、33の間隔より広く、シフト方向dにはトレイのシフト量を十分カバーし得る奥行きを有する平坦面からなる平坦部が形成されていて、この平坦部をローラ32、33上に乗せている。また、トレイ12の上記平坦部には、案内板30、31の内側に対応する位置に、2本の軸が植設されていて、これらの2本の軸にはそれぞれ、ローラ34、35が軸支されている。これらのローラ34、35は、案内板30、31の各内側に接している。
【0149】
ローラ32、33、34、35及び案内板30、31等が、トレイ12をシフト方向dに移動可能に支持するトレイ支持構造160を構成する。かかるトレイ支持構造160により、トレイ12はその荷重をローラ32、33で支持され、ガイド板30、31に案内されてシフト方向dに可動である。
【0150】
トレイ支持構造160で支持されたトレイ12に、トレイ往復動機構を組み合わせることで、トレイ12に往復動の駆動力を与えて、シフト方向dに往復動させることができる。トレイ往復動機構としては種々のものが考えられる。例えば、図示しないが、シフト方向dに沿ってラックを設け、このラックに噛み合うピニオンを正逆回転可能なモーターで駆動する駆動機構や、クランク機構などである。
【0151】
このように構成されるトレイ移動手段により、トレイ12はシフト方向dに用紙の仕分けに必要な所定量往復動させることができる。なお、前記図12においては、このように仕分けされた状態の用紙を示している。
以下に、トレイ往復動機構の具体例を、トレイの位置判別手段とともに説明する。図20において、トレイ12はエンドフェンス131の凹凸部に入り込んでいてエンドフェンス131がシフト方向dに動作することによってトレイ12も同方向に動作する。エンドフェンス131のシフト方向dの中央部には、長穴41aがあけられたブラケット41が装着されていて、この長穴41aにピン42が挿入されている。
【0152】
ピン42は図示しない本体部に軸支されたウォームホイール43に挿入固定されている。この挿入固定位置はウォームホイール43の回転中心から偏心している。この偏心量は、トレイ12のシフト方向dでの移動量d'の1/2である。
【0153】
ウォームホイール43は、モーター44からタイミングベルト45を介して回転させられるウォーム46によって回転させられるようになっている。ウォームホイール43の回転運動によりピン42が回転し、偏心量に応じてトレイ12はシフト方向dへの直線往復運動をするように運動方向が変換される。これら偏心回転するピン42と長穴41aまわりの構成がトレイ往復動機構の主要部をなす。
【0154】
図21、図22に示すように、ウォームホイール43には大きさの異なる2つの切り欠き43L、43S及びこれら切り欠き43L、43Sにより相対的に形成される半周分の長さの長い凸部とこれに隣接する短い凸部を有する円板状のエンコーダ47が設けられている。
【0155】
切り欠き43Lは長い切り欠き、切り欠き43Sは短い切り欠きである。エンコーダ47の半回転おきにホームセンサ48がエンコーダ47の切り欠きの長さを前記2つの凸部間の間隔により検知して、モータ44の停止、駆動の信号が制御手段から発せられるようになっている。
【0156】
図21において、矢視49の向きに回転したエンコーダ47の短い方の切り欠き43Sがホームセンサ48を通過して短い凸部と重なりかけた時点でモータ44は停止している。この状態ではピン42が右側にあり、図20のエンドフェンス131も右側に動作することによってトレイ12も右側に移動している。
【0157】
図22では、図21に示した状態からさらに矢視49の向きにエンコーダ43が回転して、長い切り欠き43Lがホームセンサ48を通過して長い凸部と重なりかけた時点でモータ44は停止している。この状態ではピン42が左側にあり、図20のエンドフェンス131も左側に動作することによってトレイ12も左側に移動している。
【0158】
このように、トレイ12が右側にあるか、左側にあるかは、エンコーダ47の切り欠きの長さをホームセンサ48により検知し、この検知情報に基いて判別することができる。ここで、エンコーダ43とホームセンサ48とが、トレイの位置判別手段の主要部を構成する。
【0159】
このように、トレイ12のシフト方向dへの往復動のストロークの往動端で、同一ジョブ中に部を構成する用紙分の排出を受け、シフトし復動端で次のジョブ中に部を構成する用紙の排出を受ける。
【0160】
かかる仕分け動作を繰り返すことにより、ジョブ(部)毎に用紙束が凹凸状に所定の仕分け量だけ位置がずれた状態に積載され、部毎に用紙束を仕分けることができる。移動量d'は用紙のサイズに応じて仕分けが明確な適量の値5〜25mm、例えば、A4サイズで20mm前後の値に設定することができる。
【0161】
[実施の形態3]
下では、前記図4乃至図16で説明した構成の変位手段を具備したシート状媒体整合装置を前記図7乃至図22で説明したシート状媒体後処理装置に設けた場合の制御例について説明する。
【0162】
押えコロ121は用紙の排出に応じて排出方向に位置を変えまた、回転速度も変化するように種々に制御される。この制御はCPUを用いた制御手段により行なわれる。以下では、制御手段による押えコロの位置変位や回転に関わる制御の内容について説明する。
【0163】
本例は、図17に示したように画像形成装置50にシート状媒体後処理装置51が連結されていて、このシート状媒体後処理装置51に本発明に係るシート状媒体整合装置が設けられた装置の全体構成のもとでの押え手段の制御の例である。
【0164】
図24は制御手段の制御回路を示し、CPU700は制御プログラムをメモリされたROM710と情報の授受を行ないまた、クロック720からクロック信号を入力して以下の各フローチャートに示された制御を実行する。
【0165】
そのため、CPU700は、画像形成装置50との間で信号の授受をなし、また、センサ群730からの情報を入力し、ステッピングモータ制御ドライバ740、モータドライバ750、ドライバ760に情報を出力するようになっている。
【0166】
センサ群730はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のセンサをまとめて表現したもので、以下のフローチャートによる制御の中にでてくる種々のセンサが該当する。
【0167】
ステッピングモータ制御ドライバ740はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のステッピングモータを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のステッピングモータが該当する。図24では符号Mで例示している。
【0168】
モータドライバ750はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のDCモータを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のモータが該当する。図24では符号Mで例示している。
【0169】
ドライバ760はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のソレノイドを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のソレノイドが該当する。図18では符号SOLで例示している。図24におけるCPU700が、以下に示すフローを実行する主な部分であり、本発明における制御手段の中心をなす。
【0170】
例1
ート状媒体後処理装置51において用紙を仕分けするシフトモードが選択されている場合、画像形成装置50から搬送されてきた用紙は、図17の入口ローラ対1によって受け取られ、搬送ローラ対2a及び搬送ローラ対2bを通過し、最終搬送手段である排紙コロ3によってトレイ12に排出される。その時、分岐爪8a、8bはデフォルト位置のままで、1枚1枚の用紙が順次、同様の搬送経路を通過してトレイ12に排出される。
【0171】
図1で説明したように、用紙S1が排紙コロ対3よりトレイ12に排出され、その先端が積載紙S"に接する前に押えコロ121は第1の位置(I)から第2の位置(II)に移動している必要がある。このように、排出紙の先端位置が問題となるので、用紙の排出方向下流側の先端が、搬送方向上排紙コロ3より上流側直近に設けられた排紙センサ38により検知されたときをトリガとして押えコロ121が第1の位置(I)から第2の位置(II)へと移動するタイミングを設定した。
【0172】
図1において、押えコロ121は第2の位置(II)に移動後、排出される用紙S1の先端部がトレイ12の積載紙S"用紙を押し動かさなくなるまでの最小の時間として定めた所定時間、第2の位置(II)に位置していることとした。これにより、用紙S1による積載紙S"の不整合は解消される。
【0173】
次に、フロチャートを用いて詳細な動作を説明する。図25は本例においてシート状媒体後処理装置の制御全体に係り、トレイ12上への用紙排出後に押えコロ121を第1の位置(I)から第2の位置(II)に向けて移動を行なう制御に関係している部分のみを表している。
【0174】
図25はシート状媒体後処理装置51への電源投入直後に行うイニシャル動作および、イニシャル動作終了後に常に通るメインルーチンを示している。ステップP1の「押えコロイニシャル制御」のサブルーチンは押えコロ121を第1の位置(II)に戻すサブルーチンであり、内容は明確であるので詳細は示していない。ステップP2の「用紙搬送制御」のサブルーチンはその詳細を図26に示したサブルーチンであり、ステップP3「戻しコロ戻し制御」のサブルーチンはその詳細を図26に示したサブルーチンである。
【0175】
図25において、シート状媒体後処理装置51への電源投入により、ステップP1の「押えコロイニシャル制御」において押さえコロ121が第1の位置(I)に位置設定されてから図示省略のメインルーチンを経て、ステップP2の「用紙搬送制御」に進み、図26に示した用紙搬送制御のサブルーチンが実行される。ここではシート状媒体後処理装置51内を用紙が搬送される際の制御が行なわれる。次いで、図25においてステップP3の「押えコロ押え制御」に進み、図27に示した押えコロ121による用紙押えのためのサブルーチンが実行される。
【0176】
図17において、用紙が画像形成装置50から排出され、シート状媒体後処理装置51内においては入口センサ36によるジャム検知等の制御に次いで排紙センサ38の制御に入る。
【0177】
用紙をトレイ12に排出する際のスタック性を向上させるため排紙コロ3は用紙を送り出すときには通常の用紙搬送速度よりも減速し、用紙を排出し次の用紙をくわえこんだら、送り時間を短縮するため通常の送り速度に戻す(増速する)制御が行なわれる。但し、ジョブ開始直後、排紙モータであるステッピングモータ132は通常の搬送速度にて起動をかけるため、ジョブ開始後1枚目の用紙の搬送に関しては増速制御は行わない。
【0178】
図27において、先ず、ステップP40において「搬送、排紙モータ始動制御、押さえコロモータ始動制御」のサブルーチンが実行され、排紙コロ3及び押さえコロ121の回転駆動モータであるステッピングモータ132や、モータ556などが回転駆動開始される。なお、押え制御においては、押えコロの回転は必ずしも必要ではない。次いで、ステップP10で「排紙センサonフラグ=1」のチェックを行なう。排紙センサ38で用紙の先端を検知する前であればステップP11に進むし、先端を検知後であればステップP17以後に進む。
【0179】
ステップP11で、排紙センサ38による用紙の先端検知を待ち、先端検知があると、ステップP12で排紙センサ0nフラグを1にしてステップP13に進み、排紙センサ38のオン情報からトレイ12上に積載されている積載枚数のカウントアップを行った後、ステップP14で排紙用のステッピングモータ132の速度を通常の線速に加速する制御を行う。
【0180】
次にステップP15で「押えコロ押え動作フラグ」に1をセットし、ステップP16で「押えコロ押え動作タイマ」をリセットし、ステップP17の「排紙センサ38off?」チェックに移り、用紙後端が排紙センサ38を通過したらステップP18で「排紙センサonフラグをOにしてステップP19で「排紙モータ減速制御」を行い、用紙を減速させてトレイ12に排出する。そして、その後に続く図示しない処理を行った後で本ルーチンを抜ける。なお、ステップP17で用紙後端が排紙センサ38を通過する前の状態では、ステップP17からリターンへ抜け、図27の押えコロ押え制御に移る。
【0181】
図26において、排紙センサ38のonをトリガに、つまり用紙の先端検知をトリガにステップP15で「押えコロ押え動作フラグ」に1がセットされると、図27において下記に記す各制御が実行される。
【0182】
ステップP20では、押えコロ押え動作フラグ=1なので、ステップP21に進み、ステップP16におけるタイマリセット時点からの経過時間である「押えコロ押え動作タイマ」値を設定値T1と比較し、T1より大きくなったらステップP22で押えコロ押え動作フラグを0にしてステップP23の「押えコロon制御」に進み、ステッピングモータ126を起動して押えコロ121を第1の位置(I)から第2の位置(II)へ向けて移動開始させる。
【0183】
タイマの設定値T1の値は、既にトレイ12上に排出済みの用紙が揃え部材102a、102bにより揃えられるに要する時間である。揃え動作中は用紙の位置が不安定なので、安定するのを待って、押えコロ121を第1の位置から移動させる。
【0184】
用紙の先端部が排紙センサ38で検知されてから該先端部がトレイ12上に積載されている用紙の上面に接触するまでの時間をTとすると、T1>Tであり、また、押えコロ121が第1の位置(I)から第2の位置(II)へ移動するのに要する時間をtとすると、T1>tであることを要する。時間のカウントはCPU700に入力されるクロック720の出力に基づく。
【0185】
ステップP24の「戻しコロHPセンサoff?」(第2位置移動終了?)チェックでは戻しコロHPセンサoffをチェックし、ステップP25「押えコロ停止制御」においてステッピングモータ126を停止して押えコロ121を第2の位置(II)の押え位置にて停止させる。
【0186】
押え動作終了後ステップP26で「押えコロ押え動作タイマ」をリセットして、計時を開始し押えコロ121を第2の位置に留めておく時間を管理する。このため、ステップP27で「押えコロ押え動作タイマ」値を設定値T2と比較し、一定時間戻しコロは押え位置にて停止する。このT2の値は押えコロ121がトレイ12に積載されている用紙と接触している時間であり、押えコロ121が第2の位置(II)に移動後、排出される用紙の先端部がトレイ12上に積載されている用紙を押し動かさなくなるまでの所要時間として設定される。
【0187】
ステップP27で設定値T2の経過が判定されると、押さえコロ121を第1の位置(I)に移動するためステップP28の「押えコロoff制御」に移る。ステップP28の「押えコロoff制御」ではステッピングモータ126を駆動し、押えコロ121を第1の位置(I)に向けて移動を開始する。この第1の位置(I)は待機位置でありホームポジション(HP)でもある。
【0188】
ステップP29の「押えコロHPセンサon?」チェックにてセンサ127により押えコロ121が第1の位置(I)に移動したのが確認されるとステップP30の「押えコロ停止制御」にてステッピングモータ126を停止させる。以上にて、用紙1枚に対する押え制御は終了する。
【0189】
このように、本例では、押えコロの動作を搬送系センサのうち最も下流、つまり、排紙コロ3の上流側直近にあたる排紙センサ38が用紙先端部を検知した時点をトリガとすることで、押えを行う用紙に対して最小限の時間的誤差にて押え動作が行えるので積載紙の飛び出しを確実に防止することが可能となる。
【0190】
排紙センサ検知から押えコロ動作までの時間を、用紙サイズに関わらず一定の設定値とすることができ、制御ソフトの簡略化ができるため制御を記憶する素子の小型化が可能になり、コストダウンが可能となる。
【0191】
排出される用紙の先端部が積載されている用紙に接触して押し動かさなくなるまでの間、押えコロにて積載紙を押さえるため、用紙の押し出しがなくなり、既に積載されている用紙の縦揃えを乱すことを防止できる。
【0192】
例2
例は前記例1における図27のタイマ設定値T2を排紙コロ3から排出される用紙のサイズに応じて可変とすることを内容とするものである。本例の制御は前記図25、前記図26及び図28に示したフローチャートにより行なわれる。図25、図26については既に説明したので説明は省略する。図28については、前記図27における内容と共通部分があり、その箇所については図27におけるステップ符号と同じ符号を付し説明は省略し、異なる点のみについて説明する。
【0193】
図28において、押えコロ121が第2の位置(II)へ移動終了後、ステップP26で「押えコロ押え動作タイマリセット」後、ステップPP1により用紙のサイズのチェックを行ない、ステップPP2、ステップPP3においてサイズに応じて第2の位置(II)にて押えコロ121が停止する間の時間を管理する。
【0194】
用紙サイズは、画像形成装置50よりシート状媒体後処理装置51に用紙が排出されるたびに、画像形成装置50よりコマンドとして送信され、そのコマンドを基に用紙サイズチェックを行なう。用紙サイズチェックではステップPP1で排出用紙がA3サイズ、B4サイズかのチェックを行ない、A3サイズ、B4サイズの場合はステップPP2で設定値T3と、それ以外の用紙サイズの場合はステップPP3で設定値T4と比較し、設定値を越えたらステップPP28で第1の位置(I)への移動を開始する。
【0195】
本例ではA3サイズ、B4サイズのみの用紙サイズの判定を行なったが、厳密には全ての用紙サイズもしくは、同サイズにおける通紙方向(縦または横)においても設定値を変えることが必要な場合も考えられる。
【0196】
用紙サイズが大きくなれば、排出される用紙の先端部は小サイズの用紙のときよりも長い時間、積載紙を押し続けることになる。また、用紙サイズの違いにより紙の摩擦、重量等も変化し、これに応じて押え動作も変化する。本例では、排出される用紙サイズに応じて押えコロによる押え時間を設定できるため、用紙サイズの変化に適合した押さえコロの停止時間の設定により排出用紙による押し出しがなくなり、既に積載されている用紙の縦揃えを乱すことを防止できる。
【0197】
例3
例は前記例1における図27のタイマ設定値T2を前記排出手段から排出されたシート状媒体の積載枚数に応じて可変とすることを内容とするものである。本例の制御は前記図25、前記図26及び図29に示したフローチャートにより行なわれる。図25、図26については既に説明したので説明は省略する。図29については、前記図27における内容と共通部分があり、その箇所については図27におけるステップ符号と同じ符号を付し説明は省略し、異なる点のみについて説明する。
【0198】
図29において、押えコロ121が第2の位置(II)へ移動終了後、ステップP26で「押えコロ押え動作タイマリセット」後、ステップPP10により排出された用紙の積載枚数のチェックを行ない、ステップPP11、ステップPP12において積載枚数に応じて第2の位置(II)で押えコロ121が停止している押さえ時間を決定する。
【0199】
ここで用紙の積載枚数は、前記図26のステップP13で積載枚数をカウントアップしており、枚数のリセットはトレイ上の用紙有無センサ150(図17参照)により、トレイ12上の用紙が全て取り除かれた時に行なう。
【0200】
ステップPP10の用紙枚数チェックでは、用紙枚数が一定量Y以上か否かで判断し、Yより少ない場合は押えコロ停止時間の設定値T5と、Y以上の場合は押えコロ停止時間の設定値T6と比較し、これらの設定値経過より、第1の位置(I)への移動を開始する。なお、ここでは、積載枚数のチェックを一定値Yによる判定で行なったが、必要に応じてさらに小刻みの枚数毎に設定時間を変えることも可能である。
【0201】
本例では、トレイ12上に積載されている用紙枚数に応じて押えコロ121による押え時間を設定できるため、大量積載時に用紙のカールにより積載紙上面の形状が変化した場合にも、カールの度合いに応じて変化する排紙コロ3から積載紙の上面までの距離の変化に適合した押えコロ121の停止時間を設定でき、適合した押さえコロの停止時間の設定により排出用紙による押し出しがなくなり、既に積載されている用紙の縦揃えを乱すことを防止できる。
【0202】
例4
例は前記例1における図27のタイマ設定値T2を前記排出手段から排出されたシート状媒体の積載枚数に応じて可変とすることを内容とするものである。本例の制御は前記図25、前記図26及び図30に示したフローチャートにより行なわれる。図25、図26については既に説明したので説明は省略する。図30については、前記図27における内容と共通部分があり、その箇所については図27におけるステップ符号と同じ符号を付し説明は省略し、異なる点のみについて説明する。
【0203】
図30において、押えコロ121が第2の位置(II)へ移動終了後、ステップP26で「押えコロ押え動作タイマリセット」後、ステップPP20により排出された用紙のカール方向のチェックを行ない、ステップPP21、ステップPP22においてカールの方向に応じて第2の位置(II)で押えコロ121が停止している押さえ時間を決定する。
【0204】
カールの方向は、接続される画像形成装置によって異なる用紙搬送経路よりカールの向きが変わり、例えば、後端部が跳ね上がるフェイスカール、後端部が下がるバックカールが決定され、シート状媒体後処理装置51としては電源投入後にやりとりが行われる初期通信において、画像形成装置50の搬送線速情報等よりカール方向を判断する。したがって、本例においては、あらかじめ接続される本体を決定しておく必要がある。
【0205】
ステップPP20における用紙のカール方向チェックで、フェイスカールと判定された場合にはステップPP21へ進み、押えコロ停止時間の設定値T7と比較し、バックカールと判定された場合にはステップPP22へ進み、押えコロ停止時間の設定値をT8と比較し、これら設定時間経過より、押えコロ121を第1の位置(I)へ向けて移動を開始する。
【0206】
本例では、排出される用紙のカール形状に応じて変化する排紙コロ3から積載紙の上面までの距離の変化に適合した押えコロ121の停止時間を設定でき、適合した押さえコロの停止時間の設定により排出用紙による押し出しがなくなり、既に積載されている用紙の縦揃えを乱すことを防止できる。
【0207】
なお、前記例2、例3、例4における用紙サイズ、用紙の積載枚数、用紙カール方向の全部を考慮に入れて押えコロ121の停止時間をきめこまかく制御することも可能である。
【0208】
例5.本例は制御例である。
本例では、押えコロ121は第2の位置(I)で押え機能を発揮した後、第1の位置(I)又は第1の位置(II)と第2の位置(II)との間で積載済みの用紙から離間した第3の位置(III)まで移動して待機し、押え機能発揮時に排紙コロ3から排出された最新の用紙がトレイ12上に落下するのを待って第2の位置(II)へ移動し、前記最新の用紙をエンドフェンス131に戻す戻し機能を発揮する。
【0209】
本例の制御は前記図27と、図31、図32、図33に示したフローチャートにより行なわれる。図31のイニシャルルーチンは前記図25におけるイニシャルルーチンと共通のステップを有しているので共通のステップについては同じ符号を付し説明は省略する。異なる点は、ステップP2の「用紙搬送制御」とステップP3の「押えコロ押え制御」の間にステップPP30の「押えコロ戻し制御」のサブルーチンをを加入している点である。このステップPP30における「押えコロ戻し制御」の内容は図33に示してある。なお、ステップP3の「押えコロ押え制御」の内容は前記図27の内容と同じである。
【0210】
図31におけるイニシャルルーチンにおいて、ステップP1「押えコロイニシャル制御」により押えコロ121が第1の停止位置(I)にあることを前提にメインルーチンを経て、ステップP2の「用紙搬送制御」が行なわれる。
【0211】
図32における用紙搬送制御の内容は前記例1において説明した図26における制御内容と共通のステップを有しており、その共通のステップについては図26における符号と同じ符号を付し説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0212】
図32において、図26のフローチャートと異なる点はステップP19の次にステップP41の「押えコロ戻し動作フラグ←1」と、ステップP42の「押えコロ戻し動作タイマリセット」の各ステップが加入されている点であり、前者のステップでは押えコロ戻し動作フラグを1にし、後者のステップでは押さえコロ戻し動作タイマをリセットして本ルーチンを抜ける。また、押えコロ121は戻し機能を有するので、ステップP40において押えコロ121の回転駆動は必須である。
【0213】
次に図31のステップPP30の「押えコロ戻し制御」のルーチンを実行する。図32におけるステップP38の「排紙センサ38off?」で用紙の後端部部が排紙センサ38により検知されると、このオフをトリガにステップP41で「押えコロ戻し動作フラグ」に1がセットされる。よって、図33におけるステップP50の「押えコロ戻し動作フラグ=1」のチェックを経てステップP51に進み、戻しコロ戻し動作タイマ」値を設定値T9と比較し、T9より大きくなったらステップP52の「押えコロ戻し動作フラグ」を0にしてステップP53の「押えコロ0n」制御に移り、押えコロを動作させる。
【0214】
設定値T9の値は、排出される用紙がトレイ12上に完全に落下するタイミングで設定している。従って、排出線速度および排紙コロ3とトレイ12との落下距離に応じて適切な時間を設定している。時間はCPU700によるタイマカウントや、ステッピングモータ132のクロックカウントにてタイミングをカウントする。
【0215】
ステップP53の「押えコロon制御」にて、押えコロ駆動モータであるステッピングモータ126を動作させて押えコロ121を第1の停止位置(I)から第2の停止位置へ向けて移動を開始する。
【0216】
ステップP54の「押えコロHPセンサoff」チェックにてセンサ127のoffを検知した時点でステップP55の「戻しコロ停止制御」にて押えコロ移動を停止させる。以上より、押えコロ121が図1の第2の位置(II)(戻し位置)に移動し、排出された用紙の後端部を介して押えコロ121を積載紙に押し当てることで、押えコロ121の回転力で排出された用紙をエンドフェンス131に突き当てることができ、用紙の縦揃えを行うことができる。
【0217】
次に、ステップP56で「押えコロ戻し動作タイマ」をリセットし、ステップP57に進む。ステップP57では押えコロ121が第2の位置(II)にて停止する時間が管理され、「押えコロ戻し動作タイマ」の設定値T10の一定時間押えコロ121は第2の位置(II)にて停止する。設定値T10は用紙の後端がサイドフェンス131に突き当てられるに十分な時間である。
【0218】
設定値T10を経過後、ステップP58の「押えコロoff制御」に移る。「押えコロoff制御」では押えコロ移動用のステッピングモータ126を駆動し、押えコロ121を第1の位置(I)に移動させる制御を行う。
【0219】
ステップP59の「押えコロHPセンサon?」チェックにてセンサ127によって押えコロ121が第1の位置(I)に移動したのを確認し、この位置に移動後、ステップP60の「押えコロ停止制御」にて押えコロ駆動モータであるステッピングモータ126を停止させる。以上により、押えコロによる排出紙の縦揃え(戻し)動作を終了する。
【0220】
次に押えコロ押え制御のルーチンを実行する。
図32におけるステップP11の「排紙センサ38on?」で用紙の先端部が排紙センサ38により検知されると、このオンをトリガにステップP15で「押えコロ押え動作フラグ」に1がセットされ、前記例1において図27に即して説明した内容と同じ内容の押え制御が実行される。これにより、押えコロ121は第1の位置(I)から第2の位置(II)に移動して押え機能を果たした後、第1の位置(I)に戻る。以上により、押えコロ121による積載紙の押え動作は終了する。
【0221】
本例では、用紙がトレイ12に排出された後で押えコロ121を第1の位置から第2の位置に動作させることで、積載最上面の傾斜があるにも拘わらずエンドフェンス131に戻らなかった用紙を捉えて戻し、用紙のカール状態や積載状態に関わらずに縦揃えを良好にするとともに、用紙がトレイに完全に排出される前に押えコロ121を第1の位置から第2の位置へ向けて動作させることで、積載紙を押えて、排出中の用紙先端部が積載紙を押し動かすのを防止し積載紙の押し出しを防ぎ、縦揃えを乱すことを防止できる。
【0222】
また、排出される用紙の後端部が跳ね上がるフェイスカールの場合は主に押え機能を発揮させること重要である一方、後端部が下がるバックカールの場合は主に戻し機能を発揮させることが重要であることから、戻し,押えの両機能を発揮させる動作を行うことで、フェイス/バックカールに関わらず対応できるため、カール方向が異なる種々の画像形成装置にも接続して縦揃え性を向上することが可能となり、後処理装置としての汎用性を増すことが出来る。
【0223】
例6
例は、押えコロ121を第1の位置(I)と第2の位置(II)との間で積載紙から離間した第3の位置(II)へも移動して待機可能とし第2の位置への移動時間の短縮を図る制御に係る。
【0224】
本例では、前記例5における図31のイニシャルルーチン及び図32の用紙搬送制御が共用される。図31のフローチャートにおけるステップPP30の「押えコロ戻し制御」としては図34に示すフローチャートで実行され、ステップP3の「押えコロ押え制御」としては図35に示すに示すフローチャートが実行される。
【0225】
図32において、ステップP17の「排紙センサ38off」をトリガにステップP41で「押えコロ戻し動作フラグ」に1がセットされると、図34において下記に記す各制御が実行される。
【0226】
図34では、前記図33におけるフローチャートにおけるステップを共通のステップを有している。この共通のステップについては同じ符号を付してあるが、簡単に説明すると、ステップP50では、既に押えコロ戻しフラグは1であるのでステップP51に進み、既に説明したように「押えコロ戻し動作タイマ」の設定値を排出された用紙がトレイ上に完全に落下するタイミングを設定されたT9と比較し、T9より大きくなったらステップP52で押えコロ戻し動作フラグを0にして、ステップPP54に進む。
【0227】
ステップP53の「押えコロon制御」にて、押えコロ121の移動用モータであるステッピングモータ126を動作開始させ、ステップP54の「押えコロHPセンサoff」チェックにて押えコロ121が第2の位置(II)に達した時点をセンサ127のoffで検知し、ステップP55の「押えコロ停止制御」にてステッピングモータ126の駆動を停止することで押えコロ121の移動を停止させる。以上より、押えコロ121が図4の戻し位置(第2の位置)に移動し、排出された用紙の後端部を介して押えコロ121を積載紙に押し当てることで、押えコロ121の回転力で用紙をエンドフェンス131に突き当てることができ、用紙の縦揃えを行うことができる。
【0228】
次に、ステップP56で「戻しコロ押え動作タイマ」をリセットし、ステップP57で第2の位置(II)に留まる時間を管理する。押えコロ121が第2の位置にて停止している時間は、用紙をサイドフェンス131に突き当てるに十分な時間として設定された「押えコロ戻し動作タイマ」の設定値T10である。
【0229】
ステップP57にて設定時間経過後、ステップPP58の「押えコロoff制御」に移る。この「押えコロoff制御」では押えコロの移動用モータであるステッピングモータ126を駆動して押さえコロ121を第2の位置(II)から第3の位置(III)へと移動させる制御を行う。
【0230】
第3の位置(II)は第1の位置(I)と第2の位置(II)の間に存在する位置であり、押えコロが積載紙に接触しない任意の位置であり、前記図4に図示した位置である。押えコロ121はステッピングモータ126で駆動されるので、本制御では押えコロ121が第2の位置(II)から第3の位置(III)に移動するパルス数を設定し、制御を行っている。
【0231】
例えば、動作終了フラグをチェックするなどの確認により設定パルス終了をステップPP59で判定する。ステッピングモータパルス制御はCPU特有のものもあり、さまざまな制御方法があるため説明は割愛する。第3位置移動動作終了後、ステップPP60で「第3位置移動フラグ」に1をセットしリターンで本ルーチンを抜ける。以上により、押えコロによる排出紙の縦揃え(戻し)動作を終了する。
【0232】
次に、押え動作について図35により説明する。図31におけるステップP3の「押えコロ押え制御」のルーチンでは図35に示す制御が行なわれる。この図35に示すフローチャートでは前記図27におけるフローチャートにおけるものと共通のステップが実行される。そこで、共通のステップについては同じ符号で示してある。
【0233】
図32において、ステップP11の「排紙センサ38on」をトリガに、つまり用紙の先端検知をトリガにステップP15で「押えコロ押え動作フラグ」に1がセットされると、図35において下記に記す各制御が実行される。
【0234】
ステップP20では、押えコロ押え動作フラグ=1なので、ステップP21に進み、図32のステップP16におけるタイマリセット時点からの経過時間である「押えコロ押え動作タイマ」値を設定値T1と比較し、T1より大きくなったらステップP22で押えコロ押え動作フラグを0にして次の制御に進む。
【0235】
タイマの設定値T1の値は、既にトレイ12上に排出済みの用紙が揃え部材102a、102bにより揃えられるに要する時間である。揃え動作中は用紙の位置が不安定なので、安定するのを待って、押えコロ121を第1の位置又は第3の位置から移動させる。
【0236】
用紙の先端部が排紙センサ38で検知されてから該先端部がトレイ12上に積載されている用紙の上面に接触するまでの時間をTとすると、T1>Tであり、また、押えコロ121が第1の位置(I)或は第3の位置(III)から第2の位置(II)へ移動するのに要する時間をtとすると、T1>tであることを要する。時間のカウントはCPU700に入力されるクロック720の出力に基づく。
【0237】
ステップPP70の「第3位置移動フラグチェック」では、押えコロ121が第3の位置(III)にて待機しているかどうかをチェックするステップであり、図34におけるステップPP60において同フラグが1の場合は押えコロ121が第3の位置(III)にて待機しているのでステップPP72へ進み、押えコロ121は第3の位置→第2の位置への移動となり、同フラグが0の場合は押えコロ121が第1の位置(I)にて待機しているので、ステップPP71へと進み、押えコロ121の移動動作は第1位置(I)→第2の位置(II)への移動となる。後者のステップPP71へ進むケースはジョブ開始時の動作に相当し、ステップPP72へ進むケースはジョブにおける2枚目以降用紙の連続処理中の動作に相当する。
【0238】
ステップPP71或はステップPP72の「押えコロon制御」で、それぞれの押えコロ待機位置(第1或は第3の位置)から第2の位置までの距離に応じた距離だけ押えコロ駆動用のステッピングモータ126を動作させ、例えばステップP24の「戻しコロHPセンサoff」チェックにてセンサ127のオフを検知した時点でステップP25の「押えコロ停止制御」にて押えコロ移動を停止させる。ここで、ステップPP70において第3位置移動フラグが1の位置における動作を行った場合はステップPP73でセンサ127のオンを検知した後、ステップP74の「第3位置移動フラグ←0」にてフラグをリセットする。
【0239】
以上より、押えコロ121が図4の第2の位置(II)に移動し、押えコロ121を積載紙に押し当てることで押え機能を発揮し、排出されてくる用紙の先端部により積載紙が押し出されるのが防止される。また、ステップP25の「押えコロ停止制御」の後、ステップP26で「押えコロ押え動作タイマ」をリセットし、次制御に備える。
【0240】
押えコロ121が第2の位置(II)にて停止している時間はステップP27で管理される。ステップP27において「押えコロ押え動作タイマ」の設定値T2は排出紙の先端部が積載紙を押し出さなくなるまでの時間として設定され、この時間、押えコロ121は停止している。
【0241】
ステップP27で時間T2を経過すると、押えコロ121はステップP28でステッピングモータ126を駆動して第2の位置から第1の位置へと移動を開始し、第1の位置に達したことがステップP29で判定されるとステップP30でステッピングモータ126を停止する。以上により、押えコロによる積載紙の押え動作は終了する。
【0242】
本例によれば、戻し機能を発揮した後、次の押え機能を発揮するまでの待機位置として第1の位置と第2の位置の間に第3の位置を設けたことで、押えコロの移動距離が短くなり、移動時間が短縮されるため、生産性を向上することが可能となる。
【0243】
例7.本例は制御例である。
本例は押えコロが常時戻し方向に回転駆動されているものとするとき、押さえ機能を発揮すべく第2の位置に移動したときには回転を停止させることを内容とする制御に関する。
a.これまで説明した例における、図27のステップP25「押えコロ停止制御」とステップP26「押えコロ押え動作タイマリセット」の間に「押えコロ回転停止制御」を加入し、ステップP28「押えコロoff制御」とステップP29「押えコロHPセンサon?」の間に「押えコロ回転開始制御」の各ステップを加入する。
b.図28のステップP25「押えコロ停止制御」とステップP26「押えコロ押え動作タイマリセット」の間に「押えコロ回転停止制御」を加入し、ステップP28「押えコロoff制御」とステップP29「押えコロHPセンサon?」の間に「押えコロ回転開始制御」の各ステップを加入する。
c. 図29のステップP25「押えコロ停止制御」とステップP26「押えコロ押え動作タイマリセット」の間に「押えコロ回転停止制御」を加入し、ステップP28「押えコロoff制御」とステップP29「押えコロHPセンサon?」の間に「押えコロ回転開始制御」の各ステップを加入する。
d. 図30のステップP25「押えコロ停止制御」とステップP26「押えコロ押え動作タイマリセット」の間に「押えコロ回転停止制御」を加入し、ステップP28「押えコロoff制御」とステップP29「押えコロHPセンサon?」の間に「押えコロ回転開始制御」の各ステップを加入する。
e.図35のステップP25「押えコロ停止制御」とステップP26「押えコロ押え動作タイマリセット」の間に「押えコロ回転停止制御」を加入し、ステップP28「押えコロoff制御」とステップP29「押えコロHPセンサon?」の間に「押えコロ回転開始制御」の各ステップを加入する。
【0244】
以上の制御は、前記図15(b)のように押えコロ121の回転駆動系を排紙コロ3の回転駆動系を分けた構成により可能であり、▲1▼押えコロ121が第2の位置(II)に移動した直後に押えコロ回転用のモータ556を停止する。▲2▼押えコロ121が第2の位置(II)から移動開始直後にモータ556を始動する。
【0245】
以上の動作により、押えコロ121にて押え動作をする時に押えコロが停止しているため、用紙をエンドフェンス131に過剰に戻し過ぎ、用紙が座屈するのを防止することができる。また、回転することにより、第1の位置或は第3の位置において押えコロの上部に排出途中の用紙が接した場合に送りをかけて搬送を補助できる利点がある。
【0246】
[実施の形態4]
シート状媒体後処理装置への適用例である。本例は、用紙に画像形成を行なう画像形成手段及び画像形成された用紙を搬送する搬送手段を有する画像形成装置に関するもので、図23に示した画像形成装置50'は、図17における画像形成装置50と共通の画像形成手段を具備している。画像形成装置50'は、前記した実施の形態で説明した押えコロ121及びその変位手段を具備している。また、画像形成装置50'において、図17に示したシート状媒体後処理装置51における構成部分と共通の部材があり、その部分については図17におけるものと同じ符号で示し、説明は省略した。
【0247】
図23において、装置本体のほぼ中央部に画像形成部135が配置され、この画像形成部135のすぐ下方に給紙部136が配置されている。給紙部136は給紙カセット210を備えている。
【0248】
画像形成装置50'の上部には必要に応じて、原稿を読み取る原稿読み取り装置(図示せず)を配設することができる。画像形成部135の上部は、画像形成された用紙を搬送する搬送手段としてのローラRRやガイド板等が設けられている。
【0249】
画像形成部135には、装置を電気的に駆動したり、制御したりする電装ユニットQが配置されている。また、ドラム状をした感光体5000が配置されている。この感光体5000の周囲に、該感光体5000の表面に帯電処理を行う帯電装置600、画像情報を感光体表面にレーザ光で照射する露光装置7000、感光体5000の表面に露光されて形成された静電潜像を可視化する現像装置800、感光体5000上で可視化されたトナー像を用紙に転写する転写装置900、転写後感光体表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置1000等がそれぞれ配置されている。
【0250】
これら、感光体5000、帯電装置600、露光装置7000、現像装置800、転写装置900、クリーニング装置1000等は画像形成手段の主要部をなす。感光体5000の略上方であって、感光体5000よりも用紙搬送経路上の下流位置には、定着装置140が配置されている。
【0251】
画像形成装置がプリンタとして機能する場合、画像形成に際しては、画像信号が入力される。予め、感光体5000は暗中にて帯電装置600により一様に帯電されている。この一様に帯電された感光体5000に、画像信号に基づいて露光装置7000のレーザダイオードLD(不図示)の発光により露光光が照射され、公知のポリゴンミラーやレンズを介して感光体に至り、感光体5000の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体5000の回転と共に移動し、現像装置800により可視像化され、さらに移動して転写装置900に向かう。
【0252】
一方、給紙部136の給紙カセット210には、未使用の用紙が収容されており、回動可能に支持された底板220上の最上位置の用紙Sが給紙ローラ230に押し付けられるように、底板220がばね240により加圧されるようになっている。転写のための給紙に際しては、給紙ローラ230が回転し、この回転により、用紙Sは給紙カセット210から送り出され、一対のレジストローラ1400へと搬送される。
【0253】
レジストローラ1400に送られてきた用紙は、ここでその搬送が一時的に止められる。レジストローラ1400は、感光体5000の表面のトナー像と用紙Sの先端との位置関係が転写装置900が設けられた転写位置で画像転写に適する所定の位置になるよう、タイミングをとって用紙の搬送を開始する。
【0254】
転写を終えた用紙は定着装置140を通過する間にトナー像が定着される。定着装置140を通過した用紙は搬送手段であるローラRRにより搬送され、排紙センサ38を経て、排紙コロ3よりトレイ12へ排出される。
【0255】
以後の押えコロ121及び従動レバー122、駆動レバー123などの変位手段による用紙の整合機能機能については、既に前記各実施の態様において述べた内容と同じであるので、説明は省略する。
【0256】
本例の画像形成装置いおいても、トレイ上に積載された用紙Sに対して排出方向の整合が行なわれ、高精度にシート状媒体を揃えることができる。
【0257】
以上の例において、戻し機能時には、押えコロ121は用紙の上面に接して回転し用紙Sとの摩擦を利用して用紙Sを戻すが、該用紙Sの後端部がエンドフェンス131に突き当たった後は該用紙の後端部が座屈しないようにスリップする必要があるので、このような戻し態様が実現できるように適度の摩擦係数と押圧力が設定されている必要がある。
【0258】
例えば、押えコロ121としてスポンジ状の弾性材を用い、かつ、表面形状を凹凸状にしたものを用いた。これにより、用紙Sの上面に変形して接することで適度の押圧力が得やすくなり、また、用紙を確実に捉えることができる。
【0259】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、押え手段により押え機能を発揮するときには回転体からなる押え手段の回転が停止しているため、シート状媒体を立壁に過剰に戻し過ぎ、シート状媒体が座屈するのを防止することができる。
請求項2記載の発明では、第2当接手段により平板状カムに対する第2部材の当接状態が得られることにより、第1部材の揺動に応じて戻し手段を周期的に上下動させることができ、第1部材及び第2部材の揺動との組み合わせにより押え手段を山形の軌跡で変位させることができるので、積載手段上に積載されたシート状媒体を排出方向に押し出すことなく、第2の位置へ移動することができる。
請求項3記載の発明では、積載手段が上昇しても第2枢着部を中心にして第2部材は平板状カムから逃げる方向に回動し、部材の損傷を免れる。
請求項4記載の発明では、第1部材、第2部材の各揺動支点部にプーリを配置しこれらのプーリを介して押え手段に動力伝達される構成とし動力伝達のための軸部を戻し手段変位のための揺動軸と共通化したので、動力伝達系を簡単に構成でき、かつ、第1部材の外部からも容易に動力をとり入れることができ変位手段を軽量かつコンパクト化できる。
請求項5記載の発明では、押え手段を回転するための機構を利用した簡易な構成により、格別な第2当接手段を設けることなく、該第2当接手段の機能を得ることができる。
請求項6記載の発明では、画像形成後の後処理機能を有するシート状媒体後処理装置において、シート状媒体を高精度に整合することができる。
請求項7記載の発明では、画像形成後のシート状媒体を高精度に整合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トレイ及び押え手段の正面図である。
【図2】トレイ及び押え手段の正面図である。
【図3】トレイ及び押え手段の正面図である。
【図4】押えコロが占める位置を説明した図である。
【図5】押えコロの変位手段の正面図である。
【図6】押えコロの変位手段の正面図である。
【図7】押えコロの変位手段の平面図である。
【図8】トレイ上に積載された用紙のカールによる傾斜角の変化を説明したトレイの正面図である。
【図9】シート状媒体整合装置の要部斜視図である。
【図10】シート状媒体整合装置の要部の分解斜視図である。
【図11】押えコロの回転駆動系を説明した動力伝達部の断面図である。
【図12】トレイ及び押えコロの斜視図である。
【図13】シート状媒体整合装置の主要部を説明した分解斜視図である。
【図14】シート状媒体整合装置の主要部を説明した正面図である。
【図15】図15(a)は押えコロ及び排紙コロの回転駆動源を共用する例、図15(b)は押えコロ及び排紙コロの回転駆動源を個別に設けた例をそれぞれ示した要部正面図である。
【図16】変位手段の動作態様を説明した正面図である。
【図17】シート状媒体整合装置をシート状媒体後処理装置に構成した構成の概略を示した正面図である。
【図18】図18(a)はシート状媒体後処理装置の要部斜視図、図18(b)はトレイの高さを制御するセンサ周辺部の概略斜視図である。
【図19】トレイをシフト方向に移動するトレイ移動手段の構造を説明した要部断面図である。
【図20】トレイ移動手段の分解斜視図である。
【図21】ウォームホイール及びホームセンサを説明した正面図である。
【図22】ウォームホイール及びホームセンサを説明した正面図である。
【図23】画像形成装置の概略構成を説明した正面図である。
【図24】制御手段の概要を説明した制御回路図である。
【図25】制御手順を説明したフローチャートである。
【図26】制御手順を説明したフローチャートである。
【図27】制御手順を説明したフローチャートである。
【図28】制御手順を説明したフローチャートである。
【図29】制御手順を説明したフローチャートである。
【図30】制御手順を説明したフローチャートである。
【図31】制御手順を説明したフローチャートである。
【図32】制御手順を説明したフローチャートである。
【図33】制御手順を説明したフローチャートである。
【図34】制御手順を説明したフローチャートである。
【図35】制御手順を説明したフローチャートである。
【図36】従来技術にかかる問題を説明したトレイ及び積載紙の正面図である。
【図37】従来技術を説明したトレイ及び積載紙の正面図である。
【符号の説明】
12 トレイ
121 押えコロ
122a、122b 従動レバー
123a、123b 駆動レバー

Claims (7)

  1. 排出手段より積載手段上に排出されたシート状媒体について、前記排出手段による前記シート状媒体の排出方向上での上流側の端部を、整合位置に設けられた立壁(エンドフェンス)に突き当てることにより整合して積載する手段であって、既に積載されているシート状媒体が前記積載手段(トレイ)上に排出されるシート状媒体によって前記排出方向の下流側に押し動かされないように押える機能を有する押さえ手段を具備したシート状媒体整合装置において、
    前記押え手段が、前記積載手段上に積載済みのシート状媒体から離間した待機位置としての第1の位置と、前記押え機能を発揮する第2の位置と、前記第1の位置と第2の位置との間で積載紙から離間した第3の位置間を移動可能な回転体からなり、この第3の位置で戻し方向に回転可能になっていて、
    かつ、前記押え手段は、前記排出手段からのシート状媒体の排出のたびに該シート状媒体が前記積載手段に完全に排出される前に前記第2の位置で前記押え機能を発揮するほか、シート状媒体が前記積載手段に落下するごとに前記第2の位置で該落下したシート状媒体を前記壁に戻す戻し機能を発揮するように構成され、
    前記排出手段によりシート状媒体が前記積載手段上に排出されたとき、押え手段は前記第1の位置から前記第2の位置へ移動して前記戻し機能を発揮してから前記第3の位置へ移動し、次のシートが排出されるのと合わせて前記第2の位置に移動して前記押さえ機能を発揮し、前記第1の位置へ移動するという制御手段を有し、
    前記回転体からなる押さえ手段は原則として常時戻し方向に回転駆動されているが、例外として押さえ機能を発揮すべく前記第2の位置に移動したときには回転を停止することを特徴とするシート状媒体整合装置。
  2. 請求項1に記載のシート状媒体整合装置において、
    前記押え手段を具備して、少なくとも2つの位置間を変位可能な変位手段を具備し、
    前記変位手段は、たて長の部材であってその中間位置を不動部材に枢着されていて、この枢着部である第1枢着部を揺動中心として一定角度の範囲で揺動可能に設けられた第1部材と、たて長の部材であってその中間位置を、前記第1部材上の前記第1枢着部から外れた一方の自由端側に枢着されていて、この枢着部である第2枢着部を中心に一定角度の範囲で揺動可能に設けられた第2部材とを具備し、前記第2部材の前記第2枢着部での回転中心からずれた任意の自由端側に前記戻し手段を枢着し、前記第1部材の揺動と、前記第2部材の揺動との組み合わせ動作により、前記戻し手段を前記排出方向上の異なる位置に変位させ、
    前記第2部材は、当該第2部材上であって前記第2枢着部を間にして前記戻し部材が設けられた側と反対側の自由端側に作用するように設けられた第2揺動手段により揺動させられ、
    前記第2揺動手段は前記第2部材上の前記第2枢着部の中心からずれた任意の側の自由端側に摺動するカムであって、一部に突起部が形成された平板状カムと、前記平板状カムに前記自由端側を当接させる第2当接手段を付帯していることを特徴とするシート状媒体整合装置。
  3. 請求項2に記載のシート状媒体整合装置において、
    前記平板状カムは前記第2部材の前記自由端側の上方に位置していることを特徴とするシート状媒体整合装置。
  4. 請求項2に記載のシート状媒体整合装置において、
    前記変位手段は、戻し手段を回転駆動するための動力伝達系を具備し、この動力伝達系は前記第1枢着部、前記第2枢着部の各枢着中心を回転中心とするプーリおよびこれらプーリに掛けられたベルトを主要素としていることを特徴とするシート状媒体整合装置。
  5. 請求項4に記載のシート状媒体整合装置において、
    前記第1枢着部、前記第2枢着部とそれぞれ同心に設けたプーリおよびこれらのプーリ間に掛けられたベルトにより前記戻し手段に回転動力を伝達するとともに、該ベルトの張力により与えられる前記戻し手段と前記第2部材と一体的な枢着軸との摩擦力を利用して前記回転動力を前記第2部材に作用させて前記第2当接手段の機能を果たさせていることを特徴とするシート状媒体整合装置。
  6. シート状媒体に後処理を行なう後処理手段及びこの後処理されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有するシート状媒体後処理装置において、請求項1乃至5の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置を具備していることを特徴とするシート状媒体後処理装置。
  7. シート状媒体に画像形成を行なう画像形成手段及びこの画像形成されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有する画像形成装置において、請求項1乃至5の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置を具備していることを特徴とする画像形成装置。
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