[1] 戻し手段の位置を可変とした参考例
主として請求項1〜4に対応する。
例1.
シート状媒体整合装置の要部を示した図1において、前記した図37、図38におけるものと同じ符号で示した部材は、既に説明した物と同じであるので説明は省略する。
図中、符号121は戻しコロを示し、前記例における戻しコロ121に準じて排出方向aと直交する用紙の幅方向に2つ設けられているものを一括して呼称するものである。本例では、戻しコロ121を排出方向a上の異なる位置に位置することができるようにしている。
1つの位置は前記図38で示した位置と同じ実線で示した位置(第1の位置という。)とし、他の1つの位置は実線で示した位置よりも排出方向aの下流側の2点鎖線で示した位置(第2の位置という。)とする。
このように、戻しコロ121を従来のように定位置に固定しておくのではなく、排出方向a上の異なる位置に位置させることにより、トレイ12上に落下した用紙Sの後端部を確実に捉えてエンドフェンス131に突き当てて、良好な整合を得ることができる。
例えば、排紙コロ3から用紙Sが排出されトレイ12上に積載されている適正な整合スタック紙S"の積載面上に落下するまでは排紙コロ121を第1の位置に待機させておき、該用紙Sが適正な整合スタック紙S"の積載面上に落下したら、用紙Sの後端部を十分に捉えることのできる第2の位置に移動させる。よって、用紙Sについてはたとえ既に積載された用紙にバックカールがついていて、トレイの傾斜を利用した用紙の自重による戻し作用が得られなくても、戻しコロ121の回転により用紙Sを確実にエンドフェンス131に突き当てて整合されるまで送り戻すことができる。その後、戻しコロ121は第1の位置に戻して待機させればよい。
戻しコロ121は用紙Sの上面に接して回転し用紙Sとの摩擦を利用して用紙Sを戻すが、該用紙Sの後端部がエンドフェンス131に突き当たった後は該用紙の後端部が座屈しないようにスリップする必要があるので、このような戻し態様が実現できるように適度の摩擦係数と押圧力が設定されている必要がある。
本例では、戻しコロ121としてスポンジ状の弾性材を用い、かつ、表面形状を凹凸状にしたものを用いた。これにより、用紙Sの上面に変形して接することで適度の押圧力が得やすくなり、また、用紙を確実に捉えることができる。
例2.
図1において、戻しコロ121は異なる2つの位置である、第1の位置と第2の位置に位置することができる。例えば、用紙の排出に応じてこれら2つの位置間を移動させる。第2の位置でトレイ或は積載紙の上面に落下した用紙の後端部を確実に捉えるためには、第1の位置と第2の位置との間隔、つまり、戻しコロ121の移動ストロークは、用紙がトレイ12或は該トレイ上の積載紙上に落下時における用紙の後端位置のバラツキ量を超える大きさにすることが必要である。
上記バラツキ量は、用紙の種類や大きさ、使用する画像形成装置、後処理装置等の機械や、使用する環境条件等に左右され得るが、これらのバラツキを考慮して戻しコロの移動ストロークを定めるものとする。
例3.
図38において、戻しコロ121aは落下途中の用紙後端部に干渉する位置にあるので、例え用紙後端の自然落下位置のバラツキを考慮して第1の位置、第2の位置を定めたとしても、戻しコロ121aが落下途中の用紙後端に干渉して排出方向aの送り成分によって用紙を排出方向に押し出すことがあり、落下位置が変動するおそれがある。
つまり、戻しコロ121は元来、その上側の部位で用紙Sの後端を排出方向aに突き出す作用がある。例えば、図1、図2における実線で示した第1の位置にある戻しコロ121は落下中の用紙後端部軌跡cと干渉するが、この干渉するときの該戻しコロの部位が斜め上方の周面部位であり、該戻しコロの回転による分力が排出方向aの成分を有するため、該戻しコロの斜め上方の周面部位において用紙の後端部を排出方向aに押し、突き出す作用がある。
このような、押し、突き出し作用によって用紙が排出方向aに突き出されると用紙の種類によっては、第2の位置においても用紙の後端部を捉えられない可能性もある。
そこで、このような不確定要素を完全に排除するために本例では、前記例1、例2において、第1の位置として定めた図1における実線で示した戻しコロ121の位置を更に少し排出方向aの上流側、つまり、用紙後端部軌跡cよりも図中
右側にシフトして、前記第1の位置を排紙コロ3より排出中の用紙Sに非干渉の第1の停止位置とし、この第1の停止位置を基準として該第1の停止位置よりも排出方向aで下流側であって用紙後端部のバラツキを考慮して定められ、トレイ12上の積載用紙上面に接触し得る位置を第2の停止位置とする。
本例においては、戻しコロによる用紙の突き出し作用による不確定要素を完全に排除して良好な整合を得ることができる。
例4.
例えば用紙の種類、大きさによっては、図2に符号S1で示すように、該用紙S1の後端部分がまだ排紙コロ3にくわえられているときに、該用紙S1の先端部分が積載紙S"の最上位にある用紙S2の上面に接して該用紙S2を排出方向aに押し出し、せっかく後端揃えした用紙S2を排出方向aにずらしてしまうことがある。
これを防止するには、用紙S1の先端部が用紙S2を押し動かさなくなるまでの間、戻しコロ121で用紙S2押えて用紙S2が動くのを止めればよい。この押え機能を発揮させるための戻しコロ121の位置は第2の停止位置と同じ位置でよい。また、抑え機能時において戻しコロ121は戻し時と同じ向きに回転させてもよいし、また、回転させなくてもよい。回転状態におけば、戻し機能も同時に得られることとなる。
このように、戻しコロ121に押えの機能を果たさせる場合には、次のサイクル1を行なう。
サイクル1:(1)第1の停止位置(1枚目)→(2)戻しのための第2の停止位置→(3)第1の停止位置→(4)押えのための第2の停止位置→(1)第1の停止位置→…
しかし、最初の1枚目については排紙コロ3からの用紙の自然落下の邪魔にならないように、戻しコロ121を落下する用紙と非干渉の位置である第1の停止位置にしておかなければならないが、それより後の工程では、押えのため、戻しのために関わらず、第2の停止位置へ移動する場合にはその待機位置を、第1の停止位置にする必要はなく、第1の停止位置と第2の停止位置との中間に設けた第3の停止位置とする方が目的の第2の停止位置までの移動距離が短い分、より迅速な動作が可能であり高速排出にも適合することができる。
そこで、本例では、第1の停止位置と第2の停止位置との間の中間に第3の停止位置を設け、戻しのための第2の停止位置の次には、この第3の停止位置へ戻し、この第3の停止位置から押えのための第2の停止位置へと移動させることとした。従って、戻しコロ121の移動サイクルは次のサイクル2となる。
サイクル2:(1)第1の停止位置(1枚目)→(2)戻しのための第2の停止位置→(3)第3の停止位置→(4)押えのための第2の停止位置→(5)第3の停止位置→(2)戻しのための第2の停止位置…
しかし、押え動作のために戻しコロ121が第2の停止位置にあり、戻しコロ3が戻し方向に回転しているときに排紙コロ3から排出され落下途中の用紙の後端部が戻しコロ3の上部に接触すると排出方向aの分力成分により該用紙が飛ばされるおそれがある。よって、該用紙の後端部が戻しコロ121上に落下し干渉する前に戻しコロ121を第2の停止位置から第1の停止位置に移動させる必要がある。
このような考えに基づけば、上記サイクル2は適当でなく、次のサイクル3が実用的であることがわかる。
サイクル3:(1)第1の停止位置(1枚目)→(2)戻しのための第2の停止位置→(3)第3の停止位置→(4)押えのための第2の停止位置→(5)第1の停止位置…
このように、バックカールした用紙がトレイ12に積載される場合、用紙1枚に対して、2回の戻しコロ121の動作が実施される。1回目の動作は、バックカールした用紙がトレイ12上に大量積載されることによる積載面の傾斜角度の緩慢化が原因で用紙がトレイ12の積載面の傾斜に沿って戻らずに発生するズレを防止する戻し動作のために第2の停止位置へ移動させる動作であり、2回目の動作は、次用紙S1の先端が既に積載されている用紙S2に接触した際に、その用紙S2を押し出して揃え状態を悪化させない為に押えの目的で行う動作である。
そして、1回目の戻し動作の後、戻し位置(第2の停止位置)から離れた戻しコロ121は、デフォルト位置(第1の停止位置)ではなく、これら第1の停止位置と第2の停止位置との間の第3の停止位置で待機し、今度は押え動作のため押え位置(第2の停止位置)に移行することによって、戻しコロ121の移動時間が短縮でき、より高速な画像形成装置にも対応できるようになる。押え位置(第2の停止位置)からは落下中の用紙の後端部を戻しコロの回転で突き出さないようにするため、干渉する以前に早めに第1の停止位置に戻すようにし、以後このサイクルを繰り返す。
[2] 変位手段
戻しコロ121を2つ以上の異なる位置、例えば、第1の位置、第2の位置或は第1の停止位置、第2の停止位置、第3の停止位置に周期的に移動させるには、機械的な変位手段を用いるのが実際的である。以下に変位手段のいくつかを例示する。
例1.変位手段の第1の例(参考例)
図3において、戻しコロ121は移動体500に軸支されている。移動体500は正面形状がL字状をしていて、その上部は変位方向に長い案内部材501に摺動可能に嵌合されている。戻しコロ121は移動体500に軸支されており、戻しコロ121と一体的な軸にはプーリ502が一体的に設けられている。また、移動体500にはモータ503が固定され、その軸にはプーリ504が固定されている。
移動体500上、プーリ502とプーリ504の中間位置にはアイドルプーリ505が軸支されていて、アイドルプーリ505とプーリ502間にはベルト506が掛けられ、アイドルプーリ505とプーリ504間にはベルト507が掛けられている。かかる構成により、モータ503の回転を戻しコロ121aに伝達して戻しコロ121aを回転させることができる。移動体500の下面にはラック508が形成されていて、このラック508にはピニオン509が噛み合っている。ピニオン509は不動部材に軸支されたモータ510の回転軸に固定されている。
かかる構成からなる変位手段おいて、モータ510を駆動することにより、その回転方向に応じて、ラック508とピニオン509の噛み合いを介して移動体500を案内部材501に沿って往復動させ、モータ510の回転量及び回転方向の制御により、戻しコロ121aを変位方向上の任意の位置に移動させることができる。
本例の変位手段では、ラックとピニオンの噛み合い関係を利用して変位を行なうので、戻し手段121の移動軌跡は直線的となるのが特徴であり、第1の停止位置から第2の停止位置に向けて移動する際に、戻しコロ121aがトレイ12上に積載されたバックカールした用紙の上面に当接して該用紙を排出方向aに押し出す可能性がある。また、トレイ12上に積載された用紙の後端部が上向きにカールしていると、このカール部分に突き当たり、該用紙を戻しコロ121aが押し出すことも考えられる。さらに、モータ503を搭載した移動体500と共に戻しコロ121aを移動するのであるから、かなりの重量物、大型部材を移動することとなるので構成物の大きさが大きくなり、排紙コロ3近傍のレイアウトにかなりの工夫が必要である、などの考慮すべき点がある。
例2. 変位手段の第2の例
戻しコロ121aを装着して排出方向上に変位させる別の変位手段の例を説明する。
図4は変位手段を戻しコロと共に組み立て状態でその要部を示した図、図5は変位手段を戻しコロと共に分解した状態で示した図である。これらの図において、構成部材はフレーム200に取り付けられて組み立てられている。
戻しコロ121は戻しコロ121aと、戻しコロ121bとからなる。戻しコロ121aを変位させる手段と、戻しコロ121bを変位させる手段とは共通部分において全く同じ構成である。そこで、説明の煩雑を避けるため、この共通部部分の構成に関しては戻しコロ121a関係については部材を表す数字の符号にaの文字を付して表して説明し、戻しコロ121b関係については部材を表す数字の符号にbの文字を付すにとどめ、説明は省略する。
変位手段の基本構成は次のとおりである。
図4、図5において、第1部材(以下、駆動レバーという。)123aはたて長の部材であって、その中間位置を軸129により貫通されることにより不動部材であるフレーム200に枢着されている。ここで、軸129は駆動レバー123aに対して回転自在であり、軸129の両端部は軸受520、521を介してフレーム200に軸支されている。駆動レバー123aについて軸129により貫通された部位は枢着部であり、この部位を第1枢着部522aと称する。駆動レバー123aは第1枢着部522aを揺動中心にして一定角度の範囲で揺動可能である。
第2部材(以下、従動レバーという。)122aはたて長の部材であってその中間位置にて突出している軸部524aを、駆動レバー123a上の第1枢着部522aから外れた一方の自由端側である第2枢着部523aに嵌合することにより枢着されている。従動レバー122aは第2枢着部523aを中心に一定角度の範囲で揺動可能である。
従動レバー122aの第2枢着部523aでの回転中心(軸部524aの中心)からずれた任意の自由端側には、軸部525aが一体に形成されており、この軸部525aに戻しコロ121aが枢着されている。
これら駆動レバー123aの第1枢着部522aを中心とする揺動と、従動レバー122aの第2枢着部523aを中心とする揺動との組み合わせ動作により、従動レバー122aの自由端側に枢着された戻しコロ122aを排出方向a上の異なる位置に変位させることとする。
これにより、揺動自在の単体レバーの先端部に戻しコロを設ける構成や、図3により説明したラックとピニオンの組み合わせによる変位手段に比べて、後述するように、戻しコロ121aを遠方まで変位させることが可能であり、駆動レバー123aと従動レバー122aとの折曲自在な構成により同じストロークを達成するための他の構成と比べてコンパクトな構成となし得、しかも、山形の軌跡を描かせるなど上下方向の変位も可能でフェイスカールにより後端部が上方に跳ね上った部位を越えてトレイ上の用紙の上に当てることも可能となる。
駆動レバー123aは第1枢着部522aを中心にして考えたときに従動レバー122aが設けられた側と反対側の自由端側に板金からなるブラケット124がねじ526aによって固定されている。これにより駆動レバー123aは板状をしたブラケット124と一体化されている。
このブラケット124の、排出方向aの上流側の側面部には駆動レバー123aを揺動させる偏心カム125の周面が当接している。偏心カム125はフレーム200と一体的に構成された支持板527に軸支された軸528と一体的に回転させられるようになっている。偏心カム125のカム面をブラケット124に弾性的に押し当てる第1当接手段として、ねじりコイルばね529aが設けられている。このねじりコイルばね529aのうち、ボス状をした第1枢着部522aの外周をゆるく巻いた該ねじりコイルばね529aの一端側が駆動レバー123aの側部に掛けられ、該ねじりコイルばね529aの他端側がフレーム200の一部として構成されたフック530aに掛けられている。
このねじりコイルばね529aの弾性により、駆動レバー123aは第1枢着部522aを中心にして矢印の向きに回動付勢され、偏心カム125に弾性的に押圧される。よって、偏心カム125を回転駆動することにより、カム面の変位量に従い駆動レバー123aは第1枢着部522aを中心にして揺動する。
偏心カム125はエンドレスなカム面を有するので、その回転運動により駆動レバー123、ひいては戻しコロ121に周期的な変位を与えることができる。
第1当接手段としてのねじりコイルばね529aと偏心カム125を以って、第1揺動手段が構成され、この第1揺動手段によって偏心カム125と駆動レバー123a(ブラケット124)の自由端側の摺接が得られ、偏心カム125の回転に応じて駆動レバー123aを偏心量に従う所定角度で揺動させることができる。
このように第1揺動手段によって駆動レバー123aを所定角度揺動させることによって、該駆動レバー123a上に乗っている従動レバーを戻しコロ121aと共に移動させ、戻しコロ121aに対して排出方向aについての円弧状の変位を与えることができる。
偏心カム125を固定している軸528には円盤の一部を半円状に切り欠かれた遮蔽板531がその軸心部を固定されており、かつ、歯車532がその軸心部を固定されている。歯車532には歯車533が噛み合わされており、この歯車533は支持板527に固定されたステッピングモータ126により回転駆動されるようになっている。また、遮蔽板531の切欠部が通過する部位にはセンサ127が固定されていて、センサ127による遮蔽板531の検知情報により偏心カム125の回転量を検知し、ステッピングモータ126の駆動停止を制御することができる。センサ127及び遮蔽板531の組み合わせはエンコーダを構成し、偏心カム125はステッピングモータ126を駆動源として上記エンコーダにより回転量が制御される。このようにステッピングモータとエンコーダの組み合わせの構成を採用することにより戻しコロ121の位置を適正に管理することができる。例えば、戻しコロ121を第1の停止位置、第2の停止位置、第3の停止位置等にあるように位置決めすることができる。
従動レバー122aは、当該従動レバー122a上であって第2枢着部523a(軸部524a)を間にして戻しコロ121aが設けられた側と反対側の自由端側534aに作用するように設けられた第2揺動手段により揺動させられる。
この第2揺動手段は、駆動レバー123aの揺動に伴い、第2枢着部523aを中心に従動レバー122aを所定角度量だけ揺動させるもので、かかる第2揺動手段を設けることにより、第2枢着部523aと中心とする駆動レバー123aに対する従動レバー122aの角度を変位させることで戻しコロ121を所望の軌跡を以って所望の位置間に移動させ得る。かつ、従動レバー122aの揺動動作と駆動レバー123aの揺動動作とを組み合わせることにより、戻しコロ121のストロークを稼ぐことができる。
第2揺動手段は従動レバー122a上の前記第2枢着部の中心からずれた戻しコロ121aが設けられた側と反対側の自由端側534aに形成した突起535aに摺動するカムであって、曲率無限大の周面の一部に台形状の突起部536が形成された平板状カム537と、該平板状カム537を突起535aに当接させる第2当接手段を付帯している。この第2当接手段としては、軸部524aにねじりコイルばねを巻き、該ねじりコイルばねの一端側を従動レバー122aに掛け、該ねじりコイルばねの他端側を不動部材に掛けることにより構成することができる。
第2当接手段により平板状カム537に対する突起535aの当接状態が得られることにより、駆動レバー123aの揺動に応じて戻しコロ121aを周期的に上下動させることができ、駆動レバー123a及び従動レバー122aの揺動との組み合わせにより戻しコロ121aを山形の軌跡で変位させることができるので、トレイ12上に積載された用紙を排出方向aに押し出すことなく、第2の停止位置へ移動することができる。
図9、図10に図示されるように、平板状カム537は従動レバー122aの自由端側534aの上方に位置している。このような位置関係では戻しコロ121aの下方にはトレイ12が位置している。
図1、図2に示したようにトレイ12は積載される用紙の上面と排紙コロ3との間の距離を一定に保つために、用紙が排出されてトレイ12上の高さが高くなるにつれて下降するようにモータ駆動されるようになっている。
トレイ12の上限と下限には安全対策としてのリミットスイッチが設けられていて、トレイ上下動用のモータが暴走した場合でも停止するように制御されるが、かかるリミットスイッチに到達する以前に、仮に何らかの原因でトレイ12が異常事態により上昇した場合でも、本例のように平板状カム537が従動レバー122aの自由端側534aの上方に位置している構成とすれば、上昇するトレイ12が戻しコロ121aを押し上げても、第2枢着部523aを中心に従動レバー122aは平板状カム537から逃げることができ、従動レバー122aが回動するだけで他部材との干渉がないので、部材の損傷を免れることができる。
戻しコロ121aを回転駆動するための動力伝達系について説明する。
動力伝達系は、第1枢着部522a、第2枢着部523aの各枢着中心を回転中心とするプーリおよびこれらプーリに掛けられたベルトを主要素としている。ここで、プーリ及びベルトには、歯車及びチェーンも同様な動力伝達手段として包含するものとする。
図5において、軸129と一体的に回転するプーリ538aと、軸部524aに枢着されているプーリ539aと、これらプーリ538aとプーリ539aとに掛けまわされたベルト540aからなる組み合わせがある。
また、軸部524aに枢着されているプーリ541aと、軸部525aに枢着され戻しコロ121aと一体に構成されたプーリ542aと、これらプーリ541aとプーリ542aとに掛けまわされたベルト543aからなる組み合わせがある。なお、プーリ541aとプーリ539aとは共通の軸部524aに嵌合された状態では側面部に形成された噛み合わせ部が噛み合うことにより一体的に回転される状態となる。
軸129の軸端部には継手555を介してステッピングモータ556がフレーム200に固定されていて、軸129を回転させる。或は、ステッピングモータ556を設けない場合にはプーリ544を設け、排紙コロ3と共通駆動のベルト557を介して回転動力を得る。何れにしても、軸129が回転することにより、プーリ538a→ベルト540a→プーリ539a→プーリ541a→ベルト543a→プーリ542a→戻しコロ121aの順を動力の伝達して戻しコロ121aが回転され、戻しのための回転がなされる。
このように、駆動レバー123a、従動レバー122aの各揺動支点部にプーリを配置しこれらのプーリを介して戻しコロ121aに動力伝達される構成とし動力伝達のプーリの軸部を戻しコロ変位のための揺動支点軸と共通化したので、動力伝達系を簡単に構成でき、かつ、駆動レバー123aの外部からも容易に動力をとり入れることができ変位手段を軽量かつコンパクト化できる。
上記したように図5において、戻しコロ121a回転のための動力は、第1枢着部522aと同心の軸129と一体的に設けられたプーリ538aと、第2枢着部523aと同心の軸部524aに枢着されたプーリ539aと、これらプーリ538aとプーリ539a間に掛けまわされたベルト540aを介して伝達される構成を含んでいる。
この動力伝達系の断面を示した図6において、プーリ538aは軸129と一体的に固定されている。プーリ539aは軸部524aに枢着されている。本例では特に、これらプーリ538aとプーリ539a間に掛けまわされたベルト540aの張力を適度に選択してこの張力によりプーリ539aを軸部524aに押しつけることにより、該プーリ539の内径部と軸部540aとの間に適度の摩擦力を作用させる。この摩擦力によりプーリ539aの回転力は軸部524aにも伝えられて、従動レバー122aは第2枢着部523aを中心にして回動付勢される。
図4、図5において、戻しコロ121aに用紙をバックフェンス側に戻す戻し機能を果たさせるための回転の向きは反時計まわりの向きである。この回転の向きで戻しコロ121aを回転させるときのプーリ539aの回転の向きは反時計まわりの向きであり、この向きの回転のときに上記摩擦力によって従動レバー122aに与えられる回動付勢力もまた、第2枢着部523aと中心とする反時計まわりの向きであり、この回動付勢力により従動レバー122aの突起535aが平板状カム537に押圧される向きに付勢される。
本例のように、ベルト540aの張力によるプーリ539aと軸部524aとの摩擦力及びプーリ539aの回転力を利用した従動レバー122aの回動付勢により、従動レバー122aの突起535aを平板状カム537に押圧させる第2付勢手段の機能を果たさせることができ、ねじりコイルばねを使用する場合に比べて、簡易な構成となすことができる。突起535aが平板状カム537に適度の押圧力で押圧された状態でプーリ539aと軸部524aとがスリップするようにベルト540aの張力は適度に設定するものとする。
[3] 変位手段による整合動作
前記図4〜図6で説明した構成の変位手段により戻しコロを変位させて行なう整合動作について構成の説明を加えながら図7〜図8を参照しながら説明する。
図7において戻しコロ121は用紙整合装置の排紙コロ3の下部近傍に位置しており、本例では2個の戻しコロ121からなり、排出方向aと直交する用紙の幅方向dの中央部に対向して配置されている。
この戻しコロ121aと121bとの間に積載面の紙面高さを検知するための紙面レバー73が位置しており、用紙が積載されると紙面レバー73の遮蔽部が紙面センサ74により検知されてトレイ12を下降させる。従って、紙面レバー73とトレイ12上の用紙の積載面との接触点は常に一定の高さに制御される。
前記図38で示したように積載面に落下した用紙がエンドフェンス131まで戻らないで飛び出した用紙S'のように積載されてしまった場合、その飛び出した用紙S'の後端部まで戻しコロ121を揺動させて用紙の後端部に接触させて回転力で戻す必要がある。
既に説明したように、戻しコロ121は従動レバー122a、122bの軸部525a、525bに枢着されており、これら従動レバー122a、122bの反対側の軸部524a、524bは、駆動レバー123a、123bに挿入されて該軸部524a、524bを中心に従動レバー122a、122bは回動するようになっている。
また、駆動レバー123a、123bは従動レバー122a、122bが枢着している反対側を軸129に挿通されていて該軸129を中心に回動するようになっている。さらに、駆動レバー123aと123bにはブラケット124が接合されており、ブラケット124を偏心カム125で変位させることによって、駆動レバー123a、123bを、軸129を中心に揺動させ、さらには駆動レバー123a、123bに枢着されている従動レバー122a、122bを揺動させ、戻しコロ121を変位させる。
図9に示されているように、戻しコロ121は第1の停止位置(ホームポジション)から2点鎖線で示す第2の停止位置(戻し位置)まで移動して、トレイ12上に落下した用紙の後端に接触してその回転力でエンドフェンス131まで該用紙を引き戻し、後端部の整合を行う。
駆動レバー123a、123bに接合されているブラケット124を矢印J方向に変位させる偏心カム125はステッッピングモータ126から歯車533、532による伝達駆動を受けて回転し、この回転により上記の変位を行なわせる。
偏心カム125には半円状の遮蔽板531が付加されており、この遮蔽板531をセンサ127で検知することによって偏心カム125の停止位置を規制して、すなわち戻しコロ121の停止位置を規制している。図9において、戻しコロ121の第1の停止位置(待機位置)は実線で示した位置、第2の停止位置(戻し、押え位置)は2点鎖線で示した位置である。
次に、戻しコロ121の変位のタイミングについて説明する。
通常は、第1の停止位置にあり、用紙が排紙コロ3から排出され、該用紙の後端が下コロ3aの外周に沿って下降して戻しコロ121に接触し、さらに戻しコロ121の外周に沿ってトレイ12に落下した直後に、第2の停止位置に変位させる。平板状カム537によるカム形状に従い山形の軌跡を以って変位した戻しコロ121が用紙後端部に上方から下降して接触して、ある一定時間その位置にとどまり、回転力でもって用紙をエンドフェンス131まで引き戻したら、再び偏心カム125を回転させて第1の停止位置まで変位させる。このような動作により、図37における符号S'で示したように飛び出した用紙を確実に引き戻して排出方向aについての揃え精度を向上させることができる。
次に戻しコロ121の回転駆動の構成例を図10(a)により説明する。戻しコロ121aには図5にも示したようにプーリ542aが一体的に形成されており、これらのプーリは軸部524上のプーリ541aとベルト543aで結ばれている。さらに、プーリ541aと同軸かつ一体的なプーリ539aがベルト540aを介して駆動側のプーリ538aと結ばれている。
駆動源に連結された軸129と一体的に回転するプーリ538aによりベルト540aが回転してプーリ539a、541aを回転させ、これによりベルト543aを介してプーリ542aが回転して戻しコロ121が回転する仕組みである。プーリ542bについてもこれに準ずる。
ここで、ベルト543は図9の従動レバー122の内部に、ベルト540は駆動レバー123の内部に各々収納されている。これらの構造は図5により説明した通りである。
本例では、軸129は、駆動側の下コロ3aを回転させているステッピングモータ132によってベルト557を介して回転するようにしている。すなわち、排紙コロ3を回転させているステッピングモータ132によって戻しコロ121も回転させている。
或は、上記のようにステッピングモータ132を兼用しないで、図10(b)や図5に示すように、軸129を回転させる専用のステッピングモータ556を設けた構成とすることもできる。図10(a)の場合にはステッピングモータ132が兼用されるのでモータが1台で済む半面、排紙コロ3の駆動と戻しコロ3の駆動を個別に制御できない欠点があり、図10(b)のように個々に駆動モータを設けた例では、排紙コロ3の駆動と戻しコロ3の駆動を個別に制御できる利点がある。
何れにしても、用紙が排紙コロ3を通過してトレイ12に落下するまで戻しコロ121を第1の停止位置に待機させ、用紙がトレイ12上の積載面上に落下した直後に第2の停止位置まで変位動作させることによって積載面上に落下した用紙を確実に捉えてエンドフェンス131まで戻すことを可能にしている。第2の停止位置(戻し位置)とは、第1の停止位置に対して排出方向a側にシフトした位置で、要するに戻しコロ121の外周面に触れずに落下した用紙の後端に届く位置である。これにより、トレイ12上に積載された排出方向側の用紙の揃え精度を用紙のカール状態や積載状態に関わらずに良好にすることができる。
第1の停止位置と第2の停止位置とで、駆動レバー123と従動レバー122とのなす角度(係合角度)を変える構成とした点について説明する。
戻しコロ121を支持して変位させる変位手段としての従動レバー122と駆動レバー123の係合角度を、戻しコロ121の第1の停止位置と第2の停止位置とで変化させることによって、戻しコロ121の移動距離を大きくすることができる。
図11に示すように、戻しコロ121の第1の停止位置での駆動レバー123と従動レバー122の係合角度η°よりも第2の停止位置での係合角度θ°の方が大きくなることによって、直接、駆動レバー123上に戻しコロ121を配置するよりも、軸129を中心とした同じ回転角度であれば、戻しコロ121の移動距離Xを大きくすることができるのである。
移動距離Xを大きくすることができれば、トレイ12に落下した用紙の後端部を戻しコロ121に接触させることが確実になり、揃え精度を向上させることができる。例えば、用紙が何らかの要因で戻しコロ121から離れた位置に落下積載されても、戻しコロ121の移動距離が大きくなればなるほど、用紙後端部への接触が確実になる。
ここで、従動レバー122の揺動量は、平板状カム537のカム特性によって定まる。従動レバー122の揺動中心である第2枢着部523aから外れた自由端側534に形成された突起535aを平板状カム537に摺動させることによって平板状カム537の突起部536が突起535aを押し下げる量により、従動レバー122の回転量が規制されている。従って、戻しコロ121の移動距離も必然的に平板状カム537と突起部536の接触軌跡によって決定されてくるのである。
戻しコロ121は、用紙の後端部の高さを検知している紙面レバー73の近傍で用紙に接触して戻す。用紙後端部は、常に一定の高さに制御されているため、戻しコロ121が、突起部536への突起535aの乗り上げにより第2の停止位置に移動した時には、用紙後端部に戻しコロ121が接触し、戻しコロ121の戻し部(スポンジ部)が若干、変形して戻すことが可能になっている。
このように、駆動レバー123は一端側を固定中心として回転するようになっていて、他端側に従動レバー122が枢着されていて従動レバー122の該枢着部を中心とした一端側に戻しコロ121が設けられ、反対側に揺動量を規制するカム手段が設けられている。戻しコロ121が第1の停止位置で、駆動レバー123、従動レバー122の双方の係合角度よりも、第2の停止位置での係合角度を大きくすることによって、単一の揺動支持部材で戻しコロ121を支持する場合よりも同じ回転量でより遠くまで動作することが可能である。また、駆動レバー123、従動レバー122双方の係合角度をカム手段によって可変とするのでトレイ12との位置関係をみながら最適な戻し位置に移動させることも可能である。よって、少ないスペースで第1の停止位置と第2の停止位置間を揺動する戻
しコロを実現し、排出方向の揃え精度を向上することができる。
戻しコロ121の変位時の軌跡について図11を参照しながら説明する。用紙後端部がフェイスカール(上向きカール)している場合、戻しコロ121が待機位置である第1の停止位置から戻しのための第2の停止位置に移動する際、戻しコロ121でカールして上にはね上がっている用紙の後端部を押し出して揃え精度を悪化させてしまう可能性がある。
その対策として従動レバー122の自由端側に534aの先端部に突起535aを形成し、これを平板状カム537の一部に形成した突起部536と摺接するようにしている。これにより、従動レバー122aの揺動に連れて突起535と突起部536との双方の凸形状部が接触する前は、従動レバー122の自由端側534aが上に変位しこれに伴い回転中心の反対側の戻しコロ121は上に上がり、そして、双方の凸形状部が接触すると戻しコロ121は下に下がる。
用紙の後端部のカールを乗り越えるまでは、上記カムを利用して戻しコロ121を上に上げ、乗り越えたら上記カムを利用して戻しコロ121下げるようにする。つまり、上記カムを利用して戻しコロ121に山形の軌跡を描かせるのである。これにより、後端部がフェイスカールした用紙を押し出す危険性を軽減させ、揃え精度を悪化させないようにしている。
[4] シート状媒体後処理装置への適用例
以下では、前記図4〜図6、図7〜図11で説明した構成の変位手段を具備したシート状媒体整合装置をシート状媒体後処理装置に設けた例について説明する。
(1)シート状媒体後処理装置の概要
この発明にかかるシート状媒体後処理装置としては、用紙に後処理を行なう後処理手段及びこの後処理された用紙を搬送する搬送手段を有するものが含まれ、後処理の内容としては、押印、穴あけ、ステープル処理、そのほか、シート状媒体に何らかの加工を行なうものが含まれる。
このシート状媒体後処理装置にはシート状媒体整合装置が一体的に構成されている。当該シート状媒体後処理装置において、後処理実行有無の選択ができ、後処理実行が選択されたことにより後処理された用紙、或いは後処理実行が選択されなかったことにより後処理が行なわれなかった用紙は、シート状媒体処理装置の仕分け機能及び揃え機能によってトレイ上に仕分けられた状態で揃えることができる。
図12に本例にかかるシート状媒体後処理装置51の全体構成例を示す。本例のシート状媒体後処理装置は、用紙を排出する手段をもつ他の装置、例えば、揃え機能を有しない画像形成装置50と連結して組み合わされて用いられ、揃え機能によって用紙をトレイ上に揃えることができる。
画像形成装置50において画像形成された用紙は、シート状媒体後処理装置51に至る。後処理の有無は選択することができ、選択により後処理された用紙或いは選択により後処理を行なわなかった用紙はシート状媒体後処理装置51と組み合わされたシート状媒体整合装置の整合動作によって排出方向aについてトレイ上に揃えられ、かつ、必要に応じ、排出方向aと直交する方向について所定枚数ずつ位置をずらした仕分け状態で積載される。この仕分け機能は、排出方向aと直交するシフト方向dにトレイ12を移動させるトレイ移動手段98(後述)により行なわれる。
画像形成装置50では、オペレーターにより指示された後処理内容に従い画像形成手段により画像形成された用紙Sがシート状媒体後処理装置51に送られてくる。
シート状媒体後処理装置51における後処理内容としては、画像形成装置50が複写機の場合には次のモードがある。(a)用紙を排出順に単に積載する通常モード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数を指示することで処理が実行される。(b)ステープル処理を行なうステープルモード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数のほか、綴じ枚数や綴じ位置等を指示することにより処理が実行される。(c)仕分け処理を行なう仕分けモード。このモードでは用紙サイズと仕分け部数を指示することで処理が実行される。(d)パンチモード。このモードでは、穴あけが行なわれる。
これらの後処理にかかる作業指示は、画像形成装置50の操作パネルからキー操作によりCPUを含む制御手段に伝えられ、画像形成装置50及びシート状媒体後処理装置51の間で後処理遂行の信号授受が行なわれて後処理が実行される。
図12に示すように、シート状媒体後処理装置51は、積載手段としての昇降可能なトレイ12を有しているとともに、位置固定トレイとしてのプルーフトレイ14を装置上部に有している。
画像形成装置50との用紙受け渡し部位の近傍には、入口センサー36、入口ローラ対1が設けられており、入口ローラ対1により取り込まれた用紙は、後処理モードに応じてそれぞれの搬送経路を搬送される。
入口ローラ対1の下流には穴開けを行うパンチユニット15が設けられており、パンチユニット15の下流には搬送ローラ対2aが設けられている。搬送ローラ対2aの下流には分岐爪8aが設けられており、用紙は分岐爪8aによりプルーフトレイ14へ向かう搬送経路と、略水平に進む搬送経路とに選択的に案内される。プルーフトレイ14へ向けて搬送された場合、用紙は搬送ローラ対60で搬送され、排紙ローラ対62によりプルーフトレイ14へ排出される。
分岐爪8aの下流には分岐爪8bが設けられており、用紙は分岐爪8bによりノンステイプルルートEと、ステイプルルートFへ選択的に案内される。分岐爪8a、8bは、図示しないソレノイドのオン/オフ制御により位置を切り替えられるようになっている。
ノンステイプルルートEへ案内された用紙は、搬送ローラ対2bにより搬送され、排出手段としての排紙ローラ3によりトレイ12に排出される。排紙ローラ3の下部と重なるようにして或は下方位置には前記図4乃至図6で説明した変位手段により変位される戻しコロ121が設けられている。
装置本体の図中左側面は、トレイ12に対する用紙の後端揃えを行うエンドフェンス131となっている。
排紙ローラ3は、上コロ3aと、下コロ3bを有し、下コロ3bは用紙排出方向aの上流側を支持されて上下方向に回動自在に設けられた支持部材66の自由端部に回転自在に支持されている。下コロ3bは自重又は付勢力により上コロ3aに当接し、用紙は両ローラ間に挟持されて排出される。綴じ処理された用紙束が排出されるときは、支持部材66が上方に回動され、所定のタイミングで戻される。このタイミングは排紙センサ38の検知信号に基づいて決定される。
ステイプルルートFへ案内された用紙は、搬送ローラ対2cにより搬送される。搬送ローラ対2cの下流には分岐爪8cが設けられており、用紙は分岐爪8cにより、ステイプル本ルートGと、退避ルートHへ選択的に案内される。分岐爪8cも図示しないソレノイドのオン/オフ制御により位置を切り替えられるようになっている。
ステイプル本ルートGへ案内された用紙は、搬送ローラ対4を経て排紙センサ37で検知され排紙ローラ対68により図示しないステイプルトレイへ積載される。この場合、用紙毎に叩きローラ5で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス9にて横方向(排出方向aと直交する用紙幅方向)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束の最終紙から次の用紙束の先頭紙の間で図示しない制御手段からのステイプル信号によりステイプラー11が駆動され、綴じ処理が行われる。
画像形成装置50から排出される用紙間の距離が短く、綴じ処理をしている間に次の用紙が来る場合には、該次の用紙は退避ルートHへ案内され、一時的に退避させられる。退避ルートHへ案内された用紙は、搬送ローラ対16により搬送される。
綴じ処理が行われた用紙束は、直ちに放出爪10aを有する放出ベルト10によりガイド69を経て排紙ローラ3へ送られ、トレイ12へ排出される。放出爪10aはセンサ39によって所定位置を検知されるようになっている。
叩きローラ5は支点5aを中心に図示しないソレノイドによって振り子運動を与えられ、上記ステイプルトレイへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙をエンドフェンス131に突き当てる。図示しないが、排紙ローラ対68はブラシローラを有しており、これによって用紙後端の逆流が防止される。なお、叩きローラ5は反時計回りに回転する。ここまでがシート状媒体後処理装置の本来的な機能部分の構成及び動作の概要である。
シート状媒体後処理装置51では、本来的な機能である後処理を行なうことができると共に、以下に述べるように、トレイ12上に積載された後の用紙を揃えることができる。この揃えには、排出方向aの端部を揃えることと、シフト方向dの端部を揃えることの2つの意味があるが、前者の揃えはエンドフェンス131への突き当て及び戻しコロ131の機能によりなされ、後者の揃えは揃え部材102によりなされる。ここでは、揃え部材102による揃えの詳細は省略する。
図12において、シート状媒体後処理装置は、排紙コロ3、排紙コロ3より排出される用紙Sを積載するトレイ12、トレイ12を昇降させるトレイの昇降手段、トレイ12の昇降方向の位置を制御する位置決め手段、トレイ12を図12の排出方向aと直交するシフト方向d(図12の紙面を貫く方向)に往復動させるトレイの移動手段、トレイ12上に積載された用紙を揃える戻しコロ121、戻しコロ121を変位させる変位手段などからなる。
このうち、上記トレイの昇降手段は図13(a)に符号95、昇降方向の位置決め手段は図13(a)、(b)に符号96、トレイの移動手段は図14、図15に符号98で示され詳細は以下でそれぞれ説明する。
(2)トレイ、その昇降手段、昇降方向の位置決め手段、トレイ移動手段
図12において、用紙Sは分岐爪8bから用紙の搬送手段である搬送ローラ対2bにより排紙センサ38を経てトレイ12に向けて搬送され、排紙コロ3により排出方向aに送り出される。
図12、図13に示すように、トレイ12の上面は排出方向aに進むほど、上面の高さが増す傾向に傾斜している。該トレイ12の傾斜面の下方基端部には鉛直面からなるエンドフェンス131が位置している。
図12において排紙コロ3から排出された用紙Sは、受け入れ位置で待機している揃え部材102a、102b間に進入し、重力によりトレイ12上、上記傾斜に沿って滑り、後端部がエンドフェンス131に突き当たることにより後端部が揃えられ整合される。後端部が整合されたトレイ12上の用紙Sは揃え部材102a、102bの揃え動作により幅方向が揃えられる。
図13(a)に示すように、トレイ12の上面であって、揃え部材102aに対向する部位には凹部80a、揃え部材102bが対向する部位は凹部80bがそれぞれ形成されていて、トレイ12の上面よりも部分的に低くなっている。少なくともこれら凹部80a、80b上に用紙が積載されていない状態では、受け入れ位置にある揃え部材102a、102bはこれら凹部80a、80bの中にその一部が進入しトレイ12とオーバーラップした状態を保持するようになっている。これは、揃え動作において揃え部材102a、102bを用紙Sの端面に確実に当てるためである。
図13(a)において、トレイ12はトレイ昇降手段95により昇降されるとともに、位置決め手段96により用紙Sの着地に適する位置に常時制御されるようになっている。
つまり、排紙コロ3から用紙がトレイ12上に排出され積載面が上昇すると、トレイ12はトレイの昇降手段95およびトレイの昇降方向の位置決め手段96により適量下降させられて用紙最上面の位置が排紙コロ3のニップ部から一定の高さを維持し着地位置が一定レベルに保持されるように制御される。
図12、図13(a)において、排紙コロ3は定位置にある。よって、仮にトレイ12が昇降しない構成では、トレイ12上に用紙Sが排出され積載されてくると用紙束の高さが高くなりこの用紙束が用紙の排出をさえぎることにより、遂には用紙Sの排出ができなくなる。
昇降手段を設けることによりトレイ12を昇降させ、かつ、排紙コロ3のニップ部からトレイ12上面までの間隔、或いは排紙コロ3のニップ部からトレイ12上の用紙Sの最上面までの間隔を、位置決め手段により、排紙が適正に行なわれる適正間隔に維持することができる。これにより、トレイ12上面へ用紙Sを着地位置のバラツキが小さい状態で排出することができる。
図13(a)に示すようにトレイ12は上下リフトベルト70により吊るされている。上下リフトベルト70はギヤ列及びタイミングベルトを介して上下モータ71により駆動され、上下モータ71の正転または逆転により上昇または下降する。これら上下リフトベルト70、上下モータ71、ギヤ列及びタイミングベルト等はトレイを昇降させる昇降手段95の主な構成要素である。
図13(a)において、排紙コロ3の近傍位置には戻しコロ121が位置している。トレイ12上に送り出された用紙Sは、トレイ12の傾斜面に沿って滑り落ち、後端側が戻しコロ121に挾まれると、戻しコロ121により送りをかけられてエンドフェンス121に突き当てられて排出方向での整合が行われる。
こうして、順次、画像形成済みの用紙Sがトレイ12上に次々と排出され積載により用紙Sの最上面が上昇していく。積載された用紙の最上面には、図13(a)に示すように軸73aに揺動自在に支持された紙面レバー73の一端側が自重で接するように設けられており、この紙面レバー73の他端側はフォトインタラプタからなる紙面センサ74により検知されるようになっている。
紙面センサ74は通常積載モードにおいてトレイ12の上下位置を制御するためのものであり、また、紙面センサ75はステープルモードにおいて、同様の制御を行うためのものであり、モードに応じて用紙の排出位置を異ならせている。
紙面レバー73は、支点を中心にして自重によるモーメントで回動するようになっていて、トレイ12が下降したとき、該紙面レバー73の上側の自由端部が紙面センサ75又は紙面センサ74をオンさせる位置で該紙面レバー73の回動を止めるようにするストッパ手段が設けられている。
このストッパ手段は、通常モードでは紙面レバー73が紙面センサ74をオンにさせる位置で回動を停止させ、ステープルモードでは紙面センサ75をオンにさせる位置で回動を停止させる。トレイ12上に用紙Sが積載されていくと、紙面レバー73の下側の自由端部が押し上げられる。これにより紙面レバー73が紙面センサ75又は紙面センサ74を外れるとこれらセンサはオフになる。
ここでは、通常モードであるので、用紙Sが1枚ずつ排出される毎に用紙Sの積載面が上昇し、紙面レバー73の自由端部が紙面センサ74を外れる毎に、上下モーター71が駆動されて紙面センサ74がオンになるまでトレイ12を下降させる制御が行われる。これにより、用紙Sのトレイ12上での着地位置の条件は、排紙コロ3とトレイ12(用紙の最上面)との間隔が前記適正間隔に制御される。紙面センサ74、75及び紙面レバー73等はトレイ12の高さを一定の高さに制御するトレイの位置決め手段96の主な構成要素であり、位置決めのための情報を検知して制御手段に送る。
このような前記適正間隔のもとでのトレイ12の高さ位置を適正排出位置と称し、カール等特殊な態様で送り出される用紙以外の普通の状態の用紙を受ける位置として適切な位置として設定された位置である。
通常モードで用紙が1枚ずつ排出される場合と、ステープルモードでステープル処理された用紙束が排出される場合とでは、排紙の条件が異なるので当然のことながら、トレイ12の適正排出位置は異なる。このことは、紙面センサ75と74とで位置を異ならせていることからも明らかである。また、後処理終了時には、用紙の取り出しに備え排紙トレイ12を30mm程度下降させる動作が行なわれる。
通常モード、ステープルモード、何れの後処理にかかるモードでも、それぞれに適する基準高さで、排紙コロ3からの用紙Sはトレイ12上に排出され、用紙Sが積もる毎にトレイ12は下降し、遂には下限センサ76により下限位置が検知される。また、トレイ12の上昇時にはトレイ12は紙面センサ74、75、紙面レバー73等の位置決め手段による紙面の検知情報に基き、基準高さまで上昇させられる。
トレイ12は、仕分け動作を行なうため図7の紙面を貫くシフト方向、つまり、図13(a)に符号dで示す方向の一端に移動したのち、他端側に移動し、また他端側から一端側に移動するように台座18上にスライド可能に支持されている。
以下にトレイの移動手段98について説明する。
図13においてトレイ12は、仕分け動作を行なうためシフト方向dの一方に往動したのち、他方側に復動動し、また他方側から一方側に移動するようにシフトされる。仕分けの単位である部を構成する所定枚数の排出量の用紙を処理する
ときの作業単位を1ジョブとすれば、同一ジョブ中、トレイ12はシフト方向dにはシフトせず、1ジョブ(部)が終わる毎にシフト方向dに移動し、一方の移動端で次のジョブにかかる用紙Sの排出を受ける。用紙Sの排出を受けトレイ12上に用紙Sが積載される毎に、揃え部材102a、102bによる揃え動作が行なわれる。
トレイ12上に積載された用紙(用紙束を含む)を仕分けるべく当該トレイ12をシフト方向dに移動させて仕分け動作を行なうトレイの移動手段98について図14、図15により説明する。ここで、トレイ12の移動量d'は仕分けに必要な量であって、用紙サイズや用紙の種類、オペレーターの好みなどにもよるが、例えば20mm程度に設定される。
トレイの移動手段98は図14に示すようにトレイ12を台座18でスライド可能に支持しているトレイ支持構造と、図14、図15に示すようにトレイ12を往復動させるトレイ往復動機構からなる。
図14によりトレイ支持構造160を説明する。図14において台座18の上部にはシフト方向dに長さを有し、左右方向に対向する2つの案内板30、31が一体的に設けられている。これらの案内板30、31の各外側には軸が突出していて、ローラ32、33が軸支されている。
一方、トレイ12の底部には、左右方向についてはローラ32、33の間隔より広く、シフト方向dにはトレイのシフト量を十分カバーし得る奥行きを有する平坦面からなる平坦部が形成されていて、この平坦部をローラ32、33上に乗せている。また、トレイ12の上記平坦部には、案内板30、31の内側に対応する位置に、2本の軸が植設されていて、これらの2本の軸にはそれぞれ、ローラ34、35が軸支されている。これらのローラ34、35は、案内板30、31の各内側に接している。
ローラ32、33、34、35及び案内板30、31等が、トレイ12をシフト方向dに移動可能に支持するトレイ支持構造160を構成する。かかるトレイ支持構造160により、トレイ12はその荷重をローラ32、33で支持され、ガイド板30、31に案内されてシフト方向dに可動である。
トレイ支持構造160で支持されたトレイ12に、トレイ往復動機構を組み合わせることで、トレイ12に往復動の駆動力を与えて、シフト方向dに往復動させることができる。トレイ往復動機構としては種々のものが考えられる。例えば、図示しないが、シフト方向dに沿ってラックを設け、このラックに噛み合うピニオンを正逆回転可能なモーターで駆動する駆動機構や、クランク機構などである。
このように構成されるトレイ移動手段により、トレイ12はシフト方向dに用紙の仕分けに必要な所定量往復動させることができる。
以下に、トレイ往復動機構の具体例を、トレイの位置判別手段とともに説明する。図15において、トレイ12はエンドフェンス131の凹凸部に入り込んでいてエンドフェンス131がシフト方向dに動作することによってトレイ12も同方向に動作する。エンドフェンス131のシフト方向dの中央部には、長穴41aがあけられたブラケット41が装着されていて、この長穴41aにピン42が挿入されている。
ピン42は図示しない本体部に軸支されたウォームホイール43に挿入固定されている。この挿入固定位置はウォームホイール43の回転中心から偏心している。この偏心量は、トレイ12のシフト方向dでの移動量d'の1/2である。
ウォームホイール43は、モータ44からタイミングベルト45を介して回転させられるウォーム46によって回転させられるようになっている。ウォームホイール43の回転運動によりピン42が回転し、偏心量に応じてトレイ12はシフト方向dへの直線往復運動をするように運動方向が変換される。これら偏心回転するピン42と長穴41aまわりの構成がトレイ往復動機構の主要部をなす。
図16、図17に示すように、ウォームホイール43には大きさの異なる2つの切り欠き43L、43S及びこれら切り欠き43L、43Sにより相対的に形成される半周分の長さの長い凸部とこれに隣接する短い凸部を有する円板状のエンコーダ47が設けられている。
切り欠き43Lは長い切り欠き、切り欠き43Sは短い切り欠きである。エンコーダ47の半回転おきにホームセンサ48がエンコーダ47の切り欠きの長さを前記2つの凸部間の間隔により検知して、モータ44の停止、駆動の信号が制御手段から発せられるようになっている。
図16において、矢視49の向きに回転したエンコーダ47の短い方の切り欠き43Sがホームセンサ48を通過して短い凸部と重なりかけた時点でモータ44は停止している。この状態ではピン42が右側にあり、図15のエンドフェンス131も右側に動作することによってトレイ12も右側に移動している。
図17では、図16に示した状態からさらに矢視49の向きにエンコーダ43が回転して、長い切り欠き43Lがホームセンサ48を通過して長い凸部と重なりかけた時点でモータ44は停止している。この状態ではピン42が左側にあり、図15のエンドフェンス131も左側に動作することによってトレイ12も左側に移動している。
このように、トレイ12が右側にあるか、左側にあるかは、エンコーダ47の切り欠きの長さをホームセンサ48により検知し、この検知情報に基いて判別することができる。ここで、エンコーダ43とホームセンサ48とが、トレイの位置判別手段の主要部を構成する。
このように、トレイ12のシフト方向dへの往復動のストロークの往動端で、同一ジョブ中に部を構成する用紙分の排出を受け、シフトし復動端で次のジョブ中に部を構成する用紙の排出を受ける。
かかる仕分け動作を繰り返すことにより、ジョブ(部)毎に用紙束が凹凸状に所定の仕分け量だけ位置がずれた状態に積載され、部毎に用紙束を仕分けることができる。移動量d'は用紙のサイズに応じて仕分けが明確な適量の値5〜25mm、例えば、A4サイズで20mm前後の値に設定することができる。
[5] 戻し手段の制御
戻し手段としての戻しコロ121は用紙の排出に応じて排出方向に位置を変えまた、回転速度も変化するように種々に制御される。この制御はCPUを用いた制御手段により行なわれる。以下では、制御手段によるこれら戻しコロの位置変位や回転に関わる制御の内容について説明する。
本例は、図12に示したように画像形成装置50にシート状媒体後処理装置51が連結されていて、このシート状媒体後処理装置51に本発明に係るシート状媒体整合装置が設けられた装置の全体構成のもとでの戻し手段の制御の例である。
図18は制御手段の制御回路を示し、CPU700は制御プログラムをメモリされたROM710と情報の授受を行ないまた、クロック720からクロック信号を入力して以下の各フローチャートに示された制御を実行する。
そのため、CPU700は、画像形成装置50との間で信号の授受をなし、また、センサ群730からの情報を入力し、ステッピングモータ制御ドライバ740、モータドライバ750、ドライバ760に情報を出力するようになっている。
センサ群730はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のセンサをまとめて表現したもので、以下のフローチャートによる制御の中にでてくる種々のセンサが該当する。
ステッピングモータ制御ドライバ740はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のステッピングモータを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のステッピングモータが該当する。図18では符号Mで例示している。
モータドライバ750はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のDCモータを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のモータが該当する。図18では符号Mで例示している。
ドライバ760はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のソレノイドを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のソレノイドが該当する。図18では符号SOLで例示している。図18におけるCPU700が、以下に示すフローを実行する主な部分であり、本発明における制御手段の中心をなす。
例1.
シート状媒体後処理装置51において用紙を仕分けするシフトモードが選択されている場合、画像形成装置50から搬送されてきた用紙は、図12の入口ローラ対1によって受け取られ、搬送ローラ対2a及び搬送ローラ対2bを通過し、最終搬送手段である排紙コロ3によってトレイ12に排出される。その時、分岐爪8a,8bはデフォルト位置のままで、1枚1枚の用紙が順次、同様の搬送経路を通過してトレイ12に排出される。
つまり、図7に示すように、用紙Sは排紙コロ対3よりトレイ12に排出され、該用紙の後端が排紙コロ3から抜けて離れた後、戻しコロ121の外周に触れながらシフトトレイ12上に落下する。そしてこの落下から一定時間後に、戻しコロ駆動用のステッピングモータ126が動作して、それまで第1の位置にあった戻しコロ121を第2の位置に変位させて排出された用紙をエンドフェンス131に突き当たるまで戻して整合させる。
戻しコロ121の第1の位置から第2の位置への動きの開始を、排出される用紙の先端がトレイ12または該トレイ12上の積載紙に触れる前のタイミングで行なえば排出紙による積載紙の押し出しを防止することもできる。
一方、電源投入時等のイニシャル動作では、戻しコロ駆動用のステッピングモータ126を動作させ、センサ127がオフ→オンになった時点で停止することで、戻しコロ121を第1の停止位置(図9で実線で示す位置)におき、この位置で縦揃え動作に備える。
次に、フローチャートを用いて詳細な動作を説明する。図19は本例においてシート状媒体後処理装置の制御全体に係り、トレイ12上への用紙排出後に戻しコロ121を第1の位置から第2の位置に向けて移動を行なう制御に関係している部分のみを表している。
図19はシート状媒体後処理装置51への電源投入直後に行うイニシャル動作および、イニシャル動作終了後に常に通るメインルーチンを示している。ステップP1の「戻しコロイニシャル制御」のサブルーチンは戻しコロ121を第1の停止位置に戻すサブルーチンであり、内容は明確であるので詳細は示していない。ステップP2の「用紙搬送制御」のサブルーチンはその詳細を図20に示したサブルーチンであり、ステップP3「戻しコロ戻し制御」のサブルーチンはその詳細を図21に示したサブルーチンである。
図19において、シート状媒体後処理装置51への電源投入により、ステップP1からステップP2に進み、図20に示した用紙搬送制御のサブルーチンが実行される。ここではシート状媒体後処理装置51内を用紙が搬送される際の制御が行なわれる。
図12において、用紙が画像形成装置50から排出され、シート状媒体後処理装置51内においては入口センサ36によるジャム検知等の制御に次いで排紙センサ38の制御に入る。
用紙をトレイ12に排出する際のスタック性を向上させるため排紙コロ3は用紙を送り出すときには通常の用紙搬送速度よりも減速し、用紙を排出し次の用紙をくわえ込む直前に、送り時間を短縮するため通常の送り速度に戻す(増速する)制御が行なわれる。但し、ジョブ開始直後、排紙モータであるステッピング132は通常の搬送速度にて起動をかけるため、ジョブ開始後1枚目の用紙の搬送に関しては増速制御を行わない。
そこで、先ずステップP10の「排紙センサ38on?」チェックにおいて排紙センサ38によって搬送中の用紙先端が検知されると、ステップP11「排紙モータ加速制御」にて、排紙用のステッピングモータ132の速度を通常の線速に加速する制御を行う。
次にステップP12で「排紙センサ38off?」チェックに移り、用紙後端が排紙センサ38を通過した時点をトリガとしてステップP13で排紙モータ減速制御を行い、用紙の搬送速度を減速させてトレイ12に排出する。
次にステップP14で、「戻しコロ戻し動作フラグ」に“1”をセットすると同時に、ステップP15で「戻しコロ戻し動作タイマ」をリセットし、その後に続く図示しない処理を行った後で本ルーチンを抜ける。
ステップP12において、排紙センサオフをトリガにステップP14で「戻しコロ戻し動作フラグ」に“1”がセットされると、図19のステップP3に進み、図21に示す戻しコロ戻し制御が行なわれる。
図21のステップP20において、既に図20のステップP14で戻しコロ戻し動作フラグは1であるのでステップP21に進む。ステップP21では、「戻しコロ戻し動作タイマ」値を“T1”を比較し、“T1”より大きくなったらステップP22に移り、「戻しコロ戻し動作フラグ」を“0”にリセット後、戻しコロ121を動作させる。
“T1”の値は、用紙の後端が排紙センサ38を抜けてからトレイ12(或はトレイ12上の積載紙上であるが、以下では煩雑を避けるため単にトレイ12上と表す。)に落下しきるまでの時間を設定し、用紙が完全にトレイ上に落下した後、戻しコロを動作させている。上記設定時間は排紙センサ38から排紙コロ3のニップ部までの距離と搬送線速および排紙コロ通過後のトレイへの自由落下時間等を考慮して設定する必要がある。時間はCPU700によるタイマカウントや、排紙用のステッピングモータ132のクロックカウントにてタイミングをカウントすることにより行なう。
ステップP23の「戻しコロon制御」では、戻しコロ駆動用のステッピングモータ126を動作させ、戻しコロ121が図1、図9に実線で示す第1の停止位置から図1、図9に2点鎖線で示す第2の停止位置に移動する制御を行なう。
ステッピングモータ126については、戻しコロ121が第1の停止位置から第2の停止位置に移動するまでの時間に相当するパルス数を設定して所定量回転させて停止する制御を行ない設定パルス終了後は終了を示すフラグを立てるなどして、次制御に移ることもできるほか、ステッピングモータ制御はCPU特有のものもあり、さまざまな制御方法がある。
ここでは、ステップP24で「戻しコロHPセンサoff?」(第2位置移動終了?)チェックを行なうこととし、遮蔽板531の回転によるセンサ127のオフをチェックし、センサ127のオフ位置を以って戻しコロ121の第2の停止位置としステップP25でステッピングモータ126を停止させる。これにより、戻しコロ121は第2の停止位置に移動したことになる。
戻し動作終了後、ステップP26で「戻しコロ戻し動作タイマ」をリセットし、ステップP27で「戻しコロ戻し動作タイマ」値を設定値“T2”と比較し、一定時間戻しコロは第2の停止位置にて停止する。この“T2”の値は戻しコロ121を第2の停止位置に移動後、該戻しコロ121により戻される用紙がエンドフェンス131に突き当てられるまでの所要時間であり、戻しコロ121の線速度及び戻し距離(落下時における用紙後端からエンドフェンス131までの距離)より決定される。
設定時間のT2を経過後、ステップP28の「戻しコロoff制御」に移る。この「戻しコロoff制御」では、再度戻しコロ121の駆動用モータであるステッピングモータ126を駆動し、戻しコロ121を第1の停止位置に復動させる制御を行なう。
ステップP29の「戻しコロHPセンサon?」チェックでは、戻しコロ121が第1の停止位置に移動したのをセンサ127からの検知情報により確認し、第1の停止位置に達しているのが確認後、ステップP30の「戻しコロ停止制御」にてステッピングモータ126を停止させる。先のステップP29の「戻しコロHPセンサon?」チェックではセンサ127が戻しコロ121について第1の停止位置に復動したことを検知するまでの時間を確認することで、万が一戻しコロ121が動作していない場合(第1の停止位置まで戻らない)がチェックでき、動作異常を確認することも可能である。
本例では、トレイ12に排出された後で戻しコロ121を動作させることで、トレイ12上の積載最上面の傾斜がカール状態により変化しエンドフェンス131に戻らなかった用紙についてもこれを確実に捉えることで、用紙のカール状態や積載状態に関わらずに縦揃えを良好にすることができる。
本例では、戻しコロ121の第1の停止位置からの動作を搬送系センサのうち最も下流にあたる排紙センサ38が用紙の後端を非検知した時点をトリガとすることで、戻しを行う用紙に対して最小限の時間的誤差にて戻し動作が行なえるので縦揃えを確実に行うことができる。また、排紙センサ38が用紙の後端非検知とした時点から戻しコロ121の第1停止位置からの動作開始までの時間を、用紙サイズに関わらず一定の設定値とすることができ、制御ソフトの簡略化ができるため制御を記憶する素子の小型化が可能になり、コストダウンが可能となる。
また、設定値T2を用紙がエンドフェンスに突き当たり得る十分な時間に設定しことにより、用紙をエンドフェンスに確実に戻すことができ、用紙の縦揃えを確実に行なうことができる。
例2.
本例は上記例1の変形例であり、図21におけるステップP27の設定値T2を用紙の紙質、紙サイズ、積載枚数、或はこれらの組み合わせなどの条件に応じて変えるという制御に関し、ここでは、紙サイズに応じて変える場合について例示する。
a.用紙サイズに応じて変える例
本例にかかる図22のフローチャートは、図21のフローチャートにおけるステップP27をステップPP1、ステップPP2、ステップPP3に置き換えた内容をなし、これ以外のステップは図21におけるステップと変わらない。よって、同じステップについては同一の符号を付し図21における場合と異なる点について説明する。
図22に示すようにステップP25における戻しコロ121の第2の停止位置への移動終了後、ステップPP1〜ステップPP3において排出されている用紙のサイズのチェックを行ない、第2の停止位置における戻しコロ121の停止時間を決定する。用紙サイズは、画像形成装置50よりシート状媒体後処理装置51に用紙が排出されるたびに、画像形成装置50よりコマンドとして送信され、そのコマンドを基に用紙サイズチェックを行なう。
ステップPP1の用紙サイズチェックのステップではA3サイズまたはB4サイズのチェックを行ない、A3、B4サイズの場合はタイマの設定値を“T3”と、それ以外の用紙サイズの場合は“T4”と比較し、設定時間経過より、第1の停止位置への移動を開始する。上記においてはA3,B4のみの用紙サイズの判定を行なったが、厳密には全ての用紙サイズもしくは、同サイズにおける通紙方向(縦または横)において設定時間を変えることが必要な場合も考えられる。
用紙サイズに応じて戻しコロが第2の停止位置に停止する時間を変えることで、用紙サイズの違いによる紙の摩擦、重量等の変化に対応した戻しコロ制御を行なうことが可能となり、用紙の縦揃えを確実に行なうことができる。
b.積載枚数に応じて変える例
本例にかかる図23のフローチャートは、図21のフローチャートにおけるステップP27をステップPP11、ステップPP12、ステップPP13に置き換えた内容をなし、これ以外のステップは図21におけるステップと変わらない。よって、同じステップについては同一の符号を付し図21における場合と異なる点について説明する。
図22に示すようにステップP25において戻しコロの第2の停止位置への移動終了後、ステップPP1〜ステップPP3においてトレイ12上に排出されている用紙の積載枚数のチェックを行ない、第2の停止位置における戻しコロ121の停止時間を決定する。
ここで積載枚数は、図20に示したようにステップP12における排紙センサoff検知にて積載枚数をカウントアップしているので、これにより把握できる。
枚数のリセットはトレイ12上に設けた用紙有無を検知するセンサ150により、トレイ12上の用紙が全て取り除かれた時に行なう。ステップPP11の用紙枚数チェックでは、用紙枚数が一定量“W1”以上か否かで判断し、“W1”より少ない場合はステップPP12で戻しコロ停止時間の設定値“T5”と、“W1”以上の場合はステップPP13で戻しコロ停止時間の設定値“T6”と比較し、設定時間経過より、第1の停止位置への移動を開始する。本例では積載枚数のチェックを一定の設定値“W1”による判定で行なったが、必要に応じてさらに小刻みの枚数毎に設定時間を変えることも可能である。
このように、積載枚数に応じて戻しコロが第2の停止位置に停止している時間を変えることで、大量積載時の積載面形状の変化に対応した戻しコロ制御を行なうことが可能となり、用紙の縦揃えを確実に行なうことができる。
c.用紙の紙質に応じて変える例
本例にかかる図24、図25のフローチャートは、図21のフローチャートにおけるステップP27をステップPP21〜ステップPP24に置き換えた内容をなし、これ以外のステップは図21におけるステップと変わらない。よって、同じステップについては同一の符号を付し図21における場合と異なる点について説明する。
図24に示すようにステップP25において戻しコロの第2の停止位置への移動終了後、トレイ12上に排出されている用紙の紙質のチェックを行ない、第2の停止位置における戻しコロ121の停止時間を決定する。
ここで、紙質チェックは、画像形成装置50における操作部において厚紙/薄紙等の選択手段をもち、ユーザーがそれを選択した場合、用紙がシート状媒体後処理装置51に排出される時に送信される用紙サイズコマンド情報とともに送信される信号を基に判断する。
用紙の紙質チェックでは、用紙枚数が厚紙の戻しコロ停止時間の設定値“T7”、薄紙の場合は“T8”、それ以外(普通紙)の場合は“T9”と比較し、設定時間経過より、第1の停止位置への移動を開始する。
上記においては用紙の紙質は厚紙/薄紙にて判定したが、用紙サイズにより国内紙(A4,B5等)海外紙(レター(LT)等)による判定を追加することも可能である。
このように用紙の紙質に応じて戻しコロ121が第2の停止位置に停止する時間を変えることで、用紙の紙質の違いによる紙の摩擦、重量等の変化に対応した戻しコロ制御を行なうことが可能となり、用紙の縦揃えを確実に行なうことができる。
上記の各例のように、戻しコロ121が第2の停止位置に停止する時間を、用紙サイズ、積載枚数、用紙の紙質に応じて変えることで、紙の摩擦、重量等、あるいは積載面の形状の変化に対応した戻しコロ制御を行なうことが可能となり、用紙の縦揃えを確実に行なうことができる。
例3.
本例にかかる図26のフローチャートは、図21のフローチャートにおけるステップP22とステップP23の間にステップPP31、ステップPP32を加入した内容をなし、これ以外のステップは図21におけるステップと変わらない。よって、同じステップについては同一の符号を付し図21における場合と異なる点について説明する。
図26に示すようにステップP21において設定値T1経過後、戻しコロ121を第1の停止位置から第2の停止位置へ移動する前に、戻しコロ121の移動速度をチェックする。即ちステップPP31でZ>Yであるか否かをチェックする。ここで、Yは戻しコロ121が第1の位置から第2の位置に移動する速度、Zは戻しコロの回転によるコロの外周速度である。
Yに関しては、戻しコロ121の移動速度はステッピングモータ126の回転速度により可変であり、Zに関しては戻しコロ121の外周速度は図10(a)の構成ではステッピングモータ132、図10(b)の構成ではステッピングモータ556の回転速度により可変である。
よって、ステップPP31においてZ>Yの条件を満足しない場合にはステップP32で戻しコロ121を増速する制御を行い、最終的にはステップPP31においてZ>Yを満足した状態で次のステップP23に進む。
ここで、該周速度Zは、用紙の揃えスピードに影響を及ぼすものである為、画像形成装置の処理能力を落とすことの無い値に設定することが重要である。
本例では、戻しコロ121が第1の停止位置から第2の停止位置に移動する速度を、戻しコロ121の回転によるコロの外周速度より遅くすることで、戻しコロ121が第1の停止位置から第2の停止位置に移動する際に常に積載紙に接触し続け、積載紙を排出方向に押出す力が加わった場合においても、戻しコロ121による戻し力がそれを上回るために、積載紙を排出方向aに押出すのを防止でき用紙の縦揃えを確実に行なうことができる。
例4.
図27はシート状媒体後処理装置51への電源投入直後に行うイニシャル動作および、イニシャル動作終了後に常に通るメインルーチンを示している。基本的には前記した図19と同じであるが、ステップP3の後にステップP4「ジャム処理制御」、ステップP5「動作異常制御」の各サブルーチンが付加されている点が異なる。
a.ジャム時の対応
図27におけるイニシャルルーチンより図28に示す戻しコロイニシャル制御ルーチン(イニシャルルーチンから呼び出されるサブルーチン)が呼び出されると次のような処理が行なわれる。
図28において、戻しコロイニシャル制御では、ステップP30において戻しコロ121どの位置にあるときにおいても、まず戻しコロ121の回転を始動させると共にステップP31において「戻しコロジャム検知タイマ」をリセットする。そして、ステップP32で戻しコロの第1の停止位置を検知するセンサ127をチェックし、同センサの出力に応じて以下の制御を行う。
本例において戻しコロ121の第1の停止位置、例えばホームポジション(HP)は、センサ127の出力が“オフ”から“オン”になる瞬間に設定してあるため、初期状態においてセンサ127が“オン”の場合は一度“オフ”を確認してから“オン”した瞬間に動作を停止し、初期状態のセンサが“オフ“の場合は“オン”した瞬間に動作を停止し、その位置を第1の停止位置とする。
1.ステップP32の「戻しコロHPセンサon?」チェックにおいて同センサ127が“オン”の場合
この場合は戻しコロ121が第1の停止位置で止まったままの状態であり、ステップP33「戻しコロHPセンサoff?」チェックにより同センサが“オン”の場合はステップP34において「戻しコロジャム検知タイマ」と設定値“T10”との比較を行い、同タイマが“T10”より小さい場合、再びステップP33の「戻しコロHPセンサoff?」チェックを繰り返す。
設定値“T10”はセンサ出力が通常“オン”→“オフ“になる時間+αの値を設定し、戻しコロ駆動モータやHPセンサの異常によりセンサ出力が変化しない場合に、同タイマが設定値“T10”を超えることで異常を検出している。
異常を検出した場合は、ステップP35で「戻しコロ異常フラグ」に“1”をセットし、図29における“動作異常処理制御”のサブルーチンにてステップP50で戻しコロ異常フラグ1ならステップP51で戻しコロ異常情報を画像形成装置に送信する。
図28のステップP33の「戻しコロHPセンサoff?」チェックにより同センサが“オフ”を検知した場合、ステップP36の「戻しコロジャム検知タイマ」をリセットするとともに、次のステップP37の「戻しコロHPセンサ on?」チェックに移る。本チェックにおいても上述の異常検知制御と同様の内容を行いながら、同センサの“オン”をチェックする。そして、“オン”を検出時にステップP38で戻しコロ駆動を停止させ、この位置を戻しコロ121の第1の停止位置(ホームポジション)とする。
2.ステップP37の「戻しコロHPセンサon?」チェックにおいて同センサ127が“off”の場合
この場合は戻しコロ121が第1の停止位置に戻っていない場合であり、ステップP32の「戻しコロHPセンサon?」チェックより処理を行い、上述のステップP34、P35等と同様の処理をステップP39、ステップP40で行い、戻しコロのホームポジションを決定する。
次に戻しコロ121による戻し動作を説明する。図31、図32に示す用紙搬送制御において、図32のステップP95における「排紙センサoff」をトリガにステップP99において「戻しコロ戻し動作フラグ」に“1”がセットされると、図30に示す戻しコロ戻し制御おいて下記に記す各制御が実行される。
上記より「戻しコロ戻し動作フラグ=1」であるのでステップP60からステップP61に進み、ステップP61で「戻しコロ戻し動作タイマ」値を“T11”と比較し、“T11”より大きくなったら次制御に移り、ステップP62で「戻しコロ戻し動作フラグ」を“0”にリセット後、戻しコロを動作させる。
タイマ設定値“T11”の値は、用紙後端が排紙センサ38を抜けてからトレイ12に落下しきるまでの時間を設定し、用紙が完全にトレイ12上に落下した後、戻しコロ121を動作させている。上記設定時間は排紙センサ38から排紙コロ3のニップ部までの距離と搬送線速および排紙コロ通過後のトレイ12への自由落下時間等を考慮して設定する必要がある。時間はCPU700によるタイマカウントや、排紙モータであるステッピングモータ132のクロックカウントにてタイミングをカウントする。
次のステップP64「戻しコロon制御」では、戻しコロ駆動モータであるステッピングモータ126を動作させ、戻しコロ121を図1、図9に2点鎖線で示す第2の停止位置に移動する。
ステップP64で戻しコロジャム検知タイマをリセットしてから、ステップP65で「戻しコロHPセンサoff?」(第2停止位置移動終了?)チェックには入り、戻しコロのホームポジションを検知するセンサ127のオフをチェックし、ステップP68で戻しコロを戻し位置にて停止させる。ここで、センサ127がオン→オフとなる戻しコロ121の位置が第2の停止位置である。
ここで、ステップP65の「戻しコロHPセンサoff?」チェックにおいて、“on”を検知している間は、イニシャル時同様に、ステップP66において「戻しコロジャム検知タイマ」と設定値“T12”との比較を行い、同タイマ値が設定値“T12”以下の場合、ステップP65「戻しコロHPセンサoff?」のチェックを繰り返すが、同タイマが設定値“T12”を超え異常を検出した場合は、ステップP67で「戻しコロ異常フラグ」に“1”をセットし、図29における“動作異常処理制御”にて戻しコロ異常情報を画像形成装置に送信する。
図30において、ステップP68において戻し動作終了後、ステップP69で「戻しコロ戻し動作タイマ」をリセットし、次にステップP70で「戻しコロ戻し動作タイマ」値を設定値“T13”と比較し、一定時間戻しコロを第2の停止位置(戻し位置)にて停止させる。設定値T13の値は戻しコロ121の外周線速度および用紙の戻し距離より決定される。
設定時間であるT13の時間を経過後、ステップP71の「戻しコロoff制御」に移る。「戻しコロoff制御」では戻しコロ121を移動させるステッピングモータ126を駆動し、戻しコロ121を第2の定置位置から第1の停止位置に移動させる制御を行う。本制御においても、前記戻しコロ異常検知制御を行う。
そのため、ステップP72で「戻しコロジャム検知タイマ」をリセットしてからステップP73「戻しコロHPセンサon?」チェックにてセンサ127により戻しコロ121が第1の停止位置に移動したのを確認できないときは、前記ステップP66、P67と同様のステップP74、P75を行うし、ステップP73でセンサ127により戻しコロ121が第1の停止位置に移動したのを確認できたなら、ステップP76の「戻しコロ停止制御」にて戻しコロ駆動用のステッピングモータ126を停止させる。以上にて、用紙1枚に対する縦揃え動作を終了する。
以下に、排紙コロ3よりも上流側の用紙の搬送路でジャムが発生した場合に戻しコロ121を第1の停止位置に戻す制御について説明する。
図28に示した戻しコロイニシャル制御が終わると、図27に示すようにメインルーチンに移り、ステップP2における"用紙搬送制御"等の処理が行われる。この用紙搬送制御の内容は図31に示す通りであり、通紙中の用紙ジャムの検知や、センサ出力をトリガにして行う各制御用のフラグを立てる等の処理を行っている。
図31において、ステップP80において「本体排紙on?」チェックを行う。“本体排紙on”とは画像形成装置50(図12参照)の排紙コロ525に用紙先端がきた時点で画像形成装置50より送信される信号で、本信号受信確認後にシート状媒体後処理装置51側はステップP81において受け入れる用紙を待機(本ルーチンでは入口ジャム検知タイマのリセット)する。
次にステップP82で「入口センサ36on?」チェックを行い、“on”の場合はステップP87の「入口センサoff?」チェック方向に進むが、“off”の場合はステップP83側に進み、入口センサ未到達ジャム検知を行う。入口未到達ジャム検知においては、ステップP83において“入口ジャム検知タイマ”の値を設定値“T14”との比較を行う。設定値“T14”は画像形成装置50の排紙コロからシート状媒体後処理装置51の入口センサ36までの距離と用紙の搬送線速によって決定されるもので、同タイマが設定値“T14”を超えた時点で入口センサ未到達ジャムと判断しステップP84で“入口ジャムフラグ”に“1”を立てた後、リターンで本ルーチンを抜ける。
ステップP82で入口センサ36“on”を検知すると、ステップP85で「入口ジャム検知タイマのリセット」、ステップP86で「排紙ジャム検知タイマのリセット」を行い、ステップP87で「入口センサoff?」チェックを行う。先のステップP85における「入口ジャム検知タイマのリセット」は入口センサ36における滞留ジャムを検知するために行うもので、ステップP86における「排紙ジャム検知タイマのリセット」は排紙センサ未到達ジャムを検知するためのものである。
ステップP87の「入口センサoff?」チェックにおいて、“off”を検知したら用紙が無事に入口センサ36を抜けたということで、次の図32におけるステップP90における「排紙センサon?」チェックに移る。
一方、ステップP87で“on”を検知している間は入口滞留ジャムの検知を行うために、ステップP88に進み、「“入口ジャム検知タイマ”の値と設定値“T15”との比較を行う。設定値“T15”は用紙のサイズと搬送線速によって決定されるもので、同タイマが設定値“T15”を超えた時点で入口センサ滞留ジャムと判断しステップP89で“入口ジャムフラグ”に“1”を立てた後、リターンで本ルーチンを抜ける。
入口センサ36よりも搬送方向の下流にある排紙センサ38においても、ステップP90乃至ステップP92において排紙センサ未到達ジャム検知を、ステップP95乃至ステップP100において排紙センサ滞留ジャム検知を行い、それぞれのジャム検知において排紙ジャム検知すると“排紙ジャムフラグ”に“1”を立てた後、本ルーチンを抜ける。なお、ステップP91において排紙ジャム検知タイマの設定値は14'、ステップP96において排紙ジャム検知タイマの設定値はT15'とする。ステップP90、ステップP95等においてジャムを検知しない場合は通常の処理を行い、用紙をトレイ12に排出させる。
以上のように、用紙搬送制御にてジャムを検知し、入口ジャムフラグ、排紙ジャムフラグに“1”が立つと、図33においてジャム後の処理制御が実行される。
図33において、ステップP110、ステップP112で入口ジャムフラグ、排紙ジャムフラグの各ジャムフラグをチェックし、フラグに“1”が立っている場合、それぞれのジャム情報を画像形成装置に送信する(ステップP111、ステップP113)とともに、ステップP114で全ての動作を停止させる。また、各フラグをリセットする。
次にステップP115で「戻しコロ動作中?」チェックを行い、戻しコロ121が動作中の場合は、「戻しコロイニシャルルーチン」へジャンプし、図28に示す戻しコロイニシャル制御に進み、電源投入時と同様の戻しコロイニシャル動作を行い、戻しコロをホームポジションへ移動させる。
本制御により、ジャムが発生した場合に戻しコロ121は第1の停止位置、つまり、ホームポジションへ移動することで、ユーザーによるジャム処理中に、戻しコロを破損する危険性を回避することができる。
b.戻し手段の異常時の対応
前述のように図28の戻しコロイニシャル制御、図30の戻しコロ戻し制御において、戻しコロの異常を検出し“戻しコロ異常フラグ”に“1”がセットされると、図34、図35の用紙搬送制御において戻しコロの戻し動作を行わない制御を行なう。
図34、図35では上記aの例における図31、図32と同様に、用紙搬送中のジャム検知等の処理を行なう。同様のステップをふむので、同じステップには同じ符号に'を付して対応させてある。
図34、図35のフローチャートで図31、図32のフローチャートと異なる点は、ステップP98'とステップP99'との間にステップPP50が介在されているだけである。
図35において、ステップP95'において排紙センサoff検知後にステップPP50において「戻しコロ異常フラグ=1?」チェックを行う。通常、同フラグは“0”にリセットされているため、その後の処理においてステップP99'の「戻しコロ戻しフラグ←1」、ステップP100'の「戻しコロ戻し動作タイマのリセット」により、図30にて戻し動作が行われる。しかし、戻しコロの異常が検出されていて、ステップPP50において戻しコロ異常フラグが“1”にセットされていると、本ルーチンにてステップP99'やステップP100'の処理を行わないため、図30のステップP60からリターンへ抜けるため戻しコロの動作は行わない。
本制御により、戻しコロ121が所定の時間内に所定の位置まで移動しないなどの異常が検出された場合、戻しコロによる用紙の縦揃えは行えないが、システムを停止させることなく用紙排出動作が可能となる。
例5.
この実施の形態4における例1乃至例4における制御手段の制御において、戻しコロ121の回転速度は、第1の停止位置にいるときの回転速度を第2の停止位置にて停止している際の回転速度(基準速度)より遅くなるように制御することとした。
戻しコロ121の外周速度は、該戻しコロ121が第2の停止位置にて用紙をエンドフェンス131に向けて戻す為に考慮された速度(Va)に設定される。しかし、第1の停止位置にて停止している際、用紙が排出される際に該用紙の後端部が仮に戻しコロに接触した場合、速度Vaに対応する回転速度のままだと、比較的高速であるので、用紙の後端を跳ね飛ばし、第2の停止位置に移動した戻しコロ121により捉えきれない位置まで押出してしまう危険がある。
本例では、戻しコロ121が第1の停止位置にいる時のコロ回転速度を、第2の停止位置にいる時の回転速度より遅くすることで、排出される用紙の後端を弾くことをなくし、排出方向に押出すのを防止した。また、かかる速度では第1の停止位置において戻しコロ121が用紙に接しても用紙の後端部に戻しコロが接して該後端部をトレイ上に掻き落とすことができるため、用紙の後端部が排出方向aに飛ばされず、第2の停止位置において戻しコロが確実に用紙を捉えることができ縦揃えを確実に行なうことができる。
上記において、第2の停止位置における戻しコロの回転速度は、用紙の後端部が戻しコロに接触しても用紙を排出方向に押出さない程度の速度とする。
用紙がトレイ12に排出される際、用紙の後端部が第1の停止位置にて待機中の戻しコロ121に接触した場合、該用紙をトレイ12に掻き落とす作用をなし得る。
しかし、戻しコロ121の回転速度が一定速度より速くなると、用紙後端部が戻しコロ121に弾かれ、用紙を掻き落とすことなく、排出方向aに押出していしまう危険がある。戻しコロ121の回転速度は戻しコロの部材により個々に設定され、それぞれの部材に適した速度に設定する。
一方、戻しコロ121の回転が停止していると、用紙が排出される過程で戻しコロ121に接触して摩擦により用紙の後端部が停止してしまい、戻しコロ121が排出紙の排出を妨げることになる。このため第1の停止位置における戻しコロ121の回転は必要であり、その回転速度をどの値にするかが問題となるが、本例のように設定すれば、用紙を適正にトレイ12上に排出することができる。
さらに、以上の例において、第1の停止位置における戻しコロの回転速度は常に一定に制御することとする。
図12に示したように画像形成装置50と接続される用紙後処理装置51では、種々の型式の画像形成装置と組み合わせて使用され得るが、組み合わされる画像形成装置のプリント速度によって当該シート状媒体後後処理装置内での用紙の搬送速度も変化する。しかし、本例においては、戻しコロ121の回転速度を、接続される画像形成装置に関らず常に一定速度に駆動する制御を行なうこととした。
これにより、複数の画像形成装置に接続されることで、複数の搬送速度に対応する場合においても、戻しコロ121の回転速度は一定であるので、排出される用紙の後端を弾き、排出方向に押出すのを防止することができるとともに、用紙をトレイ上に掻き落とすことができる為、用紙の縦揃えを確実に行なうことができる。
[5] 画像形成装置への適用例
本例は、用紙に画像形成を行なう画像形成手段及び画像形成された用紙を搬送する搬送手段を有する画像形成装置に関するもので、図36に示した画像形成装置50'は、図12における画像形成装置50と共通の画像形成手段を具備している。画像形成装置50'は、前記した実施の形態で説明した戻しコロ121及びその変位手段を具備している。また、画像形成装置50'において、図12に示したシート状媒体後処理装置51における構成部分と共通の部材があり、その部分については図12におけるものと同じ符号で示し、説明は省略した。
図36において、装置本体のほぼ中央部に画像形成部135が配置され、この画像形成部135のすぐ下方に給紙部136が配置されている。給紙部136は給紙カセット210を備えている。
画像形成装置50'の上部には必要に応じて、原稿を読み取る原稿読み取り装置(図示せず)を配設することができる。画像形成部135の上部は、画像形成された用紙を搬送する搬送手段としてのローラRRやガイド板等が設けられている。
画像形成部135には、装置を電気的に駆動したり、制御したりする電装ユニットQが配置されている。また、ドラム状をした感光体5000が配置されている。この感光体5000の周囲に、該感光体5000の表面に帯電処理を行う帯電装置600、画像情報を感光体表面にレーザ光で照射する露光装置7000、感光体5000の表面に露光されて形成された静電潜像を可視化する現像装置800、感光体5000上で可視化されたトナー像を用紙に転写する転写装置90
0、転写後感光体表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置1000等がそれぞれ配置されている。
これら、感光体5000、帯電装置600、露光装置7000、現像装置800、転写装置900、クリーニング装置1000等は画像形成手段の主要部をなす。感光体5000の略上方であって、感光体5000よりも用紙搬送経路上の下流位置には、定着装置140が配置されている。
画像形成装置がプリンタとして機能する場合、画像形成に際しては、画像信号が入力される。予め、感光体5000は暗中にて帯電装置600により一様に帯電されている。この一様に帯電された感光体5000に、画像信号に基づいて露光装置7000のレーザダイオードLD(不図示)の発光により露光光が照射され、公知のポリゴンミラーやレンズを介して感光体に至り、感光体5000の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体5000の回転と共に移動し、現像装置800により可視像化され、さらに移動して転写装置900に向かう。
一方、給紙部136の給紙カセット210には、未使用の用紙が収容されており、回動可能に支持された底板220上の最上位置の用紙Sが給紙ローラ230に押し付けられるように、底板220がばね240により加圧されるようになっている。転写のための給紙に際しては、給紙ローラ230が回転し、この回転により、用紙Sは給紙カセット210から送り出され、一対のレジストローラ1400へと搬送される。
レジストローラ1400に送られてきた用紙は、ここでその搬送が一時的に止められる。レジストローラ1400は、感光体5000の表面のトナー像と用紙Sの先端との位置関係が転写装置900が設けられた転写位置で画像転写に適する所定の位置になるよう、タイミングをとって用紙の搬送を開始する。
転写を終えた用紙は定着装置140を通過する間にトナー像が定着される。定着装置140を通過した用紙は搬送手段であるローラRRにより搬送され、排紙センサ38を経て、排紙コロ3よりトレイ12へ排出される。
以後の戻しコロ121及び従動レバー122、駆動レバー123などの変位手段による用紙の整合機能機能については、既に前記各実施の態様において述べた内容と同じであるので、説明は省略する。
本例の画像形成装置いおいても、トレイ上に積載された用紙Sに対して排出方向の整合が行なわれ、高精度にシート状媒体を揃えることができる。