JP4084004B2 - シート状媒体後処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シート状媒体後処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置から受け取ったシート状媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により順次搬送されてくる複数のシート状媒体を整合してスティプルする手段と、前記搬送手段により搬送されるシート状媒体及び前記スティプル手段によりスティプルされたシート状媒体束を排出する排出手段と、前記排出手段により排出されるシート状媒体を積載する積載手段と、前記積載手段上に排出されたシート状媒体に送りをかけて立壁に突き当てて整合する戻し手段を具備したシート状媒体後処理装置が知られている。
【0003】
例えば、図22において、下コロ3aと上コロ3bの1対のコロからなる排出手段としての排紙コロ3から積載手段としてのトレイ12に向けて排出方向aに向けて排出されるシート状媒体である用紙S1は、トレイ12上に着地する位置にバラツキがあるので、トレイ12の傾斜を利用して自重により立壁(以下、エンドフェンスという。)131に後端部を突き当てて整合するようにしていたが、用紙の種類によって、或は用紙のカールによってエンドフェンスに戻らない用紙もあり、排出方向a上の端部の整合性が低下することがあり、この問題を解消するため、戻し手段が設けられている。
【0004】
戻し手段としては例えば、戻しコロが用いられ、トレイ12上に積載された用紙の上面に自重で接してスリップしつつ回転しており、用紙をエンドフェンス131側に向けて戻し、突き当てることで整合する。
【0005】
しかし、公知の戻しコロは定位置で常時用紙上面に接して回転しているのに対し、トレイ12上に排出される用紙の落下位置、つまり、後端位置はバラツキがあるので、用紙によっては戻しコロによって用紙の後端部を捕えられないものもあり、用紙にカールがあると、トレイ12の傾斜が緩和されるため用紙は戻しコロに捕えられる位置まで戻らず、その用紙については戻しコロによっても戻されず、整合されないこととなる。
【0006】
そこで、本発明者は非公知の戻し手段としてトレイ12上の用紙に対して接離自在かつ排出方向に変位可能なものを提案した。
【0007】
図23はその例を示し、戻しコロ121はエンドフェンス131の近傍かつ、トレイ12上の積載紙の上面から離間した第1の位置(I)と、該第1の位置(I)よりも排出方向aの下流側であってトレイ上に排出される用紙の後端位置がバラツイても常に用紙の後端部を捕え得る接触位置である第2の位置(II)との間を変位可能に構成している。
【0008】
図23において、戻しコロ121を用紙S1が排出されるまでは第1の位置(I)に位置させておき、用紙S1がトレイ12上の積載紙上に落下後に第1の位置(I)から第2の位置(II)まで変位させることにより、用紙S1の後端部を確実に捕えて該用紙S1をエンドフェンス131に突き当てることができるので、用紙をエンドフェンス131にきちんと整合させることが可能となる。
【0009】
このように、従来の用紙の戻し手段は、用紙後処理装置に搬送されてきた用紙をトレイ12に排出して積載した後、排紙コロ3下方に装備された戻しコロ121を用紙の後端部の上面に接触させ、その回転力で引き戻し揃えを行っていた。この引き戻し揃えの動作は、用紙が1枚ずつ排紙され積載されるたびに行われ、トレイ12に大量積載された場合でも整然と用紙が積載される状態を作り出していた。
【0010】
このような戻し手段を備えた用紙後処理装置において、スティプルモード時すなわち、用紙後処理装置内で整合してスティプルされた用紙束の後端部に戻しコロを接触させて引き戻そうとしても用紙束全体が引き戻される保証がなく、逆に、戻しコロ121が接触している用紙だけが引き戻されて、その用紙と一緒にスティプルされている用紙は戻されずに残った場合、戻しコロ121が接触している用紙のスティプル針近傍に損傷をきたしてしまう。具体例を以下に示す。
【0011】
トレイ12を上から見た図24において、1箇所だけスティプル針20により綴じられた用紙束SS1がトレイ12上に排出されている。戻しコロ121は戻しコロ121aと戻しコロ121bからなり、図示省略の変位手段に連結されている。符号1200はトレイ12の高さを検知するための紙面レバーであり、この紙面レバーを利用した制御により用紙が積載されても積載紙の上面から排紙コロ3のニップ部までの高さが一定の値となるように制御されている。
【0012】
図24(a)では用紙束SS1はトレイ12上に排出落下した直後であり、戻しコロ121は第1の位置(I)にあり、用紙束SS1の上面から離間している。図24(b)では用紙束SS1の排出方向aでの上流側の上面に戻しコロ121が接して戻し方向に回転することにより用紙束の最上面用紙だけが引き戻される一方、最上面用紙の下の用紙はトレイ12上の位置を変えないため、最上面用紙のスティプル針20の部位にシワ23ができてしまい、さらに戻しコロ121を回転させると最上紙は破けてしまう。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の課題は、スティプル処理された用紙束について戻し手段によるシート状媒体束のシワや破損を防止することのできるシート状媒体後処理装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1).画像形成装置から受け取ったシート状媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により順次搬送されてくる複数のシート状媒体を整合してスティプルする手段と、前記搬送手段により搬送されるシート状媒体及び前記スティプル手段によりスティプルされたシート状媒体束を排出する排出手段と、前記排出手段により排出されるシート状媒体を積載する積載手段と、前記積載手段上に排出されたシート状媒体に接離自在であり排出直後のシート状媒体に接触した状態のもとで立壁に向かう向きの送りをかけることにより前記立壁に突き当てて整合する戻し手段を具備したシート状媒体後処理装置であって、
前記排出手段から排出されるシート状媒体が、前記スティプル手段によりスティプルされたシート状媒体束であって、このスティプルされたシート状媒体束のスティプル箇所が1箇所のみであるときには、前記戻し手段を前記シート状媒体束の上面から離間した状態を保持するように制御し、前記シート状媒体のスティプル箇所が少なくとも2箇所であるときには、前記排出手段から排出されたシート状媒体束が前記積載手段上に積載された後、前記戻し手段を前記シート状媒体束に対して接触させて前記シート状媒体束に送りをかけるように制御することとした(請求項1)。
(2).(1)記載のシート状媒体整合装置において、スティプルされたシート状媒体束のスティプル箇所が1箇所のみであっても、束を構成するシート状媒体の枚数が所定の枚数に満たない場合、前記排出手段から排出されたシート状媒体束が積載手段上に積載された後、前記戻し手段を前記シート状媒体に対して接触させて前記シート状媒体束に送りをかけるように制御することとした(請求項2)。
(3).(1)記載のシート状媒体整合装置において、スティプルされたシート状媒体のスティプル箇所が1箇所のみであっても、シート状媒体のサイズが所定のサイズに満たない場合、前記排出手段から排出されたシート状媒体束が積載手段上に積載された後、前記戻し手段を前記シート状媒体に対して接触させて前記シート状媒体束に送りをかけるように制御を行なうこととした(請求項3)。
(4).(1)乃至(3)の何れか1つに記載のシート状媒体後処理装置において、前記戻し手段は回転体からなり、前記シート状媒体の上面から離間した第1の位置(ホームポジション)と、この第1の位置よりも前記排出方向の下流側であって前記シート状媒体の上面に接することができる第2の位置との間を移動自在であることとした(請求項4)。
【0015】
【発明の実施の形態】
画像形成装置から排出される画像形成済みの用紙に少なくともステープル処理による後処理を行なうシート状媒体後処理装置がある。ステープル処理された用紙束は、用紙束同士がトレイ上にきれいに整合されて積載された方が取り扱いに便利であるので、良好な揃え精度が要求される。
【0016】
揃え精度の悪い用紙束であると、トレイから取り出した用紙束を再び人の手によって揃えてから包装し運搬したり、必要に応じてパンチ機にかけなければならず作業効率の面で無駄が発生してしまう。このため、上のセグメント例えば所謂コピー業者は、積載されたスティプル済みの用紙束について揃え精度を要求する。以下では、シート状媒体後処理装置の一例とその制御手段について説明する。
【0017】
[1]シート状媒体後処理装置
a.シート状媒体後処理装置の概要
画像形成装置に連結されたシート状媒体後処理装置を例に説明する。
【0018】
図1において、用紙に後処理を行なう後処理手段としてのシート状媒体後処理装置51は、画像形成装置50と連結されている。
【0019】
画像形成装置50では、オペレーターにより指示された後処理内容に従い画像形成手段により画像形成された用紙Sがシート状媒体後処理装置51に送られてくる。
【0020】
シート状媒体後処理装置51における後処理内容としては、画像形成装置50が複写機の場合には次のモードがある。▲1▼用紙を排出順に単に積載する通常モード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数を指示することで処理が実行される。▲2▼ステープル処理を行なうスティプルモード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数のほか、綴じ枚数や綴じ位置等を指示することにより処理が実行される。▲3▼仕分け処理を行なう仕分けモード。このモードでは用紙サイズと仕分け部数を指示することで処理が実行される。▲4▼パンチモード。このモードでは、穴あけが行なわれる。そのほか、必要に応じて他の処理も可能である。
【0021】
これらの後処理にかかる作業指示は、複写機の操作パネルからキー操作によりCPUを含む制御手段に伝えられ、画像形成装置50及びシート状媒体後処理装置51と制御手段との間で後処理遂行の信号授受が行なわれて後処理が実行される。なお、このシート状媒体後処理装置には揃え手段や仕分け手段が装備されているが、本発明との関連せいは薄いので説明は省略する。
【0022】
当該シート状媒体後処理装置において、後処理実行有無の選択ができ、後処理実行が選択されたことにより後処理された用紙、或いは後処理実行が選択されなかったことにより後処理が行なわれなかった用紙はトレイ12上に排出される。
【0023】
図1は本例にかかるシート状媒体後処理装置51の全体構成例を示したものである。画像形成装置50において画像形成された用紙は、シート状媒体後処理装置51に至る。後処理の有無は選択することができ、選択により後処理された用紙或いは選択により後処理を行なわなかった用紙はトレイ12上に揃えられる。
【0024】
シート状媒体後処理装置51は、積載手段としての昇降可能なトレイ12を有しているとともに、位置固定トレイとしてのプルーフトレイ14を装置上部に有している。
【0025】
画像形成装置50との用紙受け渡し部位の近傍には、入口センサ36、入口ローラ対1が設けられており、入口ローラ対1により取り込まれた用紙は、後処理モードに応じてそれぞれの搬送経路を搬送される。
【0026】
入口ローラ対1の下流には穴開けを行うパンチユニット15が設けられており、パンチユニット15の下流には搬送ローラ対2aが設けられている。搬送ローラ対2aの下流には分岐爪8aが設けられており、用紙は分岐爪8aによりプルーフトレイ14へ向かう搬送経路と、略水平に進む搬送経路とに選択的に案内される。プルーフトレイ14へ向けて搬送された場合、用紙は搬送ローラ対60で搬送され、排紙ローラ対62によりプルーフトレイ14へ排出される。
【0027】
分岐爪8aの下流には分岐爪8bが設けられており、用紙は分岐爪8bによりノンスティプルルートEと、スティプルルートFへ選択的に案内される。分岐爪8a、8bは、図示しないソレノイドのオン/オフ制御により位置を切り替えられるようになっている。
【0028】
ノンスティプルルートEへ案内された用紙は、搬送ローラ対2bにより搬送され、排出手段としての排紙コロ3によりトレイ12に排出される。一対の排紙コロ3の下部と重なるようにして或は下方位置には後述する戻し手段としての戻しコロ121が設けられている。装置本体の図中左側面は、トレイ12に対する用紙の後端揃えを行うエンドフェンス(立壁)131となっている。
【0029】
排紙コロ3は、上コロ3aと、下コロ3bを有し、下コロ3bは用紙排出方向aの上流側を支持されて上下方向に回動自在に設けられた支持部材66の自由端部に回転自在に支持されている。下コロ3bは自重又は付勢力により上コロ3aに当接し、用紙は両ローラ間に挟持されて排出される。綴じ処理(スティプル処理)されたシート状媒体束つまり用紙束が排出されるときは、支持部材66が上方に回動され、所定のタイミングで戻される。このタイミングは排紙センサ38の検知信号に基づいて決定される。排紙センサ38は排紙コロ3の上流側直近に配置されている。
【0030】
スティプルルートFへ案内された用紙は、搬送ローラ対2cにより搬送される。搬送ローラ対2cの下流には分岐爪8cが設けられており、用紙は分岐爪8cにより、スティプル本ルートGと、退避ルートHへ選択的に案内される。分岐爪8cも図示しないソレノイドのオン/オフ制御により位置を切り替えられるようになっている。
【0031】
スティプル本ルートGへ案内された用紙は、搬送ローラ対4を経てスティプル入口センサ37で検知され排紙ローラ対68により図示しないスティプルトレイへ積載される。この場合、用紙毎に戻しコロ5で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、用紙幅方向に対向して配置された1対のジョガー9にて横方向(排出方向aと直交する用紙幅方向)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、最終の用紙束から次の先頭の用紙束の間で図示しない制御手段からのスティプル信号によりスティプラ11が駆動され、綴じ処理が行われる。
【0032】
画像形成装置50から排出される用紙間の距離が短く、綴じ処理をしている間に次の用紙が来る場合には、該次の用紙は退避ルートHへ案内され、一時的に退避させられる。退避ルートHへ案内された用紙は、搬送ローラ対16により搬送される。
【0033】
綴じ処理が行われた用紙束は、直ちに放出爪10aを有する放出ベルト10によりガイド69を経て排紙コロ3へ送られ、トレイ12へ排出される。放出爪10aはセンサ39によって所定位置を検知されるようになっている。
【0034】
戻しコロ5は支点5aを中心に図示しないソレノイドによって振り子運動を与えられ、前記スティプルトレイへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙をエンドフェンスに突き当てる。図示しないが、排紙ローラ対68はブラシローラを有しており、これによって用紙後端の逆流が防止される。なお、戻しコロ5は反時計回りに回転する。ここまでがシート状媒体後処理装置の本来的な機能部分の構成及び動作の概要である。
【0035】
シート状媒体後処理装置51では、本来的な機能である綴じ処理を含む後処理を行なうことができると共に、以下に述べるように、トレイ12上に積載された用紙を揃え、仕分けることができる。この揃えには、排出方向aの端部を揃えることと、シフト方向dの端部を揃えることの2つの意味があるが、前者の揃えはエンドフェンス131への突き当てを行なう戻し手段たる戻しコロ131の機能によりなされ、後者の揃えは揃え手段としての揃え部材102a、102bによりなされる。
【0036】
図2において、シート状媒体後処理装置51は、排紙コロ3、排紙コロ3より排出される用紙Sを積載するトレイ12、トレイ12を昇降させるトレイの昇降手段95、トレイ12の昇降方向の位置を制御する位置決め手段96、トレイ12を図2の排出方向aと直交するシフト方向d(図1の紙面を貫く方向)に往復動させる仕分け手段としてのトレイの移動手段、トレイ12上に積載された用紙をエンドフェンス131に突き当てて揃える戻し手段としての戻しコロ121、戻しコロ121を排出方向aに変位させる変位手段、揃え手段としての揃え部材102a、102b及びその駆動手段などを具備している。
【0037】
b.トレイ
図1において、用紙Sは分岐爪8bから用紙の搬送手段である搬送ローラ対2bにより排紙センサ38を経てトレイ12に向けて搬送され、排紙コロ3により排出方向aに送り出される。
【0038】
図1、図2に示すように、トレイ12の上面は排出方向aに進むほど、上面の高さが増す傾向に傾斜している。該トレイ12の傾斜面の下方基端部には鉛直面からなるエンドフェンス131が位置している。
【0039】
図2において排紙コロ3から排出された用紙Sは、受け入れ位置で待機している揃え部材102a、102b間に進入し、重力によりトレイ12上、上記傾斜に沿って滑り、後端部がエンドフェンス131に突き当たることにより後端部が揃えられ整合される。後端部が整合されたトレイ12上の用紙Sは揃え部材102a、102bの揃え動作によりシフト方向d(幅方向)が揃えられる。
【0040】
図2(a)に示すように、トレイ12の上面であって、揃え部材102aに対向する部位には凹部80a、揃え部材102bが対向する部位は凹部80bがそれぞれ形成されていて、トレイ12の上面よりも部分的に低くなっている。少なくともこれら凹部80a、80b上に用紙が積載されていない状態では、受け入れ位置にある揃え部材102a、102bはこれら凹部80a、80bの中にその一部が進入しトレイ12とオーバーラップした状態を保持するようになっている。これは、揃え動作において揃え部材102a、102bを用紙Sの端面に確実に当てるためである。
【0041】
図2(a)において、トレイ12はトレイ昇降手段95により昇降されるとともに、位置決め手段96により用紙Sの着地に適する位置に常時制御されるようになっている。
【0042】
つまり、排紙コロ3から用紙がトレイ12上に排出され積載面が上昇すると、トレイ12はトレイの昇降手段95およびトレイの昇降方向の位置決め手段96により適量下降させられて用紙最上面の位置が排紙コロ3のニップ部から一定の高さを維持し着地位置が一定レベルに保持されるように制御される。
【0043】
図1、図2(a)において、排紙コロ3は定位置にある。よって、仮にトレイ12が昇降しない構成では、トレイ12上に用紙Sが排出され積載されてくると用紙束の高さが高くなりこの用紙束が用紙の排出をさえぎることにより、遂には用紙Sの排出ができなくなる。
【0044】
昇降手段を設けることによりトレイ12を昇降させ、かつ、排紙コロ3のニップ部からトレイ12上面までの間隔、或いは排紙コロ3のニップ部からトレイ12上の用紙Sの最上面までの間隔を、位置決め手段96により、排紙が適正に行なわれる適正間隔に維持することができる。これにより、トレイ12上面へ用紙Sを着地位置のバラツキが小さい状態で排出することができる。
【0045】
c.トレイ昇降手段及び位置決め手段
図2(a)に示すようにトレイ12は上下リフトベルト70により吊るされている。上下リフトベルト70はギヤ列及びタイミングベルトを介して上下モータ71により駆動され、上下モータ71の正転または逆転により上昇または下降する。これら上下リフトベルト70、上下モータ71、ギヤ列及びタイミングベルト等はトレイを昇降させる昇降手段95の主な構成要素である。
【0046】
図2(a)において、排紙コロ3の近傍位置には戻しコロ121a、121bが位置している。トレイ12上に送り出された用紙Sは、トレイ12の傾斜面に沿って滑り落ち、後端側が戻しコロ121a、121bに挾まれると、これら戻しコロ121a、121bにより送りをかけられてエンドフェンス13に突き当てられて排出方向aの整合が行われる。
【0047】
こうして、順次、画像形成済みの用紙Sがトレイ12上に次々と排出され積載により用紙Sの最上面が上昇していく。戻しコロ121a、121bの近傍であって、積載された用紙の最上面には、図2(a)、(b)に示すように軸73aに揺動自在に支持された紙面レバー1200の一端側が自重で接するように設けられており、この紙面レバー1200の他端側はフォトインタラプタからなる紙面センサ130a又は紙面センサ130bにより検知されるようになっている。
【0048】
紙面センサ130bは通常積載モードにおいてトレイ12の上下位置を制御するためのものであり、紙面センサ130aはスティプルモードにおいて、同様の制御を行うためのものであり、モードに応じて用紙の排出位置を異ならせている。
【0049】
紙面レバー1200は、支点軸73aを中心にして自重によるモーメントで回動するようになっている。用紙がトレイ12上に積載され上面位置が高くなると紙面レバー1200の折曲部の先端部が積載面により押し上げられ、軸73aを支点として回動させられ、紙面センサ130bが紙面レバー120の他端側に形成された扇状の板部を検知してオンになる。この時点で上下モータ71を駆動してトレイ12を下降させる仕組みなっている。トレイ12を下降することにより紙面レバー1200が回動して紙面センサ130bがオフとなるタイミングで上下モータ71によるトレイ12の下降を停止する。このような動作を繰り返すことにより、トレイ12と排紙コロ3ニップ部との間隔は所定の間隔に制御される。通常モードでは紙面センサ130bによる制御が行なわれ、スティプルモードでは紙面センサ130aによる制御が行なわれる。
【0050】
例えば、通常モードでは、用紙Sが1枚ずつ排出される毎に用紙Sの積載面が上昇し、紙面レバー120の自由端部が紙面センサ130bと重なる毎に、上下モータ71が駆動されて紙面センサ130bがオフになるまでトレイ12を下降させる制御が行われる。これにより、用紙Sのトレイ12上での着地位置の条件は、排紙コロ3とトレイ12(用紙の最上面)との間隔が前記適正間隔に制御される。紙面センサ130a、130b及び紙面レバー1200等はトレイ12の高さを一定の高さに制御するトレイの位置決め手段96の主な構成要素であり、位置決めのための情報を検知して制御手段に送る。
【0051】
このような前記適正間隔のもとでのトレイ12の高さ位置を適正排出位置と称し、カール等特殊な態様で送り出される用紙以外の普通の状態の用紙を受ける位置として適切な位置として設定された位置である。
【0052】
通常モードで用紙が1枚ずつ排出される場合と、スティプルモードでステープル処理された用紙束が排出される場合とでは、排紙の条件が異なるので当然のことながら、トレイ12の適正排出位置は異なる。このことは、紙面センサ130a、130bで位置を異ならせていることからも明らかである。また、後処理終了時には、用紙の取り出しに備え排紙トレイ12を30mm程度下降させる動作が行なわれる。
【0053】
通常モード、スティプルモード、何れの後処理にかかるモードでも、それぞれに適する基準高さで、排紙コロ3からの用紙Sはトレイ12上に排出され、用紙Sが積もる毎にトレイ12は下降し、遂には下限センサ76により下限位置が検知される。また、トレイ12の上昇時にはトレイ12は紙面センサ130a、130b、紙面レバー1200等の位置決め手段による紙面の検知情報に基き、基準高さまで上昇させられる。
【0054】
トレイ12は、仕分け動作を行なうため図1の紙面を貫くシフト方向、つまり、図2(a)に符号dで示す方向の一端に移動したのち、他端側に移動し、また他端側から一端側に移動するように台座18上にスライド可能に支持されているが、この関連の説明は省略する。
【0055】
図1に示した揃え部材102a、102bの上端部はフレーム90内に支持されている。該フレーム90には、揃え部材102a、102bの揃え動作及び該揃え動作及びこれに付随して動作させるべき他の動作を行なわせるための手段として揃え部材の移動手段、揃え部材の退避手段、揃え部材の駆動装置等が構成されているがこの関連の説明は省略する。
【0056】
[2]戻し手段
a.戻し手段の構成
▲1▼第1の例
戻し手段としての戻しコロ121'及びこの戻しコロ121'を排出方向上に変位させる変位手段の例を説明する。
図3において、戻しコロ121'は用紙を摩擦力を利用して送り戻すべく表面が凹凸形状をしたスポンジ状の弾性材からなり、移動体500に軸支されている。移動体500は正面形状がL字状をしていて、その上部は変位方向に長い案内部材501に摺動可能に嵌合されている。戻しコロ121'は移動体500に軸支されており、戻しコロ121'と一体的な軸にはプーリ502が一体的に設けられている。また、移動体500にはモータ503が固定され、その軸にはプーリ504が固定されている。
【0057】
移動体500上、プーリ502とプーリ504の中間位置にはアイドルプーリ505が軸支されていて、アイドルプーリ505とプーリ502間にはベルト506が掛けられ、アイドルプーリ505とプーリ504間にはベルト507が掛けられている。かかる構成により、モータ503の回転を戻しコロ121'に伝達して戻しコロ121'を排紙コロ3の回転とは無関係に回転させることができる。移動体500の下面にはラック508が形成されている。このラック508にはピニオン509が噛み合っている。ピニオン509は不動部材に軸支されたモータ510の回転軸に固定されている。
【0058】
かかる構成からなる変位手段おいて、モータ510を駆動することにより、その回転方向に応じて、ラック508とピニオン509の噛み合いを介して移動体500を案内部材501に沿って往復動させ、モータ510の回転量及び回転方向の制御により、戻しコロ121'を排出方向a(変位方向)上の任意の位置に移動させることができる。
【0059】
本例の変位手段では、ラックとピニオンの噛み合い関係を利用して変位を行なうので、戻しコロ121'の移動軌跡は直線的となるのが特徴であり、トレイ12又はトレイ12上の積載紙の上面から離間した第1の位置(I)と、第1の位置(I)よりも排出方向aの下流側であってトレイ12又はトレイ12上の積載紙の上面に接して、用紙をエンドフェンス131に向けて送り戻すことのできる第2の位置(II)の2位置間を変位させることが可能である。
【0060】
戻しコロ121'の回転駆動系であるモータ504は排紙コロ3の回転駆動系とは独立した構成にしてあるので排紙手段の回転速度に支配されることなく、変位動作と連動して戻しコロ121の回転速度を増減速制御することが可能である。
【0061】
▲2▼第2の例
戻し手段としての戻しコロ121a、121bを備え、排出方向上に変位させる別の変位手段の例を説明する。なお、説明の便宜上、戻しコロ121a、121bの2つを戻しコロ121と総称する。図4は変位手段を戻しコロと共に組み立て状態でその要部を示した図、図5は変位手段を戻しコロと共に分解した状態で示した図である。これらの図において、構成部材はフレーム200に取り付けられて組み立てられている。
【0062】
戻しコロ121は前記例で説明した戻しコロ121'と同じ材質及び概略形状である。戻しコロ121aを変位させる手段と、戻しコロ121bを変位させる手段とは共通部分において全く同じ構成である。そこで、説明の煩雑を避けるため、この共通部部分の構成に関しては戻しコロ121a関係については部材を表す数字の符号にaの文字を付して説明し、戻しコロ121b関係については部材を表す数字の符号にbの文字を付すにとどめ、説明は省略する。
【0063】
変位手段の基本構成は次のとおりである。
図4、図5において、第1部材(以下、駆動レバーという。)123aはたて長の部材であって、その中間位置を軸129により貫通されることにより不動部材であるフレーム200に枢着されている。ここで、軸129は駆動レバー123aに対して回転自在であり、軸129の両端部は軸受520、521を介してフレーム200に軸支されている。駆動レバー123aについて軸129により貫通された部位は枢着部であり、この部位を第1枢着部522aと称する。駆動レバー123aは第1枢着部522aを揺動中心にして一定角度の範囲で揺動可能である。
【0064】
第2部材(以下、従動レバーという。)122aはたて長の部材であってその中間位置にて突出している軸部524aを、駆動レバー123a上の第1枢着部522aから外れた一方の自由端側である第2枢着部523aに嵌合することにより枢着されている。従動レバー122aは第2枢着部523aを中心に一定角度の範囲で揺動可能である。
【0065】
従動レバー122aの第2枢着部523aでの回転中心(軸部524aの中心)からずれた任意の自由端側には、軸部525aが一体に形成されており、この軸部525aに戻しコロ121aが枢着されている。
【0066】
これら駆動レバー123aの第1枢着部522aを中心とする揺動と、従動レバー122aの第2枢着部523aを中心とする揺動との組み合わせ動作により、従動レバー122aの自由端側に枢着された戻しコロ121aを排出方向a上の異なる位置に変位させることとする。
【0067】
これにより、揺動自在の単体レバーの先端部に戻しコロを設ける構成(不図示)や、図3により説明したラックとピニオンの組み合わせによる変位手段に比べて、後述するように、戻しコロ121aを遠方まで変位させることが可能であり、駆動レバー123aと従動レバー122aとの折曲自在な構成により同じストロークを達成するための他の構成と比べてコンパクトな構成となし得、しかも、山形の軌跡を描かせるなど上下方向の変位も可能でフェイスカールにより後端部が上方に跳ね上った部位を越えてトレイ上の用紙の上に当てることも可能となる。
【0068】
駆動レバー123aは第1枢着部522aを中心にして考えたときに従動レバー122aが設けられた側と反対側の自由端側に板金からなるブラケット124がねじ526aによって固定されている。これにより駆動レバー123aは板状をしたブラケット124と一体化されている。
【0069】
このブラケット124の、排出方向aの上流側の側面部には駆動レバー123aを揺動させる偏心カム125の周面が当接している。偏心カム125はフレーム200と一体的に構成された支持板527に軸支された軸528と一体的に回転させられるようになっている。偏心カム125のカム面をブラケット124に弾性的に押し当てる第1当接手段として、ねじりコイルばね529aが設けられている。このねじりコイルばね529aのうち、ボス状をした第1枢着部522aの外周をゆるく巻いた該ねじりコイルばね529aの一端側が駆動レバー123aの側部に掛けられ、該ねじりコイルばね529aの他端側がフレーム200の一部として構成されたフック530aに掛けられている。
【0070】
このねじりコイルばね529aの弾性により、駆動レバー123aは第1枢着部522aを中心にして矢印の向きに回動付勢され、偏心カム125に弾性的に押圧される。よって、偏心カム125を回転駆動することにより、カム面の変位量に従い駆動レバー123aは第1枢着部522aを中心にして揺動する。
【0071】
偏心カム125はエンドレスなカム面を有するので、その回転運動により駆動レバー123a、ひいては戻しコロ121aに周期的な変位を与えることができる。
【0072】
第1当接手段としてのねじりコイルばね529aと偏心カム125を以って、第1揺動手段が構成され、この第1揺動手段によって偏心カム125と駆動レバー123a(ブラケット124)の自由端側の摺接が得られ、偏心カム125の回転に応じて駆動レバー123aを偏心量に従う所定角度で揺動させることができる。
【0073】
このように第1揺動手段によって駆動レバー123aを所定角度揺動させることによって、該駆動レバー123a上に乗っている従動レバーを戻しコロ121aと共に移動させ、戻しコロ121aに対して排出方向aについての円弧状の変位を与えることができる。
【0074】
偏心カム125を固定している軸528には円盤の一部を半円状に切り欠かれた遮蔽板531がその軸心部を固定されており、かつ、歯車532がその軸心部を固定されている。歯車532には歯車533が噛み合わされており、この歯車533は支持板527に固定されたステッピングモータ126により回転駆動されるようになっている。また、遮蔽板531の切欠部が通過する部位にはセンサ127が固定されていて、センサ127による遮蔽板531の検知情報により偏心カム125の回転量を検知し、ステッピングモータ126の駆動停止を制御することができる。センサ127及び遮蔽板531の組み合わせはエンコーダを構成し、偏心カム125はステッピングモータ126を駆動源として上記エンコーダにより回転量が制御される。このようにステッピングモータとエンコーダの組み合わせの構成を採用することにより戻しコロ121aの位置を適正に管理することができる。例えば、戻しコロ121aを図8に示したように第1の位置(I)、第2の位置(II)等にあるように位置決めすることができる。
【0075】
第1の位置(I)は、戻しコロ121がトレイ12或はトレイ12上の積載紙から離間した上方に位置した待機位置にあり、ホームポジションとして設定することができる位置である。第2の位置(II)は第1の位置(I)よりも排出方向aの下流側に位置していて、トレイ12或はトレイ12上の積載紙に接触できる位置である。
【0076】
従動レバー122aは、当該従動レバー122a上であって第2枢着部523a(軸部524a)を間にして戻しコロ121aが設けられた側と反対側の自由端側534aに作用するように設けられた第2揺動手段により揺動させられる。
【0077】
この第2揺動手段は、駆動レバー123aの揺動に伴い、第2枢着部523aを中心に従動レバー122aを所定角度量だけ揺動させるもので、かかる第2揺動手段を設けることにより、第2枢着部523aを中心とする駆動レバー123aに対する従動レバー122aの角度を変位させることで戻しコロ121aを所望の軌跡を以って所望の位置間に移動させ得る。かつ、従動レバー122aの揺動動作と駆動レバー123aの揺動動作とを組み合わせることにより、戻しコロ121aのストロークを稼ぐことができる。
【0078】
第2揺動手段は従動レバー122a上の前記第2枢着部の中心からずれた戻しコロ121aが設けられた側と反対側の自由端側534aに形成した突起535aに摺動するカムであって、曲率無限大の周面の一部に台形状の突起部536が形成された平板状カム537と、該平板状カム537を突起535aに当接させる第2当接手段を付帯している。この第2当接手段としては、軸部524aにねじりコイルばねを巻き、該ねじりコイルばねの一端側を従動レバー122aに掛け、該ねじりコイルばねの他端側を不動部材に掛けることにより構成することができる。
【0079】
第2当接手段により平板状カム537に対する突起535aの当接状態が得られることにより、駆動レバー123aの揺動に応じて戻しコロ121aを周期的に上下動させることができ、駆動レバー123a及び従動レバー122aの揺動との組み合わせにより戻しコロ121aを山形の軌跡で変位させることができるので、トレイ12上に積載された用紙を排出方向aに押し出すことなく、第2の位置(II)へ移動することができる。
【0080】
図8に図示されるように、平板状カム537は従動レバー122aの自由端側534aの上方に位置している。このような位置関係では戻しコロ121aの下方にはトレイ12が位置している。
【0081】
既に説明したように、トレイ12は積載される用紙の上面と排紙コロ3との間の距離を一定に保つために、用紙が排出されてトレイ12上の高さが高くなるにつれて下降するようにモータ駆動されるようになっている。
【0082】
トレイ12の上限と下限には安全対策としてのリミットスイッチが設けられていて、トレイ上下動用のモータが暴走した場合でも停止するように制御されるが、かかるリミットスイッチに到達する以前に、仮に何らかの原因でトレイ12が異常事態により上昇した場合でも、本例のように平板状カム537が従動レバー122aの自由端側534aの上方に位置している構成とすれば、上昇するトレイ12が戻しコロ121aを押し上げても、第2枢着部523aを中心に従動レバー122aは平板状カム537から逃げることができ、従動レバー122aが回動するだけで他部材との干渉がないので、部材の損傷を免れることができる。
【0083】
戻しコロ121aを回転駆動するための動力伝達系について説明する。
動力伝達系は、第1枢着部522a、第2枢着部523aの各枢着中心を回転中心とするプーリおよびこれらプーリに掛けられたベルトを主要素としている。ここで、プーリ及びベルトには、歯車及びチェーンも同様な動力伝達手段として包含するものとする。
【0084】
図5において、軸129と一体的に回転するプーリ538aと、軸部524aに枢着されているプーリ539aと、これらプーリ538aとプーリ539aとに掛けまわされたベルト540aからなる組み合わせがある。
【0085】
また、軸部524aに枢着されているプーリ541aと、軸部525aに枢着され戻しコロ121aと一体に構成されたプーリ542aと、これらプーリ541aとプーリ542aとに掛けまわされたベルト543aからなる組み合わせがある。なお、プーリ541aとプーリ539aとは共通の軸部524aに嵌合された状態では側面部に形成された噛み合わせ部が噛み合うことにより一体的に回転される状態となる。
【0086】
軸129の軸端部には継手555を介してステッピングモータ556がフレーム200に固定されていて、軸129を回転させる。軸129が回転することにより、プーリ538a→ベルト540a→プーリ539a→プーリ541a→ベルト543a→プーリ542a→戻しコロ121aの順を動力の伝達して戻しコロ121aが回転され、戻しのための回転がなされる。
【0087】
このように、駆動レバー123a、従動レバー122aの各揺動支点部にプーリを配置しこれらのプーリを介して戻しコロ121aに動力伝達される構成とし動力伝達のプーリの軸部を戻しコロ変位のための揺動支点軸と共通化したので、動力伝達系を簡単に構成でき、かつ、駆動レバー123aの外部からも容易に動力をとり入れることができ変位手段を軽量かつコンパクト化できる。
【0088】
上記したように図5において、戻しコロ121a回転のための動力は、第1枢着部522aと同心の軸129と一体的に設けられたプーリ538aと、第2枢着部523aと同心の軸部524aに枢着されたプーリ539aと、これらプーリ538aとプーリ539a間に掛けまわされたベルト540aを介して伝達される構成を含んでいる。
【0089】
この動力伝達系の断面を示した図6において、プーリ538aは軸129と一体的に固定されている。プーリ539aは軸部524aに枢着されている。本例では特に、これらプーリ538aとプーリ539a間に掛けまわされたベルト540aの張力を適度に選択してこの張力によりプーリ539aを軸部524aに押しつけることにより、該プーリ539aの内径部と軸部524aとの間に適度の摩擦力を作用させる。この摩擦力によりプーリ539aの回転力は軸部524aにも伝えられて、従動レバー122aは第2枢着部523aを中心にして回動付勢される。
【0090】
図4、図5において、戻しコロ121aに用紙をエンドフェンス131側に戻す戻し機能を果たさせるための回転の向きは反時計まわりの向きである。この回転の向きで戻しコロ121aを回転させるときプーリ539aの回転の向きは反時計まわりの向きであり、この向きの回転のときに上記摩擦力によって従動レバー122aに与えられる回動付勢力もまた、第2枢着部523aと中心とする反時計まわりの向きであり、この回動付勢力により従動レバー122aの突起535aが平板状カム537に押圧される向きに付勢される。
【0091】
本例のように、ベルト540aの張力によるプーリ539aと軸部524aとの摩擦力及びプーリ539aの回転力を利用した従動レバー122aの回動付勢により、従動レバー122aの突起535aを平板状カム537に押圧させる第2付勢手段の機能を果たさせることができ、ねじりコイルばねを使用する場合に比べて、簡易な構成となすことができる。突起535aが平板状カム537に適度の押圧力で押圧された状態でプーリ539aと軸部524aとがスリップするようにベルト540aの張力は適度に設定するものとする。
【0092】
本例では、第1部材の揺動と第2部材の揺動との組み合わせ動作により回転体からなる戻し手段を排出方向の異なる位置に確実に変位させて、戻し手段による戻し機能を得ることができる。
【0093】
b.戻し動作
ここでは、前記図4〜図6で説明した構成の変位手段により戻しコロ121を第1の位置(I)と第2の位置(II)間で変位させる戻し動作について説明する。なお、前記図3における変位手段による戻しコロ121'の制御については、以下の説明に準ずるものとし、モータ510の回転により行なう。
図8において戻しコロ121は第1位置(I)では排紙コロ3の下部近傍に位置しており、排出方向aと直交するシフト方向d(用紙の幅方向)の中央部に対向して配置されている。
【0094】
戻しコロ121aと121bとの間に積載面の紙面高さを検知するための紙面レバー1200が位置している。これにより、紙面レバー1200とトレイ12上の用紙の積載面との接触点は常に一定の高さに制御される。
【0095】
図7、図8に示されているように、戻しコロ121は第1の位置(I)(ホームポジション)から2点鎖線で示す第2の位置(II)(戻し位置)まで移動して、トレイ12上に落下した用紙の後端部に接触してその回転力でエンドフェンス131まで該用紙を引き戻し、後端部の整合を行うことができる。
【0096】
駆動レバー123a、123bに接合されているブラケット124を矢印J方向に変位させる偏心カム125はステッッピングモータ126から歯車533、532による伝達駆動を受けて回転し、この回転により上記の変位を行なわせる。
【0097】
偏心カム125には半円状の遮蔽板531が付加されており、この遮蔽板531をセンサ127で検知することによって偏心カム125の停止位置を規制して、すなわち戻しコロ121の停止位置を規制している。
【0098】
戻しコロ121の回転駆動の構成例を図9(a)により説明する。戻しコロ121aには図5にも示したようにプーリ542aが一体的に形成されており、これらのプーリは軸部524上のプーリ541aとベルト543aで結ばれている。さらに、プーリ541aと同軸かつ一体的なプーリ539aがベルト540aを介して駆動側のプーリ538aと結ばれている。
【0099】
駆動源に連結された軸129と一体的に回転するプーリ538aによりベルト540aが回転してプーリ539a、541aを回転させ、これによりベルト543aを介してプーリ542aが回転して戻しコロ121aが回転する仕組みである。プーリ542bについてもこれに準ずる。
【0100】
ここで、ベルト543a(543b)は従動レバー122a(122b)の内部に、ベルト540a(540b)は駆動レバー123a(123b)の内部に各々収納されている。これらの構造は図5により説明した通りである。
【0101】
本例では、軸129は、駆動側の下コロ3aを回転させているステッピングモータ132によってベルト557を介して回転するようにしている。すなわち、排紙コロ3を回転させているステッピングモータ132によって戻しコロ121も回転させている。
【0102】
或は、上記のようにステッピングモータ132を兼用しないで、図9(b)に示すように、軸129を回転させる専用のステッピングモータ556を設けた構成とすることもできる。図9(a)の場合にはステッピングモータ132が兼用されるのでモータが1台で済む半面、排紙コロ3の駆動と戻しコロ3の駆動を個別に制御できない欠点があり、図9(b)のように個々に駆動モータを設けた例では、排紙コロ3の駆動と戻しコロ3の駆動を個別に制御できる利点がある。
【0103】
何れにしても、用紙が排紙コロ3を通過してトレイ12に落下するまで戻しコロ121を第1の位置(I)に待機させ、所定のタイミングで第2の位置(II)まで変位動作させることによって、戻し機能を果たすことを可能にしている。
【0104】
第1の位置(I)と第2の位置(II)とで、駆動レバー123と従動レバー122とのなす角度(係合角度)を変える構成とした点について説明する。
戻しコロ121を支持して変位させる変位手段としての従動レバー122と駆動レバー123の係合角度を、戻しコロ121の第1の停止位置と第2の停止位置とで変化させることによって、戻しコロ121の移動距離を大きくすることができる。
【0105】
図10に示すように、戻しコロ121の第1の位置(I)での駆動レバー123と従動レバー122の係合角度η°よりも第2の位置(II)での係合角度θ°の方が大きくなることによって、直接、駆動レバー123上に戻しコロ121を配置するよりも、軸129を中心とした同じ回転角度であれば、戻しコロ121の移動距離Xを大きくすることができるのである。
【0106】
移動距離Xを大きくすることができれば、特に戻し機能発揮時においてトレイ12に落下した用紙の後端部を戻しコロ121に接触させることが確実になり、揃え精度を向上させることができる。例えば、用紙が何らかの要因で戻しコロ121から離れた位置に落下積載されても、戻しコロ121の移動距離が大きくなればなるほど、用紙後端部への接触が確実になる。
【0107】
ここで、従動レバー122の揺動量は、平板状カム537のカム特性によって定まる。従動レバー122の揺動中心である第2枢着部523aから外れた自由端側534aに形成された突起535aを平板状カム537に摺動させることによって平板状カム537の突起部536が突起535aを押し下げる量により、従動レバー122の回転量が規制されている。従って、戻しコロ121の移動軌跡も必然的に平板状カム537と突起部536の接触軌跡によって決定されてくるのである。
【0108】
戻しコロ121は、用紙の後端部の高さを検知している紙面レバー73の近傍で用紙に接触する。用紙後端部は、常に一定の高さに制御されているため、戻しコロ121が、突起部536への突起535aの乗り上げにより第2の位置(II)に移動した時には、用紙後端部に戻しコロ121が接触し、戻しコロ121の戻し部(スポンジ部)が若干、変形して戻し機能を果たすことが可能になっている。
【0109】
このように、駆動レバー123は一端側を固定中心として回転するようになっていて、他端側に従動レバー122が枢着されていて従動レバー122の該枢着部を中心とした一端側に戻しコロ121が設けられ、反対側に揺動量を規制するカム手段が設けられている。戻しコロ121が第1の位置(I)で、駆動レバー123、従動レバー122の双方の係合角度よりも、第2の位置(II)での係合角度を大きくすることによって、単一の揺動支持部材で戻しコロ121を支持する場合よりも同じ回転量でより遠くまで動作することが可能である。また、駆動レバー123、従動レバー122双方の係合角度をカム手段によって可変とするのでトレイ12との位置関係をみながら最適な戻し位置に移動させることも可能である。よって、少ないスペースで第1の位置(I)と第2の位置(II)間を揺動する戻しコロを実現し、排出方向の揃え精度を向上することができる。
【0110】
戻しコロ121の変位時の軌跡について図10を参照しながら説明する。用紙後端部がフェイスカール(上向きカール)している場合、戻しコロ121が待機位置である第1の位置(I)から押え、或は戻しのための第2の位置(II)に移動する際、戻しコロ121でカールして上にはね上がっている用紙の後端部を押し出して揃え精度を悪化させてしまう可能性がある。
【0111】
その対策として従動レバー122の自由端側に534aの先端部に突起535aを形成し、これを平板状カム537の一部に形成した突起部536と摺接するようにしている。これにより、従動レバー122aの揺動に連れて突起535と突起部536との双方の凸形状部が接触する前は、従動レバー122の自由端側534aが上に変位しこれに伴い回転中心の反対側の戻しコロ121は上に上がり、そして、双方の凸形状部が接触すると戻しコロ121は下に下がる。
【0112】
用紙の後端部のカールを乗り越えるまでは、上記カムを利用して戻しコロ121を上に上げ、乗り越えたら上記カムを利用して戻しコロ121下げるようにする。つまり、上記カムを利用して戻しコロ121に山形の軌跡を描かせるのである。これにより、後端部がフェイスカールした用紙を押し出す危険性を軽減させ、揃え精度を悪化させないようにしている。
【0113】
戻しコロ121の変位のタイミングについて説明する。
通常は、第1の位置(I)にあり、用紙が排紙コロ3から排出され、該用紙の後端部が下コロ3aの外周に沿ってトレイ12に落下した直後に、第2の位置(II)に変位させる。平板状カム537によるカム形状に従い山形の軌跡を以って変位した戻しコロ121が用紙後端部に上方から下降して接触して、ある一定時間その位置にとどまり、回転力でもって用紙をエンドフェンス131まで引き戻したら、再び偏心カム125を回転させて第1位置(I)まで変位させる。このような動作により、図30における符号S'で示したように飛び出した用紙を確実に引き戻して排出方向aについての揃え精度を向上させることができる。
【0114】
[3]制御手段による制御例
a.制御回路
本例にかかるシート状媒体後処理装置は、図1に示したようにシート状媒体後処理装置51に画像形成装置50が連結されて後処理にかかる諸制御、排紙コロ3の増減速及び戻しコロ121の変位による用紙及び用紙束の戻し動作などを行なう。
【0115】
図11は制御手段の制御回路を示し、CPU700は制御プログラムをメモリされたROM710と情報の授受を行ないまた、クロック720からクロック信号を入力して以下の各フローチャートに示された制御を実行する。
【0116】
そのため、CPU700は、画像形成装置50との間で信号の授受をなし、また、センサ群730からの情報を入力し、ステッピングモータ制御ドライバ740、モータドライバ750、ドライバ760に情報を出力するようになっている。
【0117】
センサ群730はシート状媒体後処理装置51に用いられている種々のセンサをまとめて表現したもので、以下のフローチャートによる制御の中にでてくる種々のセンサが該当する。
【0118】
ステッピングモータ制御ドライバ740はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のステッピングモータを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のステッピングモータが該当する。図11では符号Mで例示している。
【0119】
ドライバ760はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のソレノイドを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のソレノイドが該当する。図35では符号SOLで例示している。図11におけるCPU700が、以下に示すフローを実行する主な部分であり、本発明における制御手段の中心をなす。
【0120】
シート状媒体後処理装置51において用紙を設定した所定枚数の束でスティプルするスティプルモードが選択されている場合、画像形成装置50の排紙コロ560から搬送されてきた用紙は、入口ローラ対1によって受け取られ、搬送ローラ対2a及び搬送ローラ対2cを通過し、所定枚数の用紙がスティプルトレイ上に積層されると、スティプラ11によってスティプル処理されて最終搬送手段である排紙コロ3によってトレイ12に排出される。
【0121】
b.制御例
例1:イニシャルルーチン(図12)
以下のフローはシート状媒体後処理装置で本発明に関係している部分のみを示したものである。図1の画像形成装置50およびシート状媒体後処理装置51を統括するメインスイッチをオンにすることにより、図12に示すイニシャルルーチン及びその後のメインルーチンが実行される。
【0122】
イニシャルルーチンでは、ステップP1で「戻しコロイニシャル制御」が行なわれ、戻しコロ121が第1の位置(I)に移動し、各フラグが0にリセットされる。
【0123】
ステップP1が終わるとメインルーチンへジャンプする。メインルーチンでは、スティプルモードが選択されていれば、ステップP2からステップP3の「スティプルモード用紙搬送制御」(詳細は図13)、ステップP4の「ジョガー&スティプル&排出制御」(詳細は図14、図15)、ステップP5の「戻しコロ戻し制御」(詳細は図20)へ進むし、スティプルモードが選択されていなければ、ステップP2からステップP6「シフトモード用紙搬送制御」を経てステップP5の「戻しコロ戻し制御」(詳細は図20)へ進む。以下では、スティプルモードが選択されているものとして、本発明に関連する制御例のみを説明する。
【0124】
例2:スティプルモード用紙搬送制御(図13)
図13により「スティプルモード用紙搬送制御」について説明する。ステップP7で用紙の先端を検知した後、ステップP8で用紙の後端を検知することにより用紙がスティプル入口センサ37を通過したことが確認されたら、ステップP9でスティプルトレイに収容される用紙の枚数を「スティプルトレイ枚数カウンタ」でカウントアップする(ステップP9)。
【0125】
ステップP10で「スティプルトレイジョガー動作フラグ」をセットする。これにより、図14のステップP14における判断をイエスにして、スティプルトレイ内のジョガーによる横揃え動作の実行を行なう。
【0126】
ステップP11で「スティプルトレイジョガー動作タイマ」をリセットすることにより、後述するステップP15(図14)で使用する時間T1との比較のための計時を開始する。
【0127】
ステップP12で「スティプルトレイ戻しコロ動作フラグ」をセットすると共に、ステップP13で「スティプルトレイ戻しコロ動作タイマ」をリセットし、スティプルトレイにおいて用紙を縦揃えするための縦揃え用の戻しコロの動作時間を管理する。なお、スティプルトレイ戻しコロ及びその動作については図示を省略した。
【0128】
例3:ジョガー&スティプル&排出制御(図14、図15)
ステップP14において、既にステップP10で「スティプルトレイジョガー動作フラグ」はセットされているので、ステップP15へ進み、時間T1の経過を待つ。時間T1は用紙の後端がスティプル入口センサ37を通過してからスティプルトレイに収まるまでの経過時間として設定されており、時間T1の経過により、スティプルトレイ内でのジョガー9による横揃え動作を実行する。
【0129】
この横揃え動作は用紙の幅方向に対向して配置された1対のジョガー(揃え部材)を開閉方向に移動させてスティプルトレイ上の用紙を揃える動作であり、ステップP16乃至ステップP22の各動作により実行される。また、フローには図示してないが、戻しコロ5による縦揃えが行なわれる。
【0130】
ステップP23において、画像形成装置50からのスティプルコマンドを受信している場合はスティプルを実行する。前記スティプルコマンドは、部の最終紙が画像形成装置から排出されるタイミングでシート状媒体後処理装置51側に送信され、シート状媒体後処理装置51は本コマンドによりスティプルを実行する。部の最終紙かどうかは、ステップP9におけるカウントアップ情報に基づいて判定される。
【0131】
スティプルの実行はステップP24におけるスティプルモータの駆動により行なわれ、ステップP25でスティプルの終了がチェックされる。スティプル実行後、放出爪駆動モータを駆動することにより放出爪10aを駆動し(ステップP26)、排紙モータ(ステッピングモータ132)を駆動することにより排紙コロ3を駆動し、スティプル処理されたスティプル用紙束を排紙コロ3に向けて送り出す。
【0132】
スティプル用紙束が排紙センサ38を通過したら(ステップP28、29)、排紙モータを減速制御し(ステップP30)、排紙モータ停止タイマをリセットして(ステップP31)計時を開始し、スティプル用紙束がトレイ12上に落下し得るに十分な時間T3が経過したら(ステップP32)、排紙モータを停止する(ステップP33)と共にステップP9でカウントアップしていた「スティプルトレイ枚数カウンタ」の計数値をリセットする。
【0133】
例4:戻しコロ戻し制御(図16)
図16において、ステップP35では、「戻しコロ戻し動作フラグ」は前記ステップP1においてリセットされたままであるので、即、リターンへ抜ける。ここで、戻しコロ121は前記ステップP5で第1の位置(I)に位置したままであるので、スティプルモードにおいて、戻しコロ121はスティプル用紙束から離間したままの状態が保持されていることになる。
【0134】
従って、図24(a)に示したように、トレイ12に積載されたスティプル用紙束(奥斜め1箇所綴じ)に対して戻しコロ121が動作してスティプル用紙束上面に接触することにより戻しコロと接触している最上面の用紙だけ引き戻されてしわや折れ目がスティプル針20の近傍に発生するという図24(b)に示したような事態を回避することができる。
【0135】
例5:(図17)
本例は「ジョガー&スティプル&排出制御」を説明した図15中の、ステップP31とステップP32の間に、図17に破線で示したフローを挿入した形で実行される。
【0136】
図17において、ステップP45ではスティプラ11において用紙を綴じる綴じ箇所が何箇所かの判断が行なわれる。CPU700はオペレーターからの作業指示により予め何箇所綴じであるかの情報を得ている。
【0137】
1箇所綴じである場合には、ステップP46、P47をとばしてステップP32へ進む。これは、図15において、ステップP31からステップP32へ進んだのと同じプロセスであり、「戻しコロ戻し動作フラグ」はリセットされたままである。
【0138】
従って、図16において、ステップP35から即、リターンへ抜ける。戻しコロ121は前記ステップP5で第1の位置(I)に位置したままであるので、スティプルモードにおいて、スティプル箇所が1箇所のときには戻しコロ121はスティプル用紙束から離間したままの状態が保持されていることになる。よって、1箇所綴じにおいて、しわや折れ目がスティプル針20の近傍に発生するという図24(b)に示したような事態を回避することができる。
【0139】
図17において、ステップP45で綴じ箇所が何箇所のモードになっているかのチェックが行なわれ、スティプラ11によるスティプル箇所が2箇所以上のモードであると判断された場合には、ステップP46で「戻しコロ戻し動作フラグ」がセットされ、かつステップPP47で「戻しコロ戻し動作タイマ」がリセットされてステップP36で比較する時間の計時が開始される。
【0140】
これにより、図16において、ステップP35からステップP36へ進み、例えば2箇所綴じされたスティプル用紙束がトレイ12上に完全に落下して戻しコロ121の動作を行なってもよいだけの、ステップP47からの経過時間として設定された設定時間T4が実際の計時時間と比較され、かかる時間の経過があると、ステップP37で「戻しコロ戻し動作フラグ」をリセットしてから、戻しコロ121を図20(a)に示した第1の位置(I)から図20(b)に示した第2の位置(II)へ移動させ(ステップP38、P39)る。
【0141】
第2の位置(II)で、スティプル用紙束SS2が十分にエンドフェンス131に突き当てられるまでの十分が設定時間T5の経過があると(ステップP40、P41)、戻しコロ121を第2の位置(II)から第1の位置(I)へ移動させる。
【0142】
請求項1の発明では、スティプル用紙束SS1に対してはスティプル針近傍に損傷を与えないために戻しコロ121による引き戻し揃えを行わないようにしたが、そのような不具合等が発生しなければスティプルされた用紙束も引き戻して揃えを実施した方が揃え品質的には良い。
【0143】
本例では、スティプル用紙束SS2が2箇所綴じの場合(2箇所以上でも可)に、戻しコロ121を用紙束の後端に接触させて引き戻して揃えるようにした。それによって、せめても2箇所綴じだけは、整然と排紙トレイに積載されるのである。また、2箇所綴じの場合は戻しコロ121をスティプル用紙束SS2の後端に接触させて引き戻しても、その接触している箇所の両側にスティプル針20が打たれているためスティプル用紙束全体が引張られる。従って、スティプル箇所が1箇所の時のようにスティプル針20の近傍に損傷を与えるような不具合は発生しない。
【0144】
例6:(図18)
図24(a)に示したように、1箇所綴じのスティプル用紙束が積載されていてもその綴じ枚数が少なければ戻しコロ121が動作してスティプル用紙束を引き戻そうとした時に図24(b)に示すような状態にはならずに、引き戻す抵抗が少ないためスティプル用紙束全体を引き戻すことができる。従って、所定の綴じ枚数以下であれば、揺動戻しコロ121を動作させて揃えた方が、揃え品質的に安定する。
【0145】
このような考え方のもとで、本例は「ジョガー&スティプル&排出制御」を説明した図15中の、ステップP31とステップP32の間に、図18に破線で示したフローを挿入した形で実行される。ここで、図18に破線で示したフローは、図17に破線で示したフローの中のステップP45「スティプル箇所は何箇所か?」をステップP48「(スティプルトレイ枚数カウンタ)<A?」で置き換えた内容をなしている。
【0146】
図18において、スティプル実行後スティプル用紙束を排出する際の排紙センサ38のオフ検知時に、ステップP48で「スティプルトレイ枚数カウンタ」値をチェックすることで、用紙束の枚数をチェックし、図24(b)に示すような状態にはならずに引き戻すことができる枚数として予め実験的に求めた所定値Aよりも当該スティプル用紙の枚数が少ないときにはステップP46で「戻しコロ戻し動作フラグ」のセット、及びステップP47で「戻しコロ戻し動作タイマ」のリセットを行い、図16のフローで戻しコロ121を動作させることとした。
【0147】
本例では、スティプル箇所が1箇所の場合でも綴じ枚数が所定枚数より少ないときには、戻しコロ121をスティプル用紙束の後端に接触させて引き戻し事とした。綴じ枚数が所定値より少なければ、引き戻す力も少なくて済むため1箇所綴じの場合でもスティプル針部に損傷を与える前に揃えることができる。
【0148】
例7:(図19)
図24(a)に示したように、1箇所綴じのスティプル用紙束が積載されていても用紙サイズが小さければ、戻しコロ121が接触する位置からスティプル針までの距離が短いため、戻しコロ121を用紙後端部に接触させたときのスティプル針部にかかるモーメントが小さく、スティプル針近傍の損傷を発生させない。従って、1箇所綴じの場合でも用紙サイズが小さければ、戻しコロ121を動作させることができるので、揃えを良好にすることができる。
【0149】
具体例で説明すると、図21(b)に示すように、1箇所綴じのスティプル用紙束が積載されていてもそのスティプル用紙束のサイズが小さければ戻しコロ121を動作させてスティプル用紙束SS4を引き戻そうとしても図24(b)に示したような状態にはならずに、引き戻す抵抗が少ないためスティプル用紙束SS4全体を引き戻すことができる。
【0150】
スティプル針部でのしわや折れ目が発生しない具体的な理由としては、用紙のサイズが大きい図21(a)と、用紙のサイズが小さい図21(b)の比較において、図21(a)に示すサイズの小さい用紙の方がスティプル用紙束の重さが小さいのと、戻しコロ121からスティプル針20までの距離が短いため(B<A)、この距離(A又はB)と戻しコロ121による引き戻し力Fとの乗数であるスティプル針部にかかるモーメントが小さいことが挙げられる(BF<Af)。
【0151】
このような考え方のもとで、本例は「ジョガー&スティプル&排出制御」を説明した図15中の、ステップP31とステップP32の間に、図19に破線で示したフローを挿入した形で実行される。ここで、図19に破線で示したフローは、図17に破線で示したフローの中のステップP45「スティプル箇所は何箇所か?」をステップP49「用紙サイズ?」で置き換えた内容をなしている。
【0152】
図19において、スティプル実行後スティプル用紙束を排出する際の排紙センサ38のオフ検知時に、ステップP49でスティプル用紙束の用紙サイズをチェックすることで、例えば、A4サイズ以上ならば戻しコロ121を機能させず、B5サイズ以下ならばステップP46で「戻しコロ戻し動作フラグ」のセット、及びステップP47で「戻しコロ戻し動作タイマ」のリセットを行い、図16のフローで戻しコロ121を動作させることとした。
【0153】
本例では、スティプル箇所が1箇所の場合でも用紙サイズが所定値よりも小さいときには、戻しコロ121をスティプル用紙束の後端に接触させて引き戻す事とした。用紙サイズが小さければ戻しコロ121を機能させることができ、スティプル針部に損傷を与えることなく揃えることができる。
【0154】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、スティプル箇所が1箇所でスティプル処理されたシート状媒体束について戻し手段によるシート状媒体束のシワや破損を防止することができ、スティプル箇所が2箇所以上のシート状媒体束については戻し手段の機能により良好に揃えることができる。
請求項2記載の発明では、所定の枚数に満たないシート状媒体束について戻し手段の機能により良好に揃えることができる。
請求項3記載の発明では、所定のサイズに満たないシート状媒体束について戻し手段の機能により良好に揃えることができる。
請求項4記載の発明では、戻し手段の位置変位によりシート状媒体の後端部に確実に戻し手段を接しさせることができ良好に揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるシート状媒体後処理装置の概略構成図である。
【図2】図2(a)はシート状媒体後処理装置の要部斜視図、図2(b)はトレイの高さを制御するセンサ周辺部の概略斜視図である。
【図3】別実施例にかかる戻しコロまわりの正面図である。
【図4】戻しコロまわりの主要部を説明した斜視図である。
【図5】戻しコロまわりの主要部を説明した分解斜視図である。
【図6】戻しコロの回転駆動系を説明した動力伝達部の断面図である。
【図7】戻しコロ及びその駆動手段の分解斜視図である。
【図8】戻しコロの動作を説明した正面図である。
【図9】図9(a)は戻しコロ及び排紙コロの駆動源が共通の場合の駆動系を説明した正面図、図9(b)は戻しコロ及び排紙コロの駆動源が独立の場合の駆動系を説明した正面図である。
【図10】戻しコロの動作範囲を説明した正面図である。
【図11】制御系のブロック図である。
【図12】本発明に係るフローチャートである。
【図13】本発明に係るフローチャートである。
【図14】本発明に係るフローチャートである。
【図15】本発明に係るフローチャートである。
【図16】本発明に係るフローチャートである。
【図17】本発明に係るフローチャートである。
【図18】本発明に係るフローチャートである。
【図19】本発明に係るフローチャートである。
【図20】図20(a)は第1の位置にある戻しコロの図、図20(b)は第2の位置にある戻しコロの図である。
【図21】図21(a)は大サイズ紙について戻しコロによるモーメントを説明した図、図21(b)は小サイズ紙について戻しコロによるモーメントを説明した図である。
【図22】戻し手段がないときの用紙の揃え状態を説明した図である。
【図23】戻し手段があるときの用紙の揃え状態を説明した図である。
【図24】図24(a)はスティプル箇所が1箇所の用紙束を戻すべく第1の位置に位置している戻しコロを示した図、図24(b)は第2の位置にて戻し時にスティプル位置でシワが発生した状態を示した図である。
【符号の説明】
12 トレイ
20 スティプル針
121 戻しコロ
Claims (4)
- 画像形成装置から受け取ったシート状媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により順次搬送されてくる複数のシート状媒体を整合してスティプルする手段と、前記搬送手段により搬送されるシート状媒体及び前記スティプル手段によりスティプルされたシート状媒体束を排出する排出手段と、前記排出手段により排出されるシート状媒体を積載する積載手段と、前記積載手段上に排出されたシート状媒体に接離自在であり排出直後のシート状媒体に接触した状態のもとで立壁に向かう向きの送りをかけることにより前記立壁に突き当てて整合する戻し手段を具備したシート状媒体後処理装置であって、
前記排出手段から排出されるシート状媒体が、前記スティプル手段によりスティプルされたシート状媒体束であって、このスティプルされたシート状媒体束のスティプル箇所が1箇所のみであるときには、前記戻し手段を前記シート状媒体束の上面から離間した状態を保持するように制御し、前記シート状媒体のスティプル箇所が少なくとも2箇所であるときには、前記排出手段から排出されたシート状媒体束が前記積載手段上に積載された後、前記戻し手段を前記シート状媒体束に対して接触させて前記シート状媒体束に送りをかけるように制御することを特徴とするシート状媒体後処理装置。 - 請求項1記載のシート状媒体後処理装置において、
スティプルされたシート状媒体束のスティプル箇所が1箇所のみであっても、束を構成するシート状媒体の枚数が所定の枚数に満たない場合、前記排出手段から排出されたシート状媒体束が積載手段上に積載された後、前記戻し手段を前記シート状媒体に対して接触させて前記シート状媒体束に送りをかけるように制御することを特徴とするシート状媒体後処理装置。 - 請求項1記載のシート状媒体後処理装置において、
スティプルされたシート状媒体のスティプル箇所が1箇所のみであっても、シート状媒体のサイズが所定のサイズに満たない場合、前記排出手段から排出されたシート状媒体束が積載手段上に積載された後、前記戻し手段を前記シート状媒体に対して接触させて前記シート状媒体束に送りをかけるように制御を行なうことを特徴とするシート状媒体後処理装置。 - 請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のシート状媒体後処理装置において、前記戻し手段は回転体からなり、前記シート状媒体の上面から離間した第1の位置(ホームポジション)と、この第1の位置よりも前記排出方向の下流側であって前記シート状媒体の上面に接することができる第2の位置との間を移動自在であることを特徴とするシート状媒体後処理装置。
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