JP4204763B2 - シート状媒体整合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シート状媒体整合装置、画像形成装置、シート状媒体後処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成などされて一定間隔で次々と搬送されてくるシート状媒体を積載手段としてのトレイ上に積載状態で整合し、また、仕分けなどするシート状媒体整合装置が知られている。
【0003】
このようなシート状媒体整合装置の1つとして非公知の高性能のシート状媒体整合装置がある。その概要は、搬送されてくるシート状媒体を排出する排出手段と、この排出手段により排出されるシート状媒体を積載する積載手段(以下、トレイという。)と、このトレイ上に積載されたシート状媒体の前記排出手段によるシート状媒体の排出方向と平行な端面を挟むように接して揃える揃え手段と、前記トレイ又は前記揃え部材を前記排出手段のシート状媒体排出方向と直交するシフト方向に所定量移動させてシート状媒体を仕分ける仕分け手段(トレイ移動手段又は揃え部材駆動手段)を具備したものである。
【0004】
前記のシート状媒体整合装置は画像形成装置の一部として構成され、或はシート状媒体後処理装置の一部として構成されて、次々の搬送されてくるシート状媒体を整合し、また必要に応じて仕分け処理する。
【0005】
前記整合のため、前記揃え手段による揃え動作が行なわれ、また、前記仕分けのために、前記仕分け手段による仕分け動作が行なわれるが、これらの整合や仕分けのための各動作は一定の時間間隔で次々と搬送されてくるシート状媒体の前記時間間隔を利用して行なわれる。
【0006】
例えば、トレイ上にシート状媒体が排出されたら、次のシートが排出されてくるまでの時間内に、▲1▼排出直後のシート状媒体を既に排出済みのシート状媒体の排出方向での端縁と揃えるため、トレイの傾斜を利用して、或は戻し手段によりエンドフェンスに突き当たるまでシート状媒体を戻して排出方向上での揃えを行う戻し動作(但しこの動作は本発明の対象外)、▲2▼シート状媒体のシフト方向での端縁を揃えるため、既に排出済みの同じ部のシート状媒体と共にシフト方向での端面を揃え手段で挟む動作を行う揃え動作、▲3▼部の終りのシート状媒体が排出された後、次部の第1枚目のシート状媒体が排出されてくるまでの間に限り、トレイを所定量シフトさせ(或は揃え部材を所定量シフトさせる)仕分け動作が必要となる。
【0007】
このような仕分け動作が可能な揃え手段を備えたシート上媒体整合装置の一例を図51により説明する。
図51(a)、(b)において、排出手段としての一対の排紙コロ3の左方(排紙方向下流側)に上下動可能なトレイ12がある。トレイ12は排紙コロ3のニップ部からの距離が排紙に適する一定距離となるように図示省略の制御機能により制御されている。
【0008】
排紙コロ3から排出されたシート状媒体はトレイ12の傾斜に従い自重による、或は図示省略の戻しコロによりエンドフェンス131に後端部が突き当てられて所謂、縦揃えが行なわれる。
【0009】
トレイ12の上方には紙面を貫く方向に対向して板状をした一対の揃え部材が配置されている。手前側の揃え部材を符号102aで示し、対向するもう1つの揃え部材(102b)は図示を省略している。
【0010】
揃え部材102aの上部は紙面を貫く方向(以下、シフト方向)に長さを有する軸108に枢着されている。揃え部材102aの上端部は受け台105aに形成された溝に摺動可能に嵌入している。受け台105aは軸108及び該軸108と平行な軸109に摺動可能設けられていて、その上部がシフト方向に配置された一対のプーリ間に張設されたベルトに固定されている。該ベルトを支持しているプーリの1つを符号120aで示す。また該プーリ120aを駆動するモータ(ステッピングモータ)を符号104aで示す。
【0011】
モータ104aを駆動することにより、プーリ120aが回転し、ベルトも回転する。これに伴い、受け台105aが移動し、揃え部材102aもシフト方向に移動する。
【0012】
軸108と平行に軸110が設けられていて揃え部材102aの上部に形成した肩部102a4に当接している。この当接位置は軸108から斜め右上の離れた位置にある。この軸110には支点112を中心に揺動可能なL字状のレバー113の自由端側が接している。レバー113の他端側113はばね114を介してソレノイド115のプランジャに連結されている。
【0013】
ソレノイド115をオフにしたときには、揃え部材102aの自由端側は自重モーメントにより軸108を中心に回動して例えば、図51(a)に示すように揃え部材102aの自由端側はトレイ12に形成した凹部80a内に位置することができる。この位置は、揃え部材102aの最大回動位置であり、受け台105aの溝端に揃え部材102aの一部が当接することにより保持される。
【0014】
ソレノイド115をオフにした状態では、揃え部材102aは回動途中にシート状媒体があれば回動途中で該シート状媒体の上に乗り回動を停止するし、なければトレイ12の凹部80aの中に入るまで回動する(揃え回転位置)。
【0015】
ソレノイド115をオンにすると、図51(b)に示すように軸110がレバー113により長穴90aに案内されて押し下げられ、揃え部材102aは軸108を中心に回動してトレイ12の上方に退避する(退避回転位置)。
【0016】
上記したような揃え部材102aを駆動するための構成と同じ構成が揃え部材102bについても設けられているので、揃え部材102a駆動用のモータ、揃え部材102b駆動用のモータをそれぞれ駆動することにより、揃え部材102a、102bを互いに接近させ、また互いに離間させる動作を行なうことができる。そして、この動作によって、トレイ12上に排出されてくるシート状媒体をシフト方向について揃える所謂、横揃えを行なうことができる。
【0017】
シート状媒体がトレイ12上に排出される毎に揃え部材102a、102bを動作させて横揃えを行ない、所定枚数の排出を終えることにより部の排出が終わると、次の部のシート状媒体が排出される前に前の部と仕分けるためにトレイ12をシフト方向に移動させるが、このとき、揃え部材102a、102bが揃え動作時と同じ位置にあると、トレイ12の移動ニ伴ない、せっかく揃えたシート状媒体の整列を揃え部材102a、102bの何れかが引っ掛けて崩してしまう。
【0018】
そこで、トレイ12の移動に先立ち、例えば、ソレノイド115をオンにする。これにより、図51(b)に示すように揃え部材102a(102b)の自由端側は上方に移動するので、トレイ12上に整列して積載されたシート状媒体を崩すことなく整列させることができる。
【0019】
かかるシート状媒体整合装置では、揃え部材102a(102b)を退避回転位置におくべく軸108を中心に回転させるとき、軸110をソレノイド115の力で押し下げている。揃え部材102a(102b)の回動範囲は軸110の上下方向のストロークで決まり、回動範囲には自ずと制限がある。揃え部材102a、102bの変位量としては、図51に示すように、揃え回転位置と退避回転位置の2つの位置しか想定されておらず、揃え部材102a(102b)は常時トレイ12の上方に位置している。
【0020】
一方、トレイ12上に積載されたシート状媒体は、適宜オペレータにより取り出されるが、該積載されたシート状媒体を掴んでトレイ12上から抜くとき揃え部材102a(102b)に引っ掛けて手を傷つけるおそれがあり、また、揃え部材102a(102b)を破損する危険がある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の課題は、シート状媒体取り出し時にオペレータの手が揃え部材に干渉することによる、手の怪我、揃え手段の破損などを防止することができるシート状媒体整合装置、画像形成装置、シート状媒体後処理装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1).搬送されてくるシート状媒体を排出する排出手段と、この排出手段により排出されるシート状媒体を積載する積載手段と、この積載手段上に積載されたシート状媒体の前記排出手段によるシート状媒体の排出方向と平行な端面を挟むように接して揃える揃え手段と、前記積載手段又は前記揃え部材を前記排出手段のシート状媒体排出方向と直交するシフト方向に所定量移動させてシート状媒体を仕分ける仕分け手段を具備したシート状媒体整合装置であって、前記揃え手段が前記積載手段上でシート状媒体の揃え動作を行なう位置から本体内に収納された位置へ移動して収納可能であると共に前記収納された位置から前記揃え動作を行なう位置へも移動可能であり、回転運動により前記収納された位置(収納回転位置)と前記揃え動作を行なう位置(揃え回転位置)相互間を変位させるようにし前記回転運動の中心となる回転軸に、前記揃え手段を前記シフト方向に摺動させるガイドを兼用させた(請求項1)。
(2).(1)記載のシート状媒体整合装置において、
前記回転軸を回転させることにより前記揃え手段を前記収納回転位置に移動させて前記揃え部材を収納することとした(請求項2)。
(3).(1)又は(2)記載されたシート状媒体整合装置において、
前記揃え手段は前記回転軸の回転により、前記揃え回転位置と、前記収納回転位置と、前記揃え回転位置から前記収納回転位置までの間の回転位置であって前記揃え部材の自由端側がトレイ上のシート状媒体から退避した回転位置である退避回転位置への移動が可能であり、これらの移動を前記回転軸の駆動源で行なうこととした(請求項3)。
(4).(3)記載のシート状媒体整合装置において、前記揃え手段は前記回転軸に対して所定量の自由な回転領域を有することとした(請求項4)。
(5).(4)記載のシート状媒体整合装置において、前記回転領域は、前記回転軸又は前記揃え部材の何れか一方に形成された凸状部と、残る他方に形成された凹状部との係合部における前記回転方向の隙間により形成した(請求項5)。
(6).(1)乃至(5)の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置において、前記揃え手段は、前記排出手段から排出され前記トレイ上に積載されたシート状媒体を、前記排出方向と平行な当該シート状媒体の2つの端面を挟むようにして揃え部を接しさせて前記端面の位置を揃える揃え動作を行なう1対の揃え部材を有し、前記仕分け手段による仕分け動作後に積載されたシート状媒体を、前記仕分け手段による仕分け動作前に積載されたシート状媒体と異なる位置に揃えるように前記揃え動作を行なうものであり、前記揃え部材のホームポジションとして定めた位置で回動させて本体に収納することとした(請求項6)。
(7).(6)記載のシート状媒体整合装置において、前記揃え部材は一連のジョブの揃え動作が完了した後、前記ホームポジションに移動してから前記収納回転位置に収納されることとした(請求項7)。
(8).(7)記載のシート状媒体整合装置において、前記揃え部材は一連のジョブの揃え動作が完了した時点で、後続のジョブがある場合、前記ホームポジションに移動してから前記収納回転位置に収納されることを禁止した(請求項8)。
(9).(6)乃至(8)の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置において、前記揃え部材の回転時に当該揃え部材に対して所定以上の負荷が作用した場合に、前記揃え部材が前記収納回転位置へ向けて回動するのを禁止する構成を採用した(請求項9)。
(10).(9)記載のシート状媒体整合装置において、前記所定以上の負荷とは、身体の一部が揃え部材の回動をさえぎる態様で負荷として作用した場合に、該身体の一部を損なわない程度の負荷を超える負荷とした(請求項10)。
(11).(10)記載のシート状媒体整合装置において、前記揃え部材は、回転方向に付勢力を与えられていることとした(請求項11)。
(12).(11)記載のシート状媒体整合装置において、前記付勢力は、前記揃え部材が前記シート状媒体受け入れのため待機する受け入れ位置から前記ホームポジションに移動することにより自動的に与えられることとした(請求項12)。
(13).(12)記載のシート状媒体整合装置において、前記回転軸上の前記ホームポジションには前記揃え部材に形成された凹状部又は凸状部と係脱可能な凸状部又は凹状部を備えた退避軸が設けられていて、この退避軸には前記揃え部材が収納時に回転される回転方向と同じ向きの回転力が与えられるように付勢手段により付勢されていて、この付勢手段による前記退避軸の回転は所定の回転位置でストッパにより阻止されていることとした(請求項13)。
(14).(13)記載のシート状媒体整合装置において、前記退避軸の所定の回転位置は、前記回転軸に形成された凸状部又は凹状部と同じ回転位置とした(請求項14)。
(15).(14)記載のシート状媒体整合装置において、前記退避軸のストッパは、前記揃え部材の収納時の回転方向と反対方向に一定の回動範囲で回転を許す前記回転軸の軸心を中心とする円弧状の長穴と、該長穴に係合している突起部との組み合わせよりなり、該軸は前記回転軸と一体的に設けた(請求項15)。
(16).(15)記載のシート状媒体整合装置において、前記一定の回動範囲は前記回転軸に対する前記揃え部材の回動範囲であり、前記揃え部材が前記揃え回転位置から前記収納回転位置まで回転して変位できる範囲とした(請求項16)。
(17).シート状媒体に画像形成を行なう画像形成手段及びこの画像形成されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有する画像形成装置において、(1)乃至(16)の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置を具備していることとした(請求項17)。
(18).シート状媒体に後処理を行なう後処理手段及びこの後処理されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有するシート状媒体後処理装置において、(1)乃至(16)の何れか一つに記載のシート状媒体整合装置を具備していることとした(請求項18)。
(19).(18)記載のシート状媒体後処理装置において、前記積載手段が、前記排出手段を通過して上下動する構成とした(請求項19)。
【0023】
【発明の実施の形態】
この明細書では、取り扱われるシート状媒体として、複写紙、転写紙、記録紙、表紙、合い紙(仕切紙)、コンピュータフォーム、特殊紙、OHPシート等が含まれるが、以下では、これらを代表して用紙の名称で表示する。
【0024】
画像形成装置から排出される画像形成済みの用紙にファイリング用のパンチ穴をあけるパンチユニットや、ステイプル手段、押印などの後処理を行なうシート状媒体後処理装置や画像形成装置において、排出手段から排出されてくる用紙は、コピー業者などでは、仕分けされて積載された用紙束を次工程の例えば、パンチ機にかけたりするため、精度の良い仕分け状態での積載が要求されている。
【0025】
揃え精度の悪い用紙束であると、トレイから取り出した用紙束を再び人の手によって揃えてからパンチ機にかけなければならず作業効率の面で無駄が発生してしまう。このため、上のセグメント例えば所謂コピー業者は、積載された用紙について厳しい揃え精度を要求し、揃え精度の向上が望まれているが、以下の例に係る揃え手段、戻し手段、仕分け手段を適用することにより、このような要望に応え、かつ、揃え部材による危険を回避することができる。
【0026】
この発明にかかるシート状媒体整合装置は、▲1▼単独の装置として構成することもできるし、▲2▼シート状媒体を排出する手段をもつ他の装置、例えば、揃え機能、仕分け機能などを有しない画像形成装置、揃え機能、仕分け機能を有しないシート状媒体後処理装置等と一体的若しくは連結して組み合わせて用い、揃え機能、仕分け機能によってシート状媒体をトレイ上に揃え、また、仕分けることができる。
【0027】
以下では、最初にシート状媒体整合装置を具備したシート状媒体後処理装置を例にしてシート状媒体を排出する排出手段、排出手段により排出されるシート状媒体を積載する積載手段としてのトレイ及び揃え手段、仕分け手段、仕分けの動作、揃え手段の安全対策としての構成、仕分けの制御態様、さらにシート状媒体整合装置を具備した画像形成装置、2トレイのシート状媒体後処理装置を説明する。
【0028】
[1]シート状媒体後処理装置
a.シート状媒体後処理装置の概要
画像形成装置に連結された独立したシート状媒体後処理装置と一体的に構成されたシート状媒体整合装置を例に説明する。
図1乃至4において、用紙に後処理を行なう後処理手段としてのシート状媒体後処理装置51は、画像形成装置50と連結されている。
画像形成装置50では、オペレーターにより指示された後処理内容に従い画像形成手段により画像形成された用紙Sがシート状媒体後処理装置51に送られてくる。
【0029】
シート状媒体後処理装置51における後処理内容としては、画像形成装置50が複写機の場合には次のモードがある。▲1▼用紙を排出順に単に積載する通常モード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数を指示することで処理が実行される。▲2▼ステイプル処理を行なうステイプルモード。このモードでは、用紙サイズとコピー枚数のほか、綴じ枚数や綴じ位置等を指示することにより処理が実行される。▲3▼仕分け処理を行なう仕分けモード。このモードでは用紙サイズと仕分け部数を指示することで処理が実行される。▲4▼パンチモード。このモードでは、穴あけが行なわれる。そのほか、必要に応じて他の処理も可能である。
【0030】
これらの後処理にかかる作業指示は、複写機の操作パネルからキー操作によりCPUを含む制御手段に伝えられ、画像形成装置50及びシート状媒体後処理装置51と制御手段との間で後処理遂行の信号授受が行なわれて後処理が実行される。なお、このシート状媒体後処理装置には後述する揃え手段を具備したシート状媒体整合装置が一体的に構成されている。
【0031】
当該シート状媒体後処理装置において、後処理実行有無の選択ができ、後処理実行が選択されたことにより後処理された用紙、或いは後処理実行が選択されなかったことにより後処理が行なわれなかった用紙は、シート状媒体整合装置の仕分け機能及び揃え機能によってトレイ上に仕分けられた状態で揃えることができる。
【0032】
図4に本例にかかるシート状媒体後処理装置51の全体構成例を示す。本例のシート状媒体後処理装置は、用紙を排出する手段をもつ他の装置、例えば、揃え機能を有しない画像形成装置50と連結して組み合わされて用いられ、揃え機能によって用紙をトレイ12上に揃えることができる。
【0033】
画像形成装置50において画像形成された用紙は、シート状媒体後処理装置51に至る。後処理の有無は選択することができ、選択により後処理された用紙或いは選択により後処理を行なわなかった用紙はシート状媒体後処理装置51と組み合わされたシート状媒体整合装置の整合動作によって排出方向aについてトレイ上に揃えられ、かつ、必要に応じ、排出方向aと直交するシフト方向d(図4で紙面と直交する方向、図5以下参照)について所定枚数ずつ位置をずらした仕分け状態で積載される。この仕分け機能は、シフト方向dにトレイ12を移動させるトレイ移動手段98(後述)により行なわれる。
【0034】
図4に示すように、シート状媒体後処理装置51は、積載手段としての昇降可能なトレイ12を有しているとともに、位置固定トレイとしてのプルーフトレイ14を装置上部に有している。
【0035】
画像形成装置50との用紙受け渡し部位の近傍には、入口センサ36、入口ローラ対1が設けられており、入口ローラ対1により取り込まれた用紙は、後処理モードに応じてそれぞれの搬送経路を搬送される。
【0036】
入口ローラ対1の下流には穴開けを行うパンチユニット15が設けられており、パンチユニット15の下流には搬送ローラ対2aが設けられている。搬送ローラ対2aの下流には分岐爪8aが設けられており、用紙は分岐爪8aによりプルーフトレイ14へ向かう搬送経路と、略水平に進む搬送経路とに選択的に案内される。プルーフトレイ14へ向けて搬送された場合、用紙は搬送ローラ対60で搬送され、排紙ローラ対62によりプルーフトレイ14へ排出される。
【0037】
分岐爪8aの下流には分岐爪8bが設けられており、用紙は分岐爪8bによりノンステイプルルートEと、ステイプルルートFへ選択的に案内される。分岐爪8a、8bは、図示しないソレノイドのオン/オフ制御により位置を切り替えられるようになっている。
【0038】
ノンステイプルルートEへ案内された用紙は、搬送ローラ対2bにより搬送され、排出手段としての排紙コロ3によりトレイ12に排出される。一対の排紙ローラ3の下部と重なるようにして或は下方位置には用紙を後端揃えのためのエンドフェンス131に戻す戻し手段としての戻しコロ121が設けられている(本発明とは直接関係ないので他の図では省略)。
【0039】
排紙ローラ3は、上コロ3aと、下コロ3bを有し、下コロ3bは用紙排出方向aの上流側を支持されて上下方向に回動自在に設けられた支持部材66の自由端部に回転自在に支持されている。下コロ3bは自重又は付勢力により上コロ3aに当接し、用紙は両ローラ間に挟持されて排出される。綴じ処理された用紙束が排出されるときは、支持部材66が上方に回動され、所定のタイミングで戻される。このタイミングは排紙センサ38の検知信号に基づいて決定される。排紙センサ38は排紙コロ3の上流側直近に配置されている。
【0040】
ステイプルルートFへ案内された用紙は、搬送ローラ対2cにより搬送される。搬送ローラ対2cの下流には分岐爪8cが設けられており、用紙は分岐爪8cにより、ステイプル本ルートGと、退避ルートHへ選択的に案内される。分岐爪8cも図示しないソレノイドのオン/オフ制御により位置を切り替えられるようになっている。
【0041】
ステイプル本ルートGへ案内された用紙は、搬送ローラ対4を経て排紙センサ37で検知され排紙ローラ対68により図示しないステイプルトレイへ積載される。この場合、用紙毎に叩きローラ5で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス9にて横方向(排出方向aと直交する用紙幅方向)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束の最終紙から次の用紙束の先頭紙の間で図示しない制御手段からのステイプル信号によりステイプラー11が駆動され、綴じ処理が行われる。
【0042】
画像形成装置50から排出される用紙間の距離が短く、綴じ処理をしている間に次の用紙が来る場合には、該次の用紙は退避ルートHへ案内され、一時的に退避させられる。退避ルートHへ案内された用紙は、搬送ローラ対16により搬送される。
【0043】
綴じ処理が行われた用紙束は、直ちに放出爪10aを有する放出ベルト10によりガイド69を経て排紙コロ3へ送られ、トレイ12へ排出される。放出爪10aはセンサ39によって所定位置を検知されるようになっている。
【0044】
叩きローラ5は支点5aを中心に図示しないソレノイドによって振り子運動を与えられ、上記ステイプルトレイへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙をエンドフェンス131に突き当てる。図示しないが、排紙ローラ対68はブラシローラを有しており、これによって用紙後端の逆流が防止される。なお、叩きローラ5は反時計回りに回転する。ここまでがシート状媒体後処理装置の本来的な機能部分の構成及び動作の概要である。
【0045】
シート状媒体後処理装置51では、本来的な機能である後処理を行なうことができると共に、以下に述べるように、トレイ12上に積載された用紙を揃え、仕分けることができる。この揃えには、排出方向aの端部を揃えることと、シフト方向dの端部を揃えることの2つの意味があるが、前者の揃えはエンドフェンス131への突き当てを行なう戻し手段たる戻しコロ121の機能によりなされ、後者の揃えは揃え手段としての一対の揃え部材102a、102bによりなされる。
【0046】
図4において、シート状媒体後処理装置は、排紙コロ3、排紙コロ3より排出される用紙Sを積載するトレイ12、トレイ12を昇降させるトレイの昇降手段、トレイ12の昇降方向の位置を制御する位置決め手段、トレイ12を図4の排出方向aと直交するシフト方向d(図2の紙面を貫く方向)に往復動させる仕分け手段としてのトレイの移動手段、揃え手段としての揃え部材102a、102b及びその駆動手段などを主な要素としている。
【0047】
このうち、上記トレイの昇降手段は図5(a)に符号95、昇降方向の位置決め手段は図5(a)、(b)に符号96、トレイの移動手段は図6、図7に符号98で示され詳細は以下でそれぞれ説明する。
【0048】
b.トレイ及び仕分け手段としてのトレイ移動手段
図4において、用紙Sは分岐爪8bから用紙の搬送手段である搬送ローラ対2bにより排紙センサ38を経てトレイ12に向けて搬送され、排紙コロ3により排出方向aに送り出される。
【0049】
図4、図5に示すように、トレイ12の上面は排出方向aに進むほど、上面の高さが増す傾向に傾斜している。該トレイ12の傾斜面の下方基端部には鉛直面からなるエンドフェンス131が位置している。
【0050】
図4において排紙コロ3から排出された用紙Sは、受け入れ位置で待機している揃え部材102a、102b間に進入し、重力によりトレイ12上、上記傾斜に沿って滑り、また戻しコロ121が設けられているタイプでは戻しコロ121の機能により後端部がエンドフェンス131に突き当たることにより後端部が揃えられ整合される。後端部が整合されたトレイ12上の用紙Sは揃え部材102a、102bの揃え動作によりシフト方向d(幅方向)が揃えられる。
【0051】
図5(a)に示すように、トレイ12の上面であって、揃え部材102aに対向する部位には凹部80a、揃え部材102bが対向する部位は凹部80bがそれぞれ形成されていて、トレイ12の上面よりも部分的に低くなっている。少なくともこれら凹部80a、80b上に用紙が積載されていない状態では、受け入れ位置にある揃え部材102a、102bはこれら凹部80a、80bの中にその一部が進入しトレイ12とオーバーラップした状態を保持するようになっている。これは、揃え動作において揃え部材102a、102bを用紙Sの端面に確実に当てるためである。
【0052】
図5(a)において、トレイ12はトレイ昇降手段95により昇降されるとともに、位置決め手段96により用紙Sの着地に適する位置に常時制御されるようになっている。
【0053】
つまり、排紙コロ3から用紙がトレイ12上に排出され積載面が上昇すると、トレイ12はトレイの昇降手段95およびトレイの昇降方向の位置決め手段96により適量下降させられて用紙最上面の位置が排紙コロ3のニップ部から一定の高さを維持し着地位置が一定レベルに保持されるように制御される。
【0054】
図4、図5(a)において、排紙コロ3は定位置にある。よって、仮にトレイ12が昇降しない構成では、トレイ12上に用紙Sが排出され積載されてくると用紙束の高さが高くなりこの用紙束が用紙の排出をさえぎることにより、遂には用紙Sの排出ができなくなる。
【0055】
昇降手段を設けることによりトレイ12を昇降させ、かつ、排紙コロ3のニップ部からトレイ12上面までの間隔、或いは排紙コロ3のニップ部からトレイ12上の用紙Sの最上面までの間隔を、位置決め手段により、排紙が適正に行なわれる適正間隔に維持することができる。これにより、トレイ12上面へ用紙Sを着地位置のバラツキが小さい状態で排出することができる。
【0056】
図5(a)に示すようにトレイ12は上下リフトベルト70により吊るされている。上下リフトベルト70はギヤ列及びタイミングベルトを介して上下モータ71により駆動され、上下モータ71の正転または逆転により上昇または下降する。これら上下リフトベルト70、上下モータ71、ギヤ列及びタイミングベルト等はトレイを昇降させる昇降手段95の主な構成要素である。
トレイ12上に送り出された用紙Sは、トレイ12の傾斜面に沿って滑り落ち、後端側がエンドフェンス121に突き当てられて排出方向での整合が行われる。
【0057】
こうして、順次、画像形成済みの用紙Sがトレイ12上に次々と排出され積載により用紙Sの最上面が上昇していく。戻しコロ121の近傍であって、積載された用紙の最上面には、図5(a)、(b)に示すように軸73aに揺動自在に支持された紙面レバー1200の一端側が自重で接するように設けられており、この紙面レバー1200の他端側はフォトインタラプタからなる紙面センサ130a又は紙面センサ130bにより検知されるようになっている。
【0058】
紙面センサ130bは通常積載モードにおいてトレイ12の上下位置を制御するためのものであり、紙面センサ130aはステイプルモードにおいて、同様の制御を行うためのものであり、モードに応じて用紙の排出位置を異ならせている。
【0059】
紙面レバー1200は、支点軸73aを中心にして自重によるモーメントで回動するようになっている。用紙がトレイ12上に積載され上面位置が高くなると紙面レバー1200の折曲部の先端部が積載面により押し上げられ、軸73aを支点として回動させられ、紙面センサ130bが紙面レバー120の他端側に形成された扇状の板部を検知してオンになる。この時点で上下モータ71を駆動してトレイ12を下降させる仕組みになっている。
【0060】
トレイ12を下降することにより紙面レバー1200が回動して紙面センサ130bがオフとなるタイミングで上下モータ71によるトレイ12の下降を停止する。このような動作を繰り返すことにより、トレイ12と排紙コロ3ニップ部との間隔は所定の間隔に制御される。通常モードでは紙面センサ130bによる制御が行なわれ、ステイプルモードでは紙面センサ130aによる制御が行なわれる。
【0061】
ここでは、通常モードであるので、用紙Sが1枚ずつ排出される毎に用紙Sの積載面が上昇し、紙面レバー120の自由端部が紙面センサ130bと重なる毎に、上下モータ71が駆動されて紙面センサ130bがオフになるまでトレイ12を下降させる制御が行われる。これにより、用紙Sのトレイ12上での着地位置の条件は、排紙コロ3とトレイ12(用紙の最上面)との間隔が前記適正間隔に制御される。紙面センサ130a、130b及び紙面レバー1200等はトレイ12の高さを一定の高さに制御するトレイの位置決め手段96の主な構成要素であり、位置決めのための情報を検知して制御手段に送る。
【0062】
このような前記適正間隔のもとでのトレイ12の高さ位置を適正排出位置と称し、カール等特殊な態様で送り出される用紙以外の普通の状態の用紙を受ける位置として適切な位置として設定された位置である。
【0063】
通常モードで用紙が1枚ずつ排出される場合と、ステイプルモードでステイプル処理された用紙束が排出される場合とでは、排紙の条件が異なるので当然のことながら、トレイ12の適正排出位置は異なる。このことは、紙面センサ130a、130bで位置を異ならせていることからも明らかである。また、後処理終了時には、用紙の取り出しに備え、トレイ12を30mm程度下降させる動作が行なわれる。
【0064】
通常モード、ステイプルモード、何れの後処理にかかるモードでも、それぞれに適する基準高さで、排紙コロ3からの用紙Sはトレイ12上に排出され、用紙Sが積もる毎にトレイ12は下降し、遂には下限センサ76により下限位置が検知される。また、トレイ12の上昇時にはトレイ12は紙面センサ130a、130b、紙面レバー1200等の位置決め手段による紙面の検知情報に基き、基準高さまで上昇させられる。
【0065】
トレイ12は、仕分け動作を行なうため図4の紙面を貫くシフト方向、つまり、図5(a)に符号dで示す方向の一端に移動したのち、他端側に移動し、また他端側から一端側に移動するように台座18上にスライド可能に支持されている。
【0066】
以下にトレイの移動手段98について説明する。
【0067】
図5においてトレイ12は、仕分け動作を行なうためシフト方向dの一方に往動したのち、他方側に復動動し、また他方側から一方側に移動するようにシフトされる。仕分けの単位である部を構成する所定枚数の排出量の用紙を処理するときの作業単位を1ジョブとすれば、同一ジョブ中、トレイ12はシフト方向dにはシフトせず、1ジョブ(部)が終わる毎にシフト方向dに移動し、一方の移動端で次のジョブにかかる用紙Sの排出を受ける。
【0068】
用紙Sの排出を受けて、トレイ12上に用紙Sが積載される毎に、用紙の戻しと、揃え部材102a、102bによる揃え動作が行なわれる。また、仕分けモードでは部の最終紙の積載がなされるとトレイ12のシフト方向dでの移動による仕分け動作が行なわれる。
【0069】
トレイ12上に積載された用紙(用紙束を含む)を仕分けるべく当該トレイ12をシフト方向dに移動させて仕分け動作を行なうトレイの移動手段98について図6、図7により説明する。ここで、トレイ12の移動量d'は仕分けに必要な量であって、用紙サイズや用紙の種類、オペレーターの好みなどにもよるが、例えば20mm程度に設定される。
【0070】
トレイの移動手段98は図6に示すようにトレイ12を台座18でスライド可能に支持しているトレイ支持構造と、図6、図7に示すようにトレイ12を往復動させるトレイ往復動機構からなる。
【0071】
図6によりトレイ支持構造160を説明する。図4において台座18の上部にはシフト方向dに長さを有し、左右方向に対向する2つの案内板30、31が一体的に設けられている。これらの案内板30、31の各外側には軸が突出していて、ローラ32、33が軸支されている。
【0072】
一方、トレイ12の底部には、左右方向についてはローラ32、33の間隔より広く、シフト方向dにはトレイのシフト量を十分カバーし得る奥行きを有する平坦面からなる平坦部が形成されていて、この平坦部をローラ32、33上に乗せている。また、トレイ12の上記平坦部には、案内板30、31の内側に対応する位置に、2本の軸が植設されていて、これらの2本の軸にはそれぞれ、ローラ34、35が軸支されている。これらのローラ34、35は、案内板30、31の各内側に接している。
【0073】
ローラ32、33、34、35及び案内板30、31等が、トレイ12をシフト方向dに移動可能に支持するトレイ支持構造160を構成する。かかるトレイ支持構造160により、トレイ12はその荷重をローラ32、33で支持され、ガイド板30、31に案内されてシフト方向dに可動である。
【0074】
トレイ支持構造160で支持されたトレイ12に、トレイ往復動機構を組み合わせることで、トレイ12に往復動の駆動力を与えて、シフト方向dに往復動させることができる。このように構成されるトレイ移動手段により、トレイ12はシフト方向dに用紙の仕分けに必要な所定量往復動させることができる。
【0075】
以下に、トレイ往復動機構の具体例を、トレイの位置判別手段とともに説明する。図7において、トレイ12はエンドフェンス131の凹凸部に入り込んでいてエンドフェンス131がシフト方向dに動作することによってトレイ12も同方向に動作する。エンドフェンス131のシフト方向dの中央部には、長穴41aがあけられたブラケット41が装着されていて、この長穴41aにピン42が挿入されている。
【0076】
ピン42は図示しない本体部に軸支されたウォームホイール43に挿入固定されている。この挿入固定位置はウォームホイール43の回転中心から偏心している。この偏心量は、トレイ12のシフト方向dでの移動量d'の1/2である。
【0077】
ウォームホイール43は、モータ44からタイミングベルト45を介して回転させられるウォーム46によって回転させられるようになっている。ウォームホイール43の回転運動によりピン42が回転し、偏心量に応じてトレイ12はシフト方向dへの直線往復運動をするように運動方向が変換される。これら偏心回転するピン42と長穴41aまわりの構成がトレイ往復動機構の主要部をなす。
【0078】
図8、図9に示すように、ウォームホイール43には大きさの異なる2つの切り欠き43L、43S及びこれら切り欠き43L、43Sにより相対的に形成される半周分の長さの長い凸部とこれに隣接する短い凸部を有する円板状のエンコーダ47が設けられている。
【0079】
切り欠き43Lは長い切り欠き、切り欠き43Sは短い切り欠きである。エンコーダ47の半回転おきにホームセンサ48がエンコーダ47の切り欠きの長さを前記2つの凸部間の間隔により検知して、モータ44の停止、駆動の信号が制御手段から発せられるようになっている。
【0080】
図8において、矢印49の向きに回転したエンコーダ47の短い方の切り欠き43Sがホームセンサ48を通過して短い凸部と重なりかけた時点でモータ44は停止している。この状態ではピン42が後側にあり、図7のエンドフェンス131も後側に動作することによってトレイ12も後側に移動している。
【0081】
図9では、図8に示した状態からさらに矢印49の向きにエンコーダ47が回転して、長い切り欠き43Lがホームセンサ48を通過して長い凸部と重なりかけた時点でモータ44は停止している。この状態ではピン42が前側にあり、図7のエンドフェンス131も前側に動作することによってトレイ12も前側に移動している。
【0082】
このように、トレイ12が後側にあるか、前側にあるかは、エンコーダ47の切り欠きの長さをホームセンサ48により検知し、この検知情報に基いて判別することができる。
【0083】
このように、トレイ12のシフト方向dへの往復動のストロークの往動端で、同一ジョブ中に部を構成する用紙分の排出を受け、シフトし復動端で次のジョブ中に部を構成する用紙の排出を受ける。
【0084】
かかる仕分け動作を繰り返すことにより、ジョブ(部)毎に用紙束が凹凸状に所定の仕分け量だけ位置がずれた状態に積載され、部毎に用紙束を仕分けることができる。移動量d'は用紙のサイズに応じて仕分けが明確な適量の値5〜25mm、例えば、A4サイズで20mm前後の値に設定することができる。
【0085】
c.揃え動作
揃え手段を構成する1対の揃え部材102a、102bは板状体からなり、揃え部102a1、102b1はこれら揃え部材102a、102bの最下部に位置し、互いの対向面は前記シフト方向dと直交する平坦面からなる。
【0086】
このように揃え部102a1、102b1を、互いの対向面がシフト方向dと直交する平坦面で構成したことにより、揃え部材102、103をシフト方向dに移動することによって、トレイ12上に積載された用紙Sの端面に揃え部102a1、102b1を確実に接離させて用紙束を揃えることができる。また、板状体としたことにより、コンパクトな構成となし得る。
【0087】
揃え手段は、排紙コロ3から排出されトレイ12上に積載された用紙を、排出方向と平行な当該用紙の2つの端面を挟むようにして揃え部102a1、102b1を接しさせて前記端面の位置を揃える揃え動作を行なう1対の揃え部材を有し、仕分け動作後に積載された用紙を、前記仕分け動作前に積載されたシート状媒体と異なる位置に揃えるように前記揃え動作を行なうものである。
【0088】
図2について排出方向aの上流側から見たときの揃え部材102a、102bを示した図10において、揃え部材102a、102bは、各揃え部102a1、102b1の対向間隔をL1で構成している。
【0089】
揃え動作に際し、用紙Sがトレイ12上に排出されるとき、揃え部材102a、102bは、予め揃え部102a1、102b1が該用紙幅よりも広い所定の間隔をあけた受け入れ位置に移動して待機しており、この受け入れ位置で排紙コロ3からの用紙Sの排出を待つ。この受け入れ位置は、図2の排出方向aの上流側から見た図11において例えば、A4サイズの用紙からなる用紙束SSの紙幅よりも所定の間隔として片側で7mm広めにとった位置である。
【0090】
揃え部材102a、102bは、シフト方向dにある程度ばらついて排出されてくる用紙を受け入れることのできる最小限の間隔をおいた受け入れ位置で待機していて、用紙が排出されてトレイ12上に積載されると、この受け入れ位置から用紙の紙幅より狭い図12に示す位置まで移動して揃える。このように受け入れ位置を設定したのは、揃え動作の都度、間隔を最大用紙の幅よりも広くあけたホームポジションまで戻っていたのでは、時間がかかるためである。勿論、ホームポジションからその都度揃える位置まで移動させることはできる。
【0091】
用紙Sが排紙コロ3から排出されてトレイ12に落下し完全に停止する所定の時間が経過したら、▲1▼図11に矢印で示すように揃え部材102a、102bを互いに接近する方向に移動させ或いは、▲2▼図11において揃え部材102a或いは揃え部材102bの何れか一方を不動にしたまま、残る揃え部材を矢印方向に移動させることにより、結果的に図12に示すように揃え部102a1、102b1が用紙束SSの排紙方向(紙面を貫く方向)と平行な2つの端面に紙幅よりも僅かにせばめた揃え位置で接しさせる。
【0092】
このせばめ度合いは、例えば、紙幅よりも片側1mmずつの食い込み量となるように用紙束SSの端面に揃え部102a1、102b1を圧接させた状態であり、この食い込み量により用紙束SSの端面が揃えられる。その後、揃え部材102a、102bは図11に示す受け入れ位置に復帰して次の用紙Sの排出積載を待つ。
【0093】
なお、上記▲1▼のように揃え動作に際して、揃え部材102a、102bを互いに接近する方向に移動させて揃える態様を両側移動態様と称する。また、上記▲2▼のように、揃え部材102a或いは揃え部材102bの何れか一方を停止したまま、残る揃え部材を矢印方向に移動させて揃える態様を片側移動態様と称する。これらの移動態様については、後述の「揃え動作」の項でさらに説明する。
【0094】
同一ジョブでは、その部を構成する全ての用紙が排出されるまで揃え部材102a、102bはトレイ12の一方の移動端で図11に示す受け入れ位置と、図12に示す揃え位置との間を移動する。
【0095】
揃え部材102a、102bが図11に示す受け入れ位置で待機しているときに排紙コロ3から排出される用紙Sのシフト方向dでの位置は正確に一定の位置ではなく、スキューなどによりバラツキがある。よって、揃え部102a1、102b1の対向間隔で決まる受け入れ位置は広いほど、用紙の受け入れが容易であるが、あまりに大きくし過ぎると、揃え動作における揃え部材102a、102bの移動量が大きくなって揃え動作に時間を要してしまい、高速排紙の機種に適合できない。
【0096】
そこで、揃え部102a1、102b1の対向間隔を可能な限りせばめ、つまり、揃え部材102a、102bの受け入れ位置をできるだけ小さくし、その上で揃え部102a1、102b1の上部の対向間隔を広げ、用紙Sを受け入れることができるようにしている。
【0097】
シフトモードでは、片側移動態様、両側移動態様の何れであっても、既に揃えられた前回ジョブでの部の上に所定のシフト量だけずれて今回ジョブにかかる部が積載され揃え動作が行なわれるとき、A4サイズでシフト量が20mm程度のシフト量の場合、今回ジョブでは揃え部材102a、102bのうち、今回ジョブの直前におけるシフトの下流側に位置する揃え部材は前回ジョブでの部の用紙束の上面に対向し、接した状態となる。
【0098】
片側移動態様では、この前回ジョブでの部の用紙束の上面に接している揃え部材を揃え動作に際して不動とし、反対側の揃え部材を移動させて揃えることができるが、両側移動態様では両方の揃え部材102a、102bが移動するのであるから、用紙の上面に接したままで揃え動作することとなる。
【0099】
また、片側移動態様、両側移動態様の何れであっても、既に揃えられた前回ジョブ終了後、図11に示す受け入れ位置に復帰したままでいると、今回ジョブに際してトレイ12がシフトする際に揃え部材102a、102bがせっかく揃えた前回ジョブの部を引っ掛けてトレイ12上でシフト方向にずらし乱してしまうことから、このようなことを回避するために、ジョブ終了後、揃え部材102a、102bを用紙上面から離間させる退避動作がとられるようになっている。
【0100】
退避動作には揃え部材102a、102b自体を移動させる態様と、トレイ12を下降させる方法があるが、本例では、揃え部材102a、102bを1点を支点にして回動させて退避させる方法を採用している。
以下に、片側移動態様、両側移動態様における各揃え動作について説明する。
【0101】
▲1▼片側移動態様
揃え部材102a、102bによる片側移動態様による揃え動作について図13により説明する。図4において搬送ローラ対2b、排紙センサ38、排紙コロ3等が配設された搬送経路を通過してきた用紙Sは、排紙コロ3より排出方向aに向けて排出される。
【0102】
[第1のジョブ]
図2、図13(a)において、排出方向aに向けて排出された用紙Sは重力の影響を受けて、斜め下方の矢視Dの向きに進みトレイ12に落下する。ここでは、既に部を構成する数枚の積載がなされているとする。用紙Sの排出に先立ち、トレイ12は図6〜図9で説明したトレイ往復動機構により予めシフト方向dの一端側、例えば後側に寄せられており、また、シフト方向dについては揃え部材102aは図11で説明した内容に対応した受け入れ位置(図13(a)に2点鎖線で示す位置)、揃え部材102bは用紙端部に近接した位置にあり、上下方向については各揃え部材102a、102bが自重による回転力により回転してストッパないし用紙に当接して回動を停止した位置、つまり、揃え部102a1、102b1が用紙束の側面に対応している揃え回転位置にあり、最初のジョブにかかる第1の用紙束SS−No.1を構成する用紙がある程度積載されている。
【0103】
新たな用紙Sが排出されると揃え部材102bは不動、揃え部材102aが用紙束SS−NO.1に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.1を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図12で説明したように用紙の端部から1mm程内側に食い込んだ揃え位置(図13に実線で示す位置)に移動して揃え動作を行なう。
【0104】
この揃え動作により、用紙束SS−NO.1は用紙Sが排紙コロ3のニップ部から用紙束の上面までの自由落下距離を落下する間に生じたシフト方向のずれ量Δx(図3参照)がない状態に揃えられる。その後、揃え部材102aは実線で示す受け入れ位置まで復動する。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
【0105】
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
【0106】
第1の用紙束SS−NO.1を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12をシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図10参照)に戻す。
【0107】
[第2のジョブ]
第1の用紙束SS−NO.1を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙がトレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに先立ち、揃え部材102a、102bを上下方向について用紙束の上面から離間した退避回転位置(前記図51(b)に準じた状態)になるように変位させた退避状態とし、この退避状態のもとでトレイ12は後側から前側にシフトさせる。
【0108】
上記シフト後、揃え部材102a、102bはシフト方向については図11に示す受け入れ位置に変位させ、上下方向については上記退避回転位置から前記図51(a)に準じた揃え回転位置に移行させる。
【0109】
ここで、揃え回転位置とは、揃え部材102a、102bが支点を中心に自重のモーメントで回転して下端部が凹部80a、80b内まで下降したところでストッパで回転を停止される位置または、自重による回転途中に用紙があるときにこの用紙により回転を阻まれて停止するときの位置をいう。
【0110】
図13(b)では、トレイ12の前側へのシフト後、前側の揃え部材102aはシフト方向については用紙の端部に近接した位置、上下方向については第1の用紙束SS−NO.1の上に自重で当接して揃え回転位置にあり、後側の揃え部材102bは上下方向については凹部80bまで下降した位置、シフト方向については2点鎖線で示すように用紙束の端部から所定の受け入れ位置にある。なお、図13(b)では、第2のジョブにかかる第2の用紙束SS−No.2を構成する用紙がある程度積載されている。
【0111】
第2のジョブにかかる用紙Sが排出されると今度は前側の揃え部材102aが不動、後側の揃え部材102bがシフト方向d上、第2の用紙束SS−NO.2に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.2を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図13(b)に実線で示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。
【0112】
この揃え動作により、第2の用紙束SS−NO.2が揃えられる。その後、揃え部材102bは復動し、受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
【0113】
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
【0114】
第2の用紙束SS−NO.2を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図10参照)に戻す。
【0115】
[第3のジョブ]
第2の用紙束SS−NO.2を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙(第1枚目)であり、該用紙がトレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bがこのシフトに先立ち、揃え部材102a、102bを用紙束の上面から離間した退避回転位置(前記図51(b)に準じた状態)になるように変位させた退避状態とし、この退避状態のもとでトレイ12を前側から後側にシフトさせる。
【0116】
上記シフト後、揃え部材102bは図13(c)に2点鎖線で示すように用紙端部から離間させた受け入れ位置におき、揃え部材102aは図13(c)に示すように用紙端部から離間した受け入れ位置におく。また、上下方向については揃え部材102a、102bは退避回転位置から揃え回転位置に移行している。
【0117】
つまり、後側の揃え部材102bが第2の用紙束SS−NO.2の上に当接し、かつ次に送られる用紙束SS−NO.3の端面に近接して位置し、前側の揃え部材102aが2点鎖線で示す所定の受け入れ位置にある。なお、図13(c)では、第3のジョブにかかる第3の用紙束SS−No.3を構成する用紙が有る程度積載されている状態を示している。
【0118】
第3のジョブにかかる用紙Sが排出されると今度は後側の揃え部材102bが不動、前側の揃え部材102aが第3の用紙束SS−NO.3に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.3を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図12に示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、第3の用紙束SS−NO.3が揃えられる。
【0119】
その後、揃え部材102aは復動し、2点鎖線で示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
【0120】
第3の用紙束SS−NO.3を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図10参照)に戻す。
【0121】
第3の用紙束SS−NO.3を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙がトレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに先立ち、揃え部材102a、102bを退避回転位置に移動させて、この退避回転位置への移動状態のもとでトレイ12を後側から前側にシフトさせて、該先頭紙の排出を待つ。以下、前記したと同様の手順を繰り返す。
【0122】
▲2▼両側移動態様
揃え部材102a、102bによる両側移動態様による揃え動作について図14により説明する。図4において搬送ローラ対2b、排紙センサ38、排紙コロ3等が配設された搬送経路を通過してきた用紙Sは、排紙コロ3より排出方向aに向けて排出される。
【0123】
[第1のジョブ]
図14(a)において、用紙Sは前記片側移動態様の場合と同様に、トレイ12に落下する。ここでは、既に部を構成する数枚の積載がなされている。用紙Sの排出に先立ち、トレイ12は図6〜図9で説明したトレイ往復動機構により予めシフト方向dの一端側、例えば後側に寄せられており、また、揃え部材102a、102bは図11に示す受け入れ位置、図51(a)に準じた揃え回転位置に準じて、それぞれ2点鎖線で示す位置にあり、最初のジョブにかかる第1の用紙束SS−No.1を構成する用紙が有る程度積載されている。
【0124】
用紙Sが排出されると揃え部材102a、102bが共に用紙束SS−NO.1に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.1を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図12に示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、用紙束SS−NO.1は前記片側移動態様の場合と同様に用紙Sが自由落下距離を落下する間に生じた横ずれ量Δx(図3参照)がない状態に揃えられる。その後、揃え部材102a、102bは復動し、図11に示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
【0125】
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
【0126】
第1の用紙束SS−NO.1を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図10参照)に戻す。
【0127】
[第2のジョブ]
第1の用紙束SS−NO.1を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙がトレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bが退避回転位置(図51(b)に準じた位置)に移動することにより用紙の上面から離間した上側に退避し、この退避状態のもとでトレイ12は後側から前側にシフトする。
【0128】
上記シフト後、揃え部材102a、102bはシフト方向については図14(b)に2点鎖線で示すように受け入れ位置におき、上下方向については図51(b)に準じた退避回転位置から図14(b)に示すように揃え部材102aについては用紙の上、揃え部材102bについては凹部80b内に変位させている。なお、図14(b)では、第2のジョブにかかる第2の用紙束SS−No.2を構成する用紙が有る程度積載されている。
【0129】
第2のジョブにかかる用紙Sが排出されると前回同様揃え部材102a、102bが2点鎖線の位置から実線で示す位置、つまり、第2の用紙束SS−NO.2に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.2を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図10に示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、第2の用紙束SS−NO.2が揃えられる。その後、揃え部材102a、102bは復動し、図14(b)に2点鎖線で示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
【0130】
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
【0131】
第2の用紙束SS−NO.2を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図10参照)に戻す。
【0132】
[第3のジョブ]
第2の用紙束SS−NO.2を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙がトレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bが退避回転位置に移動することにより退避し、この退避状態のもとでトレイ12は前側から後側にシフトする。
【0133】
上記シフト後、揃え部材102a、102bは退避回転位置から揃え回転位置に移行する。左右方向については揃え部材102a、102b共、図14(c)に2点鎖線で示すように受け入れ位置におき、上下方向については揃え部材102aは凹部80aまで下降させ、揃え部材102bは第2の用紙束SS−NO.2の上に自重で当接した状態とする。なお、図14(c)では、第3のジョブにかかる第3の用紙束SS−No.3を構成する用紙が有る程度積載されている。
【0134】
第3のジョブにかかる用紙Sが排出されると揃え部材102a、102bが第3の用紙束SS−NO.3に接近する方向に移動して該用紙束SS−No.3を挟むようにして排出方向aと平行な用紙の端面に接し、或いは叩き、図14(c)に実線で示す揃え位置に移動して揃え動作を行なう。この揃え動作により、第3の用紙束SS−NO.3が揃えられる。
【0135】
その後、揃え部材102a、102bは復動し、図14(c)に2点鎖線で示す受け入れ位置に戻る。このような動作を用紙Sが排出されてトレイ12上に積載される都度行なう。
【0136】
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
【0137】
第3の用紙束SS−NO.3を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bをホームポジション(図10参照)に戻す。
【0138】
第3の用紙束SS−NO.3を構成する所定枚数の排出を終了したあと、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙がトレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、トレイ12をシフトさせる。このシフトに際しては、揃え部材102a、102bが退避回転位置に移動することにより退避し、この退避状態のもとでトレイ12は後側から前側にシフトし、該先頭紙の排出を待つ。以下、前記したと同様の手順を繰り返す。
【0139】
なお、仕分けを行なう場合、上記のようにトレイ12をシフト方向に移動させて行なう方向の他に、トレイ12のシフトは行なわずに揃え部材102a、102bを必要量だけシフト方向に移動した位置で揃えることにより、シフトと揃えを行なう態様も可能である。
【0140】
d.揃え手段を回転変位させる構成例
図15は図2に示したシート状媒体後処理装置51を矢印A方向、つまり、上から見た図、図16は同じく矢印B方向から見た図、図17は同じく矢印C方向から見た図である。
【0141】
図15乃至17において、揃え部材102aを駆動する機構と、揃え部材102bを駆動する機構とは独立していて、同じ構成となっている。揃え部材102aを駆動する機構については、各構成部材の符号にaの添え字を付すこととして構成を説明し、揃え部材104bについては同じ符号にbの添え字を付すこととして説明は省略する。
【0142】
シフト方向dに長さを有するブラケット90の該シフト方向dでの略中央部であって、該ブラケットの上部には2つのステッピングモータ170a、170bが設けられている。
【0143】
ステッピングモータ170aと一体的なプーリ171aに対して前側に離間した位置にはタイミングプーリ172aが軸支されていて、これらプーリの間にはタイミングベルト173aが張設されている。タイミングベルト173aのシフト方向dと平行な部分に受け台174aの上部が固定されている。
【0144】
シフト方向dに長さを有するブラケット90の長手方向両端部はL字状に折曲されていて、これら対向する折曲部間には、シフト方向dと平行に回転摺動軸176と、摺動軸177が設けられている。回転摺動軸176はブラケット90に軸支され、摺動軸177はブラケット90に固定されている。受け台174aは回転摺動軸176に摺動可能に嵌合している。
【0145】
回転摺動軸176にはシフト方向dに沿って凸状部176hが形成されている。受け台174aは、凸状部176hを含む回転摺動軸176にシフト方向dに摺動可動に嵌合挿通されており、かつ、この受け台176には、回転摺動軸176の軸線に対して垂直に溝174a2が形成されている。
【0146】
図16に示すように揃え部材102aの上端部はシフト方向dに摺動可能に回転摺動軸176に嵌合挿通されていると共に、該回転摺動軸176を中心とした扇形をした空隙部102a3が形成されている。
【0147】
揃え部材102aの基端部はボス部102a5になっていて回転摺動軸176が摺動可能に挿通している。該ボス部102a5には回転摺動軸176を中心とする円弧状の凸状板102a4がたてがみ状に形成されている。凸状板102a4の盤面は回転摺動軸176の軸線に対して垂直である。
【0148】
図15において、凸状板102aは溝174a2内に隙間をもって嵌入されている。図16において、揃え部材102aは回転摺動軸176を中心に自重のモーメントにより回動するが、この回動は凸状部176hが空隙部102a3の一端側の突き当て部に当接することにより阻止されている。
【0149】
図16に示すように摺動回転軸176が所定の回転位置に停止した状態にあり、そのときの凸状部176hに空隙部102a3の一端側の側面として形成された突き当て部が揃え部材102aの自重によるモーメントで当接して反時計回りの向きの回動が阻止された状態であって、このとき揃え部材102aが凹部80a内に位置している状態を揃え部材102aが揃え回転位置であるという。
【0150】
この揃え回転位置では、トレイ12上に用紙が全く積載されていない状態では、揃え部材102aの下端部が凹部80a内に位置する。トレイ12上に用紙が積載されていれば揃え部材102aが用紙により押されて回転摺動軸176を中心に回動することにより定位置にある凸状部176hに対して空隙部102a3が移動して該揃え部材102aが用紙上に乗った状態、つまり、図13(b)や、図14(b)に示した状態を得る。同様のことは、揃え部材102bについてもいえる。
【0151】
揃え部材102a、102bは、回転摺動軸176を中心とする扇型の空隙部102a3を有していて、この空隙部102a3を挿通した状態で係合している凸状部176hとの間に回転方向に所定量の自由な回転領域としての隙間を作っている。
【0152】
この隙間の領域で揃え部材102a、102bは自由な回転が可能であり、揃え回転位置に幅を持たせている。所定量とは、例えば、図51(a)に示すように揃え部材102aが凹部80a内に位置する状態から、図13(b)に示すようにトレイ12がシフトする前に該トレイ12上に積載されている用紙束(部)SS−No.1の上面に乗ることができる状態を確保できる量である。
【0153】
このように、図16において、凸状部176hと空隙部102a3とは互いに隙間なく合わさっているわけではなく、凸状部176hと空隙部102a3との間には、回転方向に沿って隙間が設けられており、凸状部176が空隙部102a3の一端側の突き当て部に自重モーメントで当接した図示の状態では、回転摺動軸176が時計まわりの向きに回転すれば、揃え部材102aを持ち上げることができるし、揃え部材102aを下から支えた状態で回転摺動軸176を反時計まわりの向きに回転させれば揃え部材102aには回転摺動軸176の回転運動は伝わらない。これによって仕分けモードでの揃え処理を行うことができる。
【0154】
受け台174aはこれら2つの軸、回転摺動軸176と摺動軸177により安定して支持されてシフト方向dに移動可能である。このシフト方向dへの揃え部材102aの移動は、ステッピングモータ170aを駆動させることによって、その駆動力をタイミングベルト173aに伝え、該タイミングベルトと共に受け台174aに伝え、受け台174aから溝174a2と凸状板102a4との嵌合部を介して揃え部材102aに伝達して回転摺動軸176と摺動軸177をガイドにして行なう。
【0155】
同様に、ステッピングモータ170bを駆動させることによって、その駆動力がタイミングベルト173bに伝わり、該タイミングベルトと共に受け台174bに伝わり、受け台174bから溝174b2(図示されず)と凸状板102a4(図示されず)との嵌合部を介して揃え部材102bに伝達されて該揃え部材102bが回転摺動軸176と摺動軸177をガイドにしてシフト方向dに移動される。
【0156】
このように、ステッピングモータ170a、170bを個別に正転、逆転駆動することにより揃え部材102a、102bを個々に自在にシフト方向d上に位置決め制御することができる。すなわち、揃え部材102a、102bを前記図10乃至図14で説明した各位置に位置させることができる。シフト方向dについての移動の基準となる位置はホームポジションであり、このホームポジションは揃え部材102aについては、図16に示したように受け台174aと一体に形成したアクチュエータ177aをブランケット90に取り付けたホームセンサ178aにより検知し、この検知位置を基準にして受け入れ位置や揃え位置などの各位置に移動させる。揃え部材102bについてもこれに準ずる。
【0157】
図15、図17において、回転摺動軸176の後側の軸端部には減速ギヤ列を構成するギヤG1が固定され、またこのギヤG1にはギヤG2が噛み合っており、ギヤG2はステッピングモータ179Mの軸に直結されている。
【0158】
ステッピングモータ179Mの駆動はギヤG2からギヤG1に伝わり、これによって回転摺動軸176が回転する。図16において凸状部176hを回転摺動軸176と共に時計まわりの向きに回転させることにより、凸状部176hを空隙部102a3の突き当て部に当接させたまま押し回す態様で揃え部材102aを時計まわりの向きに回動させて図51(b)に準じた退避回転位置を実現できる。
【0159】
この退避回転位置は、トレイ12がシフトするときに、揃え部材102a、102bがトレイ上の用紙と干渉するのを避けることができる最小限の高さ位置にあればよい。
【0160】
本例では、揃え部材102a、102bの回動位置は回転摺動軸176を直接回転させることにより定め得るのであるから、駆動源としてのステッピングモータ179Mの駆動量に応じて揃え部材102aの回転位置を従来技術に比べて格段に大きくとることができる。これにより、例えば、図18(a)に示した位置を揃え部材102aの揃え回転位置とすると、図18(b)に示すように約90°だけ時計まわりの向きに回転することにより本体内の収納スペース180a、180bに納めることができる。
【0161】
ここで、収納スペース180a、180bが設けられる対象としての本体とは、シート状媒体整合装置のことであり、本例ではシート状媒体後処理装置51と一体的に構成されていることから、シート状媒体後処理装置51に形成されているといってよい(図2乃至図4参照)。
【0162】
揃え部材102a、102bはシフト方向d上、図10に示したホームポジションで、回動させて本体に設けた収納スペース180a、180bに収納することとしている。これにより、用いることが想定されるあらゆるサイズの用紙に対して、受け入れ位置まで短時間で移動できる。
【0163】
後述するように、揃え部材は一連のジョブの揃え動作が完了した後、前記ホームポジションに移動してから前記収納回転位置に収納することとした。これにより、収納回転位置から迅速にホームポジションに移行することができる。
【0164】
後述するように、揃え部材102a、102bは一連のジョブの揃え動作が完了した時点で、後続のジョブがある場合、ホームポジションに移動してから収納回転位置に収納されることを禁止した。これにより、ホームポジションまでの往復に要する時間ロスがないので、後続ジョブのための受け入れ位置までの移動時間を短縮することができる。
【0165】
揃え部材102a、102bを図16、図18(a)に示す揃え回転位置や、、図18(b)に示す収納回転位置に位置決めする手段として、本例では、図15、図17、図18に示すように、回転摺動軸176の前側の軸端部に制御のための切り欠きを形成した制御円板182を回転摺動軸176と一体的に設け、かつ、制御円板182に形成した2つの切り欠き182a、182bをブラケット90に定置したセンサ183により読み取り、ステッピングモータ179Mの回転停止位置を決定している。
【0166】
図18(a)に示した揃え回転位置は切り欠き182aをセンサ183により読み取ることで位置決めし、収納回転位置は切り欠き182bをセンサ183で読み取ることで位置決めしている。また、退避回転位置は、これら揃え回転位置或は収納回転位置の何れかを基準位置として、ステッピングモータ179Mにより適宜位置決めすることができる。
【0167】
回転摺動軸176は揃え部材102a、102bの回転運動の中心となる軸であり、これら揃え部材102a、102bに揃え回転位置、退避回転位置、収納回転位置などの回転運動を伝える機能を有すると共に、これら揃え部材102a、102bをシフト方向dに移動するガイドを兼用している。
【0168】
ステッピングモータ104a、104bを駆動することにより回転摺動軸176のガイド機能を利用して、揃え部材102a、102bを図10に示すホームポジション、図11に示す受け入れ位置、図12に示す揃え位置などの各位置に移動させることができる。
【0169】
e.仕分け動作、揃え部材の収納の具体例
e―1.仕分け動作
図14で述べた両側移動態様で仕分け揃えを行なう場合、図19(a)、(b)、(c)に示すように、用紙後処理装置51の排紙コロ3から排出されてトレイ12に積載される用紙に対し、揃え部材102a、102bはシフト方向dにジョギングすることによって、用紙のシフト方向dの所謂横揃えを行う(図14(a)に相当)。
【0170】
次に図20(a)、(b)、(c)に示すように、次の部の用紙が排出される前に、排紙される用紙の積載される位置がずれるようにトレイ12はシフト方向d上、矢印の向きに前側に向けてシフトするが、この時、揃え部材102a、102bとトレイ12上に積載された紙束とが接触しないように揃え部材102a、102bを上回転方向に回転させることによって退避させる。このためステッピングモータ179Mを駆動させて回転摺動軸176を上回転方向に回転させる。
【0171】
この回転により、回転摺動軸176の凸状部176hと一体的な凸状部176hによって、揃え部材102a、102bに形成された扇型をした空隙部102a3、102b3の一端側の突き当て部を押し上げて揃え部材102a、102bを、回転摺動軸176を中心に上回転方向に回転させ、退避回転位置におく。
【0172】
次に、次の部の用紙の揃えを行うため、上回転方向に回転させて退避回転位置においた揃え部材102a、102bを、用紙の揃えを行なうことができる揃え回転位置に戻さなくてはならない。そのため、図21(a)、(b)、(c)に示すように、回転摺動軸176と一体的に形成された凸状部176hを揃え部材102a、102bに形成した空隙部102a4、102b4の一端側に形成した突き当て部に当接させながら、回転摺動軸176を図19と同じ位置まで下回転に方向に回転さる。
【0173】
揃え部材102a、102bは回転摺動軸176を中心に下回転方向に回転する。これにより、トレイ12に既に用紙が積載されている側にある揃え部材102aは、前記紙束の最上位面に乗り、さらに回転摺動軸176を図19と同じ位置まで下回転方向に回転させることによって、残るもう一方の揃え部材102bを前記紙束側面に位置させることができる(図14(b)が対応)。
【0174】
このようなことができるのは、回転摺動軸176が図20(a)、(b)、(c)に示す位置から、図19(a)、(b)、(c)に示す位置と同じ位置まで下回転方向に回転したとき、トレイ12にすでに積載されている側にある揃え部材102aが前記紙束の最上位面に乗っても、空隙部102a3にある凸状部176hは下回転方向に回転し続けられるため、残るもう一方の揃え部材102bとともに、前記紙束側面に位置するところまで下回転方向に回転し続けることができるからであり、この位置で揃え部材102a、102をシフト方向dにジョギングさせれば、次に排紙される部の用紙に対して、用紙の搬送方向と垂直方向の揃えを行うことができる。
【0175】
そして図21(b)'に示すように次の部の用紙が排出されると、用紙は前の部の紙束と用紙の搬送方向と垂直方向(シフト方向d)にずれた状態でトレイ12上に積載され、かつ、揃え部材102a、102bのジョギングによって、シフト方向dで揃えを行うことができる。これらの一連の作業を繰り返して、仕分けモードでの揃え作業を行う(図14(b)が対応)。
【0176】
仕分け揃え処理を行う場合において、トレイ12がシフト方向cにシフトする時に、トレイ12上の紙束と接触するのを回避するために揃え部材102a、102bを回転摺動軸176の上回転方向の回転によって回転摺動軸を中心に上回転方向に回転させるが、回転摺動軸176は回転角度に制限を持たないため、回転摺動軸176が回転した角度だけ揃え部材102a、102bも回転することができる。
【0177】
そのため、図22のように排紙される用紙が上向きにカールしている場合に、紙束を積載したトレイ12がシフト方向d方向にシフトする時には、図23に示すようにトレイ12に積載されている紙束と揃え部材102a、102bとの接触を回避することができる。
【0178】
e―2.収納動作
図24(a)、(b)、(c)に示すようにユーザが指定した枚数の印刷を終了すると、図25(a)、(b)、(c)に示すように揃え部材102a、102bはシフト方向d上で互いに離れる向きに移動し、各揃え部材102a、102bのホームポジションを検知するセンサ178a、178bまで受け台174a、174bが移動してセンサ178a、178bにより検知されると、回転摺動軸176が上回転方向に回転する。これにより各揃え部材102a、102bも回転して図26に示すように揃え部材102a、102bを本体である用紙後処理装置に設けた収納スペース180a、180bに収納する。
【0179】
以上の例では、揃え部材102a、102bを回転摺動軸176の上側に収納するケースについて説明したが、回転摺動軸176の下側に収納する場合には、例えば図18(a)、(b)において空隙部102a3の位置を、回転摺動軸176の軸心を中心とした点対称の位置とし、その空隙部内に凸状部176hを、揃え部材102aが図18(a)、(b)に示す状態が可能となるように各部材相互の位置関係を設定する。
【0180】
f.安全機構
これまで説明したシート状媒体整合装置の構成では、図16、図18(a)、図19、図21等に示す揃え回転位置から図18(b)に示す収納回転位置に揃え部材102a、102bを回動させる際に回動経路上に何らかの障害物が存在することにより回動を妨げられると、回動方向には逃げ手段が講じられていないため、揃え部材102a、102bが破壊されるか、又は、障害物が手である場合には手に怪我をしてしまう。そこで、以下のような安全機構を組み込むこととした。
【0181】
かかる安全対策は揃え部材102a、102bが収納回転されるときに必要であり、収納回転はホームポジションで行なわれることから、かかる安全機構は図28、図29において、揃え部材が収納回転されるホームポジションである回転摺動軸176上のシフト方向dの前側端部及び後側端部にそれぞれ構成することとした。前側端部に設けた安全機構を符号190a、後側端部に設けた安全機構を符号190bでそれぞれ示す。
【0182】
理解しやすいように、揃え部材102a、102bを回転摺動軸176とともに取り出して示した図29において、回転摺動軸176のシフト方向dの両端部には回転摺動軸176とは別に独立した前側の退避軸200aと、後側の退避軸200bがある。
【0183】
回転摺動軸176の前側及び後側の各端部は段状に小径軸176dが形成されている。退避軸20a、200bは外形形状寸法が回転摺動軸176と同じであり、内径部が小径軸176dに嵌合できる大きさに形成されている。
【0184】
回転摺動軸176の前側端部における構成を説明した図30において、退避軸200aは回転摺動軸176と同径で凸状部176hと同じ凸状部200ahが形成されている。この退避軸200aを図30に示すように小径軸176dに嵌合させて、段状の端部に突き当てた状態を得る。図29はその状態を示している。
【0185】
図29に示すように、退避軸200aを小径軸176に嵌合させた状態で、かつ、凸状部200hと凸状部176hとを合致させた状態にすると、揃え部材102aのボス部102a5を前側に摺動させて、該ボス部102a5を退避軸200aに導くことができる。同様に、揃え部材102bのボス部102b5を後側に摺動させて、該ボス部102b5を退避軸200bに導くことができる。
【0186】
図31、図32に示すように、退避軸200a上にボス部102a5が位置しているとき、図31に示すように揃え部材102aを退避軸200aと共に小径軸176dのまわりに回転させることができる。
【0187】
同様に図31、図32に示すように後側について、退避軸200b上にボス部102b5が位置しているとき、図31に示すように揃え部材102bを退避軸200bと共に小径軸176dのまわりに回転させることができる。これらの回転の向きは正逆何れの向きにも可能である。この回転によって、揃え部材102a、102bを収納スペース180a、180bに収納することができる。
【0188】
図32において、前側については、凸状部176hが横向きに位置で停止していて、ボス部102a5が回転摺動軸176上に位置しているとき、つまりホームポジションよりも内側に位置しているときの断面Kでの状態は図33に示すように揃え部材102aの自重によるモーメントによる回動は空隙部102a3上側端の突き当て部が凸状部176hに当接することにより止められている。この状態は図18(a)に示す揃え回転位置に相当し、揃え部材102aの下端部は凹部80a内にある。このとき、揃え部材102aは時計まわりの回転が許容されているので、用紙の上面が揃え部材102aを押し上げれば、図21(c)のような状態を得ることができる。
【0189】
図32において、前側については、凸状部176及び凸状部200ahが横向き(水平方向の向き)に停止していて、ボス部102a5が退避軸200a上に位置しているとき、つまりホームポジションに位置しているときの断面Qでの状態は図34に示すように揃え部材102aの自重によるモーメントによる回動は空隙部102a3上側端の突き当て部が凸状部200ahに当接することにより止められる構成としている。
【0190】
ここで、退避軸200aと小径軸176dとは後述するように付勢手段を介して連結されていて、図34において揃え部材102aは小径軸176dを中心にして反時計まわりの向きの回転モーメントが与えられていて、この付勢手段による揃え部材102aの回転は揃え部材102aと小径軸176d間に設けられたストッパにより阻止されている。
【0191】
このため、図34において揃え部材102aを付勢手段の弾性力に勝る力で押し下げることができる。つまり、揃え部材102aを収納回転位置におくべく小径軸176dを時計まわりの向きに回転させようとするときに、揃え部材102aが外力で押えられたとしても、小径軸176dだけを回転させることができ、安全機構として機能する。
【0192】
上記付勢手段による退避軸200aと小径軸176dとの連結の状態を以下に説明する。
図35において、小径部176dの軸端部は平面研削によりD型部176d1が形成されており、回転伝達部材202aがこのD型部176d1にはまっている。これによって回転摺動軸176と回転伝達部材と202とは一体となって回転することができる。回転伝達部材202aと退避軸14aとは開脚性のねじりコイルばね15aによって連結されている。
【0193】
ねじりコイルばね15aの一端側は回転伝達部材202aの穴202a1に嵌入され、また、ねじりコイルばね15aの他端側は回転伝達部材200aの軸線方向の端部に設けた穴200a1に嵌入している。
【0194】
回転伝達部材202aの側面に形成した突起部202a2が回転伝達部材200aの軸線方向の端部に設けた回転伝達部材200aの軸線を中心とする円弧状の長穴200a2に嵌合している。
【0195】
回転伝達部材202aをD型部176d1に固定した状態のもとでは、退避軸200aは回転伝達部材202aと回転摺動軸176の段部176a1との間に回転可能に保持されている。
【0196】
図35において、回転摺動軸176と一体的な回転伝達部材202aに対して退避軸200aは、ねじりコイルばね204aにより時計まわりの向きに付勢されている。この付勢による退避軸200aの回転は長穴200a2の端部が突起部202a2に当接することにより止められている。このとき、凸状部176hと凸状部200ahとは図36に示すように同一位相位置にあり、両者は段差がない状態で接している。
【0197】
図37に示すように回転摺動軸176上にあった揃え部材102aが、図38に示すように退避軸200a上に摺動し、回転摺動軸176が回転すると、図39に示すように回転伝達部材202aも回転摺動軸176と一体となって回転し、その回転はねじりコイルばね204aを経て退避軸200aに伝達される。
【0198】
これによって退避軸200aは小径部176dを中心に回転し、該退避軸200aの凸状部200ahがボス部102a5を押し、揃え部材102aを回転することができる。
【0199】
図40(a)、(b)において、揃え部材102aに外力Uがかかっており、揃え部材102aと退避軸200aとが図39に示すように回転できない場合には、回転摺動軸176と回転伝達部材202aが上方向(時計回りの向き)に回転し始めても、退避軸200aがその場に停止しているため、ねじりコイルばね204aがねじれ始める。
【0200】
図41(a)、(b)において、回転摺動軸176と回転伝達部材202aが目的の角度まで回転し、その回転を終える。ねじりコイルばね204aは退避軸200aと回転摺動軸176、回転伝達部材202aの回転角度の差分だけねじれることとなる。
【0201】
ここで、図42において、これまで図41に示したように揃え部材102aにかかっていた外力Uが解除されると、退避軸200aも回転摺動軸176の小径部176dを中心に回転できるようになるので、図40(a)、(b)から図41(a)、(b)までの間にねじれたねじりコイルばね204aがもとに戻ろうとする力に退避軸200aが回転摺動軸176と同じ方向に回転し始め、これによって揃え部材102aも回転摺動軸176と同じ上向き(時計回りの向き)に回転する。後側の揃え部材102bについても同様の構成となっており、同様の動作をする。
【0202】
このように、揃え部材102aの回転時に揃え部材102aに対して外力Uに相当する所定以上の負荷、例えば、オペレータの手その他身体の一部が回転を阻止する位置に差し出された場合に、付勢手段としてのねじりコイルばね204aが撓むことにより差し出された身体の一部が傷つかないレベルを超えることをいう。
【0203】
ねじりコイルばね204aにより付勢された退避軸200aはホームポジションに位置しているので、揃え部材102aは受け入れ位置からホームポジションに移動することにより自動的に付勢力を与えられる。
【0204】
ねじりコイルばね204aの強さは、図38において自重による回転モーメントが作用された状態で回転摺動軸176から退避軸200aへボス部102a5が移動した際に、揃え部材102a及び退避軸200aが回転しない程度の強さとする。揃え部材102aが所定位置より垂れ下がった位置にならない確実な退避回転位置を確保するためである。
【0205】
長穴200a2と突起部202a2との組み合わせの構成は、退避軸200aの回動を規制するストッパを構成している。長穴200a2が退避軸200aに許す回動範囲は、揃え部材102aが揃え回転位置から収納スペースに収まるまでの回動範囲に相当する。
【0206】
図43(a)、(b)には、回転摺動軸176、揃え部材102a、そして退避軸200a、ねじりコイルばね204a、回転伝達部材202aの位置関係を示し、さらに退避軸200aに突き当たるストッパ206と、退避軸200aの円周に沿って設けられた長穴に200a2に設けられたストッパーが、はまる様子を示している。
【0207】
ここで、揃え部材102aを用紙後処理装置内に収納する時に揃え部材102aに外部からの力がかかり、その場に止まったままで回転摺動軸176と回転伝達部材202aが上方向に回転して目的の角度まで回転し終わり、揃え部材102aにかかっていた外部からの力が解除されると、退避軸200aはねじりコイルばね204aのねじれがもとに戻る力によって回転摺動軸176と同じ方向に回転するが、その勢いによって退避軸200aは回転摺動軸176の回転した角度よりも大きく回転しようとする。
【0208】
そこで、図44に示すように回転伝達部材202aに設けた長穴200a2と、突起部202a2の構成によって、退避軸aの回転角度を制限して、回転摺動軸176の回転角度以上、退避軸200aが回転してしまうことを防ぐ。
【0209】
また用紙後処理装置内に収納されていた揃え部材10を元の位置(外)に戻す時は退避軸200aを収納時とはを収納時とは逆方向に回転させることによって行うが、ここでも退避軸200aの回転の勢いと、揃え部材102aの重みによって退避軸200aには回転摺動軸176hの軸を中心に図の下方向に回転させようとする力がかかる。
【0210】
そこで、図45に示すように退避軸2002aを不動部材に固定されたストッパ206に突き当てることにより、それ以上回転することを防ぐ。なお、揃え部材102aまわりについて説明した内容は揃え部材102aまわりについてもそっくり当てはめることができる。
g.制御手段による制御例本例は、図1、図2に示したように画像形成装置50にシート状媒体後処理装置51が連結されていて、このシート状媒体後処理装置51に本発明に係るシート状媒体整合装置が設けられた装置の全体構成のもとでの仕分け制御の例である。なお、揃え動作については、前記図14により説明した両側移動態様のケースで、また、仕分け動作についてはトレイ12をシフトする態様で説明する。
【0211】
図46は制御手段の制御回路を示し、CPU700は制御プログラムをメモリされたROM710と情報の授受を行ないまた、クロック720からクロック信号を入力して以下の各フローチャートに示された制御を実行する。
【0212】
そのため、CPU700は、画像形成装置50との間で信号の授受をなし、また、センサ群730からの情報を入力し、ステッピングモータ制御ドライバ740、モータドライバ750、ドライバ760に情報を出力するようになっている。
【0213】
センサ群730はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のセンサをまとめて表現したもので、以下のフローチャートによる制御の中にでてくる種々のセンサが該当する。
【0214】
ステッピングモータ制御ドライバ740はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のステッピングモータを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のステッピングモータが該当する。図46では符号Mで例示している。
【0215】
モータドライバ750はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のDCモータを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のモータが該当する。図46では符号Mで例示している。
【0216】
ドライバ760はシート状媒体後処理装置51及び本発明に係るシート状媒体整合装置に用いられている種々のソレノイドを制御するもので、具体的には以下で説明するフローチャートに出てくる種々のソレノイドが該当する。図46では符号SOLで例示している。図46におけるCPU700が、以下に示すフローを実行する主な部分であり、本発明における制御手段の中心をなす。
【0217】
シート状媒体後処理装置51において用紙を仕分けするシフトモードが選択されている場合、画像形成装置50の排紙コロ560から搬送されてきた用紙は、入口ローラ対1によって受け取られ、搬送ローラ対2a及び搬送ローラ対2bを通過し、最終搬送手段である排紙コロ3によってトレイ12に排出される。その時、分岐爪8a、8bはデフォルト位置のままで、1枚1枚の用紙が順次、同様の搬送経路を通過してトレイ12に排出される。
【0218】
以下のフローはシート状媒体後処理装置で本発明に関係している部分のみを示したものである。図1、図2の画像形成装置50およびシート状媒体後処理装置51を統括するメインスイッチをオンにし、仕分けモードを選択することにより、以下の制御が実行される。
【0219】
図47において、画像形成装置50のスタートボタンがオンにされる(ステップP1)と、収納回転位置(図18(b))に収納されている揃え部材102aを外に出すためステッピングモータ179Mを正転させる(ステップP2)。図18(a)に示すようにセンサ183が切り欠き182aを検知したら(ステップP3)、ステッピングモータ179Mを停止する(ステップP4)。このとき、揃え部材102a、102bは揃え回転位置(図18(a)参照)にあり、センサ183が切り欠き182aを検知した状態にあるので、この位置を基準として揃え部材102a、102bを退避回転位置(図20参照)におくべくステッピングモータ179を揃え部材102a、102bが退避回転位置へ回動し得る所定量逆転させる(ステップP5)。
【0220】
ステッピングモータ104a、104bを各揃え部材が接近する向きに移動する向きに所定量回転させ、退避回転位置にある揃え部材102a、102bを用紙サイズに適合した受け入れ位置(図11参照)に移動させる。
【0221】
揃え部材102a、102bは受け入れ位置に移動したものの、退避回転位置にあるので、図18(a)に示すようにセンサ183が切り欠き182aを検知するまでステッピングモータ179Mを正転させ(ステップP7、8)、停止する(ステップP9)。こうして、揃え部材102a、102bは、シフト方向上では図11に示すような受け入れ位置にあり、回転方向上では図19に示す揃え回転位置にあり、用紙の排出を待つ状態になる。
【0222】
以下では、次の考え方に従う制御が行なわれる。
【0223】
排出されてくる用紙には、シフトコマンド信号を伴うものと伴わないものがある。シフトコマンド信号を伴う用紙は部の先頭紙であり、用紙が排紙センサ38を通過する時点でシフトコマンド信号を伴うものか否かが制御手段により認識されるようになっている。
【0224】
制御手段がシフトコマンド信号を認識することがなければそのジョブの終了を意味するので、トレイ12はシフトさせず、揃え部材102a、102bを退避回転位置に上げてからホームポジション(図10参照)に戻すし、制御手段がシフトコマンド信号を認識したときは、その用紙は次のジョブの先頭紙であり、該用紙がトレイ12に到達するまでの間に、次のジョブのため、予め揃え部材102a、102bを退避回転位置に上げてからトレイ12をシフトさせ、揃え回転位置に戻して用紙の排出を待つ。
【0225】
そこで、ステップP10で用紙の排出を待ち、用紙の排出がセンサ38により検知されると、ステップP11で揃え動作を行なう。この揃え動作は図14(a)で説明した如きものである。ステップP12でジョブ(部)の終了かどうかが判断され、終了でなければステップP10に戻り、以下、ジョブ(部)の終了まで繰り返す。ステップP12でジョブ(部)が終了したと判断されると、次のジョブ(部)の揃え動作を行なうためその準備としてステップP13へ進む。
【0226】
ステップP13ではトレイ12をシフトさせる前準備としてステッピングモータ179Mを駆動して揃え部材102a、102bを退避回転位置へ向けて必要量回動させ退避回転位置に位置決めする。ステップP14では、トレイ12をシフトさせる。
【0227】
ステップP15で次のジョブ(部)の有無を判断し、有りならばジョブ(次の部)実行のためステップP7へ行くし無しならば、異なるジョブが予想されるので、揃え部材102a、102bを図10に示したホームポジションに向けて移動させる。
【0228】
ステップP17で異なるジョブの有無を判断し、有ると判断されればステップP6へ進み、その異なるジョブに適した受け入れ位置に揃え部材を移動させるなどのプロセスへ移行するし、異なるジョブが無しと判断されれば、作業を終了するのでステッピングモータ179Mを逆転させて(ステップP18)、センサ183が切り欠き182bを検知し(ステップP19)、揃え部材102a、102bが収納回転位置に達したら(図18(b))、ステップP20でステッピングモータ179Mを停止して、リターンへ抜ける。
【0229】
[2]画像形成装置への適用例
本例は、用紙に画像形成を行なう画像形成手段及び画像形成された用紙を搬送する搬送手段を有する画像形成装置に関するもので、図48に示した画像形成装置50'は、図1、図4における画像形成装置50と共通の画像形成手段を具備している。画像形成装置50'は、揃え部材102a、102b及びこれらを駆動するための手段、収納スペース180a、180bや、戻しコロ121及びその変位手段などを具備している。画像形成装置50'において、これまで述べたシート状媒体後処理装置51における構成部分と共通の部材があり、その部分についてはこれまでのものと同じ符号で示し、説明は省略した。
【0230】
図48において、装置本体のほぼ中央部に画像形成部135が配置され、この画像形成部135のすぐ下方に給紙部136が配置されている。給紙部136は給紙カセット210を備えている。
【0231】
画像形成装置50'の上部には必要に応じて、原稿を読み取る原稿読み取り装置(図示せず)を配設することができる。画像形成部135の上部は、画像形成された用紙を搬送する搬送手段としてのローラRRやガイド板等が設けられている。
【0232】
画像形成部135には、装置を電気的に駆動したり、制御したりする電装ユニットQが配置されている。また、ドラム状をした感光体5000が配置されている。この感光体5000の周囲に、該感光体5000の表面に帯電処理を行う帯電装置600、画像情報を感光体表面にレーザ光で照射する露光装置7000、感光体5000の表面に露光されて形成された静電潜像を可視化する現像装置800、感光体5000上で可視化されたトナー像を用紙に転写する転写装置900、転写後感光体表面に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置1000等がそれぞれ配置されている。
【0233】
これら、感光体5000、帯電装置600、露光装置7000、現像装置800、転写装置900、クリーニング装置1000等は画像形成手段の主要部をなす。感光体5000の略上方であって、感光体5000よりも用紙搬送経路上の下流位置には、定着装置140が配置されている。
【0234】
画像形成装置がプリンタとして機能する場合、画像形成に際しては、画像信号が入力される。予め、感光体5000は暗中にて帯電装置600により一様に帯電されている。この一様に帯電された感光体5000に、画像信号に基づいて露光装置7000のレーザダイオードLD(不図示)の発光により露光光が照射され、公知のポリゴンミラーやレンズを介して感光体に至り、感光体5000の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体5000の回転と共に移動し、現像装置800により可視像化され、さらに移動して転写装置900に向かう。
【0235】
一方、給紙部136の給紙カセット210には、未使用の用紙が収容されており、回動可能に支持された底板220上の最上位置の用紙Sが給紙ローラ230に押し付けられるように、底板220がばね240により加圧されるようになっている。
【0236】
転写のための給紙に際しては、給紙ローラ230が回転し、この回転により、用紙Sは給紙カセット210から送り出され、一対のレジストローラ1400へと搬送される。
【0237】
レジストローラ1400に送られてきた用紙は、ここでその搬送が一時的に止められる。レジストローラ1400は、感光体5000の表面のトナー像と用紙Sの先端との位置関係が転写装置900が設けられた転写位置で画像転写に適する所定の位置になるよう、タイミングをとって用紙の搬送を開始する。
【0238】
転写を終えた用紙は定着装置140を通過する間にトナー像が定着される。定着装置140を通過した用紙は搬送手段であるローラRRにより搬送され、排紙センサ38を経て、排紙コロ3よりトレイ12へ排出される。
【0239】
以後の揃え部材102a、102b及び収納スペース80a、180bの構成及び機能については既に説明した実施の態様において述べた内容と同じであるので、説明は省略する。
【0240】
本例の画像形成装置においても、トレイ上に積載された用紙Sに対して揃え部材102a、102bなどによる整合及び仕分け手段による仕分けが行なわれ、安全を確保するための手段も装備している。
【0241】
[3]積載手段が排紙手段を通過して上下動するタイプの後処理装置への適用近年においては、複写機等の画像形成装置のデジタル化が進み、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能など、複数の機能を持ち合わせた複合型の画像形成装置が増えてきている。
【0242】
こうした背景のなか、ファンクション毎に仕分けを行ないたいというニーズが高まり、シート状媒体後処理装置等においても複数トレイ化が進んでいる。前記図4で説明したタイプのシート状媒体後処理装置では全体として積載手段としてのトレイが2つあるので例えば、プリンタ排紙中にコピーの割り込みが即座にできるが、プルーフトレイ14は綴じ処理を行なわずに1枚ずつ単純排紙するためだけに用いられるトレイであるので、シート状媒体後処理装置としての付加価値(綴じ処理等)を享受できるトレイは実質的に1つである。
【0243】
かかる背景のもとに、1つの排紙口に対して複数のトレイを受け取り可能に設けるタイプのシート状媒体が開発されている。
【0244】
図49、図50にその一例としてのシート状媒体後処理装置303を示す。図49は上のトレイ301を上方の排紙口E1に待機させ、下のトレイ302を下方の排紙口E2にそれぞれ位置させており、図50では上のトレイ301を下の排紙口E2に位置させている。
【0245】
シート状媒体後処理装置303の内部構成は前記した図4におけるシート状媒体後処理装置51の内部構成と全く同じではないが、上下動可能なトレイが2つあること以外は機能的に共通部分を多く有している。
【0246】
従って、内部構成について、図4におけるシート状媒体後処理装置の内部構成部材と機能的に共通の構成部材については、図49、図50においても同じ符号を使用して説明は省略している。
【0247】
排紙口E1へは綴じ処理されない用紙が、排紙口E2へは綴じ処理された用紙束或は綴じ処理されない用紙が排出される。図49に示すように下の排紙口E2から排出された用紙の受け取りが可能なようにトレイ302が位置している状態のもと、揃え部材102a、102bが図49に示すようにトレイ302上に位置している状態から、図50に示すように排紙口E2からの用紙の受け取りが可能なようにトレイ301を下降させようとした場合、トレイ301が排紙手段である排紙口E2を通過するが、このとき、揃え部材102a、102bが邪魔になる。
【0248】
そこで、揃え部材102a、102bを前記した各実施の形態で説明し内容に準じ、収納スペース180a、180bへ収納可能な構成とすることで、排出手段である排紙口Eをトレイ301、302が何ら問題なく通過できることとした。
【0249】
トレイ301、302はそれぞれ上下方向に案内する独立したガイドに沿って摺動可能に設けられていて、図5(a)で説明したような独立したトレイの昇降手段により独立して上下動可能である。
【0250】
このシート状媒体後処理装置303は図4におけるシート状媒体後処理装置51と共通の画像形成手段を具備している。例えば、揃え部材102a、102b及びこれらを駆動するための手段、収納スペース180a、180bや、戻しコロ121及びその変位手段などを具備している。
【0251】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、駆動手段の共通化により構造の簡素化を図ることができる。
請求項2記載の発明では、回転動作だけで簡単に動作位置、収納動作位置間に変位させ得る。
請求項3記載の発明では、3つの移動位置への回動を共通の1つの駆動源で行なうことができる。
請求項4、5記載の発明では、揃え部材は回転軸とともに回転するとともに、揃え部材の自重を利用して揃え部材の自由端側を押し上げる力により押し上げられ、揃え動作を行なうことができる。
請求項6記載の発明では、用いることが想定されるあらゆるサイズのシート状媒体に対して、受け入れ位置まで短時間で移動できる。
請求項7記載の発明では、収納回転位置から迅速にホームポジションに移行することができる。
請求項8記載の発明では、ホームポジションまでの往復に要する時間ロスがないので、後続ジョブのための受け入れ位置までの移動時間を短縮することができる。
請求項9記載の発明では手が回転をさえぎった場合でも手に怪我が生じさせない。
請求項10記載の発明では、身体に怪我をおわせない。
請求項11記載の発明では、付勢力を調整することにより安全な回転力を容易に設定することができる。
請求項12記載の発明では、ホームポジションにおける安全確保が可能である。
請求項13記載の発明では、ジョガー退避軸の位置を固定して揃え部材との係合をし易くしている。
請求項14記載の発明では、回転軸上、揃え部材を収納回転位置まで移動させることに伴ない自動的にジョガー退避部材に係合させることができる。
請求項15記載の発明では、ジョガー退避軸に係合して一体的な構成となっている揃え部材を前記回転軸に形成された凸状部又は凹状部と同じ回転位置に保持可能である。
請求項16記載の発明では、揃え部材が揃え回転位置から収納回転位置まで回転して変位されるまでの領域で回転軸に対する揃え部材の空回りが可能となり、事故を防止する。 請求項17記載の発明では、画像形成装置について、安全を図ることができる。
請求項18記載の発明では、シート状媒体後処理装置について、揃え部材退避時における安全を図ることができる。
請求項19記載の発明では、揃え手段を本体に収納することで、排出手段を通過して上下動する積載手段についての整合性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置及びシート状媒体後処理装置の正面図である。
【図2】シート状媒体後処理装置を斜め上方から見た部分斜視図である。
【図3】シート状媒体後処理装置を斜め上方から見た部分斜視図である。
【図4】シート状媒体後処理装置及び画像形成装置の概略構成図である。
【図5】図5(a)はシート状媒体後処理装置の要部斜視図、図5(b)はトレイの高さを制御するセンサ周辺部の概略斜視図である。
【図6】トレイをシフト方向に移動するトレイ移動手段の構造を説明した要部断面図である。
【図7】トレイの駆動機構部分を説明した斜視図である。
【図8】ウォームホイール及びホームセンサを説明した正面図である。
【図9】ウォームホイール及びホームセンサを説明した正面図である。
【図10】揃え部材及び揃え部材移動手段を排出方向の下流側から見た概略の正面図である。
【図11】揃え部材及び揃え部材移動手段を排出方向の下流側から見た概略の正面図である。
【図12】揃え部材及び揃え部材移動手段を排出方向の下流側からみた概略の正面図である。
【図13】図13(a)、(b)、(c)は、片側移動態様による仕分け揃えの工程を順番に説明した図である。
【図14】図14(a)、(b)、(c)は、両側移動態様による仕分け揃えの工程を順に説明した図である。
【図15】シート状媒体整合装置の要部を図2の矢視A方向から見た図である。
【図16】シート状媒体整合装置の要部を図2の矢視B方向から見た部分断面図である。
【図17】シート状媒体整合装置の要部を図2の矢視C方向から見た図である。
【図18】図18(a)は揃え部材が揃え回転位置にある様子を説明した図、図18(b)は揃え部材が収納回転位置にある様子を説明した図である。
【図19】図19(a)は揃え回転位置にある後側の揃え部材を示した部分断面図、図19(b)は揃え回転位置にある揃え部材を示したシート状媒体後処理装置の斜視図、図19(c)は揃え回転位置にある前側の揃え部材を示した部分断面図である。
【図20】図20(a)は退避回転位置にある後側の揃え部材を示した部分断面図、図20(b)は退避回転位置にある揃え部材を示したシート状媒体後処理装置の斜視図、図20(c)は退避回転位置にある前側の揃え部材を示した部分断面図である。
【図21】図21(a)は揃え回転位置にある後側の揃え部材を示した部分断面図、図21(b)は揃え回転位置にある揃え部材を示したシート状媒体後処理装置の斜視図、図21(b)'は揃え動作をしている揃え部材を説明したシート状媒体後処理装置の部分斜視図、図21(c)は揃え回転位置にある前側の揃え部材を示した部分断面図である。
【図22】図22(a)はカール紙を揃える揃え部材を示したシート状媒体後処理装置の部分斜視図、図22(b)は同じくシート状媒体後処理装置の側面図である。
【図23】図23(a)はカール紙を揃えた後、退避した状態の揃え部材を示したシート状媒体後処理装置の部分斜視図、図23(b)は同じくシート状媒体後処理装置の側面図である。
【図24】図24(a)は揃え回転位置にある後側の揃え部材を示した部分断面図、図24(b)は揃え回転位置にある揃え部材を示したシート状媒体後処理装置の斜視図、図24(c)は揃え回転位置にある前側の揃え部材を示した部分断面図である。
【図25】図25(a)は退避回転位置にある後側の揃え部材を示した部分断面図、図25(b)は退避回転位置にある揃え部材を示したシート状媒体後処理装置の斜視図、図25(c)は退避回転位置にある前側の揃え部材を示した部分断面図である。
【図26】図26(a)は収納回転位置にある後側の揃え部材を示した部分断面図、図26(b)は収納回転位置にある揃え部材を示したシート状媒体後処理装置の斜視図、図26(c)は収納回転位置にある前側の揃え部材を示した部分断面図である。
【図27】シート状媒体整合装置の要部を図2の矢視A方向から見た図である。
【図28】シート状媒体整合装置の要部を図2の矢視C方向から見た図である。
【図29】揃え部材及び回転摺動軸の斜視図である。
【図30】回転摺動軸の前側についての構造を説明した分解斜視図である。
【図31】揃え部材の動作態様を説明した斜視図である。
【図32】回転摺動軸の軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図である。
【図33】図32における断面Kを示した図である。
【図34】図32における断面Qを示した図である。
【図35】回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した分解斜視図である。
【図36】回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図である。
【図37】回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図である。
【図38】回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図である。
【図39】回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図である。
【図40】図40(a)は回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図、図40(b)は軸方向からみた模式的が説明図である。
【図41】図41(a)は回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図、図41(b)は軸方向からみた模式的が説明図である。
【図42】図42(a)は回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図、図42(b)は軸方向からみた模式的が説明図である。
【図43】図43(a)は回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した分解斜視図、図43(b)は軸方向からみた模式的が説明図である。
【図44】図44(a)は回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図、図44(b)は軸方向からみた模式的が説明図である。
【図45】図45(a)は回転摺動軸の前側軸端部における揃え部材の支持態様を説明した斜視図、図45(b)は軸方向からみた模式的が説明図である。
【図46】制御系のブロック図である。
【図47】用紙のシフト揃えに係るフローチャートである。
【図48】揃え部材収納機能を持つシート状媒体整合装置を具備した画像形成装置の構成図である。
【図49】揃え部材収納機能を持つシート状媒体整合装置を具備した、複数トレイが上下可動構造のシート状媒体後処理装置の構成図である。
【図50】揃え部材収納機能を持つシート状媒体整合装置を具備した、複数トレイが上下可動構造のシート状媒体後処理装置の構成図である。
【図51】図51(a)は従来技術において揃え部材が揃え回転位置にある様子を説明した図、図51(b)は従来技術において揃え部材が退避回転位置にある様子を説明した図である。
【符号の説明】
12 トレイ
102a、102b 揃え部材
180a、180b 収納スペース
Claims (19)
- 搬送されてくるシート状媒体を排出する排出手段と、この排出手段により排出されるシート状媒体を積載する積載手段と、この積載手段上に積載されたシート状媒体の前記排出手段によるシート状媒体の排出方向と平行な端面を挟むように接して揃える揃え手段と、前記積載手段又は前記揃え部材を前記排出手段のシート状媒体排出方向と直交するシフト方向に所定量移動させてシート状媒体を仕分ける仕分け手段を具備したシート状媒体整合装置であって、前記揃え手段が前記積載手段上でシート状媒体の揃え動作を行なう位置から本体内に収納された位置へ移動して収納可能であると共に、前記収納された位置から前記揃え動作を行なう位置へも移動することが可能であり、回転運動により前記収納された位置(収納回転位置)と前記揃え動作を行なう位置(揃え回転位置)相互間を変位させるようにし、前記回転運動の中心となる回転軸に、前記揃え手段を前記シフト方向に摺動させるガイドを兼用させたことを特徴とするシート状媒体整合装置。
- 請求項1記載のシート状媒体整合装置において、
前記回転軸を回転させることにより前記揃え手段を前記収納回転位置に移動させて前記揃え部材を収納することを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項1又は2に記載されたシート状媒体整合装置において、
前記揃え手段は前記回転軸の回転により、前記揃え回転位置と、前記収納回転位置と、前記揃え回転位置から前記収納回転位置までの間の回転位置であって前記揃え部材の自由端側がトレイ上のシート状媒体から退避した回転位置である退避回転位置への移動が可能であり、これらの移動を前記回転軸の駆動源で行なうことを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項3記載のシート状媒体整合装置において、
前記揃え手段は前記回転軸に対して所定量の自由な回転領域を有することを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項4記載のシート状媒体整合装置において、
前記回転領域は、前記回転軸又は前記揃え部材の何れか一方に形成された凸状部と、残る他方に形成された凹状部との係合部における前記回転方向の隙間により形成したことを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項1乃至5の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置において、
前記揃え手段は、前記排出手段から排出され前記トレイ上に積載されたシート状媒体を、前記排出方向と平行な当該シート状媒体の2つの端面を挟むようにして揃え部を接しさせて前記端面の位置を揃える揃え動作を行なう1対の揃え部材を有し、前記仕分け手段による仕分け動作後に積載されたシート状媒体を、前記仕分け手段による仕分け動作前に積載されたシート状媒体と異なる位置に揃えるように前記揃え動作を行なうものであり、前記揃え部材のホームポジションとして定めた位置で回動させて本体に収納することを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項6記載のシート状媒体整合装置において、
前記揃え部材は一連のジョブの揃え動作が完了した後、前記ホームポジションに移動してから前記収納回転位置に収納されることを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項7記載のシート状媒体整合装置において、
前記揃え部材は一連のジョブの揃え動作が完了した時点で、後続のジョブがある場合、前記ホームポジションに移動してから前記収納回転位置に収納されることを禁止したことを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項6乃至8の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置において、
前記揃え部材の回転時に当該揃え部材に対して所定以上の負荷が作用した場合に、前記揃え部材が前記収納回転位置へ向けて回動するのを禁止する構成を採用したことを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項9記載のシート状媒体整合装置において、
前記所定以上の負荷とは、身体の一部が揃え部材の回動をさえぎる態様で負荷として作用した場合に、該身体の一部を損なわない程度の負荷を超える負荷としたことを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項10記載のシート状媒体整合装置において、
前記揃え部材は、回転方向に付勢力を与えられていることを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項11記載のシート状媒体整合装置において、前記付勢力は、前記揃え部材が前記シート状媒体の受け入れのため待機する受け入れ位置から前記ホームポジションに移動することにより自動的に与えられることを特徴とするシート状媒体整合装置。
- 請求項12記載のシート状媒体整合装置において、
前記回転軸上の前記ホームポジションには前記揃え部材に形成された凹状部又は凸状部と係脱可能な凸状部又は凹状部を備えた退避軸が設けられていて、この退避軸には前記揃え部材が収納時に回転される回転方向と同じ向きの回転力が与えられるように付勢手段により付勢されていて、この付勢手段による前記退避軸の回転は所定の回転位置でストッパにより阻止されていることを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項13記載のシート状媒体整合装置において、
前記退避軸の所定の回転位置は、前記回転軸に形成された凸状部又は凹状部と同じ回転位置であることを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項14記載のシート状媒体整合装置において、
前記ジョガー退避軸のストッパは、前記揃え部材の収納時の回転方向と反対方向に一定の回動範囲で回転を許す前記回転軸の軸心を中心とする円弧状の長穴と、該長穴に係合している突起部との組み合わせよりなり、該軸は前記回転軸と一体的に設けられていることを特徴とするシート状媒体整合装置。 - 請求項15記載のシート状媒体整合装置において、
前記一定の回動範囲は前記回転軸に対する前記揃え部材の回動範囲であり、前記揃え部材が前記揃え回転位置から前記収納回転位置まで回転して変位できる範囲であることを特徴とするシート状媒体整合装置。 - シート状媒体に画像形成を行なう画像形成手段及びこの画像形成されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有する画像形成装置において、請求項1乃至16の何れか1つに記載のシート状媒体整合装置を具備していることを特徴とする画像形成装置。
- シート状媒体に後処理を行なう後処理手段及びこの後処理されたシート状媒体を搬送する搬送手段を有するシート状媒体後処理装置において、
請求項1乃至16の何れか一つに記載のシート状媒体整合装置を具備していることを特徴とするシート状媒体後処理装置。 - 請求項18記載のシート状媒体後処理装置において、前記積載手段が、前記排出手段を通過して上下動する構成であることを特徴とするシート状媒体後処理装置。
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