JP4083446B2 - 貼り合わせ型光記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は貼り合わせ型光記録媒体製造用金型及び貼り合わせ型光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の典型的な貼り合わせ型光記録媒体(DVD)の構造を図7〜図9に示す。図7に示すDVD等の貼り合わせ型光記録媒体11では、一般的に、一方の光記録媒体基板12の表面上に紫外線硬化型樹脂の接着層14(接着剤)を貼り合わせ面側の内周部に塗布した後、もう一方の光記録媒体基板13を重ね合わせ、図9に示すようにスピンコータ21をで回転させて遠心力で前記接着剤を貼り合わせ面全面に広げ、二枚の光記録媒体基板12,13を重ねたまま紫外線を照射する事により、硬化し貼り合わせている。この際、二枚の光記録媒体基板12,13表面にスタンパー押さえの爪形状部に相当する凹溝部15が、光記録媒体基板12,13の接着剤の塗布位置より外周側にあると、スピンコータ21で接着剤を広げて接着層14を形成させる際に、凹溝部15によって接着剤が飛散してしまい外観不良や膜厚分布不良を生じる。
【0003】
この問題を回避するため、特開平10−247341号等においては、前記凹溝部15の位置を、極力内周側(具体的には、光記録媒体基板12,13のセンター孔16の径D1がφ15mmの場合、前記凹溝部15の中心部間の径D2をφ23mm以下に設定する。そして、接着剤は、前記凹溝部15より光記録媒体基板12,13の外周側に塗布する。)に設置し、上記不具合を解決することが提案されている(図7参照)。
【0004】
しかしながら、特開平10−247341号の提案は、上記貼り合わせにおける外観上の不具合は解決できるが、図8、9に示すような、センターピン21とベアリング22から構成されている自己チャッキング型のクランプ手段を使用した場合、該クランプ手段の着脱を繰り返すと、光記録媒体12,13の凹溝部15付近に割れ17が生じたり、光記録媒体基板12,13のセンター孔16側のエッジ部18が欠けたりする不具合が生じており、また、生じることが予想される。
【0005】
自己チャッキング型のクランプ手段は、ベアリング22を所定の力で、光記録媒体12,13のセンター孔16の一部に押し付けながら位置決めされ、高速で回転する機構である。一般的には、ノート型のパーソナルコンピュータのCDやDVDドライブに使用されている機構である。なお、図8において、23はクランプ手段の着脱方向である。
【0006】
上述の問題を回避するため、図10に示すような構造の、貼り合わせ型光記録媒体11(例えば、特開平11−53769号公報等)が考えられるが、実際、DVDのように厚さ0.6mmと比較的薄い光記録媒体基板12,13のゲート付近を局所的に厚く(例えば、DVDにおいては、1.2mmとなる。)すると、成形タクトが長くなり(冷却時間が長くなる)、また、成形中に糸引きが生じ易くなる等の成形上の不具合が生じ、トータル的に、貼り合わせ型光記録媒体11を安価に生産するには不向きであることが容易に予想される。
【0007】
また、特開平9−223333号公報において、図11,12に示すような、光記録媒体基板12,13の形状が提案されている。この提案は、特開平10−247341号公報と異なり、凹溝部15の位置を変えなくても良く、図11に示すように、センター孔16の周縁からC部の領域において、接着層14の厚さbに対し、半分の高さb/2だけ型内方へ後退させた金型により成形した光記録媒体基板12、13を設けることにより、上記不具合を解決できると予想される。しかし、実際は、C部の領域の金型入れ子段差やクリアランス19により、バリが生じるため、部分的にクランプエリアが変形したり、そのクランプエリアの平面度が規格内に収まらなかった。更に、温度による粘度変化や接着剤変更による粘度変化に起因する接着層14の厚さbの変化により、その都度、b/2を変更する必要があった。すなわち、金型をその度に改造しなければならなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、自己チャッキング型のドライブ装置に装着しても、貼り合わせ型光記録媒体のセンター孔の付近に割れや欠けが生じず、貼り合わせ外観品質、ならびにクランプエリアの平面性を確保出来る貼り合わせ型光記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、凹面が設けられた基板と凸面が設けられた基板との少なくとも2枚の基板を貼り合わせて成る、貼り合わせ型光記録媒体であって、対向する基板の合せ面に形成された凹凸面にテーパ部が設けられ、凹面のテーパ部と凸面のテーパ部とが当接されることにより位置決めされ、位置決めされた位置決め部近傍のテーパ部以外には、凹面と凸面との間にクリアランスが設けられ、クリアランスは、センタホール側においては、厚さ方向の中央よりも表面側に位置しており、凹面が設けられた基板と凸面が設けられた基板とが接着剤で貼り合わされたことを特徴とする貼り合わせ型光記録媒体を最も主要な特徴とする。
【0010】
請求項の発明は、前記接着剤の材質として、紫外線硬化型樹脂を用いた貼り合わせ型光記録媒体を特徴とする。
【0011】
請求項の発明は、前記紫外線硬化樹脂の粘度が、温度25℃で10〜1000mPa・sである貼り合わせ型光記録媒体を特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1は本発明の貼り合わせ型光記録媒体製造用金型の実施の形態の一例である。図1の右側には、本発明における貼り合わせ型光記録媒体製造用金型の構造断面が示され、左側には、較するための従来型の貼り合わせ型光記録媒体製造用金型の構造断面が示されている。
【0013】
本発明の貼り合わせ型光記録媒体製造用金型は、スプルブッシュ31と、スタンパー押さえ32と、ピットあるいはから成るデータ記録面を形成するスタンパー33と、カットパンチ34と、スリーブ35と、コア入れ子36と、固定側金型部37と、可動側金型部38とを備え、スタンパー押さえ32にスタンパー33を押さえるための爪形状39を備えており、スプルブッシュ31、あるいはスタンパー押さえ32において、少なくともどちらか一方に、少なくとも一つ以上の凹、あるいは凸形状を形成している。
【0014】
また、前記スプルブッシュ31、あるいはスタンパー押さえ32に加工された、凹、あるいは凸形状部において、少なくとも一つ以上のテーパ部41を形成している(図1の中心線よりも右側の部分を参照)。スタンパー押さえ32の爪形状39は、スタンパー33が落下しないように押さえる機能を有している。金型によっては、真空吸着などを利用し、この爪形状が無い金型も存在する。
【0015】
貼り合わせ型光記録媒体製造用金型は数十〜百十数℃まで加温された後、図示されていない射出成形機の射出シリンダーにて溶融された300℃以上の熱可塑性樹脂(例えば、ポリカーボネイト)が、スプルブッシュ31を通り、キャビティー52内に注入される。キャビティー52内に注入された樹脂は、熱変形温度(例えば、ポリカーボネイトなら105℃)以下まで冷却された後、カットパンチにより光記録媒体基板となる樹脂固化体のセンター孔を打ち抜き(スプル51と樹脂固化体を分離)、光記録媒体基板が取出される。光記録媒体基板の材料としてポリカーボネイトを用いたが、これに限るものではなく、アクリル樹脂や非晶質ポレオレフィン系樹脂等、プラスチックなら何ら問題はない。
【0016】
図2は本発明の貼り合わせ型光記録媒体製造用金型の実施の形態の他の例である。本図示例では、テーパ部41が2段になっていること以外は、図1に示す図示例と同じである。斯かる構成としても図1の図示例と同様の作用効果を奏することができる。
【0017】
図3は本発明の貼り合わせ型光記録媒体の実施の形態の他の例である。図3においては、少なくとも2枚以上の光記録媒体基板12,13を貼り合わせて成る、貼り合わせ型光記録媒体11において、凹凸面のテーパ部41を重ね合わせて位置決めされ、接着剤により形成された接着層14により貼り合わせてある。テーパ角度は15°に設定しているが、その角度の大きさに限定はない。貼り合わせる際に、光記録媒体基板12,13の互いに対向するテーパ部41が確実に当接するよう、テーパ部41以外にクリアランス19が設けられている。
【0018】
本図示例における、クリアランス量は、50μm〜100μmであるが、その大きさに限定はない。単に、金型の構造や精度に起因する入れ子段差やそこに生じるバリの大きさより大きく設定してあれば何ら問題はない(例えば、バリの方がクリアランス19より大きいと、貼り合わせ後、貼り合わせ型光記録媒体11のクランプエリアが局所的に変形し、平面度の低下をもたらす。あるいは、テーパ部41が確実に当接しないことにより、光記録媒体基板12、13が位置決めされない。)。
【0019】
本図示例においては、クリアランス19を設けたことにより、テーパ部19が確実に当接することから、光記録媒体基板12,13同士のズレが生じにくくもなり、更に、クランプエリアの平面度劣化も生じにくくなる。また、図3に示すよう、自己チャッキング型のボールベアリングに光記録媒体基板12,13のエッジが当たらないような構成になっているため、自己チャッキング型のドライブへの着脱を何回繰り返し行っても、光記録媒体基板12,13のセンター孔16の周縁付近が割れたり、あるいは欠けたりすることがない。
【0020】
図4は本発明の貼り合わせ型光記録媒体の実施の形態の他の例である。また、図5、6は比較するための従来の貼り合わせ型光記録媒体の例を示す。
【0021】
接着層14を構成するための接着剤の材質としては、紫外線硬化型樹脂を用い、その粘度は、温度25℃で10〜1000mPa・sの範囲内である。DVDにおいては、接着層14の厚さを50μm程度にすることが望ましく、スピンコータを利用する際は、温度25℃において、粘度が500〜700mPa・sであるものを使用するのが一般的である。しかし、DVD5のような、接着層14の厚さに規定が無い場合は、接着層14の厚さをより小さく(例えば、20〜30μm)する。その際、接着剤の粘度は25℃で数十〜500mPa・sとなる。
【0022】
このように接着剤の粘度が比較的低い場合、図5、6に示す従来の貼り合わせ型光記録媒体11だと、貼り合わせ工程において、接着剤が図5、6に示すようにはみ出す虞があり、美観を損ねることがある。しかし、本図示例における、貼り合わせ型光記録媒体11は、図4に示すようにテーパ部41で接着剤を確実に塞ぎ止めることができるので、図5,6のような不具合は生じない。
【0023】
なお、本発明の貼り合わせ型光記録媒体用金型及び貼り合わせ型光記録媒体は、上述の図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる貼り合わせ型光記録媒体製造用金型及び貼り合わせ型光記録媒体によれば、下記のごとき種々の優れた効果を奏し得る。
【0025】
I)り合わせ型光記録媒体製造用金型においては、スプルブッシュ、あるいはスタンパー押さえのうち少なくともどちらか一方に、少なくとも一つ以上の凹、あるいは凸形状を形成し、且つ、凹、あるいは凸形状部において、少なくとも一つ以上のテーパ部を形成しているため、スプルブッシュやスタンパー押さえを入れ子構造に形成することができ、従って、着脱が簡単に出来るばかりか、該凹、あるいは凸形状部におけるテーパ部を簡単に、且つ精度良く機械加工できる。
【0026】
II)り合わせ型光記録媒体において、光記録媒体基板は、前記凹凸面のテーパ部を重ね合わせて位置決めさせ、接着剤で貼り合わせてあり、前記テーパ部が確実に当接するよう、テーパ部以外にクリアランスが設けられている。而して、クリアランスがあることにより、前記テーパ部が確実に当接することから、光記録媒体基板同士のズレが生じにくくなり、貼り合わせる光記録媒体基板の芯ずれが生じにくくなる。また、クランプエリアの平面度劣化しない。更に、自己チャッキング型のボールベアリングに光記録媒体基板のエッジが当たらないようになっているため、自己チャッキング型のドライブへの着脱を何回繰り返し行っても、前記光記録媒体基板のセンター孔付近が割れたり、あるいは欠けたりすることがない。
【0027】
III)り合わせ型光記録媒体においては、一般的に使用されるスピンコータ法により紫外線硬化型樹脂で貼り合わせているので、コストも安価となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中心線よりも右側は、本発明の貼り合わせ型光記録媒体製造用金型の実施の形態の一例の断面図であり、中心線よりも左側は、従来の貼り合わせ型光記録媒体製造用金型の断面図である。
【図2】本発明の貼り合わせ型光記録媒体製造用金型の実施の形態の他の例の断面図である。
【図3】本発明の貼り合わせ型光記録媒体の実施の形態の一例の断面図である。
【図4】本発明の貼り合わせ型光記録媒体の実施の形態の他の例の断面図である。
【図5】図4の貼り合わせ型光記録媒体と比較するための従来の貼り合わせ型光記録媒体の例を示す平面図である。
【図6】図5のVI−VI方向矢視図である。
【図7】従来の典型的な貼り合わせ型光記録媒体の一例を示す断面図である。
【図8】図7の貼り合わせ型光記録媒体における光記録媒体基板を自己チャッキング型のクランプ手段を用いて貼り合わせる場合の状態を示す断面図である。
【図9】図8の貼り合わせ型光記録媒体における光記録媒体基板を自己チャッキング型のクランプ手段を用いて貼り合わせている状態を示す断面図である。
【図10】従来の貼り合わせ型光記録媒体の他の例を示す断面図である。
【図11】従来の貼り合わせ型光記録媒体の更に他の例を示す断面図である。
【図12】図11のXII部詳細図である。
【符号の説明】
11 貼り合わせ型光記録媒体
12 光記録媒体基板(基板)
13 光記録媒体基板(基板)
14 接着層(接着剤)
31 スプルブッシュ
32 スタンパー押え
33 スタンパー(スタンパ)
34 カットパンチ
35 スリーブ
36 コア入れ子
37 固定側金型部
38 可動側金型部
39 爪形状(スタンパー押えの一部)
41 テーパ部

Claims (3)

  1. 凹面が設けられた基板と凸面が設けられた基板との少なくとも2枚の基板を貼り合わせて成る、貼り合わせ型光記録媒体であって、
    対向する基板の合せ面に形成された凹凸面にテーパ部が設けられ、
    前記凹面のテーパ部と前記凸面のテーパ部とが当接されることにより位置決めされ、
    前記位置決めされた位置決め部近傍の前記テーパ部以外には、前記凹面と前記凸面との間にクリアランスが設けられ、
    前記クリアランスは、センタホール側においては、厚さ方向の中央よりも表面側に位置しており、
    前記凹面が設けられた基板と前記凸面が設けられた基板とが接着剤で貼り合わされたことを特徴とする貼り合わせ型光記録媒体。
  2. 前記接着剤の材質として、紫外線硬化型樹脂を用いる請求項1に記載の貼り合わせ型光記録媒体。
  3. 前記紫外線硬化樹脂の粘度が、温度25℃で10〜1000mPa・sである請求項2に記載の貼り合わせ型光記録媒体。
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