JP3881524B2 - ディスク成形用金型、貼り合わせた基板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク成形用金型、貼(は)り合わせた基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、DVD基板を製造する場合、射出成形機によってディスク基板を成形し、該ディスク基板を互いに対向させて貼り合わせるようにしている。そして、成形に使用されるディスク成形用金型は固定金型及び可動金型から成り、型締装置によって可動金型を固定金型に対して接離させ、型閉じ、型締め及び型開きを行うようになっている。また、型開きを行う前に、ディスク基板の原型に対して穴開け加工を施すために、前記ディスク成形用金型内に型内ゲートカット機構が配設される。
【0003】
図2は従来のディスク成形用金型の要部断面図、図3は従来のディスク成形用金型によって成形されたディスク基板の要部断面図である。
【0004】
図において、11は固定金型、12は該固定金型11と対向させて接離自在に配設された可動金型であり、前記固定金型11及び可動金型12によってディスク成形用金型が構成され、両者間にキャビティ空間17が形成される。
【0005】
前記固定金型11は、中央にスプルー16が形成されたスリーブ状のスプルーブッシュ15、該スプルーブッシュ15の外周に配設されたスリーブ状の固定側ブシュ(雌型カッタ)19、該固定側ブシュ19の外周に配設されたスリーブ状のインナスタンパホルダ33、及び該インナスタンパホルダ33の外周に配設されるとともに、図示されない固定側ベースプレートに取り付けられた固定側ミラーブロック18を有する。
【0006】
また、前記可動金型12は、前記スプルーブッシュ15と対向させて配設されたスプルカットパンチ(雄型カッタ)36、該スプルカットパンチ36の外周において、前記固定側ミラーブロック18と対向させて配設されるとともに、図示されない可動側ベースプレートに取り付けられた可動側ミラーブロック37、及び該可動側ミラーブロック37の径方向外方に配設され、前記キャビティ空間17の外周面を構成する図示されないキャビリングを有する。
【0007】
図示されない射出ノズルから射出された樹脂は、スプルー16を通ってキャビティ空間17に充填(てん)され、該キャビティ空間17内で固化させられて、ディスク基板31の原型になる。
【0008】
前記ディスク基板31は、一方の面S1が情報面として使用され、前記面S1にディジタル情報が書き込まれる。そこで、前記固定金型11には、キャビティ空間17に臨ませてスタンパ32が配設され、前記ディスク基板31を成形したときに、前記スタンパ32によってディスク基板31の面S1に、ディジタル情報に対応した凹凸が形成される。
【0009】
そして、前記スタンパ32を固定側ミラーブロック18に取り付けるために、該固定側ミラーブロック18にインナスタンパホルダ33が固定され、該インナスタンパホルダ33の外周縁に形成された保持部34によって、スタンパ32の内周縁が固定側ミラーブロック18に押し付けられる。
【0010】
前記保持部34は、インナスタンパホルダ33の先端面S2より可動金型12側に突出させることによって形成され、また、固定側ミラーブロック18にインナスタンパホルダ33を固定したときに、該インナスタンパホルダ33の先端面S2とスタンパ32のキャビティ空間17に臨む面S3とが同一平面上に置かれるように先端面S2が設定される。
【0011】
また、前記固定側ブシュ19及びスプルカットパンチ36によって、キャビティ空間17内で成形されたディスク基板31の原型に対して穴開け加工を施すための型内ゲートカット機構が構成される。そして、前記固定側ブシュ19の先端に第1の先端面S4が、スプルーブッシュ15の先端に第2の先端面S5がそれぞれ形成されるとともに、前記第1の先端面S4はインナスタンパホルダ33の先端面S2と同一平面上に置かれ、第2の先端面S5は第1の先端面S4より後方(図における右方) に設定され、第1、第2の先端面S4、S5間の段差によってカット穴41が形成される。
【0012】
したがって、キャビティ空間17に樹脂が充填された後に前記スプルカットパンチ36を前進 (図における右方に移動)させ、スプルカットパンチ36の先端を前記カット穴41内に進入させると、キャビティ空間17内で成形されたディスク基板31の原型に穴が形成される。このようにして、ディスク基板31の原型に対して穴開け加工を施すことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のディスク成形用金型においては、前記スプルカットパンチ36の先端をカット穴41内に進入させたとき、固定側ブシュ19とスプルカットパンチ36との間に樹脂が進入し、ディスク基板31の面S1側の穴の内周縁に、図3に示されるようなカットバリ43が形成されてしまうことがある。
【0014】
そして、該カットバリ43が形成された面S1を対向させて2枚のディスク基板31を貼り合わせると、前記カットバリ43が互いに干渉して貼(はり)合せ不良が発生したり、貼合せ時にカットバリ43が折れ曲がってディスク基板31の穴の内周面に突出したりして、貼り合わせた基板の品質を低下させてしまう。
【0015】
本発明は、前記従来のディスク成形用金型の問題点を解決して、2枚のディスク基板を貼り合わせたときに、カットバリが互いに干渉して貼合せ不良が発生したり、貼合せ時にカットバリが折れ曲がってディスク基板の穴の内周面に突出したりして、貼り合わせた基板の品質を低下させることがないディスク成形用金型、貼り合わせた基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明のディスク成形用金型においては、ディスク基板を貼り合わせることによって貼り合わせた基板を製造するようになっている。
【0017】
そして、固定側ミラーブロックと、該固定側ミラーブロックに取り付けられ、ディスク基板を貼り合わせる際に互いに対向させられる情報面を形成するためのスタンパと、前記固定側ミラーブロックより径方向内方に配設され、第1、第2の先端面によってカット穴を形成する固定側カッタと、前記固定側ミラーブロックと対向させて配設された可動側ミラーブロックと、該可動側ミラーブロックより径方向内方に配設され、前進して先端を前記カット穴に進入させたときにディスク基板の原型に穴開け加工を施す可動側カッタとを有する。
【0018】
また、前記第1の先端面は、スタンパの面より所定の距離だけ前記可動側ミラーブロックの平坦な面に向けて前方に突出させて設定され、成形に伴って、可動側の面が平坦に形成されたディスク基板の固定側の面に段差を形成する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部断面図、図4は本発明の実施の形態におけるディスク成形用金型によって成形されたディスク基板の要部断面図である。
【0027】
図において、11は固定金型、12は該固定金型11と対向させて接離自在に配設された可動金型であり、前記固定金型11及び可動金型12によってディスク成形用金型が構成され、両者間にキャビティ空間17が形成される。
【0028】
前記固定金型11は、図示されない固定側ベースプレートに取り付けられた固定側ミラーブロック18、該固定側ミラーブロック18より径方向内方に配設されたスリーブ状のインナスタンパホルダ33、該インナスタンパホルダ33より径方向内方に配設された固定側カッタとしてのスリーブ状の固定側ブシュ49、及び該固定側ブシュ49より径方向内方に配設され、中央にスプルー16が形成されたスリーブ状のスプルーブッシュ15を有する。
【0029】
また、前記可動金型12は、図示されない可動側ベースプレートに取り付けられ、前記固定側ミラーブロック18と対向させて配設された可動側ミラーブロック37、該可動側ミラーブロック37より径方向内方において、前記スプルーブッシュ15及び固定側ブシュ49と対向させて配設された可動側カッタとしてのスプルカットパンチ36、並びに前記可動側ミラーブロック37の径方向外方に配設され、前記キャビティ空間17の外周面を構成する図示されないキャビリングを有する。
【0030】
図示されない射出ノズルから射出された樹脂は、スプルー16を通ってキャビティ空間17に充填され、該キャビティ空間17内で固化させられて、ディスク基板51の原型になる。
【0031】
前記ディスク基板51は、一方の面S1が情報面として使用され、前記面S1にディジタル情報が書き込まれる。そこで、前記固定金型11には、キャビティ空間17に臨ませてスタンパ32が配設され、前記ディスク基板51を成形したときに、前記スタンパ32によってディスク基板51の面S1に、ディジタル情報に対応した凹凸が形成される。
【0032】
そして、前記スタンパ32を固定側ミラーブロック18に取り付けるために、該固定側ミラーブロック18にインナスタンパホルダ33が固定され、該インナスタンパホルダ33の外周縁に形成された保持部34によって、スタンパ32の内周縁が固定側ミラーブロック18に押し付けられる。なお、本実施の形態においては、固定側ミラーブロック18にインナスタンパホルダ33を固定するために、前記固定側ミラーブロック18とインナスタンパホルダ33とが螺(ら)合させられるようになっているが、他の固定手段を使用することもできる。
【0033】
前記保持部34は、インナスタンパホルダ33の先端面S12より可動金型12側に突出させることによって形成され、固定側ミラーブロック18にインナスタンパホルダ33を固定したときに、該インナスタンパホルダ33の先端面S12がスタンパ32のキャビティ空間17に臨む面S3よりわずかに前方 (図における左方) に位置するように設定される。
【0034】
なお、前記スタンパ32の面S3と前記ディスク基板51の面S1とが対応するとともに、固定側ブシュ49の第1の先端面S14とディスク基板51の面S19とが対応する。そして、前記第1の先端面S14をスタンパ32の面S3より所定の距離Hだけ前方に設定することによって、ディスク基板51の面S1と面S19との間に距離Hだけ段差が形成される。
【0035】
また、前記固定側ブシュ49及びスプルカットパンチ36によって、キャビティ空間17内に成形されたディスク基板51の原型に対して穴開け加工を施すための型内ゲートカット機構が構成される。そして、前記固定側ブシュ49の先端には、外周縁側に前記第1の先端面S14が、内周縁側に第2の先端面S5がそれぞれ形成されるとともに、前記第1の先端面S14はインナスタンパホルダ33の先端面S12より前方に、第2の先端面S5はインナスタンパホルダ33の先端面S12より後方(図における右方) に設定され、第1、第2の先端面S14、S5によって段差が形成される。また、前記スプルーブッシュ15の先端面S6は前記第2の先端面S5と同一平面上に置かれる。このようにして、前記第2の先端面S5及び先端面S6によってカット穴41が形成される。
【0036】
したがって、キャビティ空間17に樹脂が充填された後に前記スプルカットパンチ36を前進 (図における右方に移動)させ、スプルカットパンチ36の先端を前記カット穴41内に進入させると、キャビティ空間17内で成形されたディスク基板51の原型に穴が形成される。このようにして、ディスク基板51の原型に対して穴開け加工を施すことができる。
【0037】
そして、前記スプルカットパンチ36の先端をカット穴41内に進入させたとき、固定側ブシュ49とスプルカットパンチ36との間に樹脂が進入し、図4に示されるようなカットバリ52がディスク基板51の面S19側の穴の内周縁に形成されるが、該面S19は、前記面S1より距離Hだけ後方 (図における左方) に形成されるので、前記カットバリ52の高さhが距離Hより小さい限り、カットバリ52の先端が面S1より突出することがない。
【0038】
したがって、面S1を対向させて2枚のディスク基板51を貼り合わせたときに、前記カットバリ52が互いに干渉することがなく、貼合せ不良が発生したり、貼合せ時にカットバリ52が折れ曲がってディスク基板51の穴の内周面に突出したりすることがないので、DVD基板の品質を低下させることがない。
【0039】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0040】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ディスク成形用金型においては、ディスク基板を貼り合わせることによって貼り合わせた基板を製造するようになっている。
【0041】
そして、固定側ミラーブロックと、該固定側ミラーブロックに取り付けられ、ディスク基板を貼り合わせる際に互いに対向させられる情報面を形成するためのスタンパと、前記固定側ミラーブロックより径方向内方に配設され、第1、第2の先端面によってカット穴を形成する固定側カッタと、前記固定側ミラーブロックと対向させて配設された可動側ミラーブロックと、該可動側ミラーブロックより径方向内方に配設され、前進して先端を前記カット穴に進入させたときにディスク基板の原型に穴開け加工を施す可動側カッタとを有する。
【0042】
また、前記第1の先端面は、スタンパの面より所定の距離だけ前記可動側ミラーブロックの平坦な面に向けて前方に突出させて設定され、成形に伴って、可動側の面が平坦に形成されたディスク基板の固定側の面に段差を形成する。
【0043】
この場合、前記可動側カッタの先端をカット穴内に進入させたとき、固定側カッタと可動側カッタとの間に樹脂が進入し、カットバリがディスク基板の穴の内周縁に形成されるが、カットバリの先端がディスク基板の情報面より突出することがない。
【0044】
したがって、2枚のディスク基板を貼り合わせたときに、前記カットバリが互いに干渉することがなく、貼合せ不良が発生したり、貼合せ時にカットバリが折れ曲がってディスク基板の穴の内周面に突出したりすることがないので、貼り合わせた基板の品質を低下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるディスク成形用金型の要部断面図である。
【図2】従来のディスク成形用金型の要部断面図である。
【図3】従来のディスク成形用金型によって成形されたディスク基板の要部断面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるディスク成形用金型によって成形されたディスク基板の要部断面図である。
【符号の説明】
11 固定金型
12 可動金型
15 スプルーブッシュ
17 キャビティ空間
18 固定側ミラーブロック
32 スタンパ
36 スプルカットパンチ
37 可動側ミラーブロック
41 カット穴
49 固定側ブシュ
51 ディスク基板
S1、S3、S19 面
S5 第2の先端面
S6 先端面
S14 第1の先端面
H 距離
Claims (4)
- ディスク基板を貼り合わせることによって貼り合わせた基板を製造するためのディスク成形用金型において、
(a)固定側ミラーブロックと、
(b)該固定側ミラーブロックに取り付けられ、ディスク基板を貼り合わせる際に互いに対向させられる情報面を形成するためのスタンパと、
(c)前記固定側ミラーブロックより径方向内方に配設され、第1、第2の先端面によってカット穴を形成する固定側カッタと、
(d)前記固定側ミラーブロックと対向させて配設された可動側ミラーブロックと、
(e)該可動側ミラーブロックより径方向内方に配設され、前進して先端を前記カット穴に進入させたときにディスク基板の原型に穴開け加工を施す可動側カッタとを有するとともに、
(f)前記第1の先端面は、スタンパの面より所定の距離だけ前記可動側ミラーブロックの平坦な面に向けて前方に突出させて設定され、成形に伴って、可動側の面が平坦に形成されたディスク基板の固定側の面に段差を形成することを特徴とするディスク成形用金型。 - (a)前記固定側カッタより径方向内方に配設されたスプルーブッシュを有するとともに、
(b)該スプルーブッシュの先端面は前記第2の先端面と同一平面上に置かれる請求項1に記載のディスク成形用金型。 - 固定側ミラーブロック、該固定側ミラーブロックに取り付けられたスタンパ、並びに前記固定側ミラーブロックより径方向内方に配設され、スタンパの面より所定の距離だけ前記可動側ミラーブロックの平坦な面に向けて前方に突出させて設定され、成形に伴って、可動側の面が平坦に形成されたディスク基板の固定側の面に段差を形成する第1の先端面、及び該第1の先端面より後方に形成された第2の先端面を備えた固定側カッタを備えた固定金型と、前記固定側ミラーブロックと対向させて配設された可動側ミラーブロック、及び該可動側ミラーブロックより径方向内方に配設された可動側カッタを備えた可動金型とを有するディスク成形用金型によって、
(a)前記固定金型と可動金型との間に形成されるキャビティ空間に樹脂を充填して、情報面を備えたディスク基板の原型を成形し、
(b)前記可動側カッタを前進させて、先端を前記第1、第2の先端面によって形成されたカット穴に進入させ、前記ディスク基板の原型に穴開け加工を施し、
(c)該穴開け加工が施された後のディスク基板の情報面を互いに対向させて貼り合わせたことを特徴とする貼り合わせた基板。 - 固定側ミラーブロック、該固定側ミラーブロックに取り付けられたスタンパ、並びに前記固定側ミラーブロックより径方向内方に配設され、スタンパの面より所定の距離だけ前記可動側ミラーブロックの平坦な面に向けて前方に突出させて設定され、成形に伴って、可動側の面が平坦に形成されたディスク基板の固定側の面に段差を形成する第1の先端面、及び該第1の先端面より後方に形成された第2の先端面を備えた固定側カッタを備えた固定金型と、前記固定側ミラーブロックと対向させて配設された可動側ミラーブロック、及び該可動側ミラーブロックより径方向内方に配設された可動側カッタを備えた可動金型とを有するディスク成形用金型による貼り合わせた基板の製造方法において、
(a)前記固定金型と可動金型との間に形成されるキャビティ空間に樹脂を充填して、情報面を備えたディスク基板の原型を成形し、
(b)前記可動側カッタを前進させて、先端を前記第1、第2の先端面によって形成されたカット穴に進入させ、前記ディスク基板の原型に穴開け加工を施し、
(c)該穴開け加工が施された後のディスク基板の情報面を互いに対向させてディスク基板を貼り合わせることを特徴とする貼り合わせた基板の製造方法。
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