JP4083090B2 - 重金属固定化剤および重金属固定化剤の安定性改良方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属固定化剤に関する。さらに詳しくは重金属含有物中の重金属を固定化して重金属の溶出を防止することのできる重金属固定化剤および該重金属固定化剤の安定性改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、焼却(飛)灰(焼却灰または焼却飛灰を意味する、以下同じ。)、鉱滓、土壌および汚泥などの固体粉末またはスラリー中に存在する重金属を固定化して重金属の溶出を防止するために添加される薬剤としては、例えばジチオカルバミン酸(塩)が知られている。
しかしながら、従来のジチオカルバミン酸(塩)、とくにその水溶液では、保存、輸送および使用の際に硫化水素や二硫化炭素などの有毒なガスが発生する場合があるため、これを解決する手段として重金属固定化剤水溶液のpHを13以上に保持することにより安定化する方法(例えば、特許文献1参照)や重金属固定化剤を水で希釈した時の希釈液のpHを12以上に調整後使用する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−109081号公報
【特許文献2】
特開平10−118612号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法では有害ガス発生の抑制にはまだ十分であるとは言い難い。本発明の目的は、重金属の固定化効果を損なうことなく、これらの有毒なガスの発生が抑制された重金属固定化剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、ジチオカルバミン酸および/またはその塩(A)の水溶液と鉄化合物(B)を配合してなるpH12〜14の重金属固定化剤において、(A)と(B)の合計重量に基づく(B)の割合が0.000001〜0.05%である重金属固定化剤;重金属を含有する、固体粉末、スラリー、水溶液または懸濁液に該重金属固定化剤および必要により水を含有させて撹拌または混練する重金属含有物(D)の処理方法;並びに、ジチオカルバミン酸および/またはその塩(A)の水溶液に、(A)と鉄化合物(B)の合計重量に基づく割合が0.000001〜0.05%である(B)を配合してpH12〜14とすることを特徴とする重金属固定化剤の安定性改良方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)のうち、ジチオカルバミン酸は、アミン(a)と二硫化炭素との反応により得られ、例えば特開平8−269434号公報に記載のものが挙げられる。該ジチオカルバミン酸にはモノ−および/またはポリジチオカルバミン酸が含まれる。
【0007】
(a)には、1級アミン、2級アミン、1、2級アミノ基含有アミン、その他のアミンおよびこれらの混合物が含まれる。
1級アミンとしては、脂肪族アミン〔モノアミン[炭素数1〜32、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−およびi−プロピルアミン、n−、i−およびsec−ブチルアミン、アミルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミンおよびアイコサミン、アルカノールアミン(例えばエタノールアミンおよびプロパノールアミン)]およびポリアミン(炭素数2〜32、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン)];脂環式アミン[モノアミン(炭素数5〜32、例えばシクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンおよびメチルシクロヘキシルアミン)およびポリアミン(炭素数6〜32、例えば1,3−シクロペンタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミンおよび1,4−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン)];芳香(脂肪)族アミン[モノアミン(炭素数6〜32、例えばアニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミンおよびフェネチルアミン)およびポリアミン(炭素数6〜32、例えばフェニレンジアミン、ナフチレンジアミン、ジアミノフェニルエーテル、トルイレンジアミンおよびキシリレンジアミン)];およびこれらの混合物が挙げられる。
【0008】
2級アミンとしては、脂肪族アミン〔モノアミン[炭素数2〜32、例えば
ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、エチルヘキシルアミン、メチル−t−ブチルアミンおよびジn−ブチルアミン、アルカノールアミン(例えばジエタノールアミンおよびジプロパノールアミン)]およびポリアミン(炭素数2〜32、例えばN,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−プロピレンジアミンおよびN,N’−ヘキサメチレンジアミン)];脂環式アミン[モノアミン(炭素数6〜32、例えばN,N−メチルシクロペンチルアミンおよびN,N−メチルシクロヘキシルアミン)およびポリアミン(炭素数7〜32、例えばN,N’−ジメチル−1,3−シクロペンタンジアミンおよびN,N’−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジアミン)];芳香(脂肪)族アミン[モノアミン(炭素数7〜32、例えばメチルアニリン)およびポリアミン(炭素数6〜32、例えばN,N’−ジメチル−フェニレンジアミン)];複素環含有アミン[炭素数4〜32、例えば2級アミン:ピペラジン、ピペリジン、ホモピペラジン、1−メチルピペラジン、およびピペコリン];およびこれらの混合物が挙げられる。
【0009】
1、2級アミノ基含有アミンとしては、脂肪族アミン(炭素数4〜32、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、モノメチルアミノプロピルアミンおよびメチルイミノビスプロピルアミン);脂環式アミン(炭素数4〜32、例えばN−シクロヘキシルエチレンジアミン);芳香(脂肪)族アミン(炭素数7〜32、例えばN−メチルフェニレンジアミン);複素環含有アミン(炭素数5〜32、例えば1−アミノエチルピペラジン);およびこれらの混合物が挙げられる。
【0010】
その他のアミンとしては、メラミン、グアナミン、環状アミンの重合体(重量平均分子量300〜200万、例えばポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ−3−メチルプロピルイミンおよびポリ−2−エチルプロピルイミン)、不飽和アミンの重合体(重量平均分子量300〜200万、例えばポリビニルアミン、ポリアリルアミンおよびポリジアリルアミン)およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0011】
これらのうち、形成されるジチオカルバミン酸(塩)の耐熱安定性の観点から好ましいのは脂肪族2級アミンおよび複素環含有2級アミン、さらに好ましいのはジメチルアミン、ジエチルアミン 、ジn−ブチルアミン、およびとくに好ましいのはN,N’−ジメチルエチレンジアミンおよびピペラジン、最も好ましいのはピペラジンである。例えば(a)がピペラジンの場合、形成されるジチオカルバミン酸(塩)にはピペラジンジチオカルバミン酸(塩)および/またはピペラジンビスジチオカルバミン酸(塩)が含まれる。
【0012】
(A)がジチオカルバミン酸塩の場合、塩を構成する塩基(b)としては、例えば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウム)および前記アミン(a)が挙げられ、水溶液として使用する際に高濃度にできるとの観点から、好ましいのはアルカリ金属の水酸化物、ジエチルアミンおよびピペラジン、さらに好ましいのは水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。
【0013】
(A)の製造方法としては、特に限定は無く公知の製造方法(特開平8−269434号公報等)が使用できる。例えば、外部から温調可能なガラス製容器に水および(a)を投入し、十分に溶解させた後、塩基(例えば水酸化カリウム)を加え、撹拌下冷却しながら二硫化炭素を滴下して反応させる方法が挙げられる。この時の反応温度は、特に限定は無いが、通常0〜80℃、副反応防止の観点から好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは20〜60℃である。また該反応は発熱反応であり、上記温度範囲内とするため、反応中は冷却しながら行うことが好ましい。
該反応における(a)と二硫化炭素との当量比は、通常1/0.2〜1/3、副反応の防止の観点から好ましくは1/0.7〜1/1.5、(a)と塩基の当量比は、通常1/0.2〜1/5、好ましくは1/0.5〜1/2である。
また、水の使用量は、(A)の重量に基づいて通常10〜90%、好ましくは30〜80%である。
【0014】
鉄化合物(B)としては、例えば鉄粉、還元鉄(例えばFeO)、酸化鉄(例えばFe2O3およびFe3O4)、水酸化鉄[例えばFe(OH)2およびFe(OH)3]、塩化鉄(例えばFeCl2およびFeCl3)、硫化鉄(例えばFeS、Fe2S3およびFeS2)、硫酸鉄[例えばFeSO4、FeSO4・Fe2(SO4)3およびFe2(SO4)3]、硝酸鉄[Fe(NO3)2およびFe(NO3)3]、過塩素酸鉄[例えばFe(ClO4)およびFe2(ClO4)3]、リン酸鉄[Fe3(PO4)2およびFePO4]、クエン酸鉄アンモニウム[例えばFe(NH4)2H(C6H5O7)2(?)]、アセト酢酸鉄[例えばFe(CH3COCH2COO)2およびFe2(CH3COCH2COO)3]、乳酸鉄[例えばFe(CH3CHOHCOO)2およびFe(CH3CHOHCOO)3]、シュウ酸鉄[例えばFeC2O4およびFe2(C2O4)3〕、ジチオカルバミン酸鉄[例えばピペラジンジチオカルバミン酸鉄およびジエチルジチオカルバミン酸鉄]およびこれらの混合物が挙げられる。
これらのうち有害ガス抑制の観点から好ましいのは水酸化鉄、塩化鉄、硫化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄およびジチオカルバミン酸鉄、さらに好ましいのは塩化鉄、硫酸鉄およびジチオカルバミン酸鉄である。
【0015】
(A)と(B)の合計重量に対する(B)の割合は、有害ガス(例えば二硫化炭素、硫化水素および二酸化硫黄、以下同じ)の発生抑制の観点から好ましい下限は0.000001%、さらに好ましくは0.000005%、とくに好ましくは0.00001%、最も好ましくは0.00003%であり、低温(約0℃)や希釈時での保存安定性および水への溶解性(析出物の発生)の観点から好ましい上限は0.05%、さらに好ましくは0.01%、とくに好ましくは0.005%、最も好ましくは0.002%である。
【0016】
本発明の重金属固定化剤は、(A)を製造した後に(B)を配合してもよいし、(A)を製造する際に(B)を配合しておいてもよい。該重金属固定化剤中の(B)の割合は、例えば蛍光X線分析装置を用いてFe含量を測定することにより求めることができる。
本発明の重金属固定化剤の全重量に基づく(A)と(B)の合計含有率は、重金属の固定化効果の観点から好ましくは10〜100%、さらに好ましくは20〜100%である。
【0017】
本発明の重金属固定化剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、さらにその他の重金属固定化剤(C)を含有させてもよい。
(C)には、(A)を除く公知の、有機系重金属固定化剤(C1)および無機系重金属固定化剤(C2)が含まれる。
(C1)としては、例えば特開平8−269434号公報に記載のもの、例えばチオカルバミン酸基、チオアミド基、チオウレイド基、キサントゲン酸基、チオール基、チオフェノール基およびこれらのアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウム)、アンモニウムまたはアミン(炭素数1〜8のモノ−、ジ−およびトリアルキルアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンおよびトリエチルアミン)塩基を有する化合物が挙げられる。
(C2)としては、例えば一硫化ナトリウム、ポリ(2〜5)硫化ナトリウムおよび硫化水素ナトリウムが挙げられる。
これらのうち、重金属の固定化効果の観点から好ましいのは(C1)、さらに好ましいのはチオカルバミン酸基およびこれらのアルカリ金属塩基を有する化合物[例えば、ジメチルチオカルバミン酸、ジエチルチオカルバミン酸、ジプロピルチオカルバミン酸、ジブチルチオカルバミン酸およびこれらのアルカリ金属塩]である。
【0018】
(C)の使用量は、重金属固定化剤の全重量に基づいて、有害ガス抑制の観点から、好ましくは70%未満、さらに好ましくは0.1〜50%、とくに好ましくは1〜30%である。
【0019】
本発明の重金属固定化剤を用いて後述の重金属含有物(D)を処理するに際しては、(1)該重金属固定化剤1種単独使用する方法、(2)該重金属固定化剤の2種以上の混合物として使用する方法、(3)該重金属固定化剤1種または2種以上にさらに(C)を含有させた混合物として使用する方法、および(4)該(2)および(3)における各重金属固定化剤を別々に順序不同で被処理物に添加して使用する方法、のいずれを採用してもよい。
上記(2)において、混合物として使用する方法としては、予め異なる重金属固定化剤を別々に製造した後混合して用いる方法と、2種以上の混合物を一度に製造する方法が挙げられる。
2種以上の混合物を一度に製造する方法には、上記の製造方法等に従って製造する際に、2種以上の前記アミン(a)と二硫化炭素を反応させる方法が含まれる。これらのうち製造コストの観点から、2種以上の混合物を一度に製造する方法が好ましい。
【0020】
本発明の重金属固定化剤の形態は、固体もしくは該重金属固定化剤を水に溶解した水溶液のいずれであってもよい。水溶液の場合の重金属固定化剤の純分含量は、運搬コストの観点から、好ましい下限は10重量%、さらに好ましくは20重量%、とくに好ましくは30重量%、最も好ましくは35重量%であり、低温保存時の安定性の観点から好ましい上限は70重量%、さらに好ましくは60重量%、とくに好ましくは55重量%、最も好ましくは50重量%である。また形態が水溶液の場合のpHは、保存時の安定性の観点から該重金属固定化剤水溶液の濃度でのpH(25℃)として好ましくは11〜14、さらに好ましくは12〜14である。
【0021】
本発明の重金属固定化剤は、ブロック状固体、粉体、液体、スラリーおよびペーストなど、種々の性状の重金属含有物中の重金属の固定化に有効であるが、焼却(飛)灰、鉱滓、土壌および汚泥などの固体粉末やスラリーまたは工場排水、洗煙排水、廃棄物埋め立て処分場の浸出水などの水溶液や懸濁液である重金属含有物(D)中の重金属の固定化においてさらに効果的であり、高温の焼却(飛)灰中の重金属の固定化にはとくに効果的である。
【0022】
本発明の重金属固定化剤の使用量は、該重金属含有物中に含まれる重金属含有量によって任意に調整可能であり特に限定は無いが、重金属含有物の重量(固体、粉体、ペーストの場合はそれらの全重量、また、液体、スラリーの場合は固形分の全重量)に基づいて固形分として、下限は重金属固定化効果の観点から好ましくは0.1%、さらに好ましくは0.2%、とくに好ましくは0.3%であり、上限は薬剤コストの観点から好ましくは30%、さらに好ましくは20%、とくに好ましくは10%である。
【0023】
本発明の重金属固定化剤を添加する際の重金属含有物の温度は、固体粉末の場合、下限は処理時に温度調整をすることがなく、処理コスト低減の観点から好ましくは20℃、さらに好ましくは50℃、とくに好ましくは80℃、最も好ましくは100℃、上限は有害ガス抑制の観点から好ましくは400℃、さらに好ましくは350℃、とくに好ましくは300℃、最も好ましくは250℃である。
前記従来の重金属固定化剤では安定に処理できなかった高温の焼却(飛)灰(温度100〜300℃)についても、耐熱性に優れる本発明の重金属固定化剤は安定に処理できる性能を有することから、好適に用いられる。
また水を含有する上記スラリー、水溶液または懸濁液の場合は、下限は本発明の重金属固定化剤を有効に作用させるとの観点から好ましくは5℃、さらに好ましくは10℃、上限は大がかりな処理装置を要しないとの観点から好ましくは100℃、さらに好ましくは90℃である。
【0024】
本発明の重金属固定化剤の被処理物への添加方法としては、特に限定されることはなく、前記固体もしくは水溶液の形態のまま被処理物に添加する方法、予め該固体を水に溶解または該水溶液を希釈(例えば約10倍)して重金属固定化剤含量0.1〜70重量%の水溶液とした後に被処理物に添加してもよい。また該重金属固定化剤と水を別々に順序不同で添加してもよい。
【0025】
本発明の、重金属含有物(D)の処理方法において、(D)が固体粉末またはスラリーである場合は、重金属固定化剤および必要により水を、固体粉末またはスラリーの表面に散布するだけでもよいが、重金属の固定化効果の観点から固体粉末またはスラリーに添加して混練することがより好ましい。さらに、固体粉末が焼却(飛)灰の場合には、上記添加方法に加え、煙道排ガス中に重金属固定化剤の水溶液を噴霧して添加してもよい。
また、(D)が水溶液または懸濁液などの排水である場合は、重金属固定化剤および必要により水を排水に添加するだけでもよいが、該排水に添加した後に撹拌して重金属を不溶化せしめることがより好ましい。
【0026】
本発明の、重金属含有物(D)の処理方法においては、必要により通常用いられる凝集剤やpH調整剤を併用してもかまわない。
凝集剤としては、無機系〔例えば硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄および塩化第2鉄〕、有機系〔例えばポリ(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリルアミド系ポリマー[例えばポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルアミド部分加水分解物、ポリ(メタ)アクリルアミドメチロール化カチオン化物、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸(塩)共重合物、(メタ)アクリルアミドとジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合物の4級化物および(メタ)アクリルアミドとジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級化物の共重合物]、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレートポリマーの4級化物、ポリエチレンイミンおよび天然物系[例えばグアーガム、アルギン酸塩およびキトサン]〕が挙げられる。
凝集剤を併用する場合の使用量は、重金属含有物(D)の重量(固体、粉体、ペーストの場合はそれらの全重量、また、液体、スラリーの場合は固形分の全重量)に基づいて、通常5重量%以下、十分な凝集効果を発揮させるとの観点から好ましくは0.0001〜3重量%である。
【0027】
pH調整剤としては、特に限定はなく、酸性物質としては例えば鉱酸(例えば硫酸、塩酸およびリン酸)、無機固体酸性物質(例えば酸性リン酸ソーダ、酸性ぼう硝、塩化アンモン、硫安、重硫安およびスルファミン酸)、有機酸(炭素数2〜24、例えばシュウ酸およびこはく酸);アルカリ性物質としては無機アルカリ性物質(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、消石灰、生石灰およびアンモニア)および有機アルカリ性物質(例えばグアニジン)が挙げられる。
pH調整剤を併用する場合の使用量は、(D)の性状により任意に調整可能であり特に限定は無いが、(D)の重量(固体、粉体、ペーストの場合はそれらの全重量、また、液体、スラリーの場合は固形分の全重量)に基づいて、通常30重量%以下、処理後の重量を低減させるとの観点から好ましくは0.1〜10重量%である。
【0028】
上記固体粉末またはスラリーに添加して混練する際の混練装置としては、特に限定はなく通常のもの、例えばニーダー、ホバートミキサー等が挙げられる。
また上記排水に添加して撹拌する際の撹拌装置としては、特に限定は無く、撹拌ができるものであれば全ての撹拌装置を用いることができる。
【0029】
(D)に含まれる重金属としては、例えば鉛、カドミウム、銅、亜鉛、水銀、クロム、ニッケル、ヒ素、セレン等が挙げられるが、本発明の重金属固定化剤はこれらのうち、特に鉛、カドミウム、銅、亜鉛、水銀およびニッケルに対して重金属固定化効果が高い。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。
【0031】
実施例1
冷却・撹拌が可能で、窒素置換が可能な反応容器にイオン交換水269部、ピペラジン100部を仕込み完全に溶解した後、48.5%の水酸化カリウム水溶液269部を仕込み、200rpmで撹拌した。反応容器中の固形物がスラリー状になったことを確認した後、窒素雰囲気下、35℃にて二硫化炭素177部を2時間かけて滴下、反応させた。滴下終了後、同温度にて3時間熟成を行うことによってピペラジンビスジチオカルバミン酸カリウム(A1)の45%水溶液を得た。(A1)の45%水溶液100部と、塩化第二鉄(B1)の0.2%水溶液を水酸化カリウムでpH12に調整した混合溶液0.4部を混合、撹拌し本発明の重金属固定化剤(X1)の45%水溶液を得た。蛍光X線分析装置[SXF−1200BF (株)島津製作所製]でFe含量を測定した結果、(A1)と(B1)の合計重量に基づく(B1)の割合は、0.0018%であった。
【0032】
実施例2
イオン交換水1,277部、ピペラジン100部、48%の水酸化ナトリウム水溶液194部および塩化第二鉄(B1)の0.2%水溶液を水酸化ナトリウムでpH12に調整した混合溶液1部を仕込み、実施例1と同様にして二硫化炭素177部を滴下、反応させた後、熟成してピペラジンビスジチオカルバミン酸ナトリウム(A2)を生成することにより本発明の重金属固定化剤(X2)の21%水溶液を得た。Fe含量を測定した結果、(A2)と(B1)の合計重量に基づく(B1)の割合は、0.0005%であった。
【0033】
試験例1、2、比較試験例1
本発明の重金属固定化剤(X1)、(X2)および比較の重金属固定化剤(A1)の各水溶液50gを200ml(直径5cm×高さ10.2cmの円筒形)のガラス容器に秤取り、容器内を窒素置換して密封、30℃で7日間静置後、容器内の二硫化炭素および硫化水素濃度を検知管[二硫化炭素は(株)ガステック製NO.13検知管、硫化水素は(株)ガステック製NO.4LL検知管]にて測定した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
試験例3、4、比較試験例2
ゴミ焼却により生じた焼却飛灰50部に、上記本発明の重金属固定化剤(X1)、(X2)および比較の重金属固定化剤(A1)の各水溶液を重金属固定化剤の固形分として0.17部、水10部を添加し、80℃、10分間スパテルを用いて混練した。混練後の処理飛灰と未処理飛灰について溶出試験(環境庁公示13号)を行い溶出した鉛イオン濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
本発明の重金属固定化剤およびその安定性改良方法は下記の効果を奏することから極めて有用である。
・重金属固定化剤
(1)固体粉末、スラリー、水溶液もしくは懸濁液等の重金属含有物中の重金属の固定化性能に優れる。
(2)耐熱性に優れ高温の焼却(飛)灰も安定に処理できる。
・安定性改良方法
重金属の固定化効果を損なうことなく、重金属固定化剤の保存、輸送および使用の際の有毒ガスの発生を抑制し、安全性および作業性を改善する。
Claims (8)
- ジチオカルバミン酸および/またはその塩(A)の水溶液と鉄化合物(B)を配合してなるpH12〜14の重金属固定化剤において、(A)と(B)の合計重量に基づく(B)の割合が0.000001〜0.05%である重金属固定化剤。
- (A)がピペラジン(ビス)ジチオカルバミン酸および/またはその塩である請求項1記載の重金属固定化剤。
- (B)が水酸化鉄、塩化鉄、硫化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄およびジチオカルバミン酸鉄からなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物である請求項1または2記載の重金属固定化剤。
- さらに、その他の重金属固定化剤(C)を含有させてなる請求項1〜3のいずれか記載の重金属固定化剤。
- 重金属を含有する、固体粉末、スラリー、水溶液または懸濁液に請求項1〜4のいずれか記載の重金属固定化剤および必要により水を含有させて撹拌または混練する重金属含有物(D)の処理方法。
- (D)が焼却(飛)灰である請求項5記載の処理方法。
- 焼却(飛)灰の温度が100〜300℃である請求項6記載の処理方法。
- ジチオカルバミン酸および/またはその塩(A)の水溶液に、(A)と鉄化合物(B)の合計重量に基づく割合が0.000001〜0.05%である(B)を配合してpH12〜14とすることを特徴とする重金属固定化剤の安定性改良方法。
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