JP4081945B2 - 車両用電気機械式衝撃検出装置 - Google Patents

車両用電気機械式衝撃検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エアバッグ装置やシートベルトプリテンショナ等の乗員保護システムに採用するに適した加速度検出装置や衝突検出装置等の電気機械式衝撃検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、車両用エアバッグ装置に採用される電気機械式衝撃検出装置としては、特開平9−306311号公報に示すような衝突検出装置がある。この衝突検出装置においては、ロータがその回動軸から偏心して位置するウェイトを備えている。そして、ロータがウェイトの偏心重量に応じて所定量回動したとき、この回動により車両の衝突を検出するようになっている。このことは、当該衝撃検出装置の衝突検出レベルは、ロータの所定量回動時に対応しており、単一レベルであることを意味する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、単一の衝撃レベルの検出信号を出力する電気機械式衝撃検出装置を用いる場合、エアバッグ装置の多段制御を行おうとすると、不規則衝突の展開速度があがってしまい、必要な制御ができないという問題がある。
【0004】
また、エアバッグ装置の多段制御を行わない場合でも、車両によっては、不規則衝突で衝突検出が遅れ、必要時間以内にエアバッグを展開できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処すべく、車両に対する検出すべき衝撃レベルを複数設けることで、乗員保護装置の多段制御対応、不規則衝突での乗員保護装置の作動遅れを改善するような衝撃検出を可能とする車両用電気機械式衝撃検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、請求項1に記載の発明に係る車両用電気機械式衝撃検出装置は、車両の適所に回動中心にて回動可能に支持されて前記回動中心から偏心する重量中心を有し車両に生ずる衝撃に応じ付勢手段(70、85、86)の付勢に抗して前記回動中心を基準に回動する回動体(50)と、前記衝撃の少なくとも第1及び第2の各衝撃レベルに対応する前記回動体の回動量にて順次閉成する各スイッチ(82乃至84、85、86)とを備えて、これら各スイッチの各閉成でもって前記少なくとも第1及び第2の各衝撃レベルを検出するようにした車両用電気機械式衝撃検出装置であって、前記回動体に前記回動中心と同軸的に設けられて前記衝撃に伴い前記回動体と一体的に回動するカム(52乃至55)と、前記回動体の回動中心と同軸的に位置する補助ロータ(60)とを備え、前記各スイッチは、固定接点(82乃至84)と、前記カムの回動に応じてそのカム面との接触により押されて湾曲し前記固定接点に接触して閉成する板ばね状可動接点(85、86)とを備えており、前記付勢手段は、前記回動体を初期回動位置に向け付勢する第1ばね(85)と、前記回動体が前記第1ばねの付勢に抗して所定回動した後に当該回動体をその回動に抗して同時に或いは順次付勢する複数の第2ばね(70、86)とを備えており、前記第1ばねは、前記板ばね状可動接点と兼用されており、前記複数の第2ばねの一つは、前記回動体の回動中心と同軸的に位置する捻りコイルばね(70)であって、この捻りコイルばねは、その一端にて静止部材に固定され、その他端にて前記補助ロータの一部に固定されて、当該補助ロータを介し前記回動体をその回動に抗して付勢することを特徴とする
【0007】
このように、少なくとも第1及び第2の各衝撃レベルに対応する変位体の変位量にて順次閉成する各スイッチをもつことで、少なくとも第1及び第2の各衝撃レベルを検出して出力できる。従って、エアバッグ装置等の乗員保護装置の多段制御に関しては、当該多段制御が、例えば、エアバッグ装置の多段制御である場合、例えば、OFF、Lo展開、Hi展開の3段階であるとすると、従来技術である単一の衝撃レベルの検出では、OFF、ONの切り分けしかないため、3段階の切り分けは不可能であるが、本発明では、少なくとも2つの検出すべき衝撃レベルを有すれば、1つ目をOFFとLo展開、2つめをLo展開とHi展開の切り分けに使用することで対応可能となる。
【0008】
次に、不規則衝突でのエアバッグ展開の改善に関しては、図37にて示すエアバッグON要件衝突、エアバッグOFF要件衝突を切り分けようとした場合、従来技術の単一の衝撃レベルでは、ON要件の応答遅れが発生するが、本発明では、少なくとも2つの検出すべき衝撃レベルを有し、その制御として、例えば、1つ目の衝撃レベルと2つ目の衝撃レベルの作動時間差を用い、その時間差が所定時間以内ならON、所定時間を超えるとOFFと切り分ければ、応答遅れなくエアバッグを展開することが可能となる。さらに、所定時間を2つ以上設けることにより、例えば、OFF/Lo/Hi、OFF/Lo/Mid/Hiのように、衝撃をより細かく識別することが可能となる
【0011】
また、請求項1に記載の発明によれば、回動体を付勢するばねを複数有し、そのばねのうち少なくとも一つである第1ばねは、回動体の初期付勢用として用い、残りのばねである第2ばねを、回動体が所定量回動してから付勢力が当該回動体に付勢力が加わるように使用する。従って、回動体にかかる付勢力を1個のばねで発揮するよりも、ばねの応力限界を超えない範囲で回動体に大きな付勢力をかけることができるとともに、回動体の回動量により回動体にかかる付勢力のきめ細かな制御が可能となる。また、請求項1に記載の発明によれば、前記複数の第2ばねの一つは、回動体の回動中心と同軸的に位置する捻りコイルばねであって、この捻りコイルばねは、その一端にて静止部材に固定され、その他端にて補助ロータの一部に固定されて、当該補助ロータを介し回動体をその回動に抗して付勢する。これにより、回動体の捻りコイルばねの付勢力がかかったとき、捻りコイルばねの他端が捻れて衝撃検出装置の作動ばらつきが大きくなることを防ぐ。
【0012】
また、請求項2に記載は、請求項1に記載の車両用電気機械式衝撃検出装置において、可動接点がカム面のうちスイッチの閉成後カムの回動に伴い接触するカム面部分は、可動接点の湾曲量を増大させないような形状となっていることを特徴とする。このように、可動接点がカム面のうちスイッチの閉成後カムの回動に伴い接触するカム面部分は、可動接点の湾曲量を増大させないような形状となっていることで、回動体にかかる付勢力全体、即ち、第1ばねによる付勢力と板ばね状可動接点による付勢力のうち板ばね状可動接点による付勢力の割合が小さくなる。このため、衝撃検出装置の作動ばらつきを低減しつつ請求項に記載の発明の作用効果を達成できる
【0016】
また、請求項に記載の発明、請求項1又は2に記載の車両用電気機械式衝撃検出装置において、各スイッチの閉成に基づき少なくとも第1及び第2の衝撃レベルにあわせて階段状に変化する値にてそれぞれ検出信号を発生する検出信号発生手段を備えることを特徴とする。
【0017】
このように、少なくとも第1及び第2の衝撃レベルを各スイッチの閉成順に検出することで、請求項1又は2に記載の発明の作用効果を達成しつつ、正確な衝撃レベルの検出が可能となる
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態について図面により説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1乃至図3は本発明に係る電気機械式衝撃検出装置の第1実施形態を示している。この衝撃検出装置は、本第1実施形態では、自動車用エアバッグ装置に採用される。当該衝撃検出装置は、外側ハウジング10及び内側ハウジング20を備えており、ハウジング10は、その低壁に設けたブラケット11により、当該自動車の車体の適所に装着されている。
【0022】
内側ハウジング20は、図1乃至図3にて示すごとく、外側ハウジング10内に組み付けられている。このハウジング20は、図2にて示すごとく、ハウジング部20aからコネクタ20bを一体に延出して構成されており、ハウジング部20aは、ハウジング10の底部側に位置し、コネクタ20bは、ハウジング10の開口側に位置している。コネクタ20bは、その接続部21にて、ハウジング10の開口部12を介し外部に対向している。なお、図2にて符号22はコネクタ20bの各ターミナルを示す。また、図1及び図2にて符号10aは、機密性充填材を示す。
【0023】
また、当該衝撃検出装置は装置本体Aを備えており、この装置本体Aは、図1乃至図3にて示すごとく、両ハウジング10、20内に組み付けられている。装置本体Aは、機械的応動部Aaと、電気的回路部Abとにより構成されている。機械的応動部Aaは、内側ハウジング20のハウジング部20a内に組み付けられ、電気的回路部Abは、ハウジング部20aの低壁側にてハウジング10内に組み付けられている。
【0024】
機械的応動部Aaは、ケーシング30と、回動軸40と、主ロータ50と、補助ロータ60と、捻りコイルばね70と、接点機構80とを備えている。ケーシング30はハウジング部20a内に組み付けられている。このケーシング30は、図4乃至図9にて示すような形状を有するように電気絶縁性合成樹脂材料により形成されており、このケーシング30は、その四角環状基部31(図5乃至図9参照)にて、接点機構80のベース81(後述する)に図1乃至図3にて図示上方から嵌装されて着座している。
【0025】
回動軸40は、図1にて示すごとく、その両端部にて、ケーシング30の両支柱部32の各先端凹部32a(図5乃至図7参照)内に回動可能に嵌装支持されている。主ロータ50は、図1にて示すごとく、補助ロータ60及び捻りコイルばね70と共に回動軸40に同軸的に嵌装されている。
【0026】
主ロータ50は、板状ウエイト51と、板状の両カム52、53とを備えている。ウエイト51は、図1及び図10乃至図12にて示すように、その回動中心から重量中心を偏心させるような板形状にて形成されている。即ち、ウエイト51は、その回動中心に位置する段付き筒状ボス51aと、このボス51aから重量中心を偏心させるウエイト部51bとにより構成されている。ここで、ウエイト51は、ボス51aにて、回動軸40のうち図1にて図示左側部に同軸的に嵌装されて、ウエイト部51bを回動軸40の下方に位置させている。
【0027】
しかして、ウエイト51は、その回動中心と重量中心との偏心のもと、ウエイト部51bの肩部51cにて、ケーシング30の上端係止部33(図2及び図5参照)に下方から初期的に係止する。なお、上端係止部33はウエイト51に対する初期ストッパとしての役割を果たす。
【0028】
カム52は、ボス51aの図10にて図示左側小径部からウエイト部51bの左側面に沿い延出するように、ウエイト部51bと一体に形成されており、このカム52は、図10及び図11にて示すような平板形状に形成されている。当該カム52は、両カム面52a、52bを備えており、カム面52bは、ボス51a、即ち回動軸40の回動中心を中心とする円弧面となっている。また、カム面52aはカム面52bの図11にて図示右端から当該カム面52bに対し平面状に右側上方に向け交差するように形成されている。
【0029】
また、カム53は、ボス51aの図10にて図示右側大径部からウエイト部51bの右側面に沿い延出するように、ウエイト部51bと一体に形成されており、このカム53は、図10及び図12にて示すようなL字板形状に形成されている。カム53は、両カム部54、55を一体に備えており、カム部54は、カム部55の図12にて図示右側に位置している。
【0030】
ここで、カム部54は、図10にて示すごとくウエイト部51bの右側面からカム部55よりも長く右方へ延出しており、カム部54は、ウエイト51の回動軸を中心とする円弧状カム面54aを備えているとともに、カム部55はウエイト51の回動軸を中心とする円弧状カム面55aを備えている。
【0031】
補助ロータ60は、図1にて示すごとく、主ロータ50と捻りコイルばね70との間にて回動軸40に同軸的に嵌装されている。この補助ロータ60は、図13乃至図15にて示すごとく、板状ロータ部61と、筒状ボス部62と、腕部63と、台形状係合部64とを一体に備えている。
【0032】
ボス部62は、ロータ部61にその板面に直交して形成されており、このボス部62は回動軸40に同軸的に嵌装されている。腕部63は、ロータ部61の図13にて図示左側面からボス部62の軸に平行にこのボス部62とは逆方向へ突出形成されている。また、台形状係合部64は、ボス部62と同一側にてこのボス部62に対し図13乃至図15にて示す位置にてロータ部61に形成されている。
【0033】
捻りコイルばね70は、図1にて示すごとく、補助ロータ60とケーシング30の一側支柱部32との間にて回動軸40に同軸的に嵌装されている。この捻りコイルばね70は、その一端部71にて、補助ロータ60の腕部63の係止穴部63a内に挿入されて係止しており、当該捻りコイルばね70の他端部72は、ケーシング30の壁部34に形成した係止穴部34a内に挿入されて係止している(図1、図13、図4、図7参照)。これにより、捻りコイルばね70は、係止穴部34aを基準に、補助ロータ60を図1にて紙面の裏側方向への回動方向(図2にて主ロータ50の時計方向への回動方向)に付勢するように、捻れ力を付与されている。
【0034】
接点機構80は、図1乃至3にて示すごとく、ベース81を備えており、このベース81は、上述のごとく、ケーシング30の基部31内に嵌着されている。また、接点機構80は、図1、図2、図16乃至図19にて示すごとく、長手板状の各固定接点82、83、84と、長手板状の各可動接点85、86とを備えている。
【0035】
固定接点82は、可動接点85と共に、主ロータ50の図1にて図示左側にてベース81にその板厚方向に挿通されて固定されている。また、固定接点83、84は、可動接点86と共に、主ロータ50の図1にて図示右側にてベース81にその板厚方向に挿通されて固定されている。なお、各固定接点82、83、84は剛性の高い導電金属材料により形成されており、各可動接点85、86は、導電性ばね材料により形成されている。
【0036】
可動接点85は固定接点82に対向して位置しこの固定接点82と共に常開型スイッチ(以下、第1スイッチという)を構成している。また、可動接点86は二股状の両可動接点部86a、86bを有しており、これら各可動接点部86a、86bは、それぞれ、各固定接点83、84に対向して位置しこれら各固定接点83、84と共に各常開型スイッチ(以下、第2及び第3のスイッチという)を構成する。
【0037】
ここで、各固定接点82、83、84の各上端部82a、83a、84aは、主ロータ50の図2にて反時計方向への回動方向に屈曲している。また、図17にて示すごとく、可動接点85の先端部85aは固定接点82の先端部82aに向けL字状に屈曲し、可動接点86の各可動接点部86a、86bの先端部は、共にくの字状に屈曲している。
【0038】
但し、固定接点83、84の上端部83a、84aはほぼL字状に屈曲しているのに対し、固定接点82の上端部82aの屈曲度合いは上端部83a、84aよりも小さい。なお、各固定接点82、83、84及び各可動接点85、86の板厚方向は、主ロータ50の図2にて反時計方向への回動方向に向いている。また、可動接点86は、チャタリング防止のため、その可動接点部86a、86bにてその弾力に抗してケーシング30の係止部35に図3にて図示下方から係止している。
【0039】
電気的回路部Abは、断面U字状リッド90を備えており、このリッド90内には、プリント基板100が支持されている。このプリント基板100には、接点機構80の各固定接点82、83、84及び各可動接点85、86が、その下端部にて挿入されて、プリント基板100の配線部に電気的に接続されている。
【0040】
また、電気的回路部Abは、図1乃至図3及び図20にて示すごとく、各抵抗R1乃至R3を備えており、これら各抵抗R1乃至R3は直列接続されている。また、抵抗R1は、固定接点82及び可動接点85の各下端部間にプリント基板100を介し配線接続されている。
【0041】
抵抗R2は、その一端にて、抵抗R1、可動接点86の下端部及びプリント基板100を介し可動接点86の可動接点部86aに配線接続されており、この抵抗R2の他端は固定接点83の下端部にプリント基板100を介し配線接続されている。また、抵抗R3は、その一端にて、両抵抗R2、R1、可動接点86の下端部及びプリント基板100を介し可動接点86の可動接点部86bに配線接続されており、この抵抗R3の他端は固定接点84の下端部にプリント基板100を介し配線接続されている。
【0042】
これにより、各抵抗R1、R2及びR3の抵抗値をr1、r2及びr3とすると、可動接点85及び固定接点82からなる第1スイッチ、可動接点86の可動接点部86a及び固定接点83からなる第2スイッチ、及び可動接点部86b及び固定接点84からなる第3スイッチが共に開状態にあるとき、電気的回路部Abにおける合成抵抗値Rは、r1、r2及びr3の和となる(図21参照)。また、上記第1スイッチのみが閉状態にあるとき合成抵抗値Rは、r2及びr3の和となる(図21参照)。また、上記第2スイッチが上記第1スイッチの閉状態か否かにかかわらず閉状態にあるとき合成抵抗値Rはr3となる(図21参照)。また、上記第3スイッチが閉状態にあるとき上記合成抵抗値は零となる(図21参照)。
【0043】
以上のように構成した本第1実施形態において、主ロータ50が、図2、図22及び図23にて示す位置(初期位置)にあるとき、ウエイト51は、その肩部51cにて、ケーシング30の上端係止部33に下方から係止している(図2及び図22参照)。このとき、上記第1乃至第3の各スイッチは共に開状態にあり、可動接点85の先端部85aは、その基部にて、主ロータ50のカム52のカム面52aにその右側から左方へ向け当接している。
【0044】
このような状態において、当該自動車が走行状態から衝突時のように急激に停止に至る場合には、当該自動車に減速度が生ずる。この減速度に起因する衝撃が主ロータ50に図2にて図示右方へ向け作用すると、ウエイト51の重量重心がウエイト51の回動中心である回動軸40の軸心から偏心しているため、ウエイト51は、慣性の法則により重量重心にモーメントを生じ、主ロータ50が回動軸40を中心として図24にて図示反時計方向に回動し始める。
【0045】
このとき、上述のごとく、可動接点85の先端部85aは、その基部にて、主ロータ50のカム52のカム面52aにその右側から左方へ向け当接しているため、可動接点85の先端部85aは、主ロータ50の上記反時計方向への回動に伴い、カム面52aにより右方へ押されて弾性変形して変位する。これに伴い、可動接点85はその先端部85aにて固定接点82の先端部82aに接触する(図24参照)。
【0046】
さらに、主ロータ50が同一方向に回動すると、カム52がそのカム面52aにより可動接点85の先端部85aと固定接点82の先端部82aとの接触荷重を増大させる。この接触荷重の増大に伴う可動接点85の所定変位後、主ロータ50は、そのウエイト51にて、補助ロータ60の腕63に当接する(図25参照)。
【0047】
さらに、主ロータ50が同一方向に回動すると、主ロータ50は、その逆回動方向に向けて捻りコイルばね70の捻り力を受けることになる。ついで、主ロータ50が捻りコイルばね70の捻り力に抗してさらに同一方向に回動すると、カム面52aと接触していた可動接点85の先端部85aが、カム面52aから外れてカム52のカム面52bに接触し始める(図26参照)。ここで、カム52のカム面52bは主ロータ50の回動中心を中心とする円弧面であるため、可動接点85はカム面52bによって湾曲量が増大しないことになる。従って、可動接点85が主ロータ50に与える力のうち、付勢力は零となり、可動接点85とカム52のカム面52bとの間の摩擦力のみとなる。
【0048】
仮に、可動接点85がカム面52bとの接触以後も上述とは異なり主ロータ50の回動に伴い変位していくとすると、主ロータ50の受ける力は、捻りコイルばね70の捻り力に加え、可動接点85の付勢力及び当該可動接点85のカム面52bとの摩擦力が加わることになる。ここで、衝撃検出装置で検出すべき第2及び第3の衝撃レベル(図33参照)のばらつきを考慮すると、主ロータ50に加わる力の数はできる限り少ない方が有利である。そこで、本実施形態では、主ロータ50に加わる力の数を少なくするために、可動接点85が接触するカム面52bの形状を上述のごとく主ロータ50の回動中心を中心とする円弧面形状とした。
【0049】
さらに、主ロータ50が同一方向に回動すると、カム部55が可動接点86の可動接点部86aに当たりこの可動接点部86aを変位させる。さらに、主ロータ50が同一方向に回動すると、可動接点86がその可動接点部86aにて固定接点83の先端部83aに接触する(図27参照)。
【0050】
さらに、主ロータ50が同一方向に回動すると、可動接点部86aの固定接点83の先端部83aに対する接触荷重が増大する。そして、主ロータ50がさらに所定量回動すると、可動接点86の可動接点部86aはカム部55のカム面55aに接触する(図28参照)。これは、可動接点85がカム面52aとの接触からカム面52bとの接触に移行する場合と同様の作用効果を確保するためである。
【0051】
さらに、主ロータ50が同一方向に回動すると、カム部54が可動接点86の可動接点部86bに当たりこの可動接点部86bを変位させる。さらに、主ロー他50が同一方向に回動すると、可動接点86がその可動接点部86bにて固定接点84の先端部84aに接触する(図29参照)。
【0052】
さらに、主ロータ50が同一方向に回動すると、可動接点部86bの固定接点84の先端部84aに対する接圧荷重が増大する。そして、主ロータ50がさらに所定量回動すると、可動接点86の可動接点部86bはカム部54のカム面54aに接触する(図30乃至図32参照)。これは、可動接点85がカム面52aとの接触からカム面52bとの接触に移行する場合と同様の作用効果を確保するためである。
【0053】
以上要約すれば、主ロータ50が受ける付勢力と当該主ロータ50の回動量との間の関係Aは図33にて示すようになる。ここで、(y1/x1)は、可動接点85のばね定数を表し、(y2/x2)は、捻りコイルばね70のばね定数を表し、(y1/x1)よりも大きい。また、符号aは、上記第1スイッチの閉成(可動接点85の固定接点82との接触)位置を示し、符号bは、上記第2スイッチの閉成(可動接点部86aの固定接点83との接触)位置を示し、符号cは、上記第3スイッチの閉成(可動接点部86bの固定接点84との接触)位置を示す。
【0054】
図33によれば、主ロータ50の回動範囲のうち可動接点85が主ロータ50に付勢力を与える範囲では、主ロータ50が可動接点85により受ける付勢力は、ばね定数(y1/x1)でもって直線A1に沿って主ロータ50の回動量に伴い増大する。そして、捻りコイルばね70が主ロータ50に付勢力を与え始める直前の位置aにて、上記第1スイッチが閉成する。この閉成の位置が衝撃検出装置により検出すべき第1衝撃レベルに相当する。
【0055】
また、主ロータ50が受ける付勢力は、捻りコイルばね70の初期付勢力まで直線A2に沿い急激に増大した後、ばね定数(y2/x2)でもって直線A3に沿い、主ロータ50の回動に伴い増大する。この直線A3に沿う増大過程中の回動位置b及びcにおいて上記第2及び第3のスイッチが順次閉成する。これら両閉成位置のうち上記第2スイッチの閉成の位置bが衝撃検出装置により検出すべき第2衝撃レベルに相当し、また、上記第3スイッチの閉成の位置bが衝撃検出装置により検出すべき第3衝撃レベルに相当する。
【0056】
ここで、上述のように、捻りコイルばね70は、その一端71にて、補助ロータ60の腕部63の係止穴部63aに挿入され、その他端72にて、ケーシング30の係止穴部34aに挿入されているから、主ロータ50の回動時の捻りコイルばね70の腕71の捻れがなくなるため本衝撃検出装置の作動ばらつきを低減できる。
【0057】
また、上述のように、上記第1乃至第3のスイッチが図20にて示すごとく各抵抗R1乃至R3と接続されているから、上記第1乃至第3の衝撃レベルへの移行により、図21にて示すごとく、合成抵抗値Rが階段状に減少していく。従って、この合成抵抗値Rの変化を利用すれば、当該自動車の衝突による衝撃検出が3段階(オフを含めると4段階)にてなされ得る。
【0058】
また、上記第1乃至第3のスイッチと各抵抗R1乃至R3との接続を図34のようにすると、例えば、衝撃検出装置の上記第2衝撃レベルでの作動中に、上記第1スイッチが何らかの原因により開成するとき、図35にて符号Pにより示すごとく、上記第1衝撃レベルの抵抗値で出力している状態となり、誤検出の原因となる。
【0059】
これに対し、図20のような接続構成とすれば、例えば、衝撃検出装置の上記第2衝撃レベルでの作動中に、上記第1スイッチが何らかの原因により開成しても、上記第2衝撃レベルの抵抗値で出力するため、誤検出にはならない(図36にて符号Q参照)。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図38乃至図40に基づき説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べた補助ロータ60を廃止し、捻りコイルばね70の材質変更及び線径増大変更を行い、捻りコイルばね70自体の剛性により、主ロータ50の回動時に捻りコイルばね70の端部の捻れによる衝撃検出装置の作動ばらつきを低減するようにしてある。
【0060】
ここで、捻りコイルばね70は、その一端部71にて、上記第1実施形態にて述べた補助ロータ60に代えて、主ロータ50のウエイト51に円弧方向に長孔状に形成した長孔部51b内に挿入されており、この捻りコイルばね70の一端部71は、その基部にて、ケーシング30の係止部34bに図40にて図示左方から係止している。
【0061】
これにより、主ロータ50の所定回動量に伴い捻りコイルばね70の一端部71は、長孔部51bの内面の一回動方向端に当接する。なお、捻りコイルばね70の他端部72は、上記第1実施形態と同様に、ケーシング30の係止穴部34a内に挿入係止されている。また、捻りコイルばね70は、所定捻り角による付勢力を付与されて、上述のように係止されている。その他の構成は上記第1実施形態と実質的に同様である。
【0062】
このように構成した本第2実施形態において、当該自動車に減速度が生ずると、上記第1実施形態と同様に、主ロータ50が回動し、可動接点85が固定接点82に接触するに至り固定接点82との接圧荷重を増大させる。さらに、主ロータ50が同一方向に所定回動量だけ回動すると、ウエイト51の長孔部51bが、その内面の一部にて、捻りコイルばね70の一端部71に当接する。
【0063】
さらに、主ロータ50が同一方向に回動すると、主ロータ50は、捻りコイルばね70により付勢力を受けることとなる。このとき、捻りコイルばね70は上述のごとく線径の増大等の理由によりそれ自体の剛性が大きいため、主ロータ50により押されて弾性変形していく過程において捻りコイルばね70の一端部71が捻れることがない。従って、その後の衝撃検出装置の作動ばらつきを小さく抑制できる。その他の作動及び作用効果は上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る電気機械式衝撃検出装置の第3実施形態につき図41乃至図44を参照して説明する。
【0064】
本第3実施形態における衝撃検出装置は、上記第1実施形態と同様に、自動車用エアバッグ装置に採用される。当該衝撃検出装置は、図41乃至図44にて示すごとく、外側ハウジング100及び内側ハウジング110を備えており、ハウジング100は、その低壁に装着したブラケット101により、当該自動車の車体の適所に装着されている。
【0065】
内側ハウジング110は、図41乃至図43にて示すごとく、外側ハウジング100内に組み付けられている。このハウジング110は、ハウジング部110aからコネクタ110bを一体に延出して構成されており、ハウジング部110aは、ハウジング100の底部側に位置し、コネクタ110bは、ハウジング100の開口側に位置している。コネクタ110bは、その接続部111にて、ハウジング100の開口部102を介し外部に対向している。なお、図42にて符号112はコネクタ110bのターミナルを示す。
【0066】
また、当該衝撃検出装置は装置本体Bを備えており、この装置本体Bは、図41乃至図43にて示すごとく、両ハウジング100、110内に組み付けられている。装置本体Bは、機械的応動部Baと、電気的回路部Bbとにより構成されている。機械的応動部Baは、内側ハウジング110のハウジング部110a内に組み付けられ、電気的回路部Bbは、ハウジング部110aの低壁側にてハウジング100内に組み付けられている。
【0067】
機械的応動部Baは、ケーシング120と、回動軸130と、ロータ140と、接点機構150と、板ばね機構160を備えている。ケーシング120はハウジング部110a内に組み付けられている。このケーシング120は、図41乃至図44にて示すような形状を有するように電気絶縁性合成樹脂材料により形成されており、このケーシング120は、その四角環状基部121にて、接点機構150のベース151(後述する)に図41、図42にて図示上方から嵌装されて着座している。
【0068】
回動軸130は、その両端部にて、ケーシング120の両支柱部122、123の各先端部間に回動可能に支持されている。ロータ140は、回動軸130に同軸的に嵌装されており、このロータ140は、板状ウエイト141と、各接点カム142乃至144と、各付勢カム145、146とを一体的に備えている。
【0069】
ウエイト141は、図42、図43にて示すように、その回動中心(回動軸130の軸心)から重量中心を偏心させるような板形状にて形成されている。即ち、ウエイト141は、その回動中心に位置する筒状ボス141aと、このボス141aから重量中心を偏心させるウエイト部141bとにより構成されている。ここで、ウエイト141は、ボス141aにて、回動軸130に同軸的に嵌装されて、ウエイト部141bを回動軸130の下方に位置させている。
【0070】
しかして、ウエイト141は、その回動中心と重量中心との偏心のもと、ウエイト部141bの突起部141cにて、ベース151の係止部151aの先端傾斜面(図43参照)に斜め左側上方から初期的に係止する。なお、係止部151aはウエイト141に対する初期ストッパとしての役割を果たす。
【0071】
各接点カム142乃至144は、ウエイト141のボス141aのうち図41にて図示左側部の外周面に下方に向けウエイト141の左側面に沿い突出形成されている(図42参照)。これら各接点カム142乃至144は、接点カム142から接点カム144にかけて、ウエイト141の図41にて図示左側面から順次離れるように位置している。
【0072】
ここで、接点カム142は両カム面142a、142bを備え、接点カム143は両カム面143a、143bを備え、接点カム144は両カム面144a、144bを備えている。また、各カム面142a、143a、144aは、順次図42にて図示左方へずれて位置しており、各カム面142b、143b、144bは、回動軸130の軸心を中心とする同一円弧面となっている。
【0073】
各付勢カム145、146は、ウエイト141のボス141aのうち図41にて図示右側部の外周面に下方に向けウエイト141の右側面に沿い突出形成されている(図43参照)。これら各付勢カム145、146は、付勢カム145から付勢カム146にかけて、ウエイト141の図41にて図示右側面から順次離れるように位置している。ここで、各付勢カム145、146は、それぞれ、図43にて図示左方に臨むカム面145a、146aを備えており、カム面145aはカム面146aよりも左方へ位置ずれしている。
【0074】
接点機構150は、図41乃至図43にて示すように、ベース151を備えており、このベース151は、上述のごとく、ケーシング120の四角環状基部121内に嵌着されている。また、接点機構150は、図41乃至図44にて示すように、長手板状の各固定接点152、153、154と、長手板状の各可動接点155、156、157とを備えている。
【0075】
ここで、固定接点152は可動接点155と共に上記第1スイッチを構成し、固定接点153は可動接点156と共に上記第2スイッチを構成し、固定接点154は可動接点157と共に上記第3スイッチを構成する。このため、各固定接点152、153、154は、並列状にならんでケーシング120の図42及び図43にて図示右側壁124を通してベース151に挿通固定されており、これら各固定接点152、153、154の接点部152a、153a、154aは、右側壁124の上端から左方へL字状に延出している。一方、各可動接点155、156、157は、並列状にならんでベース151の図42にて図示左側壁125を通してベース151に挿通固定されており、これら各可動接点155、156、157の接点部155a、156a、157aは、各固定接点152、153、154に対向するように、左側壁125の上端からL字状に延出している。
【0076】
また、各可動接点155、156、157の接点部155a、156a、157aは、各固定接点152、153、154の接点部152a、153a、154aの上面(図42参照)にそれぞれ沿い延出しており、各接点部155a、156a、157aは、その先端部分にて、ベース151の右側壁124の直上に位置するプレロード係止部124a内に下方への所定荷重を予め付与されるように挿入係止されている。
【0077】
また、各可動接点155、156、157の接点部155a、156a、157aは、それぞれ、ロータ140の各接点カム142乃至144の直下に位置しており、これら各接点部155a、156a、157aは、その逆V字状隆起部(図42参照)にて、それぞれ、各接点カム142乃至144のカム面により押されて、各固定接点152、153、154の接点部152a、153a、154aに接触するようになっている。
【0078】
板ばね機構160は、図41乃至図44にて示すごとく、両付勢板ばね161、162を備えており、これら各付勢板ばね161、162は、図43にて示すごとく、その基部にて、ベース151の図示右側部に挿通固定されている。当該各付勢板ばね161、162は、ベース151の右側部からロータ140の各付勢カム145、146の直下を通り右方へ斜め上方に向け延出している。これにより、付勢板ばね161は付勢カム145のカム面により図43にて図示左側斜め下方に向け付勢され、また、付勢板ばね162は付勢カム146のカム面により図43にて図示左側斜め下方に向け付勢されるようになっている。
【0079】
また、電気的回路部Bbは、図41乃至図43にて示すごとく、皿状リッド170を備えており、このリッド170の直上には、プリント基板180が、内側ハウジング110の下側開口部内に支持されている。このプリント基板180には、接点機構150の各固定接点152、153、154及び各可動接点155、156、157が、その下端部にて挿入されて、プリント基板180の配線部に電気的に接続されている。
【0080】
また、電気的回路部Bbは、各抵抗190a乃至190cを備えており、これら各抵抗190a乃至190cは、プリント基板180の配線部に接続されている。ここで、抵抗190aは、固定接点152及び可動接点155と対をなし、抵抗190bは、固定接点153及び可動接点156と対をなし、抵抗190cは、固定接点154及び可動接点157と対をなす。また、各抵抗190a、190b、190cは、上記第1実施形態にて述べた各抵抗R1、R2、R3にそれぞれ対応している。また、各固定接点152、153、154は、それぞれ、上記第1実施形態にて述べた各固定接点82、83、84にそれぞれ対応しており、各可動接点155、156、157は、それぞれ、可動接点85及び可動接点86の接点部86a、86bに対応する。そして、本第3実施形態では、これら対応関係を満たすように、図20の接続回路構成が形成されている。なお、図42にて符号100aは、機密性充填材を示す。
【0081】
以上のように構成した本第3実施形態において、上記第1実施形態と同様に当該自動車に減速度が生ずると、ロータ140が回動軸130を中心に図43にて図示時計方向に回動する。このとき、板ばね機構160の付勢板ばね161が、その先端部にて、ロータ140の付勢カム145のカム面145aに当接しているため、この付勢板ばね161が、その先端部にて、図43にて図示左方へ変位する。
【0082】
さらに、ロータ140が同一方向に回動すると、接点カム142がそのカム面142aにて可動接点155の隆起部に当たり当該可動接点155の接点部155aを図42にて二点鎖線にて示すごとく下方へ湾曲させる。これに伴い、可動接点155の接点部155aが固定接点152の接点部152aに次第に接近してついには当該接点部152aとの接触に至る。
【0083】
さらに、ロータ140が同一方向に回動すると、可動接点155の接点部155aと固定接点152の接点部152aとの接触荷重が増大し、ロータ140の所定回動量の後、付勢カム146が、そのカム面にて、付勢板ばね162の先端部に当たる。さらに、ロータ140が回動すると、ロータ140は、付勢板ばね162により付勢力を受けることになる。
【0084】
さらに、ロータ140が同一方向に所定量回動すると、可動接点155の隆起部は接点カム142のカム面142aからカム面142bとの接触に移行する。ここで、上述のごとく、カム面142bは、回動軸130の軸を中心とする円弧面となっているため、上記移行後の可動接点155の下方への湾曲変位が零となり、ある所定荷重でもって、可動接点155は固定接点152と接触している状態となる。よって、ロータ140の回動に伴う可動接点155のロータ140に及ぼす力としては、可動接点155と接点カム142のカム面142bとの間の摩擦力のみとなる。
【0085】
仮に、可動接点155の接点部155aが上述とは異なりロータ140の回動に伴い可動接点155の隆起部のカム面142bとの接触後も下方へ湾曲変位を継続するとすれば、ロータ140が受ける力は、付勢板ばね161が発生する付勢力及び付勢板ばね162が発生する付勢力に加えて、可動接点155が発生する付勢力と、この可動接点155と接点カム142との間に発生する摩擦力が加わることになる。
【0086】
ここで、本第3実施形態における衝撃検出装置で検出すべき第2、第3の衝撃レベルのばらつきを考えると、ロータ140に加わる力の数はできる限り少ない方が有利である。そこで、本第3実施形態では、ロータ140に加わる力の数を少なくするために、可動接点155が接触するカム面142bの面形状を上記円弧面とした。
【0087】
さらに、ロータ140が同一方向に回動すると、接点カム143が可動接点156の隆起部に当たり、接点部156aを下方へ湾曲変位させる。ついで、ロータ140が所定量回動すると、ついには、可動接点156が、その接点部156aにて固定接点153の接点部153aに接触するに至る。
【0088】
さらに、ロータ140が同一方向に回動すると、可動接点156の接点部156aと固定接点153の接点部153aに対する接触荷重が増大する。その後、ロータ140が同一方向に所定量回動したところで、可動接点156の隆起部は接点カム143のカム面143aからカム面143bとの接触に移行する。ここで、上述のようにロータ140に加わる力の数を少なくするために、可動接点155が接触するカム面142bの面形状を上記円弧面としたと同様の理由により、可動接点156が接触するカム面143bの面形状を円弧面としている。
【0089】
さらに、ロータ140が同一方向に回動すると、接点カム144が可動接点157の隆起部に当たり、接点部157aを下方へ湾曲変位させる。ついで、ロータ140が所定量回動すると、ついには、可動接点157が、その接点部157aにて固定接点154の接点部154aに接触するに至る。
【0090】
さらに、ロータ140が同一方向に回動すると、可動接点157の接点部157aと固定接点154の接点部154aに対する接触荷重が増大する。その後、ロータ140が同一方向に所定量回動したところで、可動接点157の隆起部は接点カム144のカム面144aからカム面144bとの接触に移行する。ここで、上述のようにロータ140に加わる力の数を少なくするために、可動接点157が接触するカム面144bの面形状を上記円弧面としたと同様の理由により、可動接点157が接触するカム面144bの面形状を円弧面としている。
【0091】
本第3実施形態では、衝撃検出装置が、付勢板ばね161による付勢力がロータ140に作用している当該ロータ140の回動範囲において、上記第1実施形態にて述べた第1衝撃レベルで作動し、付勢板ばね162による付勢力がロータ140に作用している当該ロータ140の回動範囲において、上記第1実施形態にて述べた第2及び第3の各衝撃レベルで作動する。これにより、上記第1実施形態と実質的に同様の作用効果を達成できる。なお、ロータ140の回動範囲とこのロータ140が受ける付勢力との上記各可動接点及び固定接点(各衝撃レベル)の閉点(上記第1乃至第3のスイッチの閉成位置)は、図33にて示す場合と同様である。
【0092】
ここで、付勢板ばね161による付勢力及びばね定数に対し、付勢板ばね162による付勢力及びばね定数を大きくあげることで、第1乃至第3の衝撃レベルを大きく変えることも可能となる。
(第4実施形態)
図45乃至図48は本発明に係る衝撃検出装置の第4実施形態を示している。この第4実施形態では、上記第3実施形態にて述べた板ばね機構160において、付勢板ばね162が、付勢板ばね161にその図47にて図示左側面から対向するように、ベース151から延出している。但し、付勢板ばね162のベース151からの延出位置と付勢板ばね162のベース151からの延出位置との間には図47にて示すごとく所定間隔Lが付与されている。なお、付勢板ばね162の中間部位には、付勢板ばね161の先端部に向けV字状隆起部162aが形成されている。
【0093】
また、本第4実施形態では、上記付勢板ばね162の配置位置変更に伴い、上記第3実施形態にて述べたロータ140の接点カム146が廃止されている。その他の構成は上記第3実施形態と同様である。
【0094】
このように構成した本第4実施形態において、上記第3実施形態と同様にロータ140が当該自動車の減速度の発生に伴い回動すると、付勢板ばね161が、その先端部にて、付勢カム145に押されて、図47にて図示左方へ変位する。その後、さらに、ロータ140が同一方向に回動し、上記第3実施形態にて述べたと同様に、可動接点155が固定接点152に接触する。
【0095】
さらに、ロータ140が同一方向に回動すると、付勢板ばね161がその先端部にて付勢板ばね162の隆起部162aに当たる。さらに、ロータ140が同一方向に回動すると、ロータ140は、その付勢カム145を介し両付勢板ばね161、162から図47にて図示右方へ付勢力を受ける。その後、ロータ140の同一方向へのさらなる回動による衝撃検出装置の動作は上記第3実施形態と同様である。これにより、上記第3実施形態と実質的に同様の作用効果を達成できるのは勿論のこと、以下のような本第4実施形態に固有の作用効果をも確保できる。
【0096】
即ち、上述のように付勢板ばね162を付勢板ばね161にその図47にて図示左側面から対向しているのは、衝撃検出装置のコンパクト化にある。
【0097】
具体的には、上記第3実施形態にて述べたように、付勢板ばね162を付勢板ばね161に並列配置すると、衝撃検出装置の作動時において両付勢板ばね161、162が相互に接触することがないため、当該両付勢板ばね161、162の接触摩擦力による衝撃検出装置の作動ばらつきは生じないものの、衝撃検出装置の横方向(回動軸130の軸方向)の外形寸法が大きくなる。従って、自動車における衝撃検出装置の搭載スペースが狭いと、当該衝撃検出装置の搭載が困難になる。
【0098】
これに対し、本第4実施形態では、上述のように付勢板ばね162を付勢板ばね161にその図47にて図示左側面から対向配置することで、両付勢ばね161、162の横方向のスペースを共用できる。従って、衝撃検出装置の横方向の外形寸法を小さくできる。
【0099】
但し、衝撃検出装置の作動時において、両付勢板ばね161、162が相互に接触し、その接触点がロータ140の回動に伴い移動していくため、両付勢板ばね161、162の間には摩擦力が生ずる。この摩擦力は、衝撃検出装置の作動のばらつきを大きくする原因になるため、当該摩擦力を小さくするには、付勢板ばね161の付勢力及びばね定数並びに付勢板ばね162の付勢力及びばね定数を極力小さくすることが望ましい。
(第5実施形態)
図49乃至図52は、本発明に係る電気機械式衝撃検出装置の第5実施形態を示している。この第5実施形態においては、上記第4実施形態にて述べたケーシング120、ロータ140、接点機構150及び板ばね機構160に代えて、ケーシング200、ロータ210、接点機構220及び板ばね機構230が採用されている。
【0100】
ケーシング200は、ケーシング120に代えて、上記第4実施形態にて述べたハウジング部110a内に組み付けられている。ロータ210は、ロータ140に代えて回動軸130に同軸的に嵌装されており、このロータ210は、ロータ140のウエイト141、各接点カム142乃至144及び付勢カム145にそれぞれ対応する板状ウエイト211、各接点カム212乃至214及び付勢カム215を一体に備えている。ここで、ウエイト211、各接点カム212乃至214及び付勢カム215は、それぞれ、ウエイト141、各接点カム142乃至144及び付勢カム145と実質的に同様に機能を有する。
【0101】
接点機構220は、図49乃至図52にて示すように、ベース221を備えており、このベース221は、ケーシング200の四角環状基部201内に嵌着されている。また、接点機構220は、図51及び図52にて示すごとく、長手板状の各固定接点222、223、224と、長手板状の各可動接点225、226、227とを備えている。
【0102】
固定接点222は可動接点225と共に上記第1スイッチを構成し、固定接点223は可動接点226と共に上記第2スイッチを構成し、固定接点224は可動接点227と共に上記第3スイッチを構成する。このため、各固定接点222、223、224は、並列状にならんでベース221にその支持壁部221aを通して挿通固定されているとともに、各可動接点225、226、227は、図52にて図示右側から各固定接点222、223、224にそれぞれ対向するようにして、ベース221にその支持壁部221aを通して挿通固定されている。
【0103】
板ばね機構230は、両付勢板ばね231、232を有しており、これら両板ばね231、232は、その各基部にて、ベース221の図51の図示左右方向略中央部に挿通固定されている。付勢板ばね231は、その基部から上方へ延出して、先端部にて、ロータ210の付勢カム215に図51にて図示左側からその弾力に抗して当接している。また、付勢板ばね232は、付勢板ばね231に図51にて図示左側面から対向するように左側へ傾斜して上方に向け延出しており、この付勢板ばね232の中間部位には付勢板ばね231の先端部に向け隆起する隆起部232aが形成されている。ここで、両付勢板ばね231、232の各基部の間隔は零となっている。なお、付勢板ばね232は、その先端部にて、ケーシング200の壁部に設けた係止部202に図51にて図示左側から係止している。その他の構成は上記第4実施形態と実質的に同様である。
【0104】
このように構成した本第5実施形態において、上述のごとく両付勢板ばね231、232の各基部の間隔が零になっていると、衝撃検出装置の作動時において、付勢板ばね231が、ロータ210の付勢カム215に押されて、その先端部にて、付勢板ばね232の隆起部232aに接触した後も、当該付勢板ばね232は付勢板ばね231との接触点の移動を伴うことなく当該付勢板ばね231と共に変位する。
【0105】
このため、両付勢板ばね231、232の間に摩擦力が発生することがない。従って、両付勢板ばね231、232の各付勢力及び各ばね定数を増大しても、両付勢板ばね231、232の間の摩擦力に影響されることなく、衝撃検出装置の作動を確保できる。その他の作動及び作用効果は上記第4実施形態と実質的に同様である。
(第6実施形態)
図53乃至図56は本発明に係る電気機械式衝撃検出装置の第6実施形態を示している。この第6実施形態は、上記第5実施形態にて述べた付勢板ばね231の可動接点225としての兼用化(上記第4実施形態にて述べた付勢板ばね161の可動接点155としての兼用化と同じ)及び上記第5実施形態にて述べた付勢板ばね232の固定接点222としての兼用化(付勢板ばね162の固定接点152としての兼用化と同じ)を図り、衝撃検出装置としての部品点数の低減によるコストの低減を確保するために提案されている。
【0106】
従って、本第6実施形態では、上記第5実施形態にて述べたロータ210において接点カム212が廃止されている。また、接点機構220において、固定接点222及び可動接点225が廃止されている。
【0107】
また、上記第5実施形態にて述べた付勢板ばね232の基部は、図55にて示すごとく、ベース221の図示左方へ、付勢板ばね231の基部から離れて挿通固定されている。また、固定接点222及び可動接点225の廃止に伴い、両付勢板ばね231、232が、固定接点222及び可動接点225に代えて上記第1スイッチを構成している。その他の構成は上記第5実施形態と同様である。
【0108】
このように構成した本第6実施形態において、ロータ210が当該自動車の減速度の発生に伴い回動すると、付勢板ばね231が、その先端部にて、付勢カム215に押されて、図55にて図示左方へ変位する。さらに、ロータ210が同一方向へ回動すると、付勢板ばね231は、その先端部にて、付勢板ばね232の隆起部232aに接触するに至る。このことは、上記第1スイッチが閉じることを意味する。これにより、上述の兼用による部品点数の低減を確保しつつ付勢板ばね231の付勢カム215との間の付勢作用を上記第1スイッチの閉成とともに確保できる。
【0109】
さらに、ロータ210が同一方向に回動すると、ロータ210は、両付勢板ばね231、232の各付勢力を受けることになる。その後のロータ210の同一方向への回動に伴い、上記第5実施形態と同様に、可動接点226が固定接点223に接触し、可動接点227が固定接点224に接触する。その他の衝撃検出装置の動作及びその作用効果は上記第5実施形態と同様である。
(第7実施形態)
図57乃至図59は、本発明に係る電気機械式衝撃検出装置の第7実施形態を示している。この衝撃検出装置は、上記第1実施形態にて述べた衝撃検出装置に代えて採用されている。当該衝撃検出装置は、外側ハウジング300及び内側ハウジング310を備えており、ハウジング300は、その低壁に装着したブラケット301により、当該自動車の車体の適所に装着されている。
【0110】
内側ハウジング310は、図57にて示すごとく、外側ハウジング300内に組み付けられている。このハウジング310は、ハウジング部310aからコネクタ310bを一体に延出して構成されており、ハウジング部310aは、ハウジング300の奥側に位置し、コネクタ310bは、ハウジング300の開口側に位置している。コネクタ310bは、その接続部311にて、ハウジング300の開口部302を介し外部に対向している。なお、図57にて符号312はコネクタ310bの各ターミナルを示す。
【0111】
また、当該衝撃検出装置は装置本体Cを備えており、この装置本体Cは、図57にて示すごとく、ハウジング310内に組み付けられている。装置本体Cは、機械的応動部Caと、電気的回路部Cbとにより構成されている。機械的応動部Caは、ハウジング310a内底部側に組み付けられ、電気的回路部Cbは、ハウジング部310a内開口部側に組み付けられている。
【0112】
機械的応動部Caは、ケーシング330と、回動軸340と、主ロータ350と、補助ロータ360と、両捻りコイルばね370、380と、接点機構390とを備えている。ケーシング330は、ハウジング部310a内底部側に組み付けられている。回動軸340は、ケーシング330の低壁とこのケーシング330の開口部331内に嵌着した接点機構390のベース391との間に同軸的に支持されている。
【0113】
主ロータ350は、ケーシング330内にて回動軸340の図57にて図示右側部に同軸的にかつ回動可能に支持されている。主ロータ350は、板状ウエイトであって、この主ロータ350は、図59にて示すごとく、その回動中心から重量中心を偏心させるように、円弧板形状(円板のうちその一部を図59にて示すようにV字状に切り欠いた形状)にて形成されている。
【0114】
しかして、この主ロータ350は、その一側切り欠き端面351にて、ケーシング330の内壁に軸心に向け壁状に突出形成した係止部332に、捻りコイルばね370の付勢力のもと、図59にて示すごとく初期的に係止している。
【0115】
補助ロータ360は、主ロータ350の図57の図示左側にて、回動軸340に同軸的にかつ回動可能に支持されており、この補助ロータ360は、その外周の一部に外方に向け半径方向に突出形成した突起361にて、捻りコイルばね380の付勢力のもと、ケーシング330の低壁の一部から軸方向に延出するバー状突起332(図57及び図59参照)に、図59にて示すごとく、左側から初期的に係止している。
【0116】
また、この補助ロータ360は、図57及び図59にて示すごとく、円柱状突起362を備えており、この突起362は、補助ロータ360の図57にて図示左側面から軸方向に突出形成されている。ここで、突起362は、主ロータ350が図59にて図示時計方向へ後述のごとく所定量回動したときに当該主ロータ350の他側切り欠き端面352により当接される位置にある。なお、補助ロータ360は、主ロータ350に比べて小さな外形形状を有し、樹脂等の比重の小さい材料で形成されているため、主ロータ350よりも軽量である。
【0117】
両捻りコイルばね370、380は、ケーシング330内にて回動軸340に同軸的に外方から嵌装されており、捻りコイルばね370は、ケーシング330の低壁と主ロータ350との間に挟持され、また、捻りコイルばね380は、ケーシング330の低壁と補助ロータ360との間に挟持されている。
【0118】
ここで、捻りコイルばね370は、その一端部371にて、ケーシング330の低壁外周部から内方へ軸方向に沿い突出する突起333に装着されており、この捻りコイルばね370の他端部372は、主ロータ350の外周部からケーシング330の低壁側へ軸方向に沿い突出する突起353に装着されている。この装着は、捻りコイルばね370が図59にて図示反時計方向に付勢力を発揮するようになされている。
【0119】
また、捻りコイルばね380は、その一端部381にて、ケーシング330の低壁中央部から内方へ軸方向に沿い突出する突起334に装着されており、この捻りコイルばね380の他端部382は、補助ロータ360の外周部からケーシング330の低壁側へ軸方向に沿い突出する突起363に装着されている。この装着は、捻りコイルばね380が図59にて図示反時計方向に付勢力を発揮するようになされている。
【0120】
また、接点機構390は、上記ベース391と、各固定接点392乃至394と、各可動接点395乃至397とにより構成されており、各固定接点392乃至394は、共に、回動軸340の軸心を中心とし、同心半円板状に、ベース391の左側面(主ロータ350側面)に設けられている。ここで、これら各固定接点392乃至394の半径は、固定接点392から固定接点394にかけて順次大きくなっている。
【0121】
各可動接点395乃至397は、各固定接点392乃至394に対向し得るように、それぞれ、これら各固定接点392乃至394と同一半径の円周上にて、主ロータ350の右側面に設けられている。ここで、各固定接点392乃至394が、共に、図57にて回動軸340の軸心よりも図示上側に位置しているとき、可動接点395と固定接点392の図58にて図示左端部との円周方向間隔、可動接点396と固定接点393の図58にて図示左端部との円周方向間隔、及び可動接点397と固定接点394の図58にて図示左端部との円周方向間隔が、順次大きくなるように、各可動接点395乃至397は主ロータ350の右側面に設けられている。
【0122】
可動接点395は、二股状接点部395aを有している。これら各接点部395aは、その基部にて主ロータ350の右側面上に装着されており、各接点部395aはその基部から先端部にかけて固定接点392側に向け延出している。これにより、可動接点395は固定接点392と共に上記第1スイッチを構成する。
【0123】
可動接点396は、二股状接点部396aを有している。これら各接点部396aは、その基部にて主ロータ350の右側面上に装着されており、各接点部396aはその基部から先端部にかけて固定接点393側に向け延出している。これにより、可動接点396は固定接点393と共に上記第2スイッチを構成する。
【0124】
また、可動接点397は、二股状接点部397aを有している。これら各接点部397aは、その基部にて主ロータ350の右側面上に装着されており、各接点部397aはその基部から先端部にかけて固定接点394側に向け延出している。これにより、可動接点397は固定接点394と共に上記第3スイッチを構成する。
【0125】
電気的回路部Cbは、プリント基板300aを備えており、このプリント基板300aには、接点機構390の各固定接点392乃至394及び各可動接点395乃至397が、ベース391及びプリント基板300aを通して、このプリント基板の配線部に接続した各抵抗398a乃至398cに接続されている。ここで、各抵抗398a乃至398cは、上記第1実施形態にて述べた各抵抗R1乃至R3に相当する。また、可動接点395及び固定接点392が上記第1実施形態にて述べた可動接点85及び固定接点82に相当し、可動接点396及び固定接点393が上記第1実施形態にて述べた可動接点86の接点部86a及び固定接点83に相当し、また、可動接点397及び固定接点394が上記第1実施形態にて述べた可動接点86の接点部86b及び固定接点84に相当する。これによって、上記第1実施形態にて述べた図20と同様の回路構成となる。
【0126】
このように構成した本第7実施形態において、当該自動車に減速度が生ずると、上記第1実施形態と同様に、主ロータ350がウエイトとして回動軸340を軸として図59にて時計方向に回動する。このとき、補助ロータ360は、主ロータ350よりも上述のごとく軽量であり、かつ、捻りコイルばね380により反時計方向に大きな付勢力を受けている。このため、補助ロータ360は回動しない。
【0127】
主ロータ350がさらに同一方向に回動すると、可動接点395と固定接点392との円周方向の間隔が狭まり、ついには可動接点395は固定接点392に接触するに至る。さらに、主ロータ350が同一方向に回動すると、主ロータ350がその他側切り欠き端面352にて補助ロータ360の係止部362に当たる。
【0128】
さらに、主ロータ350が同一方向に回動すると、主ロータ350は、両捻りコイルばね370、380の双方から付勢力を反時計方向に向け受けることになる。さらに、主ロータ350が同一方向に回動すると、可動接点396が固定接点393に接触し、その後、可動接点397が固定接点394に接触する。
【0129】
このような動作過程において、主ロータ350が捻りコイルばね370のみの付勢力を受けて回動する範囲内では、衝撃検出装置は、第1衝撃レベルに基づき作動する。また、主ロータ350が両捻りコイルばね370、380の双方の付勢力を受けて回動する範囲内では、衝撃検出装置は、第2衝撃レベル及び第3衝撃レベルに基づき作動する。なお、主ロータ350の回動量及びこの主ロータ350が受ける付勢力と上記第1乃至第3のスイッチの閉成点(第1乃至第3の衝撃レベルに対応)との関係は図33にて示す場合と同様である。
【0130】
本実施形態では、各可動接点395乃至397は、対応の固定接点392乃至394と接触後対応の固定接点の表面に沿い摺動する。このとき、発生する力は上記摺動による摩擦力のみであって主ロータ350に対する付勢力は発生しない。従って、衝撃検出装置の動作上のばらつきを低減しつつ、上記第1実施形態と実質的に同様の作用効果を達成できる。
【0131】
ここで、捻りコイルばね370の付勢力及びばね定数に対し、捻りコイルばね380の付勢力及びばね定数を大きく増大させることで、第1乃至第3の衝撃レベルを大きく変化させることができる。
(第8実施形態)
図60乃至図63は本発明に係る電気機械式衝撃検出装置の第8実施形態を示している。この衝撃検出装置は、上記第1実施形態にて述べた衝撃検出装置に代えて採用されている。当該衝撃検出装置は、外側ハウジング400及び内側ハウジング410を備えており、ハウジング400は、その低壁に装着したブラケット401により、当該自動車の車体の適所に装着されている。
【0132】
内側ハウジング410は、図60及び図61にて示すごとく、外側ハウジング400内に組み付けられている。このハウジング410は、ハウジング部410aからコネクタ410bを一体に延出して構成されており、ハウジング部410aは、ハウジング400の奥側に位置し、コネクタ410bは、ハウジング400の開口側に位置している。コネクタ410bは、その接続部411にて、ハウジング400の開口部402を介し外部に対向している。なお、図60にて符号412はコネクタ410bの各ターミナルを示す。
【0133】
また、当該衝撃検出装置は装置本体Dを備えており、この装置本体Dは、図60及び図61にて示すごとく、ハウジング410内に組み付けられている。装置本体Dは、機械的応動部Daと、電気的回路部Dbとにより構成されている。機械的応動部Daは、ハウジング410a内底部側に組み付けられ、電気的回路部Dbは、ハウジング部410a内開口部側に組み付けられている。
【0134】
機械的応動部Daは、円筒状ケーシング420と、支持軸430と、ウエイト440と、両圧縮コイルばね450、460と、接点機構470とを備えている。ケーシング420は、ハウジング部410a内底部側に組み付けられている。支持軸430は、ケーシング420の低壁とこのケーシング420の周壁421の開口部421a内に嵌着した接点機構470のベース471との間に同軸的に支持されている。
【0135】
ウエイト440は、図60乃至図62から分かるように、直方体形状のもので、このウエイト440は、ケーシング420内底部側にて支持軸430に軸方向に摺動可能に同軸的に支持されている。
【0136】
圧縮コイルばね450は、ケーシング420内にてベース471とウエイト440との間に支持軸430に外方から同軸的に嵌装されており、この圧縮コイルばね450は、ウエイト440を図60にて図示右方に向け付勢しケーシング420の低壁422に着座させている。
【0137】
また、圧縮コイルばね460は、ケーシング420内にてベース471と付勢板460aとの間に圧縮コイルばね450に外方から同軸的に嵌装されており、この圧縮コイルばね460は、付勢板460aを図60にて図示右方に向け付勢しケーシング420の両突起423に着座させている。ここで、両突起423は、ケーシング420の周壁421の内周面から軸心に向け半径方向に沿い互いに対向して突出形成されている。但し、ケーシング420の低壁422に着座しているウエイト440の図60にて図示左端面441と両突起423に着座している付勢板460aの図60にて図示右側面との間の間隔は、所定間隔に設定されている。
【0138】
また、接点機構470は、各両固定接点472、473と、各両可動接点474、475とにより構成されている。両固定接点472は、図61乃至図63にて示すごとく、ケーシング420の周壁421の一側突出壁部421bに相互に間隔をおいてその内周面側から軸方向に沿い長手状に埋め込まれており、これら両固定接点472はケーシング420内に露呈している。また、両固定接点473は、図61乃至図63にて示すごとく、ケーシング420の周壁421の他側突出壁部421cに相互に間隔をおいてその内周面側から軸方向に沿い長手状に埋め込まれており、これら両固定接点473はケーシング420内に露呈している。
【0139】
但し、両突出壁部421b、421cは、ケーシング420の周壁421の内周面から互いに対向して軸心に向け突出し、かつ周壁421の内周面の軸方向に沿うように形成されている。これら両突出壁部421b、421cは、ケーシング420の周壁421の開口端から低壁422に向け形成されており、突出壁部421cの軸方向長さは、突出壁部421bの軸方向長さよりも所定長さだけ短くしてある。これにあわせて、両固定接点472の軸方向長さが両固定接点473の軸方向長さよりも短くなっている(図61参照)。
【0140】
両可動接点474は、ウエイト440の両固定接点472側端面442に装着されている。両可動接点474は、両固定接点472と接触可能に端面442から外方に向け延出している。ウエイト440が低壁422に着座しているとき、これら両可動接点474は、その先端部にて、突出壁部421bの図61にて図示右側に位置し、両固定接点472と非接触状態に維持される。
【0141】
両可動接点475は、ウエイト440の両固定接点473側端面443に装着されている。両可動接点475は、ウエイト440を介し両可動接点474に対向して位置し、両固定接点473と接触可能に端面443から外方に向け延出している。ウエイト440が低壁422に着座しているとき、これら両可動接点475は、その先端部にて、突出壁部421cの図61にて図示右側に位置し、両固定接点473と非接触状態に維持される。
【0142】
電気的回路部Dbは、プリント基板480を備えており、このプリント基板480には、接点機構470の各固定接点472、473及び各可動接点474、475がプリント基板480を通して、このプリント基板の配線部に接続した各抵抗490a、490bに接続されている。ここで、抵抗290aは、両固定接点472及び両可動接点474と対をなし、抵抗290bは、両固定接点473及び両可動接点475と対をなす。
【0143】
このように構成した本第8実施形態において、当該自動車に減速度が生ずると、ウエイト440が、支持軸430に沿い圧縮コイルばね450の付勢力に抗して摺動し始める。さらに、ウエイト440が同一方向に摺動すると、両可動接点474と両固定接点472との間隔が狭まり、両可動接点474は、ついには両固定接点472と接触するに至る。
【0144】
さらに、ウエイト440が同一方向に摺動すると、このウエイト440は、その左端面441にて、付勢板460aに当接する。さらに、ウエイト440が同一方向に摺動すると、このウエイト440には、両圧縮コイルばね450、460の双方の付勢力が加わることになる。
【0145】
その後、さらに、ウエイト440が両圧縮コイルばね450、460の付勢力に抗して同一方向に摺動すると、両可動接点475と両固定接点473との間隔が狭まり、両可動接点475が両固定接点473に接触するに至る。
【0146】
このような動作過程において、ウエイト440が圧縮コイルばね450の付勢力のみを受けて摺動する範囲では、衝撃検出装置が上記第1衝撃レベルに基づく作動を行う。また、ウエイト440が両圧縮コイルばね450、460の付勢力を受けて摺動する範囲では、衝撃検出装置が上記第2衝撃レベルに基づく作動を行う。
【0147】
ここで、圧縮コイルばね450の付勢力及びばね定数に対し、圧縮コイルばね460の付勢力及びばね定数を大きく増大することで、上記第1及び第2の衝撃レベルを大きく変更することが可能である。なお、ウエイト440の摺動量及びこのウエイト440が受ける付勢力と上記第1及び弟2のスイッチの閉成位置との関係は上記第1実施形態と同様である。
【0148】
なお、本発明の実施にあたり、自動車に限ることなく、バス車両やトラック等の各種車両に採用される電気機械式衝撃検出装置に本発明を適用してもよい。
【0149】
また、本発明の実施にあたり、エアバッグ装置に限ることなく、自動車のシートベルトのためのプリテンショナ等の乗員保護装置用電気機械式衝撃検出装置に本発明を適用してもよい。
【0150】
また、本発明の実施にあたり、上記各実施形態にて述べたように接点機構の可動接点に主ロータ等のロータに対する付勢力をもたせるようにするのではなく、当該付勢力を与えるばねを別途採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気機械式衝撃検出装置の第1実施形態を図3にて図示1−1矢視からみた図である。
【図2】図1にて2−2矢視からみた図である。
【図3】図1にて3−3矢視からみた図である。
【図4】上記第1実施形態におけるケーシング30の平面図である。
【図5】図4にて5−5線に沿う断面図である。
【図6】図4にて6−6線に沿う断面図である。
【図7】図6にて7−7線に沿う断面図である。
【図8】図6にて8−8線に沿う断面図である。
【図9】上記ケーシングの底面図である。
【図10】上記第1実施形態における主ロータの正面図である。
【図11】上記主ロータの右側面図である。
【図12】上記主ロータの左側面図である。
【図13】上記第1実施形態における補助ロータの正面図である。
【図14】上記補助ロータの右側面図である。
【図15】上記補助ロータの左側面図である。
【図16】上記第1実施形態における接点機構の正面図である。
【図17】上記接点機構の右側面図である。
【図18】上記接点機構の左側面図である。
【図19】上記接点機構の平面図である。
【図20】上記第1実施形態における各可動接点及び固定接点(第1乃至第3のスイッチ)及び各抵抗の接続回路図である。
【図21】図20の回路構成における合成抵抗値と第1乃至第3のスイッチの閉成との関係を示す図である。
【図22】上記第1実施形態における衝撃検出装置の初期状態を示す図である。
【図23】上記第1実施形態における衝撃検出装置の初期状態を示す図である。
【図24】ウエイトがその回動により補助ロータに当接する状態を示す図である。
【図25】ウエイトがその回動により補助ロータに当接する状態を示す図である。
【図26】カム52の回動により可動接点85がカム面52bとの接触に移行する状態を示す図である。
【図27】カム52の回動により可動接点85がカム面52bとの接触したときのカム53の状態を示す図である。
【図28】可動接点部86aの固定接点83との接触を示す図である。
【図29】可動接点部86bの固定接点84との接触を示す図である。
【図30】可動接点86bのカム面54aとの接触に移行する状態を示す図である。
【図31】可動接点86bのカム面54aとの接触に移行するときのカム52、可動接点85の状態を示す図である。
【図32】可動接点86bのカム面54aとの接触に移行した状態を示す図である。
【図33】上記第1実施形態における主ロータが受ける付勢力と主ロータの回動量との関係を第1乃至第3のスイッチの閉成(第1乃至第3の衝撃レベル)をパラメータとして示すグラフである。
【図34】図20の回路構成の利点を説明するための従来の回路構成図である。
【図35】図34の回路構成の不具合を説明するための検出レベルの時間的変化を示すグラフである。
【図36】図20の回路構成の利点を説明するための検出レベルの時間的変化を示すグラフである。
【図37】本発明の衝撃検出装置の利点を従来の衝撃検出装置との比較で説明するためのグラフである。
【図38】本発明の第2実施形態を示す図40にて38−38矢視からみた図である。
【図39】図38にて39−39矢視からみた図である。
【図40】図38にて40−40矢視からみた図である。
【図41】本発明の第3実施形態を示す図43にて41−41矢視からみた図である。
【図42】図41にて42−42矢視からみた図である。
【図43】図41にて43−43矢視からみた図である。
【図44】図42にて44−44矢視からみた図である。
【図45】本発明の第4実施形態を示す図47にて45−45矢視からみた図である。
【図46】図45にて46−46矢視からみた図である。
【図47】図45にて47−47矢視からみた図である。
【図48】図46にて48−48矢視からみた図である。
【図49】本発明の第5実施形態を示す図51にて49−49矢視からみた図である。
【図50】図49にて50−50矢視からみた図である。
【図51】図49にて51−51矢視からみた図である。
【図52】図50にて52−52矢視からみた図である。
【図53】本発明の第6実施形態を示す図55にて53−53矢視からみた図である。
【図54】図53にて54−54矢視からみた図である。
【図55】図53にて55−55矢視からみた図である。
【図56】図54にて56−56矢視からみた図である。
【図57】本発明の第7実施形態を示す縦断面図である。
【図58】図57にて58−58矢視からみた図である。
【図59】図57にて59−59矢視からみた図である。
【図60】本発明の第8実施形態を示す縦断面図である。
【図61】図60にて61−61矢視からみた図である。
【図62】図60にて62−62矢視からみた図である。
【図63】図60にて63−63矢視からみた図である。
【符号の説明】
50、350…主ロータ、51、141、211、440…ウエイト、52、53…カム、
54、55…カム部、60、360…補助ロータ、
70、370、380…捻りコイルばね、
80、150、220、390、470…接点機構、
82乃至84、152乃至154、222乃至224、392乃至394、472、473…固定接点、
85、86、155乃至157、225乃至227、395乃至397、474、475…可動接点、
140、210…ロータ、142乃至144…接点カム、
145、146…付勢カム、160…板ばね機構、
161、162、231、232…付勢板ばね、
190a乃至190c、398a乃至398c、R1、R2、R3…抵抗、450、460…圧縮コイルばね。

Claims (3)

  1. 車両の適所に回動中心にて回動可能に支持されて前記回動中心から偏心する重量中心を有し車両に生ずる衝撃に応じ付勢手段(70、85、86の付勢に抗して前記回動中心を基準に回動する回動体(50と、
    前記衝撃の少なくとも第1及び第2の各衝撃レベルに対応する前記回動体の回動量にて順次閉成する各スイッチ(82乃至84、85、86とを備えて、
    これら各スイッチの各閉成でもって前記少なくとも第1及び第2の各衝撃レベルを検出するようにした車両用電気機械式衝撃検出装置であって、
    前記回動体に前記回動中心と同軸的に設けられて前記衝撃に伴い前記回動体と一体的に回動するカム(52乃至55)と、
    前記回動体の回動中心と同軸的に位置する補助ロータ(60)とを備え、
    前記各スイッチは、固定接点(82乃至84)と、前記カムの回動に応じてそのカム面との接触により押されて湾曲し前記固定接点に接触して閉成する板ばね状可動接点(85、86)とを備えており、
    前記付勢手段は、前記回動体を初期回動位置に向け付勢する第1ばね(85)と、前記回動体が前記第1ばねの付勢に抗して所定回動した後に当該回動体をその回動に抗して同時に或いは順次付勢する複数の第2ばね(70、86)とを備えており、
    前記第1ばねは、前記板ばね状可動接点と兼用されており、
    前記複数の第2ばねの一つは、前記回動体の回動中心と同軸的に位置する捻りコイルばね(70)であって、この捻りコイルばねは、その一端にて静止部材に固定され、その他端にて前記補助ロータの一部に固定されて、当該補助ロータを介し前記回動体をその回動に抗して付勢することを特徴とする車両用電気機械式衝撃検出装置。
  2. 前記可動接点が前記カム面のうち前記スイッチの閉成後前記カムの回動に伴い接触するカム面部分は、前記可動接点の湾曲量を増大させないような形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用電気機械式衝撃検出装置。
  3. 前記各スイッチの閉成に基づき前記少なくとも第1及び第2の衝撃レベルにあわせて階段状に変化する値にてそれぞれ検出信号を発生する検出信号発生手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用電気機械式衝撃検出装置。
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