JP4081788B2 - スズメッキ浴、当該浴を用いたバレルメッキ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンチモン、銀、ビスマス、インジウムなどの特定金属イオンをppm単位又はそれ以下で微量含有させたスズメッキ浴、並びに当該浴を用いたバレルメッキ方法に関し、バレルメッキを行う際の導電性媒体、或は被メッキ物の凝集を円滑に抑制して、バレルメッキの生産性を向上できるものを提供する。
【0002】
【従来の技術】
スズメッキは、ハンダ付け性向上用皮膜、エッチングレジスト用皮膜などとして、弱電工業並びに電子工業部品などに広く利用されている。特に、最近の環境保全の高まりから、スズメッキはスズ−鉛合金メッキに替わる実用的な鉛フリーメッキの筆頭に挙げられる。
スズメッキの方法には、ラックメッキ、バレルメッキなどの各種方法があるが、なかでも、バレルメッキは、チップ抵抗器、チップコンデンサ、水晶振動子のキャップなどの小物部品をラック掛けせずにバレルに入れてメッキする点で、メンテナンスが簡単で生産性が高いという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、バレルメッキに際しては、被メッキ物を直径0.2〜1mm程度のスチール、銅、黄銅製などの球形の導電性媒体(通称:ダミー)に混ぜて、通電を改善しながら被メッキ物同士が円滑に混合する状態で電気メッキを行っているが、メッキ時に導電性媒体同士が凝集し、ひいては、これらが重畳的に集まってさらに大きな塊状物にまで成長することが多い。
導電性媒体が凝集して塊状物になると、小物部品の被メッキ物はこの中に取り込まれて給電不足からメッキ不良を起こしたり、或は、被メッキ物と導電性媒体をふるい分ける際に、塊状物がふるいを通過せず、被メッキ物を導電性媒体から選別する工程に時間を要するという問題が発生する。
また、導電性媒体を使用せずに被メッキ物だけでバレルメッキを行う場合にも、被メッキ物同士が凝集する恐れが少なくなく、やはりメッキ不良や生産性の低下を来す恐れがある。
【0004】
本発明は、スズメッキ浴を用いたバレルメッキに際して、導電性媒体や被メッキ物同士の凝集を円滑に防止して、良好にバレルメッキを行うことを技術的課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、先に、特願2001−286554号(以下、先願技術という)で、メッキ皮膜のハンダ付け性の改善を目的として、周期律表の第4〜6周期のIB〜VB族に属する元素のうち、スズ、水銀、タリウム及びスズ合金を構成するスズ以外の金属を除く特定の金属、具体的には、アンチモン、ひ素、カドミウム、ゲルマニウム、ガリウム又は鉛の1種又は2種以上のイオンを20〜2000ppm含有するスズ及びスズ合金メッキ浴を提案した。
また、上記先願技術と同様に、スズメッキ浴に特定の金属イオンを添加剤レベルの濃度で少量含有した従来技術として、次のものがある。
先ず、特開2001−240993号公報(以下、従来技術1という)には、メッキ皮膜のハンダ濡れ性を改善することを目的として、0.01〜0.5g/Lのビスマスイオンを添加したスズメッキ浴及びスズメッキ方法が開示されている。
また、特開平7−197289号公報(以下、従来技術2という)には、低電流密度部位でのメッキ皮膜の改善を目的として、ビスマス化合物、具体的には、硝酸ビスマスを0.1g/L添加したスズメッキ浴並びにスズメッキ方法が開示されている。
【0006】
本発明者らは、とりわけ、上記先願技術を出発点として、スズ浴を用いたバレルメッキに、ある種の金属イオンを適用して上記課題を解消することを鋭意研究した結果、スズメッキ浴に特定の金属イオンを微量含有させてバレルメッキを行うと、導電性媒体の凝集を劇的に抑制できることを見い出した。
この点をさらに詳述すれば、上記特定の金属は、先願技術で提案した周期律表の第4〜6周期のIB〜VB族に属する元素を中心としたスズの周辺にある基本的に融点の低い金属であり、具体的に列挙するなら、標準電極電位がスズより貴なアンチモン、ビスマス、銀、ゲルマニウムなどであり、或は、当該電位がスズより卑なインジウムであり、これらの特定金属のうち、ビスマスイオンでは10ppm未満、それ以外の金属イオンでは20ppm未満のごく微量をスズメッキ浴に含有させると、バレルメッキにおける導電性媒体の凝集を劇的に抑制できることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明1は、可溶性第一スズ塩と、酸又はその塩と、凝集防止用としてアンチモン、ゲルマニウム、銀、パラジウム、ガリウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ビスマスよりなる群から選ばれた金属のイオンの少なくとも一種を含有し、
上記凝集防止用の金属のイオンの合計の微量含有濃度が0.1ppm以上で、且つ上記凝集防止用の金属イオンと上記以外の凝集防止用の銅イオンと鉛イオンと亜鉛イオンの合計が20ppm未満であるとともに、
上記凝集防止用の金属イオンの中にビスマスイオンを含む場合に、ビスマスイオンの微量含有濃度は10ppm未満であることを特徴とするスズメッキ浴である。
【0008】
本発明2は、上記本発明1において、さらに、錯化剤、酸化防止剤、界面活性剤、平滑剤、光沢剤、半光沢剤、導電性塩、pH調整剤、緩衝剤よりなる群から選ばれた添加剤の 少なくとも一種を含有することを特徴とするスズメッキ浴である。
【0009】
本発明3は、上記本発明1又は2のスズメッキ浴を用いて被メッキ物にバレルメッキを施すことを特徴とするバレルメッキ方法である。
【0010】
本発明4は、上記本発明3において、凝集防止用の可溶性金属塩をメッキ浴に添加して、当該凝集防止用の金属イオンをメッキ浴に含有させることを特徴とするバレルメッキ方法である。
【0011】
本発明5は、上記本発明3において、凝集防止用の金属をスズ陽極に微量含有して、電気メッキ時の陽極の溶解により、当該凝集防止用の金属イオンをメッキ浴に含有させることを特徴とするバレルメッキ方法である。
【0012】
本発明6は、上記本発明3〜5のいずれかの被メッキ物が、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、スイッチ、リード線、プリント基板、半導体集積回路、モジュールよりなる群から選ばれた電子部品であることを特徴とするバレルメッキ方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、第一に、標準電極電位がスズより貴又は卑な特定金属で、ビスマス以外の金属のイオンを0.1ppm以上20ppm未満の範囲で微量含有したスズメッキ浴であり、第二に、ビスマスイオンを0.1ppm以上10ppm未満の範囲で微量含有したスズメッキ浴であり、第三に、これらの特定金属のイオンを微量含有するスズメッキ浴を用いて被メッキ物にバレルメッキを施す方法である。
上記バレルメッキ方法に際して、金属イオンを微量含有させる方法は、さらに特定金属の可溶性塩をスズメッキ浴に直接添加する方法と、スズ陽極に特定金属を微量含有(即ち、ドープ)させて、メッキ時の陽極の溶解により浴に金属イオンを供給する方法とに分けることができる。
【0014】
本発明のスズメッキ浴は、可溶性第一スズ塩と、特定金属のイオンと、浴ベースとしての酸又はその塩とを必須成分として、さらには、必要に応じて、後述の錯化剤、酸化防止剤、界面活性剤などの各種添加剤を含有したものである。
上記可溶性第一スズ塩は基本的に水中でSn2+を発生させる有機又は無機のスズ塩であり、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、スルホコハク酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸の第一スズ塩を初め、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、ピロリン酸スズ、スルファミン酸スズ、塩化第一スズ、亜スズ酸塩などが挙げられる。
上記可溶性第一スズ塩は単用又は併用でき、そのメッキ浴に対する含有量は金属換算で0.5〜300g/L、好ましくは10〜120g/Lである。
【0015】
本発明のスズメッキ浴に、凝集防止用として微量含有させる上記特定金属のイオンの種類とその含有濃度をまとめると、次の(a)〜( c )の通りである。
(a)凝集防止用の金属は、標準電極電位がスズより貴なアンチモン、ゲルマニウム、銀、パラジウム、ガリウム、ロジウム、ルテニウム、ビスマス及び同電位がスズより卑なインジウムよりなる群から選ばれた金属の少なくとも一種である(本発明1参照)。 従って、上記特定したスズより貴な金属、卑な金属のイオンを単用しても良いし、併用しても良い。併用する場合には、スズより貴な金属のイオン同士を併用(ビスマスイオンと他のスズより貴な金属イオンの併用を含む)しても良いし、スズより貴な金属と卑な金属のイオンを併用(ビスマスイオンとスズより卑な金属のイオンの併用を含む)しても良い。
標準電極電位が貴な金属のうちの好ましい例は、アンチモン、ゲルマニウム、銀、ビス マスである。
(b)上記凝集防止用の金属のイオンの微量含有濃度について説明すると、上述の貴又は卑な特定の金属イオンを1種類だけ単用する場合には、その濃度は単独で0 . 1ppm以上で且つ20ppm未満である。
上記凝集防止用の金属イオンの2種以上を併用する場合には、金属イオンの合計の濃度が0 . 1ppm以上で且つ20ppm未満であることを意味する。
また、単用又は併用を問わず、好ましい微量含有濃度は1ppm以上で且つ20ppm未満である。
ちなみに、微量含有濃度が0 . 1ppmより少ないと媒体の凝集防止効果が低下し、20ppm以上になるとメッキ皮膜が合金組成になって性状に悪影響を与え、また、この上限を越えても凝集防止効果に特段の変化はなく、コスト的に無駄である。
( c ) 凝集防止用の金属イオンの中にビスマスイオンが含まれる場合(単用又は併用を問わない)、ビスマスイオンの微量含有濃度の上限は10ppm未満であることが必要である ( 本発明1参照 ) 。
ビスマスイオンの好ましい微量含有濃度は1ppm以上で且つ10ppm未満である。この場合、ビスマスイオンが10ppm以上になると、メッキ皮膜にクラックが発生する恐れがある。
また、凝集防止用の金属のイオンの微量含有濃度の上限については、上記特定した凝集防止用の金属のイオンと、上記特定した以外の凝集防止用の金属である銅、鉛、亜鉛のイオンとの微量含有濃度の合計が20ppm未満であることが必要である(本発明1参照)。
【0016】
上記特定金属のイオンをスズメッキ浴に微量含有させる第一の方法は、本発明4に示すように、相当する特定金属の可溶性塩をメッキ浴に直接添加するものである。
特定金属の可溶性塩としては、スズメッキ浴中で相当する特定金属のイオンを生成する任意の無機又は有機の塩を意味し、具体的には、Sb 3+ 、Ag + 、Pd2+、Bi3+、In 3+ 、Ge 2+ 、Ge4+などの各種金属イオンを生成する任意の塩をいう。難溶性塩であってもこれらのイオンを微量含有できれば良いので排除されない。
例えば、可溶性アンチモン塩は塩化アンチモン、フッ化アンチモン、上記有機スルホン酸のアンチモン塩、酒石酸アンチモニルカリウムなどである。
可溶性銀塩は、有機スルホン酸銀を初め、シアン化銀、ホウフッ化銀、硫酸銀、亜硫酸銀、炭酸銀、スルホコハク酸銀、硝酸銀、クエン酸銀、酒石酸銀、グルコン酸銀、シュウ酸銀、酸化銀、酢酸銀などである。
可溶性パラジウム塩は塩化パラジウム、硝酸パラジウムなどである。可溶性ゲルマニウム塩は塩化ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、トリフルオロゲルマニウム酸アンモニウム、ヘキサフルオロゲルマニウム酸アンモニウムなどである。
可溶性ビスマス塩は、硫酸ビスマス、酸化ビスマス、塩化ビスマス、臭化ビスマス、硝酸ビスマス、有機スルホン酸のビスマス塩、スルホコハク酸のビスマス塩などである。
また、可溶性インジウム塩は塩化インジウム、硫酸インジウム、酸化インジウム、有機スルホン酸のインジウム塩などが挙げられ、他の上記特定金属の可溶性塩も、これらと同様に、酸化物、ハロゲン化物、無機酸又は有機酸の塩などが挙げられる。
【0017】
次いで、上記特定金属のイオンをメッキ浴に微量含有させる第二の方法は、本発明5に示すように、特定金属をスズ陽極にドープして、電気メッキ時の陽極の溶解により、当該金属イオンを浴に供給しようとするものである。
この方法は、陽極スズを製造する際に、スズ中に前記(a)〜( c ) で列挙した特定金属を夫々の微量濃度だけ含有させれば良いので、上記メッキ浴に可溶性塩を添加する方法と同様に、含有操作は容易である。
【0018】
本発明のスズメッキ浴は基本的に有機酸浴、無機酸浴、或はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などをベースとした浴である。上記有機酸としては、有機スルホン酸、脂肪族カルボン酸などが挙げられ、無機酸としては、硫酸、塩酸、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸などが挙げられる。このなかでは、硫酸浴を初め、スズの溶解性、排水処理の容易性などの見地から有機スルホン酸又はその塩の浴も好ましい。
上記酸又はその塩は単用又は併用でき、その含有量は0.1〜10mol/L、好ましくは0.5〜5mol/Lである。
【0019】
上記有機スルホン酸は、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、スルホコハク酸、芳香族スルホン酸などであり、アルカンスルホン酸としては、化学式CnH2n+1SO3H(例えば、n=1〜11)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などが挙げられる。
【0020】
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式
CmH2m+1-CH(OH)-CpH2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)
で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸(イセチオン酸)、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸(2−プロパノールスルホン酸)、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸などが挙げられる。
【0021】
上記芳香族スルホン酸は、基本的にベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸などであり、具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン−4−スルホン酸などが挙げられる。
上記有機スルホン酸では、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸などが好ましい。
【0022】
本発明は酸性、中性(弱酸性を含む)などの任意のpH領域のスズメッキ浴に適用できる。基本的に、第一スズイオンは酸性では安定であるが、中性付近では白色沈澱が生じ易い。このため、本発明を中性付近のスズメッキ浴に適用する場合には、スズイオンを安定化させる目的で、錯化剤を含有するのが好ましい。
上記錯化剤は、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸などであり、具体的には、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、ジグリコール酸、或はこれらの塩などが挙げられる。好ましくは、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、或はこれらの塩などである。
また、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N′,N′−テトラ酢酸、グリシン類、ニトリロトリメチルホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、或はこれらの塩なども錯化剤として有効である。
【0023】
また、本発明のスズメッキ浴には、前述したように、上記錯化剤の外にも、酸化防止剤、界面活性剤、平滑剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、導電性塩、防腐剤、消泡剤などの各種添加剤を含有できることは勿論である。
上記酸化防止剤は浴中のSn2+の酸化防止を目的としたもので、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドロキシナフタレンスルホン酸又はその塩、ヒドラジンなどが挙げられる。例えば、中性浴ではアスコルビン酸又はその塩などが好ましい。
上記界面活性剤は、メッキ皮膜の外観、緻密性、平滑性、密着性などの改善を目的とし、通常のアニオン系、カチオン系、ノニオン系、或は両性などの各種界面活性剤が使用できる。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
【0024】
上記平滑剤としては、β−ナフトール、β−ナフトール−6−スルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、(o−、p−)メトキシベンズアルデヒド、バニリン、(2,4−、2,6−)ジクロロベンズアルデヒド、(o−、p−)クロロベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2(4)−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2(4)−クロロ−1−ナフトアルデヒド、2(3)−チオフェンカルボキシアルデヒド、2(3)−フルアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、サリチルアルデヒド、o−フタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリオキサール、アルドール、スクシンジアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、1−ベンジリデン−7−ヘプタナール、2,4−ヘキサジエナール、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、アミン−アルデヒド縮合物、酸化メシチル、イソホロン、ジアセチル、ヘキサンジオン−3,4、アセチルアセトン、3−クロロベンジリデンアセトン、sub.ピリジリデンアセトン、sub.フルフリジンアセトン、sub.テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、クルクミン、ベンジリデンアセチルアセトン、ベンザルアセトン、アセトフェノン、(2,4−、3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、2−シンナミルチオフェン、2−(ω−ベンゾイル)ビニルフラン、ビニルフェニルケトン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、プロピレン−1,3−ジカルボン酸、ケイ皮酸、(o−、m−、p−)トルイジン、(o−、p−)アミノアニリン、アニリン、(o−、p−)クロロアニリン、(2,5−、3,4−)クロロメチルアニリン、N−モノメチルアニリン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N−フェニル−(α−、β−)ナフチルアミン、メチルベンズトリアゾール、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−ベンズトリアジン、イミダゾール、2−ビニルピリジン、インドール、キノリン、モノエタノールアミンとo−バニリンの反応物、ポリビニルアルコール、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
また、ゼラチン、ポリペプトン、N-(3-ヒドロキシブチリデン)-p-スルファニル酸、N-ブチリデンスルファニル酸、N-シンナモイリデンスルファニル酸、2,4-ジアミノ-6-(2'-メチルイミダゾリル(1'))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2'-エチル-4-メチルイミダゾリル(1'))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2'-ウンデシルイミダゾリル(1'))エチル-1,3,5-トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール類も平滑剤として有効である。
上記ベンゾチアゾール類としては、ベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(メチルメルカプト)ベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メトキシベンゾチアゾール、2-メチル-5-クロロベンゾチアゾール、2-ヒドロキシベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-ヒドロキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-ベンゾチアゾールチオ酢酸などが挙げられる。
【0025】
上記光沢剤、或は半光沢剤としては、上記平滑剤とも多少重複するが、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリリデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
【0026】
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられるが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類なども有効である。
上記導電性塩としては、硫酸、塩酸、リン酸、スルファミン酸、スルホン酸などのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられるが、上記pH調整剤で共用できる場合もある。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
上記消泡剤としては、プルロニック界面活性剤、高級脂肪族アルコール、アセチレンアルコール及びそれらのポリアルコキシレートなどが挙げられる。
【0027】
本発明3は、上記特定金属のイオンを微量含有させたスズメッキ浴を用いて、被メッキ物にバレルメッキを施す方法である。
上記バレルメッキ方法は、バレルに被メッキ物と導電性媒体を収容し、上記スズメッキ浴にバレルを浸漬して、被メッキ物に電気メッキを行うことを基本とするが、導電性媒体を使用せず、被メッキ物だけをバレルに収容してメッキを行う方法であっても良い。本発明のバレルメッキ方法は、バレルメッキにおける導電性媒体同士の凝集を防止することを主な効果とするが、小物の被メッキ物同士の凝集を防止する点でも有効である。
また、本発明のバレルメッキ方法では、水平型又は傾斜型回転バレル式、揺動バレル式、或は振動バレル式などの任意のバレルメッキ装置が使用できることはいうまでもない。
バレルメッキに際して、浴温は0℃以上、好ましくは10〜50℃程度であり、陰極電流密度は0.001〜30A/dm2、好ましくは0.01〜10A/dm2である。
本発明10は、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、スイッチ、コネクタ、リード線、フープ材、プリント基板、半導体集積回路(TABのフィルムキャリア、BGA基板などを含む)、モジュール等の電子部品などを被メッキ物とするバレルメッキ方法であり、特に、被メッキ物としては、チップ抵抗器、チップコンデンサー、水晶振動子のキャップなどの小物部品が好適である。
【0028】
【発明の効果】
スズメッキ浴を用いたバレルメッキに際して、スズメッキ浴に特定金属のイオンを微量含有させるため、導電性媒体同士の凝集を顕著に防止して、被メッキ物のメッキ不良をなくし、また、メッキ終了後に被メッキ物と導電性媒体を円滑にふるい分けて生産性を向上できる。
しかも、スズメッキ浴に含有する特定金属は標準電極電位がスズより貴なアンチモン、ゲルマニウム、銀、ビスマスなどの金属であっても、或は、スズより卑なインジウムであっても良く、これらの金属を適正に選択し、且つ、ppm単位前後のごく微量の濃度でこれらの金属イオンを含有させると、従来のバレルメッキで問題となっていた導電性媒体同士の凝集を劇的に解消できるのである。
尚、導電性媒体を用いないバレルメッキに本発明を適用しても、小物の被メッキ物同士の凝集を円滑に防止して、メッキ不良を有効に防止できる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明のスズメッキ浴の実施例、各スズメッキ浴を用いたバレルメッキにおける導電性媒体の凝集抑制評価試験例などを順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例及び試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0030】
下記の実施例1〜14のうち、実施例1〜6は酸性浴、実施例7〜14は中性浴の例である。この場合、同一の金属イオンを含有する酸性浴と中性浴の実施例同士(例えば、実施例1と実施例7、実施例2と実施例8、実施例4と実施例10〜11など)の間では、中性浴にスズの錯化剤を含有している点などを除いて、多くの組成を共通に設定してある。実施例5と12は標準電極電位がスズより卑なインジウムイオンの含有例、実施例4、10〜11、14はビスマスイオンの含有例、その他の実施例はビスマス以外で標準電極電位がスズより貴な金属のイオンの含有例である。実施例14はビスマスイオンとビスマス以外の貴な金属イオンの併用例、その他の実施例は金属イオンの単用例であり、この単用例のうち、実施例6と13は貴な金属イオンに凝集防止用には属さない銅又は鉛イオンが共存する例である。
また、比較例1〜6のうち、比較例1〜2は本発明の特定金属のイオンを含有しないブランク例、比較例3〜4は本発明の特定金属のイオンを本発明の特定範囲より少ない濃度で微量含有した例、比較例5〜6は本発明の特定金属以外の金属のイオンを本発明の微量含有濃度で含有した例である。比較例1、3、5は酸性浴、比較例2、4、6は中性浴の例である。
尚、凝集防止用には属さない銅又は鉛イオンを含有する例を参考例1〜4として併記する。
【0031】
《実施例1》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
塩化アンチモン(Sb3+として) 15ppm
メタンスルホン酸 100g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO12) 10g/L
カテコール 0.5g/L
【0032】
《実施例2》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 45g/L
酸化ゲルマニウム(ゲルマニウムイオンとして) 4ppm
硫酸 200g/L
グルコノラクトン 250g/L
酢酸アンモニウム 25g/L
ラウリルアルコールポリエトキシレート(EO15) 6g/L
アスコルビン酸 5g/L
【0033】
《実施例3》
下記の組成でスズメッキを建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
酢酸銀(Ag+として) 6ppm
メタンスルホン酸 250g/L
チオグリコール酸 2g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 14g/L
【0034】
《実施例4》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 8ppm
メタンスルホン酸 120g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 2g/L
ポリオキシエチレンラウリルアミン(EO12) 3g/L
1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸ナトリウム 0.5g/L
カテコール 0.8g/L
【0035】
《実施例5》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
硫酸インジウム(In3+として) 17ppm
硫酸 120g/L
シュウ酸 10g/L
β―ナフトールポリエトキシレート(EO20) 6g/L
ヒドロキノン 0.7g/L
【0036】
《実施例6》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
メタンスルホン酸銅(Cu2+として) 4ppm
塩化アンチモン(Sb3+として) 5ppm
2−ヒドロキシエタンスルホン酸 125g/L
酢酸カリウム 10g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 12g/L
1−ヒドロキシー8−ナフタレンスルホン酸カリウム 0.4g/L
カテコール 0.2g/L
【0037】
《実施例7》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
塩化アンチモン(Sb3+として) 10ppm
メタンスルホン酸 30g/L
グルコン酸ナトリウム 130g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO12) 7g/L
カテコール 0.1g/L
アンモニア水でpH4.5に調製
【0038】
《実施例8》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 45g/L
酸化ゲルマニウム(ゲルマニウムイオンとして) 16ppm
硫酸 110g/L
グルコノラクトン 250g/L
酢酸アンモニウム 10g/L
ラウリルアルコールポリエトキシレート(EO15) 1.5g/L
アスコルビン酸 5g/L
水酸化ナトリウムでpH6.4に調製
【0039】
《実施例9》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
酢酸銀(Ag+として) 3ppm
メタンスルホン酸 46g/L
グルコヘプトン酸ナトリウム 180g/L
チオグリコール酸 8g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 0.6g/L
水酸化ナトリウムでpH5.4に調製
【0040】
《実施例10》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 1ppm
メタンスルホン酸 30g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 2g/L
ポリオキシエチレンラウリルアンモニウム(EO10) 3g/L
グルコン酸ナトリウム 100g/L
クエン酸ナトリウム 50g/L
1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸ナトリウム 0.2g/L
水酸化ナトリウムでpH4.5に調製
【0041】
《実施例11》
下記の組成でスズメッキを建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 0.1ppm
メタンスルホン酸 30g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 2g/L
ポリオキシエチレンラウリルアンモニウム(EO10) 3g/L
グルコン酸ナトリウム 100g/L
クエン酸ナトリウム 50g/L
1−ヒドロキシ−4−ナフタレンスルホン酸ナトリウム 0.2g/L
水酸化ナトリウムでpH4.5に調製
【0042】
《実施例12》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
硫酸インジウム(In3+として) 9ppm
硫酸 20g/L
グルコン酸ナトリウム 140g/L
シュウ酸 10g/L
β―ナフトールポリエトキシレート(EO20) 2g/L
ヒドロキノン 0.2g/L
アンモニア水でpH3.0に調製
【0043】
《実施例13》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
酸化ゲルマニウム(ゲルマニウムイオンとして) 2ppm
メタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 4ppm
2−ヒドロキシエタンスルホン酸 15g/L
グルコン酸カリウム 180g/L
酢酸カリウム 10g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 1g/L
1−ヒドロキシー8−ナフタレンスルホン酸カリウム 0.4g/L
カテコール 0.2g/L
水酸化カリウムでpH7.5に調製
【0044】
《実施例14》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
酸化ゲルマニウム(ゲルマニウムイオンとして) 1ppm
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 1.5ppm
2−ヒドロキシエタンスルホン酸 15g/L
グルコン酸カリウム 180g/L
酢酸カリウム 10g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 1g/L
1−ヒドロキシー8−ナフタレンスルホン酸カリウム 0.4g/L
カテコール 0.2g/L
水酸化カリウムでpH7.5に調製
【0045】
《比較例1》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
メタンスルホン酸 100g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO12) 10g/L
カテコール 0.5g/L
【0046】
《比較例2》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
メタンスルホン酸 30g/L
グルコン酸ナトリウム 130g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO12) 7g/L
カテコール 0.1g/L
アンモニア水でpH4.5に調製
【0047】
《比較例3》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 0.05ppm
メタンスルホン酸 120g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 2g/L
ポリオキシエチレンラウリルアミン(EO12) 3g/L
1−ヒドロキシナフタレンスルホン酸ナトリウム 0.5g/L
カテコール 0.8g/L
【0048】
《比較例4》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
硝酸銀(Ag+として) 0.05ppm
硫酸 46g/L
グルコヘプトン酸ナトリウム 180g/L
チオグリコール酸 8g/L
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO15) 0.6g/L
レゾルシン 0.3g/L
水酸化ナトリウムでpH5.4に調製
【0049】
《比較例5》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
硫酸ニッケル(Ni2+として) 10ppm
メタンスルホン酸 100g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO12) 10g/L
カテコール 0.5g/L
【0050】
《比較例6》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
硫酸ニッケル(Ni2+として) 18ppm
メタンスルホン酸 30g/L
グルコン酸ナトリウム 130g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO12) 7g/L
カテコール 0.1g/L
アンモニア水でpH4.5に調製
【0051】
《参考例1》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
メタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 10ppm
2−プロパノールスルホン酸 130g/L
ビスフェノールF−4,4′−ポリエトキシレート(EO10) 15g/L
ラウリルイソキノリニウムメタンスルホネート 1g/L
ヒドロキノン 0.2g/L
【0052】
《参考例2》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
硫酸銅(Cu2+として) 7ppm
メタンスルホン酸 180g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO15) 8g/L
レゾルシン 0.8g/L
【0053】
《参考例3》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 15g/L
メタンスルホン酸鉛(Pb2+として) 2ppm
2−プロパノールスルホン酸 30g/L
グルコン酸カリウム 120g/L
コハク酸 10g/L
ビスフェノールF−4,4′−ポリエトキシレート(EO10) 2g/L
ラウリルイソキノリニウムメタンスルホネート 0.5g/L
水酸化カリウムでpH5.0に調製
【0054】
《参考例4》
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
2−プロパノールスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
硫酸銅(Cu2+として) 11ppm
メタンスルホン酸 80g/L
クエン酸ナトリウム 250g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO15) 1g/L
レゾルシン 0.2g/L
水酸化カリウムでpH5.5に調製
【0055】
《凝集抑制評価試験例》
そこで、浸漬型水平回転バレルメッキ装置(コンドウ社製;商品名ミニバレル)を用いて、サイズ3216のチップ抵抗器を被メッキ物とし、直径1.0mmのスチールボールを導電性媒体として、投入容量10mlの被メッキ物と投入容量50mlの導電性媒体を共にバレルに収容し、当該バレルを実施例1〜18及び比較例1〜6の各スズメッキ浴に浸漬して、下記の条件でバレルメッキ処理をした。
浴温 :25℃
陰極電流密度:1.0A/dm2
メッキ時間 :40分
次いで、メッキ終了後、メッシュ#12(1.40mm)の篩を用いて被メッキ物を導電性媒体から篩い分け操作して、下式で表される媒体の残留率(%)により、各スズメッキ浴の凝集防止効果の優劣を評価した。
媒体の残留率(%)=
篩に残った導電性媒体の数/バレルに収容した導電性媒体の総数
【0056】
図1はその試験結果を示す。
実施例1〜14では、酸性浴、中性浴を問わず、残留率は0.1〜1.8%であるのに対し、比較例1〜6では15%弱〜20%強にも達して、実施例のスズメッキ浴を用いると、バレルメッキに際して媒体同士の凝集を劇的に抑制できることが判明した。
この点を詳述すると、実施例1〜14と比較例5〜6の対比から、スズメッキ浴に含有する金属イオンは、標準電極電位がスズより貴なアンチモン、ゲルマニウム、銀、ビスマス、或は、逆に当該電位がスズより卑なインジウムなどの特定金属のイオンであることが必要で、この場合にのみ媒体の凝集を劇的に抑制でき、それ以外の金属であるニッケルのイオン(比較例5〜6参照)では凝集を良好に抑制できないことが判った。
次いで、実施例1〜14と比較例3〜4を対比すると、上記特定金属のイオンをスズメッキ浴に含有しても、ビスマスイオンでは0.1ppm以上で10ppm未満、ビスマス以外のイオンでは0.1ppm以上で20ppm未満の特定範囲の微量濃度でなければ劇的な凝集抑制効果を顕現せず、0.1ppmより少ない比較例3〜4では凝集抑制効果が大きく低下し、上記特定金属のイオンを全く含有しないブランク例である比較例1〜2に類した結果しか示さないことが判った。
特に、実施例11と比較例3を対比すると、ビスマスイオンの含有濃度が0.1ppmである実施例11では媒体の残留率は1.8%であるのに対し、0.1ppmより低い比較例3では20.4%にも達して、0.1ppmの上下で顕著な効果の差異、即ち、臨界的意義が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜14、比較例1〜6及び参考例1〜4の各スズメッキ浴の含有金属イオンの種類とその微量含有濃度、当該メッキ浴を用いてバレルメッキ処理した場合の導電性媒体の凝集抑制評価試験の結果を示す図表である。
Claims (6)
- 可溶性第一スズ塩と、酸又はその塩と、凝集防止用としてアンチモン、ゲルマニウム、銀、パラジウム、ガリウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ビスマスよりなる群から選ばれた金属のイオンの少なくとも一種を含有し、
上記凝集防止用の金属のイオンの合計の微量含有濃度が0.1ppm以上で、且つ上記凝集防止用の金属イオンと上記以外の凝集防止用の銅イオンと鉛イオンと亜鉛イオンの合計が20ppm未満であるとともに、
上記凝集防止用の金属イオンの中にビスマスイオンを含む場合に、ビスマスイオンの微量含有濃度は10ppm未満であることを特徴とするスズメッキ浴。 - さらに、錯化剤、酸化防止剤、界面活性剤、平滑剤、光沢剤、半光沢剤、導電性塩、pH調整剤、緩衝剤よりなる群から選ばれた添加剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載のスズメッキ浴。
- 請求項1又は2に記載のスズメッキ浴を用いて被メッキ物にバレルメッキを施すことを特徴とするバレルメッキ方法。
- 凝集防止用の可溶性金属塩をメッキ浴に添加して、当該凝集防止用の金属イオンをメッキ浴に含有させることを特徴とする請求項3に記載のバレルメッキ方法。
- 凝集防止用の金属をスズ陽極に微量含有して、電気メッキ時の陽極の溶解により、当該凝集防止用の金属イオンをメッキ浴に含有させることを特徴とする請求項3に記載のバレルメッキ方法。
- 被メッキ物が、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、スイッチ、リード線、プリント基板、半導体集積回路、モジュールよりなる群から選ばれた電子部品であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のバレルメッキ方法。
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