JP4079681B2 - 非水電解液および該電解液を用いた非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の非水電解液および該非水電解液を用いた二次電池に関し、詳しくは、非水電解液を構成する溶媒として(a)環状カーボネート化合物および(b)鎖状カーボネート化合物を必須成分として含有する有機溶媒を用い、上記(a)環状カーボネート化合物として(a−1)エチレンカーボネートおよび(a−2)1,2−ブチレンカーボネートを含有し、かつ、上記(b)鎖状カーボネート化合物として(b−1)ジメチルカーボネートおよび(b−2)エチルメチルカーボネートを含有する非水電解液、および、該非水電解液を用いることにより、サイクル後の室温および低温における電池特性に優れた非水電解液二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
近年、リチウム金属またはリチウム合金あるいはリチウムイオンを吸蔵・脱離しうる物質を負極活物質とする非水電解液二次電池が、エネルギー密度が大きく、しかも、自己放電が少ないなどの特徴を有することから注目されている。
しかし、上記非水電解液二次電池においては、負極側ではリチウムを活物質とする負極との反応が起こり、また、正極側は高電位に保たれるため、正負両極において電解液が分解されやすく、保存安定性に劣る欠点があった。
【0003】
このため、保存特性あるいはサイクル特性に優れた非水電解液を開発することが非水電解液二次電池を実用化する上で最も重要な課題となっていた。
上記非水電解液は、溶質である電解質を有機溶媒に溶解したもので、この溶媒に要求される特性としては、誘電率が大きく溶質である電解質を多量に溶解できること、粘度が低いこと、低温特性に優れていること、酸化還元に対して安定で分解しないこと、揮発性が低く使用に当たって安全性が大きいことなどが挙げられる。
【0004】
従来、非水電解液二次電池に用いられる溶媒としては1,2−ジメトキシエタンや1,3−ジオキソランなどの低沸点溶媒が用いられていたが、これらの低沸点溶媒は誘電率が小さいばかりでなく、単独で使用した場合には負極の材料であるリチウムが溶媒として反応して電解液中に溶出して保存特性が低下したり、反応により生成した酸化リチウム被膜がイオン導電性が良くないために電池内部の抵抗が増大し、高率放電特性が悪化するという欠点があった。
【0005】
このため、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの誘電率の大きい環状炭酸エステルと1,2−ジメトキシエタンやテトラヒドロフランなどの低沸点溶媒との混合溶媒が用いられていた。この種の溶媒は、環状炭酸エステルとリチウムが反応して負極表面にイオン導電性に優れる炭酸リチウム被膜が形成するとともに、低沸点の溶媒を用いることによって電解液の粘度を低下させることを目的とするものであり、これによって電解液のイオン導電性の低下を防止し、また、高率放電特性を改良しようとするものである。
【0006】
しかしながら、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどの低沸点溶媒はその酸化還元電位が低いために高電位の正極との接触界面において分解しやすく、また、高温下に長時間保存すると負極表面に形成された炭酸リチウム被膜を徐々に分解し、絶縁性の酸化リチウム被膜に変化させてしまうため、初期の高率放電特性はある程度改良できるものの、保存後の高率放電特性については充分に満足しえるものではなかった。
【0007】
このため、電解液溶媒に関する改良が強く求められており、例えば、特開平2−172162号公報、特開平2−172163号公報、特開平4−162370号公報、特開平4−171674号公報、特開平5−13088号公報、特開平6−119939号公報、特開平7−45304号公報などには、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート化合物の混合溶媒を用いることが提案されている。
【0008】
1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどに変えて、鎖状のカーボネート化合物を用いることによって初期および保存後の高率放電特性はある程度は改善されるものの、これらの鎖状カーボネート化合物は溶質である電解質を溶解しにくく、また、低分子化合物であるために揮発しやすい欠点は解決できなかった。
【0009】
従って、本発明の目的は、非水電解液二次電池のサイクル後の室温および低温における電池特性を改良できる非水電解液、および、該非水電解液を用いた非水電解液二次電池を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる現状に鑑み種々の検討を重ねた結果、非水電解液における溶媒として(a)環状カーボネート化合物および(b)鎖状カーボネート化合物を必須成分として含有する有機溶媒を用い、上記(a)環状カーボネート化合物として(a−1)エチレンカーボネートおよび(a−2)1,2−ブチレンカーボネートを含有させ、かつ、上記(b)鎖状カーボネート化合物として(b−1)ジメチルカーボネートおよび(b−2)エチルメチルカーボネートを含有させることにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0011】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、(a)環状カーボネート化合物および(b)鎖状カーボネート化合物を必須成分として含有する有機溶媒に電解質塩を溶解させてなる非水電解液において、(a)環状カーボネート化合物は(a−1)エチレンカーボネートおよび(a−2)1,2−ブチレンカーボネートを含有し、かつ、(b)鎖状カーボネート化合物は(b−1)ジメチルカーボネートおよび(b−2)エチルメチルカーボネートを含有し、さらに下記一般式(1)で表される不飽和結合を有するケイ素化合物、下記一般式(2)で表される有機錫化合物または下記一般式(3)で表される有機ゲルマニウム化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする非水電解液を提供するものである。
【化1】
【化2】
【化3】
また、本発明は、非水電解液と正極と負極とを有する非水電解液二次電池において、非水電解液として本発明の上記非水電解液を用いたことを特徴とする非水電解液二次電池を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の非水電解液および該非水電解液を用いた非水電解液二次電池について詳述する。
【0013】
本発明の非水電解液に用いられる、(a)環状カーボネート化合物および(b)鎖状カーボネート化合物を必須成分として含有する有機溶媒は、(a)環状カーボネート化合物である(a−1)エチレンカーボネートおよび(a−2)1,2−ブチレンカーボネートならびに(b)鎖状カーボネート化合物である(b−1)ジメチルカーボネートおよび(b−2)エチルメチルカーボネートの4種のみからなるものでもよく、必要に応じてさらに、他の環状カーボネート化合物、他の鎖状カーボネート化合物、その他の有機溶媒を含有していてもよい。
【0014】
上記の他の環状カーボネート化合物としては、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、2−メチル−1,2−ブチレンカーボネート、1,1−ジメチルエチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,3−プロピレンカーボネート、2−メチル−1,3−プロピレンカーボネート、3−メチル−1,3−プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
また、上記の他の鎖状カーボネート化合物としては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチル−カーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどが挙げられる。さらに鎖状カーボネート化合物に分類されているアルキレンビスカーボネート化合物として、1,2−ビス(メトキシカルボニルオキシ)エタン、1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)エタン、1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)プロパンなどが例示される。
【0015】
上記のその他の有機溶媒としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル化合物、スルホラン、スルホレン、テトラメチルスルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシドなどのスルホンまたはスルホキシド化合物、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアマイド化合物などが挙げられる。
【0016】
また、上記のその他の有機溶媒として、低粘度で低温での電解液の性能を高くすることができる鎖状または環状エーテル化合物を用いてもよく、かかる鎖状または環状エーテル化合物としては、ジメトキシエタン(DME)、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。さらに上記のその他の有機溶媒として鎖状エステル化合物を用いることもでき、かかる鎖状エステル化合物としては、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸第二ブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどが挙げられる。その他、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタンやこれらの誘導体を用いることもできる。
【0017】
また、上記のその他の有機溶媒として、鎖状エーテル化合物に分類されるグリコールジエーテル化合物を用いてもよい。かかるグリコールジエーテル化合物としては、具体的には、エチレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテル、i−プロピレングリコール(トリフルオロエチル)エーテル、エチレングリコールビス(トリフルオロメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテルなどが挙げられ、これらの化合物は、末端基がフッ素原子で置換されているために電極界面において、界面活性剤様の作用を発揮して、非水電解液の電極への親和性を高めることができ、初期の電池内部抵抗の低減やリチウムイオンの移動性を高めることができる。
【0018】
本発明で用いられる(a)環状カーボネート化合物の含有量は、全有機溶媒100体積%に対して、好ましくは20〜50体積%であり、更に好ましくは25〜40体積%である。20体積%未満では、電解液の誘電率が低下してしまい、50体積%を超えて配合すると低温での性能に問題が生じる惧れがある。
また、本発明で用いられる(b)鎖状カーボネート化合物の含有量は、全有機溶媒100体積%に対して、好ましくは50〜80体積%であり、更に好ましくは55〜75体積%である。50体積%未満では低温における性能を向上させるのに十分ではなく、80体積%を超えて配合すると十分な誘電率が得られない。また、上記の(a)の環状カーボネート化合物および(b)鎖状カーボネート化合物の合計含有量は、全有機溶媒100体積%に対して、好ましくは70体積%以上である。さらに必要に応じて配合される有機溶媒の含有量は、全有機溶媒100体積%に対して0〜30体積%である。
【0019】
また、上記(a)の環状カーボネート化合物中の(a−1)エチレンカーボネートと(a−2)1,2−ブチレンカーボネートとの比率(体積比)は、1/10〜10/1、特に1/2〜5/1であることが好ましく、また上記(a)の環状カーボネート化合物中の(a−1)エチレンカーボネートと(a−2)1,2−ブチレンカーボネートの合計量は、上記(a)環状カーボネート全量に対して、80体積以上、特に90体積%以上であることが好ましい。
また、上記(b)鎖状カーボネート化合物中の(b−1)ジメチルカーボネートと(b−2)エチルメチルカーボネートとの比率(体積比)は、1/6〜5/1、特に1/5〜4/1であることが好ましく、また上記(b)鎖状カーボネート化合物中の(b−1)ジメチルカーボネートと(b−2)エチルメチルカーボネートの合計量は、上記(b)の鎖状カーボネート化合物全量に対して、80体積%以上、特に85体積%以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の非水電解液には、さらに下記一般式(1)で表される不飽和結合を有するケイ素化合物、下記一般式(2)で表される有機錫化合物または下記一般式(3)で表される有機ゲルマニウム化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上を含有させる。
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
上記一般式(1)において、R1〜R6で表されるアルキル基およびアルコキシ基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどの炭素原子数1〜12のアルキル基またはこれらの基から誘導されるアルコキシ基が挙げられ、アルケニル基およびアルケニルオキシ基としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニル、2−オクテニルなどの炭素原子数2〜8のアルケニル基またはこれらの基から誘導されるアルケニルオキシ基が挙げられ、アルキニル基およびアルキニルオキシ基としては、エチニル、2−プロピニル、1,1−ジメチル−2−プロピニルなどの炭素原子数2〜8のアルキニル基またはこれらの基から誘導されるアルキニルオキシ基が挙げられ、アリール基またはアリールオキシ基としては、フェニル、トリル、キシリル、第三ブチルフェニルなどの炭素原子数6〜12のアリール基またはこれらの基から誘導されるアリールオキシ基が挙げられる。また、Xで表されるアルキレン基またはアルキレンジオキシ基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどの炭素原子数1〜8のアルキレン基またはこれらの基から誘導されるアルキレンジオキシ基が挙げられ、アルケニレン基またはアルケニレンジオキシ基としては、ビニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、ブテニレン、ペンテニレンなどの炭素原子数2〜8のアルケニレン基またはこれらの基から誘導されるアルケニレンジオキシ基が挙げられ、アルキニレン基またはアルキニレンジオキシ基としては、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、1,1,4,4−テトラメチルブテニレンなどの炭素原子数2〜8のアルキニレン基またはアルキニレンジオキシ基が挙げられ、アリーレン基またはアリーレンジオキシ基としてはフェニレン、メチルフェニレン、ジメチルフェニレン、第三ブチルフェニレンなどの炭素原子数6〜12のアリーレン基またはこれらの基から誘導されるアリーレンジオキシ基が挙げられる。
【0025】
上記一般式(1)で表されるケイ素化合物としては、より具体的には、以下の化合物No.1〜No.27などが挙げられる。但し、本発明は以下の例示によりなんら制限されるものではない。
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
【化21】
【0041】
【化22】
【0042】
【化23】
【0043】
【化24】
【0044】
【化25】
【0045】
【化26】
【0046】
【化27】
【0047】
【化28】
【0048】
【化29】
【0049】
【化30】
【0050】
【化31】
【0051】
【化32】
【0052】
【化33】
【0053】
上記の一般式(1)で表されるケイ素化合物は既知の化合物であり、その合成方法は、特に限定されるものではないが、例えば水素含有ケイ素化合物と水酸基含有ケイ素化合物の脱水素カップリング反応により化合物No.1が得られる。
【0054】
また、上記一般式(2)または(3)において、R1 、R2 、R4 、R5 およびR6 で表されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、シクロペンチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオキチル、ベンジルなどが挙げられる。
【0055】
上記一般式(2)または(3)において、R1 およびR2 で示されるアルケニル基としては、ビニル、プロペニル、ヘキセニル、ドデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニルが挙げられる。
【0056】
R1 、R2 、R4 およびR6 で示されるアリール基としては、フェニル、ナフチル、トリル、ブチルフェニル、ヘキシルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、ドデシルフェニルなどが挙げられる。R1 で示されるアルコキシカルボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルエチル、イソプロポキシカルボニルエチル、ブトキシカルボニルエチル、オクトキシカルボニルエチルなどが挙げられる。
【0057】
また、R3 またはX2 で示されるアルキレン基としては、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレンなどが挙げられる。R3 またはX2 で示されるアルケニレン基としては、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ヘキセニレン、ドデセニレン、ヘキサデセニレン、オクタデセニレンなどが挙げられる。X2 で示されるアルキニレン基としては、エテニレン、2−プロピニレンなどが挙げられる。R3 で示されるアリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン、トリルレン、ブチルフェニレン、ヘキシルフェニレン、オクチルフェニレン、ノニルフェニレン、ドデシルフェニレンなどが挙げられる。また、R2 またはR3 の置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、アルカノイルキシ基、アルキルメルカプト基が挙げられ、ハロゲン基としては、塩素、フッ素、臭素などが挙げられ、その他の基は、上記に挙げられたアルキル基から誘導された基が挙げられる。
【0058】
上記一般式(2)で表される有機錫化合物としては、(I)有機錫アルコキサイド、(II)有機錫−β−ジケトネート、(III)有機錫オキサイドおよび/またはサルファイド、(IV)有機錫メルカプタイドまたはメルカプタイドアルコキサイド、(V)有機錫メルカプトカルボキシレート、(VI)有機錫カルボキシレート、(VII)有機錫スルホネート、(VIII)テトラ有機錫などが挙げられ、具体的には下記のような化合物が例示される。但し、本発明に用いられる有機錫化合物は、下記の例示により何ら制限されるものではない。
【0059】
(I)有機錫アルコキサイドとしては、モノブチル錫トリメトキサイド、モノオクチル錫トリメトキサイド、ジブチル錫ジメトキサイド〔(C4 H9 )2 Sn(−OCH3 )2 〕、ジブチル錫ジブトキサイド〔(C4 H9 )2 Sn(−O(CH2 )3 CH3 )2 〕、ジビニル錫ジブトキサイド、ジブチル錫ジプロポキシサイド、ジブチル錫ビス(メトキシエトキシサイド)などの有機錫の一価アルコールのアルコキサイドおよびジブチル錫エチレングリコラート〔(C4 H9 )2 Sn(−O−CH2 CH2 −O−)〕、ジブチル錫(1−メチル)エチレングリコラート、ジビニル錫エチレングリコラート、ジアリル錫エチレングリコラート、ジブチル錫(1−ヘキシル)エチレングリコラート、ジビニル錫(1−ヘキシル)エチレングリコラート、ジブチル錫(1−ビニルオキシメチル)エチレングリコラート、ジブチル錫(1−アリロキシメチル)エチレングリコラート〔(C4 H9 )2 Sn(−O−CH(CH2 OCH2 CH=CH2 )CH2 −O−)〕、ジブチル錫(1−ブトキシメチル)エチレングリコラート、ジブチル錫(1−アセトキシメチル)エチレングリコラート、ジブチル錫(2,2−ジメチル)−1,3−プロピレングリコラート、ジブチル錫(1,1,3−トリメチル)−1,3−プロピレングリコラート、ジブチル錫(2−エチル−2−ブチル)−1,3−プロピレングリコラート、ジブチル錫(2,2−ジフルオロ)−1,3−プロピレングリコラート、ジブチル錫(2−ブテニレン)−1,4−グリコラートなどの有機錫グリコラートが挙げられる。
【0060】
(II)有機錫−β−ジケトネートとしては、下記に示すジブチル錫ビス(アセチルアセトネート)、ジブチル錫ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)、ジブチル錫ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ジブチル錫ビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオネート)などの有機錫アルカン−β−ジオネートおよびジブチル錫ビス(ベンゾイルアセトネート)、ジブチル錫ビスジベンゾイルメタネートなどの有機錫芳香族βジケトネートが挙げられる。
【0061】
【化34】
【0062】
(III)有機錫オキサイドおよび/またはサルファイドとしては、モノブチル錫オキサイド〔(C4 H9 Sn(=O))2 −O〕、モノブチル錫サルファイド〔(C4 H9 Sn(=S))2 −S〕、ジメチル錫オキサイド〔(CH3 )2 Sn=O〕、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジメチル錫サルファイド〔(CH3 )2 Sn=S〕、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫サルファイド、モノブチル錫オキサイド・サルファイドなどが挙げられる。
【0063】
(IV)有機錫メルカプトタイプまたはメルカプタイドアルコキサイドとしては、モノブチル錫トリオクチルメルカプタイド、ジメチル錫ジドデシルメルカプタイド(CH3 )2 Sn−((CH2 )11CH3 )2 、ジブチル錫ジドデシルメルカプタイド、ジブチル錫−1,2−エタンジチオラート、ジブチル錫−O,S−モノチオエチレングリコラートなどが挙げられる。
【0064】
(V)有機錫メルカプトカルボキシレートとしては、モノメチル錫−S,S,S−トリス(イソオクチルチオグリコレート)〔CH3 Sn(SCH2 COOC8 H17−i)3 〕、モノブチル錫−S,S,S−トリス(イソオクチルチオグリコレート)、モノオクチル錫−S,S,S−トリス(イソオクチルチオグリコレート)、ジメチル錫−S,S−ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチル錫−S,S−ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチル錫−S,S−ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジブチル錫−S,S−ビス(ブチル−3−メルカプトプロピオネート)〔(C4 H9 )2 Sn(SCH2 CH2 COOC4 H9 )2 〕、ジメチル錫−S,S−ビス(メルカプトエチルオレート)〔〔(CH3 )2 Sn(SCH2 CH2 O−CO−C17H35)2 〕、ジメチル錫−S,S−ビス(メルカプトエチルアセテート)、ジブチル錫−O,S−チオグリコレート、〔(C4 H9 )2 Sn(−SCH2 COO−)〕、ジビニル錫−O−S−チオグリコラート、ジブチル錫−O,S−3−メルカプトプロピオネート〔(C4 H9 )2 Sn(−SCH2 CH2 COO−)〕、ビス(ジブチル錫−S−イソオクチルチオグリコレート)サルファイド〔S(Sn(C4 H9 )2 −SCH2 COOC8 H17−i)2 〕、ビス(ジブチル錫−S−メチルチオグリコレート)−O,S−チオグリコレート〔(−SCH2 COO−)(Sn(C4 H9 )2 −SCH2 COOCH3 )2 〕が挙げられる。
【0065】
(VI)有機錫カルボキシレートとしては、トリブチル錫アクリレート〔(C4 H9 )3 Sn−O−CO−CH=CH2 〕、ジブチル錫ジベンゾエート〔(C4 H9 )2 Sn(−O−CO−C6 H5 )2 〕、ジメチル錫ビス(ネオデカノエート)〔(CH3 )2 Sn(−O−CO−C(CH3 )2 C6 H13)2 〕、モノブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)〔C4 H9 Sn(−O−CO−CH(C2 H5 )C4 H9 )3 〕、ジブチル錫ビス(モノメチルマレート)〔(C4 H9 )2 Sn(OCOCH=CHCOOCH3 )〕、ジブチル錫ジアセテート〔(C4 H9 )2 Sn(−OCOCH3 )2 〕、ジビニル錫ジアセテート、ジブチル錫ジドデカノエート〔(C4 H9 )Sn(−OCO(CH2 )10CH3 )2 〕、ジブチル錫ジアクリレート〔(C4 H9 )2 Sn(−OCOCH=CH2 )2 〕、ジブチル錫ジメタクリレート〔(C4 H9 )2 Sn(−OCOCCH3 =CH2 )2 〕、トリフェニル錫アクリレート、ビス(ジブチル錫アセテート)オキサイド〔((C4 H9 )2 Sn(OCOCH3 ))2 −O〕などが挙げられる。
【0066】
(VII)有機錫スルホネートとしては、ジブチル錫ビス(ベンゼンスルホネート)、ジブチル錫ビス(トリフルオロメタンスルホネート)などが挙げられる。
【0067】
(VIII)テトラ有機錫としては、テトラブチル錫、トリメチル−アリル錫〔(CH3 )3 Sn−(CH2 CH=CH2 )〕、トリブチル−アリル錫〔(C4 H9 )3 Sn−(CH2 CH=CH2 )〕、ジブチル−ジビニル錫〔(C4 H9 )2 Sn−(CH=CH2 )2 〕トリフェニル−アリル錫、ビス(トリブチル錫)アセチレンなどが挙げられる。
【0068】
上記一般式(2)で表される有機錫化合物は既知の化合物であり、その合成方法は、特に限定されるものではないが、例えばSnCl4 とグリニャール試薬またはトリアルキルアルミニウムを反応させてテトラアルキル錫が合成され、これにハロゲン、ハロゲン化水素やSnCl4 で開裂させて有機錫ハライドが得られる。これに水酸化ナトリウムなどでアルカリ加水分解することで有機錫オキサイド得られ、さらにアルコール、β−ジケトン化合物、有機酸、メルカプタンなどとリガンド交換反応で各種の誘導体が合成される。
【0069】
これらの有機錫化合物の中でも、モノ有機錫化合物およびジ有機錫化合物は毒性が極めて低いことが知られており、またモノおよびジアルキル錫化合物は合成も容易であり、化合物の安定性が大きいので好ましい。
【0070】
また、これらの有機錫誘導体の中でも、有機錫アルコキサイド化合物、特にアルキル基、アルコキシメチル基、アルケニルオキシメチル基で置換されていても良い有機錫グリコラート化合物および有機錫β−ジケトネート化合物、特に有機錫アルカンジオネート化合物は非水溶媒への溶解性に優れ、また、非水電解液二次電池の低温特性を改善する効果が大きいので好ましい。
【0071】
また、上記一般式(3)で表される有機ゲルマニウム化合物としては、アリルトリエチルゲルマン、アリルトリメチルゲルマン、シクロペンタジェニルトリメチルゲルマン、ビニルトリエチルゲルマン、テトラエチルゲルマン、ヘキサアリルジゲルマノキサン、テトラアリルゲルマン、ジブチルゲルマニウム(1−アリロキシメチル)エチレングリコラート、モノオクチルゲルマニウムトリメトキサイド、ジブチルゲルマニウムジプロポキシサイド、ジブチルゲルマニウム(1−ヘキシル)エチレングリコラート、ジブチルゲルマニウム(1,1,3−トリメチル)1,3−プロピレングリコラート、ジブチルゲルマニウムビス(アセチルアセトネート)、ジブチルゲルマニウムビス(2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオネート)、ジブチルゲルマニウムビス(ベンゾイルアセトネート)などが挙げられる。
【0072】
上記の一般式(1)で表される有機ケイ素化合物、一般式(2)で表される有機錫化合物または一般式(3)で表される有機ゲルマニウム化合物が効果を発現する機構は明らかではないが、サイクル初期に電極界面において重合もしくは反応することにより、低温時においても高いリチウムイオン導伝性を維持した被膜を形成すると考えられる。また、この効果を発現するためには、0.05〜5質量%の添加量で上記化合物を含有させることが望ましく、0.1〜3質量%がより望ましい。0.05質量%未満ではその効果がほとんど認められず、また、5質量%を超えて含有させても効果はそれ以上発現しなくなるので無駄であるばかりでなく、却って電解液の特性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。
【0073】
本発明は、電解質塩を有機溶媒に溶解した電解液において、上記の一般式(1)で表される有機ケイ素化合物、一般式(2)で表される有機錫化合物または一般式(3)で表される有機ゲルマニウム化合物を各々単独で含有させてもよく、また、上記の一般式(1)で表される有機ケイ素化合物、一般式(2)で表される有機錫化合物または一般式(3)で表される有機ゲルマニウム化合物の中から選ばれる2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0074】
また、本発明の非水電解液には、難燃性を付与するために難燃剤としてハロゲン系、リン系その他の難燃剤を適宜添加することができる。リン系難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートなどのリン酸エステル類が挙げられる。
【0075】
上記リン系難燃剤の使用量は、電解液を構成する全有機溶媒100質量部に対して5〜100質量部が好ましく、10〜50質量部が特に好ましい。5質量部未満では十分な難燃化効果が得られない。
【0076】
また、上記非水電解液における電解質塩としては、従来公知の電解質塩が用いられ、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiSbF6、LiSiF5、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlF4、LiAlCl4、NaClO4、NaBF4、NaIなどが挙げられ、中でも、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6などの無機塩、並びに、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3などの有機塩およびこれらの有機塩の誘導体からなる群より選ばれる一種または二種以上の塩の組合せが電気特性に優れるので好ましい。
【0077】
上記電解質塩は、電解液中の濃度が、0.1〜3.0モル/リットル、特に0.5〜2.0モル/リットルとなるように前記有機溶媒に溶解することが好ましい。該電解液の濃度が0.1モル/リットルより小さいと充分な電流密度を得られないことがあり、3.0モル/リットルより大きいと電解液の安定性を損なう恐れがある。
【0078】
本発明の非水電解液二次電池は、非水電解液として、上述の本発明の非水電解液を用いたものである。
本発明の非水電解液二次電池で用いられる正極、負極およびセパレーターは、特に制限されるものではないが、従来、非水電解液電池に用いられている種々の材料をそのまま使用することができる。
【0079】
電極材料としては、正極および負極があり、正極としては、正極活物質と結着剤と導電材とをスラリー化したものを集電体に塗布し、乾燥してシート状にしたものが使用される。正極活物質としては、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2、Li(1-x)MnO2、Li(1-x)Mn2O4、Li(1-x)CoO2、Li(1-x)NiO2、LiV2O3、V2O5などが挙げられる。なお、該正極活物質の例示におけるXは0〜1の数を示す。これら正極活物質のうち、リチウムと遷移金属の複合酸化物が好ましく、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiMnO2、LiV2O3などが好ましい。負極および正極活物質の結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、EPDM、SBR、NBR、フッ素ゴムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
負極としては、通常、負極活物質と結着剤とを溶媒でスラリー化したものを集電体に塗布し、乾燥してシート状にしたものが使用される。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、炭素質材料、導電性ポリマーなどが挙げられる。特に、安全性の高いリチウムイオンを吸蔵、放出できる炭素質材料が好ましい。この炭素質材料は特に限定されないが、黒鉛および石油系コークス、石炭系コークス、石油系ピッチの炭化物、石炭系ピッチの炭化物、フェノール樹脂・結晶セルロースなど樹脂の炭化物などおよびこれらを一部炭化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維などが挙げられる。
【0081】
正極の導電材としては、黒鉛の微粒子、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、ニードルコークスなどの無定形炭素の微粒子などが使用されるが、これらに限定されない。スラリー化する溶媒としては、通常は結着剤を溶解する有機溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどを挙げることができるがこれに限定されない。また、水に分散剤、増粘剤などを加えてSBRなどのラテックスで活物質をスラリー化する場合もある。
【0082】
負極の集電体には、通常、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼などが使用され、正極集電体には、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼などが使用される。
【0083】
本発明の非水電解液二次電池では正極と負極の間にセパレータを用いるが、通常用いられる高分子の微多孔フィルムを特に限定なく使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなどの種々のセルロース類、ポリ(メタ)アクリル酸およびその種々のエステル類などを主体とする高分子化合物やその誘導体、これらの共重合体や混合物からなるフィルムなどが挙げられる。また、このようなフィルムを単独で用いてもよいし、これらのフィルムを重ね合わせた複層フィルムでもよい。さらにこれらのフィルムには種々の添加剤を用いてもよく、その種類や含有量は特に制限されない。これらの微多孔フィルムの中で、本発明の非水電解液二次電池にはポリエチレンやポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホンが好ましく用いられる。
【0084】
これらのセパレータフィルムは、電解液がしみ込んでイオンが透過し易いように、微多孔化がなされている。この微多孔化の方法としては、高分子化合物と溶剤の溶液をミクロ相分離させながら製膜し、溶剤を抽出除去して多孔化する「相分離法」と、溶融した高分子化合物を高ドラフトで押し出し製膜した後に熱処理し、結晶を一方向に配列させさらに延伸によって結晶間に間隙を形成して多孔化をはかる「延伸法」などが挙げられ、用いられる高分子フィルムによって適宜選択される。特に、本発明に好ましく用いられるポリエチレンやポリフッ化ビニリデンに対しては、相分離法が好ましく用いられる。
【0085】
本発明の電解液、電極材料およびセパレータには、より安全性を向上する目的でフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物を添加してもよい。
【0086】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3−第三ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。
【0087】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイトなどが挙げられる。
【0088】
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリルなどのジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0089】
上記ヒンダードアミン化合物としては、以下の一般式(4)で表される化合物、塩化シアヌル縮合型、高分子量型が挙げられる。
【0090】
【化35】
【0091】
【化36】
【0092】
上記一般式(4)において、Aで表される炭素数1〜18のn価の炭化水素基としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、第二ブタン、第三ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、第三ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、第三ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、第三オクタン、2−エチルヘキサン、ノナン、イソノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ペプタデカン、オクタデカンから誘導される基(アルキル基、アルカンジ〜ヘキサイル基)が挙げられる。
【0093】
また、Aで表されるn価のアシル基とは、カルボン酸、n価カルボン酸およびカルボキシル基がn個残存している多価カルボン酸アルキルエステルから誘導される基のことであり、該アシル誘導体化合物としては、酢酸、安息香酸、4−トリフルオロメチル安息香酸、サリチル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸モノ〜ジアルキルエステル、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸モノ〜ジアルキルエステル、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸モノ〜トリアルキルエステル、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸モノ〜テトラアルキルエステル、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸モノ〜ペンタアルキルエステルなどが挙げられる。また、n価のカルバモイル基は、イソシアネート化合物から誘導されるモノアルキルカルバモイル基またはジアルキルカルバモイルのことであり、モノアルキルカルバモイル基を誘導するイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3、3’−ジメチルジフェニル−4、4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,2,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネートなどが挙げられ、ジアルキルカルバモイルとしては、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ジヘキシルカルバモイル、ジオクチルカルバモイルなどが挙げられる。これらのAで表される基はハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基などで置換されていてもよい。
【0094】
B中のR’で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、1−エチルペンチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシルが挙げられ、Xで表される炭素数1〜18のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、イソノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ペプタデシルオキシ、オクタデシルオキシが挙げられ、炭素数1〜8のアルキル基としては、R’と同様の基が挙げられ、Z中のR1で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、R’と同様の基が挙げられる。
【0095】
上記一般式(4)で表されるヒンダードアミン化合物の更なる具体例としては、例えば、1−オキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル、1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジルメタクリレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンなどが挙げられる。
【0096】
上記塩化シアヌル縮合型としては、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカンなどが挙げられる。
【0097】
また、上記高分子量型としては、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物などが挙げられる。
【0098】
上記構成からなる本発明の非水電解液二次電池は、その形状には特に制限を受けず、偏平型(ボタン型)、円筒型、角型など、種々の形状の電池として使用できる。本発明の非水電解液二次電池としてはリチウムにより構成されるリチウム二次電池などが挙げられるが、これに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲において適宜その構成を変更したものも採用することができる。図1は、本発明の非水電解液二次電池の円筒型電池の例を、図2は、本発明の非水電解液を用いた非水電解液二次電池の基本構成を示す概略図である。
【0099】
図2に示す非水電解液二次電池10であるリチウム二次電池は、少なくともリチウムまたはリチウム合金を活物質として構成される負極1、負極集電体2、正極端子7および負極端子8から構成されている。
尚、図2中、3は正極、4は正極集電体、5は電解液、6はセパレーターである。また、図1に示す円筒型電池10において、1’は負極板、1''は負極リード、3’は正極板、3''は正極リード、6はセパレーター、7は正極端子、8は負極端子、11はケース、12は絶縁板、13はガスケット、14は安全弁、15はPTC素子である。
また、該リチウム二次電池は必要に応じて、非水電池に通常用いられる上記以外の構成材料を使用することができる。
【0100】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。但し、以下の実施例により本発明はなんら制限されるものではない。なお、実施例1は参考例である。
【0101】
実施例のリチウム二次電池は以下の手順で作製された。
〔正極の作製〕
正極活物質LiNiO2が85質量部、導電剤としてアセチレンブラックが10質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部を混合して、正極材料とした。この正極材料をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、スラリー状とした。このスラリーをアルミニウム製の正極集電体両面に塗布し、乾燥後、プレス成型して、正極板とした。
その後、この正極板は、所定の大きさにカットし、電流取り出し用のリードタブ溶接部となる部分の電極合剤を掻き取ることでシート状正極を作製した。
【0102】
〔負極の作製〕
炭素材料粉末92.5質量部にPVDF7.5質量部を混合して、負極材料とした。この負極材料をNMPに分散させてスラリー状とした。このスラリーを正極と同様に銅製の負極集電体両面に塗布し、乾燥後、プレス成型して、負極板とした。その後、この負極板は、所定の大きさにカットし、電流取り出し用のリードタブ溶接部となる部分の電極合剤を掻き取ることでシート状負極を作製した。
【0103】
〔電解液の調製〕
有機溶媒を下記表1、表2に示す体積%で混合し、さらに、LiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解し、試験化合物(表2記載)を表2記載の配合量(質量部)で添加して非水電解液とした。
【0104】
〔電池の組み立て〕
以上で得られたシート状正極およびシート状負極を、厚さ25μmの微孔ポリエチレン製のフィルムを介した状態で巻回させて、巻回型電極体を形成した。得られた巻回型電極体はケースの内部に挿入され、ケース内に保持された。このときシート状正極およびシート状負極のリードタブ溶接部に一端が溶接された集電リードは、ケースの正極端子あるいは負極端子に接合した。その後、電解液が巻回型電極体が保持されたケース内に注入され、ケースが密閉、封止した。
以上の手順により、φ18mm、軸方向の長さ65mmの円筒型リチウム二次電池を製作した。
【0105】
実施例においてリチウム二次電池の各種特性は、以下の測定方法により測定された。
【0106】
<出力>
各試験例の電池を用いて初期、高温500サイクル試験後の出力特性の評価を行った。まず、室温にて充電を一定電流で行い、電池の充電状態SOC(State of Charge)を60%に調整した。
そして電池の作動電圧範囲を4.1Vから3Vの範囲とし、電池の放電電流を変化させ、それぞれ10秒間の放電を行い、10秒目の電流−電圧線を求め、下限電圧の3Vとなる電流値に下限電圧3Vを掛けて出力特性の値を算出した。なお、この測定は20℃、−30℃の各温度で実施した。
【0107】
<初期放電容量>
まず、充電電流0.25mA/cm2で4.1Vまで定電流定電圧充電し、放電電流0.33mA/cm2で3.0Vまで定電流放電を行った。次に充電電流1.1mA/cm2で4.1Vまで定電流定電圧充電、放電電流1.1mA/cm2で3.0Vまで定電流放電を4回行った後、充電電流1.1mA/cm2で4.1Vまで定電流定電圧充電、放電電流0.33mA/cm2で3.0Vまで定電流放電し、この時の放電容量を電池初期容量とした。なお、測定は20℃の雰囲気で行った。
【0108】
<サイクル特性試験>
リチウム二次電池を、雰囲気温度60℃の恒温槽内に入れ、充電電流2.2mA/cm2で4.1Vまで定電流充電し、放電電流2.2mA/cm2で3Vまで定電流放電を行うサイクルを500回繰り返して行った。
その後、雰囲気温度を20℃に戻して、充電電流1.1mA/cm2で4.1Vまで定電流定電圧充電、放電電流0.33mA/cm2で3.0Vまで定電流放電し、このときの放電容量と初期放電容量との比を放電容量維持率(%)とした。測定は20℃、−30℃の各温度で実施した。
【0109】
〔実施例1および比較例1〕
表1に示す配合(体積%)の混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解して電解液とした。初期出力、サイクル後の出力および放電容量維持率(%)を室温および−30℃について各々結果を表1に示す。但し、比較例1−1における初期出力および初期放電容量を100とした。尚、表1中、ECはエチレンカーボネート、BCは1,2−ブチレンカーボネート、EMCはエチルメチルカーボネート、DMCはジメチルカーボネート、PCはプロピレンカーボネート、DECはジエチルカーボネートである。
【0110】
【表1】
【0111】
〔実施例2および比較例2〕
実施例1と同様の方法で初期出力、サイクル後の出力および放電容量維持率を測定した。但し、溶媒および添加試料化合物を〔表2〕の通り配合して試験を行った。溶媒は体積%を示し、添加試料化合物は溶媒100質量部に対して表2に示す質量部を配合した。また、実施例1と同様に比較例1−1における初期出力および初期放電容量を100とした。
【表2】
【0112】
上記の表1〜表3の結果から明らかなように、本発明の特定の環状カーボネート化合物および鎖状カーボネート化合物を含有した実施例の電解液は、サイクル後の室温および低温における電池特性が優れており、特に低温における電池特性が優れていることが確認できた。
これに比較して、本発明以外の比較例の組成の有機溶媒を使用した場合は、サイクル後の低温特性に問題があることが確認できた。
【0113】
【発明の効果】
本発明の特定の環状カーボネート化合物および特定の鎖状カーボネート化合物を含有したことを特徴とする非水電解液を用いることで、サイクル後の室温および低温における電池特性に優れた非水電解液二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の非水電解液二次電池としてのリチウム二次電池(円筒型)の内部構造を断面として示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の非水二次電池としてのリチウム二次電池の基本構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1負極
2負極集電体
1’負極板
1”負極リード
3正極
4正極集電体
3’正極板
3”正極リード
5電解液
6セパレーター
7正極端子
8負極端子
10非水電解液二次電池
11ケース
12絶縁板
13ガスケット
14安全弁
15PTC素子
Claims (8)
- (a)環状カーボネート化合物を有機溶媒全体に対し20〜50体積%、(b)鎖状カーボネート化合物を有機溶媒全体に対し50〜80体積%含有し、かつ両者を併せて有機溶媒全体に対して70体積%以上含有する請求項1記載の非水電解液。
- (a)環状カーボネート化合物中の(a−1)エチレンカーボネートと(a−2)1,2−ブチレンカーボネートとの比率(体積比)が1/10〜10/1である請求項1または2記載の非水電解液。
- (b)鎖状カーボネート化合物中の(b−1)ジメチルカーボネートと(b−2)エチルメチルカーボネートの比率(体積比)が1/6〜5/1である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液。
- (a)環状カーボネート化合物中の(a−1)エチレンカーボネートと(a−2)1,2−ブチレンカーボネートの合計量が、(a)環状カーボネート化合物全量に対して80体積%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液。
- (b)鎖状カーボネート化合物中の(b−1)ジメチルカーボネートと(b−2)エチルメチルカーボネートの合計量が、(b)鎖状カーボネート化合物全量に対して80体積%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液。
- 電解質塩が、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiAsF6 、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 SO2 )2 およびLiC(CF3 SO2 )3 ならびにLiCF3 SO3 の誘導体、LiN(CF3 SO2 )2 の誘導体およびLiC(CF3 SO2 )3 の誘導体の内から選ばれる少なくとも1種類を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液。
- 非水電解液と正極と負極とを有する非水電解液二次電池において、非水電解液として請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解液を用いたことを特徴とする非水電解液二次電池。
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