JP4078968B2 - 表面実装部品の実装構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は配線基板に設けたランドに、表面実装部品の外部電極を対向させてはんだ付けしてなる表面実装部品の実装構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平9−83123号公報
従来、表面実装部品を配線基板に直接はんだ等で接続する場合、特許文献1に記載のように、表面実装部品の外部電極を、それに相対する配線基板のランドの形状と同等またはそれより小形となるように設計するのが通例である。
図1は実装構造の一例を示し、1は配線基板、2はランド、3は表面実装部品、4は外部電極、5ははんだである。表面実装部品3の下面側の外部電極4の寸法をa、表面実装部品3の下面と対向する配線基板1の領域内におけるランド2の寸法をbとすると、一般に、ランド2の対向寸法bは外部電極4の対向寸法aに比べて等しいか、あるいは大きい。すなわち、a≦bに設定されている。
図1では紙面と平行な方向の寸法を比較したが、紙面に垂直な方向に対しても同様の関係にあり、表面実装部品3の下面側の外部電極4の面積は、表面実装部品3を垂直投影した配線基板1の領域内におけるランド2の面積と同等あるいはこれより小さい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように外部電極の面積がランドの面積に比べて同等あるいは小さい場合には、はんだ塗布量にばらつきがあると、表面実装部品に傾きが生じ、表面実装部品とランドとが平行に接続されないことになる。このような状態で配線基板に変形要因や衝撃力が加えられた場合、その影響が不均一なはんだ部分や不均一なはんだと接合している電極周辺部に応力集中として作用し、クラックなどの発生要因となる。そのため、応力集中を分散させる必要がある。
はんだ塗布量を均一に制御することにより、表面実装部品をランドと平行に実装できれば、この問題は緩和されるが、精度よくはんだ量をコントロールする必要があるという課題が残る。
【0004】
また、はんだ量が多くなると、表面実装部品とランド間の空間が大きくなり、変形要因や衝撃が加えられた時、その影響が不均一なはんだ部分や不均一なはんだと接合している電極周辺部に応力集中として作用し、表面実装部品がランドから剥がれやすくなったり、クラックが発生しやすくなるなどの問題がある。よって、この場合にも応力集中を分散させる必要がある。
はんだ量を少な目に塗布することによって、上記の傾きや空間を少なくすることは可能であるが、強度面や特性面で接合信頼性に問題を生じるようになる。
また、表面実装部品とランド間の空間は、実装時に荷重を加えながら実装するなどの手法によっても解決可能であるが、強制的に表面実装部品とランド間の空間を減少させようとした場合、余分なはんだが表面実装部品の端部に盛り上がったり、ハンダボールの生成を招き、実装信頼性を低下させる要因となっていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、表面実装部品を配線基板に対して傾きなく実装できるとともに、両者の隙間を低減でき、はんだ塗布量が多少ばらついても、耐たわみ性や耐衝撃性に影響を及ぼさない表面実装部品の実装構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の実施形態は、配線基板に設けたランドに、表面実装部品の外部電極を対向させてはんだ付けしてなる表面実装部品の実装構造において、上記配線基板と対向する表面実装部品の底面内における外部電極を、対向するランドに比べて表面実装部品の底面の内側に向かって拡張し、上記配線基板と対向する表面実装部品の底面内における外部電極の面積を、上記表面実装部品を垂直投影した配線基板の領域内におけるランドの面積より大きくしたことを特徴とする表面実装部品の実装構造を提供する。
本発明の第2の実施形態は、配線基板に設けたランドに、表面実装部品の外部電極を対向させてはんだ付けしてなる表面実装部品の実装構造において、上記配線基板と対向する表面実装部品の底面内における外部電極を、対向するランドに隣接するランドと対向する位置まで拡張し、上記配線基板と対向する表面実装部品の底面内における外部電極の面積を、上記表面実装部品を垂直投影した配線基板の領域内におけるランドの面積より大きくしたことを特徴とする表面実装部品の実装構造を提供する。
【0007】
本発明では、表面実装部品を垂直投影した配線基板の領域内におけるランドの面積に比べて、表面実装部品の対向面内における外部電極の面積を大きくしたので、はんだ塗布量のばらつきを外部電極の拡大部分で吸収し、表面実装部品の傾きを防止できる。また、はんだが外部電極に拡がることにより、ランドからみてはんだが拡がるように接合されるので、表面実装部品とランドとの間の隙間を低減することができ、実装に必要とされる実装高さを低くすることができる。また、はんだが外部電極に拡がって接合されるので、接合強度が向上し、耐たわみ性や耐衝撃性に優れた実装構造を得ることができる。
【0008】
本発明では、外部電極を、対向するランドに比べて表面実装部品の底面の内側に向かって拡張している。
この場合には、外部電極の幅を広げずに長さを長くすればよいので、隣合う外部電極間の距離(絶縁距離)を確保できる。換言すれば、外部電極間の距離を短縮することができる。
【0009】
好ましくは、外部電極を、対向するランドに比べて幅方向に拡張してもよい。この場合には、外部電極の幅を大きくすることで、ランドより大面積としたので、外部電極の長さは従前どおりでよく、表面実装部品の外形形状を大きくする必要がない。
【0010】
好ましくは、外部電極を、対向するランドに隣接するランドと対向する位置まで拡張してもよい。
同一電位の外部電極が並んでいる場合には、外部電極を対向するランドに隣接するランドと対向する位置まで拡張することにより、外部電極の面積を拡張し、接合強度を高めることができる。
これは、同一電位のランドが並んでいる場合に限られる。
【0011】
好ましくは、外部電極の面積を、対向するランドの面積の1.3〜4倍とするのがよい。
この場合には、耐たわみ性、耐衝撃性が向上するとともに、基板間隙間も大幅に小さくできる。
【0012】
好ましくは、外部電極が配線基板と対向する底面内にのみ形成されている表面実装部品に適用すると効果的である。
側面電極を有する表面実装部品の場合には、表面実装部品の側部に形成されるはんだフィレットではんだ塗布量のばらつきをある程度吸収できるが、外部電極が配線基板と対向する底面内にのみ形成されている表面実装部品(側面電極を有しない表面実装部品)の場合、フィレットが形成されないため、はんだ塗布量のばらつきによって表面実装部品に傾きが発生しやすい。しかし、本発明のように外部電極の面積を拡大することによって、余分なはんだを吸収するので、表面実装部品の傾きを効果的に防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図2,図3は本発明にかかる表面実装部品の実装構造の第1実施例を示す。
図2は配線基板10の平面図であり、11は配線基板10に設けられたランドである。図2の破線12は、表面実装部品20を垂直投影した配線基板10の領域を示す。
図3は各種の表面実装部品20の底面図を示し、これら表面実装部品20は例えばセラミック多層基板よりなる電子部品である。表面実装部品20の周端部下面には外部電極21が形成されている。
【0014】
配線基板10と対向する表面実装部品20の対向面内における外部電極21の面積S1は、表面実装部品20を垂直投影した配線基板の領域12内におけるランド11の面積S2より大きい。例えば、外部電極21の長さa、ランド11の領域12内における長さb、外部電極21の幅c、ランド11の幅dとした場合に、図3(A)に示すように、c=dでかつa>bとしてもよいし、図3(B)のように、a=bでかつc>dとしてもよいし、図3(C)のように、a>bでかつc>dとしてもよい。さらに、図3(D)のように、a=bで、外部電極21の幅cを隣接するランド11と対向する位置まで拡張してもよいし、図3の(E)のように、外部電極21を表面実装部品20の外周縁より内側に配置するとともに、a>bでかつc>dとしてもよい。
外部電極21とランド11の形状は上記に限定されるものではない。
【0015】
外部電極21の下面側の面積をS1、ランド11の領域12内における面積をS2としたとき、S1/S2≧1.1とするのがよく、さらに望ましくは
4≧S1/S2≧1.3
とするのがよい。
【0016】
外部電極21の形状は、図4(A)のように、表面実装部品20の下面から側面に延びる形状であってもよいし、図4(B)のように表面実装部品20の下面の縁部で終端となる形状、さらには図4(C)のように表面実装部品20の下面の縁部より内側で終端となる形状であってもよい。
【0017】
上記のような形状の外部電極21を有する表面実装部品20を配線基板10にはんだ30で接続すると、実装領域12内における配線基板10のランド11に比べて表面実装部品20の外部電極21の方が大面積であるから、図4に示すように、はんだ30は拡張された外部電極21に濡れ拡がる。そのため、はんだ塗布量のばらつきを外部電極21の拡大部分で吸収し、表面実装部品20の傾きを防止できる。また、はんだ30が外部電極21に拡がることにより、表面実装部品20とランド11との間の隙間eを小さくすることができ、実装高さを低くすることができる。さらに、はんだ30と外部電極21との接合面積が大きくなるので、接合強度が高くなり、耐たわみ性や耐衝撃性を向上させることができる。
【0018】
表1は、従来例(図1参照)と本発明品1〜3との耐たわみ量、落下サイクル、基板間隙間を比較したものである。
本発明品1とは外部電極の面積S1をランドの対向面積S2の1.1〜1.3倍としたもの、本発明品2とは1.3〜4倍、本発明品3とは4倍以上にしたものである。
ここでは、ランドの面積S2を一定(b=0.5mm,d=0.6mm)とし、外部電極の面積S1(寸法a,c)を変更したものである。外部電極の形状は、図3の(A)〜(E)に示すように種々の形状があるが、それらの平均値を求めた。使用はんだ量は、表面実装部品1個につき平均16.1mg(17.6〜15.0mg)とした。従来例、本発明品1〜3とも10個の平均値を求めた。
たわみ試験は、配線基板の中央部に表面実装部品を実装し、配線基板を裏返しにして両端を支持し、中央部を背後からマイクを設けた治具で押圧して、破断音が観測された時点での配線基板中央の変位量(平均値)を測定した。
落下試験は、高さ1.25mからコンクリート上への6面落下を1サイクルとした。10サイクル以上とは、10サイクル経過後も破損がみられないことを指す。
【0019】
【表1】
【0020】
表1から明らかなように、外部電極の対向面積S1をランドの対向面積S2の1.1〜1.3倍(本発明品1)としたときには、従来例に比べて耐たわみ量は約2倍、落下サイクルは1.5倍に増加した。つまり、外部電極に対する応力集中を分散できるため、耐たわみ性および耐衝撃性が向上したことがわかる。なお、基板間隙間の低減量は比較的少ない。
外部電極の対向面積S1をランドの対向面積S2の1.3〜4倍(本発明品2)としたときには、従来に比べて耐たわみ量および落下サイクルが共に2倍以上となり、基板間隙間も従来例に比べて1/2以下にできた。したがって、信頼性が高く、低背の実装構造を実現できた。
さらに、外部電極の対向面積S1をランドの対向面積S2の4倍以上(本発明品3)としたときには、1.3〜4倍としたときとほぼ同様の効果が得られるが、有効面積の拡大分ほど耐たわみ量、落下サイクル、基板間隙間の向上効果が得られていない。なお、この場合には表面実装部品の電極占有面積が大きくなる。
以上の結果から、外部電極の対向面積S1をランドの対向面積S2の1.3〜4倍(本発明品2)としたとき、耐たわみ量、落下サイクル、基板間隙間の点で最も優れた効果が得られたことがわかる。
【0021】
本発明にかかる表面実装部品は、何ら限定されるものではない。例えば外部電極と内部に配線構造を有するセラミック多層部品を用いてもよい。この場合、セラミックパッケージ、アンテナ、ディレイライン、カプラ、バラン、スイッチ、フィルタ、デユプレクサ、ダイプレクサなど、性能や形状に限定されない。
【0022】
本発明が対象とする表面実装部品は、図4の(A)のような側面電極を有するもの、図4の(B)や(C)のような側面電極を有しないもののいずれでもよいが、本発明は側面電極を有しない場合に効果が大きい。すなわち、側面電極を有する場合には、表面実装部品の側部に形成されるはんだフィレットではんだ塗布量のばらつきをある程度吸収できるが、側面電極を有しない表面実装部品の場合、フィレットが形成されない(フィレットレス)ため、はんだ塗布量のばらつきによって表面実装部品に傾きが発生しやすいからである。しかし、本発明では外部電極の面積を拡大することによって、余分なはんだを吸収するので、表面実装部品の傾きを効果的に防止できる。
【0023】
本発明において、表面実装部品を垂直投影した配線基板の領域内におけるランドの面積とは、ランドが露出している面積のことである。例えば、表面にレジストなどを印刷塗布することで、ランドを部分的に露出させた構造の配線基板10の場合には、配線基板10の表面に形成された領域12内におけるランドの面積そのものではなく、レジストから露出している面積を指す。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、次のような作用効果を有する。表面実装部品を垂直投影した配線基板の領域内におけるランドの面積に比べて表面実装部品の外部電極の面積を大きくしたので、はんだ塗布量のばらつき分を拡大した外部電極で吸収し、はんだ塗布量の精度に多少ばらつきがあっても、表面実装部品を配線基板に対して傾きなく実装することができる。
また、ランドから外部電極側にかけてはんだが拡がるように接合されるので、外部電極端への応力集中を抑制し、電極自体の接合強度を増加させることができる。そのため、耐たわみ性や耐衝撃性などの機械的強度に優れた接合構造を得ることができる。
また、はんだが表面実装部品の電極に拡がるので、従来に比べて表面実装部品とランドとの隙間を小さくできる。そのため、実装に必要とされる実装高さを低減することができる。
ランドからみて表面実装部品側に向かってはんだが拡がるように接合されるので、表面実装部品の下側にあるランド間に配線などがあっても、はんだの影響を受けにくい。
実装時に強制荷重などを必要とせず、自然に表面実装部品とランドとの隙間を低減できるので、はんだボールや配線基板への余分なはんだ盛りなどが発生せず、実装信頼性を損なうことがない。
耐たわみ性や耐衝撃性を向上させるためのダミー電極を使用する必要がないので、余分に表面実装部品側や配線基板側の実装面積を消費することがない。
配線基板側にスペースの余裕がなく、ランドの拡大やダミー電極の追加が行なえない場合でも、表面実装部品の電極形状を変更するだけで対応できるため、配線基板側の設計が確定した後でも対応可能であり、幅広い応用範囲を見込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の表面実装部品の実装構造を示す断面図である。
【図2】配線基板の一部の平面図である。
【図3】本発明にかかる表面実装部品のいくつかの例の底面図である。
【図4】本発明にかかる表面実装部品の実装構造の複数例の断面図である。
【符号の説明】
10 配線基板
11 ランド
12 投影領域
20 表面実装部品
21 外部電極
30 はんだ
Claims (6)
- 配線基板に設けたランドに、表面実装部品の外部電極を対向させてはんだ付けしてなる表面実装部品の実装構造において、
上記配線基板と対向する表面実装部品の底面内における外部電極を、対向するランドに比べて表面実装部品の底面の内側に向かって拡張し、
上記配線基板と対向する表面実装部品の底面内における外部電極の面積を、上記表面実装部品を垂直投影した配線基板の領域内におけるランドの面積より大きくしたことを特徴とする表面実装部品の実装構造。 - 上記外部電極を配線基板と対向する表面実装部品の底面から側面にかけて連続的に形成し、
上記外部電極の底面部の面積を外部電極の側面部の面積より大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の表面実装部品の実装構造。 - 上記外部電極を、配線基板と対向する表面実装部品の底面内にのみ形成したことを特徴とする請求項1に記載の表面実装部品の実装構造。
- 上記ランドは、上記表面実装部品を垂直投影した配線基板の領域より外側にはみ出した部分を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表面実装部品の実装構造。
- 上記表面実装部品は、同一直線状にない少なくとも3箇所の外部電極を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の表面実装部品の実装構造。
- 配線基板に設けたランドに、表面実装部品の外部電極を対向させてはんだ付けしてなる表面実装部品の実装構造において、
上記配線基板と対向する表面実装部品の底面内における外部電極を、対向するランドに隣接するランドと対向する位置まで拡張し、
上記配線基板と対向する表面実装部品の底面内における外部電極の面積を、上記表面実装部品を垂直投影した配線基板の領域内におけるランドの面積より大きくしたことを特徴とする表面実装部品の実装構造。
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