JP4074087B2 - 導電性ペースト並びにそれを用いた配線基板及びその製造方法 - Google Patents

導電性ペースト並びにそれを用いた配線基板及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適な導電性ペースト、並びに、それを用いた配線基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、Bluetooth、その他のモバイル機器における無線情報通信、無線、LAN等においては、音声、画像、データなど大容量の信号をより高速に伝送することが望まれており、これを実現するため、モバイル機器の小型化、多機能化、高性能化に関する研究開発が盛んに行われてきている。多機能、高性能のモバイル機器を小型化するためには、実装技術のより一層の高密度化、高周波回路中の受動部品(アンテナ、フィルター等)の一体モジュール化などが必要となる。この一体モジュール化の技術としては、例えば、LTCC(低温焼成セラミックス)技術を用いてアンテナ層、フィルター層、コンデンサ層等をモジュール中に組み込む技術が、比較的安価で実施できるために主流になりつつあり、Bluetooth等の無線モジュールに応用され始めている。
【0003】
ところで、モジュール中の回路配線には、高周波での伝送損失を低減可能な低電気抵抗の導電性材料を用いる必要があるが、この導電性材料には、更に、耐マイグレーション特性に優れること、焼結開始温度におけるセラミックスとのマッチング性が良好であること等の諸特性に優れ、安価であることが求められる。
従来から前記導電性材料として用いられているAu、Ag及びCuについては、表1に示すように、Auは、前記諸特性には優れるものの極めて高価であるので汎用性に乏しく、Agは、安価であるものの前記マイグレーション特性に劣り、Cuは、高温で酸化し易いため、還元雰囲気での焼結が必要でありプロセスコストが高価であり、誘電体を内蔵するため還元雰囲気で同時焼結すると該誘電体中に酸素欠陥が生じ半導体化してしまい、コンデンサ層、フィルター層等の導入が難しく、それぞれメリットとデメリットとを併せ持っている。
【0004】
【表1】
Figure 0004074087
【0005】
そこで、これらの導電性材料におけるデメリットを改善する目的で、Ag−Pd合金、Ag−Pt合金などの導電性材料も研究開発されてきている。しかしながら、これらの合金に用いられるPd、Pt等は、高価であるのでやはり汎用性に乏しいという問題がある。
このため、高周波での伝送損失を低減可能な低電気抵抗であり、耐マイグレーション特性に優れ、焼結開始温度におけるセラミックスとのマッチング性が良好であり、しかも安価な導電性材料を含有する導電性ペーストは未だ提供されていないのが現状であり、かかる導電性材料を含有する導電性ペーストの開発が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる要望に応え、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、高周波での伝送損失を低減可能な低電気抵抗であり、耐マイグレーション特性に優れ、焼結開始温度におけるセラミックスとのマッチング性が良好であり、しかも安価であり、モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適な導電性ペーストを提供することを目的とする。
また、本発明は、該導電性ペーストを用い、小型化、多機能化、高性能化等が可能な配線基板、及び該配線基板を効率的に製造可能な配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、後述の(付記1)〜(付記24)として記載した通りである。
前記付記1に記載の導電性材料は、低電気抵抗、耐マイグレーション特性、焼結開始温度におけるセラミックスとのマッチング性等のバランスに優れ、しかも安価であり、モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適である。前記付記2又は3に記載の導電性材料は、抵抗値が3μΩ・cm以下であるので更に低電気抵抗に優れ、高周波での伝送損失が低減され、導体の断線・ショート等が生じ難く、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして特に好適である。前記付記4又は5に記載の導電性材料は、微細パターン等のスクリーン印刷等にも好適に使用される。前記付記6に記載の導電性材料は、溶融微粒子で全率固溶系であるので物性が安定である。前記付記7に記載の導電性材料は、導電性ペーストに好適に用いられる。
【0008】
前記付記8から11のいずれかに記載の導電性ペーストは、低電気抵抗、耐マイグレーション特性、焼結開始温度におけるセラミックスとのマッチング性等のバランスに優れ、しかも安価であり、モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適である。前記付記8又は9に記載の導電性ペーストは、加熱前の導電性成分が溶融微粒子であるのに対し、前記付記10又は11に記載の導電性ペーストは、加熱前の導電性成分がAg粉末及びAu粉末であり、加熱後に前記溶融微粒子が形成される。前記付記12に記載の導電性ペーストは、配線基板に好適に用いられる。
【0009】
前記付記13から15のいずれかに記載の配線基板は、モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適である。前記付記16に記載の配線基板は、抵抗値が3μΩ・cm以下であるので更に低電気抵抗に優れ、高周波での伝送損失が低減され、導体の断線・ショート・マイグレーション等が生じ難く、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして好適である。前記付記17又は18に記載の配線基板は、集積モジュールに好適に使用される。前記付記19又は20に記載の配線基板は、導電性材料と基板との密着性・一体性に優れる。前記付記21に記載の配線基板は、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして好適に使用でき、導体の断線・ショート等の問題がない。
前記付記22に記載の配線基板の製造方法では、小型化、多機能化、高性能化等を図ったモバイル機器等が効率良く製造される。前記付記23又は24に記載の配線基板の製造方法では、効率良く集積モジュールが製造される。
【0010】
【発明の実施の形態】
(導電性材料)
本発明において用いる導電性材料は、Ag−Au合金から実質的になる。ここで「実質的に」とは、本発明の効果を害しない範囲内であれば該導電性材料は他の成分を含んでいてもよいことを意味する。
【0011】
前記Ag−Au合金におけるAu含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、図1に示すように、該Ag−Au合金の抵抗値を3μΩ・cm以下の低電気抵抗にでき、耐マイグレーション特性に優れ、焼結開始温度におけるセラミックスとのマッチング性等のバランスに優れ、しかも安価である点で、95質量%以上100質量%未満であるのが好ましい
【0012】
前記Ag−Au合金の抵抗値としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、高周波での伝送損失を低減し導体の断線・ショート等が生じさせず、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして好適に用いる観点からは、3μΩ・cm以下であるのが好ましく、2.5μΩ・cm以下であるのがより好ましい。
【0013】
前記Ag−Au合金の中心粒子径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、スクリーン印刷等により微細パターンを印刷塗布する観点からは、100μm以下の粉末であるのが好ましく、1〜50μmの粉末であるのがより好ましい。
なお、前記中心粒子径は、例えば、遠心沈降式、レーザ回折式等の粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0014】
前記Ag−Au合金においては、AgとAuとが互いに固溶しているので、Agが有するマイグレーション特性を効果的に抑制することができ、また、全率固溶系であるので、該Ag−Au合金の融点はAu含有量の増加と共に連続的に変化する(具体的には960℃から1063℃)。
【0015】
前記Ag−Au合金の製造方法としては、特に制限はなく目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができるが、例えば、Ag粉末とAu粉末とをガスアトマイズ法により融点以上に加熱することによりAgとAuとの溶融微粒子として得る方法などが好適に挙げられる。
【0016】
本発明において用いる導電性材料は、高周波での伝送損失を低減可能な低電気抵抗であり、耐マイグレーション特性に優れ、焼結開始温度におけるセラミックスとのマッチング性が良好であり、しかも安価であるので、各種モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適に使用することができる。
【0017】
(導電性ペースト)
本発明の導電性ペーストは、以下の第一の態様及び第二の態様が好適に挙げられる。
【0018】
前記導電性ペーストの前記第一の態様は、前記導電性材料を導電性成分として用いてなり、本発明の効果を害しない範囲内において他の成分を含んでいてもよい。
【0019】
前記導電性ペーストの前記第二の態様は、Ag粉末とAu粉末とを導電性成分として含有してなり、本発明の効果を害しない範囲内において他の成分を含んでいてもよい。該第二の態様においては、前記導電性ペーストが加熱されると、Ag粉末とAu粉末とが溶融してAg−Au合金が形成される。
該Ag−Au合金におけるAu含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、図1に示すように、該Ag−Au合金の抵抗値を3μΩ・cm以下にし、高周波での伝送損失を低減し導体の断線・ショート等が生じさせず、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして好適に用いる観点からは、95質量%以上100質量%未満であるのが好ましい
【0020】
なお、前記第一の態様及び前記第二の態様における、前記導電性材料に含まれる前記導電性成分以外の成分としては、特に制限はなく目的に応じて公知のもののの中から適宜選択することができるが、例えば、溶剤、バインダー樹脂などが挙げられる。
【0021】
前記第一の態様における、前記導電性材料の前記導電性成分における含有量としては、また、前記第二の態様における、前記Ag粉末と前記Au粉末との前記導電性成分における含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、多い程好ましく、95質量%以上であるのが好ましく、100質量%であるのがより好ましい。
【0022】
本発明の導電性ペーストは、高周波での伝送損失を低減可能な低電気抵抗であり、耐マイグレーション特性に優れ、焼結開始温度におけるセラミックスとのマッチング性が良好であり、しかも安価であるので、各種モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適に使用することができるが、以下の本発明の配線基板及びその製造方法に特に好適に使用することができる。
【0023】
(配線基板)
本発明の配線基板は、本発明の前記導電性ペーストを用いてなること以外は、特に制限はなくその形状、構造、大きさ等については、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性部材を有してなり、該導電性部材が前記導電性ペーストで形成されてなるのが好ましい。
【0024】
前記導電性部材としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、配線パターン及びビアから選択することができる。なお、前記配線基板が積層構造である場合には、前記ビアにより隣接する層どうしを導通させることができる。
【0025】
前記導電性部材の抵抗値としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、高周波での伝送損失を低減し導体の断線・ショート等が生じさせず、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして好適に用いる観点からは、3μΩ・cm以下であるのが好ましく、2.5μΩ・cm以下であるのがより好ましい。
【0026】
前記配線基板は、単層回路基板(単層プリント配線基板)であってもよいし、多層回路基板(多層プリント配線基板)であってもよい。
後者の場合、前記配線基板は、積層構造体となるが、該積層構造体としては、異なる機能を有する基板を2以上有してなり、2以上の機能を有する多機能モジュールであるのが特に好ましい。
【0027】
前記積層構造体における基板としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アンテナ用基板、ローパスフィルター用基板、ハイパスフィルター用基板、バンドパスフィルター用基板、キャパシタ用基板、伝送線路回路用基板などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明においては、前記積層構造体における各基板が、酸化物ガラスを焼結助剤として用いたセラミック基板であるのが好ましく、同系の酸化物ガラスを焼結助剤として用いたセラミック基板であるのがより好ましい。この場合、該セラミックス基板の収縮曲線を各層において近くなるように設計することができ、収縮のミスマッチにおける層間剥離、導体の断線・ショート等が生じ難い点で好ましい。
【0029】
前記酸化物ガラスとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、鉛成分を含有せず、軟化点が400〜900℃であるものが好ましい。この場合、該セラミックス基板の収縮開始温度の制御が容易であり、一時に前記多層構造体の焼成を行うことができ、該セラミックス基板の収縮曲線を各層において近くなるように設計することができ、収縮のミスマッチにおける層間剥離、導体の断線・ショート等が生じ難い点で有利である。
【0030】
本発明の配線基板は、各種分野において好適に使用することができるが、本発明の導電性ペーストを用いてなるので、モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適であり、高周波での伝送損失が低減され、導体の断線・ショート等が生じ難いため、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして特に好適に使用される。
本発明の配線基板は、以下の本発明における配線基板の製造方法により好適に製造することができる。
【0031】
(配線基板の製造方法)
本発明の配線基板の製造方法においては、未焼結基板の表面に前記導電性ペーストを付与して焼結させるが、表面に導電性ペーストを配線パターン状に塗布する塗布処理及び表面に形成したビア孔に導電性ペーストを充填する充填処理の少なくともいずれかの処理がなされた未焼結基板を焼結させるのがより好ましい。この場合、該未焼結基板の焼結と、該導電性ペーストにおける導電性材料による配線パターン及び/又はビアとを一時に行うことができる点で有利である。
【0032】
前記未焼結基板としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記セラミックス基板の未焼結体(「グリーン体」と称することがある)などが好適に挙げられる。
前記未焼結基板は、例えば、セラミック粉末と、酸化ガラス等の焼結助剤と、バインダー樹脂と、可塑剤とを公知の溶剤中に分散させて調製したスラリーをシート状に成形することにより得ることができる。
【0033】
前記塗布処理の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができるが、例えば、スクリーン印刷法等の印刷法などが好適に挙げられる。
前記充填処理の方法としては、特に制限はなく。公知の方法の中から適宜選択することができる。
前記焼結の条件、方法等については、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができるが、前記未焼結基板として前記セラミックス基板の未焼結体を用いる場合には、低温焼成セラミックス(LTCC)における焼成の条件等を好適に採用することができ、具体的には800〜1200℃程度であり、900〜1100℃が好ましく、1〜300分程度であり、10〜120分が好ましい。
また、前記焼結の前に付与された前記導電性ペーストを乾燥させることが好ましく、該乾燥の条件としては特に制限はないが、例えば、50〜100℃程度で10〜60分程度である。
【0034】
なお、該配線基板を多層構造体とする場合には、前記未焼結基板を2以上積層した状態で焼結させるのが好ましい。この場合、一時に多層構造体である前記配線基板を効率的に製造することができる点で有利である。
前記未焼結基板を2以上積層する際には、各層をプレスすることが好ましく、該プレスの条件としては特に制限はないが、例えば、50〜100℃程度で10〜60分程度である。
【0035】
本発明の配線基板の製造方法は、高周波での伝送損失が低減され、導体の断線・ショート等が生じ難いため、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして高周波信号伝送用途に特に好適に使用することができる、本発明の前記配線基板を効率的に製造することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0037】
−導電性材料−
表2に示す9種類の導電性材料を用意した。即ち、第一の導電性材料は「Ag粉末」そのものである(表2において「Ag」と表記した)。第二の導電性材料は「Au粉末」そのものである(表2において「Au」と表記した)。第三の導電性材料は「Ag粉末95質量部とPd粉末5質量部とをガスアトマイズ法により固溶させて得られたAg−Pd合金(Pd含有量=5質量%)」である(表2において「Ag−5Pd」と表記した)。第四の導電性材料は「Ag粉末70質量部とPd粉末30質量部とをガスアトマイズ法により固溶させて得られたAg−Pd合金(Pd含有量=30質量%)」である(表2において「Ag−30Pd」と表記した)。第五の導電性材料は「Ag粉末98質量部とPt粉末2質量部とをガスアトマイズ法により固溶させて得られたAg−Pt合金(Pt含有量=2質量%)」である(表2において「Ag−2Pt」と表記した)。第六の導電性材料は「Ag粉末70質量部とAu粉末30質量部とをガスアトマイズ法により固溶させて溶融微粒子として得られたAg−Au合金(Au含有量=30量%)」である(表2において「Ag−30Au」と表記した)。第七の導電性材料は「Ag粉末30質量部とAu粉末70質量部とをガスアトマイズ法により固溶させて溶融微粒子として得られたAg−Au合金(Au含有量=70量%)」である(表2において「Ag−70Au」と表記した)。第八の導電性材料は「Ag粉末5質量部とAu粉末95質量部とをガスアトマイズ法により固溶させて溶融微粒子として得られたAg−Au合金(Au含有量=95量%)」である(表2において「Ag−95Au」と表記した)。第九の導電性材料は「Ag95質量部とAu5質量部とをガスアトマイズ法により固溶させて溶融微粒子として得られたAg−Au合金(Au含有量=5量%)」である(表2において「Ag−5Au」と表記した)。
なお、Ag粉末の中心粒子径は3μmであり、Au粉末の中心粒子径は5μmであった。
【0038】
−導電性ペースト−
前記9種類の導電性材料のそれぞれを、ビヒクル(バインダー樹脂、溶剤、可塑剤)に添加し、遠心混合器及び三本ロールミルを用いて混練することにより9種類の導電性ペーストを製造した。なお、前記第一の導電性材料を用いた導電性ペーストを「第一の導電性ペースト(比較例)」とし、前記第二の導電性材料を用いた導電性ペーストを「第二の導電性ペースト(比較例)」とし、前記第三の導電性材料を用いた導電性ペーストを「第三の導電性ペースト(比較例)」とし、前記第四の導電性材料を用いた導電性ペーストを「第四の導電性ペースト(比較例)」とし、前記第五の導電性材料を用いた導電性ペーストを「第五の導電性ペースト(比較例)」とし、前記第六の導電性材料を用いた導電性ペーストを「第六の導電性ペースト(実施例)」とし、前記第七の導電性材料を用いた導電性ペーストを「第七の導電性ペースト(実施例)」とし、前記第八の導電性材料を用いた導電性ペーストを「第八の導電性ペースト(実施例)」とし、前記第九の導電性材料を用いた導電性ペーストを「第九の導電性ペースト(実施例)」とした。
以上により製造された9種類の導電性ペーストについて、電気抵抗値(μΩ・cm)、マイグレーション特性(抵抗値変化)、最適焼成温度(℃)及びペースト価格をそれぞれ表2に示した。
【0039】
【表2】
Figure 0004074087
【0040】
表2において、「電気抵抗(μΩ・cm)」は、4端子法により測定した。
「マイグレーション特性(抵抗値変化)」は、電極間距離10mm、電位差30V、相対密度90%の環境下で5時間維持することにより電極間における抵抗値の変化と短絡の有無とを測定した。
「最適焼成温度(℃)」は、Kタイプ熱電対により測定した。
なお、ここで参考までに地金の価格(¥/g)を示すと、Cu(銅)=120、Ag(銀)=20、Au(金)=1,200、Pt(白金)=1,800、Pd(パラジウム)=1,400、である。
【0041】
表2に示すように、本発明の導電性ペーストは、Ag−Au合金を導電性材料として用いたことにより、マイグレーション特性(抵抗値変化)に優れ、最適焼成温度が920〜1020℃であり酸化ガラスを焼結助剤として用いたセラミック基板との焼結開始温度におけるマッチングに優れ、電気抵抗(μΩ・cm)が低く導体損失を小さくすることができ、高性能であり、しかも安価であることが判る。その上、「Ag・95Au」の導電性材料、「Ag・5Au」の導電性材料をそれぞれ用いた「第八の導電性ペースト」、「第九の導電性ペースト」については、更に電気抵抗値が3.0(μΩ・cm)以下であるので、高周波での伝送損失を低減することができ、導体の断線・ショート等を生ずることなく1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして好適であることが判る。
【0042】
−未焼結体(グリーン体)の作製−
平均粒径が5μmであるTiO粉末20容量%と、平均粒径が3μmである、NdTiO結晶が析出した硼珪酸系ガラス粉末80容量%とを調合し、さらにこれらの粉末に対してポリビニルブチラール(PVB)樹脂8質量%と、可塑剤としてジブチルフタレート3質量%とを添加し、その後、アセトンを溶媒として加えて、ボールミルで20時間混合してスラリーを調製した。次に、このスラリーをドクターブレードを用いて厚みが200μmであるシート状の未焼結体(グリーン体)を作製した。
【0043】
−塗布処理及び充填処理−
次に、前記グリーン体を定型に切断・打ち抜き、このグリーン体にパンチを用いて直径が80μmであるビア孔を形成した。このビア孔に、先に製造した導電性ペーストを埋め込んだ。その後、これを80℃で30分間恒温槽中で乾燥させた。更に、このグリーン体の表面に先に製造した導電性ペーストを用いてスクリーン印刷を行うことにより回路パターンを形成した。
【0044】
−配線基板の製造−
これら導電性ペーストが付与されたグリーン体を複数枚用意し、互いに位置合わせを行った後、重ね合わせて(導電性ペーストが同じ材料を用いたものどうしを重ね合わせて)、80℃で30分間プレスすることにより積層した。これを大気中で900℃で2時間焼成することにより多層構造体である配線基板を9種類(先に製造した第一〜第九の各導電性ペーストそれぞれを用いた9種類の配線基板を)製造した。
【0045】
実施例の配線基板は、本発明の導電性ペーストを用いているので、モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適であり、特に第八の導電性ペースト、第九の導電性ペーストをそれぞれ用いた場合には、高周波での伝送損失が低減され、導体の断線・ショート等が生じ難いため、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして特に好適に使用可能である。また、実施例の配線基板は、本発明の配線基板の製造方法により製造しているので、極めて効率的に多層構造体である集積モジュールとしての配線基板を製造することができた。
【0046】
ここで、本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) Ag−Au合金から実質的になることを特徴とする導電性材料。
(付記2) Ag−Au合金におけるAu含有量が、0質量%超10質量%以下、及び、95質量%以上100質量%未満のいずれかである付記1に記載の導電性材料。
(付記3) 抵抗値が3μΩ・cm以下である付記1又は2に記載の導電性材料。
(付記4) 中心粒子径が100μm以下の粉末である付記1から3のいずれかに記載の導電性材料。
(付記5) 中心粒子径が1〜50μmの粉末である付記1から3のいずれかに記載の導電性材料。
(付記6) Ag粉末とAu粉末とをガスアトマイズ法により融点以上に加熱することによりAgとAuとの溶融微粒子として得られる付記1から5のいずれかに記載の導電性材料。
(付記7) 導電性ペーストに用いられる付記1から6のいずれかに記載の導電性材料。
(付記8) 付記1から7のいずれかに記載の導電性材料を導電性成分として用いたことを特徴とする導電性ペースト。
(付記9) 導電性材料の導電性成分における含有量が95質量%以上である付記8に記載の導電性ペースト。
(付記10) Ag粉末とAu粉末とを導電性成分として含有してなり、加熱されてAg粉末とAu粉末とが溶融してAg−Au合金が形成されることを特徴とする導電性ペースト。
(付記11) Ag−Au合金におけるAu含有量が、0質量%超10質量%以下、及び、95質量%以上100質量%未満のいずれかである付記10に記載の導電性ペースト。
(付記12) Ag粉末とAu粉末との導電性成分における含有量が95質量%以上である付記10又は11に記載の導電性ペースト。
(付記13) 配線基板に用いられる付記8から12のいずれかに記載の導電性ペースト。
(付記14) 付記8から13のいずれかに記載の導電性ペーストを用いたことを特徴とする配線基板。
(付記15) 配線基板における導電性部材が導電性ペーストで形成された付記14に記載の配線基板。
(付記16) 導電性部材が配線パターン及びビアから選択される付記15に記載の配線基板。
(付記17) 導電性部材の抵抗値が3μΩ・cm以下である付記15又は16に記載の配線基板。
(付記18) 配線基板が、異なる機能を有する基板を2以上有してなる積層構造体であり、2以上の機能を有する多機能モジュールである付記14から17のいずれかに記載の配線基板。
(付記19) 積層構造体における基板が、アンテナ用基板、ローパスフィルター用基板、ハイパスフィルター用基板、バンドパスフィルター用基板、キャパシタ用基板及び伝送線路回路用基板から選択される付記18に記載の配線基板。
(付記20) 積層構造体における各基板が、酸化物ガラスを焼結助剤として用いたセラミック基板である付記18又は19に記載の配線基板。
(付記21) 酸化物ガラスが、鉛成分を含有せず、軟化点が400〜900℃である付記20に記載の配線基板。
(付記22) 配線基板が、1GHz以上の高周波電波用の回路モジュールとして用いられる付記14から21のいずれかに記載の配線基板。
(付記23) 未焼結基板の表面に付記8から13のいずれかに記載の導電性ペーストを付与して焼結させることを特徴とする配線基板の製造方法。
(付記24) 表面に導電性ペーストを配線パターン状に塗布する塗布処理及び表面に形成したビア孔に導電性ペーストを充填する充填処理の少なくともいずれかの処理がなされた未焼結基板を焼結させる付記23に記載の配線基板の製造方法。
(付記25) 未焼結基板を2以上積層した状態で焼結させる付記23又は24に記載の配線基板の製造方法。
【0047】
【発明の効果】
本発明によると、前記要望に応え、従来における前記問題を解決することができる。
また、本発明によると、高周波での伝送損失を低減可能な低電気抵抗であり、耐マイグレーション特性に優れ、焼結開始温度におけるセラミックスとのマッチング性が良好であり、しかも安価であり、モバイル機器等の小型化、多機能化、高性能化等に好適な導電性ペーストを提供することができる。
また、本発明によると、該導電性ペーストを用い、小型化、多機能化、高性能化等が可能な配線基板、及び該配線基板を効率的に製造可能な配線基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、Ag−Au合金中のAu含有量(質量%)と電気抵抗値(μΩ・cm)との関係を示すグラフである。

Claims (9)

  1. Au含有量が95質量%以上100質量%未満であり、中心粒子径が100μm以下であるAg−Au合金から実質的になる導電性材料を導電性成分として含有することを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記Ag−Au合金が、Ag粉末とAu粉末とをガスアトマイズ法により融点以上に加熱することによりAgとAuとの溶融微粒子として得られた請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. Ag粉末とAu粉末とを導電性成分として含有してなり、加熱されてAg粉末とAu粉末とが溶融してAg−Au合金が形成される請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記Ag粉末及びAu粉末の導電性成分における含有量が95質量%以上である請求項3に記載の導電性ペースト。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の導電性ペーストを用いたことを特徴とする配線基板。
  6. 前記配線基板が、異なる機能を有する基板を2以上有してなる積層構造体であり、2以上の機能を有する多機能モジュールである請求項5に記載の配線基板。
  7. 前記基板が、アンテナ用基板、ローパスフィルター用基板、ハイパスフィルター用基板、バンドパスフィルター用基板、キャパシタ用基板及び伝送線路回路用基板から選択される請求項6に記載の配線基板。
  8. 各前記基板が、酸化物ガラスを焼結助剤として用いたセラミック基板である請求項7に記載の配線基板。
  9. 前記酸化物ガラスが、鉛成分を含有せず、軟化点が400〜900℃である請求項8に記載の配線基板。
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