JP4073790B2 - サツマイモ汁液の製造方法、飲料の製造方法及び飲料 - Google Patents

サツマイモ汁液の製造方法、飲料の製造方法及び飲料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サツマイモ汁液の製造方法、サツマイモ汁液に甘酒液を混合して製造した健康飲料の製造方法、及び健康飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】
特開平6−113779号公報
【特許文献2】
特許第3182553号公報
【特許文献3】
特開2001−69957号公報
【0004】
近年、健康食品としてのサツマイモの見直しがなされ、特にサツマイモ中に含まれるβ−カロチン、アントシアン、ガングリオシドなどの抗ガン作用物質が注目されている。しかし芋類であるサツマイモは澱粉価が高いので多量に食することはできない。前記した有効成分はサツマイモを搾汁して得た搾汁液に存在するので、該搾汁液を飲用すればよいが、サツマイモは果実や果菜類とは違って、固形分含量が多く搾汁液が少ないため搾汁は困難である。
【0005】
従来、サツマイモを一旦凍結してから搾汁する方法(特許文献1他)は搾汁液を得るのに効率的であるが、該方法では得られた搾汁液の変性が速いなどの欠点がある。また、色素を目的とした抽出もなされている(特許文献2)。
【0006】
サツマイモを原料とした飲料も各種開発されている。中でも紫色素であるアントシアンの生理機能をうたっているものが多いが、それらの飲料のほとんどは果実や野菜汁が主体であり、サツマイモの搾汁液は色付け程度にしか使われていない。
【0007】
その他、蒸煮したサツマイモペーストを懸濁状に分散した飲料がある。このような飲料に類するものには、例えば、蒸煮した紫サツマイモと焼酎麹を磨り潰してペーストとし、糖化して甘味とクエン酸による酸味を付した飲料がある(特許文献3)。特許文献3の飲料は、糖化工程中にアントシアンの分解も伴われるなどの欠点がある。また、特許文献3の飲料を製造する方法において、サツマイモペーストを澱粉原料として用いる場合には、糖化もろみの粘度が高くなるので、特に、糖化液を得るための濾過が困難な点などから、工業的な多量生産はできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
サツマイモはその組織を破壊すれば、急激に酵素が働いて褐変を伴う成分変化が進行する。サツマイモ中に含まれるβ−カロチン、アントシアン、ガングリオシドなどの抗ガン作用物質が変化し、特に、アントシアンの量や質に悪影響を及ぼす。搾汁により得た搾汁液の褐変を防止するために、一般に果実や果菜類などについては、まず、原材料を蒸煮することにより酵素を失活させてから搾汁する方法がとられている。しかし、澱粉を多量に含有するサツマイモでは蒸煮等により加熱すると澱粉が糊化し、搾汁が困難となるので加熱ができない。従って、搾汁液の褐変を防止するのに、原材料に対する加熱以外の方法による必要がある。
【0009】
また、サツマイモのように汁液の少ない原料を用いて飲料を製造するには、搾汁時に固形分としての残渣が多く産出するので、該残渣を廃棄物にすることなく、飲料を製造するプロセスに有効に利用する方法を確立する必要がある。
【0010】
サツマイモの汁液を用いて飲料にするにあたり、甘味料として米麹の糖化液、および酸味料としてクエン酸の使用は、健康飲料として優れた組み合わせである。しかしながら、特許文献3の飲料を製造する方法のように、クエン酸生成能を有する焼酎麹を用いて、澱粉質の糖化とクエン酸の生成の両方を行わせて、甘味と酸味を有する飲料を得る場合には、特に酸甘味の一定した飲料を製造するために一定のクエン酸生成量を確保するように発酵管理を行うことは困難である。一方、酸味料として結晶クエン酸を添加して酸味を飲料に付加して酸味を調整することは、風味が乏しくなるため、サツマイモ汁液の製造の際に産出する澱粉を多量に含む残渣を有効利用して発酵法によりクエン酸を製造して飲料に利用することが望ましい。
【0011】
そこで本発明は、サツマイモ中のβ−カロチン、アントシアン、ガングリオシドなどの抗ガン作用物質等の有効成分が十分に抽出されたサツマイモ汁液を製造し、且つ該サツマイモ汁液が急速に褐変化するなどの変質を防止することができ、また、残渣を有効利用するとができるサツマイモ汁液の製造方法、該サツマイモ汁液を用いた飲料の製造方法及び飲料を提供すること、さらには、前記飲料の製造方法及び飲料の特徴に加え、発酵法によるクエン酸と、甘酒液を含んだ風味に富み、常に一定の甘味、酸味を有することができる飲料を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明のサツマイモ汁液の製造方法は、(1)サツマイモをクエン酸含有麹抽出液と混合状態で磨砕した後、搾汁して搾汁液を得、(2)該搾汁液を80℃以上に加熱、乃至煮沸した後、固形部分と清澄部分に分別し、清澄部分を採取することを特徴とする。本発明のサツマイモ汁液の製造方法においては、サツマイモをクエン酸含有麹抽出液と混合状態で磨砕した後、搾汁して搾汁液を得ているので、該搾汁液中のβ−カロチン、アントシアン、ガングリオシドなどの抗ガン作用物質の有効成分が変質することを防止でき、しかもこれらの有効成分の搾汁液中の抽出量が多いので好ましい。また、本発明のサツマイモ汁液の製造方法においては、搾汁液を80℃以上に加熱、乃至煮沸した後、固形部分と清澄部分に分別し、清澄部分を採取しているので、搾汁液中に含まれる酵素を失活させることにより、搾汁液中に含まれる有効成分を変質させることを防止できる。また、該加熱は、澱粉を濾過して分別した、澱粉を含まない搾汁液に対して行っているので、澱粉が糊化するという不都合がない。
【0013】
本発明のサツマイモ汁液の製造方法において、サツマイモ100重量部に対して10重量部乃至100重量部、好ましくは20重量部乃至80重量部、さらに好ましくは40重量部乃至60重量部、最も好ましくは50重量部前後の、10%乃至40%、好ましくは20%乃至25%のクエン酸含有麹抽出液を添加した混合状態で摩砕した後、搾汁して搾汁液を得ることが、搾汁液中のβ−カロチン、アントシアン、ガングリオシドなどの抗ガン作用物質の有効成分を変質させることを防止し、これらの有効成分の抽出量が多いので好ましい。
【0014】
本発明のサツマイモ汁液の製造方法において、使用するクエン酸含有麹抽出液は、糖質原料を蒸煮したものに、アスペルギルス属に属する麹菌であってクエン酸生成能の大きい麹菌を培養してクエン酸を多量に含む麹とし、該麹を温水で抽出して得たものを使用することが、サツマイモ汁液に風味を豊かに与えるために好ましい。
【0015】
本発明のサツマイモ汁液の製造方法において、クエン酸含有麹抽出液を製造するために使用可能なアスペルギルス属に属する麹菌には、クエン酸生成能の大きい麹菌であれば何でもよく、例えば、黒麹菌(Aspergillus nigar) がクエン酸生成能が高いため好適に使用できる。該菌は、当業者が容易に入手できるものであり、例えば、「泡盛用黒麹」(商品名)として(株)ビオックスから販売されている。
【0016】
クエン酸含有麹抽出液を製造するために使用可能な糖質原料は、本発明のサツマイモ汁液の製造方法において搾汁時に分別した際に産出される固形部分、及び搾汁液を濾過して分別した澱粉に、米を混合したものを使用することが、原料となるサツマイモ全体を有効利用するために好ましい。
【0017】
また、本発明の飲料の製造方法は、蒸煮した米に黄麹菌(Aspergillus oryzae) を培養して得た米麹を糖化して甘酒とし、該甘酒をろ過してなる甘酒液に、サツマイモ汁液の製造方法により得られたサツマイモ汁液を加えて、糖度10〜40%、好ましくは20〜30%、クエン酸濃度1〜10%、好ましくは、2〜4%の範囲に調整することを特徴とする。前記黄麹菌(Aspergillus oryzae) は、味噌や甘酒を製造するための一般に広く利用されている麹菌であり、当業者が容易に入手できるものである。例えば、「黄麹菌」として(株)ビオックスから販売されている。
【0018】
本発明の飲料の製造方法においては、甘味成分の付与は別工程にて製造した甘酒液を添加する手法を用い、酸味成分の付与はサツマイモの搾汁時に用いたクエン酸含有麹抽出液に由来しているので、常に安定した所望の甘味、酸味を付与することが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のサツマイモ汁液を用いた飲料の製造プロセスの1例として、図1に示すフロー図に基づき、本発明の実施の形態を説明する。本発明の飲料の製造プロセスは、図1の点線で囲ったプロセスA、プロセスB、プロセスCからなる。プロセスAは、サツマイモとクエン酸含有麹抽出液からサツマイモ汁液を製造するためのプロセスである。プロセスBは、前記プロセスAにおいて産出される固形部分と米と麹菌を用いてクエン酸を製造するためのプロセスである。プロセスCは甘酒を濾過して得た甘酒液と前記プロセスAで得られたサツマイモ汁液を混合して飲料とするプロセスである。各プロセスについてさらに詳細に説明する。[]内の数字は、各材料の重量部を示す。
【0020】
プロセスA:サツマイモを剥皮し不良部分を除去したのち、剥皮サツマイモと皮に分ける。直ちに、剥皮サツマイモ100重量部に対して10重量部乃至100重量部、好ましくは20重量部乃至80重量部、さらに好ましくは40重量部乃至60重量部、最も好ましくは、50重量部前後の、10%乃至40%、好ましくは20%乃至25%のクエン酸含有麹抽出液に浸漬する。フローチャートでは20%のクエン酸含有麹抽出液を用いている。次に、サツマイモをカットし、サツマイモをクエン酸含有麹抽出液との混合状態のまま磨砕し、搾汁する。磨砕・搾汁は、例えば、2軸エクストルーダーやこれと類似のジュース絞り機のような、磨砕と搾汁を同時に行える機種の使用が便利である。しかし、例えば3mm穴のミートチョッパーで粗砕きをしたのち、油圧機やスクリュープレスなどで搾汁する方式でもよい。搾汁により汁液と固形部分とに分ける。
【0021】
得られた汁液には通常は澱粉も混じっているので、澱粉を遠心分離や放置沈殿等の濾過手段によって取り除き、一旦80℃以上に加熱するか、或いは煮沸する。冷却後に遠心分離機やフィルターなどでの濾過手段で凝固物を除くことにより、清澄した本発明のサツマイモ汁液とする。このとき生成した凝固物は廃棄する。搾汁時の搾汁液の量は、剥皮サツマイモとほぼ同量得られ、さらに搾汁液から澱粉等を除去して得た清澄サツマイモ汁液はサツマイモ重量の約半分程度となる。清澄サツマイモ汁液中のクエン酸濃度は、使用したクエン酸濃度(%)の約半分程度となる。本発明の清澄サツマイモ汁液は、クエン酸濃度が高く、クエン酸濃度が約5〜20%、通常、10%前後となっており、しかも、清澄サツマイモ汁液は加熱殺菌しているので、その保存性はよい。また紫サツマイモを用いた場合は、色素であるアントシアンの抽出率も高く、その安定性もきわめて高い。
【0022】
プロセスB: 前記プロセスAでは、搾汁残渣として固形部分と、搾汁液を濾過して澱粉が得られる。これらの固形物を混合して水分を約65%程度に調整し、一方、水分を約65%程度に調整した米を前記固形物に加えて混合し、蒸煮したものに黒麹菌(Aspergillus nigar) 或いは白麹菌(Aspergillus kawachii)を接種し、約30〜40℃、好ましくは約35〜38℃で7日間前後培養してクエン酸含量の高い麹とする。これに適量の温水を加えて圧搾濾過すれば、高濃度のクエン酸を含有する麹抽出液が得られる。該クエン酸含有麹抽出液は前記プロセスAに使用することができる。サツマイモ汁液の製造時に産出した前記固形物と米をほぼ同量使用した場合、生成されるクエン酸は、プロセスAに使用されるクエン酸量にほぼ相当する。
【0023】
プロセスC: 吸水させたのち蒸煮した米に黄麹菌(Aspergillus orizae)を接種し、一般的な甘酒麹を作る。これに約1.2倍量の水を加え、55〜60℃に10時間以上保って糖化させ、のち濾過や遠心分離法によって透明液とする。
【0024】
前記プロセスAの汁液とプロセスCの甘酒液を1:1〜1:6、好ましくは1:2〜1:4、最も好ましくはほぼ1:3に混合すると、糖度10〜30%、クエン酸濃度1〜8%の範囲、好ましくは、糖度約25%前後、クエン酸濃度約2.5%前後の甘酸味の調和のとれた飲料が得られる。サツマイモ原料として紫サツマイモを使用すれば、鮮やかなピンク乃至ワインレッドとなり、カロチンイモを使用すれば美しい橙色の飲料になる。
【0025】
【実施例】
〔実施例1〕
サツマイモ・クエン酸汁液の製造
サツマイモとして剥皮したヤマガワムラサキ (Pure Colored Types) 2kgを1リットルの20%クエン酸を含有する麹抽出液に浸し、液とともにミートチョッパー(OMC−12:商品名、大道(株)製)を通して磨砕した。濾布袋に入れて油圧機(形KS−1:商品名、駒形(株)製)を用い、200kg/cm2 で圧搾し、搾汁固形部分と、搾汁液に分別した。搾汁液を一夜静置して沈殿物を分離して、沈殿物(澱粉)と液部を得た。得られた液部を直ちに85℃に加熱した。冷却後に2000rpm、10分間、遠心分離(CST−050L1:商品名、島津製作所(株)製))して、凝固物と清澄サツマイモ汁液を分別した。得られた清澄サツマイモ汁液は、1.6リットルの透明な濃い赤紫色のサツマイモの抽出成分とクエン酸含有麹抽出液を含み、クエン酸濃度は約12%であった。
【0026】
〔実施例2〕
クエン酸含有麹抽出液の製造
前記実施例1で得られた搾汁固形部分の全量と澱粉の全量を併せたものに、吸水させた米1kgを混合して蒸煮した(水分約60%)。これに黒麹菌(Aspergillus nigar) の胞子をふりかけて35℃の恒温器中に入れ、品温を調整しつつ7日間置いた。得られた麹に1.2リットルの温水を加え、前記サツマイモ・クエン酸汁液の製造工程と同じ条件で圧搾したのち遠心分離し、約1リットルの黄褐色のクエン酸含有麹抽出液を得た。クエン酸濃度は約20%であった。
【0027】
〔実施例3〕
サツマイモ・クエン酸汁液の製造
剥皮したベニハヤト (Carotenoids Types)2kgを前記実施例2のクエン酸含有麹抽出液1リットルに浸し、2軸式ジューサー(GP−E1503:商品名、GREEN POWER Co.Ltd. 製)で搾汁した。搾汁液をヌッチェを用いてNo.2の濾紙で吸引濾過し、透明な橙色のサツマイモ・クエン酸汁液約1.5リットルを得た。
【0028】
〔実施例4〕
飲料の製造
米6kgを水に浸漬したのち蒸煮し、黄麹菌(Aspergillus orizae)を混じて35℃の恒温器に入れ、48時間培養した。得られた麹に8リットルの温水を加え、55〜60℃の温度に10時間保って糖化させた。できた甘酒を濾布袋に入れ、最初は自然濾過、のちに徐々に圧搾して液を採取した。糖度31%の透明甘酒液が9.8リットル得られた。
【0029】
この甘酒液3リットルに前記実施例1のサツマイモ・クエン酸汁液1リットルを混合することにより、クエン酸濃度2.7%、糖度25%の、甘酸味のバランスのとれた濃い赤紫色の飲料が得られた。
【0030】
〔実施例5〕
飲料の製造
前記実施例3のベニハヤト (Carotenoids Types)を原料としたサツマイモ・クエン酸汁液の1リットルに、前記実施例4の透明甘酒液を約2リットルの割合で混合することにより、橙色で、淡いニンジン様の香りをもち、クエン酸濃度3.3%、糖度23%のやや酸味の強い、爽やかな飲料が得られた。
【0031】
【発明の効果】
一般的に、サツマイモはその組織を破壊すれば、急激に酵素が働いて褐変化を伴う成分変化が進行するという不都合がある。これに対して、本発明者は、サツマイモの成分が常に高濃度のクエン酸に接していれば、これらの変性はまったく起こらないことを見出した。本発明のサツマイモ汁液の製造方法及び飲料の製造方法においては、サツマイモの成分が絶えず高濃度のクエン酸に接しているので、製造過程中及び製造後のサツマイモ汁液及び飲料は褐変等の成分変化を起こさない。
【0032】
本発明のサツマイモ汁液の製造方法におけるサツマイモの搾汁工程に使用されるクエン酸含有麹抽出液は、サツマイモの有効成分を抽出する作用を有するので、搾汁液中には有効成分の溶出量が多いという効果がもたらされる。特に、紫色素であるアントシアンは効率良く抽出され、しかも安定して保存される。
【0033】
搾汁工程において、10〜40%、好ましくは20%乃至25%の高濃度のクエン酸を含む麹抽出液を使用する場合には、酸性度が高いため、搾汁液中のコロイド物質の凝固等が起こり、得られた搾汁液はサラサラ状態となるので、搾汁を容易にしその後の濾過や清澄化にとっても好ましい。さらに、搾汁液中にクエン酸が含まれることにより、防腐はもとより成分の変質が抑制されるので保存性がよい。
【0034】
本発明のサツマイモ汁液の製造方法によれば、該製造方法に使用するクエン酸含有麹抽出液は、残渣として産出される固形部分に、米を混ぜて蒸煮し、クエン酸生産力の高い黒麹菌を培養し、得られた麹を温水で抽出して得たクエン酸含有麹抽出液を使用できるので、このように前記固形部分をサツマイモ汁液の製造プロセスに有効利用した場合には、サツマイモ汁液の製造方法に使用するクエン酸含有麹抽出液がほぼ全量調達できることになる。したがって、サツマイモ固形部分の中の澱粉はクエン酸に変化させて利用でき、且つ搾汁できなかった他の成分も有効に利用できることになり無駄がない。しかも、クエン酸の製造の原料として、前記残渣として産出される固形部分を米と併用して用いると、米やサツマイモ単独を用いてクエン酸を製造する場合よりも、はるかにクエン酸生成菌の生育もよくクエン酸の生成量も高い。
【0035】
本発明の飲料の製造方法によれば、甘味成分の付与は別工程にて製造した甘酒液を添加する手法を用い、酸味成分の付与はサツマイモの搾汁時に用いたクエン酸含有麹抽出液に由来しているので、常に安定した所望の甘味、酸味を付与することができる。
【0036】
クエン酸を有効成分とする健康飲料として、泡盛や黒糖焼酎のもろみ粕からとったいわゆるもろみ酢が知られている。さらに、焼酎麹にクエン酸を作らせ、紫サツマイモのペーストとともに焼酎麹により糖化した飲料(特許文献3)も知られている。しかしながら、前記泡盛麹や焼酎麹に由来する甘味に比べ、本発明の飲料の甘味源として用いる甘酒から得た甘酒液は、その香味に優れているので、本発明の飲料は、豊かな味わいのある酸甘味を有する。
【0037】
本発明の飲料は甘酒から得た甘酒液とサツマイモ汁液を用いているので、甘酒に含まれるアスペラチンなどの複数のガン抑制物質生理機能物質と、サツマイモの有効成分としてβ−カロチン、アントシアン、ガングリオシドなどの抗ガン作用物質を併せ持つため、優れた健康飲料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサツマイモ汁液を用いた飲料の製造プロセスの1例を示すフロー図である。

Claims (6)

  1. (1)サツマイモをクエン酸含有麹抽出液と混合状態で磨砕した後、搾汁して搾汁液を得、
    (2)該搾汁液を80℃以上に加熱、乃至煮沸した後、固形部分と清澄部分に分別し、清澄部分を採取することを特徴とするサツマイモ汁液の製造方法。
  2. 前記搾汁液を得る方法は、サツマイモ100重量部に対して10重量部乃至100重量部の10〜40%のクエン酸含有麹抽出液を添加した混合状態で摩砕した後、搾汁して搾汁液を得ることを特徴とする請求項1記載のサツマイモ汁液の製造方法。
  3. 前記クエン酸含有麹抽出液は、糖質原料を蒸煮したものに、アスペルギルス属に属する麹菌であってクエン酸生成能の大きい麹菌を培養してクエン酸を多量に含む麹とし、該麹を温水で抽出して得たものである請求項1記載のサツマイモ汁液の製造方法。
  4. 前記糖質原料は、請求項1に記載のサツマイモ汁液の製造方法において分別された固形部分に米を混合したものである請求項3記載のサツマイモ汁液の製造方法。
  5. 蒸煮した米に黄麹菌(Aspergillus oryzae) を培養して得た米麹を糖化して甘酒とし、該甘酒をろ過してなる甘酒液に、請求項1乃至4の何れか1項記載のサツマイモ汁液の製造方法により得られたサツマイモ汁液を加えて、糖度10〜40%、クエン酸濃度1〜10%の範囲に調整することを特徴とする飲料の製造方法。
  6. 請求項5記載の飲料の製造方法により得られた飲料。
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