JP4072226B2 - 撮像装置、その制御方法、及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオカメラ、銀塩カメラ、電子スチルカメラ等の撮像装置における自動焦点調節技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
リアフォーカスズーム型のレンズの場合、画角の変倍を行うバリエータと焦点調節を行うフォーカスレンズの合焦時における光軸上の位置関係は、フォーカスレンズが変倍動作に伴う焦点面位置の変化を補正する機能を兼ね備えているため、図2に示すように、被写体距離毎に異なったものとなる(以下、図2に示した線を「カム軌跡」と称する)。そこで、図2において、例えば被写体距離が無限遠のとき、バリエータがワイドからレヘ光軸上移動すると、フォーカスレンズは、光軸上、物体側(至近側)へ凸状の軌跡である∞の符号で示した軌跡に沿って移動するように制御する。
【0003】
このように、従来、ワイドからテレ、又はテレかららワイドヘズーミングするときには、被写体距離に応じたカム軌跡をトレースするようにバリエータとフォーカスレンズを駆動制御し、これによりピントずれのない良好な画像を得るようにしていた。
【0004】
しかし、図2に示したように、被写体距離毎のカム軌跡は、ワイド位置へ近づくに従って密になっているため、ワイドからテレへズーミングする場合は、被写体距離に対応するカム軌跡を正確に選択することはことはできず、最初に選択したカム軌跡が被写体距離に対応するカム軌跡から少しずれてしまっている場合がある。
【0005】
このような場合には、ズーミングによりボゲが発生する。例えば、ワイドからテレヘズーミングする際に、図4に示したように、本来の合焦軌跡に対応しない被写体距離(例えば2m)の被写体に対して、初めに非合焦の被写体距離(例えば1m)のカム軌跡を選択してトレースした場合には、ワイド端付近ではボケ(合焦度の劣化)が発生しないが、ミドルからテレにかけてはボケが発生する。また、被写体の移動等により被写体距離が変化する等して、それまでトレースしていたカム軌跡ではピントがずれてしまい、ボケが発生することもある。
【0006】
そこで、この問題を解決するため、次のような処理を行っていた。すなわち、ズーミング中にCCD等の光電変換素子から得られる映像信号から自動合焦用の信号(以下、AF信号と称する)を所定の周期でサンプリングして合焦度を判定する。そして、前回のサンプリングにより得られた合焦度と今回のサンプリングにより得られた合焦度とを比較することにより、合焦度の高いカム軌跡を見つけ、その合焦度の高いカム軌跡への乗り換えを行いながら、カム軌跡のトレースを行うようにしていた。
【0007】
この際、AF信号の検出は、ビデオカメラの場合、そのビデオカメラで採用されているテレビジョン方式の垂直走査周波数に同期させて行っている。すなわち、PAL方式を採用してる場合は5OHz、NTSC方式を採用してる場合は6OHzの周波数でAF信号をサンプリングしていた。以下、1周期を1VまたはVと表現する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高画質化、高倍率化が進むにつれて、撮影の幅を広げるための機能の追加が求められている。特に、撮影の幅を広げる超低速ズーム、いわゆる「絵づくリズーム」や、テレからワイドあるはワイドからテレヘの画角の変化をできるだけ高速に行うための超高速ズームの要求が極めて大きい。
【0009】
しかし、ズーム速度を超高速から超低速までの広い範囲で可変にした場合、超低速ズームの場合に、実際にはボケが発生しているにも拘わらず、AF信号のサンプリング周期との関係で今回サンプリング時の合焦度が前回から変化せず、カム軌跡の乗り換えが行われなくなり、ボケ止まりが発生するという問題が発生する。上記の不具合は、特に、バリエータやフォーカスレンズの駆動用モータとしてステッピングモータを用いた場合は、モータの駆動停止期間が存在するので顕著に発生する。
【0010】
本発明は、このような背景の下になされたもので、その課題は、変倍速度の如何に拘わらず合焦度の劣化を確実に検知できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、画角の変倍を行う変倍レンズ群と、前記変倍レンズ群の移動に伴う焦点面位置の変化を補正する機能と焦点調節機能とを兼ね備えたフォーカスコンペレンズ群を含むレンズ系を制御する制御手段と、被写体距離に応じた合焦時の前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群との位置関係を示す複数の軌跡を記憶する記憶手段とを有し、前記制御手段の制御により、変倍動作の際には前記記憶手段に記憶された複数の軌跡の中で合焦度の高い軌跡に乗り換えながら追従するように前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群とを移動させる撮像装置において、前記レンズ系から得られる光学像を光電変換して映像信号を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された映像信号に基づく前記制御手段による前記レンズ系の移動制御を行うための合焦情報をサンプリング周期で取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によりサンプリング周期で取得された前記合焦情報の中から比較する合焦情報を選定する選定手段と、前記変倍レンズ群の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度の場合は、前記第1の移動速度の場合よりも前の合焦情報と今回の合焦情報と比較するように前記選定手段を制御する選定制御手段とを備えている。
【0012】
また、本発明は、画角の変倍を行う変倍レンズ群の移動に伴う焦点面位置の変化を補正する機能と焦点調節機能とを兼ね備えたフォーカスコンペレンズ群を含むレンズ系と、被写体距離に応じた合焦時の前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群との位置関係を示す複数の軌跡を記憶する記憶手段とを有し、変倍動作の際には前記記憶手段に記憶された複数の軌跡の中で合焦度の高い軌跡に乗り換えながら追従するように前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群とを移動させる撮像装置の制御方法であって、前記レンズ系から得られる光学像を光電変換して映像信号を生成する生成工程と、前記生成工程により生成された映像信号に基づく前記レンズ系の移動制御を行うための合焦情報をサンプリング周期で取得する情報取得工程と、前記情報取得工程によりサンプリング周期で取得された前記合焦情報の中から比較する合焦情報を選定する選定工程と、前記変倍レンズ群の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度の場合は、前記第1の移動速度の場合よりも前の合焦情報と今回の合焦情報と比較するように前記選定工程を制御する選定制御工程とを備えている。
【0013】
また、本発明は、画角の変倍を行う変倍レンズ群と、前記変倍レンズ群の移動に伴う焦点面位置の変化を補正する機能と焦点調節機能とを兼ね備えたフォーカスコンペレンズ群を含むレンズ系と、被写体距離に応じた合焦時の前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群との位置関係を示す複数の軌跡を記憶する記憶手段とを有し、変倍動作の際には前記記憶手段に記憶された複数の軌跡の中で合焦度の高い軌跡に乗り換えながら追従するように前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群とを移動させるためのプログラムを記憶する記憶媒体を有する撮像装置において、前記記憶媒体は、前記レンズ系から得られる光学像を光電変換して映像信号を生成する生成ルーチンと、前記生成ルーチンにより生成された映像信号に基づく前記レンズ系の移動制御を行うための合焦情報をサンプリング周期で取得する情報取得ルーチンと、前記情報取得ルーチンによりサンプリング周期で取得された前記合焦情報の中から比較する合焦情報を選定する選定ルーチンと、前記変倍レンズ群の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度の場合は、前記第1の移動速度の場合よりも前の合焦情報と今回の合焦情報と比較するように前記選定ルーチンによる前記選定の処理を制御する選定制御ルーチンとを含むプログラムを記憶している。
【0016】
また、本発明では、前記選定制御手段は、前記第1の移動速度の場合の前記合焦情報の前記サンプリング周期と、当該第1の移動速度と前記第2の移動速度との比に基づいて、前記第2の移動速度の場合の前記前の合焦情報を選定するように前記選定手段を制御している。
【0017】
また、本発明では、前記レンズ系は、交換可能なレンズ系により構成されている。
【0018】
また、本発明では、前記レンズ系は、交換可能なレンズ系により構成され、前記情報取得手段は、撮像装置本体に搭載された前記生成手段により生成された映像信号の垂直走査周期を、撮像装置本体から通信動作により通信されたテレビジョン方式の方式情報に基づいて知得し、当該垂直走査周期に同期して合焦度を判定するための合焦情報を取得している。
【0019】
また、本発明では、前記レンズ系は、交換可能なレンズ系により構成され、前記情報取得手段は、撮像装置本体に搭載された前記生成手段により生成された映像信号の垂直走査周期を撮像装置本体から通信動作により知得し、当該垂直走査周期に同期して合焦度を判定するための合焦情報を取得している。
【0020】
また、本発明では、前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群は、ステッピングモータにより駆動制御されている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。図1において、1は光学系であり、4つのレンズ群よりなる4群構成のリアフォーカスズームレンズ(以下、RFZレンズと称する)により構成されている。すなわち、RFZレンズ1は、固定レンズ群である第1レンズ群(以下、前玉と称する)101、移動レンズ群であり変倍機能を有する第2のレンズ(以下、バリエータと称する)102、固定レンズ群である第3のレンズ群(以下、アフォーカルと称する)103、および移動レンズ群でありフォーカス機能と、変倍動作に伴う結像面位置の変化を補正するコンペンセータとしての機能を有する第4のレンズ群(以下、フォーカスコンペレンズと称する)により構成されている。
【0024】
2はCCD等の光電変換素子、3は光電変換素子2への入射光量を調節するための絞り、4は絞り3の開口度を変化させるための絞り駆動部、5は絞り3の位置を検出する絞り位置検出部、6は絞り位置検出部5の出力信号に基づいて絞り3の開口度(絞り量)を検出する検出回路、7は本撮像装置による撮像動作を統括的に制御する制御部である。
【0025】
なお、制御部7は、マイクロコンピュータにより構成され、図示省略したCPU、ROM、RAMを有している。ROMには、図2に示したカム軌跡、図5,8に示したフローチャートに対応する制御プログラム等が記憶されている。そして、CPUは、ROMに記憶された制御プログラムに従って、RAMをワークエリア等として利用しながら、AF処理等の各種処理を制御する。
【0026】
8、9は、それぞれバリエータ102、フォーカスコンペレンズ104を移動させるためのステッピングモータ等のモータであり、これらモータ8、9は、それぞれモータドライバ10、11により駆動される。12は光電変換素子2の出力信号を増幅させるアンプ、13は増幅された信号をNTSC映像信号等の映像信号に変換するプロセス回路である。
【0027】
14はプロセス回路13の出力信号から自動合焦(以下AFと称する)を行うための信号を生成してAF動作させるAF制御部、15はズーム操作部である。AF制御部14は、被写体の合焦情報として映像信号の高周波成分、エッジ形状等を用い、その合焦情報に基づいて合焦度を判定している。なお、AF法としては、山登り式などが提案されているが、その基本原理は、例えば、特開昭62−103616号公報等によって公知となっているため、ここでは詳細な説明は省略する。ズーム操作部15は、テレまたはワイドのズーム方向と、ズーム速度の信号を出力する。このズーム速度は、複数の任意な速度でも、或いは固定の速度であってもかまわない。
【0028】
図2は、画角の変倍を行うバリエータ102と焦点調節を行うフォーカスコンペレンズ104の合焦時における光軸上の位置関係を示すカム軌跡を示しており、ズーム時には、制御部7は、このカム軌跡をトレースするように、バリエータ102とフォーカスコンペレンズ104を駆動させることにより、ボケが発生しないようにする。しかし、被写体の移動や最初に選択したカム軌跡の誤り等により、ボケが発生することもあるので、AF制御部14は、ボケの発生を検知している。
【0029】
この際、AF制御部14は、プロセス回路13にて生成される映像信号を、その映像信号の垂直走査周波数でサンプリングし、サンプリングした映像信号中の高周波成分等に基づいて合焦度を判定しいてる。そして、AF制御部14は、前回のサンプリングにより得られた合焦度と後述するサンプリング周期で得られた合焦度とを比較することにより、合焦度の高いカム軌跡を見つけ、その合焦度の高いカム軌跡への乗り換えを制御部7に指示する。
【0030】
このように、今回と前回の合焦度の比較に依らずにカム軌跡を選択するようにしたのは、次の理由による。
【0031】
すなわち、今回と前回の合焦度を比較した場合は、超低速ズームの場合に、AF信号のサンプリング周期とズーム速度との関係で、今回サンプリング時の合焦度が前回から変化しなくなる場合があるからである。この例を図3を用いて説明する。図3は、バリエータ102の駆動モータとしてステッピングモータを使用した場合のバリエータ102の駆動周期とAF信号との関係を示した図であり、横軸はAF信号のサンプリング周期(V)となっている。
【0032】
ズーム速度を例えばPPS(PPS:ステッピンクモータの駆動パルス÷速度)で表現すると、AF信号のサンプリング周期毎にバリエータ102を駆動する場合は、バリエータ102が駆動されたときの全てのAF信号を確実にサンプリングすることができる(図3の毎V駆動参照)。しかし、例えばプロセス回路13にて生成される映像信号の垂直走査周波数(ここではNTSC方式の60Hzであるとする)に同期してAF信号(映像信号)のサンプリングを行った場合は、60PPS未満のズーム速度のときに、サンプリング動作に対してバリエータ102の駆動が間欠駆動となる。図3のスロー時は、ズーム速度が15PPSの場合のAF信号を示しており、AF信号が4回サンプリングされる毎に1回の割合でバリエータ102が駆動されてAF信号が変化している。
【0033】
この場合は、4回のサンプリングタイミングのうち3回は、バリエータ102が停止しているので、当然、前回と今回のサンプリング時の合焦度もその割合で同一となる。そのため、たとえ図4の非合焦軌跡をトレースしていてボケが発生していたとしても、合焦軌跡への乗り換えが遅れてしまったり、或いはボケ止まりの状態となる。
【0034】
そこで、AF制御部14は、ズーム速度、及びAF信号のサンプリング周期に基づいて、何V前のAF信号と比較すればよいかを算出している。
【0035】
次に、ズーム中のカム軌跡トレース動作を図5のフローチャートに従って説明する。なお、図5の処理は、ズーミング動作中において、繰り返し実行されるものである。
【0036】
まず、ズーム操作部15からのズーム駆動命令に基づいて、ズーム動作モードであるか否かを判別し(ステップS1)、ズーム動作モードでなければ、終了する。一方、ズーム動作モードであれば、ズーム操作部15からのズーム速度信号を読込む(ステップS2)。そして、AFスイッチ(図示省略)により、AFモードが設定されているか否かを判別する(ステップS3)。その結果、AFモードが設定されていなければ、ズーム操作部15から指示されたズーム速度、現在のバリエータ102、フォーカスコンペレンズ104の位置に基づいて、カム軌跡を算出すると共に、算出したカム軌跡に対応するフォーカス駆動量を算出する(ステップS7)。このカム軌跡の算出は、図2のようなカム軌跡としては、代表的なものしか記憶しておらず、その間の抜けているカム軌跡を計算により求めて、少量の情報により高精度に合焦させるようにするために行うものである。
【0037】
一方、AFモードが設定されていれば、AF信号のサンプリング周波数を読み込み(ステップS4)、ズーム速度、及びAF信号のサンプリング周波数から何V前のAF信号を使用するかを、次の式により計算する(ステップS5)。
【0038】
PV=SV÷ZMSP (1)
ただし、PV:何V前のデータを使用するか、SV:AF信号のサンプリング周波数、ZMSP:ズーム速度である。なお、PVは、商に余りが生じた場合は切り上げる。この式(1)で求められたPV前のサンプリング周期と今回のサンプリング周期の間では、バリエータ102は確実に駆動されている。また、このPV前のサンプリング周期は、バリエータ102が確実に駆動されているサンプリング周期のうち、今回のサンプリング周期との間隔が最小のサンプリング周期でもある。
【0039】
次に、式(1)により算出したPV前のAF信号と現在のAF信号を比較する(ステップS6)。そして、合焦度の高い方のカム軌跡を選択し、選択したカム軌跡をトレースするためのフォーカス駆動量を、ズーム速度、バリエータ102の位置に基づいて算出する(ステップS7)。そして、算出したフォーカス駆動量の分だけ、フォーカスコンペレンズ104を駆動して(ステップS8)、終了する。
【0040】
このように、今回のAF信号との比較対象のAF信号を、式(1)で求めたPV前のAF信号、すなわちバリエータ102が確実に駆動されているサンプリング周期(V)のAF信号としているので、実際にはボケが発生しているのにAF信号が変化しないためにボケを認識することができないというようなことがなくなり、確実にボケを検出して、迅速にカム軌跡の乗り換えを行わうことが可能となる。
【0041】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【0042】
第2の実施形態に係る撮像装置は、交換レンズタイプの撮像装置であり、カメラユニット40のカメラユニット制御部17は、プロセス回路13にて生成された映像信号中のAF制御用の信号、絞り動作のための信号、ズーム操作部15からの操作信号などを、カメラ接点19及びレンズ接点18を介して、レンズユニット30のレンズユニッ制御部16に送信する。レンズユニット制御部16は、カメラユニット制御部17から送信された信号に基づいて、AF制御や絞り制御を行い、ズーム位置、フォーカス位置、絞り位置等をカメラユニット制御部17に送信する。
【0043】
レンズユニット制御部16のAF制御部14は、第1の実施形態のAF制御部14と同様に、今回のAF信号との比較対象のAF信号を、式(1)を用いて決定する。従って、第1の実施形態と全く同様の効果がえられる。なお、AF制御部14をカメラユニット40に搭載することにより、レンズユニット30の低価格化を図ることも可能である。
【0044】
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。第3の実施形態に係る撮像装置も、第2の実施形態と同様に交換レンズタイプの撮像装置であり、構成および機能もほぼ同様である。
【0045】
ただし、第3の実施形態では、カメラユニット40にNTSC、PAL等のテレビジョン方式を記憶する方式記憶部20が追加されており、この方式記憶部20に記憶されたテレビジョン方式がカメラ接点19及びレンズ接点18を介して、レンズユニット30のAF制御部14に送信される。そして、AF制御部14は、送信されたテレビジョン方式に基づいて、その垂直走査周波数を認識し、認識した垂直走査周波数でAF信号をサンプリングする。また、AF制御部14は、認識した垂直走査周波数を用いて、何V前のAF信号を今回のAF信号との比較対象にすべきかを算出する。
【0046】
次に、第3の実施形態におけるズーム中のカム軌跡トレース動作を図8のフローチャートに従って説明する。なお、図8の処理は、ズーミング動作中において、繰り返し実行されるものである。
【0047】
まず、ズーム操作部15からのズーム駆動命令に基づいて、ズーム動作モードであるか否かを判別し(ステップS21)、ズーム動作モードでなければ、終了する。一方、ズーム動作モードであれば、ズーム操作部15からのズーム速度信号を読込む(ステップS22)。そして、AFスイッチ(図示省略)により、AFモードが設定されているか否かを判別する(ステップS23)。その結果、AFモードが設定されていなければ、ズーム操作部15から指示されたズーム速度、現在のバリエータ102、フォーカスコンペレンズ104の位置に基づいて、カム軌跡を算出すると共に、算出したカム軌跡に対応するフォーカス駆動量を算出する(ステップS27)。このカム軌跡の算出は、図2のようなカム軌跡としては、代表的なものしか記憶しておらず、その間の抜けているカム軌跡を計算により求めて、少量の情報により高精度に合焦させるようにするために行うものである。
【0048】
一方、AFモードが設定されていれば、カメラデータ(テレビジョン方式)をカメラユニット40から通信動作により読み込み、その垂直走査周波数を認識し、認識した垂直走査周波数に同期してAF信号をサンプリングする(ステップS24)。そして、ズーム速度、及びAF信号のサンプリング周波数から何V前のAF信号を使用するかを計算する(ステップS25)。ここでは、テレビジョン方式がNTSCの場合は下記の式(2)を使用し、PALの場合は下記の式(3)を使用する。
【0049】
PV=NV÷ZMSP (2)
ただし、NVは、NTSCテレビジョン方式の垂直走査周波数。
【0050】
PV=PaV÷ZMSP (3)
ただし、PaVは、PALテレビジョン方式の垂直走査周波数。
【0051】
なお、PVは、商に余りが生じた場合は切り上げる。これら式(2)、式(3)で求められたPV前のサンプリング周期と今回のサンプリング周期の間では、バリエータ102は確実に駆動されている。また、このPV前のサンプリング周期は、バリエータ102が確実に駆動されているサンプリング周期のうち、今回のサンプリング周期との間隔が最小のサンプリング周期でもある。
【0052】
次に、式(2)、または式(3)により算出したPV前のAF信号と現在のAF信号を比較する(ステップS26)。そして、合焦度の高い方のカム軌跡を選択し、選択したカム軌跡をトレースためのフォーカス駆動量を、ズーム速度、バリエータ102の位置に基づいて算出する(ステップS27)。そして、算出したフォーカス駆動量の分だけ、フォーカスコンペレンズ104を駆動して(ステップS28)、終了する。
【0053】
このように、AF信号のサンプリング周波数として使用すべき周波数を、カメラユニット40から送信されたテレビジョン方式情報に基づいて認識することにより、交換レンズであるレンズユニット30を、テレビジョン方式が異なるカメラユニット40に使用することが可能となり、汎用性のあるものとすることができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、例えば、テレビジョン方式ではなく、そのテレビジョン方式の垂直走査周波数そのものを送信するようにしてもよい。また、数周期前の合焦度と今回の合焦度とを比較することによりカム軌跡を選択するのではなく、ズーム速度が遅い場合は、サンプリング周波数それ自体を小さくしてサンプリング周期を長くして、常に今回と前回の合焦度を比較することによりカム軌跡を選択するようにすることも可能である。また、バリエータとフォーカスコンペレンズを、連続的に回転するモータにより駆動する場合にも適用可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、画角の変倍を行う変倍レンズ群と、前記変倍レンズ群の移動に伴う焦点面位置の変化を補正する機能と焦点調節機能とを兼ね備えたフォーカスコンペレンズ群を含むレンズ系と、被写体距離に応じた合焦時の前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群との位置関係を示す複数の軌跡を記憶する記憶手段とを有し、前記制御手段の制御により、変倍動作の際には前記記憶手段に記憶された複数の軌跡の中で合焦度の高い軌跡に乗り換えながら追従するように前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群とを移動させる撮像装置において、前記レンズ系から得られる光学像を光電変換して映像信号を生成し、生成された映像信号に基づく前記レンズ系の移動制御を行うための合焦情報をサンプリング周期で取得し、当該サンプリング周期で取得された前記合焦情報の中から比較する合焦情報を選定し、前記変倍レンズ群の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度の場合は、前記第1の移動速度の場合よりも前の合焦情報と今回の合焦情報と比較するよう制御するように構成した。
【0056】
従って、本発明によれば、実際にはボケが発生しているのに合焦度が変化しないために合焦度の劣化を認識することができないというようなことが、変倍速度の如何に拘わらず無くなり、合焦度の劣化を確実に検知して、迅速にカム軌跡の乗り換えを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】カム軌跡を示す図である。
【図3】AF信号のサンプリング周期毎にバリエータを駆動する場合と、間欠周期でバリエータを駆動する場合とのAF信号の変化例を示した図である。
【図4】カム軌跡の乗り換えの必要性を説明するための図である。
【図5】本発明の第1,第2の実施形態におけるズーム中のカム軌跡トレース動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態におけるズーム中のカム軌跡トレース動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:リアフォーカスズームレンズ
2:CCD
7:制御部
8,9:モータ
10,11:モータドライバ
13:プロセス回路
14:AF制御部
15:ズーム操作部
16:レンズユニット制御部
17:カメラユニット制御部
20:方式記憶部
30:レンズユニット
40:カメラユニット
102:バリエータ
104:フォーカスコンペレンズ
Claims (8)
- 画角の変倍を行う変倍レンズ群と、前記変倍レンズ群の移動に伴う焦点面位置の変化を補正する機能と焦点調節機能とを兼ね備えたフォーカスコンペレンズ群を含むレンズ系を制御する制御手段と、被写体距離に応じた合焦時の前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群との位置関係を示す複数の軌跡を記憶する記憶手段とを有し、前記制御手段の制御により、変倍動作の際には前記記憶手段に記憶された複数の軌跡の中で合焦度の高い軌跡に乗り換えながら追従するように前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群とを移動させる撮像装置において、
前記レンズ系から得られる光学像を光電変換して映像信号を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された映像信号に基づく前記制御手段による前記レンズ系の移動制御を行うための合焦情報をサンプリング周期で取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によりサンプリング周期で取得された前記合焦情報の中から比較する合焦情報を選定する選定手段と、
前記変倍レンズ群の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度の場合は、
前記第1の移動速度の場合よりも前の合焦情報と今回の合焦情報と比較するように前記選定手段を制御する選定制御手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。 - 前記選定制御手段は、前記第1の移動速度の場合の前記合焦情報の前記サンプリング周期と、当該第1の移動速度と前記第2の移動速度との比に基づいて、前記第2の移動速度の場合の前記前の合焦情報を選定するように前記選定手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記レンズ系は、交換可能なレンズ系により構成されたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記レンズ系は、交換可能なレンズ系により構成され、前記情報取得手段は、撮像装置本体に搭載された前記生成手段により生成された映像信号の垂直走査周期を、撮像装置本体から通信動作により通信されたテレビジョン方式の方式情報に基づいて知得し、当該垂直走査周期に同期して合焦度を判定するための合焦情報を取得することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記レンズ系は、交換可能なレンズ系により構成され、前記情報取得手段は、撮像装置本体に搭載された前記生成手段により生成された映像信号の垂直走査周期を撮像装置本体から通信動作により知得し、当該垂直走査周期に同期して合焦度を判定するための合焦情報を取得することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群は、ステッピングモータにより駆動制御されることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 画角の変倍を行う変倍レンズ群の移動に伴う焦点面位置の変化を補正する機能と焦点調節機能とを兼ね備えたフォーカスコンペレンズ群を含むレンズ系と、被写体距離に応じた合焦時の前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群との位置関係を示す複数の軌跡を記憶する記憶手段とを有し、変倍動作の際には前記記憶手段に記憶された複数の軌跡の中で合焦度の高い軌跡に乗り換えながら追従するように前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群とを移動させる撮像装置の制御方法であって、
前記レンズ系から得られる光学像を光電変換して映像信号を生成する生成工程と、
前記生成工程により生成された映像信号に基づく前記レンズ系の移動制御を行うための合焦情報をサンプリング周期で取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程によりサンプリング周期で取得された前記合焦情報の中から比較する合焦情報を選定する選定工程と、
前記変倍レンズ群の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度の場合は、
前記第1の移動速度の場合よりも前の合焦情報と今回の合焦情報と比較するように前記選定工程を制御する選定制御工程と、
を備えたことを特徴とする撮像装置の制御方法。 - 画角の変倍を行う変倍レンズ群と、前記変倍レンズ群の移動に伴う焦点面位置の変化を補正する機能と焦点調節機能とを兼ね備えたフォーカスコンペレンズ群を含むレンズ系と、被写体距離に応じた合焦時の前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群との位置関係を示す複数の軌跡を記憶する記憶手段とを有し、変倍動作の際には前記記憶手段に記憶された複数の軌跡の中で合焦度の高い軌跡に乗り換えながら追従するように前記変倍レンズ群とフォーカスコンペレンズ群とを移動させるためのプログラムを記憶する記憶媒体を有する撮像装置において、
前記記憶媒体は、
前記レンズ系から得られる光学像を光電変換して映像信号を生成する生成ルーチンと、
前記生成ルーチンにより生成された映像信号に基づく前記レンズ系の移動制御を行うための合焦情報をサンプリング周期で取得する情報取得ルーチンと、
前記情報取得ルーチンによりサンプリング周期で取得された前記合焦情報の中から比較する合焦情報を選定する選定ルーチンと、
前記変倍レンズ群の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度の場合は、
前記第1の移動速度の場合よりも前の合焦情報と今回の合焦情報と比較するように前記選定ルーチンによる前記選定の処理を制御する選定制御ルーチンと、
を含むプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体。
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