JP4071828B2 - ２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差識別装置 - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は、２つの別個のシリンダバンクから成る内燃機関の２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置であって、各シリンダバンクにはエキゾーストガスタービンを有するエキゾーストマニホールドが所属し、２つのエキゾーストマニホールドのエキゾーストタービンより前を支配する圧力又はガス質量（乃至はガス量）の間の差を検出し、この検出した差が所定の閾値を上回っている場合には回転数偏差をシグナリングする装置が設けられている、２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置に関する。
【０００２】
国際公開９０/０３５０３号からＶ型エンジンが公知である。このＶ型エンジンは２つのシリンダバンクから成り、各シリンダバンクにエキゾーストターボチャージャを有する。充てん圧調整部が設けられており、この充てん圧調整部は２つのシリンダブロックのインテークマニホールド内を同じ圧力が支配するように調整する。２つのインテークマニホールドで測定された圧力に依存して２つのシリンダブロックのエキゾーストマニホールド内に配置されるエキゾーストガスタービンの回転数を調整し、２つのインテークマニホールド内の圧力が同一の大きさになるようにする。エキゾーストガスタービンの回転数の調整はバイパスバルブを介して行われる。
【０００３】
２つのエキゾーストマニホールドのうちの１つにエラーが、例えば触媒の遮断、充てん圧調整部の故障又はエキゾーストガスタービンの障害などが発生した場合、これは２つのエキゾーストターボチャージャの異なる回転数によって気づかれる。よって、２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差は、何らかの故障を示す。この何らかの故障は、場合によってはこれら２つのエキゾーストターボチャージャのうちの１つを将来破損させるかもしれない。
【０００４】
早めに故障を識別し高いコストのかかる将来の破損を回避するための手段を講じるためには、２つの別個のシリンダバンクから成る内燃機関の２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置を提供するべきである。
【０００５】
本発明の利点
本発明によれば、２つの別個のシリンダバンクから成る内燃機関の２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置であって、各シリンダバンクにはエキゾーストガスタービンを有するエキゾーストマニホールドが所属し、２つのエキゾーストマニホールドのエキゾーストタービンより前を支配する圧力又はガス質量（乃至はガス量）の間の差を検出し、この検出した差が所定の閾値を上回っている場合には回転数偏差をシグナリングする装置が設けられている、２つのシリンダバンクのエキゾーストマニホールド内の圧力比又はガス質量比乃至はガス量比は、重大な回転数偏差が２つのエキゾーストターボチャージャの間に存在するかどうか、ということに関する信頼できる情報を供給する装置において、２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置は、回転数偏差が識別された場合には、各エキゾーストターボチャージャに所属する充てん圧調整部に対して調整量を供給し、該調整量は回転数及び負荷に依存する特性マップから導出されるようにされる。
【０００６】
回転数偏差が識別された場合、エキゾーストターボチャージャのより大きな損害を回避する様々な手段が講じられる。このエキゾーストターボチャージャの閉ループ制御回路を中断しその代わりに調整量を供給するか、又はシリンダ選択性（zylinderselektiv）燃料噴射を小さくするか、又はスロットルバルブを最大限に開口することを制限する。
【０００７】
実施例の説明
図面に図示された２つの実施例に基づいて次に本発明を詳しく説明する。
【０００８】
図１は２つのエキゾーストターボチャージャを有する内燃機関のブロック回路図であり、エキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差識別のために２つのエキゾーストマニホールド内の圧力が測定される。
【０００９】
図２は２つのエキゾーストターボチャージャを有するエンジンのブロック回路図であり、回転数偏差識別のために２つのエキゾーストマニホールド内のガス質量（乃至はガス量）が測定される。
【００１０】
図１には概略的に２つのシリンダバンク２、３から成るＶ型エンジン又は対向シリンダエンジン１が図示されている。各シリンダバンク２、３は独自のエキゾーストマニホールド４、５を有する。各エキゾーストマニホールド４、５にはエキゾーストターボチャージャのエキゾーストガスタービン６、７が配置されている。エキゾーストマニホールド４のエキゾーストガスタービン６はスーパーチャージャ８を駆動し、エキゾーストマニホールド５のエキゾーストガスタービン７はスーパーチャージャ９を駆動する。２つのスーパーチャージャ８、９はインテークマニホールド１０の吸気空気を圧縮する。このインテークマニホールド１０は図示された実施例では管から構成されており、この管の中には充てん空気冷却器１１及びスロットルバルブ１２が配置されている。このスロットルバルブ１２の後方でインテークマニホールド１０は２つのシリンダバンク２、３に分岐している。この共通インテークマニホールド１０は並列接続された２つのスーパーチャージャ８、９の入力側で分岐し、この２つのスーパーチャージャ８、９の出力側は充てん空気冷却器１１の前で統合されている。２つのシリンダバンク２、３に１つの共通のインテークマニホールドを設ける代わりに、各シリンダバンク２、３は、独自のインテークマニホールドを有してもよい。このインテークマニホールドの中で所属のスーパーチャージャ８、９が吸気空気を圧縮する。
【００１１】
エキゾーストガスタービン６、７にはそれぞれバイパス線路１３、１４が設けられている。このバイパス線路１３、１４の中にあるバルブ１５、１６によって、バイパス流量、つまりエキゾーストガスタービン６、７の回転数及びこの結果スーパーチャージャ８、９によって発生されるインテークマニホールド内の充てん圧が調整される。充てん圧調整又は充てん圧制御のために調整素子が設けられている。この調整素子は図１に図示された実施例では公知のやり方でタイミング制御バルブ（Taktventil）１７及び圧力検知ボックス１８、１９から成る。この圧力検知ボックス１８、１９はロットを介してバイパスバルブ１５、１６の開口を調整する。タイミング制御バルブ１７にはインテークマニホールドに接続された線路２０を介して２つのスーパーチャージャ８、９によって発生される充てん圧が直接加えられる。共通のインテークマニホールド１０のためにただ１つのタイミング制御バルブのみが必要とされる。このタイミング制御バルブの出力圧力は線路２１、２２を介して２つのエキゾーストターボチャージャの圧力検知ボックスに同じ分量ずつ分配される。このタイミング制御バルブ１７は制御機器２３から線路２４を介してパルス幅変調された制御クロック信号を受け取る。
【００１２】
圧力センサ２５はエキゾーストガスタービン６、７の前の２つのエキゾーストマニホールド４、５内の圧力を測定しそれから圧力差を検出する。この圧力差をこの圧力センサ２５は線路２６を介して電気信号として制御機器２３に供給する。圧力差は２つのターボチャージャの回転数が相互に偏差している場合には常に発生する。回転数偏差は、例えば圧力検知ボックス１８、１９又はバイパスバルブ１５、１６又はエキゾーストターボチャージャのエキゾーストガスタービン６、７が故障しているか又はエキゾーストガスタービン６、７の出力管内にある触媒２７、２８が遮断されている場合に発生する。
【００１３】
制御機器２３は２つのエキゾーストマニホールド４、５の圧力差を所定の閾値と比較し、この圧力差がこの閾値を越えるとはじめて２つのエキゾーストターボチャージャの間の関連する回転数偏差をシグナリングする。この閾値を越える圧力差は、いずれかのエキゾーストマニホールド内に欠陥がありこの欠陥が２つのエキゾーストターボチャージャのうちの１つにより大きな破損を将来的に与える可能性がある、ということを示している。つまり、エラーのために一方のエキゾーストターボチャージャの回転数が低下する場合、充てん圧調整部は、他方のエキゾーストターボチャージャの回転数を上げて、この他方のエキゾーストターボチャージャが故障したエキゾーストターボチャージャの低下した充てん圧を補償するようにさせる。しかし、回転数を過度に上げ過ぎるとエキゾーストターボチャージャの破壊をもたらす可能性もある。
【００１４】
制御機器２３は圧力差が閾値をほんの短時間ではなく所定の比較的長い時間に亘って越える場合にのみエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差をシグナリングする。というのも、短時間の回転数偏差ならばエキゾーストターボチャージャにおける将来の破損を引き起こさないからである。
【００１５】
圧力差に対する閾値はインテークマニホールド内の空気質量（乃至は空気量）に依存して設定されるか又はエンジンの回転数及び/又は負荷に依存して設定されるかのいずれかである。インテークマニホールド内の空気質量（乃至は空気量）又はエンジンの回転数もしくは負荷が低下すればするほど、エキゾーストターボチャージャの間のより小さい回転数偏差を識別するために閾値は低下される。２つのエキゾーストターボチャージャのうちの一方が故障しているという理由で、他方のエキゾーストターボチャージャによって高い充てん圧を供給しなければならない場合には、この使用可能なエキゾーストターボチャージャは特別な保護手段を講じることなしに危険な高い回転数領域で制御される。従って、閾値が比較的低いために回転数偏差が早めに識別される場合、使用可能なエキゾーストターボチャージャが危険な高い回転数領域で制御されるより以前に次に挙げる保護手段のうちの１つ又は複数の保護手段が早めに講じられる。
【００１６】
保護手段の１つは、回転数偏差が識別された場合に制御機器２３が充てん圧閉ループ制御回路を中断し調整量を線路２９又は３０を介してバイパスバルブ１５又は１６に供給することである。このバイパスバルブ１５、１６に対する調整量は、回転数及び負荷に依存する特性マップから導出される。いずれにせよ、この調整量はエキゾーストガスタービン６、７が危険性のない回転数領域に留まるように設定される。
【００１７】
第２の保護手段は、回転数偏差が識別された場合に制御機器２３が制御線路３１を介してシリンダ選択性燃料噴射を小さくすることである。つまり、燃料噴射を小さくすることによって排気ガスがフレッシュガスによって薄められ、これによりこの排気ガスのエンタルピーが低減される。この結果、内燃機関の負荷レベルが低減され、相応して必要な充てん圧が低減制御される。従って、エキゾーストターボチャージャのうちの１つがあまりにも高い回転数領域に達する危険はもはや存在しない。
【００１８】
第３の保護手段ではマシンの負荷レベルを次のことによって比較的低い値に制限する。すなわち、制御機器２３が線路３２を介してスロットルバルブ１２の最大開口を制限する制御信号を送出することによって比較的低い値に制限する。
【００１９】
これらの保護手段の各々を単独で適用してもよいし、複数の保護手段を一緒に適用してもよい。この場合、各保護手段毎に圧力差に対する異なる閾値を設定することができる。
【００２０】
上述した実施例の場合のように２つのエキゾーストマニホールド４、５の圧力差を２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差識別の判断基準として使用する代わりに、２つのエキゾーストマニホールド４、５で測定されたガス質量乃至はガス量の間の差を制御機器２３が回転数偏差に関して評価することもできる。このためには図２に図示された実施例ではエキゾーストマニホールド４、５の中にガス質量又はガス量の測定機器３３、３４が組み込まれ、この測定機器３３、３４の出力信号が線路３５、３６を介して制御機器２３に供給される。その他の点ではこの第２の実施例は図１に図示された装置と同じであり、同一の参照符号が使用されている。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は２つのエキゾーストターボチャージャを有する内燃機関のブロック回路図である。
【図２】図２は２つのエキゾーストターボチャージャを有するエンジンのブロック回路図である。
【符号の説明】
１ 対向シリンダエンジン
２、３ シリンダバンク
４、５ エキゾーストマニホールド
６、７ エキゾーストガスタービン
８、９ スーパーチャージャ
１０ インテークマニホールド
１１ 充てん空気冷却器
１２ スロットルバルブ
１３、１４ バイパス線路
１５、１６ バルブ
１７ タイミング制御バルブ
１８、１９ 圧力検知ボックス
２０、２１、２２、２４、２６、３２、３５、３６ 線路
２３ 制御機器
２５ 圧力センサ
２７、２８ 触媒
３３、３４ 測定機器

Claims (6)

1. ２つの別個のシリンダバンクから成る内燃機関の２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置であって、
   前記各シリンダバンクにはエキゾーストガスタービンを有するエキゾーストマニホールドが所属し、２つの前記エキゾーストマニホールド（４、５）のエキゾーストタービン（６、７）より前を支配する圧力又はガス質量（乃至はガス量）の間の差を検出し、この検出した差が所定の閾値を上回っている場合には回転数偏差をシグナリングする装置（２３、２５、３３、３４）が設けられている、２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置において、
   ２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置は、回転数偏差が識別された場合には、各エキゾーストターボチャージャに所属する充てん圧調整部（１５、１６）に対して調整量を供給し、
   該調整量は回転数及び負荷に依存する特性マップから導出されることを特徴とする、２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置。
2. 検出される差が閾値を所定の時間に亘って上回る場合に回転数偏差がシグナリングされることを特徴とする請求項１記載の装置。
3. 閾値は、インテークマニホールド（１０）内の空気質量（乃至は空気量）に依存することを特徴とする請求項１記載の装置。
4. 閾値は、エンジンの回転数及び/又は負荷に依存することを特徴とする請求項１記載の装置。
5. ２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置は、回転数偏差が識別された場合にはシリンダ選択性燃料噴射を小さくすることを特徴とする請求項１〜４の何れか１記載の装置。
6. ２つのエキゾーストターボチャージャの間の回転数偏差を識別する装置は、回転数偏差が識別された場合にはスロットルバルブ（１２）の最大開口を制限することを特徴とする請求項１〜４の何れか１記載の装置。

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