JP4071388B2 - マルチ形冷凍サイクル装置の制御方法および制御装置 - Google Patents

マルチ形冷凍サイクル装置の制御方法および制御装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の負荷側ユニットを有するマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法および制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法として、例えば特開平4−84061号公報に示された装置を示す冷媒回路図を図23に示す。
【0003】
図23において、1は圧縮機、2は四方弁、3は熱源側熱交換器、4a〜4cは膨張弁、11a〜11cは室温サーミスタ、12a〜12cは室温設定用リモートコントローラ、31は受液器、32は細管、33は吸入冷媒飽和温度センサー、34は吸入管温度センサー、35は冷媒分流決定装置、36は膨張弁開度決定装置、37はインバータ部である。また、点線は信号線、A、B、Cは負荷側ユニット、Xは熱源側である室外ユニットで、一点鎖線は室外ユニットXに含まれる部分を示している。
【0004】
次に、上記のように構成されたマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御に関する動作例について、図23を用いて説明する。
例えば3台の負荷側ユニットA、B、Cがそれぞれ室内に設置され、各部屋の空調を行う際の制御方法である。使用者が室内において運転命令をリモートコントローラ12a〜12cによって負荷側ユニットA〜Cに発信した場合、負荷側ユニットA〜C内の温度差決定装置(図示せず)は、リモートコントローラ12a〜12cの設定温度と室温サーミスタ11a〜11cで検出される室内温度との温度差から、温度差コードを決定して、信号線を介して冷媒分流決定装置35に送信する。また、負荷側ユニットA〜C内の能力コード決定装置(図示せず)は、リモートコントローラ12a〜12cによって負荷側ユニットA〜Cに対して運転命令が発信された際に、その負荷側ユニットの能力に基づいて能力コード値を決定し、信号線を介して冷媒分流決定装置35に送信する。
【0005】
冷媒分流決定装置35は、各運転命令を発した負荷側ユニットA〜Cの能力コード値による冷媒分流比率を決定し、さらに各負荷側ユニットA〜Cから伝達された温度差コードによる冷媒分流比率を掛けることにより、最終の冷媒分流比率を決定する。その後、膨張弁開度決定装置36は、吸入冷媒飽和温度センサー33と吸入管温度センサー34で検出する温度差によって、圧縮機2の吸入冷媒過熱度が一定になるように、なお且つ決定された冷媒分流比率を保つように、膨張弁4a〜4cの開度を決定して、負荷側ユニットA〜Cへの冷媒流量を制御している。
【0006】
この冷凍サイクル装置では、ある部屋の空調負荷が大きい場合は、リモートコントローラ12a〜12cの設定温度と室温サーミスタ11a〜11cの検知温度との温度差は大きくなるため、温度差決定装置による温度差コードの値もリモートコントローラ12a〜12cの設定温度と室温サーミスタ11a〜11cの検知温度との温度差が大きいほど大きくなり、冷媒分流決定装置35による冷媒分流比率も大きくなる。
従って、空調負荷が大きい負荷側ユニットA〜Cに流れる冷媒流量は大きくなり、設定室温に早く達することが可能となる。また、同時に負荷側ユニットA〜Cの能力コード値も能力コード決定装置によって加味されるため、能力の大きい負荷側ユニットA〜Cには同じ温度差コードであっても大きい冷媒流量が確保される。
【0007】
しかしながら、上記のマルチ形冷凍サイクル装置では、能力コード値により冷媒分流比率を決め、次に温度差コードによる冷媒分流比率を掛けて、最終冷媒分流比率を決めてしまうので、各負荷側ユニットA〜Cの空気側熱交換性能とかけ離れた極端な冷媒分流比率を設定して制御を行い、結果として不安定な冷凍サイクル状態に陥いる可能性があった。
【0008】
例えば暖房運転の場合、負荷側ユニットの空気側の暖房能力[W]は、式(1)に示すように、熱交換器面積A[m2 ]と熱通過率K[W/m2 K]を掛けた能力コード値AKと、冷媒温度Tr[K]と室温Tin[K]の温度差との積算により求まる。
【0009】
一方、冷媒側の暖房能力[W]は、式(2)に示すように、熱交換器内を流通する冷媒流量Grと冷媒の熱交換器入口比エンタルピhin[kJ/kg]と出口比エンタルピhout[kJ/kg]の差との積算により求まる。
【0010】
負荷側ユニットの空気側暖房能力=AK×(Tr−Tin) ・・(1)
負荷側ユニットの冷媒側暖房能力=Gr×(hin−hout) ・・(2)
【0011】
圧縮機1の吐出口と各負荷側熱交換器入口を連結する配管の途中に膨張弁などの減圧装置が存在していないので、負荷側ユニットA〜Cの入口の冷媒状態は圧縮機1の吐出口の冷媒状態と大差ないと考えてよい。従って、複数の負荷側ユニットにおいて、各負荷側熱交換器入口の比エンタルピhinと熱交換器内の二相部冷媒温度Trを同一とし各部屋の室温Tinが同じ場合には、各負荷側ユニットの空気側暖房能力の比は能力コード値AKの比で決まる。一方、冷媒分流比率を能力コード値AKで分配すると、熱交換器出口の比エンタルピhoutが同一になる。
【0012】
具体的な暖房2室運転例として、負荷側ユニットAとBの能力コードの比が2:1、冷媒温度が40℃、室Aのリモートコントローラ12aでの設定温度が30℃、室温が20℃、室Bのリモートコントローラ12bでの設定温度が21℃、室温が20℃であるとする。この時、冷媒温度と室温の差(ΔT)の比は、(40−20):(40−20)=1:1となる。式(1)、(2)から、冷媒分流比率を能力コード値の比=2:1とすると、出口比エンタルピhoutは同一になり、熱交換効率の良い冷凍サイクル装置の運転が実施できる。
これに対し、上記に示した従来のマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法では、リモートコントローラ設定温度と室温の差(温度差コード)の比は、(30−20):(21−20)=10:1であり、能力コード値AKと温度差コードの積算値の比から冷媒分流比率を計算すると、式(3)から20:1となる。
【0013】
Gr(室A):Gr(室B)
=AK(室A)×温度差コード(室A):AK(室B)×温度差コード(室B)
=2×10:1×1=20:1 ・・(3)
【0014】
この制御方法に従って運転すると、負荷側ユニットAでは、冷媒流量過多のため冷媒を凝縮しきれず、二相のまま流出して膨張弁へと流入する。このため、膨張弁において冷媒流量が制御しにくくなり、冷凍サイクルの不安定化をおこす可能性がある。一方、負荷側ユニットBでは冷媒流量過少のため、出口冷媒は空気温度まで凝縮することになる。このように、負荷側ユニットA、Bのいずれの熱交換器においても熱交換の効率としてはよくない。
【0015】
また、マルチ形冷凍サイクル装置の冷媒の制御方法において、特に、任意の負荷側ユニット停止時の暖房運転における余剰冷媒制御方法の従来例について述べる。例えば図24は、特開平1−217164号公報に掲載されたマルチ形冷凍サイクル装置の構成を示す冷媒回路図であり、図23と同一符号は同一又は相当部分であり、その説明は省略する。また、5a、5b、5cは負荷側熱交換器で、図23と同様、3台の負荷側ユニットで構成している。38は温度検知器、39は制御装置、40は制御信号出力装置である。
【0016】
以下、図24に示す構成のマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御に関する動作例について述べる。
例えば3台の負荷側熱交換器5a、5b、5cがそれぞれ室内に設置され、各部屋の暖房を行う際、負荷側熱交換器5b、5cは停止状態であり、負荷側熱交換器5aが運転状態である場合の冷媒の制御方法について説明する。四方弁2は図の点線側を接続して暖房運転される。停止負荷側熱交換器5b、5cに対応する膨張弁4b、4cの開度は、初期値としてbパルスに設定され、負荷側熱交換器5b、5cにも少量の冷媒を流通させて、停止負荷側熱交換器5b、5c内への冷媒の溜まり込みを防止している。運転中の膨張弁4b、4cの開度の制御は、以下のように冷媒過冷却度fを検知して行う。
【0017】
凝縮温度を温度検知器38で検知し、運転負荷側熱交換器5aに対応する膨張弁4aの入口側の冷媒温度を検知器11aで検知する。そして、凝縮温度と膨張弁4aの入口側の冷媒温度との差より、運転中の冷凍サイクルの冷媒過冷却度fを算出する。例えば、時間dで算出した冷媒過冷却度fが設定値aを下回った場合、制御装置39は制御信号出力装置40に指令信号を送信する。これにより、膨張弁4b、4cの開度はcパルスまで増加し、停止負荷側熱交換器5b、5c内に溜まり込んでいた冷媒を放出する。その後も一定のサンプリング間隔で温度検知器38よりデータを取りこみ、冷媒過冷却度fが設定値aに復帰した場合は、膨張弁4b、4cの開度をbパルスに戻す。
【0018】
以上のような制御により、冷媒過冷却度を一定以上に保つことができ、冷媒循環量が最適に保たれて、適正かつ安定した冷凍サイクルが得られるというものである。
ところが、上記の従来の制御方法では、制御終了後に膨張弁開度4b、4cを制御前の開度(bパルス)に戻している。そのため、停止負荷側熱交換器5b、5cに対応する膨張弁の開度(bパルス)が不適切な場合は、この制御を断続的に繰り返し行うことになり、冷凍サイクルは不安定な状態に陥る可能性がある。また、制御開始・終了条件としての冷媒過冷却度fの値は、同一値の設定値aが用いられている。そのため制御終了直後の運転負荷側熱交換器5aにおける冷媒過冷却度fはオーバーシュートするため安定せずに増加し続ける。それに伴って運転ユニットの膨張弁開度4aを制御すると、誤制御につながり冷凍サイクルの不安定化を招く可能性がある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法には、以下のような問題点があった。
【0020】
複数の負荷側ユニットに対し、能力コード値の比と温度差コードの比とを掛けて冷媒分流比率を決めてしまっており、各負荷側ユニットの空気側熱交換性能とかけ離れた極端な冷媒分流比率を設定して制御を行い、能力不足や能力供給の不安定化、ひいては制御不能による圧縮機の故障などを引き起こし、結果として不安定な冷凍サイクル状態に陥いるという問題点があった。
【0021】
また、負荷側に運転ユニットと停止ユニットが混在する場合に、制御終了後に停止ユニットの膨張弁開度を制御前の開度に戻しているため、停止ユニットの膨張弁開度が不適切な場合に、不安定な冷凍サイクル状態に陥るという問題点があった。さらに、制御開始・終了条件としての冷媒過冷却度の値が同一値であるため、冷凍サイクルの不安定化につながるという問題点があった。
【0022】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、冷凍サイクルを安定した状態で運転できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法および制御装置を得ることを目的としている。
このため、冷凍サイクルにおける負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスの安定化を優先させながら、できる限り負荷の大きい負荷側ユニットにより多くの能力を供給する冷媒分配を実現することを目的とする。また、負荷側に運転ユニットと停止ユニットとが混在する暖房運転の場合に、停止負荷側熱交換器に適正量の冷媒を流通させ、冷凍サイクルの安定化をはかることを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、複数の前記負荷側ユニットを運転する場合、まずそれぞれの前記流量調整手段を調整して運転する複数の前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が所定の分流比率になるようにした後、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて前記流量調整手段を微調整して、負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、運転中の冷凍サイクル装置において、少なくとも1つ以上の負荷側ユニットで所定値を越える負荷変動が生じたとき、運転する前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が所定の分流比率になるようにすることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、運転する複数の負荷側熱交換器に流通する冷媒流量の分流比率を、それぞれの前記負荷側熱交換器の容量比に基づいて設定することを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、複数の前記負荷側ユニットを運転する場合、冷房運転では目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転では目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように、それぞれの前記流量調整手段を調整して前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を設定した後、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて前記流量調整手段を微調整して、負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、運転中の冷凍サイクル装置において、少なくとも1つ以上の負荷側ユニットで所定値を越える負荷変動が生じたとき、変動後の冷凍サイクルにおいて冷房運転の場合は目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転の場合は目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように流量調整手段を調整して、運転する前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を変更することを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する際、負荷の大きい負荷側熱交換器の目標過熱度または目標過冷却度を現行の目標値より小さい値に変更し、計測過熱度または計測過冷却度と変更した前記目標値との差をなくすように前記流量調整手段を微調整して、前記負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させることを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する際、1回の微調整における前記冷媒流量の変化量を所定範囲内としたことを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する際、負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を所定量だけ増加させることを特徴とするものである。
【0031】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する際、負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させるとともに、変更前後でそれぞれの流量調整手段を流通する冷媒流量の総量が同等になるように負荷の小さい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を減少させることを特徴とするものである。
【0032】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、複数の前記負荷側ユニットを運転する場合、前記流量調整手段を調整して冷房運転の場合は目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転の場合は目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように各前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整し、そのときの過熱度または過冷却度の計測値と目標値の差が所定値を越えて大きい場合、その差が小さくなるように前記目標値を変更した後、前記流量調整手段を調整して、計測値と変更した前記目標値との差がなくなるように冷媒流量を変更することを特徴とするものである。
【0033】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、複数の前記負荷側ユニットを運転する場合、前記流量調整手段を調整して冷房運転の場合は目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転の場合は目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように、各前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整し、そのときの前記負荷側熱交換器のそれぞれに流通する冷媒流量のうちで最大の冷媒流量と最小の冷媒流量との比が所定範囲を越えた場合、これまでの所定時間での冷媒流量の変化量が多かった前記負荷側ユニットについて、前記目標値を変更した後、前記流量調整手段を調整して計測値と変更した前記目標値との差がなくなるようにその冷媒流量を変更することを特徴とするものである。
【0034】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットに連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、暖房運転を行う場合に停止負荷側ユニットが存在する場合、運転負荷側ユニットの計測過冷却度が所定の適正範囲より大きくもしくは小さくなったときは、計測過冷却度が前記適正範囲に収まるように停止負荷側熱交換器に連通する前記流量調整手段を調整してその冷媒流量を増加もしくは減少させ、前記運転負荷側ユニットの計測過冷却度が前記適正範囲内に収まったときに前記停止負荷側熱交換器に流通する冷媒流量をその状態で維持することを特徴とするものである。
【0035】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットに連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、暖房運転を行う場合に停止負荷側ユニットが存在する場合、運転負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が、所定時間内で増加または減少のどちらか一方向だけに連続的に変化したとき、停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を、前記運転負荷側熱交換器に流通する冷媒流量の変化方向と同一方向に変化させ、前記運転負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が一方向だけに連続的に変化する状態を脱したときに前記停止負荷側熱交換器に流通する冷媒流量をその状態で維持することを特徴とするものである。
【0036】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法は、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットに連通し前記負荷側ユニットに流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、暖房運転を行う場合に停止負荷側ユニットが存在する場合、起動時に前記停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を、運転負荷側ユニットに流通する冷媒流量が不足しないように予め定めた値に初期設定し、所定時間が経過後、前記停止負荷側熱交換器に連通する前記流量調整手段を調整して前記運転負荷側ユニットに流通する冷媒流量を徐々に減少させ、熱源側ユニット内の熱源側熱交換器の管温が所定値を越えて低下したときに、前記停止負荷側熱交換器に連通する前記流量調整手段を前記管温が低下する前に戻してその状態で維持することを特徴とするものである。
【0037】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御装置は、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量をそれぞれ前記負荷側熱交換器の容量に基いて分配する冷媒流量分配手段と、複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量を前記負荷側ユニットそれぞれの負荷の大きさに応じて調整する冷媒流量調整手段とを備え、少なくとも1つ以上の前記負荷側ユニットで大幅な負荷変動が生じたときに、前記冷媒流量分配手段にて複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量を分配することを特徴とするものである。
【0038】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御装置は、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、冷房運転では目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転では目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように、前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器のそれぞれに冷媒流量を分配する冷媒流量分配手段と、複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量を前記負荷側ユニットそれぞれの負荷の大きさに応じて調整する冷媒流量調整手段とを備え、少なくとも1つ以上の前記負荷側ユニットで大幅な負荷変動が生じたときに、前記冷媒流量分配手段にて複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量を分配することを特徴とするものである。
【0039】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御装置は、負荷側ユニットの設定温度と計測温度との温度差が所定値を越えたことで、前記負荷側ユニットで大幅な負荷変動が生じたことを検出するものである。
【0040】
また、本発明に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御装置は、圧縮機の周波数の変化量が所定値を越えたことで、負荷側ユニットで大幅な負荷変動が生じたことを検出するものである。
【0041】
【発明の実施の形態】
実施の形態1. 以下、本発明の実施の形態1によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法および制御装置について説明する。図1は、本実施の形態によるマルチ形冷凍サイクル装置の構成を示す冷媒回路図である。図において、1は圧縮機、2は流路切換手段で、例えば四方弁や冷暖切換弁、3は熱源側熱交換器、4a、4bは減圧手段と流量調整手段の機能を有する手段で例えば膨張弁、5a、5bは負荷側熱交換器、10は熱源側熱交換器管温センサー、11a、11bは室温検知センサー、12a、12bはリモートコントローラ、13は熱源側制御装置、14a、14bは負荷側制御装置、20は負荷側制御装置14a、14bと熱源側制御装置13を結ぶ信号線、21は熱源側熱交換器管温センサー10と熱源側制御装置13を結ぶ信号線、22は圧縮機1のモータと熱源側制御装置13を結ぶ信号線、23は膨張弁4a、4bと熱源側制御装置13を結ぶ信号線、24a、24bは室温検知センサー11aと負荷側制御装置13a、および室温検知センサー11bと負荷側制御装置13bを結ぶ信号線、Xは熱源側ユニット、A、Bは負荷側ユニットである。なお、このマルチ形冷凍サイクル装置は例えば1台の熱源側ユニットと2台の負荷側ユニットA、Bを有する構成である。
【0042】
以下、冷房運転時の冷媒流通の動作について説明する。四方弁2は実線のように接続する。
負荷側2台運転の場合、圧縮機1で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機1の吐出口から四方弁2を介して熱源側熱交換器3へ流通し、ここで放熱して冷媒が凝縮し、高圧液冷媒となって流出する。そして2路に分かれて膨張弁4a、4bへ流通して断熱膨張され、低圧二相冷媒となる。さらに低圧二相冷媒は負荷側熱交換器5a、5bへ流通し、ここで採熱して蒸発する際に室内空気と熱交換することによって室内を冷房する。そして冷媒は、負荷側熱交換器5a、5bから低圧ガス冷媒となって流出した後、四方弁2を介して圧縮機1の吸入口へと戻る。
負荷側1台運転の場合、例えば負荷側ユニットBを停止させる場合は、負荷側ユニットAのみに冷媒を流通させる。即ち、膨張弁4bを全閉にして、高圧液冷媒を膨張弁4aのみに流通させ、ここで断熱膨張されて低圧二相冷媒となり負荷側熱交換器5aへ流通する。他の動作は負荷側2台運転時と同様であるので説明を省略する。
【0043】
次に、暖房運転時の冷媒流通の動作について説明する。四方弁2は冷房運転での冷媒回路を切換えて、点線のように接続する。
負荷側2台運転の場合、圧縮機1で圧縮された高圧ガス冷媒は、圧縮機1の吐出口から四方弁2を介して2路に分かれて負荷側熱交換器5a、5bへ流通し、ここで放熱して凝縮する際に室内空気と熱交換することによって室内を暖房する。そして冷媒は、負荷側熱交換器5a、5bから高圧液冷媒となって流出し、膨張弁4a、4bで断熱膨張されて低圧二相冷媒となり熱源側熱交換器3へ流入する。さらに冷媒は熱源側熱交換器3で採熱して蒸発し、低圧ガス冷媒となって流出した後、四方弁2を介して圧縮機1の吸入口へと戻る。
負荷側1台運転の場合、例えば負荷ユニットBを停止させる場合でも、膨張弁4bを全閉にはしないので、負荷側2台運転時と同様であり、説明を省略する。
【0044】
次に、複数の負荷側ユニットA、Bを運転する場合の負荷側制御装置14a、14bおよび熱源側制御装置13の冷媒制御手順について説明する。図2はこの手順を示すフローチャートである。
負荷側ユニットA、Bにおいては、ST1a、ST1bに示すように、負荷側制御装置14a、14bがセンサーより各信号を受信し、次に受信項目を使用して計算した後、受信項目および計算項目の中で必要なものを熱源側制御装置13に送信する。具体的な内容を以下に示す。なお、これらはリモートコントローラ11a、11bから設定温コードが発せられた場合に制御を開始し、リモートコントローラ11a、11bから停止コードを送信されるまで、一定時間間隔、例えば3分おきに繰り返すものとする。
【0045】
・受信項目
(1)リモートコントローラ12a、12bから送信される設定温コード
負荷側ユニットA、Bが設置されている室内で、使用者が指示する設定温度を予め定めた対応コード番号に置き換えたもの。具体的な設定温度の値を受信してもよい。
(2)室温センサー11a、11bで計測されて送信される室温
【0046】
・計算項目
(1)設定温度
受信した設定温コードを具体的な温度値に置き換える。
(2) 温度差コード
前述の設定温度と受信した室温の差を算出するもので、負荷側ユニットA、Bの負荷の大きさを表わしている。
冷房運転時 Δ室温=室温−設定温度
暖房運転時 Δ室温=設定温度−室温
算出したΔ室温の値を予め定めたコード番号に置き換える。
【0047】
・送信項目
(1)温度差コードCa、Cb
(2)予め記憶してある負荷側ユニットの容量値qa、qb
【0048】
熱源側制御装置13においては、ST21で負荷側ユニット1台以上から信号が送信された場合、ST22〜ST43に示す制御を行う。まず熱源側制御装置13がセンサーより各信号を受信し、次に受信項目を使用して適正な冷媒分配のための各膨張弁4a、4bの開度を計算した後、各膨張弁4a、4bへ信号を送信して開度を設定または補正する。ST21で負荷側ユニットの1台からも信号が送信されていない場合には、処理を終了する(END)。以下、ST22〜ST43における具体的な内容を示す。
【0049】
・受信項目
(1)各運転負荷側ユニットの温度差コードCa、Cb
(2)各運転負荷側ユニットの容量qa、qb
【0050】
・計算項目
(1)基準圧縮機周波数Hz
受信した各温度差コードCa、Cbと各容量qa、qbから計測の負荷状態を表す値を式(4)によって算出する(ST22)。
【0051】
計測全負荷状態値q(all) =ΣCi ・qi /Σ(定格C・q)i ・・(4)
C:温度差コード
q:容量または容量コード
i:運転負荷側ユニットを表す(i=1、2、3・・)
定格C・q:負荷側ユニットが定格負荷運転をしている場合の値
【0052】
次に、負荷状態に見合った冷凍サイクル全体の冷媒流量を推定し、それに基づいて圧縮機周波数を求める(ST23)。具体例として計測全負荷状態値に対する圧縮機周波数を予め定めた対応表function1を表1に示す。
この表で求めた圧縮機周波数を、外気温度や冷凍サイクル状態を考慮して補正してもよい。
【0053】
【表1】
Figure 0004071388
【0054】
(2) 基準膨張弁開度S
制御を開始して初回の場合には、ST31とST32とでサイクル対応制御を行う。即ち、上記で推定した全体の冷媒流量を各負荷側ユニットA、Bの容量qa、qbから定めた比で分配した値に応じて、膨張弁4a、4bの開度を設定する。ここで、ST31、ST32は、負荷側ユニットA、Bの容量に基いて冷媒流量を分配する冷媒流量分配手段として動作している。
具体例として、表2に示すように、圧縮機周波数に対する各膨張弁の合計開度S(all)を予め定めた対応表function2を記憶しておき、この表2に基づいて、ST23で求めた圧縮機周波数から、各膨張弁の合計開度S(all)を決定する(ST31)。
【0055】
【表2】
Figure 0004071388
【0056】
次に、式(5)で膨張弁4a、4bの各開度Sa、Sbをその容量比で分配する(ST32)。このようにして決定された各膨張弁4a、4bの開度Sa、Sbを冷凍サイクル状態を考慮して補正してもよい。
【0057】
Sall=Sa+Sb
Sa:Sb=qa:qb ・・(5)
【0058】
・送信項目
(1) 圧縮機1のモータ駆動部へ圧縮機周波数を送信
(2) 各膨張弁4a、4bへ膨張弁の開度Sa、Sbを送信
以上で、リモートコントローラ12a、12bから運転要求された場合の初回の制御が行われ、圧縮機1の周波数と各膨張弁4a、4bの開度の初期設定がなされ、冷房運転が開始される。
【0059】
サイクル対応制御では、負荷側ユニットの容量比に基づいて各負荷側ユニットに流通させる冷媒の分流比率を設定している。このため、所定範囲内の分流比率になっており、従来の制御方法のような極端な分流比率が設定されることはない。従って、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがくずれて冷凍サイクルが不安定な状態に陥り、能力不足や能力供給の不安定化、ひいては制御不能による圧縮機の故障などを引き起こすことは回避されている。
【0060】
熱源側制御装置13は、制御を開始して所定の制御タイミング、例えば3分間隔で動作するのであるが、2回目以降の場合、即ち、すでにサイクル対応制御を行った場合で、少なくとも1つ以上の負荷側ユニットA、Bに大幅な負荷変動があると、ST23で負荷状態から決定した圧縮機1の周波数が前回から大幅に変化することがある。即ち、ST25で前回の周波数と今回計算した新周波数との差がbHz例えば10Hz程度よりも大きくなった場合には、再びST31、ST32でサイクル対応制御を行い、圧縮機1の周波数および膨張弁4a、4bの開度Sa、Sbを設定しなおす。
負荷側ユニットA、Bに大幅な負荷変動が生じた時には、サイクル状態の変化が生じるのでその負荷状態に応じてサイクル対応制御で設定し直すのであるが、大幅な負荷変動が生じる原因としては、以下のことが挙げられる。
1) 例えば2台運転から1台運転になったなど、運転台数の変化があった場合。
2) 例えばリモートコントローラでの設定温度を20℃から27℃に変更したなど、使用者によって設定温度が変更された場合。
3) 例えば室内の人が増えたとか曇っていた状態から室内に陽が差し込み、室温が急に上がったりしたり、ストーブや扇風機をつけたなど、室空間状態の変化によって室温変化があった場合。
4) 例えば異物吸込みによりファン回転数低下など、運転にそれほど重大ではない程度の異常があった場合。
【0061】
このように、負荷側ユニットに大幅な負荷変動があった場合には、これをST25で検出し、その負荷に合うようにST22、ST23、ST31、ST32で冷媒流量を設定し直す。このため、大幅な負荷変動があった場合に時間的に早く適正な冷媒流量に達することのできるように分配でき、即ち応答性よく円滑に冷凍サイクルを安定させることができる。
この大幅な負荷の変動は、圧縮機の周波数の変化量が所定値を越えたことで検出することができる。また、負荷側ユニットの設定温度と計測温度との温度差が所定値を越えたことで検出することもできる。これは、熱源側制御装置13では、負荷側制御装置14a、14bからの受信項目である温度差コードCa、Cbの値で検出でき、1回の制御タイミングで例えば温度差で5℃程度以上変化していれば、大幅な負荷変動があったと判断できる。
【0062】
制御を開始して2回目以降の場合、即ち、すでにサイクル対応制御を行っている場合で、ST25の比較で前回の周波数と新周波数との差がbHz例えば10Hz程度以下の場合には、前回の運転状態と状況はそれほど変化していないことになる。このときには、ST41〜ST43で、冷凍サイクルの状態をくずさないで、負荷の大きい負荷側ユニットにできる限り多くの能力を供給するための負荷対応制御を行っており、言い換えれば複数の負荷側熱交換器への冷媒流量を、負荷側ユニットそれぞれの負荷の大きさに応じて調整する冷媒流量調整手段を構成している。
運転負荷側ユニットA、Bの中で計測負荷を表す温度差コードを他の負荷側ユニットの温度差コードと比較する(ST41)。この比較で、温度差コードの差が予め定めた所定値、例えば5より小さい場合は、運転負荷側ユニットの負荷状態が同等であると見なして、現在の膨張弁の開度を維持する(ST42)。
ST41の比較で、温度差コードの差が予め定めた所定値、例えば5以上の場合は、温度差コードが大きい運転負荷側ユニットに連通している膨張弁の開度をaパルス、例えば数パルスを大きくして(ST43)、負荷の大きい負荷側ユニットに流通する冷媒流量を増加している。
【0063】
負荷対応制御による膨張弁の開度の調整は、各温度差コードの差がある所定値(例えば5)よりも小さくなるまで行われ、所定値内になった場合には、ST42でそのときの膨張弁の開度が維持される。
このように、負荷対応制御を行うことで、各負荷側ユニットA、Bの負荷の大きさに応じて膨張弁4a、4bを微調整し、負荷の大きい負荷側ユニットへの冷媒流量を増加して、できる限り多くの能力を供給することができる。
特にこの微調整の際の膨張弁4a、4bの増加量は所定量であり、冷媒流量を変化させすぎることのないように予め設定されたものである。このため、確実に冷凍サイクルの安定性を保つことができる。
【0064】
次に、図3は本実施の形態に係わる具体的な制御の様子を示すタイムチャート図である。
例えば負荷側ユニットA、Bを以下のように設定する。
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、温度差コード15(負荷大)
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、温度差コード7(負荷小)
ST41の比較で用いる温度差コードの所定値を5とする。式(4)での計測全負荷状態値が0.5であった場合、表1から圧縮機1の周波数が60Hzとなり、さらに表2から全膨張弁開度は150パルスとなる。
サイクル対応制御(ST31、ST32)により、膨張弁開度の比は式(5)に基づいて容量コードの比から求める。このとき用いる容量コードは、各負荷側ユニットA、Bの実際の容量(2.0kW ;4.0kW )に熱交換効率などを考慮して定めたものであり、この値で冷媒分流比を決定している。
即ち、膨張弁4a開度:膨張弁4b開度=2:3=60パルス:90パルスに設定して、制御タイミングt1まで運転する。t1で温度差コードの差が5以上開いているので、温度差コードが大きい方の膨張弁4aの開度をa1パルス例えば3パルス開け、膨張弁4a開度=63パルスとして補正し(ST43)、t2まで運転する。このとき、膨張弁4b開度は90パルスとした。制御タイミングt2でも温度差コードの差が5以上開いているので、温度差コードが大きい方の膨張弁4aの開度をa2パルス例えば1パルス開け、膨張弁4a開度=64パルスとして補正し(ST43)、t3まで運転する。このとき、膨張弁4aの開度の増分を温度差コードの差に応じて選択している。
以降、同様の制御を制御タイミングごとに行い、一定時間後のt4で、
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、温度差コード12(負荷大)
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、温度差コード9(負荷小)
となった場合、温度差コード差は所定値である5より小さくなり、現在の膨張弁開度、即ち膨張弁4a開度を65パルス、膨張弁4b開度を90パルスに維持する。
上記の冷媒制御手順は、負荷側ユニットA、Bのどちらも運転している場合には冷房運転と暖房運転で同じである。
【0065】
本実施の形態において、負荷側ユニットA、Bのどちらかが停止している場合の冷媒制御手順について説明する。
負荷側制御装置14aの動作は上記と同一であり、負荷側制御装置14bの動作は、停止の信号が熱源側制御装置13に送信される。熱源側制御装置13の動作では、サイクル対応制御において、冷房運転時は停止負荷側ユニットに連通する膨張弁を全閉として停止負荷側ユニットに冷媒を流通させず、暖房運転時は停止負荷側ユニットに連通する膨張弁をある程度開けて停止負荷側ユニットに余分な冷媒を流通させる。
【0066】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bを以下のように設定する。
負荷側ユニットA:運転中、容量=2.0kW 、容量コード=2
負荷側ユニットB:停止、 容量=4.0kW 、容量コード=3
ST22、ST23で求めた圧縮機1の周波数からST31で全膨張弁開度=150パルスと算出された場合、
Figure 0004071388
に設定する。暖房運転時に停止負荷側ユニットBの膨張弁4bの開度として設定した50パルスは、予め停止負荷側ユニットに対して設定されている膨張弁開度の初期値である。この初期値は、小さすぎると停止側熱交換器5bに冷媒が溜まりすぎて冷凍サイクル側の冷媒流量が不足するので、冷凍サイクルに冷媒流量が不足しない程度のある程度大きい値を予め設定している。
【0067】
サイクル対応制御の後の負荷対応制御では、上記の具体例では運転負荷側ユニットがAで1台であり、行われないが、例えば負荷側ユニットが3台で構成され、そのうちの1台が停止、他の2台が運転の場合には、その運転負荷側ユニットにおける温度差コードに基づいてST41〜ST43で負荷対応制御を行う。
【0068】
なお、図2に示した制御手順のうちの負荷対応制御で、温度差コードの大きい方の膨張弁の開度を増加した場合、他の膨張弁の開度をそのパルス分閉じるような制御を行ってもよい。図4はこの時の負荷対応制御の手順を示すフローチャートである。ST43で、例えば温度差コードが大きい方の膨張弁4aをaパルス開けてその開度を増加した場合、ST44で温度差コードが小さい方の膨張弁4bをaパルス閉めてその開度を減少する。このような制御を行うと、補正前の全膨張弁の合計開度と補正後の全膨張弁の合計開度とを同一にすること、または補正前の全膨張弁の合計開口面積と補正後の全膨張弁の合計開口面積とを同一にして、膨張弁全体の開口面積Sallを一定に保つことができる。即ち、膨張弁4a、4bの微調整による冷媒流量の変化の前後で、それぞれの膨張弁4a、4bを流通する冷媒流量の総量が同等になるので、膨張弁開度の変化に伴う冷凍サイクル状態の急変を確実に回避し、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、さらに安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できる。
ただし、温度差コードが小さい方の膨張弁4bをaパルス閉めてその開度を減少しようとしても、膨張弁の開度の調整幅が予め決まっており、その最小開度以下になってしまう場合には、可能な分だけ閉めればよい。このときは、膨張弁全体の開口面積Sallを一定に保たなくても、膨張弁全体の開口面積Sallの変化を緩和し、冷凍サイクルの安定運転をある程度確保する効果はある。
【0069】
以上のように、本実施の形態によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法および制御装置では、最初に所定範囲内の冷媒分流比率を設定して、それに応じた膨張弁開度を設定するサイクル対応制御を行った後、各室ごとの負荷のばらつきを考慮して各膨張弁開度を徐々に補正する負荷対応制御を追加して行っている。このため、従来の制御方法のように極端な分流比率で設定されることはなく、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルを実現できる。さらに、分配する冷媒流量を微調整して、負荷側ユニットの負荷に応じた能力を供給することが可能になる。
【0070】
実施の形態2.
本実施の形態では、実施の形態1と同様のマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法において、その制御の一部である負荷対応制御手順の他の例を示す。
図5は本実施の形態に係わる負荷対応制御手順を示すフローチャートである。ST41で運転負荷側ユニットの中で計測負荷を表す温度差コードを他の運転負荷側ユニットの温度差コードと比較する。比較した結果、その差がある所定値(例えば5)以上の場合は、温度差コードが大きい、即ち運転負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を所定量だけ増加する。この所定量の設定において、ST45で温度差コードが大きい運転負荷側ユニットの容量値を少し大きく見積もるために、冷媒分流比を計算する時の容量値を容量値qと容量補正値Cの積算したものとし、この容量補正値Cの初期値Ct0を1.0とする。そして容量補正値Cとして例えばCt0に1.1を乗じて制御タイミングt1での容量補正値Ct1(=1.1)とし、この容量値Ct1・qを用いて冷媒分流比を計算すると、温度差コードが大きい負荷側ユニットの容量値を大きく見積もることができ、これに連通している膨張弁の開度を増加できる。またこの冷媒分流比を用いることにより、自動的に温度差コードが小さい負荷側ユニットに連通している膨張弁の開度を減少できる。
【0071】
膨張弁の開度を変更して一定時間後に、各温度差コードの差がある所定値(例えば5)より小さくなった場合は、ST42で現在の開度を維持し、負荷対応制御を終了する。ST41でまだ各温度差コードの差がある所定値(例えば5)以上の場合は、ST45で、容量補正値Cとして例えばCt1に1.1を乗じて制御タイミングt2での容量補正値Ct2(=1.2)として温度差コードの大きい方の容量値をさらに大きく見積もる。そしてこの容量値Ct2・qを用いて冷媒分流比を計算して膨張弁の開度を変更する。このような負荷対応制御を各温度差コードの差が所定値(例えば5)より小さくなるまで繰り返し、温度差コードが大きい運転負荷側ユニットに連通している膨張弁の容量補正値をさらに補正する。このとき、温度差コードが小さい運転負荷側ユニットに連通している膨張弁の容量補正値は1.0である。
【0072】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bが以下のように設定された冷凍サイクル装置に対し、図5に示した手順で負荷対応制御を行った場合のタイムチャート図を図6に示す。
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、温度差コード15(負荷大)
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、温度差コード7(負荷小)
温度差コード所定値=5、全膨張弁開度=150パルスの場合、t0ではサイクル対応制御が行われ、膨張弁開度の比を容量コード比から求める。この時の容量補正値CはCt0=1.0である。従って、
膨張弁4a開度:膨張弁4b開度=2:3=60パルス:90パルス
となり、この開度で設定される。制御タイミングt1における温度差コードの差の比較(ST41)で、温度差コードの差が5以上開いているので、温度差コードが大きい負荷側ユニットの容量値の容量補正値Ct1をCt0×1.1=1.1として膨張弁4a、4bの開度を計算する(ST45)と、
膨張弁4a開度:膨張弁4b開度
=2・C:3=2.2:3=63パルス:87パルス
となる。以降、同様の制御を制御タイミングごとに行った後、制御タイミングt4で、
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、温度差コード12(負荷大)
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、温度差コード9(負荷小)
となった場合、温度差コード差は5よりも小さいので、現在の開度(膨張弁4aの開度=66パルス、膨張弁4bの開度=84パルス)を維持する(ST42)。
ここで、ST41〜ST45は、複数の負荷側熱交換器への冷媒流量を、負荷側ユニットそれぞれの負荷の大きさに応じて調整する冷媒流量調整手段を構成している。
【0073】
このように、本実施の形態によっても、負荷側ユニットの容量比に基づく冷媒分流比率で冷媒流量を分配してサイクル対応制御を行い、まず冷凍サイクルを安定して運転させる。その後、各室ごとの負荷のばらつきを考慮して各膨張弁開度を徐々に補正する負荷対応制御を追加して行っている。このため、極端な分流比率の設定により、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがくずれて冷凍サイクルが不安定な状態に陥り、能力不足や能力供給の不安定化、ひいては制御不能による圧縮機の故障などを引き起こすことを回避することを優先させながら、負荷の大きい負荷側ユニットにできる限り多くの能力を供給することが可能になる。
特に、本実施の形態の負荷対応制御において、負荷の大きい負荷側ユニットの容量を徐々に補正していくので、極端な分流比率が設定されることはない。
【0074】
なお、実施の形態1、2において運転負荷ユニットが3台以上ある場合には、ST41〜ST45に示した負荷対応制御は複数の負荷側ユニットのすべてについて行ってもよいし、温度差コードが最大の負荷側ユニットと最小の負荷側ユニットを選択してその2つに関して行ってもよい。どちらにしても、負荷のアンバランスを解消する方向に補正でき、冷凍サイクルを安定した状態に保ちながら、負荷の大きい負荷側ユニットにできる限り多くの能力を供給することが可能になる。
【0075】
実施の形態3. 以下、本発明の実施の形態3によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法およに制御装置について説明する。図7は、本実施の形態によるマルチ形冷凍サイクル装置の構成を示す冷媒回路図である。図において、図1と同一符号は同一、または相当部分を示す。また、15a、15bは負荷側熱交換器5a、5b内を流通する冷媒が常時二相状態であると考えられる位置の管壁に設置する負荷側熱交換器管温センサー、16a、16bはガス管温センサー、17a、17bは液管温センサー、25a、25bは負荷側熱交換器管温センサー15a、15bと負荷側制御装置14a、14bを結ぶ信号線、26a、26bはガス管温センサー16a、16bと熱源側制御装置13を結ぶ信号線、27a、27bは液管温センサー17a、17bと熱源側制御装置13を結ぶ信号線である。
本実施の形態は、負荷側熱交換器管温センサー15a、15bで二相冷媒、ガス管温センサー16a、16bでガス冷媒、液管温センサー17a、17bで液冷媒の温度を検知し、熱源側制御装置13での冷媒の分流の制御に用いることを特徴とする。
【0076】
冷房運転および暖房運転における冷媒流通の動作については実施の形態1と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0077】
以下、複数の負荷側ユニットA、Bで冷房運転する場合の冷媒制御手順について説明する。図8はこの手順を示すフローチャートである。
負荷側ユニットA、Bにおいては、ST1a、ST1bに示すように、負荷側制御装置14a、14bがセンサーより各信号を受信し、次に受信項目を使用して計算した後、受信項目および計算項目の中で必要なものを熱源側制御装置13に送信する。具体的な内容を以下に示す。なお、これらはリモートコントローラ11a、11bから設定温コードが発せられた場合に制御を開始し、リモートコントローラ11a、11bから停止コードを送信されるまで、一定時間間隔、例えば3分おきに繰り返すものとする。
【0078】
・受信項目
(1)リモートコントローラ12a、12bから送信される設定温コード
負荷側ユニットA、Bが設置されている室内で、使用者が指示する設定温度を予め定めた対応コード番号に置き換えたもの。具体的な設定温度の値を受信してもよい。
(2)室温センサー11a、11bから送信される室温
(3)負荷側熱交換器管温センサー15a、15bから送信される負荷側熱交換器の管温
【0079】
・計算項目
(1)設定温度
受信した設定温コードを具体的な温度値に置き換える。
(2)温度差コード
前述の設定温度と受信した室温の差を算出する。
冷房運転時 Δ室温=室温−設定温度
暖房運転時 Δ室温=設定温度−室温
算出したΔ室温の値を予め定めたコード番号に置き換える。
【0080】
・送信項目
(1)温度差コードCa、Cb
(2)予め記憶してある負荷側ユニットの容量値qa、qb
(3)負荷側熱交換器管温Ta、Tb
【0081】
熱源側制御装置13においては、ST21で負荷側ユニット1台以上から信号が送信された場合、ST22〜ST43に示す制御を行う。まず熱源側制御装置13がセンサーより各信号を受信し、次に受信項目を使用して適正な冷媒分配のための各膨張弁4a、4bの開度を計算した後、各膨張弁4a、4bへ信号を送信して開度を設定または補正する。ST21で負荷側ユニットの1台からも信号が送信されていない場合には、処理を終了する(END)。以下、ST22〜ST43における具体的な内容を以下に示す。
【0082】
・受信項目
(1)各運転負荷側ユニットの温度差コードCa、Cb
(2)各運転負荷側ユニットの容量qa、qb
(3)各運転負荷側ユニットの熱交換器管温Ta、Tb
(4)ガス管温センサー16a、16bから送信されるガス管温
【0083】
・計算項目
(1)基準圧縮機周波数Hz
受信した各温度差コードCa、Cbと各容量qa、qbから計測の負荷状態を表す値を式(4)によって算出する(ST22)。次に負荷状態に見合った冷凍サイクル全体の冷媒流量を推定し、それに基づいて圧縮機周波数を求める(ST23)。具体例として、表1に示した計測全負荷状態値に対する圧縮機周波数を予め定めた対応表function1を用いて圧縮機周波数を求める。
この表で求めた圧縮機周波数を、外気温度や冷凍サイクル状態を考慮して補正してもよい。
(2)負荷側熱交換器出口の目標過熱度
冷媒流量に応じてST34で目標過熱度を設定する。具体例として圧縮機周波数に対応する目標過熱度を予め定めた対応表function3を表3に示す。目標過熱度=function3(圧縮機周波数)とする。
【0084】
【表3】
Figure 0004071388
【0085】
(3)負荷側熱交換器出口の計測過熱度
受信したガス管温センサー16a、16bから送信されるガス管温と、運転負荷側ユニットの熱交換器の管温Ta、Tbから計測過熱度を計算する(ST35)。
(4)各膨張弁開度値
制御を開始して初回の場合、ST33では各膨張弁の開度を初期設定して起動運転を2分程度行う。この時の初期設定では、例えば実施の形態1のように上記で推定した全体の冷媒流量を各負荷側ユニットA、Bの容量比で設定する。
この起動運転による運転負荷側熱交換器出口の計測過熱度を計算し、ST36では運転負荷側熱交換器出口の計測過熱度と目標過熱度の差に応じて、その差をなくすように運転負荷側ユニットに連通する膨張弁の開度の変更幅を決定する。ここで、ST34〜ST36で冷媒流量分配手段を構成している。
膨張弁の開度の変更幅の具体例として、計測過熱度と目標過熱度の差から膨張弁開度変更量を予め定めた対応表function4を表4に示す。
【0086】
【表4】
Figure 0004071388
【0087】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bが以下のように設定された冷凍サイクル装置に対し、図8に示した手順でサイクル対応制御を行った場合について説明する
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、温度差コード15(負荷大)、
計測過熱度5[deg]
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、温度差コード7(負荷小)
計測過熱度8[deg]
圧縮機周波数=60[Hz]
初期設定された膨張弁4aの開度を60パルス、膨張弁4bの開度を90パルスとした場合、
表3より目標過熱度=1[deg]であるので、
負荷側ユニットAのΔ過熱度=8−1=7[deg]越過
負荷側ユニットBのΔ過熱度=5−1=4[deg]越過
となり、表4より膨張弁4aの開度変更量=+5パルス、膨張弁4bの開度変更量=+5パルスとする。従って、膨張弁4a開度=65パルス、膨張弁4b開度=95パルスとなる。
【0088】
・送信項目
(1)圧縮機モータ駆動部へ新圧縮機周波数
(2)各膨張弁の新開度値
以上が冷房運転時の冷媒分配のサイクル対応制御である。
【0089】
このサイクル対応制御では、運転中の過熱度を検出して制御を行っており、その冷凍サイクルに最適な分流比率に設定され、従来の制御方法のような極端な分流比率が設定されることはない。従って、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがくずれて冷凍サイクルが不安定な状態に陥り、能力不足や能力供給の不安定化、ひいては制御不能による圧縮機の故障などを引き起こすことは回避されている。
【0090】
熱源側制御装置13は、制御を開始して所定の制御タイミング、例えば3分間隔で動作するのであるが、2回目以降の場合、即ち、すでにサイクル対応制御を行った場合は目標過熱度はすでに設定されているので、ST26で計測の実過熱度を計算する。ここで計算した実過熱度と目標過熱度との差がD[deg]以上、例えば10℃以上の場合、運転中に何らかの原因、例えば曇っていた状態から室内に陽が差し込み、室温が急に上がったりした場合などが考えられる。この状態の場合には、再びST34〜ST36でサイクル対応制御を行い、圧縮機1の周波数および膨張弁4a、4bの開度Sa、Sbを設定しなおす。
即ち、少なくとも1つ以上の負荷側ユニットに大幅な負荷変動があった場合には、現行の冷媒流量の分配ではなく、その変動した負荷に合うように冷媒流量を分配し直す。このため、大幅な負荷変動があった場合に時間的に早く適正な冷媒流量に達することのできるように分配でき、即ち応答性よく円滑に冷凍サイクルを安定させることができる。
【0091】
制御を開始して2回目以降の場合、即ち、すでにサイクル対応制御を行った場合で、ST27の比較で目標過熱度と実過熱度との差がD[deg]以下、例えば10deg以下の場合には、前回の運転状態と状況はそれほど変化していないことになる。このときには、ST41〜ST43で、負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて、できる限り負荷の大きい負荷側ユニットにより多くの能力を供給するための負荷対応制御を行う。
運転負荷側ユニットA、Bの中で計測負荷を表す温度差コードを他の負荷側ユニットの温度差コードと比較する(ST41)。この比較で、温度差コードの差が予め定めた所定値、例えば5より小さい場合は、運転負荷側ユニットの負荷状態が同等であると見なして、現在の膨張弁の開度を維持する(ST42)。
ST41の比較で、温度差コードの差が予め定めた所定値、例えば5以上の場合は、温度差コードが大きい運転負荷側ユニットに連通している膨張弁の開度をaパルス、例えば数パルス開ける(ST43)。
この後、膨張弁全体の開口面積を一定に保つため、他の膨張弁開度をそのパルス分閉じる制御を行ってもよい。
ここで、ST41〜ST43は、運転負荷側熱交換器への冷媒流量を、負荷側ユニットそれぞれの負荷の大きさに応じて調整する冷媒流量調整手段を構成している。
【0092】
負荷対応制御による膨張弁の開度の調整は、各温度差コードの差がある所定値(例えば5)よりも小さくなるまで行われ、所定値内になった場合には、ST42でそのときの膨張弁の開度が維持される。
このように、負荷対応制御を行うことで、負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整し、できる限り負荷の大きい負荷側ユニットにより多くの能力を供給することができる。
【0093】
次に、暖房運転時の冷媒制御手順について説明する。
負荷側制御装置14においては冷房運転時と同一なので説明を省略する。また、熱源側制御装置13における処理も、暖房運転では負荷側熱交換器出口の冷媒の過熱度によって膨張弁の開度を変更しているが、冷房運転では負荷側熱交換器出口の冷媒の過冷却度によって膨張弁の開度を変更している以外は暖房運転と同様である。即ち、受信項目として、ガス管温センサー16a、16bから送信されるガス管温のかわりに液管温センサー17a、17bから送信される液管温とする。また、計算項目として、負荷側熱交換器出口の目標過熱度と計測過熱度のかわりに負荷側熱交換器出口の目標過冷却度と計測過冷却度を計算する。
この負荷側熱交換器出口の目標過熱度は、冷媒流量に応じて目標過冷却度を設定するものであり、具体例として圧縮機周波数に対応する目標過冷却度を予め定めた対応表function5を表5に示す。目標過冷却度=function5(圧縮機周波数)とする。
また、負荷側熱交換器出口の計測過冷却度は、受信した液管センサー17a、17bから送信される液温と、運転負荷側ユニットの熱交換器の管温Ta、Tbから計測過冷却度を計算する。
そして、各膨張弁4a、4bの開度値は、運転負荷側熱交換器出口の計測過冷却度と目標過冷却度の差に応じて運転負荷側ユニットに連通する膨張弁の開度の変更幅を決定する。具体例として計測過冷却度と目標過冷却度の差から膨張弁開度変更量を予め定めた対応表function6を表6に示す。
【0094】
【表5】
Figure 0004071388
【0095】
【表6】
Figure 0004071388
【0096】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bが以下のように設定された冷凍サイクル装置に対し、図8に示した手順でサイクル対応制御を行った場合について説明する。
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、温度差コード15(負荷大)、
計測過冷却度5[deg]
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、温度差コード7(負荷小)、
過冷却度8[deg]
圧縮機周波数=60[Hz]
初期設定された膨張弁4aの開度を60パルス、膨張弁4bの開度を90パルスとした場合、
表5より目標過冷却度=10[deg]であるので、
負荷側ユニットAのΔ過冷却度=8−10=−2[deg]越過
負荷側ユニットBのΔ過冷却度=5−10=−5[deg]越過
となり、表6より膨張弁4aの開度変更量=−3パルス、膨張弁4bの開度変更量=−5パルスとする。従って、膨張弁4a開度=57パルス、膨張弁4b開度85パルスとなる。
【0097】
ここで得た以下の値を各機器へ送信する。
(1)圧縮機モータ駆動部へ新圧縮機周波数
(2)各膨張弁へ新膨張弁開度値
以上が暖房運転時の冷媒分配のサイクル対応制御である。
また、暖房運転時の負荷対応制御も同様であり、ST27において、実過冷却度と目標過冷却度との差がD[deg]以下の場合に、温度差コードを比較してその差が所定値(例えば5)以上の場合には温度差コードが大きい方の膨張弁をaパルス(例えば3パルス)開けて微調整する(ST43)。
【0098】
以上により、本実施の形態によるマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法を適用すれば、冷房運転時は各負荷側ユニットの出口過冷却度、暖房運転時は各負荷側ユニットの出口過熱度において、目標値と計測値の差をなくす方向で各膨張弁開度を設定するサイクル対応制御を行った後、各室ごとの負荷のばらつきを考慮して各膨張弁開度を徐々に補正する負荷対応制御を追加して行っている。このため、従来の制御方法のように極端な分流比率で設定されることはなく、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルを実現できる。さらに、分配する冷媒流量を微調整して、負荷側ユニットの負荷に応じた能力を供給することが可能になる。
【0099】
なお、実施の形態3における図7ではガス管温センサー16、液管温センサー17を熱源側ユニットに搭載したが、図9に示すように、ガス管温センサー16、液管温センサー17を負荷側ユニットに搭載した冷凍サイクル装置としてもよい。この場合、検出するガス管温と液管温の値は負荷側制御装置14a、14bに送信され、冷房運転時は負荷側熱交換器5a、5bの出口過熱度=ガス管温−負荷側熱交換器管温、暖房運転時は負荷側熱交換器5a、5bの出口過冷却度=負荷側熱交換器管温―液管温の計算を行い、熱源側制御装置13に送信する。その他の構成および制御については、実施の形態3と同様なので説明を省略する。このように構成すれば、ガス管温センサー16または液管温センサー17を負荷側熱交換器5a、5bの出口に近いところに配設することになり、冷媒回路における圧力損失を少なくでき、制御の信頼性を向上することができる。
【0100】
実施の形態4.
本実施の形態では、実施の形態3と同様のマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法において、その制御の一部である負荷対応制御手順の他の例を示す。
図10は本実施の形態に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法に係わる負荷対応制御手順を示すフローチャートである。ST41で運転負荷側ユニットの中で運転中の負荷を表す温度差コードと他の運転中の負荷側ユニットの温度差コードとを比較する。比較した結果、その差がある所定値(例えば5)以上の場合は、複数の負荷側ユニットでの負荷にある程度の差があるということであり、運転中の負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する。即ち、ST46で温度差コードが大きい運転負荷側ユニットの負荷側熱交換器出口の目標過熱度または目標過冷却度を予め定めた対応表により所定の値だけ小さくする。そしてST47で計測過熱度または計測過冷却度と目標過熱度または目標過冷却度との差から、表4または表6を用いて膨張弁の変化量を設定する。ここで目標過熱度または目標過冷却度を所定の値だけ小さくすることにより、大きな負荷に対応できるようになる。目標過熱度または目標過冷却度を変更して一定時間後に、各温度差コードの差がある所定値(例えば5)よりも小さくなった場合は、ST42で現在の開度を維持する。ST41でまだ各温度差コードの差がある所定値(例えば5)以上の場合は、負荷対応制御を行い、ST46で温度差コードが大きい運転負荷側ユニットに連通している目標過熱度または目標過冷却度をさらに小さくする。ここで、過熱度による制御は冷房運転の場合であり、過冷却度による制御は暖房運転の場合である。
【0101】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bが以下のように設定された冷凍サイクル装置の暖房運転に対し、図10に示した手順で負荷対応制御を行った場合のタイムチャート図を図11に示す。
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、温度差コード15(負荷大)、
計測過冷却度10[deg]
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、温度差コード7(負荷小)、
計測過冷却度10[deg]
温度差コードの所定値=5、圧縮機周波数=60Hz、目標過冷却度=10[deg]、起動運転で初期設定された膨張弁4a開度=60パルス、膨張弁4b開度=90パルスの場合、t1制御タイミングでは目標過冷却度と計測過冷却度の値は同じなので、冷凍サイクルは安定して運転されていることになり、サイクル対応制御での開閉弁の開度の増減は行わない。ところがST41で温度差コードの差が5以上開いているのでこの場合負荷対応制御を行う。
【0102】
温度差コードが大きいユニットAの目標過冷却度を例えば10→8[deg]のように小さくする。負荷側ユニットAのΔ過冷却度=+2[deg]越過となり、表6より膨張弁4aの開度は+3パルス開ける方向に制御される。即ち、膨張弁4a開度を63パルスとし、膨張弁4b開度を90パルスとする。t2制御タイミングでは、計測過冷却度と目標過冷却度との差は1(負荷側ユニットA)、2(負荷側ユニットB)、温度差コードの差は5となる。従って、ST46では目標過熱度を更に2deg小さくして6[deg]とし、ST47で膨張弁4a開度を表6より+4パルスとし、膨張弁4b開度を表6より−2パルスとするように制御信号を信号を送信する。即ち、膨張弁4a開度を67パルスとし、膨張弁4b開度を88パルスとする。さらに、t3制御タイミングでは、計測過冷却度と目標過冷却度との差は2(負荷側ユニットA)、0(負荷側ユニットB)、温度差コードの差は3となる。温度差コードの差が所定値(例えば5)よりも小さくなったので、運転中の負荷の大きさに応じた冷媒流量の微調整は終了したとして、膨張弁4aの開度を67パルス、膨張弁4bの開度を88パルスで維持すればよい。
【0103】
このように、本実施の形態によっても、負荷側ユニットの容量比に基づく冷媒分流比率で冷媒流量を分配してサイクル対応制御を行い、まず冷凍サイクルを安定させている。その後、各室ごとの負荷のばらつきを考慮して各膨張弁開度を徐々に補正する負荷対応制御を追加して行う。このため、極端な分流比率の設定により、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがくずれて冷凍サイクルが不安定な状態に陥り、能力不足や能力供給の不安定化、ひいては制御不能による圧縮機の故障などを引き起こすことを回避することを優先させながら、できる限り負荷の大きい負荷側ユニットにより多くの能力を供給することが可能になる。
特に、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する際、負荷の大きい負荷側熱交換器の目標過熱度または目標過冷却度を現行の目標値より小さい値に変更し、計測過熱度または計測過冷却度と変更した目標値との差をなくすように前記流量調整手段を微調整して、負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させるというように、負荷の大きい負荷側ユニットの冷媒流量を徐々に補正していくので、負荷ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整できる。
【0104】
なお、実施の形態1、実施の形態2では、システム対応制御の初期設定において、また実施の形態3、実施の形態4では、起動時において、運転する負荷側ユニットの負荷側熱交換器の容量比に基づいて、各負荷側熱交換器に流通する冷媒流量の分流比率を設定したが、予め経験に基づいた分流比率で設定してもよい。また、おおまかに1:2や1:1というように適当な所定の分流比率で設定し、運転中に過熱度や過冷却度などによって運転状況を見ながら制御して、徐々に最適な冷媒流量で運転するようにしてもよい。
【0105】
また、実施の形態1〜実施の形態4の負荷対応制御において、膨張弁4a、4bの開度を徐々に変更して、冷媒流量を負荷の大きさに応じて微調整しているが、この時、膨張弁4a、4bの変更によって変化する冷媒量を所定範囲とするように制限してもよい。例えば膨張弁の開度で言えば、1制御タイミングでの変化量を±8パルスとする。このように1回の微調整における膨張弁の変化量を所定の範囲内として制限を設けることで冷媒流量の変化量が制限されるので、システム対応制御を重視して冷凍サイクルの動作を優先させることができ、負荷対応制御で極端な冷媒の分流比率になるのを防止できる。このため、各負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が急変するのを確実に防止でき、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できる。
【0106】
実施の形態5.
以下、本発明の実施の形態5によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法について説明する。図12は、センサーの設置位置の違いによって計測される過熱度の違いを示す説明図である。冷媒回路の冷媒温度延長配管や配管曲げにより、負荷側熱交換器管温センサー15の設置位置とガス管温センサー16の設置位置との間を流通する冷媒の圧力損失が大きい場合、計測過熱度と真の過熱度との差が大きくなり、膨張弁開度を開閉逆方向に誤制御することが生じる。
【0107】
例えば、使用冷媒をR22、冷房運転、負荷側熱交換器管温センサー15の設置位置の冷媒圧力を0.7Paと仮定した場合、0.2Pa減圧すると冷媒飽和温度は約10℃低下する。
図に示すように、負荷側熱交換器管温センサー15での管温が0.7Paの飽和温度10.3℃であるとする。熱交換器出口温度が14.3℃であれば真の出口過熱度は4degである。一方、ガス管温センサー16での管温は0.2Paの圧力損失の分だけ温度が下がるので約4.3℃になり、計測過熱度は−6.0degとなる。
【0108】
目標過熱度を0degと置いた場合、真の過熱度>目標過熱度なので、この負荷側ユニットに連通している膨張弁は開ける方向で制御されるのが正しい制御方向である。しかし熱源側制御装置13では、ガス管温センサー16による値から検出するので、計測過熱度<目標過熱度となり、膨張弁を閉める方向に制御する。その結果、真の過熱度はさらに増加してしまい、負荷側熱交換器の熱交換性能の低下、冷房能力の低下をはじめ、圧縮機の故障など信頼性の低下につながる可能性が十分にある。
【0109】
一方、真の過熱度を4degにしたいならば、この場合目標過熱度を−6.0degとおくべきである。そこで膨張弁開度の開閉方向の誤制御を回避するために、各負荷側ユニットに接続しているガス配管における冷媒圧力損失を推定して、目標過熱度をガス管温センサー16の設置位置での過熱度に換算し、圧力損失値に見合った目標過熱度を適宜設定するための制御を導入する。
【0110】
複数の負荷側ユニットを運転する場合、冷房運転の場合は目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転の場合は目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように膨張弁の開度を制御して負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を制御して冷凍サイクルの安定を保持している。そこで、各膨張弁開度の比が所定範囲を越えた場合は、目標過熱度が適正ではない負荷側ユニットが存在していると判断する。これまでの所定の時間、例えば5制御タイミング程度での膨張弁開度の変化において変化量が最も大きい膨張弁に連通する負荷側ユニットの目標値が適正ではないと判断できる。そこで、その負荷側ユニットの目標値を、目標値と計測値との差が小さくなる方向、即ち計測値に近づくように変更する。また、冷凍サイクルの目標値、この場合は目標過熱度は図13のように3レベル用意し、それぞれ圧縮機周波数の値によって決定される。このようにして変更した目標値を用いて冷凍サイクルの通常の過熱度または過冷却度を用いた制御を行う。このとき、膨張弁の開度比(4b/4a)の所定範囲を例えば1.2〜1.8とする。
【0111】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bが以下のように設定された冷凍サイクル装置に対し、目標値を変更する処理手順を示すフローチャートを図14に示す。この処理は実施の形態3の図8の処理に組込まれてもよい。また、本実施の形態による手順で圧力損失に対応する制御を行った場合のタイムチャート図を図15に示す。ここで1制御タイミングを例えば2分としている。
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、
計測過熱度−10[deg]
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、
計測過熱度−2[deg]
また、膨張弁4a、4bの開度の初期値は、例えば容量コードの比で設定しているので、膨張弁4a開度を100パルス、膨張弁4b開度を150パルスとする。また、負荷状態から設定した圧縮機周波数は100Hz、圧縮機周波数に対応して設定する目標過熱度は0[deg](レベル1)である。
さらに、ここでは冷凍サイクルの安定判定のために吐出温度の範囲を65℃〜80℃(100Hz時)に設定する。
t1制御タイミングで、負荷側ユニットAにおいては、計測過熱度−目標過熱度=−10である。ST27の判断では計測過熱度−目標過熱度と所定値Dとを比較するのであるが、D=3(deg)としているためST28の処置を行い、で膨張弁4a、4bの開度の比を計算して所定範囲(この場合には1.2〜1.8)かどうかを判断する。t1では比の値は147/95=1.55で、目標値は変更せずに他の冷媒制御で表4より膨張弁4aの開度を5パルス閉める。一方、負荷側ユニットBにおいては、計測過熱度−目標過熱度=−2なので、表4より膨張弁4aの開度を3パルス閉める。
以上のサイクル対応制御を吐出温度および膨張弁の開度比をチェックしながら行う。
【0112】
t5制御タイミングで、次に示す状態になったとする。
負荷側ユニットA:計測過熱度−4[deg]
負荷側ユニットB:計測過熱度0.5[deg]
膨張弁4a開度=80パルス、開度変化量=20パルス/4回
膨張弁4b開度=146、開度変化量=4パルス/4回
膨張弁の開度比(146/80=1.825)は所定範囲(例えば1.2〜1.8)を越えてしまうので、ST29で目標過熱度の変更処理を行う。
この場合、膨張弁開度の変化の度合いが大きい膨張弁4a側、つまり負荷側ユニットAの目標過熱度が適正ではないと判断し、目標値をレベル1からレベル2へ変更する。即ち、負荷側ユニットAの目標過熱度を0[deg]から−4[deg]へ変更する。膨張弁4aの開度はt5制御タイミングでの計測過熱度と目標過熱度との差0であるため、変更しない。ここで膨張弁解度の変化の度合いが大きいとは、16パルス以上/4回の変化量があった場合としている。
【0113】
負荷側ユニットAの目標過熱度を−4degに変更した後、t6制御タイミングでは、計測過熱度−目標過熱度=1なので、表4より膨張弁4aの開度を1パルス開けることになり、膨張弁の開度比(146/81=1.80)に低下する。
【0114】
このST28、ST29による目標値変更の処理手順は、ST27での判断がNOの場合、即ち目標値と計測値との差がD(例えば3deg)より大きいの時の処理であり、t6制御タイミング以降は目標値と計測値との差がD(例えば3deg)以下になっているので、他の冷媒制御例えば表4に基づいて膨張弁の開度を調整する制御を行っている。
【0115】
このように、膨張弁4a、4bの開度の比が所定範囲例えば1.2〜1.8に入っていない場合に、膨張弁開度の変化の度合いが16パルス/4回以上である膨張弁4a側、つまり負荷側ユニットAの目標過熱度が適正ではないと判断し、変更している。その際、目標過熱度計測過熱度との差が小さくなる方向に変更している。これにより、現行の冷凍サイクルの状態に応じて圧力損失を考慮した目標値が設定され、圧力損失によって計測値が実際の値を示していない場合でも、負荷側熱交換器への冷媒流量を適正に分配することができ、信頼性の向上を図ることができる。
運転負荷ユニットが3台以上存在する場合には、複数の膨張弁のうちで最大の冷媒流量となっている膨張弁と最小の冷媒流量となっている膨張弁との比で判断すればよい。
【0116】
なお、本実施の形態に係わる目標値の変更では、圧縮機周波数をパラメータとした3レベルの目標加熱度を予め設定しておき、運転状況が適正になるように目標値のいずれを使用するかを選択している。この予め圧力損失を考慮した目標値は、上記のように3レベルに限ることなくもっと多くてもよいし、また2レベルでもよい。ただし、多くの目標値を用意しておくことにより、運転状況に適した安定した冷凍サイクルを実現できる一方、制御手順が多くなり制御が煩雑になる。
【0117】
また、ST28の判断では膨張弁開度の比、即ち冷媒流量の比が所定の設定範囲を越えたかどうか判断したが、他の手法によって判断してもよい。例えば、過熱度または過冷却度の計測値と目標値の差が所定値を越えて大きい場合、目標値が適正ではない負荷側ユニットが存在していると判断してもよい。ただし、この時の所定値はD(例えば3deg)よりも大きい値、例えば8degを設定し、計測値と目標値の差がこの所定値を越えた場合には、その負荷側ユニットに対する目標値が適正ではないと判断してもよい。そして、目標値と計測値との差を小さくするように例えば図13に基づいて変更し、変更した目標値を用いて冷凍サイクルの通常の過熱度または過冷却度を用いた制御を行う。この場合には、例えば図15の状態ではt1制御タイミングで負荷側ユニットAの計測値と目標値の差(10deg)がこの所定値(例えば8deg)を越えているので、レベル1からレベル2として目標値を変更する制御となる。
【0118】
以上のように、本実施の形態では、圧力損失の影響を想定した目標過熱度または目標過冷却度を設定できるので、計測位置での目標過熱度または目標過冷却度を設定でき、誤制御を防止し、信頼性の高い制御を行うことができる。
【0119】
実施の形態6. 本発明の実施の形態6によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法について説明する。図16は、本実施の形態によるマルチ形冷凍サイクル装置の構成を示す冷媒回路図である。図7の構成のものからガス管温センサー16a、16bと信号線26a、26bを除いた構成である。
本実施の形態は、特に複数の負荷側ユニットを有するマルチ形冷凍サイクル装置で停止負荷側ユニットと運転負荷側ユニットとが混在する場合の暖房運転において、運転サイクル中の冷媒量が適正かどうかを一定時間毎に判断し、不適正な場合は停止負荷側熱交換器に連通する膨張弁の開度を適宜補正する制御に関し、ここではこの制御のことを冷媒量適正化制御と称している。
運転サイクル中の冷媒流量が適正かどうかは、運転負荷側ユニットの凝縮器出口の過冷却度が予め定めた所定の適正範囲であるときにその冷媒流量が適正であると判断する。そして適正範囲より大きいもしくは小さい場合は、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度が不適切なために回路全体の冷媒分布が不適切になっていると判断し、停止負荷側熱交換器に連通する膨張弁開度を増加若しくは減少させる。今、図16に示す構成の負荷側ユニットA、Bで、負荷側ユニットAは運転、負荷側ユニットBは停止とする。
【0120】
以下、本実施の形態によるマルチ形冷凍サイクル装置について、詳しく説明するが、停止負荷側ユニットが存在する場合の暖房運転の冷媒流通の動作については実施の形態1と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0121】
停止負荷側ユニットが存在する場合の暖房運転の制御手順について、図17に基づいて説明する。
運転負荷側制御装置14aで受信、計算、送信する項目はST1aに示すように実施の形態3の暖房運転と同様であるが、停止負荷側制御装置14bからの受信情報はない。
熱源側制御装置13では、運転負荷側ユニットAの設定温コードCaと容量qaと管温Taを受信する。ST51の判断で暖房運転でかつ停止負荷側ユニットがあるかどうか判断する。冷房運転または停止負荷側ユニットがない場合には本実施の形態による冷媒量適正化制御は行なわないので、他の冷媒制御を行う。ST51の判断で、暖房運転でかつ停止負荷側ユニットがある場合には、温度差コードCaと容量qaから負荷状態を式(4)によって計算し(ST52)、負荷状態に対応した圧縮機の周波数を表1のfunction1で設定し(ST53)、運転負荷側熱交換器5aの管温Taと液管温センサー17aで計測した管温から過冷却度を算出する(ST54)。
【0122】
さらに、ST55で運転負荷側熱交換器の過冷却度の適正範囲を算出する。この過冷却度の適正範囲は推定冷媒循環量や負荷状態に応じて設定される。具体例としては、表7に示すように、圧縮機の周波数に対応して過冷却度の適正範囲を表でfunction7として記憶しておき、この対応表に基づいて過冷却度の適正範囲を設定する。ここで用いる圧縮機の周波数は、ST53で推定冷媒循環量や負荷状態に応じてfunction1(表1)によって算出されたものである。
【0123】
【表7】
Figure 0004071388
【0124】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bが以下のように設定された冷凍サイクル装置では、過冷却度の適正範囲は次のようになる。
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、温度差コード15(負荷大)、
過冷却度0[deg]
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、停止
圧縮機周波数=60Hz
圧縮機周波数60Hzに対応して、表5より目標過冷却度を10[deg]に設定し、表7より、過冷却度の適正範囲を4〜14[deg]に設定する。
【0125】
次に、運転負荷側熱交換器5aの出口の計測過冷却度が適正範囲内かどうかをST56で判断し、この過冷却度の適正範囲内の場合には、冷媒量適正化制御は行わないで、現在の停止負荷側ユニットに連通する膨張弁4bの開度は変更せずに維持する(ST57)。
ST56の判断で、運転負荷側熱交換器5aの出口の計測過冷却度が適正範囲よりも大きいもしくは小さい場合、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度が不適切なために回路全体の冷媒分布が不適切になっていると判断する。例えば運転負荷側熱交換器5aの出口過冷却度が過冷却度の適正範囲よりも小さくなった場合は、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁開度が小さ過ぎたため停止負荷側ユニットに滞留する冷媒量が多すぎた結果、運転サイクル中の冷媒量が不足気味になっていると判断する。一方、運転負荷側熱交換器の出口過冷却度が適正範囲よりも大きくなった場合は、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度が大き過ぎたため停止負荷側ユニットに滞留する冷媒量が少な過ぎた結果、運転サイクル中の冷媒量が過剰気味になっていると判断する。
いずれの場合も冷媒分布適正化のために、運転負荷側ユニットの出口過冷却度が過冷却度の適正範囲内に収まる方向に停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度を変更する。
【0126】
一定時間後、運転負荷側ユニットの出口過冷却度が適正範囲内に収まった場合は、回路全体の冷媒分布が適切な状態に戻ったと判断し、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度を維持し(ST57)、冷媒量適正化制御を終了する。一方、運転負荷側ユニットの出口過冷却度が適正範囲内に収まらない場合は、まだ回路全体の冷媒分布が不適切になっていると判断し、さらに冷媒量適正化制御を続行する。この時、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁の開度をさらにST51〜ST60を繰り返す。
【0127】
従来は、停止負荷側熱交換器に冷媒が溜まってきたら、一時的に膨張弁の開度を大きくして、溜まった冷媒を運転サイクル側に戻し、膨張弁の開度はもとに戻すという処理を定期的に繰り返して行なっていた。
これに対し本実施の形態では、冷媒量適正化制御後も停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度を制御前の開度に戻さないでその開度を維持し、補正後の冷媒分布が適正な状態を保持し続ける。このため、停止負荷側ユニットの膨張弁開度が不適切なため回路全体の冷媒分布が不適切になった場合に、冷媒分布を適切化すると同時に停止負荷側ユニットに連通している膨張弁の開度を補正する冷媒量適正化制御を行うことで、従来の溜まった冷媒を戻すという処理を行う回数を減らすことができ、冷凍サイクルの安定化をはかることができる。
【0128】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bが以下のように設定された冷凍サイクル装置では、冷媒量適正化制御は次のようになり、そのタイムチャート図を図18に示す。ここで1制御タイミングを2分程度とする。
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、
計測過冷却度0[deg]、膨張弁4a開度100パルス
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、
停止、膨張弁4b開度50パルス
過冷却度の適正範囲=4〜14deg
t1制御タイミングで、負荷側ユニットAの計測過冷却度は0degであり過冷却度の適正範囲外なので、停止負荷側ユニットBに連通している膨張弁4bの開度をその時の開度より5パルス開ける。即ち、膨張弁4aの開度は100パルスのままで、膨張弁4bは開度は50パルスから55パルスに変更する。
一定時間後、t2制御タイミングでは、運転負荷側ユニットAの計測過冷却度は4[deg]になり過冷却度の適正範囲内であるので、停止負荷側ユニットBに連通している膨張弁4bの開度は55パルスの状態を維持する。
【0129】
以上により、本実施の形態で示した冷媒制御方法を適用すれば、停止負荷側ユニットと運転負荷側ユニットが混在する暖房運転中に、運転負荷側ユニットの熱交換器出口の過冷却度を所定間隔で検知し、計測過冷却度が予め定めた過冷却度の適正範囲にない場合は、過冷却度の適正範囲内に収まるように膨張弁開度を変更して、停止負荷側熱交換器に流通させる冷媒流量を制御する。このため、停止負荷側熱交換器に流通させる冷媒流量を適正にすることができ、即ち、運転サイクル側の回路を流通する冷媒流量を適正にすることができ、安定した冷凍サイクルの運転を行うことができる。
【0130】
また、冷媒量適正化制御後も停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度を制御前の開度に戻さないことで、補正後の冷媒分布が適正な状態を保持し続ける。このため、停止負荷側ユニットの膨張弁開度が不適切なため回路全体の冷媒分布が不適切になった場合に、冷媒分布を適正化すると同時に停止負荷側ユニットに連通している膨張弁の開度を補正し、冷媒量適正化制御を行う回数を減らし冷凍サイクルの安定化をはかることができる。特に、従来のように停止負荷側熱交換器に溜まり込んだ冷媒を運転サイクルに戻す処理が必要なく、または、必要であってもその処理間隔を長くすることができる。
【0131】
実施の形態7. 本発明の実施の形態7によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法について説明する。図19は、本実施の形態によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法を示すフローチャートである。本実施の形態も実施の形態6と同様、停止負荷側ユニットが存在する場合の暖房運転における冷媒量適正化制御に関するものであり、その冷媒回路構成および冷媒流通の動作については実施の形態1と同様なので説明を省略する。
【0132】
以下、図19に基づいて、停止負荷側ユニットが存在する場合の暖房運転の冷媒量適正化制御の手順について説明する。
停止負荷側ユニットが存在する場合の暖房運転では、サイクル対応制御で膨張弁の開度を設定する際、停止負荷側熱交換器に連通する膨張弁の開度として初期値(例えば50パルス)を与え、所定の冷媒流量を流通させて運転を開始する。本実施の形態に係わる冷媒量適正化制御処理は、例えば実施の形態1における負荷対応制御などによって運転状態を見ながら運転負荷側ユニットに連通する膨張弁の開度を徐々に補正して冷媒流量を制御する際、誤った方向に補正しないように保護するものである。図19に示した冷媒量適正化制御の手順は、熱源側制御装置13で行なう処理であり、膨張弁の補正すべき開度を決定した後に行なわれる。即ち、図2ではST32およびST42およびST43の後に行なわれる処理である。
【0133】
ST61で暖房運転でかつ停止負荷側ユニットがあるかどうか判断する。冷房運転または停止負荷側ユニットがない場合には本実施の形態による冷媒量適正化制御は行なわないので、他の冷媒制御を行なう。ST61の判断で、暖房運転でかつ停止負荷側ユニットがある場合には、ST52で負荷状態を算出し、ST53で圧縮機の周波数を例えば表1(function1)を用いて算出する。ST52、ST53に関しては、実施の形態6と同様である。また、本実施の形態による冷媒量適正化制御では、大きな負荷変動があった場合に対する制御ではなく、良好な冷凍サイクル運転を行なっているものに対し、さらに停止負荷側熱交換器に流通させる冷媒流量を適正化しようとするものである。このため、ST62で数回の制御タイミングでST53で算出した圧縮機周波数の最大値と最少値の差が所定値以上、例えば5Hz以上あった時には、本実施の形態における制御の対象ではないので、他の冷媒制御を行なう。
【0134】
次に、ST63で運転負荷側ユニットに連通する膨張弁開度が数回、例えば5回即ち5制御タイミング以上連続で開方向または閉方向に変更しているかどうかを判断する。開閉いずれかの一方向に所定回数以上変更していない場合には、冷媒量適正化制御しない(ST64)。即ち、現在の停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度は現在の開度を維持し、運転負荷側ユニットAに連通する膨張弁4aの開度は負荷対応制御のとおりとして送信する。そして、ST65で運転負荷側ユニットAに連通する膨張弁4aの開度の補正開閉方向を記憶し、カウントアップする。
【0135】
ST63、ST66の判断で、運転負荷側ユニットAに連通する膨張弁4aの開度を連続で所定回数以上、開方向に変更している場合は、ST67で停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度をaパルス、例えば5パルス開けて開度を増加する。また、ST63、ST66の判断で、運転負荷側ユニットAに連通する膨張弁4aの開度を連続で所定回数以上、閉方向に変更している場合は、ST68で停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度をaパルス、例えば5パルス閉めて開度を減少する。ST67、ST68の後、ST69で所定回数の判断で用いるカウンタをクリアする。この冷媒量適正化制御は運転負荷側ユニットに連通する膨張弁開度が連続的に開閉いずれか一方向に変更されることがなくなるまで続ける。
【0136】
運転負荷側ユニットAに連通する膨張弁4aが数回連続で開方向に制御される現象は、停止負荷側ユニットBに冷媒が溜まりこみ過ぎた結果、運転冷媒回路内の冷媒量が不足して圧縮機1の吐出温が上昇するために、吐出温を下げようとして起こると考えられ、早急に冷媒を運転冷媒回路中に放出する必要がある。
この考え方に基づいて、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bを数パルス開けると、停止負荷側ユニットBに溜り過ぎていた冷媒を運転冷媒回路中に放出でき、運転に必要な冷媒量の適正化をはかることができる。
【0137】
一方、運転負荷側ユニットAに連通する膨張弁4aの開度が数回連続で閉方向に制御される現象は、運転冷媒回路中の冷媒量過多により、圧縮機1の吐出温が下降するために、吐出温を上げようとして起こると考えられ、早急に冷媒を停止負荷側ユニットBに回収する必要がある。
この考え方に基づいて、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bを数パルス閉めると、運転冷媒回路中の余剰冷媒を停止負荷側ユニットBに回収して運転に必要な冷媒量の適正化をはかることができる。
【0138】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bが以下のように設定された冷凍サイクル装置に対し、図19に示した手順で冷媒量適正化制御を行った場合のタイムチャート図を図20に示す。ここで、1制御タイミングは例えば2分とする。
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、温度差コード15、
膨張弁4aの開度の初期値=100パルス
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、停止、
膨張弁4bの開度の初期値=50パルス
負荷対応制御で、膨張弁4aの開度が以下のように変更されるとする。
負荷対応制御回数 0 1 2 3 4 5
膨張弁4aの開度 100 101 102 105 108 111
膨張弁4aは、開方向に5回連続で変更されたので制御タイミングt6でST67の処理を行なう。即ち、停止負荷側ユニットBに連通している膨張弁4bの開度をそのときの開度より5パルス開けるので、膨張弁4bの開度は50パルスから55パルスに変更される。
【0139】
その後、膨張弁4aの開度変更が以下のようになったとする。
負荷対応制御回数 0 1 2 3 4 5
膨張弁4aの開度 111 114 115 116 117 116
5回連続で開き方向に変更されていないので、停止負荷側ユニットに連通している膨張弁開度はこの状態で維持する。
【0140】
本実施の形態による冷媒制御方法を適用すれば、停止負荷側ユニットと運転負荷側ユニットが混在する暖房運転中に、運転負荷側ユニットに連通する膨張弁開度がある所定時間内に開閉のどちらか一方向だけに連続的に変化している場合は、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度が不適切なために、連続的に冷媒流量を増加または減少させようとしており、冷媒分布が不適切になっていると判断する。そして、まず停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度を運転負荷側ユニットの膨張弁開度の変更方向に補正する。補正して一定時間後、運転負荷側ユニットの膨張弁開度の変更方向が逆になった場合は、回路全体の冷媒分布が適切な状態に戻ったと判断し、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度をその状態で維持し、冷媒量適正化制御を終了する。一方、補正して一定時間を過ぎてもまだ運転負荷側ユニットの膨張弁開度の変更方向が逆にならない場合は、まだ回路全体の冷媒分布が不適切になっていると判断し、さらに冷媒量適正化制御を続行する。この時、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁の開度をさらに補正することもある。
【0141】
また、冷媒量適正化制御後も停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度を制御前の開度に戻さないことで、補正後の冷媒分布が適正な状態を保持し続ける。
【0142】
以上により、停止負荷側ユニットの膨張弁開度が不適切なため回路全体の冷媒分布が不適切になった場合に、冷媒分布を適切化すると同時に停止負荷側ユニットに連通している膨張弁の開度を補正する冷媒量の適正化を行うことができる。このため、従来、定期的に停止負荷側熱交換器に溜まり込んだ冷媒を運転側に戻す処理を行っていたが、この冷媒を戻す処理を行う回数を減らすまたはなくすことができ、冷凍サイクルの安定化をはかることができる。
【0143】
実施の形態8. 本発明の実施の形態8によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法について説明する。図21は、本実施の形態によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法を示すフローチャートである。本実施の形態も停止負荷側ユニットが存在する場合の暖房運転における冷媒の制御に関するものであり、例えば冷凍サイクル装置の冷媒回路構成および冷媒流通の動作については実施の形態1とし、負荷側ユニットAを暖房運転し、負荷側ユニットBを停止とする。
【0144】
以下、図21に基づいて、停止負荷側ユニットが存在する場合の熱源側制御装置13で行なう暖房運転の冷媒制御の手順について説明する。
ST71で暖房運転でかつ停止負荷側ユニットがあるかどうか判断する。冷房運転または停止負荷側ユニットがない場合には本実施の形態による冷媒制御は行なわないので、他の冷媒制御処理を行なう。ST71の判断で、暖房運転でかつ停止負荷側ユニットがある場合には、ST72で運転負荷側ユニットAに連通する膨張弁4aの開度は別の処理によって例えば200パルスに設定されているとし、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度を予め定めたある開度であるEパルス、例えば52パルスに初期設定する(ST72)。
冷媒量適正化制御の始めには、まず停止負荷側ユニットB内に冷媒が滞留しないで冷凍サイクルの冷媒量が不足することを確実に回避できるように、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度をある程度大きく設定する必要があるため、ここでは例えば52パルスに設定している。
【0145】
ST72で停止負荷側熱交換器5bに連通する膨張弁4bの開度を設定した後、ST73で一定時間、例えば5分程度起動運転を行なう。起動後一定時間が経過したら、熱源側熱交換器管温センサー10で熱源側熱交換器の管温を計測する(ST74)。熱源側熱交換器の管温とは、冷媒の蒸発温度と同等でありこれをTe0とする。次に、ST75で停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度をaパルス、例えば5パルスだけ絞る方向に変更し、一定時間、例えば10分程度経過後(ST76)、再び熱源側熱交換器管温センサー10で熱源側熱交換器の管温を計測して、これをTe1とする(ST77)。
ST78で膨張弁4bの開度を変更する前の蒸発温度(Te0)と後の蒸発温度(Te1)とを比較する。蒸発温度の変化の度合い(|Te1−Te0|)がG℃、例えば0.5℃程度以上の場合は、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度が不適切なために冷媒分布が不適切になっていると判断する。
【0146】
負荷変動がほとんどないのに蒸発温度が大きく低下している場合は、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度の絞り過ぎにより、停止負荷側ユニットに冷媒が溜まり過ぎ、運転サイクル側の冷媒量が不足していると判断し、ST79で停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度を開度変更前の開度、またはその1つ前の開度に修正する。そしてST80で蒸発温度が急激に低下する前の状態に戻ったことを確認する。これにより、停止負荷側ユニットBに溜り過ぎていた冷媒を運転冷媒回路中に放出して運転に必要な冷媒量の適正化をはかる。
一方、開度変更前後で熱源側熱交換器管温即ち蒸発温度の変化の度合いがある所定値(例えば0.5℃)を越えない場合、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁開度が適切なために冷媒分布は適切であると判断し、その開度を維持するか、あるいはST82でこれを次の開度変更前の状態とするためにTe1をTe0に設定し、その蒸発温度と開度を記憶してST76に戻り、さらに膨張弁4bを5パルス閉めて膨張弁4bを流通する冷媒流量を少なくする。これにより、この時運転サイクルに流通する冷媒流量は減少する。
【0147】
具体例として、例えば負荷側ユニットA、Bが以下のように設定された冷凍サイクル装置に対し、図21に示した手順で冷媒量適正化制御を行った場合のタイムチャート図を図22に示す。
負荷側ユニットA:容量=2.0kW 、容量コード2、運転、
膨張弁4aの開度の初期値=200パルス
負荷側ユニットB:容量=4.0kW 、容量コード3、停止、
膨張弁4bの開度の初期値=52パルス
各膨張弁4a、4bの開度に設定して起動運転を行い(ST72、ST73)、起動後5分経過した場合に、膨張弁4bの開度をaパルス例えば5パルス閉める(ST76)。即ち、膨張弁4bの開度を52パルスから47パルスに変更する。
【0148】
この運転で、熱源側熱交換器センサーで計測した管温の変化が例えば以下のようになったとする。
Figure 0004071388
この10分間の管温の低下は0.3℃であり、例えば1℃以上/10分のように管温が極端に低下していないとみなし、10分後(制御タイミング=t6)にさらに5パルス閉める(ST76)。即ち、膨張弁4bの開度を47パルスから42パルスに変更する。
【0149】
膨張弁4bの開度を変更後、熱源側熱交換器センサーで計測した管温の変化が例えば以下のようになったとする。
Figure 0004071388
この10分間の管温の低下は1.9℃であり、1℃以上/10分であり極端に低下している。このため、停止負荷側ユニットB内に滞留している冷媒量が過多であると判断し、膨張弁4bの開度を5パルス元に戻す(ST80)。即ち、膨張弁4bの開度を42パルスから47パルスに戻し、戻した後はしばらく様子を見る。
【0150】
膨張弁4bの開度を戻した後、熱源側熱交換器センサーで計測した管温の変化が例えば以下のようになったとする。
Figure 0004071388
8分後に管温の値が安定したこと、およびその値(=4.1)が極端な低下がはじまる前の値(=4.2)に近いので、停止負荷側ユニットBに連通する膨張弁4bの開度(47パルス)は適正とみなし、この状態を維持する。
【0151】
蒸発温度の変化と膨張弁開度、即ち停止負荷側熱交換器に流通する冷媒流量との関係は、次のように判断できる。
膨張弁4bの開度を変更した後、一定時間中に熱源側熱交換器管温から検出する蒸発温度の変化の度合いが、例えば0.5以下である場合は、運転サイクルの冷媒回路全体の冷媒分布は適正であると判断する。そして、一定時間後に膨張弁開度をさらに閉じる方向に変更し、さらに適正である状態を探す。
一方、蒸発温度の変化の度合いが例えば0.5以下ではなく急激に変化する場合は、運転サイクルの冷媒回路全体の冷媒分布は不適切であると判断する。このとき蒸発温度が低下している場合には、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度を閉め過ぎたため、停止負荷側熱交換器に滞留する冷媒量が多すぎて運転ユニットの冷媒量が不足し、回路全体の冷媒分布が不適切になっている。また、蒸発温度が上昇している場合には、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度を開け過ぎたため、停止負荷側ユニットに滞留する冷媒量は少なすぎて運転サイクル中の冷媒量が多すぎ、回路全体の冷媒分布が不適切になっている。
【0152】
そこで、本実施の形態による制御方法では、まず、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁を予め大きめの開度とし、運転サイクルに冷媒量が少なすぎるのを防止した状態で運転してみる。そして徐々に開度を閉じる方向に変化させて停止負荷側熱交換器5bに徐々に冷媒が滞留してくる。ある時点で膨張弁開度を閉め過ぎる状態となり、回路全体の冷媒分布が不適切になる。この時の蒸発温度は急激に低下するため、所定値(例えば0.5)を越えて低下した時にこれを検出して急激に低下する前の開度に戻す。この処理により、回路全体の冷媒分布を最適な状態とすることができる。
その場合、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度を、蒸発温度が急激に低下した制御タイミングの1つ前、または2つ前の開度に補正する。補正後一定時間経過して、蒸発温度の変化の度合いが設定範囲内に収まった場合は、回路全体の冷媒分布が適切な状態に戻ったと判断し、停止負荷側ユニットに連通する膨張弁開度をその状態で維持し、冷媒量適正化制御を終了する。一方、補正後一定時間経過しても蒸発温度の変化の度合いが設定範囲内に収まらない場合は、停止負荷側ユニットに連通している膨張弁開度をさらに開度変更1つ前の開度に戻す。
【0153】
以上のように、本実施の形態では、暖房運転で停止負荷側熱交換器に適正量の冷媒を流通させて回路全体の冷媒分布を適正に設定でき、冷凍サイクルの安定化を図ることができる。
特に、蒸発温度を検出しながら停止負荷側ユニットに連通する膨張弁の開度を調節することで、暖房運転で停止負荷側ユニットに連通する膨張弁の開度を運転サイクル状態に合わせて設定できるので、回路全体の冷媒分布が適切になるように設定でき、冷凍サイクルの安定化をはかることができる。
【0154】
実施の形態1〜実施の形態8では、流量調整手段として膨張弁を用い、膨張弁の開度によって冷媒流量を調整しており、説明でも膨張弁開度を開ける、閉めるとしたが、膨張弁開度を開けるとは冷媒流量を多くすることと同等であり、膨張弁開度を閉めるとは冷媒流量を少なくすることと同等である。また、流量調整手段は、膨張弁でなくても他の冷媒流量を調整し得るものを用いてもよい。
【0155】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、複数の前記負荷側ユニットを運転する場合、まずそれぞれの前記流量調整手段を調整して運転する複数の前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が所定の分流比率になるようにした後、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて前記流量調整手段を微調整して、負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させることにより、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0156】
また、本発明によれば、運転中の冷凍サイクル装置において、少なくとも1つ以上の負荷側ユニットで所定値を越える負荷変動が生じたとき、運転する前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が所定の分流比率になるようにすることを特徴とすることにより、負荷変動に応答性よく対応でき、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0157】
また、本発明によれば、運転する複数の負荷側熱交換器に流通する冷媒流量の分流比率を、それぞれの前記負荷側熱交換器の容量比に基づいて設定することにより、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0158】
また、本発明によれば、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、複数の前記負荷側ユニットを運転する場合、冷房運転では目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転では目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように、それぞれの前記流量調整手段を調整して前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を設定した後、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて前記流量調整手段を微調整して、負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させることにより、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0159】
また、本発明によれば、運転中の冷凍サイクル装置において、少なくとも1つ以上の負荷側ユニットで所定値を越える負荷変動が生じたとき、変動後の冷凍サイクルにおいて冷房運転の場合は目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転の場合は目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように流量調整手段を調整して、運転する前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を変更することにより、負荷変動に応答性よく対応でき、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0160】
また、本発明によれば、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する際、負荷の大きい負荷側熱交換器の目標過熱度または目標過冷却度を現行の目標値より小さい値に変更し、計測過熱度または計測過冷却度と変更した前記目標値との差をなくすように前記流量調整手段を微調整して、前記負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させることにより、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0161】
また、本発明によれば、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する際、1回の微調整における前記冷媒流量の変化量を所定範囲内としたことにより、各負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が急変するのを確実に防止でき、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0162】
また、本発明によれば、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する際、負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を所定量だけ増加させることにより、各負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が急変するのを確実に防止でき、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0163】
また、本発明によれば、各負荷側ユニットの負荷の大きさに応じて冷媒流量を微調整する際、負荷の大きい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させるとともに、変更前後でそれぞれの流量調整手段を流通する冷媒流量の総量が同等になるように負荷の小さい負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を減少させることにより、各負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が急変するのを確実に防止でき、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、さらに安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクルの制御方法が得られる。
【0164】
また、本発明によれば、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、複数の前記負荷側ユニットを運転する場合、前記流量調整手段を調整して冷房運転の場合は目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転の場合は目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように各前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整し、そのときの過熱度または過冷却度の計測値と目標値の差が所定値を越えて大きい場合、その差が小さくなるように前記目標値を変更した後、前記流量調整手段を調整して、計測値と変更した前記目標値との差がなくなるように冷媒流量を変更することにより、圧力損失によって計測値が実際の値を示していない場合でも、各負荷側熱交換器への冷媒流量を適正に調整することができるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0165】
また、本発明によれば、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、複数の前記負荷側ユニットを運転する場合、前記流量調整手段を調整して冷房運転の場合は目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転の場合は目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように、各前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整し、そのときの前記負荷側熱交換器のそれぞれに流通する冷媒流量のうちで最大の冷媒流量と最小の冷媒流量との比が所定の範囲を越えた場合、これまでの所定時間での冷媒流量の変化量が多かった前記負荷側ユニットについて、前記目標値を変更した後、前記流量調整手段を調整して計測値と変更した前記目標値との差がなくなるようにその冷媒流量を変更することにより、圧力損失によって計測値が実際の値を示していない場合でも、各負荷側熱交換器への冷媒流量を適正に調整することができるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法が得られる。
【0166】
また、本発明によれば、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットに連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、暖房運転を行う場合に停止負荷側ユニットが存在する場合、運転負荷側ユニットの計測過冷却度が所定の適正範囲より大きくもしくは小さくなったときは、計測過冷却度が前記適正範囲に収まるように停止負荷側熱交換器に連通する前記流量調整手段を調整してその冷媒流量を増加もしくは減少させ、前記運転負荷側ユニットの計測過冷却度が前記適正範囲内に収まったときに前記停止負荷側熱交換器に流通する冷媒流量をその状態で維持することにより、暖房運転で停止負荷側熱交換器に適正量の冷媒を流通させて、冷凍サイクルの安定化を図ることのできるマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法が得られる。
【0167】
また、本発明によれば、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットに連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、暖房運転を行う場合に停止負荷側ユニットが存在する場合、運転負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が、所定時間内で増加または減少のどちらか一方向だけに連続的に変化したとき、停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を、前記運転負荷側熱交換器に流通する冷媒流量の変化方向と同一方向に変化させ、前記運転負荷側熱交換器に流通する冷媒流量が一方向だけに連続的に変化する状態を脱したときに前記停止負荷側熱交換器に流通する冷媒流量をその状態で維持することにより、暖房運転で停止負荷側熱交換器に適正量の冷媒を流通させて回路全体の冷媒分布を適正に設定でき、冷凍サイクルの安定化を図ることのできるマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法が得られる。
【0168】
また、本発明によれば、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットに連通し前記負荷側ユニットに流通する冷媒流量を調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置において、暖房運転を行う場合に停止負荷側ユニットが存在する場合、起動時に前記停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を、運転負荷側ユニットに流通する冷媒流量が不足しないように予め定めた値に初期設定し、所定時間が経過後、前記停止負荷側熱交換器に連通する前記流量調整手段を調整して前記運転負荷側ユニットに流通する冷媒流量を徐々に減少させ、熱源側ユニット内の熱源側熱交換器の管温が所定値を越えて低下したときに、前記停止負荷側熱交換器に連通する前記流量調整手段を前記管温が低下する前に戻してその状態で維持することにより、暖房運転で停止負荷側熱交換器に適正量の冷媒を流通させて回路全体の冷媒分布を適正に設定でき、冷凍サイクルの安定化を図ることのできるマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法が得られる。
【0169】
また、本発明によれば、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量をそれぞれ前記負荷側熱交換器の容量に基いて分配する冷媒流量分配手段と、複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量を前記負荷側ユニットそれぞれの負荷の大きさに応じて調整する冷媒流量調整手段とを備え、少なくとも1つ以上の前記負荷側ユニットで大幅な負荷変動が生じたときに、前記冷媒流量分配手段にて複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量を分配することにより、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、負荷変動に応答性よく対応でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御装置が得られる。
【0170】
また、本発明によれば、圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、冷房運転では目標過熱度と計測過熱度との差を、暖房運転では目標過冷却度と計測過冷却度との差をなくすように、前記負荷側ユニットの負荷側熱交換器のそれぞれに冷媒流量を分配する冷媒流量分配手段と、複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量を前記負荷側ユニットそれぞれの負荷の大きさに応じて調整する冷媒流量調整手段とを備え、少なくとも1つ以上の前記負荷側ユニットで大幅な負荷変動が生じたときに、前記冷媒流量分配手段にて複数の前記負荷側熱交換器への冷媒流量を分配することにより、負荷側ユニットの空気側熱交換性能と冷媒側熱交換性能のバランスがよく、安定して運転できる冷凍サイクルが実現でき、負荷変動に応答性よく対応でき、かつ、できる限り負荷に応じた能力を供給するように冷媒を分配できるマルチ形冷凍サイクル装置の制御装置が得られる。
【0171】
また、本発明によれば、負荷側ユニットの設定温度と計測温度との温度差が所定値を越えたことで、前記負荷側ユニットで大幅な負荷変動が生じたことを検出することにより、負荷変動に応答性よく対応でき、安定して運転できる冷凍サイクル装置の制御装置が得られる。
【0172】
また、本発明によれば、圧縮機の周波数の変化量が所定値を越えたことで、負荷側ユニットで大幅な負荷変動が生じたことを検出することにより、負荷変動に応答性よく対応でき、安定して運転できる冷凍サイクル装置の制御装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の構成を示す冷媒回路図である。
【図2】 実施の形態1によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】 実施の形態1による制御方法のタイムチャート図である。
【図4】 実施の形態1による他の制御方法の処理を示すフローチャートである。
【図5】 本発明の実施の形態2に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の構成を示す冷媒回路図である。
【図6】 実施の形態2によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法に係わり、負荷対応制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】 本発明の実施の形態3に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の構成を示す冷媒回路図である。
【図8】 実施の形態3によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】 実施の形態3によるマルチ形冷凍サイクル装置の他の構成を示す冷媒回路図である。
【図10】 本発明の実施の形態4によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法に係わり、負荷対応制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】 実施の形態4によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法のタイムチャート図である。
【図12】 本発明の実施の形態5に係わり、センサーの設置位置の違いによって計測される過熱度の違いを示す説明図である。
【図13】 実施の形態5に係わり、圧縮機周波数に対する目標過熱度の設定の変化を示すグラフである。
【図14】 実施の形態5によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法に係わり、圧力損失を考慮した目標値変更の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】 実施の形態5による制御方法のタイムチャート図である。
【図16】 本発明の実施の形態6に係わるマルチ形冷凍サイクル装置の構成を示す冷媒回路図である。
【図17】 実施の形態6によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】 実施の形態6による制御方法のタイムチャート図である。
【図19】 本発明の実施の形態7によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】 実施の形態7による制御方法のタイムチャート図である。
【図21】 本発明の実施の形態8によるマルチ形冷凍サイクル装置の制御方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図22】 実施の形態8による制御方法のタイムチャート図である。
【図23】 従来のマルチ形冷凍サイクル装置の構成を示す冷媒回路図である。
【図24】 従来のマルチ形冷凍サイクル装置の他の構成を示す冷媒回路図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、2 流路切換手段、3 熱源側熱交換器、4a、4b 流量調整手段、5a、5b 負荷側熱交換器、10 熱源側熱交換器管温センサー、11a、11b 室温検知センサー、13 熱源側制御装置、14a、14b 負荷側制御装置、20〜24 制御信号線、X 熱源側ユニット、A、B 負荷側ユニット。

Claims (10)

  1. 圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を弁開度増減により調整する複数の流量調整手段とを備えるマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法であって
    当該冷凍サイクル全体の負荷に見合った前記複数の流量調整手段の合計開度を決定し、この合計開度を前記複数の負荷側ユニットの容量比で分配して前記各流量調整手段の開度を初期定すサイクル対応制御を行うステップと、
    前記サイクル対応制御を行ってから所定の間隔で前記複数の負荷側ユニットにあって計測温度と設定温度の温度差が大きい負荷側ユニットの負荷側熱交換器連通する流量調整手段の開度を補正して、前記計測温度と設定温度の温度差が大きい負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を徐々に増加させる負荷対応制御を行うステップと、
    前記サイクル対応制御を行った以降で、少なくとも1つ以上の前記負荷側ユニットに大幅な負荷変動が生じた時には、前記サイクル対応制御を再び行い、前記各流量調整手段の開度を設定し直すステップと、
    を備えことを特徴とするマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法。
  2. 前記サイクル対応制御にて、当該冷凍サイクル全体の負荷に見合った前記圧縮機の周波数を求め、この圧縮機の周波数に基づいて前記複数の流量調整手段の合計開度を決定することを特徴とする請求項1記載のマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法。
  3. 前記サイクル対応制御にて、前記圧縮機の周波数に基づいて前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器の目標過熱度もしくは目標過冷却度を設定し、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器の計測過熱度もしくは計測過冷却度と前記目標過熱度もしくは目標過冷却度の差に応じて、前記合計開度を前記複数の負荷側ユニットの容量比で分配して設定された前記各流量調整手段の開度を変更することを特徴とする請求項2記載のマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法。
  4. 前記圧縮機の前回の周波数と新周波数との差が所定値以下である場合、もしくは前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器の計測過熱度もしくは計測過冷却度と前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器の目標過熱度もしくは目標過冷却度の差が所定値以下である場合に前記負荷対応制御を行うことを特徴とする請求項記載のマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法。
  5. 前記負荷対応制御にて前記計測温度と設定温度の温度差が大きい負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させる際に、前記計測温度と設定温度の温度差が大きい負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度の増分を、該負荷側ユニットの計測温度と設定温度の温度差に応じて変更することを特徴とする請求項1記載のマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法。
  6. 前記負荷対応制御にて前記計測温度と設定温度の温度差が大きい負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させる際に、前記複数の負荷側ユニットにあって計測温度と設定温度の温度差が小さい負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度を減少させ、前記各流量調整手段の開度の補正前後で、前記複数の流量調整手段全部に流通する冷媒流量を同等にすることを特徴とする請求項記載のマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法。
  7. 前記負荷側ユニットの大幅な負荷変動は、前記圧縮機の前回の周波数と新周波数との差が所定値を超えたことで検出する、もしくは少なくともいずれか1つの前記負荷側ユニットの計測温度と設定温度の温度差が所定値を超えたことで検出することを特徴とする請求項1記載のマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法。
  8. 前記複数の負荷側ユニットにあって止負荷側ユニットと運転負荷側ユニットが混在し、運転負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒が凝縮される暖房運転である場合、前記停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度を予め停止負荷側ユニットに設定されている開度に設定するステップと、
    所定の間隔で検出される前記運転負荷側ユニットの負荷側熱交換器出の計測過冷却度が、前記圧縮機の周波数に基づいて設定された前記運転負荷側ユニットの過冷却度の適正範囲より小さいときは、前記停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度を増加させ前記計測過冷却度が前記過冷却度の適正範囲より大きいときは、前記停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度を減少させるステップと、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法。
  9. 前記複数の負荷側ユニットにあって止負荷側ユニットと運転負荷側ユニットが混在し、運転負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒が凝縮される暖房運転である場合、前記停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度を予め停止負荷側ユニットに設定されている開度に設定するステップと、
    前記運転負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度が開方向に所定回数以上連続して変更しているときは、前記停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度を増加させ、前記運転負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度が閉方向に所定回数以上連続して変更しているときは、前記停止負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度を減少させるステップと、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御方法。
  10. 圧縮機と熱源側熱交換器を有する熱源側ユニットと、それぞれ負荷側熱交換器を有する複数の負荷側ユニットと、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通され前記負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を弁開度の増減により調整する複数の流量調整手段と、当該冷凍サイクル全体の負荷に見合った前記複数の流量調整手段の合計開度を決定し、前記複数の負荷側ユニットの容量比でこの合計開度を分配して前記各流量調整手段の開度を設定し、前記各負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を分配する冷媒流量分配手段と、前記複数の負荷側ユニットにあって計測温度と設定温度の温度差が大きい負荷側ユニットの負荷側熱交換器に連通する流量調整手段の開度を補正して、前記計測温度と設定温度の温度差が大きい負荷側ユニットの負荷側熱交換器に流通する冷媒流量を増加させる冷媒流量調整手段と、を備え、少なくとも1つ以上の前記負荷側ユニット所定値を越える負荷変動が生じた時には、前記冷媒流量分配手段にて前記各流量調整手段の開度を設定し直すことを特徴とするマルチ形冷凍サイクル装置の冷媒制御装置。
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