JP4070392B2 - フッ素系溶媒の調製方法及び装置ならびに精製方法 - Google Patents

フッ素系溶媒の調製方法及び装置ならびに精製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素系溶媒の調製方法及び装置に関し、さらに詳しく述べると、潤滑剤層を表面に備えた各種の機能性要素の製造に有用な精製されたフッ素系溶媒の調製方法及び装置ならびに潤滑剤組成物及び洗浄剤組成物に関する。本発明の潤滑剤組成物は、特に、コンピュータのハードディスク装置等に用いられる磁気ディスク(磁気記録媒体)の磁気記録層や磁気ヘッドを保護するカーボン保護膜に有利に適用することができる。なお、「機能性要素」なる語は、それを本願明細書において使用した場合、磁気ディスク、磁気ヘッドなどの、特に磁気ディスク装置のために設計された要素や、その他の、何らかの機能、働きを示すことのできる潤滑剤層付き要素を指している。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータなどの情報処理装置において、磁気ディスク装置が外部記録装置として広く用いられている。磁気ディスク装置を使用すると、磁気ディスク上で磁気ヘッドを走査して、磁気ディスクにおいて情報の記録や読出を行うことができる。また、最近における高度なニーズ(例えば、高密度記録、高感度、高速度での記録及び読出など)に応えて、磁気ディスクの構造や材料にいろいろな改良が加えられている。
【0003】
ところで、磁気ディスクの高密度記録化などが進むにつれて、そのディスク表面の汚染が深刻な問題を引き起こしている。すなわち、ディスク表面に汚染物質が付着していた場合、磁気ディスク装置の運転中にその汚染物質が周囲に飛散して、例えば磁気ヘッドの腐食等の不具合を引き起こすからである。汚染物質の付着は、多くの原因に由来すると思われるけれども、特に大きな原因は、磁気ディスクの表面に潤滑目的で形成される潤滑剤層にあるものと考察される。潤滑剤層は、例えば、フッ素樹脂系潤滑剤をフッ素系溶媒に溶解して得た潤滑剤組成物をディスク表面に塗布して形成しているが、そのような組成物の調製及び塗布段階などで、周囲環境から微量の汚染物質(多くはイオン性有機物)が組成物中に入り込むからである。汚染された潤滑剤組成物によって引き起こされる上述のような不具合を解消するため、従来、潤滑剤組成物中のイオン性有機物の量をイオンクロマト分析法で定期的に検査し、有機物量が予め定められた規格値を超えた段階で新品の潤滑剤組成物に交換することが行われている。しかし、このように定期的に検査を行い、たびたび新旧の組成物の交換を行うことは、極めて煩雑であり、経費もかかり、また、フッ素系溶媒は非常に高価な化学品であるので、処理に要する経費が高額となる。
【0004】
最近では、多方面でフッ素系溶媒が広く使用されていることに着目して、コストの低減や環境汚染の防止のため、使用済みの潤滑剤組成物を精製し、分離したフッ素系溶媒をリサイクルする動きもでている。しかし、この精製工程は気化熱を始終供給し続けることを要する蒸留操作によって行わなければならないので、省エネルギーの観点から得策とは言えず、蒸留装置の運転に要する経費も高額となる。さらに重要なことには、この精製工程では、フッ素系溶媒中に汚染物質として含まれたイオン性有機物を完全に除去することができず、通常、60ng/ml程度の有機物の残留を甘受しなければならない。
【0005】
また、近年の傾向として、磁気ディスクの摩擦特性を向上させるために、ディスク表面に潤滑剤を塗布した後、ディスク表面をフッ素系溶媒で洗浄し、余分な潤滑剤を洗い流すことがたびたび行われている。この場合、フッ素系溶媒は、洗浄液として繰り返し使用して、汚れが目立ってきた段階で新しいフッ素系溶媒と交換している。しかし、このような洗浄の方法では、フッ素系溶媒の繰り返し使用の回数が増加するとともに、その溶媒中に含まれる汚染物質(潤滑剤、イオン性有機物等)の量が増加するので、洗い流したはずの潤滑剤が再びディスク表面に付着するなどの不具合が発生し、例えば、潤滑剤層の膜厚に不均一な部分が発生してしまう。この問題を解決する手段は、フッ素系溶媒の蒸留によるリサイクルであるけれども、この方法は、上記したように解決されるべき課題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した従来の技術の問題点を解消して、磁気記録媒体等の機能性要素の表面に潤滑剤層を形成するのに有用で、周囲環境へ悪影響を及ぼす汚染物質を無視し得る量しか含有せず、しかも低コストで簡単にリサイクルが可能な潤滑剤組成物の提供に有用な、フッ素系溶媒の調製方法及び装置を提供することにある。
【0007】
本発明の上記した目的及びその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このたび、フッ素系溶媒からそれに含まれる微量の不純物(イオン性有機物)、残余の潤滑剤などの夾雑物を取り除くには、そのフッ素系溶媒を適当な吸着材内を通過させて、その吸着材で夾雑物のみを選択的に捕捉するのが極めて効果的であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、その1つの面において、末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤及びフルオロカーボン系溶媒を含むフッ素系溶液から精製されたフッ素系溶媒を調製する方法であって、
前記フッ素系溶液に含まれるイオン性汚染物質又は前記潤滑剤を含む夾雑物を吸着法によって選択的に除去する吸着工程を含むことを特徴とする精製されたフッ素系溶媒の調製方法にある。
【0010】
また、本発明は、そのもう1つの面において、末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤及びフルオロカーボン系溶媒を含むフッ素系溶液から精製されたフッ素系溶媒を調製する装置であって、
前記フッ素系溶液の流路の途中に、前記フッ素系溶液に含まれるイオン性汚染物質又は潤滑剤を含む夾雑物を捕捉可能な吸着材が充填されている吸着ステーションを装備することを特徴とする精製されたフッ素系溶媒の調製装置にある。
〔作用〕
本発明では、フッ素系溶媒、特にフルオロカーボン系溶媒から、それに含まれる微量の夾雑物(イオン性汚染物質、潤滑剤等の不純物)を除去するに際して、そのフッ素系溶媒の極性が低いことを利用し、微量夾雑物と吸着材との相互作用で、微量の夾雑物を効率よく吸着材に捕捉している。微量の夾雑物が吸着材に捕捉されるメカニズムとしては、本発明者らの推測によると、通常の溶媒中では溶媒の極性自体でかき消されている微量夾雑物の極性が、極性の小さいフッ素系溶媒中では際立ち、そのため、クーロン相互作用により、吸着材に夾雑物が、たとえその量が微量であっても、完全に捕捉されるということが考察される。このようにして微量夾雑物の捕捉が可能であるので、従来の技術では廃液として処理さぜるを得なかった使用済みフッ素系溶液(例えば、磁気記録媒体の製造分野において潤滑剤層の形成に使用されている潤滑剤含有のフッ素系溶液)から、高純度のフッ素系溶媒を簡単な手法で効率よくかつ低コストで回収することができる。
【0011】
ちなみに、従来の技術でも潤滑剤含有のフッ素系溶液のリサイクルなどが検討されているが、リサイクルのターゲットは、潤滑剤の回収及び精製である。例えば、特開平5−20673号公報には、磁気記録媒体で使用するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(液体潤滑剤)をゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)によって精製することが開示されている。すなわち、パーフルオロポリエーテルとクロマトグラフカラムに充填したポリスチレンとの相互作用によって、パーフルオロポリエーテルを分子量によってクロマト分離し、品質不安定成分である低分子量成分及び不純物成分を除去している。しかし、この方法では、本発明で使用している吸着材を使用した時と同等な作用効果を得ることができない。なぜなら、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤とフッ素系溶媒とは化学的構造において相違するばかりでなく、GPC法で潤滑剤の精製を行った場合には、溶出時間が長くなるにつれて、カラムに捕捉されていた潤滑剤等が溶出してしまうので、時間管理及び操作が極めて煩雑となるからである。
【0012】
また、これもパーフルオロポリエーテル系潤滑剤の精製に関するものであるが、特開平10−53781号公報には、シリカゲルあるいはアルミナをカラム充填材として使用したカラムクロマトグラフィによってパーフルオロポリエーテルを高純度に精製する方法が開示されている。しかし、この方法では、シリカゲルあるいはアルミナをこの技術分野で一般的なように精製目的で使用しているにすぎず、パーフルオロポリエーテルを吸着させるため(換言すると、捕捉するため)に使用していない。すなわち、精製とは、吸着と脱着の繰り返しにおいて達成されるものであるが、本発明者らは、ある条件下ではパーフルオロポリエーテルの脱着が非常に起こりにくくなるということを発見し、その原理に基づいて、使用済みの潤滑剤含有のフッ素系溶液から高純度のフッ素系溶媒を選択的に回収するという本発明を完成するに至った。
【0013】
再び本発明の作用の説明に戻ると、本発明の優れたリサイクル法によると、潤滑剤層の形成に使用する潤滑剤含有のフッ素系溶液及びそれに使用するフッ素系溶媒を高純度化できるので、コストの低減と環境対策に大きく寄与できるばかりでなく、磁気ディスク装置の汚染や破損の防止にも役立てることができる。また、磁気ディスクの潤滑処理として、そのディスクの表面に塗布された潤滑剤をフッ素系溶媒で洗い流すリンス工程があるが、その際、本発明では、フッ素系溶媒の少量をリサイクルしながら使用することができるので、新鮮で高純度なフッ素系溶媒を常に供給し続けることができる。従来のように、大量のフッ素系溶媒を消費することが不必要となるので、低コスト化、そして低環境負荷化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明による精製されたフッ素系溶媒は、末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤及びフルオロカーボン系溶媒を含むフッ素系溶液を出発物質として使用して、そのフッ素系溶液を精製することによって調製することができる。ここで、出発物質としてのフッ素系溶液は、特に限定されるものではないが、好ましくは、潤滑性の付与を目的として機能性要素の表面に適用された後に回収された使用済み溶液である。フッ素系溶液は、通常、機能性要素(先に定義したように、磁気ディスク、磁気ヘッド等の潤滑剤層付き要素を指している)の製造において潤滑剤層の形成のために使用された潤滑剤含有のフッ素系溶液であり、除去すべき量のイオン性汚染物質、潤滑剤などの夾雑物を含んでいる。イオン性汚染物質は、例えば、潤滑剤の調製やフッ素系溶液の調製段階で調製装置などに由来して不純物として混入したものであり、例えば、ハロゲン、例えばフッ素、臭素、塩素など、リン酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、酢酸、蟻酸、(メタ)アクリル酸、蓚酸、フタル酸などがある。また、潤滑剤は、潤滑剤層の形成に関与し得なかった残余の潤滑剤である。したがって、ここで言うフッ素系溶液は、通常、使用済みの潤滑剤溶液である。もちろん、場合によって、フッ素系溶液が、それに潤滑剤を添加する前の状態、すなわち、専らフルオロカーボン系溶媒のみからなるフッ素系溶媒であってもよく、さもなければ、フッ素系溶液中に潤滑剤の残余が含まれていないかもしくは少ししか含まれていなくてもよい。前者の場合には、例えば、原料として入手したフッ素系溶媒のなかに何らかの理由で夾雑物が入り込んでいて、精製することが望ましいものを指し、後者の場合には、使用済みのフッ素系溶液から先行する精製工程によりすでに潤滑剤が取り除かれているがさらなる精製が望ましいものを指している。
【0015】
フッ素系溶液に含まれる潤滑剤は、特に限定されないけれども、通常、末端に有機基を有するフッ素樹脂である。フッ素系溶媒中に潤滑剤がある場合でも、もしもその潤滑剤の構造の末端に有機基が存在していると、その有機基が極性を有しているため、吸着材と相互作用して、潤滑剤が吸着材に効率よく捕捉されるからである。また、フッ素樹脂のポリマー骨格は、C−F結合を含むものであれば特に限定されないが、パーフルオロエーテル骨格が好適である。したがって、本発明の実施に潤滑剤として適当なフッ素樹脂は、多岐に及ぶけれども、一般的には、その末端に少なくとも1個の極性基を有するるパーフルオロポリエーテル樹脂が好ましい。パーフルオロポリエーテル樹脂の極性基としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、アルキル基(C1〜C20)、アルケニル基、アリール基、エーテル基、エステル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボキシル基、ピペロニル基などを挙げることができる。かかる極性基は、単独で含まれていてもよく、2種以上の極性基が任意に組み合わさって含まれていてもよい。潤滑剤として好適なパーフルオロポリエーテル樹脂の例として、例えば、Fomblin AM3001(Mw=3200)、Fomblin AM2001(Mw=2400)、Fomblin Zdol(Mw=2000)、Fomblin Z25(Mw=9500)など(商品名、いずれもアウジモント社製)を挙げることができる。
【0016】
また、上述のような潤滑剤を溶解するために使用するフルオロカーボン系溶媒は、潤滑剤溶液の調製に一般的に使用されているものであって、特に限定されるものではない。本発明の実施に好適なフルオロカーボン系溶媒として、例えば、パーフルオロアルカン化合物、パーフルオロシクロアルカン化合物などを挙げることができる。かかる溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。溶媒として好適なフルオロカーボン系溶媒の例として、例えば、フロリナート FC−77、フロリナート FC−72、フロリナートFC−84、フロリナート FC−75、フロリナート FC−40、フロリナート FC−43、フロリナート FC−70、フルオロアルカン PF5080、フルオロアルカン PF5060(商品名、いずれも住友スリーエム社製)を挙げることができる。
【0017】
潤滑剤層の形成のために一般的に使用されているフッ素系溶液において、前記したようなフッ素樹脂系潤滑剤とフルオロカーボン系溶媒はいろいろな割合で混合して使用されている。通常、フッ素樹脂系潤滑剤は、フッ素系溶液の全量を基準にして、約0.01〜0.1重量%の量で使用されている。また、このようなフッ素系溶液は、それを潤滑剤層の形成のために使用した後では、残余のフッ素樹脂系潤滑剤を、フッ素系溶液の全量を基準にして、約0.01〜0.1重量%の量で含有している。すなわち、この残余のフッ素樹脂系潤滑剤の含有量は、使用前の量とそれほど大きく変動しない。なお、この含有量は、本発明者らの経験から知り得ている一般的な含有量であり、場合によっては上述の範囲よりも少なかったり多かったりすることもあるであろう。先の説明から理解されるように、本発明のフッ素系溶液は、場合によって潤滑剤を有していなくてもよい。
【0018】
本発明の精製されたフッ素系溶媒は、上述のようなフッ素系溶液からその溶液に微量で含まれる夾雑物の実質的な量を吸着法によって選択的に除去したものである。ここで、「夾雑物の実質的な量の除去」とは、クロマトグラフなどで測定した場合、精製以前に顕著に存在を認めることができた夾雑物を検出することができないか、さもなければ、たとえ夾雑物を検出できたとしても、極く微量(イオン性不純物について、約5ng/ml以下の微量)であって、得られた溶媒を何らの問題も生じることなく再利用できるような程度まで、夾雑物を除去することを意味している。換言すると、本発明の精製されたフッ素系溶媒は、99.00%もしくはそれ以上のオーダーの純度を有していると言うことができる。
【0019】
本発明では、夾雑物の除去に吸着法を使用することが必須である。常用の精製法であるカラムクロマトグラフィ法などを使用したのでは、予め予想されたレベルよりも多量の夾雑物をフッ素系溶媒から取り除くことができないのとは対照的に、本発明に従うと、フッ素系溶媒の極性の低さと、吸着法で使用する吸着材の作用とによって、たとえ夾雑物のそれぞれが微量であっても、効率よく吸着材で捕捉することができ、一度捕捉した夾雑物が再びフッ素系溶媒に溶け出すような不都合も発生しない。
【0020】
本発明の実施において、吸着材としては、この技術分野おいて一般的に知られている材料ならばどれでもよいというわけではない。本発明者らの知見によると、その詳細な作用効果は明らかになっていないが、シリカゲル又はアルミナを使用した場合に特に好ましい結果を得ることができる。これらの充填材は、単独で使用してもよく、さもなければ混合して使用してもよい。また、必要に応じて、別の特性を得ることなどを目的として、常用の吸着材を追加的に使用してもよい。もちろん、このような補助吸着材の量は、吸着材全体の量の約50%未満であることが好ましく、さらに好ましくは、約30%未満である。本発明の実施に不適当な吸着材としては、例えば、モレキュラーシーブ(商品名、独国リンデ社製の吸着剤)、イオン交換樹脂、例えばAMBERLITE EG−290−HG(商品名、米国ローム・アンド・ハース社製)などが確認されている。
【0021】
吸着材は、いろいろな形態で使用することができるが、通常、粉末あるいは小ブロック状の形態で使用される。かかる吸着材のサイズは、特に限定されるものではなく、広い範囲で変更することができるけれども、一般的に、約0.05〜1mm(平均直径として)の範囲である。
上記したような吸着材は、吸着法で一般的に行われているように、円筒形カラムなどのカラムやボックスなどに所定量の吸着材を密に充填して使用することができる。しかし、もしもすぐれた夾雑物捕捉効果が得られるのであるならば、充填方式以外で吸着材を使用してもよい。
【0022】
本発明の精製されたフッ素系溶媒は、吸着法で使用する吸着材に由来して、吸着材のパーティクルを含有する可能性が大きい。かかるパーティクルの大きさは、いろいろあるというものの、通常、約0.05〜0.5mm(平均直径として)の範囲である。したがって、精製されたフッ素系溶媒から吸着材のパーティクルも取り除かれていることが、さらに好ましい。
【0023】
吸着材のパーティクルは、いろいろな分離法を使用して取り除くことができる。好ましい分離法は、これに限定されるわけではないけれども、フィルタリング(ろ過法)である。この方法に使用するフィルタは、効率よくパーティクルを除去でき、かつ再汚染を引き起こすことがない限り、いかなるタイプのものであってもよいけれども、通常、商用ベースで広く使用されているパーフルオロ樹脂(例えば、テフロンTM樹脂)で全体が構成されている高機能フィルタが有用である。使用するフィルタの濾別能力は、そのフィルタの細孔のサイズに依存するので、濾別しようとするパーティクルのサイズにあわせて好適な細孔を備えたフィルタを使用するのが好ましい。実際上、例えばオールテフロンTM製の孔径0.05μm 程度のフィルタを使用して、十分に満足し得るパーティクル除去効果を達成することができるであろう。
【0024】
本発明による精製されたフッ素系溶媒は、いろいろな用途において有利に使用することができる。例えば、この精製溶媒は、磁気ディスク、磁気ヘッド等の機能性要素の表面に適用されるべきフッ素樹脂系潤滑剤の溶媒として再び有利に使用することができる。したがって、本発明によると、精製されたフッ素系溶媒そのものばかりではなく、それを使用した潤滑剤組成物も提供される。本発明の潤滑剤組成物は、末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤と、フルオロカーボン系溶媒を含むフッ素系溶液からその溶液に含まれるイオン性汚染物質又は潤滑剤を含む夾雑物を吸着法によって選択的に除去した精製されたフッ素系溶媒とを含んでなる。
【0025】
また、本発明の精製溶媒は、機能性要素の表面にすでに適用されているフッ素樹脂系潤滑剤を洗浄し、除去するためにも有利に使用することができる。したがって、本発明によると、精製されたフッ素系溶媒を使用した洗浄剤組成物、典型的にはリンス液、も提供される。本発明の洗浄剤組成物は、潤滑剤層を表面に有する機能性要素を洗浄するためのものであって、フルオロカーボン系溶媒からなり、かつそのフルオロカーボン系溶媒が、該フルオロカーボン系溶媒を含むフッ素系溶液からその溶液に含まれるイオン性汚染物質又は潤滑剤を含む夾雑物を吸着法によって選択的に除去したものである。
【0026】
本発明に従うと、上記したような精製されたフッ素系溶媒やそれを使用した潤滑剤組成物及び洗浄剤組成物に追加して、精製されたフッ素系溶媒の調製方法及び調製装置も提供される。すなわち、本発明の精製されたフッ素系溶媒は、いろいろな手法に従って調製することができるけれども、フッ素系溶液に含まれるイオン性汚染物質及び潤滑剤を含む夾雑物を吸着法によって選択的に除去する吸着工程を利用することによって調製することが好ましい。吸着工程は、先の説明から理解されるされるように、フッ素系溶液を、シリカゲル、アルミナ又はその混合物からなる吸着材上に案内して、その吸着材で夾雑物を選択的に捕捉するようにして実施することが好ましく、また、この吸着工程に続けて、吸着工程でフッ素系溶媒に混入した不所望の吸着材のパーティクルをフィルタによって取り除く濾別工程をさらに実施することが好ましい。
【0027】
図1は、本発明による精製されたフッ素系溶媒の調製工程とそれに続くフッ素系溶液の調製工程を説明したフローシートである。すなわち、精製されたフッ素系溶媒の調製は、使用済みフッ素系溶液から出発する。この使用済みフッ素系溶液は、先に説明したように、フッ素系溶媒、特にフルオロカーボン系溶媒からなり、イオン性汚染物質、潤滑剤等の不純物(夾雑物)の微量を含有している。夾雑物は、それが含まれたままであると、フッ素系溶媒に潤滑剤を溶解して、磁気ディスク等の機能性要素の表面に適用した時に、その要素の特性やその要素を搭載した装置の特性及び運転に悪影響を及ぼすかもしくはそのおそれのあるものである。
【0028】
使用済みのフッ素系溶液を吸着工程で処理し、その溶液に含まれる夾雑物を吸着材で捕捉する。吸着材としては、前記したように、シリカゲル、アルミナなどが有用である。かかる吸着材を、例えば円筒形カラムに充填して使用する。吸着工程は、いろいろな処理形態で実施することができるけれども、通常、吸着材上及びその内部にフッ素系溶液を通過させることによって行うことが好ましい。この場合に、フッ素系溶液の流量は、それが少なければ少ないほどに夾雑物捕捉効果を高めることができるけれども、実用性を考慮した場合、通常、約1〜100ml/分の範囲であるのが好ましい。また、夾雑物捕捉効果は環境温度によって影響を受けるおそれがあるので、通常、室温(約25℃)の近傍で吸着工程を実施することが好ましい。吸着工程の温度が低すぎると、フッ素系溶液の粘性が高まり、反対に温度が高すぎると、溶液の蒸発が促進されるであろう。
【0029】
通常のフッ素系溶液の場合、上述のような吸着工程によって、溶液中の夾雑物をほぼ完全に取り除り、精製されたフッ素系溶媒を得ることができる。しかし、場合によっては、その精製されたフッ素系溶媒中に、吸着工程で使用した吸着材に由来するパーティクル(粉体)が混在しているおそれがある。吸着材のパーティクルも、機能性要素やそれを搭載した装置の特性や運転などに悪影響を及ぼす可能性を有するので、図示のように、吸着工程に続けてフィルタリング工程(濾別工程)を実施することが好ましい。フィルタリング工程は、前記したように、オールテフロンTM製のフィルタなどを使用して有利に実施することができる。
【0030】
吸着工程及び任意のフィルタニング工程を経て、高度に精製されたフッ素系溶媒を得ることができる。この溶媒は、すでに高い純度を有しているので、そのままフッ素系溶媒としてあるいはリンス液などとして各種の分野に使用することができる。また、図示のように、所定量の潤滑剤を添加することによって、フッ素系溶液の調製のために再び使用してもよい。
【0031】
図2は、本発明による精製されたフッ素系溶媒の調製装置の一例を示した模式図であり、先に参照して説明した図1のフローシートに対応する。使用済みのフッ素系溶液は、貯槽11に入れられている。なお、図示の貯槽11は、機能性要素としての磁気ディスクの表面に潤滑剤層を施すためのものであり、したがって、磁気ディスク(図示せず)を浸漬し、引き上げるように構成されている。貯槽11で使用中のフッ素系溶液は、導管で接続された吸着ステーション13まで、中間に配置されたポンプ12によって送られる。導管内のフッ素系溶液の移動方向は、矢印で示されている。吸着ステーション13は、各種の夾雑物を捕捉して、精製されたフッ素系溶媒を回収するためのものであり、所定のサイズの吸着材(シリカゲル、アルミナ等)が充填されている。また、図示の例では、精製されたフッ素系溶媒に混入した吸着材のパーティクルを取り除くため、吸着ステーション13の後段にフィルタリングステーション14が設けられている。フィルタリングステーション14は、オールテフロンTM製のフィルタからできていて、これを通過したフッ素系溶媒は、高度に精製されたフッ素系溶媒である。図示の装置では、このフッ素系溶媒を再び導管で貯槽11に案内するように構成されている。すなわち、この装置は、すでに潤滑剤層を形成した磁気ディスクの表面を連続的に濯ぐための、溶媒高純度化機構を組み込んだ循環式磁気ディスクリンス装置として有利に使用することができる。また、容易に理解されるように、フィルタリングステーション14の下流側に、高度に精製されたフッ素系溶媒を回収するための機構を配置することもできる。さらに、フィルタリングステーション14の下流側に、貯槽11に連通する導管に代えて、高度に精製されたフッ素系溶媒を回収する専用の貯槽などを設けると、精製フッ素系溶媒の調製装置を得ることができる。さらにまた、所定量の潤滑剤を添加する機構を組み込むことによって、潤滑剤含有のフッ素系溶液の調製装置を得ることもできる。
【0032】
本発明によると、フッ素樹脂系潤滑剤に由来する潤滑剤層を最上層に有する機能性要素、例えば磁気ディスク、磁気ヘッドなども提供される。これらの機能製要素では、その潤滑剤層の形成に、本発明による精製されたフッ素系溶媒が使用されている。すなわち、潤滑剤層は、末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤と、本発明により精製されたものであって、精製前に混入していた夾雑物を吸着法によって選択的に除去したフルオロカーボン系溶媒とを含むフッ素系溶液を塗布することによって形成されている。
【0033】
また、本発明の機能性要素は、その最上層に位置する潤滑剤層が、精製前に混入していた夾雑物の実質的な量を本発明に従い吸着法によって選択的に除去した精製されたフルオロカーボン系溶媒によって洗浄されたものであってもよい。
先にも説明したように、本発明の機能性要素は、各種の機能性媒体や機能性部材を包含することができるけれども、以下、図3を参照しながら、最上層に潤滑剤層を備えた磁気ディスクを説明する。
【0034】
図3は、一般的な磁気ディスクの層構成(基本構成)を模式的に示した断面図である。磁気ディスク10は、下から順に、非磁性の基板1、下地層2、磁気記録層(磁性層ともいう)3、保護膜4、そして潤滑剤層5を有している。このような磁気ディスク10において、基板1は、例えばアルミニウム基板からなり、その表面にメッキにより付着させたNiP膜を有しており、さらにその表面が超仕上げされている。超仕上げは、基板1の表面を平滑化するためのものである。下地層2は、通常、非磁性の金属であるCr系合金からなる。Cr系合金は、例えば、CrMo合金てある。磁気記録層3は、通常、強磁性の金属であるCoCr系合金からなる。CoCr系合金は、例えば、CoCrTa、CoCrPt、CoCrPtTaNbなどである。このような磁気記録層3の上には、磁気記録層を磁気ヘッドの衝撃による破損などから保護するため、保護膜4が設けられている。保護膜4は、各種のカーボン材料、例えばアモルファスカーボンなどから形成されている。保護膜4は、通常、カーボン保護膜と呼ばれている。また、カーボン保護膜4の上には、磁気ディスク10におけるヘッドの円滑な浮上などを図る目的で、液体の潤滑剤が含浸せしめられて、潤滑剤層5を形成している。潤滑剤は、上記したように、好ましくは末端に有機基を有するフッ素系樹脂、例えばパーフルオロポリエーテル樹脂である。なお、図示のものは基本構成であり、実際の層構成は非常に複雑になっているのが現状である。
【0035】
さらに具体的に説明すると、図示のような磁気ディスクにおいて、非磁性の基板は、この技術分野において常用のいろいろな材料から形成することができる。適当な非磁性の基板としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、NiPメッキ付きのアルミニウム(アルミニウム合金を含む)基板、ガラス又は強化ガラス基板、表面酸化膜(例えばシリコン酸化膜)を有するシリコン基板、SiC基板、カーボン基板、プラスチック基板、セラミック基板などを挙げることができる。特に、NiPメッキ付きのアルミニウム(アルミニウム合金を含む)基板を有利に使用することができる。
【0036】
非磁性の基板の上の下地層は、常用の磁気ディスクにおいて一般的な非磁性金属材料から形成することができ、好ましくは、クロムを主成分とする非磁性金属材料から形成することができる。下地層は、単層であっても2層もしくはそれ以上の多層構造であってもよい。多層構造の下地層の場合、それぞれの層の組成は任意に変更することができる。かかる下地層は、特に、クロムのみを主成分とする金属材料あるいはクロム及びモリブデンを主成分とする金属材料から有利に構成することができる。例えば、磁気ディスクの磁気記録層に白金が含まれるような場合には、クロム及びモリブデンを主成分とする金属材料から下地層を構成するのが好ましい。適当な下地層の材料の例として、例えば、Cr、CrW、CrV、CrTi、CrMoなどを挙げることができる。このような下地層は、好ましくは、例えばマグネトロンスパッタ法などのスパッタ法により、常用の成膜条件により形成することができる。また、必要に応じて、スパッタ法に代えて、他の成膜法、例えば蒸着法、イオンビームスパッタ法等を使用してもよい。かかる下地層の膜厚は、種々のファクタに応じて広い範囲で変更することができる。下地層の膜厚は、この範囲に限定されるものではないけれども、S/N比を高めるため、一般的には5〜60nmの範囲である。
【0037】
磁気ディスクは、必要に応じて、その非磁性の基板とその上方の前記下地層との中間に、チタンを主成分とする金属材料からなる追加の下地層、好ましくはTi薄膜を有していてもよい。このような中間層は、両者の結合関係をより向上させる働きを有している。
磁気ディスクにおいて、非磁性の下地層の上に形成されるべき磁気記録層は、下地層と同様に、常用の磁気ディスクにおいて一般的な磁気記録層から形成することができる。磁気記録層は、単層であってもよく、2層もしくはそれ以上の多層構造であってもよい。多層構造の磁気記録層の場合、それぞれの磁気記録層の組成は同一もしくは異なっていてもよく、また、必要に応じて、磁気記録層の間に中間層を介在させて、磁気記録特性の向上などを図ってもよい。
【0038】
例えば、磁気記録層は、それが単層構造を有している場合、
コバルトを主成分として含有し、
クロム 14〜23at%、及び
白金 1〜20at%、
を含み、
さらにタングステン及びカーボンを組み合わせて有する五元系合金から構成することができる。
【0039】
また、磁気ディスクの磁気記録層が2層構造を有している場合には、上層磁気記録層としては、上記したCoCrPtWC五元系合金からなる磁気記録層を採用することができ、この上層磁気記録層と下地層との中間に配置されるべき下層磁気記録層としては、
コバルトを主成分として含有し、
クロム 13〜21at%、及び
白金 1〜20at%、
を含み、
さらにタンタル及びニオブを組み合わせて有する五元系合金から構成されている磁気記録層を採用することができる。
【0040】
磁気ディスクにおいて、その磁気記録層は、単層構造及び2層構造にかかわりなく、30〜180Gμm のtBr(磁気記録層の膜厚tと残留磁化密度Brの積)を有していることが好ましい。特に、単層構造の磁気記録層は、50〜180Gμm のtBrを有していることが好ましく、また、2層構造の磁気記録層は、30〜160Gμm のtBrを有していることが好ましい。このような磁気記録層は、従来の磁気記録層に比較して低Brに構成したことにより、特にMRヘッドをはじめとした磁気抵抗効果型ヘッド用として最適である。
【0041】
非磁性基板上に下地層を介して設けられる磁気記録層は、特に限定されるわけではないけれども、上記したように、CoCrPtWCの五元系合金から構成されるものであり、あるいは、必要に応じて、CoCrPtWCの五元系合金からなる上層とCoCrPtTaNbの五元系合金からなる下層とから構成されるものであることが好ましい。かかる磁気記録層は、好ましくは、例えばマグネトロンスパッタ法などを使用して形成することができる。また、必要に応じて、他の成膜法、例えば蒸着法、イオンビームスパッタ法等を使用してもよい。
【0042】
磁気ディスクは、磁気記録層の上に、それを保護するカーボン保護膜を備える。カーボン保護膜は、半導体装置の製造などにおいて慣用の成膜技術である、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などを使用して形成することができる。また、このようにして形成されたカーボン保護膜に対して高められた耐久性を付与するため、そのカーボン保護膜に水素や窒素を添加してもよい。このような強化されたカーボン保護膜としては、水素化カーボン保護膜などがある。また、カーボン保護膜をスパッタリング法やCVD法に代えて、最近開発された技術であるFiltered Cathodic Arc 法(FCA法)を用いて形成することも可能である。このようにすると、高硬度のカーボン保護膜を磁気記録層上に堆積するとともに、その高硬度のカーボン保護膜中に窒素を含有させた場合、カーボン保護膜の液体潤滑剤に対する吸着性を著しく向上せしめ、優れた耐久性を得、かつ維持できる。カーボン保護膜は、磁気ディスクに一般的に使用されているようないろいろな膜厚で使用することができる。
【0043】
さらに、上記したカーボン保護膜の上に、好ましくはパーフルオロエーテル樹脂からなる潤滑剤層が本発明に従い形成されている。これについては、前記した通りである。潤滑剤層は、すでに述べているように、ヘッドと媒体が接触して磁気記録データを破壊するヘッドクラッシュと呼ばれる障害を防止し、しかもヘッドと媒体の摺動に伴う摩擦力を低減させ、媒体の寿命を延ばす働きがある。潤滑剤層の厚さは、通常、約0.1〜1.5nmである。
【0044】
上記したようなカーボン保護膜は、ここで図示して説明しないけれども、磁気ヘッドにも有利に応用することができる。磁気ヘッドも、基本的には磁気ディスクと同様な層構成を有することができるからである。
磁気ヘッドの場合、近年における情報処理技術の発達に伴い、コンピュータの外部記憶装置に用いられる磁気ディスク装置に対して高密度化の要求が高まっていることを考慮して、従来の巻線型のインダクティブ薄膜磁気ヘッドに代えて、磁界の強さに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗素子を使用した磁気抵抗効果型ヘッド、すなわち、MRヘッドを使用することが推奨される。MRヘッドは、磁性体の電気抵抗が外部磁界により変化する磁気抵抗効果を記録媒体上の信号の再生に応用したもので、従来のインダクティブ薄膜磁気ヘッドに較べて数倍も大きな再生出力幅が得られること、イングクタンスが小さいこと、大きなS/N比が期待できること、などを特徴としている。また、このMRヘッドとともに、異方性磁気抵抗効果を利用したAMRヘッド、巨大磁気抵抗効果を利用したGMRヘッド、そしてその実用タイプであるスピンバルブGMRヘッドの使用も推奨される。
【0045】
【実施例】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、下記の実施例は一例であって、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではないことを理解されたい。
実施例1
精製されたフッ素系溶媒の調製
直径2.5cm及び長さ30cmのガラス管を用意し、約100gのシリカゲル粉体(平均粒径=約0.5mm)を吸着材として充填した後、スタンドで固定して垂直にたてかけた。潤滑剤としてアウジモント社製のパーフルオロポリエーテル樹脂、Fomblin AM3001(商品名、Mw=3200)を選択し、これを潤滑剤含有量が0.02重量%となるように住友スリーエム社製のフルオロカーボン系溶媒、フロリナート FC−77(商品名)に溶解した。得られた潤滑剤溶液に含まれる不純物の量をイオンクロマトグラフィ法により分析したところ、下記の第1表に記載のように、種々の不純物が微量で含まれることが確認された。なお、イオンクロマト分析のため、ダイオネックス社製の分析装置「DX−500」(商品名)を使用した。
【0046】
次いで、上記のようにして調製した潤滑剤溶液を先に作製しておいたシリカゲル充填カラムにその上端から連続して通液した。潤滑剤溶液の通液量は合計して約1kg、通液速度(流量)は約10ml/分であった。シリカゲル充填カラムの下端に配置した受器で澄んだ溶液(精製されたフルオロカーボン系溶媒)を回収し、その溶液に含まれる不純物の量を上記と同じ手順で再びイオンクロマトグラフィ法により分析した。下記の第1表に記載のように、当初の潤滑剤溶液に含まれていた不純物の実質的に全部がシリカゲル充填カラムの通過時に取り除かれていることが確認された。
【0047】
引き続いて、受器で回収された溶液中に潤滑剤が含まれるか否かを調べるため、回収溶液の紫外吸収スペクトルを測定した。測定結果から、溶液中には微量の潤滑剤も存在しないこと、すなわち、カラムに充填したシリカゲルでもって潤滑剤が完全に捕捉されていること、が確認された。潤滑剤の濃度は、270nmの吸光度から算出して、0重量%であることが確認された。
実施例2
精製されたフッ素系溶媒の調製
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、カラムに充填する吸着材として、シリカゲル粉体に代えて、アルミナ粉体(平均粒径=約0.1mm)を使用した。実施例1で使用したものに同じ潤滑剤溶液をアルミナ充填カラムに連続して通液し、受器で回収した溶液に含まれる不純物の量をイオンクロマトグラフィ法により分析した。下記の第1表に記載のように、当初の潤滑剤溶液に含まれていた不純物の実質的に全部がアルミナ充填カラムの通過時に取り除かれていることが確認された。
【0048】
引き続いて、受器で回収された溶液中に潤滑剤が含まれるか否かを調べるため、回収溶液の紫外吸収スペクトルを測定した。測定結果から、溶液中には微量の潤滑剤も存在しないこと、すなわち、カラムに充填したアルミナでもって潤滑剤が完全に捕捉されていること、が確認された。
Figure 0004070392
上記第1表に記載の結果から理解されるように、本発明に従いシリカゲル又はアルミナを吸着材として使用してフッ素系溶媒の精製を行った場合、含まれる微量不純物を極めて効果的に除去することができる。
比較例1
精製されたフッ素系溶媒の調製
前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例では、比較のため、カラムに充填する吸着材として、シリカゲル粉体に代えて、モレキュラーシーブ(平均粒径=約0.1mm)を使用した。潤滑剤としてアウジモント社製のパーフルオロポリエーテル樹脂、Fomblin AM3001(商品名、Mw=3200)を選択し、これを潤滑剤含有量が0.02重量%となるように住友スリーエム社製のフルオロカーボン系溶媒、フロリナート FC−77(商品名)に溶解した。得られた潤滑剤溶液に含まれる不純物の量を実施例1と同様な手法に従ってイオンクロマトグラフィ法により分析したところ、下記の第2表に記載のように、種々の不純物が微量で含まれることが確認された。なお、本例で使用した潤滑剤溶液に含まれる不純物の量は、前記第1表に記載のものに同じではないが、これは、潤滑剤及びフルオロカーボン系溶媒をそれぞれ別のバッチから取り出したことによる。
【0049】
調製した潤滑剤溶液をモレキュラーシーブ充填カラムに連続して通液し、受器で回収した溶液に含まれる不純物の量をイオンクロマトグラフィ法により分析した。下記の第2表に記載のように、当初の潤滑剤溶液に含まれていた不純物を完全に取り除くことができず、むしろモレキュラーシーブの使用に由来すると考察される不純物量の増加が目立った。
【0050】
引き続いて、受器で回収された溶液中に潤滑剤が含まれるか否かを調べるため、回収溶液の紫外吸収スペクトルを測定した。測定結果から、溶液中にはモレキュラーシーブに吸着されないまま流出した潤滑剤が認めうる量で存在していることが確認された。
Figure 0004070392
上記第2表に記載の結果から理解されるように、モレキュラーシーブを吸着材として使用してフッ素系溶媒の精製を行った場合、回収された溶媒中で不純物の含有量が逆に増加しており、吸着材の選択が重要であることを立証している。
実施例3
潤滑剤溶液1の調製
精製されたフッ素系溶媒を前記実施例1に記載の手法に従って調製した。住友スリーエム社製のフルオロカーボン系溶媒、フロリナート FC−77(商品名)を実施例1で作製したシリカゲル充填カラムに通液し、溶媒中に含まれる不純物をシリカゲルに吸着させた。次いで、精製後の溶媒中に混入したと考察されるシリカゲルの直径0.01μm 以上のパーティクルを除去するため、シリカゲル充填カラムの下端で回収した精製溶媒をさらに、孔径0.05μm のオールテフロンTM製のフィルタを通過させた。
【0051】
潤滑剤としてアウジモント社製のパーフルオロポリエーテル樹脂、Fomblin AM3001(商品名、Mw=3200)を選択し、これを潤滑剤含有量が0.02重量%となるように、上記のように精製した溶媒に溶解した。得られた潤滑剤溶液を「潤滑剤溶液1」と命名した。
実施例4
潤滑剤溶液2の調製
精製されたフッ素系溶媒を前記実施例1に記載の手法に従って調製した。住友スリーエム社製のフルオロカーボン系溶媒、フロリナート FC−77(商品名)を実施例2で作製したアルミナ充填カラムに通液し、溶媒中に含まれる不純物をアルミナに吸着させた。次いで、精製後の溶媒中に混入したと考察されるアルミナの直径0.01μm 以上のパーティクルを除去するため、アルミナ充填カラムの下端で回収した精製溶媒をさらに、孔径0.05μm のオールテフロンTM製のフィルタを通過させた。
【0052】
潤滑剤としてアウジモント社製のパーフルオロポリエーテル樹脂、Fomblin AM3001(商品名、Mw=3200)を選択し、これを潤滑剤含有量が0.02重量%となるように、上記のように精製した溶媒に溶解した。得られた潤滑剤溶液を「潤滑剤溶液2」と命名した。
実施例5
磁気ディスクの作製
下記の層構成を有する磁気ディスクを作製した。
【0053】
Figure 0004070392
アルミニウム(Al)基板の上にNiPをメッキしてNiPメッキ層を形成した後、その表面を良く洗浄し、さらにテクスチャ処理を施して十分に平滑にした。得られたNiP/Al基板に、DCマグネトロンスパッタ装置により、CrMo10(at%)下地層、CoCrPtTaNb系磁気記録層、そして窒素ドープのカーボン(C)保護膜、そして「Fomblin AM3001」(商品名)からなる潤滑剤層を下記の手順に従い順次積層した。
【0054】
まず、下地層の成膜前にスパッタ室内を3×10-7Torr以下に排気し、基板温度を280℃に高め、Arガスを導入してスパッタ室内を5mTorrに保持し、−200Vのバイアスを印加しながら、下地層としてのCrMoを30nm厚に成膜した。さらに、下地層の成膜に続けて、CoCrPtTaNb膜をそのBrtが100Gμm(27nm厚)となるように成膜した。成膜に使用したターゲットは、CoCrターゲットにPt、Ta、Nbチップを配置した複合ターゲットであった。次いで、FCA成膜装置を使用して、下記の成膜条件で、窒素を含むカーボン保護膜を膜厚5nmで形成した。
【0055】
アーク電流 80A
カソードコイル電流 10A
フィルタコイル電流 10A,6A
ラスタコイル電流 X:0A,Y:10A
カーボン保護膜の形成後、そのカーボン保護膜の表面に前記実施例3で調製した潤滑剤溶液1をディップコート法により膜厚2.5nmで塗布し、乾燥した。上記したような層構成を有する磁気ディスクが得られた。
〔特性試験〕
上記のようにして作製した磁気ディスクについて、薄膜MRヘッドを装備した富士通社製の磁気ディスク装置、「MPF3102AT」(商品名)に搭載し、回転数5,400rpmで15秒稼働後15秒停止するサイクル試験を行い、耐CSS特性をディスク摩耗試験機で測定した。その結果、サイクル試験を1万回にわたって繰り返したにもかかわらず、認めうる程度の摩耗が磁気ディスク表面で発生せず、MRヘッドの状態も良好であった。次いで、この磁気ディスクを同じ磁気ディスク装置で通常のドライブ評価に供したけれども、何らの異常も発見されなかった。
【0056】
引き続いて、潤滑剤溶液1に代えて前記実施例4で調製した潤滑剤溶液2を使用して、上記と同様な手法に従って別の磁気ディスクを作製した。この磁気ディスクの特性試験を上記と同様な手法に従って実施したところ、上述の結果に比較可能な満足し得る結果が得られた。
実施例6
磁気ディスクのリンス処理
前記実施例5に記載の手法に従って磁気ディスクを作製した後、その磁気ディスクの表面に付着した余分な潤滑剤を除去するため、精製されたフッ素系溶媒を使用してリンス処理を行った。また、このリンス処理のため、先に図2を参照して説明した循環式リンス処理装置を使用した。
【0057】
まず、上面が開口している貯槽11に住友スリーエム社製のフルオロカーボン系溶媒、フロリナート FC−77(商品名)を所定のレベルまで収容した。次いで、貯槽11の溶媒をポンプ12によって吸着ステーション13に送液した。吸着ステーション13には吸着剤としての平均粒径0.1μm のシリカゲル粉体が充填されているので、溶媒がその内部を通過する間に、溶媒中に混入していた微量の不純物がシリカゲルによって捕捉された。引き続いて、不純物分離後の溶媒を吸着ステーション13の後段に配置されたフィルタリングステーション14に案内した。フィルタリングステーション14には孔径0.05μm のオールテフロンTM製のフィルタが取り付けられているので、溶媒中に混入したシリカゲルのパーティクル(直径0.01μm 以上)をフィルタで取り除くことができた。完全に精製した後の溶媒を貯槽11に戻した。
【0058】
上記のようにして精製されたフッ素系溶媒をリンス処理装置内を循環させながら、合計500枚の磁気ディスクを1枚ずつ貯槽11に浸漬し、引き上げてリンスを行う作業を繰り返した。その都度、磁気ディスクの表面に付着した余分な潤滑剤を除去することができ、薄くて均一な膜厚を有する潤滑剤層を備えた磁気ディスクを最後まで得ることができた。また、このリンス処理の途中で、貯槽11に戻る直前のフッ素系溶媒中にリンス処理により溶出した潤滑剤や微量の不純物が混入しているか否かをイオンクロマトグラフィ法及び紫外吸収スペクトル法により測定したところ、最初に貯槽11に収容した精製溶媒と同様に高純度であることが確認された。
【0059】
引き続いて、吸着剤としてのシリカゲル粉体に代えて、アルミナ粉体(平均粒径=約0.1mm)を吸着ステーション13に充填して上述のリンス処理を繰り返したところ、上述の結果に比較可能な満足し得る結果が得られた。
最後に、比較のため、吸着ステーション及びフィルタリングステーションを装備しない非循環式リンス処理装置(貯槽11)のフッ素系溶媒に磁気ディスクを浸漬し、引き出す作業を反復したところ、30枚目の磁気ディスクをリンスするあたりから、潤滑剤層の膜厚が不均一になる傾向が生じた。また、このような不均一な潤滑剤層をもった磁気ディスクでは、磁気ディスク装置で使用した場合に、MRヘッドの浮上性の劣化が確認された。
〔付記〕
以上、本発明をその好ましい態様及び実施例を特に参照して説明した。本発明のさらなる理解のために記載すると、本発明の典型的な態様は、次の通りである。
【0060】
〔付記1〕 末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤及びフルオロカーボン系溶媒を含むフッ素系溶液から精製されたフッ素系溶媒を調製する方法であって、
前記フッ素系溶液に含まれるイオン性汚染物質又は前記潤滑剤を含む夾雑物を吸着法によって選択的に除去する吸着工程を含むことを特徴とする精製されたフッ素系溶媒の調製方法。
【0061】
〔付記2〕 前記潤滑剤のフッ素樹脂が、その末端に少なくとも1個の極性基を有するるパーフルオロポリエーテル樹脂であることを特徴とする付記1に記載の精製されたフッ素系溶媒の調製方法。
〔付記3〕 前記パーフルオロポリエーテル樹脂の極性基が、エーテル基、エステル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボキシル基及びピペロニル基からなる群から選ばれることを特徴とする付記2に記載の精製されたフッ素系溶媒の調製方法。
【0062】
〔付記4〕 前記フルオロカーボン系溶媒が、パーフルオロアルカン化合物又はパーフルオロシクロアルカン化合物であることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の精製されたフッ素系溶媒の調製方法。
〔付記5〕 前記吸着工程において、前記フッ素系溶液を、シリカゲル、アルミナ又はその混合物からなる吸着材上に案内して、その吸着材で前記夾雑物を選択的に捕捉することを特徴とする付記1に記載の精製されたフッ素系溶媒の調製方法。
【0063】
〔付記6〕 前記吸着工程で前記フッ素系溶媒に混入した吸着材のパーティクルをフィルタによって取り除く濾別工程をさらに含むことを特徴とする付記1又は5に記載の精製されたフッ素系溶媒の調製方法。
〔付記7〕 末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤及びフルオロカーボン系溶媒を含むフッ素系溶液から精製されたフッ素系溶媒を調製する装置であって、
前記フッ素系溶液の流路の途中に、前記フッ素系溶液に含まれるイオン性汚染物質又は潤滑剤を含む夾雑物を捕捉可能な吸着材が充填されている吸着ステーションを装備することを特徴とする精製されたフッ素系溶媒の調製装置。
【0064】
〔付記8〕 前記吸着ステーションにおいて、前記吸着材が、シリカゲル、アルミナ又はその混合物からなることを特徴とする付記7に記載の精製されたフッ素系溶媒の調製装置。
〔付記9〕 前記吸着ステーションの後段に、前記フッ素系溶媒に混入した吸着材のパーティクルを取り除くフィルタリングステーションをさらに装備することを特徴とする付記7又は8に記載の精製されたフッ素系溶媒の調製装置。
【0065】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、磁気ディスク等の機能性要素の表面に潤滑剤層を形成するのに有用で、周囲環境へ悪影響を及ぼす汚染物質を無視し得る量しか含有せず、しかも低コストで簡単にリサイクルが可能な潤滑剤組成物を提供することができる。
【0066】
また、本発明によれば、そのような潤滑剤組成物の調製に有用な高度に精製されたフッ素系溶媒とその製造方法及び製造装置、そしてそのようなフッ素系溶媒を使用した洗浄剤組成物を提供することができる。
さらに、本発明によれば、汚染物質の含有濃度を著しく低減することのできるフッ素系溶媒リサイクルシステムを提供することができる。
【0067】
さらにまた、本発明によれば、上記したような潤滑剤組成物あるいは洗浄剤組成物を使用することを通じて、優れた潤滑剤層を表面に有する高品質で低コストの磁気ディスクやその他の機能性要素を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による精製されたフッ素系溶媒の調製工程を説明したフローシートである。
【図2】本発明による精製されたフッ素系溶媒の調製装置を説明した模式図である。
【図3】本発明の磁気ディスクの典型的な例を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1…基板
2…下地層
3…磁気記録層
4…カーボン保護膜
5…潤滑剤層
10…磁気ディスク
11…使用済みフッ素系溶液の貯槽
12…ポンプ
13…吸着ステーション
14…フィルタリングステーション

Claims (4)

  1. 末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤及びフルオロカーボン系溶媒を含むフッ素系溶液から精製されたフッ素系溶媒を調製する方法であって、
    前記フッ素系溶液に含まれるイオン性汚染物質及び前記潤滑剤を含む夾雑物をシリカゲル又はアルミナを吸着剤として吸着法によって選択的に除去する吸着工程を含むことを特徴とする精製されたフッ素系溶媒の調製方法。
  2. 末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤が表面に形成された磁気ディスクをフルオロカーボン系溶媒を用いてリンスする工程と、
    前記リンス後の前記溶媒に含まれるイオン性汚染物質及び潤滑剤をシリカゲル又はアルミナを吸着剤として吸着法によって選択的に除去する吸着工程と、
    を有することを特徴とするフッ素系溶媒の精製方法。
  3. 末端に有機基を有するフッ素樹脂系潤滑剤及びフルオロカーボン系溶媒を含むフッ素系溶液から精製されたフッ素系溶媒を調製する装置であって、
    前記フッ素系溶液の流路の途中に、前記フッ素系溶液に含まれるイオン性汚染物質及び潤滑剤を含む夾雑物を捕捉可能なシリカゲル又はアルミナを吸着剤として含む吸着材が充填されている吸着ステーションを装備することを特徴とする精製されたフッ素系溶媒の調製装置。
  4. 前記吸着ステーションの後段に、前記フッ素系溶媒に混入した吸着材のパーティクルを取り除くフィルタリングステーションをさらに装備することを特徴とする請求項3に記載の精製されたフッ素系溶媒の調製装置。
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