JP2011258262A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる回数を大幅に向上させた磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体Wと、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体Mとを重ね合わせた後、マスター情報担体M側から外部磁界を印加しながら、マスター情報担体Mから磁気記録媒体Wへと情報信号を磁気転写する工程を含む磁気記録媒体の製造方法であって、磁気転写を行う際に繰り返し使用可能なマスター情報担体Mを用いると共に、このマスター情報担体の表面にフロン系の洗浄液を吹き付けながらマスター情報担体を洗浄する工程を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体の製造方法に関し、より詳しくは、磁気転写を行う前に磁気記録媒体を洗浄する技術に関するものである。
磁気記録再生装置の一種であるハードディスク装置(ハードディスクドライブ)は、現在その記録密度が年1.5倍以上で増えており、今後もその傾向は続くと言われている。それに伴って、高記録密度化に適した磁気ヘッド及び磁気記録媒体の開発が進められている。そして、最新の磁気記録装置においては、トラック密度が320kTPI以上となっている。
このため、高いトラック密度を有する磁気記録媒体では、磁気ヘッドをトラック上で正確に走査するために、磁気ヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たしている。具体的に、現在のハードディスクドライブでは、ディスクの1周中、一定の角度間隔でトラッキング用のサーボ信号や、アドレス情報信号、再生クロック信号などの情報信号(以下、サーボ信号等という。)が記録されている。そして、磁気ヘッドから一定間隔の時間で再生されるこれらの信号によって、磁気ヘッドの位置を検出しながら、磁気ヘッドが正確にトラック上を走査するように磁気ヘッドの位置を修正する制御が行われている。
したがって、上述したサーボ信号等は、磁気ヘッドが正確にトラック上を走査するための基準信号となることから、これらの信号の書き込みには高い位置決め精度が求められる。このため、従来のハードディスクドライブの製造現場では、高精度の位置検出装置を組み込んだ専用のサーボ信号記録装置(以下、サーボライタという。)を用いて、磁気記録媒体に対するサーボ信号等の書き込みが行われている。また、サーボライタは、その生産性を高めるために、一つのスピンドルに多数枚の磁気記録媒体をチャッキングし、これらの磁気記録媒体に対して同時にサーボ信号等を書き込む構造となっている。
しかしながら、上述したサーボライタによるサーボ信号等の書き込みには、以下の課題が存在する。すなわち、磁気ヘッドを高精度に位置決めしながら多数のトラックに亘って信号を書き込むためには、多くの時間がかかり、更に生産性を上げるためには、多くのサーボライタを同時に稼働させる必要がある。しかしながら、導入するサーボライタの数を増やすと、その維持管理に多額のコストがかかることになる。また、スピンドルを長くして同時にチャッキングできる磁気記録媒体の枚数を増やすと、回転中にブレが生じ易くなり、磁気記録媒体に対する書き込み精度の低下を招くことになる。したがって、1つのスピンドルにチャッキングできる磁気記録媒体の枚数には自ずと限界がある。そして、これらの課題は、磁気記録媒体のトラック密度が向上し、トラック数が多くなるほど深刻なものとなっている。
そこで、磁気記録媒体へのサーボ信号等の書き込みをサーボライタではなく、全てのサーボ信号等に対応する磁気転写パターンが書き込まれたマスター情報担体を用いて、このマスター情報担体に書き込まれた信号を磁気記録媒体に一括して磁気転写する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
具体的に、この方法では、マスター情報担体と磁気記録媒体とを密着させた状態で、外部から転写用のエネルギーとして磁界を加えながら、マスター情報担体に書き込まれた信号を磁気記録媒体に磁気転写する。これにより、磁気記録媒体に対するサーボ信号等の書き込み作業を短時間で行うことが可能である。また、このようなマスター情報担体は、繰り返し使用可能となっている。
特開平10−40544号公報 特開2001−6169号公報 特開2000−203889号公報 特開平10−106229号公報 特開平11−277339号公報
ところで、上述した磁気転写を行う場合、磁気記録媒体の表面に異常突起等が存在すると、磁気記録媒体とマスター情報担体とを重ね合わせた際に、この異常突起等の噛み込みによって磁気記録媒体やマスター情報担体の表面に陥没部分が発生し、磁気転写が不完全となるといった問題が発生してしまう。
磁気転写に用いられるマスター情報担体は、非常に高価であるため、磁気記録媒体の製造コストを低減するためには、1枚のマスター情報担体が摩耗等によって破損するまでに転写できる合計の回数(使用回数)を高めることが重要である。
そこで、磁気記録媒体の表面にバーニッシュ処理を施し、表面の突起物や埃等を除去した後に、この磁気記録媒体にマスター情報担体を重ね合わせて磁気転写を行うことによって、マスター情報担体の使用回数を高めることが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
ここで、磁気記録媒体の製造工程で行われる基板表面等のクリーニングは、洗浄液を用いた湿式クリーニングと、ワイピングテープ等を用いた乾式クリーニングとに大別される。前者の湿式クリーニングは、後者の乾式クリーニングに比べ、クリーニングする能力に優れるものの、洗浄液に含まれる磁気記録媒体から除去された汚れが媒体表面に再付着する場合がある。このため、湿式クリーニングは、例えば上記特許文献3に記載されているように、それほど高い洗浄性が要求されないアルミニウム合金やガラス等の磁気記録媒体用非磁性基板の洗浄に主に用いられている。
また、磁気記録媒体の洗浄に湿式クリーニングが用いられる場合もあるが、磁気記録媒体に含まれるFeやCo等の腐食や汚れの再付着を防ぐため、純水を用いた数秒間程度の短時間のスピン洗浄に限られる。また、磁気記録媒体の表面に付着するのは、スパッタダスト等のような粒状物が多く、これらを除去するためには、織布や不織布を用いたワイピングの方が効果的と考えられている。
しかしながら、本発明者らの検討によると、上述した磁気記録媒体の表面に対するバーニッシュ処理や、磁気記録媒体及びマスター情報担体の表面に対する織布等を用いたワイピング処理、湿式洗浄等を行うことによって、それらの表面にある突起物や埃等を除去した場合でも、マスター情報担体が摩耗によって破損に至る前に、転写パターンが不完全となる状況が発生することがわかった。この場合、1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる合計回数を商業生産に適用するのに十分な使用回数まで高めることは依然として困難である。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、繰り返し使用可能なマスター情報担体を用いて磁気転写を行う場合に、1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる合計の回数を大幅に向上させた磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、マスター情報担体による磁気転写パターンが不完全となるのは、マスター情報担体の表面に付着する金属腐食物に代表されるイオン性の不純物質等が原因であり、これは磁気記録媒体の表面に僅かに残留する金属腐食物等がマスター情報担体に少しずつ転写されて蓄積することを解明した。また、磁気記録媒体の表面に僅かに残留する金属腐食物等は、通常のバーニッシュ処理、ワイピング、洗浄等では除去不能なレベルのものであり、これが僅かずつマスター情報担体に蓄積されて、マスター情報担体の凹部に入り込むこと、マスター情報担体の転写面のワイピング等ではこれら物質の除去が困難であることを解明した。さらに、マスター情報担体の凹部に入り込んだ蓄積物がマスター情報担体の凸部を徐々に浸食し、マスター情報担体による転写精度を低下させることを解明した。
そこで、本発明者らは、磁気転写を行う際に繰り返し使用可能なマスター情報担体を用いると共に、このマスター情報担体の表面にフロン系の洗浄液を吹き付けながらマスター情報担体を洗浄する工程を設けることによって、磁気記録媒体からマスター情報担体に転写された金属腐食物等を効率良く除去し、その結果、このマスター情報担体の使用回数を飛躍的に向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体とを重ね合わせた後、前記マスター情報担体側から外部磁界を印加しながら、前記マスター情報担体から前記磁気記録媒体へと情報信号を磁気転写する工程を含む磁気記録媒体の製造方法であって、
前記磁気転写を行う際に繰り返し使用可能なマスター情報担体を用いると共に、このマスター情報担体の表面にフロン系の洗浄液を吹き付けながらマスター情報担体を洗浄する工程を設けることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2) 前記フロン系の洗浄液が、フルオロカーボン系の洗浄液を含むことを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(3) 前記マスター情報担体の洗浄を定期的に行うことを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
以上のように、本発明では、磁気転写を行う際に繰り返し使用可能なマスター情報担体を用いると共に、このマスター情報担体の表面にフロン系の洗浄液を吹き付けながらマスター情報担体を洗浄する工程を設けることで、磁気記録媒体からマスター情報担体に転写された金属腐食物等を効率良く除去することが可能である。
したがって、本発明によれば、1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる合計の回数を飛躍的に高めることが可能となり、その結果、磁気記録媒体の生産コストを大幅に低減することが可能である。
図1は、本発明の磁気転写工程を説明するための断面図である。 図2は、磁気記録媒体の一例を示す断面図である。 図3は、磁気記録再生装置の一例を示す斜視図である。
以下、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を模式的に示している場合があり、各部の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体とを重ね合わせた後、マスター情報担体側から外部磁界を印加しながら、マスター情報担体から磁気記録媒体へと情報信号を磁気転写する工程(磁気転写工程という。)を含むものであって、磁気転写を行う際に繰り返し使用可能なマスター情報担体を用いると共に、このマスター情報担体の表面にフロン系の洗浄液を吹き付けながらマスター情報担体を洗浄する工程(担体洗浄工程という。)を設けることを特徴とする。
(担体洗浄工程)
具体的に、本発明の担体洗浄工程では、上記マスター情報担体Mの洗浄にフロン系の洗浄液を用いる。これは、磁気記録媒体の表面に僅かに残留し、バーニッシュ処理や、ワイピング、スピン洗浄、従来の湿式洗浄等では除去不可能なレベルの量の汚染物質、特に金属腐食物に代表されるイオン性の不純物質等が磁気記録媒体からマスター情報担体に転写された場合に、これらをマスター情報担体の表面から除去することを目的とし、このフロン系の洗浄液をマスター情報担体の表面に吹き付けながらマスター情報担体を洗浄することで、マスター情報担体に設けられたFeやCo等を含む磁性層の腐食を低減し、また高い洗浄力で汚染物質を除去することができるからである。
フロン系の洗浄液としては、炭素と水素の他に、フッ素、塩素、臭素などのハロゲンを含む化合物を用いることができ、具体的には、クロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロカーボン(FC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハロン等を例示することができる。これらの化合物は、化学的に安定で反応性が低く、ほとんど毒性を有しない。また、揮発性や親油性などの特性を持っているため、本発明の洗浄剤として好適に用いることができる。特に、本発明では、マスター情報担体に蓄積する金属腐食物等に対する洗浄性、速乾性などの観点から、フルオロカーボン系の洗浄液を用いることが好ましい。
そして、このような洗浄液をノズルの先端から噴射し、ノズルを移動させながら、マスター情報担体の全面に亘って洗浄液を吹き付ける。洗浄後は、スピン乾燥法やドライエア乾燥法等を用いてマスター情報担体を速やかに乾燥させることが好ましい。
以上のようにして、本発明の担体洗浄工程では、上述した磁気記録媒体の表面に僅かに残留し、バーニッシュ処理や、ワイピング、スピン洗浄、従来の湿式洗浄等では除去不可能なレベルの量の汚染物質、特に金属腐食物に代表されるイオン性の不純物等が磁気記録媒体からマスター情報担体Mに転写された場合に、これらをマスター情報担体Mの表面から効率よく除去することが可能である。また、洗浄後に、これらがマスター情報担体Mから磁気記録媒体Wの表面に再付着することを防止した高度な担体洗浄を行うことが可能である。その結果、従来の方法では得られない清浄な表面を有するマスター情報担体Mを得ることが可能である。
なお、本発明では、後述する磁気転写工程を行う毎に上記担体洗浄工程を行うことができ、また、後述する磁気転写工程を一定回数行う毎に上記担体洗浄工程を定期的に行うこともできる。
(磁気転写工程)
磁気転写工程では、上記本発明の媒体洗浄工程によって表面が清浄化された磁気記録媒体に対してサーボ信号等の書き込み作業を磁気転写によって行う。具体的に、この磁気転写工程では、先ず、磁気記録媒体の信号記録面を初期磁化する。この初期磁化は、面内磁気記録媒体の場合は、トラック方向の一方向に初期直流磁界を印加することにより行い、垂直磁気記録媒体の場合は、媒体表面に対して垂直な方向の一方向に初期直流磁界を印加することにより行う。
この初期直流磁界は、永久磁石や電磁石を用いて印加することが可能である。また、永久磁石としては、より安定で磁力の強いNdFeB系の焼結磁石を用いることが好ましい。また、初期直流磁界の印加は、磁気記録媒体と非接触の状態で行うことが、磁気記録媒体の表面の清浄性を維持する上で好ましい。
次に、図1に示すように、初期直流磁界の印加を行った後の磁気記録媒体Wの信号記録面と、サーボ信号等に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体Mの転写面とを接触させた状態で、互いを所定の押圧力で密着させる。そして、この状態で、マスター情報担体Mの転写面とは反対側から、磁界生成手段Gを用いて、この磁界生成手段Gを相対的にトラック方向Xに移動させながら転写用の外部磁界を印加する。この転写用の外部磁界は、上記初期直流磁界とは逆方向となる磁界である。これにより、磁気記録媒体Wでは、マスター情報担体Mの転写パターンと対向する箇所で磁化反転が生じ、サーボ信号等に対応した磁化パターンが磁気転写により書き込まれることになる。
なお、マスター情報担体Mについては、公知の方法によって製造することができる。具体的に、このようなマスター情報担体Mを製造する際は、先ず、シリコンウェハの表面に電子線レジストをスピンコート法により塗布する。その後、このレジストに対して、電子線露光装置を用いてサーボ信号等に対応させて変調した電子ビームを照射し、レジストの露光・現像を行った後、未露光部分を除去することによって、シリコンウェハ上に、転写パターンに対応したレジストパターンを形成する。
次に、このレジストパターンをマスクにして、シリコンウェハに対して反応性エッチング処理を行い、レジストでマスクされていない箇所を掘り下げる。このエッチング処理後、シリコンウェハ上に残存するレジストを溶剤で洗浄除去する。その後、シリコンウェハを乾燥させて、マスター情報担体を作製するための原盤を得る。
次に、この原盤上に、Niからなる導電層をスパッタリング法により10nm程度の厚みで形成する。その後、この導電層を形成した原盤を母型として用い、電鋳法により、この原盤上に数ミクロン厚のNi層を形成する。その後、Ni層を原盤から外し、このNi層の洗浄等を行い、表面に凸部100a及び凹部100bが形成されたNi基材100を得る。
次に、このNi基材100の表面に磁性層101を形成する。この磁性層101については、上記磁気記録媒体Wに用いられる磁性層と同じものを使用することができる。なお、Ni基材100の表面に形成された磁性層101のうち、磁気記録媒体Wへの磁気転写に用いられるのは凸部100aが形成された部分の磁性層101であり、凹部100aが形成された部分の磁性層101は、磁気記録媒体Wと接触しないため、磁気転写に用いられない。
さらに、このNi基材100の表面には、磁気記録媒体Wと同様に保護膜(図示せず。)が形成される。この保護膜は、マスター情報担体Mの耐摩耗性を高めるためのものであり、数nm程度の厚さの硬質炭素膜等が用いられる。
以上の工程を経ることによって、サーボ信号等に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体Mを得ることができる。
磁界生成手段Gは、電磁石や永久磁石によって構成されるものであり、面内磁気記録媒体の場合は、トラック方向の他方向に転写用の外部磁界を発生させ、垂直磁気記録媒体の場合は、媒体表面に対して垂直な方向の他方向に転写用の外部磁界を発生させる。そして、この磁界生成手段Gは、磁気記録媒体Wの半径方向において同一方向の外部磁界を発生させながら、磁気記録媒体Wの中心にトラック方向Xに回転移動させることが可能となっている。
ここで、ハードディスクドライブに内蔵される磁気記録媒体Wは、一般的に非磁性基板200の両面に磁気層201が形成されており、また、1台のハードディスクドライブには、複数枚の磁気記録媒体Wが内蔵される場合が多い。このため、ハードディスクドライブでは、複数の磁気ヘッドがスタック構造により一体で移動操作されるが、磁気記録媒体Wのトッラク幅は益々狭くなっており、1つの磁気記録媒体Wの信号記録面に書き込まれたサーボ信号等を用いて、他の信号記録面における磁気ヘッドの位置決めを行うことはヘッドのスタック構造の精度からは困難となっている。
したがって、本発明の磁気転写工程では、磁気記録媒体Wの両面に磁気転写によってサーボ信号等を書き込むことが好ましい。具体的には、磁気記録媒体Wの両面を一対のマスター情報担体Mで挟み込んだ状態とする。そして、この状態で、これらマスター情報担体Mの転写面とは反対側から、磁界生成手段Gを用いて転写用の外部磁界を印加する。これにより、磁気記録媒体Wの両面にサーボ信号等を書き込むことができる。
また、磁性層201の保磁力Hcは、通常は320kA/m(約4000Oe)以上である。したがって、本発明の磁気転写工程では、この磁性層201を初期直流磁化した後、磁気記録媒体の両面をマスター情報担体Mで挟み込み、磁気転写できる強度の磁界をマスター情報担体Mを介して印加して磁気転写を行うことが好ましい。
本発明の磁気転写工程では、上記媒体洗浄工程によって表面が高度に清浄化された磁気記録媒体Wに対して磁気転写を行うため、マスター情報担体Mと磁気記録媒体Wとを重ね合わせた際に、上述した磁気記録媒体Wの表面に僅かに残留する金属腐食物等がマスター情報担体Mに少しずつ転写されて蓄積されることを防止することが可能である。特に、このような蓄積物がマスター情報担体Mの転写面の凹部100bに入り込み、凸部100aを浸食しながら、磁気記録媒体Wに書き込まれる磁化パターンを劣化させることを防止することが可能である。
したがって、本発明によれば、1枚のマスター情報担体Mによって繰り返し転写できる合計の回数を飛躍的に高めることが可能であり、その結果、磁気記録媒体の生産コストを大幅に低減することが可能である。
(磁気記録媒体)
次に、本発明を適用して製造される磁気記録媒体の一例を図2に示す。
この磁気記録媒体は、図2に示すように、非磁性基板1上に、スペーサ層2bにより反強磁性結合させた2層の軟磁性層2aを含む軟磁性下地層2と、配向制御層3と、垂直磁性層4と、保護層5と、潤滑剤膜6とを順次積層した構造を有している。
また、垂直磁性層4は、下層の磁性層4aと、中層の磁性層4bと、上層の磁性層4cとの3層を含み、磁性層4aと磁性層4bの間で非磁性層7aを、磁性層4bと磁性層4cの間で非磁性層7bを挟み込むことで、これら磁性層4a〜4cと非磁性層7a,7bとが交互に積層された構造を有している。
非磁性基板1としては、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属材料からなる金属基板を用いてもよく、例えば、ガラスや、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。また、これら金属基板や非金属基板の表面に、例えばメッキ法やスパッタ法などを用いて、NiP層又はNiP合金層が形成されたものを用いることもできる。
ガラス基板としては、例えば、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどを用いることができ、アモルファスガラスとしては、例えば、汎用のソーダライムガラスや、アルミノシリケートガラスなどを用いることができる。また、結晶化ガラスとしては、例えば、リチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。セラミック基板としては、例えば、汎用の酸化アルミニウムや、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体、又はこれらの繊維強化物などを用いることができる。
非磁性基板1は、その平均表面粗さ(Ra)が1nm(10Å)以下、好ましくは0.5nm以下であるとことが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下。)であることが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、端面のチャンファー部の面取り部と、側面部との少なくとも一方の表面平均粗さ(Ra)が10nm以下(より好ましくは9.5nm以下。)のものを用いることが、磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。なお、微少うねり(Wa)は、例えば、表面荒粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
また、非磁性基板1は、Co又はFeが主成分となる軟磁性下地層2と接することで、表面の吸着ガスや、水分の影響、基板成分の拡散などにより、腐食が進行する可能性がある。この場合、非磁性基板1と軟磁性下地層2の間に密着層を設けることが好ましく、これにより、これらを抑制することが可能となる。なお、密着層の材料としては、例えば、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金など適宜選択することが可能である。また、密着層の厚みは2nm(20Å)以上であることが好ましい。
軟磁性層2a,2cとしては、Fe:Coを40:60〜70:30(原子比)の範囲で含む材料を用いることが好ましい。また、その透磁率や耐食性を高めるために、Ta、Nb、Zr、Crの中から選ばれる何れか1種を1〜8原子%の範囲で含有させることが好ましい。スペーサ層2bとしては、Ru、Re、Cu等を用いることができるが、この中で特にRuを用いることが好ましい。
配向制御層3は、垂直磁性層4の結晶粒を微細化して、記録再生特性を改善するためのものである。この配向制御層3としては、特に限定されるものではないが、hcp構造、fcc構造、アモルファス構造を有するものを用いることが好ましい。特に、Ru系合金、Ni系合金、Co系合金、Pt系合金、Cu系合金を用いることが好ましい。また、これらの合金を多層化してもよい。例えば、基板側からNi系合金とRu系合金との多層構造、Co系合金とRu系合金との多層構造、Pt系合金とRu系合金との多層構造を採用することが好ましい。
ここで、配向制御層3直上の垂直磁性層4の初期部には、結晶成長の乱れが生じやすく、これがノイズの原因となる。この場合、配向制御層3と垂直磁性層4の間に非磁性下地層8を設けることが好ましい。この初期部の乱れた部分を非磁性下地層8で置き換えることで、ノイズの発生を抑制することができる。
非磁性下地層8としては、Coを主成分とし、更に酸化物を含んだ材料からなるものを用いることが好ましい。Crの含有量は、25原子%以上、50原子%以下とすることが好ましい。酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましく、その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。酸化物の含有量としては、磁性粒子を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上、18mol%以下とすることが好ましい。
磁性層4a,4b,4cとしては、Coを主成分とし、更に酸化物を含んだ材料を用いることが好ましく、この酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。また、下層の磁性層4aは、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。
磁性層4a,4b,4cに適した材料としては、例えば、90(Co14Cr18Pt)−10(SiO){Cr含有量14原子%、Pt含有量18原子%、残部Coからなる磁性粒子を1つの化合物として算出したモル濃度が90mol%、SiOからなる酸化物組成が10mol%}、92(Co10Cr16Pt)−8(SiO)、94(Co8Cr14Pt4Nb)−6(Cr)の他、(CoCrPt)−(Ta)、(CoCrPt)−(Cr)−(TiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)−(TiO)、(CoCrPtMo)−(TiO)、(CoCrPtW)−(TiO)、(CoCrPtB)−(Al)、(CoCrPtTaNd)−(MgO)、(CoCrPtBCu)−(Y)、(CoCrPtRu)−(SiO)などの組成物を挙げることができる。
また、本発明では、上記垂直磁性層4を4層以上の磁性層で構成することも可能である。例えば、上記磁性層4a,4bに加えて、グラニュラー構造の磁性層を3層で構成し、その上に、酸化物を含まない磁性層4cを設けた構成とし、また、酸化物を含まない磁性層4cを2層構造として、磁性層4a,4bの上に設けた構成とすることができる。
また、本発明では、垂直磁性層4を構成する3層以上の磁性層間に非磁性層7を設けることが好ましい。非磁性層7を適度な厚みで設けることで、個々の膜の磁化反転が容易になり、磁性粒子全体の磁化反転の分散を小さくすることができる。その結果S/N比をより向上させることが可能である。
保護層5は、垂直磁性層4の腐食を防ぐと共に、磁気ヘッドが磁気記録媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのものである。保護層5には、従来公知の材料を用いることができ、例えばC、SiO、ZrOなどを含むものを用いることが可能である。保護層5の厚みは、1〜10nmとすることが磁気ヘッドと磁気記録媒体の距離を小さくできるので高記録密度の点から好ましい。
潤滑剤膜6としては、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などの潤滑剤を保護層5上に塗布することによって形成される。
ところで、従来の磁気記録媒体の製造方法では、上述した潤滑剤の塗布工程の後に、ワイピング工程、バーニッシュ工程、磁気転写工程が行われる。これに対して、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法では、上記磁気転写工程の前に上記媒体洗浄工程が行われる。また、上記媒体洗浄工程は、潤滑剤の塗布工程の前に行うことが好ましい。
すなわち、本発明の媒体洗浄工程は、ワイピング工程やバーニッシュ工程では除去できない磁気記録媒体の表面の汚染物質を除去する目的で行われる。これらの汚染物質は、潤滑剤の塗布工程、ワイピング工程、バーニッシュ工程の後では洗浄除去することが困難となる場合がある。その理由は、推測ではあるが、汚染物質が潤滑剤膜6に覆われると、その撥水性により除去が困難となること、ワイピング工程、バーニッシュ工程の後では、汚染物質が磁気記録媒体の表面に塗り込められ、除去しにくくなることが考えられる。
また、上記媒体洗浄工程では、スパッタダスト等の粉状物をある程度除去することが可能であるが、ワイピング工程、バーニッシュ工程のように磁気記録媒体の表面をスクラブし、ワイプし、また削る効果が低いため、磁気記録媒体の表面に強固に付着した粉状物を除去することは困難である。したがって、上記媒体洗浄工程は、ワイピング工程、バーニッシュ工程と併用することが好ましい。
ワイピング工程は、例えば特許文献4に記載されているように、布製のワイピングテープ等を用いて行われる。すなわち、このワイピング工程は、ワイピングテープを磁気記録媒体の表面に対して相対走行させつつ、ゴム製のコンタクトロール又はパッドによってワイピングテープの表面を磁気記録媒体の表面に押し当てることにより、媒体表面を軽く拭く工程である。このような処理を行うことにより、磁気記録媒体の表面に付着したスパッタダスト等が除去されるので、磁気ヘッドの浮上量をより小さくすることが可能となる。
また、ワイピング工程に用いられるワイピングテープとしては、超極細繊維よりなる布帛を帯状にスリットしたワイピングテープや、超極細繊維マルチフィラメント糸の織編物などが用いられる。
また、このようなワイピングテープを用いる磁気記録媒体のワイピング方法は、具体的には、磁気記録媒体を回転させつつ、この磁気記録媒体の磁性層側の面に、ワイピングテープの表面(拭き面)を押し当てることにより行われる。これにより、磁気記録媒体の表面に付着したスパッタダスト等が拭き取られ、媒体表面が清浄化される。
ワイピングテープは、供給リールと巻取リールとの間に掛け渡されており、供給リールから順次供給され、巻取リールに順次巻き取られる。そして、この供給リール側から巻取リール側に走行する途中で、ワイピングテープの拭き面と反対側の面(裏面)がゴム等のバッキングロール又はフェルト等により押圧され、その拭き面が磁気記録媒体の表面に押し当てられる。
バーニッシュ工程は、磁気記録媒体の表面にある突起物を除去するため、研磨テープを用いてその表面を研磨する工程である。これにより、ハードディスクドライブでの磁気ヘッドの浮上量をより小さくし、また、上記磁気転写工程で磁気記録媒体とマスター情報担体Mとの間に隙間が生じて転写パターンが不鮮明となり、マスター情報担体Mが損傷を受けることを防止することができる。
このようなバーニッシュ工程は、例えば特許文献5に記載されているように、アルミナ砥粒を塗布した研磨テープ等を用いて行われる。すなわち、このバーニッシュ工程は、研磨テープをゴム製のコンタクトロールを磁気記録媒体の表面に押し当てることにより、媒体表面を軽く研磨する工程である。このような処理を行うことにより、磁気記録媒体の表面にある異常突起等が除去される。
バーニッシュ工程に用いられる研磨テープ(バーニッシュテープ)としては、通常ポリエステル製のベースフィルム上に研磨材層を形成してなるテープを使用する。そして、この研磨材層が磁気記録媒体の表面と接触して摺動することによって、媒体表面に付着した微小な塵埃が除去されると共に、その媒体表面に存在する異常突起等が研磨・除去されて、その媒体表面が平滑化される。
研磨材としては、平均粒子径が0.05μm〜50μm程度の、酸化クロム、α−アルミナ、炭化珪素、非磁性酸化鉄、ダイヤモンド、γ−アルミナ、α,γ−アルミナ、熔融アルミナ、コランダム、人造ダイヤモンド等が用いられる。
また、このようなバーニッシュ加工は、磁気記録媒体を回転させつつ、この磁気記録媒体の表面に、研磨テープの砥粒面を押し当てることにより行われる。これにより、磁気記録媒体の表面にある突起が研磨除去され、その媒体表面が平滑化される。ここで、研磨テープは、供給リールと巻取リールとの間に掛け渡されており、供給リールから順次供給され、巻取リールに順次巻き取られる。そして、この供給リール側から巻取リール側に走行する途中で、研磨テープの砥粒面と反対側の面(裏面)がゴム等のバッキングロール又はフェルト等により押圧され、研磨テープの砥粒面が磁気記録媒体の表面に押し当てられる。
上記磁気転写工程の後は、得られた磁気記録媒体に対してグライド検査が行われる。グライド検査とは、磁気記録媒体の表面に突起物が無いかどうか実際に磁気ヘッドを浮上走行させて検査する工程である。すなわち、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体に対して記録再生を行う際に、磁気記録媒体の表面に浮上量(媒体と磁気ヘッドの間隔)以上の高さの突起があると、磁気ヘッドが突起に衝突して磁気ヘッドが損傷したり、磁気記録媒体に欠陥が発生したりする原因となる。グライド検査では、そのような高い突起の有無を検査する。
グライド検査をパスした磁気記録媒体には、通常ではサーティファイ検査が実施される。サーティファイ検査とは、通常のハードディスクドライブの記録再生と同様に、磁気記録媒体に対して磁気ヘッドで所定の信号を記録した後、その信号を再生し、得られた再生信号によって磁気記録媒体の記録不能を検出し、磁気記録媒体の電気特性や欠陥の有無など媒体の品質を確かめるものである。
本発明を適用して製造された磁気記録媒体は、サーボ信号等が既に書き込まれているため、従来の方式でのサーティファイ検査とは異なる。すなわち、本発明を適用して製造された磁気記録媒体では、この磁気記録媒体に磁気転写されたサーボ信号等を用いて、磁気ヘッドを特定箇所に位置づけして読み書きを行う形式の検査を行う。
(磁気記録再生装置)
次に、本発明を適用して製造された磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置(ハードディスクドライブ)の一例を図3に示す。
この磁気記録再生装置は、上記図2に示す本発明を適用して製造された磁気記録媒体50と、磁気記録媒体50を回転駆動させる媒体駆動部51と、磁気記録媒体50に情報を記録再生する磁気ヘッド52と、この磁気ヘッド52を磁気記録媒体50に対して相対運動させるヘッド駆動部53と、記録再生信号処理系54とを備えている。また、記録再生信号処理系54は、外部から入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド52に送り、磁気ヘッド52からの再生信号を処理してデータを外部に送ることが可能となっている。また、この磁気記録再生装置が備える磁気ヘッド52には、再生素子として巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
上記磁気記録再生装置によれば、上記磁気記録媒体50に、本発明を適用して製造された高記録密度、高速書き込み、優れた電磁変換特性の磁気記録媒体を採用することで、優れたハードディスクドライブとすることが可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
実施例1では、先ず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板の上に、60Cr−40Tiターゲットを用いて層厚10nmの密着層を成膜した。また、この密着層の上に、46Fe−46Co−5Zr−3B{Fe含有量46原子%、Co含有量46原子%、Zr含有量5原子%、B含有量3原子%}のターゲットを用いて100℃以下の基板温度で、層厚34nmの軟磁性層を成膜し、この上にRu層を層厚0.76nmで成膜した後、さらに46Fe−46Co−5Zr−3Bの軟磁性層を層厚34nm成膜して、これを軟磁性下地層とした。
次に、上記軟磁性下地層2の上に、Ni−6W{W含有量6原子%、残部Ni}ターゲット、Ruターゲットを用いて、それぞれ5nm、20nmの層厚で順に成膜し、これを配向制御層とした。
次に、配向制御層3の上に、多層構造の磁性層として、84(Co12Cr16Pt)−16TiO(膜厚3nm)、Ru47.5Co(膜厚0.5nm)、91(Co11.5Cr13Pt10Ru)−4SiO−3Cr−2TiO(膜厚3nm)、Co15Cr16Pt6B(膜厚3nm)を積層した。
次に、CVD法により層厚2.5nmの炭素保護層を成膜し、実施例1の磁気記録媒体を得た。
以上の方法で製造した磁気記録媒体を超純水で洗浄した。実施例1の洗浄工程は3段の洗浄工程からなり、各洗浄工程に用いた洗浄槽は何れもSUS製で容積が20リットル、その内部に500Wの超音波振動が加えられる。そして各洗浄槽に、超純水15リットルを入れ、さらに1段目の洗浄槽には、KOHを0.1ppm添加した。この3段の洗浄槽に順に磁気記録媒体を浸漬し各洗浄槽で30秒間洗浄した。洗浄後の磁気記録媒体は速やかにドライエアを用いて引き上げ乾燥させた。
この磁気記録媒体の表面に、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑剤膜を厚さ15オングストロームで形成した。
潤滑剤を塗布した磁気記録媒体に対してワイピング処理を施した。ワイピングテープには、ナイロン樹脂とポリエステル樹脂による線径2μmの剥離型複合繊維を用いた。ワイピング処理は、磁気記録媒体の回転数を300rpm、ワイピングテープの送り速度は10mm/秒、ワイピングテープを磁気記録媒体に押し当てる際の押圧力は98mN、処理時間は5秒間とした。
ワイピング処理を施した磁気記録媒体に対してバーニッシュ加工を施した。バーニッシュテープには、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム上に、平均粒径0.5μmの結晶成長タイプのアルミナ粒子をエポキシ樹脂で固着したものを用いた。バーニッシュ加工は、磁気記録媒体の回転数は300rpm、研磨テープの送り速度は10mm/秒、研磨テープを磁気ディスクに押し当てる際の押圧力は98mN、処理時間は5秒間とした。
バーニッシュ加工を施した磁気記録媒体に対して初期磁化を施した。具体的には磁気記録媒体の両データ面に対し磁気記録媒体を貫通する10kOeの磁界を、NdFeB系焼結磁石を用いて加えた。
初期磁化を施した磁気記録媒体の両データ面に磁気転写用マスター情報担体を98mNの圧力で密着させ、磁気転写用マスター情報担体の裏面から記録磁界を印加した。この記録磁界の強度は4kOeとし、転写時間は10秒間とした。磁気転写用マスター情報担体には271kトラック/インチのサーボ信号等のパターンが形成され、トラックが幅120nm、トラック間の幅60nmで、パターンの段差は45nmである。磁気転写用マスター情報担体には、凸部を構成するNi基体の上に、DCスパッタリング法を用いて、層厚10nmのRu膜、磁性層として層厚20nmの70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金膜、層厚15nmの80Co−5Cr−15Pt合金膜、保護層として層厚20nmのCVD炭素膜をこの順で積層した。
実施例1では、1000回の磁気転写工程(1000枚の磁気記録媒体に対して磁気転写)を行う毎に、マスター情報担体の洗浄工程を行った。具体的には、洗浄液としてフルオロカーボン系の洗浄液(三井デュポンフロロケミカル社製、商品名:バートレルXF)を用い、この洗浄液を霧状してマスター情報担体の転写面に噴霧した。洗浄液の噴霧時間は3秒間、噴霧量はマスター情報担体1枚あたり10ccとした。噴霧後は、ドライエアを用いてマスター情報担体の表面を乾燥させた。
上記方法で製造した磁気記録媒体について1000枚毎に抜き取り評価を行った。具体的には、サーボ信号の再生特性を、リードライトアナライザ(型番:RWA1632;米国GUZIK社製)、及び、スピンスタンド(型番:S1701MP)を用いて測定した。この装置では、磁気記録媒体に記録されたサーボ信号等を読み込み、この信号を用いて磁気ヘッドの位置決めができる。この際、評価用の磁気ヘッドとして、TuMRを用いた磁気ヘッドを使用してサーボ信号の読み込み時のS/N比を評価し、S/N比が16.0dB以下となった場合に磁気転写不良と判断した。その結果、実施例1では、1枚のマスター情報担体で125000回の磁気転写が可能であった。
(比較例1)
比較例1では、実施例1のマスター情報担体の洗浄工程を行わなかった。その結果、比較例1では、1枚のマスター情報担体で32000回の磁気転写が可能であった。
1…非磁性基板 2…軟磁性下地層 2a…軟磁性層 2b…スペーサ層 3…配向制御層 4…垂直磁性層 4a,4b,4c…磁性層 5…保護層 6…潤滑剤膜 7a,7b…非磁性層 8…非磁性下地層
50…磁気記録媒体 51…媒体駆動部 52…磁気ヘッド 53…ヘッド駆動部 54…記録再生信号処理系
100…Ni基材 100a…凸部 100b…凹部 101…磁性層 200…非磁性基板 201…磁性層
W…磁気記録媒体 M…マスター情報担体 G…磁界生成手段

Claims (3)

  1. 非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体とを重ね合わせた後、前記マスター情報担体側から外部磁界を印加しながら、前記マスター情報担体から前記磁気記録媒体へと情報信号を磁気転写する工程を含む磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記磁気転写を行う際に繰り返し使用可能なマスター情報担体を用いると共に、このマスター情報担体の表面にフロン系の洗浄液を吹き付けながらマスター情報担体を洗浄する工程を設けることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記フロン系の洗浄液が、フルオロカーボン系の洗浄液を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記マスター情報担体の洗浄を定期的に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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