JP2012099171A - マスター情報担体及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

マスター情報担体及び磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気転写の際に磁気記録媒体から転写面に汚染物質が転写されることを防止したマスター情報担体を提供する。
【解決手段】情報信号に対応する転写パターン101が形成された転写面100aを有して、中心孔200aを有する円盤状の磁気記録媒体200の記録面200bに転写面100aを重ね合わせた状態で、転写面100aとは反対側から外部磁界を印加することによって、転写面100aから磁気記録媒体200の記録面200bへと情報信号を磁気転写する際に用いられるマスター情報担体100であって、磁気記録媒体200の内周側端部200c及び外周側端部200dと対向する部分に、これら内周側端部200c及び外周側端部200dとの接触を避ける内周側凹部105a及び外周側凹部105bが設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気転写に用いられるマスター情報担体、並びに、このマスター情報担体を用いた磁気記録媒体の製造方法に関する。
磁気記録再生装置の一種であるハードディスク装置(ハードディスクドライブ)は、現在その記録密度が年1.5倍以上で増えており、今後もその傾向は続くと言われている。それに伴って、高記録密度化に適した磁気ヘッド及び磁気記録媒体の開発が進められている。そして、最新の磁気記録装置においては、トラック密度が320kTPIにも達している。
このため、高いトラック密度を有する磁気記録媒体では、磁気ヘッドをトラック上で正確に走査するために、磁気ヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たしている。具体的に、現在のハードディスクドライブでは、ディスクの1周中、一定の角度間隔でトラッキング用のサーボ信号や、アドレス情報信号、再生クロック信号などの情報信号(以下、サーボ信号等という。)が記録されている。そして、磁気ヘッドから一定間隔の時間で再生されるこれらの信号によって、磁気ヘッドの位置を検出しながら、磁気ヘッドが正確にトラック上を走査するように磁気ヘッドの位置を修正する制御が行われている。
したがって、上述したサーボ信号等は、磁気ヘッドが正確にトラック上を走査するための基準信号となることから、これらの信号の書き込みには高い位置決め精度が求められる。このため、従来のハードディスクドライブの製造現場では、高精度の位置検出装置を組み込んだ専用のサーボ信号記録装置(以下、サーボライタという。)を用いて、磁気記録媒体に対するサーボ信号等の書き込みが行われている。また、サーボライタは、その生産性を高めるために、一つのスピンドルに多数枚の磁気記録媒体をチャッキングし、これらの磁気記録媒体に対して同時にサーボ信号等を書き込む構造となっている。
しかしながら、上述したサーボライタによるサーボ信号等の書き込みには、以下の課題が存在する。すなわち、磁気ヘッドを高精度に位置決めしながら多数のトラックに亘って信号を書き込むためには、多くの時間がかかり、更に生産性を上げるためには、多くのサーボライタを同時に稼働させる必要がある。しかしながら、導入するサーボライタの数を増やすと、その維持管理に多額のコストがかかることになる。また、スピンドルを長くして同時にチャッキングできる磁気記録媒体の枚数を増やすと、回転中にブレが生じ易くなり、磁気記録媒体に対する書き込み精度の低下を招くことになる。したがって、1つのスピンドルにチャッキングできる磁気記録媒体の枚数には自ずと限界がある。そして、これらの課題は、磁気記録媒体のトラック密度が向上し、トラック数が多くなるほど深刻なものとなっている。
そこで、磁気記録媒体へのサーボ信号等の書き込みをサーボライタではなく、全てのサーボ信号、又は、ハードディスクドライブがサーボ信号を生成するためのプリサーボ信号、セルフサーボ信号等に対応する磁気転写パターンが書き込まれたマスター情報担体を用いて、このマスター情報担体に書き込まれた信号を磁気記録媒体に一括して磁気転写する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
具体的に、この方法では、マスター情報担体と磁気記録媒体とを密着させた状態で、外部から転写用のエネルギーとして磁界を加えながら、マスター情報担体に書き込まれた信号を磁気記録媒体に磁気転写する。これにより、磁気記録媒体に対するサーボ信号等の書き込み作業を短時間で行うことが可能である。また、このようなマスター情報担体は、繰り返し使用可能となっている。
特開平10−40544号公報 特開2001−6169号公報 特開2000−203889号公報 特開平10−106229号公報 特開平11−277339号公報
ところで、上述した磁気転写を行う場合、磁気記録媒体の表面に異常突起等が存在すると、磁気記録媒体とマスター情報担体とを重ね合わせた際に、この異常突起等の噛み込みによって磁気記録媒体やマスター情報担体の表面に陥没部分が発生し、磁気転写が不完全となるといった問題が発生してしまう。
磁気転写に用いられるマスター情報担体は、非常に高価であるため、磁気記録媒体の製造コストを低減するためには、1枚のマスター情報担体が摩耗等によって破損するまでに転写できる合計回数(使用回数)を高めることが重要である。
そこで、磁気記録媒体の表面にバーニッシュ処理を施し、表面の突起物や埃等を除去した後に、この磁気記録媒体にマスター情報担体を重ね合わせて磁気転写を行うことによって、マスター情報担体の使用回数を高めることが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
また、磁気記録媒体の表面のバーニッシュ処理の他に、磁気記録媒体のクリーニングとして、洗浄液を用いた湿式クリーニングや、ワイピングテープ等を用いた乾式クリーニングが行われている。
しかしながら、本発明者らの検討によると、上述した磁気記録媒体の表面に対するバーニッシュ処理や、磁気記録媒体の表面に対する織布等を用いたワイピング処理、湿式洗浄等を行うことによって、それらの表面にある突起物や埃等を除去した場合でも、マスター情報担体が摩耗によって破損に至る前に、転写パターンが不完全となる状況が発生することがわかった。
すなわち、一般的にマスター情報担体は、磁気記録媒体よりも径が大きく、その中心部に孔部は穿設されていない。一方、中心孔を有する磁気記録媒体の内周側端部及び外周側端部には、バーニッシュ処理や洗浄処理におけるハンドリング等によりダストが付着しやすく、特に、上述したテープバーニッシュ処理やワイピング処理を経ることによって、磁気記録媒体の内周側端部及び外周側端部にダストが集まり、これが磁気転写の際にマスター情報担体を汚染することがわかった。この場合、1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる合計回数を商業生産に適用するのに十分な使用回数まで高めることは困難である。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、磁気転写の際に磁気記録媒体から転写面に汚染物質が転写されることを防止したマスター情報担体を提供することを目的とする。
また、本発明は、このようなマスター情報担体を用いることによって、1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる合計の回数を大幅に向上させた磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 情報信号に対応する転写パターンが形成された転写面を有して、中心孔を有する円盤状の磁気記録媒体の記録面に前記転写面を重ね合わせた状態で、前記転写面とは反対側から外部磁界を印加することによって、前記転写面から前記磁気記録媒体の記録面へと情報信号を磁気転写する際に用いられるマスター情報担体であって、
前記磁気記録媒体の内周側端部及び外周側端部と対向する部分に、これら内周側端部及び外周側端部との接触を避ける内周側凹部及び外周側凹部が設けられていることを特徴とするマスター情報担体。
(2) 前記転写面には、前記転写パターンに対応した凹凸パターンが形成されており、
前記内周側凹部及び外周側凹部は、前記凹凸パターンの凹部よりも深く形成されていることを特徴とする前項(1)に記載のマスター情報担体。
(3) 前記転写面は、前記磁気記録媒体よりも径の大きい円盤状の基材の表面に、前記転写パターンに対応した凹凸パターンと、この凹凸パターンが形成された面上を覆う磁性層とを有して構成されていることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載のマスター情報担体。
(4) 前記内周側凹部は、前記転写面の内周側において、前記磁気記録媒体の内周端部よりも外側から内側の領域を凹ましてなり、
前記外周側凹部は、前記転写面の外周側において、前記磁気記録媒体の外周端部よりも内側から外側の領域を凹ましてなることを特徴とする前項(1)〜(3)に記載のマスター情報担体。
(5) 前項(1)〜(4)の何れか一項に記載のマスター情報担体の転写面と、中心孔を有する円盤状の磁気記録媒体の記録面とを重ね合わせた後、前記マスター情報担体の転写面とは反対側から外部磁界を印加しながら、前記マスター情報担体の転写面から前記磁気記録媒体の記録面へと情報信号を磁気転写する工程を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
以上のように、本発明に係るマスター情報担体では、磁気記録媒体の内周側端部及び外周側端部と対向する部分に、これら内周側端部及び外周側端部との接触を避ける凹部を設けることによって、汚染物質が付着しやすい磁気記録媒体の内周側端部及び外周側端部から、これらの汚染物質が転写面に転写されることを防止することができる。
したがって、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法では、このようなマスター情報担体を用いることによって、1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる合計の回数を飛躍的に高めることが可能となり、その結果、磁気記録媒体の生産コストを大幅に低減することが可能となる。
本発明を適用したマスター情報担体と磁気記録媒体とを示す斜視図である。 図1に示すマスター情報担体と磁気記録媒体とを重ね合わせた状態を示す断面図である。 本発明の磁気転写工程を説明するための断面図である。 磁気記録媒体の一例を示す断面図である。 磁気記録再生装置の一例を示す斜視図である。
以下、本発明を適用したマスター情報担体及び磁気記録媒体の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を模式的に示している場合があり、各部の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(マスター情報担体)
例えば図1に示す本発明を適用したマスター情報担体100は、中心孔200aを有する円盤状の磁気記録媒体200の記録面200bにサーボ信号、プリサーボ信号、セルフサーボ信号等の情報信号を磁気転写する際に用いられるものである。
具体的に、このマスター情報担体100は、図1に示すように、磁気記録媒体200の記録面200bと対向する面(転写面という)100aに、上記情報信号に対応した転写パターン101を有している。また、マスター情報担体100は、磁気記録媒体200よりも径の大きい円盤状のNi基材102からなり、転写面100aは、図2に示すように、このNi基材102の表面に、上記転写パターン101に対応した凹凸パターン103と、この凹凸パターン103が形成された面上を覆う磁性層104とを有して構成されている。さらに、転写面100aには、このマスター情報担体100の耐摩耗性を高めるための保護膜(図示せず。)が設けられている。
ここで、上記転写面100aに形成された転写パターン101のうち、磁気転写に用いられるのは、上記凹凸パターン103の凸部103aが形成された部分の磁性層104であり、磁気転写の際に磁気記録媒体200の記録面200bと接触する部分である。一方、上記凹凸パターン103の凹部103bが形成された部分の磁性層104は、磁気転写の際に磁気記録媒体200の記録面200bと接触しないため、磁気転写に用いられない。
そして、このマスター情報担体100は、上記磁気記録媒体200の内周側端部200c及び外周側端部200dと対向する部分に、これら内周側端部200c及び外周側端部200dとの接触を避ける内周側凹部105a及び外周側凹部105bを有している。
このうち、内周側凹部105aは、上記磁気記録媒体200の内周側端部200cとの接触を避けるために、転写面100aの内周側において、上記磁気記録媒体200の内周端部200cよりもやや外側から内側の領域を平面視で円形に凹ましてなる。一方、外周側凹部105bは、上記磁気記録媒体200の外周側端部200dとの接触を避けるために、転写面100aの外周側において、上記磁気記録媒体200の外周端部200dよりもやや内側から外側の領域を平面視で円形リング状に凹ましてなる。また、これら内周側凹部105a及び外周側凹部105bは、上記凹凸パターン103の凹部103bよりも深く形成されている。
ここで、上記マスター情報担体100の製造方法を例示する。上記マスター情報担体100を製造する際は、先ず、シリコンウェハの表面に電子線レジストをスピンコート法により塗布する。その後、このレジストに対して、電子線露光装置を用いてサーボ信号等に対応させて変調した電子ビームを照射し、レジストの露光・現像を行った後、未露光部分を除去することによって、シリコンウェハ上に、上記凹凸パターン103、内周側凹部105a及び外周側凹部105bのネガパターンに対応したレジストパターンを形成する。
次に、このレジストパターンをマスクにして、シリコンウェハに対して反応性エッチング処理を行い、レジストでマスクされていない箇所を掘り下げる。このエッチング処理後、シリコンウェハ上に残存するレジストを溶剤で洗浄除去する。その後、シリコンウェハを乾燥させて、上記マスター情報担体100を作製するための原盤を得る。
次に、この原盤上に、Niからなる導電層をスパッタリング法により10nm程度の厚みで形成する。その後、この導電層の上に電鋳法により数ミクロン厚のNi層を形成する。その後、Ni層を原盤から外し、このNi層の洗浄等を行い、表面に上記凹凸パターン103、内周側凹部105a及び外周側凹部105bが形成されたNi基材102を得る。
次に、Ni基材102の表面に形成された凹凸パターン103をレジストで保護した状態で、内周側凹部105a及び外周側凹部105bをエッチングし、凹凸パターン103の凹部103bよりも更に深く掘り下げる。このように、内周側凹部105a及び外周側凹部105bは、磁気転写時に磁気記録媒体200の内周側端部及び外周側端部に付着するダストがマスター情報担体100に転写されるのを防ぐため、凹凸パターン103の凹部103bよりも深く形成することが好ましい。特に、内周側凹部105a及び外周側凹部105bの深さは、洗浄処理等による除去が困難な100nm程度の直径のダストの付着を防ぐために、100nm以上とすることが好ましい。
次に、Ni基材102表面のレジストを除去し、このNi基材102の表面に磁性層104を形成する。この磁性層104については、上記磁気記録媒体200に用いられる磁性層と同じものを使用することができる。さらに、このNi基材102の表面に保護膜(図示せず。)を形成する。この保護膜には、数nm程度の厚さの硬質炭素膜等を用いることができる。
以上の工程を経ることによって、上記マスター情報担体100を得ることができる。
(磁気転写工程)
本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法では、上記マスター情報担体100の転写面100aと、上記磁気記録媒体200の記録面200bとを重ね合わせた状態で、転写面100aとは反対側から外部磁界を印加することによって、転写面100aから磁気記録媒体200の記録面200bへと情報信号を磁気転写する工程(磁気転写工程という。)を含む。
具体的に、この磁気転写工程では、先ず、上記磁気記録媒体200の記録面200bを初期磁化する。この初期磁化は、面内磁気記録媒体の場合は、トラック方向の一方向に初期直流磁界を印加することにより行い、垂直磁気記録媒体の場合は、媒体表面に対して垂直な方向の一方向に初期直流磁界を印加することにより行う。
この初期直流磁界は、永久磁石や電磁石を用いて印加することが可能である。また、永久磁石としては、より安定で磁力の強いNdFeB系の焼結磁石を用いることが好ましい。また、初期直流磁界の印加は、上記磁気記録媒体200と非接触の状態で行うことが、上記磁気記録媒体200の表面の清浄性を維持する上で好ましい。
次に、図2に示すように、初期直流磁界の印加を行った後の磁気記録媒体200の記録面200bと、上記マスター情報担体100の転写面100aとを接触させた状態で、互いを所定の押圧力で密着させる。
そして、この状態から、図3に示すように、上記マスター情報担体100の転写面100aとは反対側から、磁界生成手段Gを用いて、この磁界生成手段Gを相対的にトラック方向Xに移動させながら転写用の外部磁界を印加する。この転写用の外部磁界は、上記初期直流磁界とは逆方向となる磁界である。これにより、上記磁気記録媒体200では、非磁性基板201上に形成された磁性層202の上記マスター情報担体100の凸部103aと接触する箇所で磁化反転が生じ、サーボ信号等に対応した磁化パターンが磁気転写により書き込まれることになる。
磁界生成手段Gは、電磁石や永久磁石によって構成されるものであり、面内磁気記録媒体の場合は、トラック方向の他方向に転写用の外部磁界を発生させ、垂直磁気記録媒体の場合は、媒体表面に対して垂直な方向の他方向に転写用の外部磁界を発生させる。そして、この磁界生成手段Gは、磁気記録媒体200の半径方向において同一方向の外部磁界を発生させながら、磁気記録媒体200の中心にトラック方向Xに回転移動させることが可能となっている。なお、図3は、垂直磁気記録媒体に対して磁気転写を行った場合を例示している。
ここで、ハードディスクドライブに内蔵される磁気記録媒体200は、一般的に非磁性基板201の両面に磁気層202が形成されており、また、1台のハードディスクドライブには、複数枚の磁気記録媒体200が内蔵される場合が多い。このため、ハードディスクドライブでは、複数の磁気ヘッドがスタック構造により一体で移動操作されるが、磁気記録媒体200のトッラク幅は益々狭くなっており、1つの磁気記録媒体200の記録面200aに書き込まれたサーボ信号等を用いて、他の記録面200aにおける磁気ヘッドの位置決めを行うことはヘッドのスタック構造の精度からは困難となっている。
したがって、本発明の磁気転写工程では、磁気記録媒体200の両面に磁気転写によってサーボ信号等を書き込むことが好ましい。具体的には、磁気記録媒体200の両面を一対のマスター情報担体100で挟み込んだ状態とする。そして、この状態で、これらマスター情報担体100の転写面100aとは反対側から、磁界生成手段Gを用いて転写用の外部磁界を印加する。これにより、磁気記録媒体200の両面にサーボ信号等を書き込むことができる。
なお、磁気記録媒体200の記録面200aに書き込む信号がプリサーボ信号の場合、プリサーボ信号はサーボ信号に比べてパターンの密度を下げることが可能となるため、磁気記録媒体200の片面のみに書き込めばよい場合があり、また1台のハードディスクドライブに複数枚の磁気記録媒体200が内蔵される場合、内蔵される1枚の磁気記録媒体の片面のみに書き込めばよい場合がある。
また、磁性層202の保磁力Hcは、通常は320kA/m(約4000Oe)以上である。したがって、本発明の磁気転写工程では、この磁性層202を初期直流磁化した後、磁気記録媒体200の両面をマスター情報担体100で挟み込み、このマスター情報担体100を介して磁性層202に磁気転写できる強度の磁界を印加して、磁気転写を行うことが好ましい。
ところで、本発明を適用したマスター情報担体100では、上述した磁気記録媒体200の内周側端部200c及び外周側端部200dと対向する部分に、これら内周側端部200c及び外周側端部200dとの接触を避ける内周側凹部105a及び外周側凹部105bが設けられている。
上述したように、磁気記録媒体200の内周側端部200c及び外周側端部200dには、製造工程におけるハンドリング等によりダストが付着しやすく、特に、テープバーニッシュ処理やワイピング処理を経ることによって、磁気記録媒体200の内周側端部200c及び外周側端部200dにダスト(汚染物質)が集まり、これが磁気転写の際にマスター情報担体100を汚染する可能性がある。
これに対して、本発明では、上記磁気記録媒体200の内周側端部200c及び外周側端部200dとの接触を避ける内周側凹部105a及び外周側凹部105bを設けることによって、汚染物質が付着しやすい磁気記録媒体100の内周側端部100c及び外周側端部100dから、これらの汚染物質が転写面100aに転写されることを防止することが可能である。
したがって、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法では、このようなマスター情報担体100を用いることによって、1枚のマスター情報担体100によって繰り返し転写できる合計の回数を飛躍的に高めることが可能となり、その結果、磁気記録媒体100の生産コストを大幅に低減することが可能となる。
(担体洗浄工程)
また、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法は、上記マスター情報担体100を水素水を含む洗浄液を用いて洗浄する工程(担体洗浄工程という。)を設けてもよい。
具体的に、この担体洗浄工程では、洗浄液が層流の状態で流れる洗浄槽内にマスター情報担体100を浸漬しながら、このマスター情報担体100の湿式洗浄を行う。これにより、磁気記録媒体200の表面に僅かに残留し、バーニッシュ処理や、ワイピング、スピン洗浄、従来の湿式洗浄等では除去不可能なレベルの量の汚染物質、特に金属腐食物に代表されるイオン性の不純物等が磁気記録媒体200からマスター情報担体100に転写された場合に、これらをマスター情報担体100の表面から効率よく除去することが可能である。
また、本発明では、マスター情報担体100の洗浄を定期的に行うことが好ましい。すなわち、上述した磁気記録媒体200の表面に僅かに残留する金属腐食物等は、マスター情報担体100に少しずつ転写されて蓄積される。そして、この蓄積物は、徐々にマスター情報担体100の転写面100aを浸食し、このマスター情報担体100による転写精度を低下させる。したがって、本発明では、繰り返し使用されるマスター情報担体100が磁気転写を行う中で、マスター情報担体100による転写精度が低下する前に洗浄を定期的に行うことが好ましい。具体的に、マスター情報担体100の洗浄工程は、マスター情報担体100を5000〜50000回使用する毎に行うことが好ましい。
また、本発明では、洗浄槽内で洗浄液を横方向に流しながら、マスター情報担体100の洗浄を行うことが好ましい。この場合、汚染物質を含む洗浄液を洗浄槽の外へと速やかに排出することができるため、マスター情報担体100の表面に汚染物質が再付着することを防止することが可能である。その結果、従来の方法では得られない清浄な表面を有するマスター情報担体100を得ることが可能である。
(磁気記録媒体)
次に、本発明を適用して製造される磁気記録媒体200の一例を図8に示す。
この磁気記録媒体200は、図8に示すように、非磁性基板31上に、スペーサ層32bにより反強磁性結合させた2層の軟磁性層32aを含む軟磁性下地層32と、配向制御層33と、垂直磁性層34と、保護層35と、潤滑剤膜36とを順次積層した構造を有している。
また、垂直磁性層34は、下層の磁性層34aと、中層の磁性層34bと、上層の磁性層34cとの3層を含み、磁性層34aと磁性層34bの間で非磁性層37aを、磁性層34bと磁性層34cの間で非磁性層37bを挟み込むことで、これら磁性層34a〜34cと非磁性層37a,37bとが交互に積層された構造を有している。
非磁性基板31としては、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属材料からなる金属基板を用いてもよく、例えば、ガラスや、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。また、これら金属基板や非金属基板の表面に、例えばメッキ法やスパッタ法などを用いて、NiP層又はNiP合金層が形成されたものを用いることもできる。
ガラス基板としては、例えば、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどを用いることができ、アモルファスガラスとしては、例えば、汎用のソーダライムガラスや、アルミノシリケートガラスなどを用いることができる。また、結晶化ガラスとしては、例えば、リチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。セラミック基板としては、例えば、汎用の酸化アルミニウムや、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体、又はこれらの繊維強化物などを用いることができる。
非磁性基板31は、その平均表面粗さ(Ra)が1nm(10Å)以下、好ましくは0.5nm以下であるとことが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下。)であることが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、端面のチャンファー部の面取り部と、側面部との少なくとも一方の表面平均粗さ(Ra)が10nm以下(より好ましくは9.5nm以下。)のものを用いることが、磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。なお、微少うねり(Wa)は、例えば、表面荒粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
また、非磁性基板31は、Co又はFeが主成分となる軟磁性下地層32と接することで、表面の吸着ガスや、水分の影響、基板成分の拡散などにより、腐食が進行する可能性がある。この場合、非磁性基板31と軟磁性下地層32の間に密着層を設けることが好ましく、これにより、これらを抑制することが可能となる。なお、密着層の材料としては、例えば、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金など適宜選択することが可能である。また、密着層の厚みは2nm(20Å)以上であることが好ましい。
軟磁性層32a,32cとしては、Fe:Coを40:60〜70:30(原子比)の範囲で含む材料を用いることが好ましい。また、その透磁率や耐食性を高めるために、Ta、Nb、Zr、Crの中から選ばれる何れか1種を1〜8原子%の範囲で含有させることが好ましい。スペーサ層32bとしては、Ru、Re、Cu等を用いることができるが、この中で特にRuを用いることが好ましい。
配向制御層33は、垂直磁性層34の結晶粒を微細化して、記録再生特性を改善するためのものである。この配向制御層33としては、特に限定されるものではないが、hcp構造、fcc構造、アモルファス構造を有するものを用いることが好ましい。特に、Ru系合金、Ni系合金、Co系合金、Pt系合金、Cu系合金を用いることが好ましい。また、これらの合金を多層化してもよい。例えば、基板側からNi系合金とRu系合金との多層構造、Co系合金とRu系合金との多層構造、Pt系合金とRu系合金との多層構造を採用することが好ましい。
ここで、配向制御層33直上の垂直磁性層34の初期部には、結晶成長の乱れが生じやすく、これがノイズの原因となる。この場合、配向制御層33と垂直磁性層34の間に非磁性下地層38を設けることが好ましい。この初期部の乱れた部分を非磁性下地層38で置き換えることで、ノイズの発生を抑制することができる。
非磁性下地層38としては、Coを主成分とし、更に酸化物を含んだ材料からなるものを用いることが好ましい。Crの含有量は、25原子%以上、50原子%以下とすることが好ましい。酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましく、その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。酸化物の含有量としては、磁性粒子を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上、18mol%以下とすることが好ましい。
磁性層34a,34b,34cとしては、Coを主成分とし、更に酸化物を含んだ材料を用いることが好ましく、この酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。また、下層の磁性層34aは、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。
磁性層34a,34b,34cに適した材料としては、例えば、90(Co14Cr18Pt)−10(SiO){Cr含有量14原子%、Pt含有量18原子%、残部Coからなる磁性粒子を1つの化合物として算出したモル濃度が90mol%、SiOからなる酸化物組成が10mol%}、92(Co10Cr16Pt)−8(SiO)、94(Co8Cr14Pt4Nb)−6(Cr)の他、(CoCrPt)−(Ta)、(CoCrPt)−(Cr)−(TiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)−(TiO)、(CoCrPtMo)−(TiO)、(CoCrPtW)−(TiO)、(CoCrPtB)−(Al)、(CoCrPtTaNd)−(MgO)、(CoCrPtBCu)−(Y)、(CoCrPtRu)−(SiO)などの組成物を挙げることができる。
また、本発明では、上記垂直磁性層34を4層以上の磁性層で構成することも可能である。例えば、上記磁性層34a,34bに加えて、グラニュラー構造の磁性層を3層で構成し、その上に、酸化物を含まない磁性層34cを設けた構成とし、また、酸化物を含まない磁性層34cを2層構造として、磁性層34a,34bの上に設けた構成とすることができる。
また、本発明では、垂直磁性層34を構成する3層以上の磁性層間に非磁性層37を設けることが好ましい。非磁性層37を適度な厚みで設けることで、個々の膜の磁化反転が容易になり、磁性粒子全体の磁化反転の分散を小さくすることができる。その結果S/N比をより向上させることが可能である。
保護層35は、垂直磁性層34の腐食を防ぐと共に、磁気ヘッドが磁気記録媒体200に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのものである。保護層35には、従来公知の材料を用いることができ、例えばC、SiO、ZrOなどを含むものを用いることが可能である。保護層35の厚みは、1〜10nmとすることが磁気ヘッドと磁気記録媒体200の距離を小さくできるので高記録密度の点から好ましい。
潤滑剤膜36としては、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などの潤滑剤を保護層35上に塗布することによって形成される。
ところで、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法では、上述した潤滑剤の塗布工程の後に、ワイピング工程、バーニッシュ工程、磁気転写工程が行われる。そして、上記担体洗浄工程は、上記磁気転写工程において所定回数使用されたマスター情報担体100に対して定期的に行われることになる。
ワイピング工程は、例えば特許文献4に記載されているように、布製のワイピングテープ等を用いて行われる。すなわち、このワイピング工程は、ワイピングテープを磁気記録媒体200の表面に対して相対走行させつつ、ゴム製のコンタクトロール又はパッドによってワイピングテープの表面を磁気記録媒体200の表面に押し当てることにより、媒体表面を軽く拭く工程である。このような処理を行うことにより、磁気記録媒体200の表面に付着したスパッタダスト等が除去されるので、磁気ヘッドの浮上量をより小さくすることが可能となる。
また、ワイピング工程に用いられるワイピングテープとしては、超極細繊維よりなる布帛を帯状にスリットしたワイピングテープや、超極細繊維マルチフィラメント糸の織編物などが用いられる。
また、このようなワイピングテープを用いる磁気記録媒体200のワイピング方法は、具体的には、磁気記録媒体200を回転させつつ、この磁気記録媒体200の磁性層側の面に、ワイピングテープの表面(拭き面)を押し当てることにより行われる。これにより、磁気記録媒体200の表面に付着したスパッタダスト等が拭き取られ、媒体表面が清浄化される。
ワイピングテープは、供給リールと巻取リールとの間に掛け渡されており、供給リールから順次供給され、巻取リールに順次巻き取られる。そして、この供給リール側から巻取リール側に走行する途中で、ワイピングテープの拭き面と反対側の面(裏面)がゴム等のバッキングロール又はフェルト等により押圧され、ワイピングテープの拭き面が磁気記録媒体200の表面に押し当てられる。
バーニッシュ工程は、磁気記録媒体200の表面にある突起物を除去するため、研磨テープを用いてその表面を研磨する工程である。これにより、ハードディスクドライブでの磁気ヘッドの浮上量をより小さくし、また、上記磁気転写工程で磁気記録媒体200とマスター情報担体100との間に隙間が生じて転写パターンが不鮮明となり、マスター情報担体100が損傷を受けることを防止することができる。
このようなバーニッシュ工程は、例えば特許文献5に記載されているように、アルミナ砥粒を塗布した研磨テープ等を用いて行われる。すなわち、このバーニッシュ工程は、研磨テープをゴム製のコンタクトロールを磁気記録媒体200の表面に押し当てることにより、媒体表面を軽く研磨する工程である。このような処理を行うことにより、磁気記録媒体200の表面にある異常突起等が除去される。
バーニッシュ工程に用いられる研磨テープ(バーニッシュテープ)としては、通常ポリエステル製のベースフィルム上に研磨材層を形成してなるテープを使用する。そして、この研磨材層が磁気記録媒体200の表面と接触して摺動することによって、媒体表面に付着した微小な塵埃が除去されると共に、その媒体表面に存在する異常突起等が研磨・除去されて、その媒体表面が平滑化される。
研磨材としては、平均粒子径が0.05μm〜50μm程度の、酸化クロム、α−アルミナ、炭化珪素、非磁性酸化鉄、ダイヤモンド、γ−アルミナ、α,γ−アルミナ、熔融アルミナ、コランダム、人造ダイヤモンド等が用いられる。
また、このようなバーニッシュ加工は、磁気記録媒体200を回転させつつ、この磁気記録媒体200の表面に、研磨テープの砥粒面を押し当てることにより行われる。これにより、磁気記録媒体200の表面にある突起が研磨除去され、その媒体表面が平滑化される。ここで、研磨テープは、供給リールと巻取リールとの間に掛け渡されており、供給リールから順次供給され、巻取リールに順次巻き取られる。そして、この供給リール側から巻取リール側に走行する途中で、研磨テープの砥粒面と反対側の面(裏面)がゴム等のバッキングロール又はフェルト等により押圧され、研磨テープの研磨面が磁気記録媒体200の表面に押し当てられる。
上記磁気転写工程の後は、得られた磁気記録媒体200に対してグライド検査が行われる。グライド検査とは、磁気記録媒体200の表面に突起物が無いかどうか検査する工程である。すなわち、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体200に対して記録再生を行う際に、磁気記録媒体200の表面に浮上量(媒体と磁気ヘッドの間隔)以上の高さの突起があると、磁気ヘッドが突起に衝突して磁気ヘッドが損傷したり、磁気記録媒体200に欠陥が発生したりする原因となる。グライド検査では、そのような高い突起の有無を検査する。
グライド検査をパスした磁気記録媒体200には、通常ではサーティファイ検査が実施される。サーティファイ検査とは、通常のハードディスクドライブの記録再生と同様に、磁気記録媒体200に対して磁気ヘッドで所定の信号を記録した後、その信号を再生し、得られた再生信号によって磁気記録媒体200の記録不能を検出し、磁気記録媒体200の電気特性や欠陥の有無など媒体の品質を確かめるものである。
本発明を適用して製造された磁気記録媒体200は、サーボ信号等が既に書き込まれているため、従来の方式でのサーティファイ検査とは異なる。すなわち、本発明を適用して製造された磁気記録媒体200では、この磁気記録媒体200に磁気転写されたサーボ信号等を用いて、磁気ヘッドを特定箇所に位置づけして読み書きを行う形式の検査を行う。
(磁気記録再生装置)
次に、本発明を適用して製造された磁気記録媒体200を備える磁気記録再生装置(ハードディスクドライブ)の一例を図9に示す。
この磁気記録再生装置は、上記図8に示す本発明を適用して製造された磁気記録媒体200と、磁気記録媒体200を回転駆動させる媒体駆動部71と、磁気記録媒体200に情報を記録再生する磁気ヘッド72と、この磁気ヘッド72を磁気記録媒体200に対して相対運動させるヘッド駆動部73と、記録再生信号処理系74とを備えている。また、記録再生信号処理系74は、外部から入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド72に送り、磁気ヘッド72からの再生信号を処理してデータを外部に送ることが可能となっている。また、この磁気記録再生装置が備える磁気ヘッド72には、再生素子として巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
上記磁気記録再生装置によれば、上記磁気記録媒体200に、本発明を適用して製造された高記録密度、高速書き込み、優れた電磁変換特性の磁気記録媒体200を採用することで、優れたハードディスクドライブとすることが可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
<磁気記録媒体の製造>
実施例1では、先ず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板の上に、60Cr−40Tiターゲットを用いて層厚10nmの密着層を成膜した。また、この密着層の上に、46Fe−46Co−5Zr−3B{Fe含有量46原子%、Co含有量46原子%、Zr含有量5原子%、B含有量3原子%}のターゲットを用いて100℃以下の基板温度で、層厚34nmの軟磁性層を成膜し、この上にRu層を層厚0.76nmで成膜した後、さらに46Fe−46Co−5Zr−3Bの軟磁性層を層厚34nm成膜して、これを軟磁性下地層とした。
次に、上記軟磁性下地層の上に、Ni−6W{W含有量6原子%、残部Ni}ターゲット、Ruターゲットを用いて、それぞれ5nm、20nmの層厚で順に成膜し、これを配向制御層とした。
次に、配向制御層の上に、多層構造の磁性層として、Co12Cr16Pt−16TiO(膜厚3nm)、Co5Cr22Pt−4SiO−3Cr−2TiO(膜厚3nm)、Ru47.5Co(膜厚0.5nm)、Co15Cr16Pt6B(膜厚3nm)を積層した。
次に、CVD法により層厚2.5nmの炭素保護層を成膜し、磁気記録媒体を得た。
次に、この磁気記録媒体の表面に、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑剤膜を厚さ15オングストロームで形成した。
次に、潤滑剤を塗布した磁気記録媒体に対してワイピング処理を施した。ワイピングテープには、ナイロン樹脂とポリエステル樹脂による線径2μmの剥離型複合繊維を用いた。ワイピング処理は、磁気記録媒体の内端をチャッキングして回転数は300rpm、ワイピングテープの送り速度は10mm/秒、ワイピングテープを磁気記録媒体に押し当てる際の押圧力は98mN、処理時間は5秒間とした。
次に、ワイピング処理を施した磁気記録媒体に対してバーニッシュ加工を施した。バーニッシュテープには、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム上に、平均粒径0.5μmの結晶成長タイプのアルミナ粒子をエポキシ樹脂で固着したものを用いた。バーニッシュ加工は、磁気記録媒体の内端をチャッキングして回転数は300rpm、研磨テープの送り速度は10mm/秒、研磨テープを磁気ディスクに押し当てる際の押圧力は98mN、処理時間は5秒間とした。
<マスター情報担体の製造>
マスター情報担体には、271kトラック/インチのサーボ信号等の転写パターンが形成されたものを用いた。なお、このマスター情報担体は、そのトラックが幅120nm、そのトラック間隔が60nm、転写パターンの段差が45nmである。このマスター情報担体は、転写パターンとなる凸部及び凹部を有するNi基材の上に、DCスパッタリング法を用いて、層厚10nmのRu膜と、磁性層として層厚20nmの70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金膜と、層厚15nmの80Co−5Cr−15Pt合金膜とを順次積層した後、その上に、保護層として層厚20nmのCVD炭素膜を形成することで作製される。さらに、このマスター情報担体の転写パターンの内側と外側には、転写パターンの凹部と同じ深さ(45nm)の凹部を設けた。この凹部は、磁気記録媒体の外端より更に0.5mm外側まで、磁気記録媒体の内端より更に0.5mm内側まで設けた。
<磁気転写工程>
バーニッシュ加工を施した磁気記録媒体に対して磁気転写によりサーボ信号等を書き込んだ。具体的には、磁気記録媒体の両データ面に対して、NdFeB系焼結磁石を用いて、磁気記録媒体を貫通する10kOeの磁界を加えながら、初期磁化を施した。
そして、初期磁化を施した磁気記録媒体の両面にマスター情報担体を98mNの圧力で密着させ、このマスター情報担体の裏面から記録磁界を印加した。この記録磁界の強度は6kOeとし、転写時間は10秒間とした。
<磁気転写後の磁気記録媒体の評価>
上記方法で磁気転写を1000枚の磁気記録媒体に対して行った後、マスター情報担体の外周部及び内周部を1000倍の微分干渉顕微鏡で観察したところ、マスター情報担体の外周部に2カ所、内周部に3カ所に0.3μm以下程度の汚れの付着が観察された。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様に磁気転写を行ったが、マスター情報担体の転写パターンの内側と外側に、転写パターンの凹部(45nm)より深い、200nmの凹部を設けた。この凹部は、磁気記録媒体の外端より更に0.5mm外側まで、磁気記録媒体の内端より更に0.5mm内側まで設けた。
そして、このマスター情報担体を用いて1000枚の磁気記録媒体に対して磁気転写を行った後、マスター情報担体の外周部及び内周部を1000倍の微分干渉顕微鏡で観察したところ、マスター情報担体の外周部及び内周部には汚れの付着が観察されなかった。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様に磁気転写を行ったが、マスター情報担体の転写パターンの内側と外側に凹部を設けなかった。
そして、このマスター情報担体を用いて1000枚の磁気記録媒体に対して磁気転写を行った後、マスター情報担体の外周部及び内周部を1000倍の微分干渉顕微鏡で観察したところ、マスター情報担体の外周部及び内周部には各々50カ所以上の汚れの付着が観察され、1000枚目の磁気転写媒体の外周及び内周トラックでは転写不良が観察された。
31…非磁性基板 32…軟磁性下地層 32a…軟磁性層 32b…スペーサ層 33…配向制御層 34…垂直磁性層 34a,34b,34c…磁性層 35…保護層 36…潤滑剤膜 37a,37b…非磁性層 38…非磁性下地層
71…媒体駆動部 72…磁気ヘッド 73…ヘッド駆動部 74…記録再生信号処理系
100…マスター情報担体 100a…転写面 101…転写パターン 102…Ni基材 103…凹凸パターン 103a…凸部 103b…凹部 104…磁性層 105a…内周側凹部 105b…外周側凹部 G…磁界生成手段
200…磁気記録媒体 200a…中心孔 200b…記録面 200c…内周側端部 200d…外周側端部 201…非磁性基板 202…磁性層

Claims (5)

  1. 情報信号に対応する転写パターンが形成された転写面を有して、中心孔を有する円盤状の磁気記録媒体の記録面に前記転写面を重ね合わせた状態で、前記転写面とは反対側から外部磁界を印加することによって、前記転写面から前記磁気記録媒体の記録面へと情報信号を磁気転写する際に用いられるマスター情報担体であって、
    前記磁気記録媒体の内周側端部及び外周側端部と対向する部分に、これら内周側端部及び外周側端部との接触を避ける内周側凹部及び外周側凹部が設けられていることを特徴とするマスター情報担体。
  2. 前記転写面には、前記転写パターンに対応した凹凸パターンが形成されており、
    前記内周側凹部及び外周側凹部は、前記凹凸パターンの凹部よりも深く形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマスター情報担体。
  3. 前記転写面は、前記磁気記録媒体よりも径の大きい円盤状の基材の表面に、前記転写パターンに対応した凹凸パターンと、この凹凸パターンが形成された面上を覆う磁性層とを有して構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスター情報担体。
  4. 前記内周側凹部は、前記転写面の内周側において、前記磁気記録媒体の内周端部よりも外側から内側の領域を凹ましてなり、
    前記外周側凹部は、前記転写面の外周側において、前記磁気記録媒体の外周端部よりも内側から外側の領域を凹ましてなることを特徴とする請求項1〜3に記載のマスター情報担体。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のマスター情報担体の転写面と、中心孔を有する円盤状の磁気記録媒体の記録面とを重ね合わせた後、前記マスター情報担体の転写面とは反対側から外部磁界を印加しながら、前記マスター情報担体の転写面から前記磁気記録媒体の記録面へと情報信号を磁気転写する工程を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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