JP2012094204A - マスター情報担体、磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

マスター情報担体、磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダストの再付着を予防でき、磁気記録媒体へ繰り返し転写できる合計の回数を大幅に向上させることが可能なマスター情報担体を提供する。
【解決手段】情報信号に対応する転写パターンPが形成された磁気転写面101bと、最大表面粗さが10nm以下である側端面101aと、側端面101aと磁気転写面101bとの間に設けられた最大表面粗さが10nm以下である面取り部101cと、を具備してなり、側端面101aと面取り部101cとの間には、曲率半径が0.01〜2mmの範囲内である曲面101dが設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、マスター情報担体及びハードディスク装置(ハードディスクドライブ)等の磁気記録再生装置に用いられる磁気記録媒体の製造方法に関するものであり、より詳しくは、情報信号を磁気記録媒体に磁気転写するために用いられるマスター情報担体と、このマスター情報担体によって磁気記録媒体へと情報信号を磁気転写する、磁気記録媒体の製造方法に関するものである。
磁気記録再生装置の一種であるハードディスク装置(ハードディスクドライブ)は、現在その記録密度が年1.5倍以上で増えており、今後もその傾向は続くと言われている。それに伴って、高記録密度化に適した磁気ヘッド及び磁気記録媒体の開発が進められている。そして、最新の磁気記録装置においては、トラック密度が320kTPIにも達している。
このため、高いトラック密度を有する磁気記録媒体では、磁気ヘッドをトラック上で正確に走査するために、磁気ヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たしている。具体的に、現在のハードディスクドライブでは、ディスクの1周中、一定の角度間隔でトラッキング用のサーボ信号や、アドレス情報信号、再生クロック信号などの情報信号(以下、サーボ信号等という。)が記録されている。そして、磁気ヘッドから一定間隔の時間で再生されるこれらの信号によって、磁気ヘッドの位置を検出しながら、磁気ヘッドが正確にトラック上を走査するように磁気ヘッドの位置を修正する制御が行われている。
したがって、上述したサーボ信号等は、磁気ヘッドが正確にトラック上を走査するための基準信号となることから、これらの信号の書き込みには高い位置決め精度が求められる。このため、従来のハードディスクドライブの製造現場では、高精度の位置検出装置を組み込んだ専用のサーボ信号記録装置(以下、サーボライタという。)を用いて、磁気記録媒体に対するサーボ信号等の書き込みが行われている。また、サーボライタは、その生産性を高めるために、一つのスピンドルに多数枚の磁気記録媒体をチャッキングし、これらの磁気記録媒体に対して同時にサーボ信号等を書き込む構造となっている。
しかしながら、上述したサーボライタによるサーボ信号等の書き込みには、以下の課題が存在する。すなわち、磁気ヘッドを高精度に位置決めしながら多数のトラックに亘って信号を書き込むためには、多くの時間がかかり、更に生産性を上げるためには、多くのサーボライタを同時に稼働させる必要がある。しかしながら、導入するサーボライタの数を増やすと、その維持管理に多額のコストがかかることになる。また、スピンドルを長くして同時にチャッキングできる磁気記録媒体の枚数を増やすと、回転中にブレが生じ易くなり、磁気記録媒体に対する書き込み精度の低下を招くことになる。したがって、1つのスピンドルにチャッキングできる磁気記録媒体の枚数には自ずと限界がある。そして、これらの課題は、磁気記録媒体のトラック密度が向上し、トラック数が多くなるほど深刻なものとなっている。
そこで、磁気記録媒体へのサーボ信号等の書き込みをサーボライタではなく、全てのサーボ信号等に対応する磁気転写パターンが書き込まれたマスター情報担体を用いて、このマスター情報担体に書き込まれた信号を磁気記録媒体に一括して磁気転写する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
具体的に、この方法では、マスター情報担体と磁気記録媒体とを密着させた状態で、外部から転写用のエネルギーとして磁界を加えながら、マスター情報担体に書き込まれた信号を磁気記録媒体に磁気転写する。これにより、磁気記録媒体に対するサーボ信号等の書き込み作業を短時間で行うことが可能である。また、このようなマスター情報担体は、繰り返し使用可能となっている。
特開平10−40544号公報 特開2001−6169号公報 特開2000−203889号公報
ところで、上述した磁気転写を行う場合、磁気記録媒体の表面に異常突起等が存在すると、磁気記録媒体とマスター情報担体とを重ね合わせた際に、この異常突起等の噛み込みによって磁気記録媒体やマスター情報担体の表面に陥没部分が発生し、磁気転写が不完全となるといった問題が発生してしまう。
磁気転写に用いられるマスター情報担体は、非常に高価であるため、磁気記録媒体の製造コストを低減するためには、1枚のマスター情報担体が摩耗等によって破損するまでに転写できる合計回数(使用回数)を高めることが重要である。
そこで、磁気記録媒体の表面にバーニッシュ処理を施し、表面の突起物や埃等を除去した後に、この磁気記録媒体にマスター情報担体を重ね合わせて磁気転写を行うことによって、マスター情報担体の使用回数を高めることが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
ここで、磁気記録媒体の製造工程で行われる基板表面等のクリーニングは、洗浄液を用いた湿式クリーニングと、ワイピングテープ等を用いた乾式クリーニングとに大別される。前者の湿式クリーニングは、後者の乾式クリーニングに比べ、クリーニングする能力に優れるものの、洗浄液に含まれる磁気記録媒体から除去された汚れが媒体表面に再付着する場合がある。このため、湿式クリーニングは、例えば上記特許文献3に記載されているように、それほど高い洗浄性が要求されないアルミニウム合金やガラス等の磁気記録媒体用非磁性基板の洗浄に主に用いられている。
また、磁気記録媒体の洗浄に湿式クリーニングが用いられる場合もあるが、磁気記録媒体に含まれるFeやCo等の腐食や汚れの再付着を防ぐため、純水を用いた数秒間程度の短時間のスピン洗浄に限られる。また、磁気記録媒体の表面に付着するのは、スパッタダスト等のような粒状物が多く、これらを除去するためには、織布や不織布を用いたワイピングの方が効果的と考えられている。
しかしながら、本発明者らの検討によると、上述した磁気記録媒体の表面に対するバーニッシュ処理や、磁気記録媒体及びマスター情報担体の表面に対する織布等を用いたワイピング処理、湿式洗浄等を行うことによって、それらの表面にある突起物や埃等を除去した場合でも、マスター情報担体が摩耗によって破損に至る前に、転写パターンが不完全となる状況が発生することがわかった。この場合、1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる合計回数を商業生産に適用するのに十分な使用回数まで高めることは依然として困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、繰り返し使用可能なマスター情報担体を用いて磁気転写を行う場合に、磁気記録媒体へ繰り返し転写できる合計回数を大幅に向上させることが可能なマスター情報担体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、マスター情報担体による磁気転写パターンが不完全となるのは、マスター情報担体の表面に付着するダストが原因であることが明らかになった。さらにこのダストの発生原因を調べたところ、磁気記録媒体の外周端面、内周端面に付着していたダストが磁気転写に際してマスター情報担体の端面に再付着し、このダストが、磁気転写時のマスター情報担体に加わる振動により、マスター情報担体の転写面に移動することが判明した。
磁気記録媒体のバーニッシュ処理やワイピング処理はデータ面に対して行われ、磁気記録媒体の外周端面、内周端面には行われない。さらに磁気記録媒体のデータ面は平滑性が高くダスト等が付着しにくい表面形状であるが、磁気記録媒体の外周端面、内周端面はデータ面ほどの平滑性はなく、その凹凸部にダストを付着させる場合がある。このため、磁気記録媒体の外周端面、内周端面の平滑性をデータ面程度まで高める対策も考えられるが、基板の製造コストの問題から限界がある。また磁気記録媒体の製造工程における基板の搬送は磁気記録媒体用基板の外周端面、内周端面をチャッキングして行われるため、この箇所におけるダストの付着は避けられない問題である。
そこで、本発明者らは、マスター情報担体の側端面と磁気転写面との間に面取り部を設け、かつ、側端面と面取り部との間が曲面を有しているマスター情報担体を用いることによって、磁気記録媒体の外周端面、内周端面からのダストがマスター情報担体の端面に再付着しにくくし、また、再付着したダストが転写面に移動しにくくし、その結果、このマスター情報担体の使用回数を飛躍的に向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 板状基体の上面に情報信号に対応する転写パターンが設けられてなるマスター情報担体において、前記板状基体の側端面と前記上面との間に面取り部が設けられるとともに、前記面取り部と前記側端面との間に曲率半径0.01〜2.0mmの曲面が設けられ、前記面取り部の幅が、0.1〜0.5mmの範囲であることを特徴とするマスター情報担体。
(2) 前記側端面及び前記面取り部の最大表面粗さが10nm以下であることを特徴とする(1)に記載のマスター情報担体。
(3) 非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体とを重ね合わせた後、前記マスター情報担体側から外部磁界を印加することにより、前記磁気記録媒体に情報信号を磁気転写する工程を含む磁気記録媒体の製造方法であって、前記マスター情報担体として、板状基体の上面に情報信号に対応する転写パターンが設けられ、前記板状基体の側端面と前記上面との間に面取り部が設けられ、前記面取り部と前記側端面との間に曲率半径0.01〜2.0mmの曲面が設けられ、前記面取り部の幅が0.1〜0.5mmの範囲であるマスター情報担体を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(4) 前記側端面及び前記面取り部の最大表面粗さが10nm以下である前記マスター情報担体を用いることを特徴とする(3)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
本発明にかかるマスター情報担体には、最大表面粗さが10nm以下である側端面と磁気転写面との間に、最大表面粗さが10nm以下である面取り部が設けられている。さらに、側端面と面取り部との間には曲率半径0.01〜2.0mmの範囲である曲面が設けられている。このような構成を有するマスター情報担体を用いて、磁気記録媒体への磁気転写を行う。これにより、磁気記録媒体の外周端面、内周端面に付着したダストがマスター情報担体の外周端面に再付着しにくくなり、またマスター情報担体の中央部に開口部がある場合は、この開口部の端面にダストが再付着しにくくなり、よってマスター情報担体の磁気転写面にダストが移動することが無くなる。
したがって、本発明によれば、1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる合計の回数を飛躍的に高めることが可能となり、その結果、磁気記録媒体の生産コストを大幅に低減することが可能である。
本発明であるマスター情報担体の端部の一例を示す断面模式図である。 本発明であるマスター情報担体の端部の製造方法を示す工程断面模式図である。 本発明の磁気転写工程に用いる磁気転写装置の一例を示す断面模式図である。 磁気記録媒体の一例を示す断面模式図である。 磁気記録再生装置の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施形態であるマスター情報担体および磁気記録媒体の製造方法を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を模式的に示している場合があり、各部の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(マスター情報担体)
まず、本実施形態におけるマスター情報担体について説明する。
本実施形態におけるマスター情報担体は、板状基体の上面に情報信号に対応する転写パターンが設けられてなるマスター情報担体であって、板状基体の側端面と上面との間に面取り部が設けられるとともに、面取り部と側端面との間に曲率半径0.01〜2.0mmの曲面が設けられ、側端面及び面取り部の最大表面粗さが10nm以下であることを特徴とする。なお、マスター情報担体の板状基体の側端面とは、マスター情報担体の板状基体が円盤状の場合はその外周側端面を、磁気記録媒体のように中央に開口部を有する円盤状の場合は外周側端面および内周側端面を指す。
以下に、本実施形態におけるマスター情報担体について詳細に説明する。なお、図1は、本実施形態におけるマスター情報担体Mを示す断面模式図である。
図1に示すように、板状基体100表面にサーボ信号等に対応する所定の転写パターンPが形成されている。なお、この転写パターンPが形成されている面(磁気転写面101b)が磁気記録媒体と接触し、磁気転写が行われる。
また、図示してはいないが、板状基体100表面には磁性層及びマスター情報担体Mの耐摩耗性を高めるための保護膜が形成されている。
なお、板状基体100としては、例えばNiを例示できる。
板状基体100の側端面101aと磁気転写面101bとの間には面取り部101cが形成されている。なお、この箇所へのダストの再付着を避け、また仮に再付着してもそのダストが磁気転写面101bに移動しにくくするためには、側端面101aと面取り部101cの最大表面粗さRmaxは10nm以下の範囲とし、面取り部101cの幅wは0.1〜0.5mmの範囲とすることが好ましい。
また、側端面101aと面取り部101cとの境界近傍表面には、丸みを帯びた曲面101dが形成されている。この曲面101dの曲率半径Rは0.01〜2mmの範囲とすることが好ましい。
上記のような本発明を適用したマスター情報担体によると、板状基体100の側端面101a及び面取り部101cともに最大表面粗さRmaxが10nm以下の範囲と、極めて細かい表面粗さに形成されている。
本願発明でこのような側端面形状を採用する理由であるが、磁気記録媒体の端面を介して運ばれるダストのサイズは、0.1μm〜1μmの範囲内のものが多く、またダストとしては、スパッタ工程におけるスパッタダストや、CVDによる炭素保護膜形成工程のカーボンダストが多い。そして、このようなダストの再付着を防き、また仮に再付着してもそのダストが磁気転写面101bに移動しにくくするためには上記の側端面形状が好ましいからである。
ところで、マスター情報担体Mの側端面は、板状基体100の外周部における側端面101aの他に、マスター情報担体Mの形状が円盤状の場合は、マスター情報担体Mの側端面は外周部における側端面101aのみであるが、前述のように、マスター情報担体M中央部に開口部(不図示)を有する円盤状の場合は、マスター情報担体Mの側端面は、外周部における側端面101aと中央部に設けた開口部の内周部側端面との2側端面の構成となる。このようなマスター情報担体の形状が中央部に開口部(不図示)を有する円盤状の場合においても、外周部における側端面101aと内周部側端面の両側端面に上記のような本発明の構成を適用することにより、上記と同様の効果を得ることが出来る。
次に、本実施形態であるマスター情報担体の製造方法について説明する。
なお、マスター情報担体のうち、本発明の特徴であるマスター情報担体の端部近傍の製造方法について詳細に説明するが、他の構成の製造方法については公知の方法により製造することができるため説明は省略する。
まず、図2(a)に示すように、公知の方法により板状基体100表面に磁性層(不図示)及び保護膜(不図示)を形成する。次いで、板状基体100表面にサーボ信号等に対応する所定の転写パターンPを形成する。
次に、図2(b)に示すように、転写パターンPを形成した面(磁気転写面101b)と板状基体100の側端面101aとの間に面取り部101cを形成する。面取り部101cの幅wは0.1〜0.5mmの範囲内とする。また、この面取り部101cの形成方法としては、公知の旋削加工、研削加工、研磨加工を用いるとよい。
次に、板状基体100の側端面101a及び面取り部101cを、最大表面粗さRmaxが10nm以下の範囲となるよう平滑化する。平滑化の方法としては、研削加工、ポリッシュ(研磨)、電解エッチング、化学エッチング等を例示できる。
具体的には、板状基体100の外周部である側端面101aの場合は、磁気転写面101bに研磨スラリーがかからないように保護し、板状基体100を磁気転写面101bに垂直の中心軸で回転させ、側端面101aに研磨スラリーを供給しながら、回転する研磨ブラシを当接させて研磨する方法がある。また、マスター情報担体の形状がドーナツ形状で、マスター情報担体M中央部に形成した開口部の内周側端面の場合は、板状基体100を磁気転写面101bに垂直の中心軸で回転させ(または固定した状態で)、開口部に研磨ブラシを挿入し、その内周側端面に研磨スラリーを供給しながら研磨ブラシを回転させながら当接させて研磨する方法がある。
また、エッチングとしては化学エッチング、電解エッチングを挙げることができる。すなわち、マスター情報担体Mの側端面101a、または面取り部101cを、酸を含む水溶液や電解液に漬け、必要に応じて電圧を印加し、各表面をエッチングする方法である。
また研削加工としては、#4000より細かな番手の弾性砥石を用いて、マスター情報担体Mの側端面101a、または面取り部101cを研く方法がある。
なお、何れの方法でも、研磨、エッチング、研削加工の前に磁気転写パターン部を樹脂シート等で保護しておく必要がある。
次に、図2(c)に示すように、側端面101aと面取り部101cとの境界近傍表面に、曲面101dを形成する。曲面101dの形成方法としては、#4000より細かな番手の弾性砥石を用いた研削加工を用いるとよい。また、このとき、曲面101dの曲率半径Rは0.01〜2mmの範囲とすることが好ましい。
以上の工程により、図1に示すマスター情報担体Mを製造することができる。
次に、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法について説明する。
本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体Mとを重ね合わせた後、マスター情報担体M側から外部磁界を印加しながら、マスター情報担体Mから磁気記録媒体へと情報信号を磁気転写する工程(磁気転写工程)を含むものであって、磁気転写を行う際に繰り返し使用可能であるとともに、側端面と磁気転写面との間に面取り部を設け、かつ、側端面と面取り部との間が曲面を有しているマスター情報担体Mを用いる方法である。
以下に、情報信号を磁気転写する工程(磁気転写工程)について詳細に説明する。
(磁気転写工程)
磁気転写工程では、本発明を適用した、表面が清浄化されたマスター情報担体Mを用いて、磁気記録媒体に対するサーボ信号等の書き込み作業を磁気転写によって行う。具体的に、この磁気転写工程では、先ず、磁気記録媒体の信号記録面を初期磁化する。この初期磁化は、面内磁気記録媒体の場合は、トラック方向の一方向に初期直流磁界を印加することにより行い、垂直磁気記録媒体の場合は、媒体表面に対して垂直な方向の一方向に初期直流磁界を印加することにより行う。
この初期直流磁界は、永久磁石や電磁石を用いて印加することが可能である。また、永久磁石としては、より安定で磁力の強いNdFeB系の焼結磁石を用いることが好ましい。また、初期直流磁界の印加は、磁気記録媒体と非接触の状態で行うことが、磁気記録媒体の表面の清浄性を維持する上で好ましい。
次に、転写パターンが形成されたマスター情報担体Mを用いて、磁気記録媒体に対するサーボ信号等の書き込み作業を磁気転写によって行う。磁気転写を行う際に用いる磁気転写部14の一例を図3に示す。
図3に示すように、磁気転写部14は、図示しない基台に固定された状態で搭載されている。磁気転写部14は、サーボ・パターンが予め磁気的に記録されたマスター情報担体Mを固定した状態で保持する固定ホルダ30と、固定ホルダ30に対向して配置された可動ホルダ40と、を備えている。可動ホルダ40は、固定ホルダ30に近づく側(−Z方向側)および固定ホルダ30から遠ざかる側(Z方向側)に移動できるように配置されており、サーボ・パターンが予め磁気的に記録されたマスター情報担体Mを固定した状態で保持できるような構成となっている。また、固定ホルダ30及び可動ホルダ40にはそれぞれマスター情報担体Mが取り付けられており、各マスター情報担体200は、互いに対向した状態で配置されている。なお、磁気転写を磁気記録媒体1の片面のみに対して行う場合は、マスター情報担体Mは固定ホルダ30または可動ホルダ40の何れかに設置すればよい。また、マスター情報担体Mの表面に形成されるパターンは、サーボ・パターンの他、プリサーボパターン、セルフサーボパターンでも良い。
信号記録面が初期磁化された磁気記録媒体1は固定ホルダ30に取り付けられたマスター情報担体Mの表面において、排気用配管31を用いた吸引により真空チャッキングされている。
また、本実施形態では、固定ホルダ30および可動ホルダ40が、一対の挟み部材として機能し、磁気転写時には可動ホルダ40a、40bが下方に移動してOリング33と当接後、可動ホルダ40aがさらに下方に移動して可動ホルダ40に取り付けられたマスター情報担体Mと磁気記録媒体1とが軽く接する。その後、磁気記録媒体1が設置されている空間が配管32によって減圧され、その空間と大気との差圧によって磁気記録媒体1とマスター情報担体Mとが密着される。
マスター情報担体Mを保持した固定ホルダ30の背面側(−Z方向側)には、第1磁石51を備えた第1磁石部材50が配置されている。第1磁石部材50は、固定ホルダ30に対向して配置される第1磁石51と、第1磁石51を保持する第1磁石保持部52と、第1磁石保持部52の背面側から伸びる棒状の第1回転軸53とから構成されている。第1回転軸53は第1磁石保持部52の中心部に接続されている。これにより、第1回転軸53の回転に伴って第1磁石保持部52に保持された第1磁石51が回転するようになっている。
一方、マスター情報担体Mを保持した可動ホルダ40の背面側(Z方向側)には、第2磁石61を備えた第2磁石部材60が配置されている。第2磁石部材60は、可動ホルダ40に対向配置される第2磁石61と、第2磁石61を保持する第2磁石保持部62と、第2磁石保持部62の背面側から伸びる棒状の第2回転軸63とから構成されている。第2回転軸63はZ方向には進退可能に支持されおり、且つ第2磁石保持部62に接続されている。これにより、第2回転軸63の進退に伴って第2磁石保持部62に保持された第2磁石61が進退するとともに、第2回転軸63の回転に伴って第2磁石保持部62に保持された第2磁石61が回転するようになっている。なお、本実施形態では、第1磁石51および第2磁石61が、同期して回転する一対の磁石部材として機能している。
また、第1磁石部材50において、第1磁石51は、第1磁石保持部52に対し、第1回転軸53の回転中心から偏倚した位置に放射方向に取り付けられている。また、第1磁石51は、固定ホルダ30と対向する側が一方の極性の磁極(例えばN極)となるように第1磁石保持部52に保持されている。
一方、第2磁石部材60において、第2磁石61は、第2磁石保持部62に対し、第2回転軸63の回転中心から偏倚した位置に放射方向に取り付けられている。また、第2磁石61は、可動ホルダ40と対向する側が他方の極性の磁極(例えばS極)となるように第2磁石保持部62に保持されている。
そして、本実施形態では、第1磁石51と第2磁石61とが、固定ホルダ30および可動ホルダ40を挟んで対向するように配置され、第1磁石部材50および第2磁石部材60は、第1磁石51と第2磁石61とを対向させた状態を維持しながら、ともに同期して回転し、磁気記録媒体1の両面にはマスター情報担体Mの表面に形成されているパターンが磁気転写される。
本発明の磁気転写工程では、磁気記録媒体1からのダストの再付着が生じにくい、表面が高度に清浄化されたマスター情報担体Mを用いて磁気記録媒体1に対して磁気転写を行うため、従来のようなマスター情報担体Mが摩耗によって破損に至る前に、転写パターンが不完全となる状況を未然に防止することが可能である。したがって、本発明によれば、1枚のマスター情報担体Mによって繰り返し転写できる合計の回数を飛躍的に高めることが可能であり、その結果、磁気記録媒体の生産コストを大幅に低減することが可能である。
(磁気記録媒体)
次に、本発明を適用して製造される磁気記録媒体1の一例を図4に示す。
この磁気記録媒体1は、図4に示すように、非磁性基板21上に、スペーサ層22bにより反強磁性結合させた2層の軟磁性層22aを含む軟磁性下地層22と、配向制御層23と、垂直磁性層24と、保護層25と、潤滑剤膜26とを順次積層した構造を有している。
また、垂直磁性層24は、下層の磁性層24aと、中層の磁性層24bと、上層の磁性層24cとの3層を含み、磁性層24aと磁性層24bの間で非磁性層27aを、磁性層24bと磁性層24cの間で非磁性層27bを挟み込むことで、これら磁性層24a〜24cと非磁性層27a,27bとが交互に積層された構造を有している。
非磁性基板21としては、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属材料からなる金属基板を用いてもよく、例えば、ガラスや、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。また、これら金属基板や非金属基板の表面に、例えばメッキ法やスパッタ法などを用いて、NiP層又はNiP合金層が形成されたものを用いることもできる。
ガラス基板としては、例えば、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどを用いることができ、アモルファスガラスとしては、例えば、汎用のソーダライムガラスや、アルミノシリケートガラスなどを用いることができる。また、結晶化ガラスとしては、例えば、リチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。セラミック基板としては、例えば、汎用の酸化アルミニウムや、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体、又はこれらの繊維強化物などを用いることができる。
非磁性基板21は、その平均表面粗さ(Ra)が1nm(10Å)以下、好ましくは0.5nm以下であるとことが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下。)であることが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、端面のチャンファー部の面取り部と、側面部との少なくとも一方の表面平均粗さ(Ra)が10nm以下(より好ましくは9.5nm以下。)のものを用いることが、磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。なお、微少うねり(Wa)は、例えば、表面荒粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
また、非磁性基板21は、Co又はFeが主成分となる軟磁性下地層22と接することで、表面の吸着ガスや、水分の影響、基板成分の拡散などにより、腐食が進行する可能性がある。この場合、非磁性基板21と軟磁性下地層22の間に密着層を設けることが好ましく、これにより、これらを抑制することが可能となる。なお、密着層の材料としては、例えば、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金など適宜選択することが可能である。また、密着層の厚みは2nm(20Å)以上であることが好ましい。
軟磁性層22a,22cとしては、Fe:Coを40:60〜70:30(原子比)の範囲で含む材料を用いることが好ましい。また、その透磁率や耐食性を高めるために、Ta、Nb、Zr、Crの中から選ばれる何れか1種を1〜8原子%の範囲で含有させることが好ましい。スペーサ層22bとしては、Ru、Re、Cu等を用いることができるが、この中で特にRuを用いることが好ましい。
配向制御層23は、垂直磁性層24の結晶粒を微細化して、記録再生特性を改善するためのものである。この配向制御層23としては、特に限定されるものではないが、hcp構造、fcc構造、アモルファス構造を有するものを用いることが好ましい。特に、Ru系合金、Ni系合金、Co系合金、Pt系合金、Cu系合金を用いることが好ましい。また、これらの合金を多層化してもよい。例えば、基板側からNi系合金とRu系合金との多層構造、Co系合金とRu系合金との多層構造、Pt系合金とRu系合金との多層構造を採用することが好ましい。
ここで、配向制御層23直上の垂直磁性層24の初期部には、結晶成長の乱れが生じやすく、これがノイズの原因となる。この場合、配向制御層23と垂直磁性層24の間に非磁性下地層28を設けることが好ましい。この初期部の乱れた部分を非磁性下地層28で置き換えることで、ノイズの発生を抑制することができる。
非磁性下地層28としては、Coを主成分とし、更に酸化物を含んだ材料からなるものを用いることが好ましい。Crの含有量は、25原子%以上、50原子%以下とすることが好ましい。酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましく、その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。酸化物の含有量としては、磁性粒子を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上、18mol%以下とすることが好ましい。
磁性層24a,24b,24cとしては、Coを主成分とし、更に酸化物を含んだ材料を用いることが好ましく、この酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。また、下層の磁性層24aは、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。
磁性層24a、24b、24cに適した材料としては、例えば、90(Co14Cr18Pt)−10(SiO){Cr含有量14原子%、Pt含有量18原子%、残部Coからなる磁性粒子を1つの化合物として算出したモル濃度が90mol%、SiOからなる酸化物組成が10mol%}、92(Co10Cr16Pt)−8(SiO)、94(Co8Cr14Pt4Nb)−6(Cr)の他、(CoCrPt)−(Ta)、(CoCrPt)−(Cr)−(TiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)−(TiO)、(CoCrPtMo)−(TiO)、(CoCrPtW)−(TiO)、(CoCrPtB)−(Al)、(CoCrPtTaNd)−(MgO)、(CoCrPtBCu)−(Y)、(CoCrPtRu)−(SiO)などの組成物を挙げることができる。
また、本発明では、上記垂直磁性層24を4層以上の磁性層で構成することも可能である。例えば、上記磁性層24a、24bに加えて、グラニュラー構造の磁性層を3層で構成し、その上に、酸化物を含まない磁性層24cを設けた構成とし、また、酸化物を含まない磁性層24cを2層構造として、磁性層24a、24bの上に設けた構成とすることができる。
また、本発明では、垂直磁性層24を構成する3層以上の磁性層間に非磁性層27を設けることが好ましい。非磁性層27を適度な厚みで設けることで、個々の膜の磁化反転が容易になり、磁性粒子全体の磁化反転の分散を小さくすることができる。その結果S/N比をより向上させることが可能である。
保護層25は、垂直磁性層24の腐食を防ぐと共に、磁気ヘッドが磁気記録媒体1に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのものである。保護層25には、従来公知の材料を用いることができ、例えばC、SiO、ZrOなどを含むものを用いることが可能である。保護層25の厚みは、1〜10nmとすることが磁気ヘッドと磁気記録媒体1の距離を小さくできるので高記録密度の点から好ましい。
潤滑剤膜26としては、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などの潤滑剤を保護層25上に塗布することによって形成される。
ところで、本発明を適用した磁気記録媒体1の製造方法では、上述した潤滑剤の塗布工程の後に、ワイピング工程、バーニッシュ工程、磁気転写工程が行われる。そして、表面を清浄化する担体洗浄工程は、上記磁気転写工程において所定回数使用されたマスター情報担体Mに対して定期的に行われることになる。
ワイピング工程は、布製のワイピングテープ等を用いて行われる。すなわち、このワイピング工程は、ワイピングテープを磁気記録媒体1の表面に対して相対走行させつつ、ゴム製のコンタクトロール又はパッドによってワイピングテープの表面を磁気記録媒体1の表面に押し当てることにより、媒体表面を軽く拭く工程である。このような処理を行うことにより、磁気記録媒体1の表面に付着したスパッタダスト等が除去されるので、磁気ヘッドの浮上量をより小さくすることが可能となる。
また、ワイピング工程に用いられるワイピングテープとしては、超極細繊維よりなる布帛を帯状にスリットしたワイピングテープや、超極細繊維マルチフィラメント糸の織編物などが用いられる。
また、このようなワイピングテープを用いる磁気記録媒体1のワイピング方法は、具体的には、磁気記録媒体1を回転させつつ、この磁気記録媒体1の磁性層側の面に、ワイピングテープの表面(拭き面)を押し当てることにより行われる。これにより、磁気記録媒体1の表面に付着したスパッタダスト等が拭き取られ、媒体表面が清浄化される。
ワイピングテープは、供給リールと巻取リールとの間に掛け渡されており、供給リールから順次供給され、巻取リールに順次巻き取られる。そして、この供給リール側から巻取リール側に走行する途中で、ワイピングテープの拭き面と反対側の面(裏面)がゴム等のバッキングロール又はフェルト等により押圧され、ワイピングテープの拭き面が磁気記録媒体1の表面に押し当てられる。
バーニッシュ工程は、磁気記録媒体1の表面にある突起物を除去するため、研磨テープを用いてその表面を研磨する工程である。これにより、ハードディスクドライブでの磁気ヘッドの浮上量をより小さくし、また、上記磁気転写工程で磁気記録媒体1とマスター情報担体Mとの間に隙間が生じて転写パターンが不鮮明となり、マスター情報担体Mが損傷を受けることを防止することができる。
このようなバーニッシュ工程は、アルミナ砥粒を塗布した研磨テープ等を用いて行われる。すなわち、このバーニッシュ工程は、研磨テープをゴム製のコンタクトロールを磁気記録媒体1の表面に押し当てることにより、媒体表面を軽く研磨する工程である。このような処理を行うことにより、磁気記録媒体1の表面にある異常突起等が除去される。
バーニッシュ工程に用いられる研磨テープ(バーニッシュテープ)としては、通常ポリエステル製のベースフィルム上に研磨材層を形成してなるテープを使用する。そして、この研磨材層が磁気記録媒体1の表面と接触して摺動することによって、媒体表面に付着した微小な塵埃が除去されると共に、その媒体表面に存在する異常突起等が研磨・除去されて、その媒体表面が平滑化される。
研磨材としては、平均粒子径が0.05μm〜50μm程度の、酸化クロム、α−アルミナ、炭化珪素、非磁性酸化鉄、ダイヤモンド、γ−アルミナ、α,γ−アルミナ、熔融アルミナ、コランダム、人造ダイヤモンド等が用いられる。
また、このようなバーニッシュ加工は、磁気記録媒体1を回転させつつ、この磁気記録媒体1の表面に、研磨テープの砥粒面を押し当てることにより行われる。これにより、磁気記録媒体1の表面にある突起が研磨除去され、その媒体表面が平滑化される。ここで、研磨テープは、供給リールと巻取リールとの間に掛け渡されており、供給リールから順次供給され、巻取リールに順次巻き取られる。そして、この供給リール側から巻取リール側に走行する途中で、研磨テープの砥粒面と反対側の面(裏面)がゴム等のバッキングロール又はフェルト等により押圧され、研磨テープの研磨面が磁気記録媒体1の表面に押し当てられる。
なお、上記のワイピング工程、バーニッシュ工程によって磁気記録媒体1のデータ面に付着していたダスト等が端面に掃き寄せられる可能性がある。この端面に掃き寄せられたダストを別のクリーニング工程によって除去することが考えられるが、その工程によって端面部に付着したダストが再度、データ面に移動する可能性がある。そのため、磁気記録媒体の端面のクリーニングには限界があるのが実状である。
その後、ワイピング工程、バーニッシュ工程を経た磁気記録媒体に対して、前述の磁気転写工程が行われる。
上記磁気転写工程の後は、得られた磁気記録媒体1に対してグライド検査が行われる。グライド検査とは、磁気記録媒体1の表面に突起物が無いかどうか検査する工程である。すなわち、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体1に対して記録再生を行う際に、磁気記録媒体1の表面に浮上量(媒体と磁気ヘッドの間隔)以上の高さの突起があると、磁気ヘッドが突起に衝突して磁気ヘッドが損傷したり、磁気記録媒体1に欠陥が発生したりする原因となる。グライド検査では、そのような高い突起の有無を検査する。
グライド検査をパスした磁気記録媒体1には、通常ではサーティファイ検査が実施される。サーティファイ検査とは、通常のハードディスクドライブの記録再生と同様に、磁気記録媒体1に対して磁気ヘッドで所定の信号を記録した後、その信号を再生し、得られた再生信号によって磁気記録媒体1の記録不能を検出し、磁気記録媒体1の電気特性や欠陥の有無など媒体の品質を確かめるものである。
本発明を適用して製造された磁気記録媒体1は、サーボ信号等が既に書き込まれているため、従来の方式でのサーティファイ検査とは異なる。すなわち、本発明を適用して製造された磁気記録媒体1では、この磁気記録媒体1に磁気転写されたサーボ信号等を用いて、磁気ヘッドを特定箇所に位置づけして読み書きを行う形式の検査を行う。
(磁気記録再生装置)
次に、本発明を適用して製造された磁気記録媒体1を備える磁気記録再生装置(ハードディスクドライブ)の一例を図5に示す。
この磁気記録再生装置は、上記図5に示す本発明を適用して製造された磁気記録媒体70と、磁気記録媒体70を回転駆動させる媒体駆動部71と、磁気記録媒体70に情報を記録再生する磁気ヘッド72と、この磁気ヘッド72を磁気記録媒体70に対して相対運動させるヘッド駆動部73と、記録再生信号処理系74とを備えている。また、記録再生信号処理系74は、外部から入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド72に送り、磁気ヘッド72からの再生信号を処理してデータを外部に送ることが可能となっている。また、この磁気記録再生装置が備える磁気ヘッド72には、再生素子として巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
上記磁気記録再生装置によれば、上記磁気記録媒体70に、本発明を適用して製造された高記録密度、高速書き込み、優れた電磁変換特性の磁気記録媒体1を採用することで、優れたハードディスクドライブとすることが可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<磁気記録媒体の製造>
先ず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板の上に、60Cr−40Tiターゲットを用いて層厚10nmの密着層を成膜した。また、この密着層の上に、46Fe−46Co−5Zr−3B{Fe含有量46原子%、Co含有量46原子%、Zr含有量5原子%、B含有量3原子%}のターゲットを用いて100℃以下の基板温度で、層厚34nmの軟磁性層を成膜し、この上にRu層を層厚0.76nmで成膜した後、さらに46Fe−46Co−5Zr−3Bの軟磁性層を層厚34nm成膜して、これを軟磁性下地層とした
次に、上記軟磁性下地層の上に、Ni−6W{W含有量6原子%、残部Ni}ターゲット、Ruターゲットを用いて、それぞれ5nm、20nmの層厚で順に成膜し、これを配向制御層とした
次に、配向制御層の上に、多層構造の磁性層として、Co12Cr16Pt−16TiO(膜厚3nm)、Co5Cr22Pt−4SiO−3Cr−2TiO(膜厚3nm)、Ru47.5Co(膜厚0.5nm)、Co15Cr16Pt6B(膜厚3nm)を積層した。
次に、CVD法により層厚2.5nmの炭素保護層を成膜し、磁気記録媒体を得た。
次に、この磁気記録媒体の表面に、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑剤膜を厚さ15オングストロームで形成した
次に、潤滑剤を塗布した磁気記録媒体に対してワイピング処理を施した。ワイピングテープには、ナイロン樹脂とポリエステル樹脂による線径2μmの剥離型複合繊維を用いた。ワイピング処理は、磁気記録媒体の回転数を300rpm、ワイピングテープの送り速度は10mm/秒、ワイピングテープを磁気記録媒体に押し当てる際の押圧力は98mN、処理時間は5秒間とした。ワイピング処理に際してワイピングテープにパーフルオロポリエーテルを噴霧し、テープ表面に約0.01μmの潤滑剤膜を形成した。
次に、ワイピング処理を施した磁気記録媒体に対してバーニッシュ加工を施した。バーニッシュテープには、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム上に、平均粒径0.5μmの結晶成長タイプのアルミナ粒子をエポキシ樹脂で固着したものを用いた。バーニッシュ加工は、磁気記録媒体の回転数は300rpm、研磨テープの送り速度は10mm/秒、研磨テープを磁気ディスクに押し当てる際の押圧力は98mN、処理時間は5秒間とした。
<マスター情報担体の製造>
マスター情報担体には、271kトラック/インチのサーボ信号等の転写パターンが形成されたものを用いた。なお、このマスター情報担体は、そのトラックが幅120nm、そのトラック間隔が60nm、転写パターンの段差が45nmである。
このマスター情報担体は、凸部及び凹部を有するNi基材の上に、DCスパッタリング法を用いて、層厚10nmのRu膜と、磁性層として層厚20nmの70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金膜と、層厚15nmの70Co−5Cr−15Pt合金膜とを順次積層した後、その上に、保護層として層厚20nmのCVD炭素膜を形成することで作製される。
次に、表1に示すような形状・寸法となるよう、円盤状のマスター情報担体の外周端部を加工した。具体的には、先ず、マスター情報担体の転写パターンが形成された面(磁気転写面)を弱い粘着性の樹脂フィルムで保護し、外周側端面を平滑に加工した。外周側端面の加工には#4000のダイヤモンド砥粒を用いたNi電着回転砥石を使用した。
その後、磁気転写面と外周側端面との間に、表1に示すような幅wである面取り部を形成した。本実施例の面取り部の加工には、#4000のダイヤモンド砥粒を用いたNi電着回転砥石を使用した。
次に、研削により平滑に加工した外周側端面と面取り部との境界近傍表面にR加工を施すことにより、側端面と面取り部との境界に、表1に示すような曲率半径Rを有する曲面を形成した。R加工には、#4000のダイヤモンド砥粒を用いたR形状のNi電着回転砥石を使用した。
次に、マスター情報単体の外周側端面及び面取り部を、表1に示すような最大表面粗さRmaxとなるよう研削および化学エッチングによって平滑化した。具体的には、研削には#14000ダイヤモンド砥粒を用いた弾性回転砥石を用いた。その後、研削面に対して化学エッチングを施した。エッチング液には、硝酸が5%、過酸化水素水10%、残部純水を使用し、エッチング温度は20℃、エッチング時間は30秒(実施例1、比較例1〜3)、10秒(実施例2)とした。
Figure 2012094204
<磁気転写工程>
バーニッシュ加工を施した磁気記録媒体に対して、上記のような端部の加工を施したそれぞれのマスター情報担体を用いて、磁気転写を行うことによりサーボ信号等を書き込んだ。具体的には、磁気記録媒体の両データ面に対して、NdFeB系焼結磁石を用いて、磁気記録媒体を貫通する10kOeの磁界を加えながら、初期磁化を施した。
そして、初期磁化を施した磁気記録媒体の両面にマスター情報担体を98mNの圧力で密着させ、このマスター情報担体の裏面から記録磁界を印加した。この記録磁界の強度は6kOeとし、転写時間は10秒間とした
実施例1、2、比較例1〜3のマスター情報担体を用いて1万回の磁気転写を行い、その後、マスター情報担体の外周端部に付着するパーティクルを円周方向で10mmの範囲でカウントした。パーティクルのカウントにはレーザ式のパーティクルカウンタを使用し、パーティクルの大きさの測定範囲は0.3μm以上とした。測定結果を表1に記載する。
以上、本実施例の結果により、本発明に係るマスター情報担体を用いて磁気記録媒体を製造することにより、マスター情報担体へのダストの再付着を予防でき、1枚のマスター情報担体によって繰り返し転写できる合計の回数を飛躍的に高めることが可能となることが明らかである。また、これにより、磁気記録媒体の生産コストを大幅に低減することが可能であることも明らかである。
100・・・板状基体 101a・・・側端面 101b・・・磁気転写面 101c・・・面取り部 101d・・・曲面 M・・・マスター情報担体 P・・・転写パターン

Claims (4)

  1. 板状基体の上面に情報信号に対応する転写パターンが設けられてなるマスター情報担体において、
    前記板状基体の側端面と前記上面との間に面取り部が設けられるとともに、前記面取り部と前記側端面との間に曲率半径0.01〜2.0mmの曲面が設けられ、前記面取り部の幅が、0.1〜0.5mmの範囲であることを特徴とするマスター情報担体。
  2. 前記側端面及び前記面取り部の最大表面粗さが10nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のマスター情報担体。
  3. 非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体とを重ね合わせた後、前記マスター情報担体側から外部磁界を印加することにより、前記磁気記録媒体に情報信号を磁気転写する工程を含む磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記マスター情報担体として、板状基体の上面に情報信号に対応する転写パターンが設けられ、前記板状基体の側端面と前記上面との間に面取り部が設けられ、前記面取り部と前記側端面との間に曲率半径0.01〜2.0mmの曲面が設けられ、前記面取り部の幅が0.1〜0.5mmの範囲であるマスター情報担体を用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記側端面及び前記面取り部の最大表面粗さが10nm以下である前記マスター情報担体を用いることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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