JP4066753B2 - 電線の撚り合わせ加工装置 - Google Patents

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    • H01B13/02Stranding-up
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の電線が撚り合わされてなるツイスト線を製造するために使用される電線の撚り合わせ加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、信号伝送用の電線として、ノイズ等の影響を受けにくいとともに信号の減衰を効果的に抑制し得るツイスト線、つまり一対の電線を撚り合わせたものが用いられている。このようなツイスト線の製造は、図11に示すように、一対の電線W1,W2の両端部をそれぞれ電線クランプA,Bにより保持した状態で、その一方の電線クランプAを電動モータからなる駆動源Cにより回転駆動して両電線W1,W2の一端部を捩るとともに、他方の電線クランプBを固定状態とすることにより、両電線W1,W2を撚り合わせるように構成された電線の撚り合わせ加工装置を使用して行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、図12に示すように、一対の電線W1,W2の一端部を、保持部αにより保持した状態で、この保持部αを電動モータからなる駆動源Cにより回転駆動して両電線W1,W2の一端部を捩るとともに、両電線W1,W2の他端部を固定することなく、その連れ回りを規制した状態で電線保持具βに保持させた状態で、両電線W1,W2を撚り合わせることも行われていた(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−340644号公報
【特許文献2】
特開2001−319536号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示された電線の撚り合わせ加工装置では、両電線W1,W2の他端部を電線クランプBに固定した状態で、電線クランプAの一端部を回転駆動することにより、両電線W1,W2を撚り合わせるように構成されているので、電線W1,W2の線径が太いと、その撚り合わせ加工後に大きな復元力が作用し、両電線W1,W2がばらけた状態となる撚り戻りが発生し易いという問題がある。このため、上記両電線W1,W2を必要ピッチ以上に捩ることにより、両電線W1,W2を癖付けした後、余分に捩った回数だけ上記電線クランプAを逆回転させて上記撚り戻りの発生を防止するが行われていた。しかし、このように構成した場合には、上記電線クランプAを逆回転させる際に、両電線W1,W2の撚り合わせピッチが不均一になり易いとともに、両電線W1,W2間に隙間が形成され易いという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2のように、両電線W1,W2の他端部を固定することなく、その回転を許容した状態で、両電線W1,W2を撚り合わせるように構成した場合には、両電線W1,W2の一端部を必要ピッチ以上に回転駆動して捩るという操作を要することなく、上記撚り戻りの発生を防止することができる。しかし、上記電線保持具βによっては両電線W1,W2の軸方向移動を規制することができないので、両電線W1,W2の線径が細く、かつその全長が長い場合に、両電線W1,W2を適正状態で撚り合わせ加工するために必要な張力を確保することができず、撚り合わせピッチが不揃いになり易い傾向がある。したがって、上記特許文献2に記載された電線の撚り合わせ加工装置を、長尺かつ細径の電線には適用することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、電線の線径の大小および全長の長短を問わず、両電線を一定ピッチで正確に撚り合わせることができる電線の撚り合わせ加工装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、一対の電線の一端部を保持する第1保持部と、両電線の他端部を保持する第2保持部と、上記第1保持部を回転駆動して両電線を撚り合わせるツイスト駆動部とを備えた電線の撚り合わせ加工装置において、上記第2保持部に、各電線の一端部と一体に回転する支持部材と、両支持部材の一方が回転した場合にその回転力を他方に伝達して両支持部材を等速で同一方向に回転させる回転同期機構とを配設したものである。
【0009】
上記構成によれば、両電線の一端部を保持する第1保持部をツイスト駆動部により回転駆動して撚り合わせる際に、両電線の他端部が回転することが許容されるため、両電線の撚り合わせ加工後に、撚り戻りが生じることが効果的に防止されることになる。そして、両電線の他端部が等速で同一方向に回転するように構成されているため、両電線の撚り合わせ加工時に、適度の張力が付与されて両電線が一定ピッチで適正に撚り合わせ加工されることになる。
【0010】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の電線の撚り合わせ加工装置において、両電線に引張応力を作用させる方向に両支持部材を付勢する付勢部材を第2保持部に設けたものである。
【0011】
上記構成によれば、撚り合わせ加工の進行状況に対応した引張応力が両電線に付与された状態で、両電線が適正に撚り合わせ加工されることになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、一対の電線の一端部を保持する第1保持部と、両電線の他端部をそれぞれ回転自在に保持する第2保持部と、上記第1保持部を回転駆動して両電線を撚り合わせるツイスト駆動部とを備えた電線の撚り合わせ加工装置において、上記第1保持部の回転時に、両電線の自転を許容しつつ両電線の連れ回りを規制した状態で両電線を保持する第3保持部を上記第1保持部と第2保持部との間に配設するとともに、第3保持部を第1保持部の設置部に近接した始点位置から第2保持部の設置部に近接した終点位置にスライド変位させるスライド駆動部と、上記ツイスト駆動部により回転駆動される第1保持部の回転速度に対応した速度で第3保持部を移動させるように上記スライド駆動部を制御する制御手段とを備えたものである。
【0013】
上記構成によれば、両電線の一端部を保持する第1保持部をツイスト駆動部により回転駆動して撚り合わせる際に、この撚り合わせ加工の進行状況に対応して上記第3保持部の設置位置が第2保持部側に移動することにより、上記第1保持部から電線の一端部側に付与された撚り合わせ力が電線の他端部側に伝播されることが、上記第3保持部により防止された状態で、上両電線が均一なピッチで適正に撚り合わせ加工されることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る電線の撚り合わせ加工装置の全体構成を示している。この電線の撚り合わせ加工装置は、一対の電線W1,W2の一端部を保持する第1保持部1と、両電線W1,W2の他端部を保持する第2保持部2と、第1,第2保持部1,2の間において両電線W1,W2を保持する第3保持部3と、上記第1保持部1を回転駆動して両電線W1,W2を撚り合わせるツイスト駆動部4と、これらが取り付けられる機体フレーム5とを有している。この機体フレーム5は、撚り合わせ加工される電線W1,W2の設置方向に沿って延びる長尺の軽量形鋼等からなるフレーム本体6と、このフレーム本体6を支持する複数の支持脚体7等とを備え、上記フレーム本体6には、第2,第3保持部2,3をスライド可能に支持するガイドレール(図示せず)が設けられている。
【0015】
上記第1保持部1は、図2および図3に示すように、長方形状のプレート材からなるベースプレート8と、このベースプレート8の上面にボルト止めされた左右一対の支持ブラケット9と、この支持ブラケット9に左右一対のリンク10を介して連結されることにより揺動可能に支持された操作レバー11と、基端部が上記支持ブラケット9に枢支されるとともに上記操作レバー11の先端部に枢支されたクランプアーム12とを有している。また、上記ベースプレート8の先端部には、ウレタンゴム等からなるパッド材13を有するクランプ板14が取り付けられるとともに、このクランプ板14の先端部上面には、基準ピン15が立設されている。
【0016】
上記基準ピン15を挟むようにして両電線W1,W2の一端部をベースプレート8およびクランプ板14上に載置した状態で、上記操作レバー11の把持部を持って図2の仮想線で示す上方位置から、実線で示す下方位置に操作することにより、上記クランプアーム12が上方の開放位置から下方のクランプ位置に揺動変位し、その先端部の下面に設けられたウレタンゴム等からなるパッド材16と、上記クランプ板14のパッド材13との間で上記電線W1,W2の一端部が挟持されるようになっている。
【0017】
上記ベースプレート8の基端部には、連結部材17を介して回転軸18が一体に連結されている。この回転軸18は、ボールベアリング等からなる軸受部材20を有するとともに、上記機体フレーム5のフレーム本体6の側面に取り付けられた支持フレーム19によって回転自在に支持されている。そして、上記ベースプレート8に連結された回転軸18にツイスト駆動部4の駆動力が伝達されることにより、上記フレーム本体6の側方部において第1保持部1が回転駆動されるように構成されている。
【0018】
上記ツイスト駆動部4は、第1保持部1の回転軸18に固定されたベベルギアからなる従動ギア21と、ボールベアリング等からなる軸受部材22によって上記支持フレーム19に回転自在に支持された駆動軸23と、この駆動軸23に固定されて上記従動ギア21と噛み合う駆動ギア24と、連結部材25を介して上記駆動軸23に連結されることにより、この駆動軸23を回転駆動する駆動モータ26とを有している。この駆動モータ26は、制御手段から出力される制御信号に応じ、例えば300rpm〜1800rpm程度の範囲内で回転速度が可変制御されるとともに、回転角度(回転回数)が正確に制御されるサーボモータ等からなっている。
【0019】
上記第2保持部2は、図4に示すように、両電線W1,W2の他端部をそれぞれ支持するとともに、両電線W1,W2の他端部と一体に回転する左右一対の支持部材27と、両支持部材27を等速で同一方向に回転させる回転同期機構28と、後述する電線W1,W2の撚り合わせ加工時に、この電線W1,W2に引張応力を作用させる方向に上記両支持部材27を付勢する付勢部材29とを有している。
【0020】
上記支持部材27は、図5〜図7に示すように、平面から見て長方形状に形成された回転プレート30と、この回転プレート30の基端部に連結部材31を介して連結された回転軸32と、上記回転プレート30の下面に沿ってスライド可能に設置されたスライドプレート33と、このスライドプレート33を回転プレート30の先端部側(電線W1,W2の保持位置側)に押圧する圧縮コイルばねからなる押圧部材34と、上記回転プレート30の先端部上面に設置されるとともに、上記スライドプレート33に連結された左右一対のクランプ材35とを有している。
【0021】
上記回転プレート30には、その長手方向に伸びる左右一対の第1ガイド溝36,37と、その先端側において先窄まりのハ字状に伸びる左右一対の第2ガイド溝38とが形成されている。また、上記スライドプレート33の先端部近傍には、幅方向に伸びる左右一対のガイド溝39が相対向して形成され(図7参照)、かつ上記スライドプレート33の基端面には、側面から見てL字状に折曲げられた丸棒材からなる左右一対の取手40,41が突設されている。
【0022】
上記取手40,41は、その上部が第1ガイド溝36,37の下方から上方側に挿通されることにより、両取手40,41が第1ガイド溝36,37に沿ってそれぞれスライド変位可能に支持されている。そして、上記取手40,41が第1ガイド溝36,37に沿ってスライド変位するのに応じ、上記スライドプレート33が回転プレート30の下面に沿ってその長手方向にスライド変位するように構成されている。
【0023】
上記両取手40,41のうち一方の取手40は、上記スライドプレート33によって回動可能に支持されている。また、上記取手40が挿通される第1ガイド溝36の基端部には、外方側に伸びる係止部42が設けられ、この係止部42に上記取手40の上部が係合されることにより、上記スライドプレート33が押圧部材34の押圧力に抗して回転プレート30の基端部側に係止され、上記両クランプ材35が後述する開放位置に保持されるようになっている。
【0024】
また、上記回転プレート30の基端部近傍の下面には、押圧部材(圧縮コイルばね)34の一端部が挿入される凹孔43が形成されたばねホルダー44が固着され、このばねホルダー44の凹孔43および上記スライドプレート30の基端面に形成された凹孔45に、上記押圧部材34の両端部が挿入されることにより、この押圧部材34の押圧力に応じて上記スライドプレート33が回転プレート30の先端部側に付勢されている(図6参照)。
【0025】
上記クランプ材35は、内側面にウレタンゴム等からなるパッド材45が設けられたブロック体からなり、その下面には上記回転プレート30の第2ガイド溝38に挿入される一対の駆動ピン46,47が突設されている。この駆動ピン46,47は、平面から見て上記第2ガイド溝38の設置角度に対応した角度で斜め向きに配列されている。また、上記両駆動ピン46,47のうち先端部側に位置する駆動ピン46は、その突出長さが他方に比べて大きく設定されることにより、上記駆動ピン46の下端部が上記スライドプレート33のガイド溝39内に挿入されるように構成されている。
【0026】
そして、上記スライドプレート33を回転プレート30の下面に沿ってスライド変位させることにより、上記回転プレート30の上面に設置された左右一対のクランプ材35が上記第2ガイド溝38に沿ってスライド変位するとともに、これに対応して両クランプ材35が、図5の実線で示すように互いに接近した電線W1,W2の挟持位置と、仮想線で示すように両クランプ材35が互いに離間した開放位置とに変位するようになっている。
【0027】
すなわち、上記取手40または41を後方に引っ張ることによりスライドプレート33を押圧部材34の押圧力に抗して回転プレート30の基端部側(回転軸49の設置部側)に移動させると、上記駆動ピン46,47が第2ガイド溝38に沿って後部外側方側に摺動することにより、両クランプ材35が後退しつつ互いに離間する方向に案内される。また、上記押圧部材34の押圧力に応じてスライドプレート33を回転プレート30の先端部側に移動させると、上記駆動ピン46,47が上記第2ガイド溝38に沿って前部内側方側に摺動することにより、両クランプ材35が互いに接近する方向に案内されて電線W1,W2の他端部が挟持されることになる。
【0028】
図4に示すように、上記第2保持部2には、両支持部材27を回転自在に支持するスライドフレーム48が設けられている。このスライドフレーム48には、両回転プレート30に連結された回転軸32を回転自在に支持するボールベアリング等からなる軸受部材49が設けられ、上記回転軸32を中心に各支持部材27がそれぞれ回転するように構成されている。さらに、上記スライドフレーム48がフレーム本体6に設けられた下記の保持フレーム50によってスライド自在に支持されることにより、第2保持部2の両支持部材27が上記スライドフレーム48とともにフレーム本体6の側壁面に沿ってスライド変位するように構成されている。
【0029】
また、上記スライドフレーム48には、両支持部材27の回転軸32にそれぞれ設けられた一対の平歯車からなる第1,第2ギア51,52と、両回転軸32の間に配設された中間軸54と、この中間軸54上に配設されて上記第1,第2ギア51,52にそれぞれ噛み合う平歯車からなる中間ギア55とからなる回転同期機構28が設けられている。この回転同期機構28は、第1,第2ギア51,52の歯数が同数に設定されることにより、後述する電線W1,W2の撚り合わせ加工時に、上記両支持部材27の一方が回転した場合に、これとともに回転する両ギア51,52の一方の回転力を、上記中間ギア55を介して他方に伝達して、両支持部材27を等速で同一方向に回転させるように構成されている。
【0030】
また、上記機体フレーム5のフレーム本体6に支持された保持フレーム50と、上記スライドフレーム48との間に、引張コイルばねからなる付勢部材29が設置されている。そして、後述する電線の撚り合わせ加工時に、上記付勢部材29の付勢力に応じてスライドフレーム48が第1保持部1から離間する方向に付勢されることにより、上記支持部材27に支持された電線W1,W2に引張応力が付与されるようになっている。
【0031】
なお、上記保持フレーム50は、機体フレーム5のフレーム本体6に設けられた図外のガイドレールに沿ってスライド可能に支持されるとともに、図外のロック機構によりフレーム本体6に係止されて上記スライド変位が規制されるようになっている。これにより、両電線W1,W2の全長に応じて上記フレーム本体6に対する保持フレーム50の係止位置、つまり上記電線W1,W2の他端部を保持する第2保持部2の設置位置が調節可能に構成されている。
【0032】
上記第3保持部3は、図8に示すように、機体フレーム5のフレーム本体6に設けられた図外のガイドレールに沿ってスライド可能に支持されたスライド基板56と、このスライド基板56からフレーム本体6の側方部に向けて突設されたスライドバー57と、このスライドバー57の上面に突設された4本の支持バー58とを有している。そして、相隣接する一対の支持バー58の間に電線W1,W2をそれぞれ挿通させることにより、後述する電線W1,W2の撚り合わせ加工時に、上記第1,第2保持部1,2の間において両電線W1,W2が自転するのをそれぞれ許容しつつ、第1保持部材1が回転駆動されることにより両電線W1,W2の一端部が捩られるのに応じて両電線W1,W2の他端部が連れ回りするのを規制するように構成されている。
【0033】
また、上記第3保持部3のスライド基板56とフレーム本体6との間には、第3保持部3をスライド変位させるスライド駆動部60が設けられている。このスライド駆動部60は、例えば上記フレーム本体6に沿って設けられたラックギア61と、このラックギア61と噛み合うピニオンギア62と、このピニオンギア62を回転駆動する駆動モータ63とを有し、この駆動モータ63が上記スライド基板56に固定されている。そして、コントロールボックス等に設けられた制御手段64から上記駆動モータ63に出力される制御信号に応じ、この駆動モータ63を作動させて上記ピニオンギア62を回転駆動することにより、上記第1保持部1の回転に同期させて上記第3保持部3のスライド基板56を第1保持部1の設置部に近接した始点位置から第2保持部2の設置部に近接した終点位置まで一定速度で自走させるように構成されている。
【0034】
上記駆動モータ63は、制御手段64から出力される制御信号に応じて回転速度が可変制御されるとともに、回転角度(回転回数)が制御されるサーボモータ等により構成されている。また、上記制御手段64は、入力手段65により入力された電線W1,W2の撚り合わせ回数、つまり上記第1保持部1の回転回数と、上記電線W1,W2の全長に対応する撚り合わせ長さとに基づき、上記スライド基板56のスライド変位速度(駆動モータ56の回転速度)を演算して設定する機能を有している。例えば、上記第1保持部1を40回転させて両電線W1,W2を捩ることにより、1000mmの撚り合わせ長さを有する電線W1,W2に40個所の撚り合わせ部を形成する場合には、上記第1保持部1が1回転する間に上記第1保持部3を25mmだけ移動させ得るように、上記駆動モータ63の回転速度が設定されるようになっている。
【0035】
上記のように構成された電線の撚り合わせ加工装置を使用して電線W1,W2を撚り合わせする場合には、図9(a)に示すように、第3保持部3を第1保持部1側の始点位置に移動させた後、第1保持部1の操作レバー11を操作してクランプアーム12を上方の開放位置にセットする(図2の仮想線参照)。そして、第3保持部3の支持バー58の間を通して第1保持部1のベースプレート8上に一対の電線W1,W2の一端部を導入し、上記基準ピン15を挟むようにして両電線W1,W2の一端部を位置決めした後、上記操作レバー11を操作してクランプアーム12を下方のクランプ位置に揺動変位させることにより、上記両電線W1,W2の一端部を挟持して第1保持部1に保持させる(図2の実線および図3参照)。
【0036】
次いで、上記電線W1,W2の全長に対応した位置に予めセットされた第2保持部2の両支持部材27に設けられた取手40または41を操作することにより、上記両クランプ材35を離間位置に係止した状態で、上記両電線W1,W2の他端部を両クランプ材35の間に導入して位置決めした後、上記取手40を操作して上記係止部42との係合状態を解除し、両クランプ材35を挟持位置に変位させることにより、両電線W1,W2の他端部を挟持して上記第2保持部2に保持させる。
【0037】
そして、図外のスタートボタンを押してツイスト駆動部4の駆動モータ26を作動させ、上記第1保持部1のベースプレート8を回転駆動して電線W1,W2の一端部を捩ることにより、図9(b)に示すように、上記第1保持部1と第3保持部3との間において両電線W1,W2を撚り合わせ加工しつつ、上記スライド駆動部60の駆動モータ63を作動させることにより、上記撚り合わせ加工の進行に対応させて第3保持部3を、上記始点位置から第2保持部2の設置部に近接した終点位置に向けて一定速度で移動させる。
【0038】
上記ツイスト駆動部4の駆動モータ26により、第1保持部1のベースプレート8が予め設定された回数だけ回転駆動されて電線W1,W2の撚り合わせ加工が終了するとともに、第3保持部3が終点位置に到達した時点で、上記ツイスト駆動部4およびスライド駆動部60の作動が自動的に停止される。その後、上記第1保持部1および第2保持部2による電線W1,W2の保持状態を解除して撚り合わせされたツイスト電線を上記撚り合わせ加工装置から取り外すとともに、上記第3保持部3を始点位置に復帰させた後、新たな電線W1,W2を撚り合わせ加工装置にセットして、上記作業を繰り返す。
【0039】
なお、新たにセットされる電線W1,W2の種類が変化することに起因して電線W1,W2の全長および撚り合わせ回数を変更する必要が生じた場合には、上記入力手段65により、新たな電線W1,W2の全長および撚り合わせ回数等のデータを入力するとともに、上記第2保持部2の設置位置を新たな電線W1,W2の撚り合わせ長さに対応した位置に変更した後に、新たな電線W1,W2を撚り合わせ加工装置にセットする。
【0040】
上記のように一対の電線W1,W2の一端部を保持する第1保持部1と、両電線W1,W2の他端部を保持する第2保持部2と、上記第1保持部1を回転駆動して両電線W1,W2を撚り合わせるツイスト駆動部4とを備えた電線の撚り合わせ加工装置において、上記第2保持部2に、各電線W1,W2の他端部と一体に回転する支持部材27と、両支持部材27の一方が回転した場合にその回転力を他方に伝達して両支持部材27を等速で同一方向に回転させる回転同期機構28とを配設したため、上記両電線W1,W2の線径の大小および全長の長短を問わず、両電線W1,W2を一定ピッチで適正に撚り合わせることができる。
【0041】
すなわち、上記両電線W1,W2の他端部を保持する第2保持部2に両電線W1,W2の他端部を回転可能に支持させたため、線径の太い両電線W1,W2を撚り合わせ加工する場合においても、両電線W1,W2に撚り戻りを生じさせる大きな復元力が作用するのを効果的に防止することができる。したがって、上記両電線W1,W2を必要ピッチ以上に捩ることにより両電線W1,W2を癖付けする等の繁雑な作業を要することなく、両電線W1,W2を適正ピッチで正確に撚り合わせ加工することができる。
【0042】
また、上記電線W1,W2の一端部を回転駆動して撚り合わせ加工を行う場合に、両電線W1,W2の捩り力が他端部に伝達されて両電線W1,W2の他端部が回転すると、その一方の回転力が上記回転同期機構28を介して両電線W1,W2の他方に伝達されることにより、両電線W1,W2が等速で同一方向に回転するように構成したため、両電線W1,W2の一方のみが大きく捩られた状態となる等のアンバランスの発生を確実に防止することができる。したがって、両電線W1,W2の撚り合わせ加工後に、電線W1,W2の一方が他方に比べて大きく撚り戻されるという撚り乱れの発生を防止することができるとともに、この撚り乱れに起因して上記両電線W1,W2の間に隙間が形成されるのを効果的に抑制することができる。
【0043】
一方、線径の細い電線W1,W2の撚り合わせ加工を行う場合には、上記第2保持部2に設けられた上記支持部材27および回転同期機構28が両電線W1,W2に張力を付与する重りの役目を果たすことになるため、両電線W1,W2をその全長に亘って適度に緊張させた状態で、両電線W1,W2を適正に撚り合わせることができる。したがって、上記のように線径の細い両電線W1,W2であっても、その撚り合わせピッチを正確かつ密に設定することができるという利点がある。
【0044】
また、上記実施形態に示すように、両電線W1,W2に引張応力を作用させる方向に上記両支持部材27を付勢する引張ばね等からなる付勢部材29を第2保持部2に設けた場合には、この付勢部材29の付勢力に対応した張力を両電線W1,W2に付与することにより、その撚り合わせピッチを、より正確かつ密に設定することができる。そして、両電線W1,W2の撚り合わせ加工が進行すると、これに対応して両電線W1,W2の他端部を支持する上記支持部材27が第1保持部1側に引っ張られて上記付勢部材29の付勢力が増大されることになる。したがって、上記撚り合わせ加工の終期段階、つまり両電線W1,W2に捩り力を付与する上記第1保持部1から離れた位置において電線W1,W2を撚り合わせる際に、撚り乱れの発生を効果的に抑制することができる。
【0045】
また、上記のように一対の電線W1,W2の一端部を保持する第1保持部1と、両電線W1,W2の他端部をそれぞれ回転自在に保持する第2保持部2と、上記第1保持部1を回転駆動して両電線W1,W2を撚り合わせるツイスト駆動部4とを備えた電線の撚り合わせ加工装置において、上記第1保持部1の回転時に、両電線W1,W2の自転を許容しつつ両電線W1,W2の連れ回りを規制した状態で両電線W1,W2を保持する第3保持部3を上記第1保持部1と第2保持部2との間に配設するとともに、第3保持部3を第1保持部1の設置部に近接した始点位置から第2保持部2の設置部に近接した終点位置にスライド変位させるスライド駆動部60と、上記ツイスト駆動部4により回転駆動される第1保持部1の回転速度に対応した速度で第3保持部3を移動させるように上記スライド駆動部60を制御する制御手段64とを設けた構成によると、第1保持部1から電線W1,W2の一端部側に付与された撚り合わせ力が電線W1,W2の他端部側に伝播されるのを、上記第3保持部3の設置部において防止した状態で、上両電線W1,W2を均一かつ密に撚り合わせることができるという利点がある。
【0046】
すなわち、上記電線W1,W2の撚り合わせ開始当初には、第1保持部1に第3保持部3が近接した状態にあるため、この第1保持部1と第3保持部3との間の狭い範囲内で、両電線W1,W2を適正かつ密に撚り合わせることができる。そして、電線W1,W2の撚り合わせ加工が進行するのに応じて第3保持部3を次第に下流側に移動させることにより、この第3保持部3の上流側部に両電線W1,W2の撚り合わせ力を集中させることができるため、この電線W1,W2を適正ピッチで均一に撚り合わせることができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、第3保持部3に設けられた両支持部材27の回転を同期させた状態で、これらを回転可能に支持するように構成した例について説明したが、上記ツイスト駆動部4により回転駆動される第1保持部1の回転速度に対応した回転速度で、両電線W1,W2を第1保持部1の回転方向と逆方向に自転させるように上記両支持部材27を回転駆動する自転用駆動部を第2保持部2に設けた構造としてもよい。
【0048】
具体的には、図10に示すように、両支持部材27の回転プレート30に連結された一対の回転軸32の一方を回転駆動するサーボモータ等からなる自転用駆動部66を設け、上記ツイスト駆動部4により第1保持部1が回転駆動されて両電線W1,W2の一端部が捩られるのに応じ、上記第1保持部1の回転駆動速度と略等しい速度で、両電線W1,W2の捩れを解消する方向に上記回転プレート30を強制的に回転駆動するように構成してもよい。このように構成した場合には、線径の太い電線W1,W2を撚り合わせ加工した後に、両電線W1,W2に撚り戻りが生じることに起因した撚り乱れの発生を、さらに効果的に抑制できるという利点がある。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、一対の電線の一端部を保持する第1保持部と、両電線の他端部を保持する第2保持部と、上記第1保持部を回転駆動して両電線を撚り合わせるツイスト駆動部とを備えた電線の撚り合わせ加工装置において、上記第2保持部に、各電線の一端部と一体に回転する支持部材と、両支持部材の一方が回転した場合にその回転力を他方に伝達して両支持部材を等速で同一方向に回転させる回転同期機構とを配設したため、上記両電線の線径の大小および全長の長短を問わず、両電線2を一定ピッチで適正に撚り合わせることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電線撚り合わせ加工装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】第1保持部の具体的構成を示す一部断面正面図である。
【図3】ツイスト駆動部の具体的構成を示す一部断面平面図である。
【図4】第2保持部の具体的構成を示す一部断面平面図である。
【図5】支持部材の具体的構成を示す平面図である。
【図6】支持部材の具体的構成を示す正面図である。
【図7】支持部材の具体的構成を示す分解斜視図である。
【図8】第3保持部の具体的構成を示す説明図である。
【図9】電線の撚り合わせ過程を示す説明図である。
【図10】第2保持部の別の具体例を示す一部断面平面図である。
【図11】特許文献1に係る電線の撚り合わせ加工装置の従来例を示す説明図である。
【図12】特許文献2に係る電線の撚り合わせ加工装置の従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 第1保持部
2 第2保持部
3 第3保持部
4 ツイスト駆動部
27 支持部材
28 回転同期機構
60 スライド駆動部
64 制御手段

Claims (3)

  1. 一対の電線の一端部を保持する第1保持部と、両電線の他端部を保持する第2保持部と、上記第1保持部を回転駆動して両電線を撚り合わせるツイスト駆動部とを備えた電線の撚り合わせ加工装置において、上記第2保持部に、各電線の一端部と一体に回転する支持部材と、両支持部材の一方が回転した場合にその回転力を他方に伝達して両支持部材を等速で同一方向に回転させる回転同期機構とを配設したことを特徴とする電線の撚り合わせ加工装置。
  2. 両電線に引張応力を作用させる方向に両支持部材を付勢する付勢部材を第2保持部に設けたことを特徴とする請求項1記載の電線の撚り合わせ加工装置。
  3. 一対の電線の一端部を保持する第1保持部と、両電線の他端部をそれぞれ回転自在に保持する第2保持部と、上記第1保持部を回転駆動して両電線を撚り合わせるツイスト駆動部とを備えた電線の撚り合わせ加工装置において、上記第1保持部の回転時に、両電線の自転を許容しつつ両電線の連れ回りを規制した状態で両電線を保持する第3保持部を上記第1保持部と第2保持部との間に配設するとともに、第3保持部を第1保持部の設置部に近接した始点位置から第2保持部の設置部に近接した終点位置にスライド変位させるスライド駆動部と、上記ツイスト駆動部により回転駆動される第1保持部の回転速度に対応した速度で第3保持部を移動させるように上記スライド駆動部を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電線の撚り合わせ加工装置。
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